03/05/06 23:12 NTnNJ4Il
今日ほど、自分の軽率さを恥じた事はない。
『よしっ! あのオヤジに教えてやろう!!』
なぜ、あんな事を口走ってしまったんだろう?
『このガウが本当の息子だってことを!!』
どうして、あそこへガウを連れていってしまったのだろう?
『待てよ……せっかくの親子の対面だ…おめかしでもさせるか』
―結局、傷ついたのはガウだったのに―。
草原の一軒家から飛空艇へ戻った四人の表情は一様に沈んでいた。ファルコン
に残っていた他の仲間達も察したのか、一人としてその件について触れる者はい
なかった。
彼らだってそれぞれつらい過去を背負い、あるいは掛け替えのない存在を失い、
それでも生きようとこの船に集っていた。
しかしそんな彼らでさえ、今のガウにかける言葉を見出せず、ただひたすらに
平静を装いながら沈黙を守るだけで精一杯だった。
それは誰一人としてガウの受けた―失ったと思っていた肉親との再会を果た
し、その直後に目の前で拒絶されるという―痛みを、受け止められる者がいな
かったから。
本来ならばそんな態度をとるべきではない。つらい時こそ支え合うのが仲間で
あった筈なのに……誰もがそう思いながら、己の非力さを実感せずにはいられな
かった。
「ウー……」
そんな中でただ一人、ウーマロだけはいつもと変わりなくガウと戯れていたの
が唯一の救いだっただろうか。
すっかり沈みきった仲間達を乗せて、飛空艇は次の目的地へ向けて飛び立った。