03/05/07 23:45 V3hMfw5m
その日の夜、整備点検を兼ねて停泊中のファルコン号甲板。
「…………」
いつも以上に仏頂面だった飛空艇の現所有者を見やりながら、なだめる様に声
をかけたのはロックだった。
「まーた、今日はいちだんと不機嫌だな」
「お前に愛想振りまいても何の得にもならんだろ?」
が、どうやら逆効果だったようだ。当てが外れたようにロックは口をとがらせ
不満を漏らす。
「何だよ。……ったく、人が色々悩んでるってーのによ」
「悩むヤツは悩めばいい。だが今お前が悩んでるのは、もともと他人がどうこう
口出しできる問題じゃないだろ」
セッツァーは簡単に言い捨てた。抗議の声をあげようと口を開きかけたロック
だったが、彼の言うことはもっともで反論しようが無い。
が、理性が納得したそばから口をついて出たのは感情に任せた言葉だった。
「……でもさ」
ロックという男は、頭で分かっていても放っておけない性分なのだと言う事は、
セッツァーも充分承知していた。しかし今回はそれが裏目に出るだろう―現に、
マッシュがそうだったのだから。
「まだ何か余計な世話を焼こうとするか?」
「そうじゃないけど」
「じゃあ黙って寝ろ」
「そーいう言い方って無いんじゃないか?」
ロックの声に明かな怒気を認めながらも、セッツァーは態度を変えようとはし
なかった。
「お前がどう思おうと勝手だがな、傷つくのはガウ自身だって事を忘れるなよ」
「…………」