03/05/04 16:58 1/XwA648
職人さん方、気にせずガンガッテ
333:砂漠の王と風の覇者44
03/05/04 23:22 p17OpiaK
なぜそんなことを聞いたのだろう? と思う。
確かにあの時、リルムは無謀にも飛空艇から炎の中に飛び込んだ。
“エドガーを助けるため”に。
それが無茶な行為だと、自分でも分かってた。だけど、それでも助けたかった。
“絶対に死んで欲しくなかった”から。
―じゃあ、エドガーは?
「エドガーは、あたしが死んだらどう思うんだよ? あたしは……」
そうか。
エドガーに死んで欲しくない。あの時そう思ったんだ。
仲間として、それ以上に大切な存在として。
「あたしは……エドガーがいなくなるよりは、良いと思っ……」
口にしかけた言葉が最後まで語られる事はなかった。リルムは頬に触れた温も
りと、芳しい香油の香りに気付いて目を見開いた。
「エド……?!」
「今の私に、彼を裁く権利など無いのだ」
片膝をつきリルムの肩を抱き寄せながら、エドガーは小さく呟く。
「どうし……て」
抵抗することも忘れ、リルムはエドガーに身を預けたままで問う。
「私は平和を願いながら、ケフカや帝国と同じ道を歩もうとしていた……」
それはエドガーしか知ることの無い真実。
これまで誰にも明かされる事のなかった真実を、ゆっくりと語りはじめた。
334:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/04 23:40 p17OpiaK
いやぁ、一人6ネタで突っ走ってるもんでスンマセン。
烏滸がましくも、下手の横好きで文章書いたりしてる身として言わせて頂けるなら、
単なる記号の羅列に過ぎない文字に、色々な物を込めるという作業は相当難しいと思います。
それから、個人的にコストパフォーマンス良いと思いますよ、このスレ。(相当端折ってマジレス)
>>309
カップリングより親子ネタの方が好きなので、漏れはそういう作品を是が非でも読みたい!
正直に言うと、17歳差のエドリルで萌える理由はそう言う面にもありますが。(w
一度メモ帳にネタを箇条書きして、整形していくと結構(・∀・)イイ!物が書けると思います。
(SSって、アイディア・見せ方の要素がそれぞれ半々だと思うんです。)
挑戦してみて損はないと思いますし、5ネタを書けない漏れとしては読んでみたいです。期待sage。
>>GF物語
8ネタでGF視点の話をはじめて見たので面白かったです。6の幻獣は“神によって作られた”
という設定が作中で出てくるのですが、8のG.Fはどういう存在だったのか? というのを掘り
下げている様な話なので興味深く拝見させていただきました。できれば続きもあると嬉しいですが…。
>>330-331
シヴァ姐さん素敵です!(w あの問題児サイファーを手懐ける(違)とはさすが氷の女王。
でもすいません、シヴァって人身大でしたけ?(なんかやたら大きいというイメージがあるの
ですが。…あれは10か?)
表現がやんわりしてる物なら、この板でもOKなのではないかと呟いてみるテスト。
(どの辺が「やんわり」なのかは分かりませんが。w)
335:R@no-name
03/05/05 02:17 XuNvVga6
>334
伸 縮 自 在 ですが何か<ガッ
そもそも実体ないし、決まったサイズから変更不能だったらダンジョンの
小部屋で激しく頭上注意の予感なわけで(慌)
非戦闘時はサイファーとタメはるくらいか、-10cmくらい大きさで部屋を
ふわふわしてる(ラ○タンですか……)と考えていただきたいでつ>身長
続き出せるかなーいいのかなー(;´Д`)
336:姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/05 18:44 BOoDDslw
>>335
微妙ですね(汗
安全策を取るとしたらおぬうど辺りからピンク?とも思うのですが、
エロくないシーンをピンク鯖に書くとピンク鯖の中の人から怒られるという罠。
上の方にアーリュの結構きわどい作品があったのでそれ辺りと比べて見ては
いかがでしょうか?
>>333
6ネタは少ないと思うので今後も是非がんがっていただきたいなあと
私としては思っております。
(もちろんドリルさんが書きたいと思っているのが前提ですけれど)
>>305
はうっ。見られてましたか。
でも私もけっこう白さんやドリルさんの生うP目撃してますよw
「コックさんは見た!」タイトルの時点で禿藁でした。
>>302
白さんといい、とうとうシグネに「たん」が…。
一応萌えキャラとして書けてると思っていいんでしょうか。
(そういえば「お兄ちゃん」連発してるし…)
次作、期待してます。
337:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/05 21:57 6CY+Kj7f
午前最後の授業は、実習授業のため作業服を着ていたので、制服に着替え直したりしていたら
食堂に着くのが少し遅れてしまった。
「ごめんね、遅くなっちゃった」
私はアリスの後ろ姿を見つけて駆け寄った。
アリスは私のかけた声に気付かないようで、食堂の入口辺りをじっと見ていた。
私は不思議に思ってその視線を追うと、その先ではふわふわの金髪が揺れていた。
ゼルさんだった。
よく見ると、アリスはパンの袋を抱えている。
「……どうしたの?」
私がもう一度声をかけるとアリスはびっくりしたように振り向いた。
「シグ。お疲れ様」
アリスは一生懸命笑おうとしていたみたいだけどがっかり、という表情が拭えなかった。
「はい。ひとつあげる」
アリスは私にパンの袋を手渡した。
「え?いいの?」
私はびっくりして聞き返した。
「うん。今日はたまたま早く授業が終わったから二つ買えたの」
私はこっそりアリスがさっき見ていた方を見た。
「え?パン売り切れ?……じゃあ、チキンヌードル大盛で」
ゼルさんはパンが買えなかったみたいで、違う物を頼んだみたいだった。
もしかしたらアリスはこれ、ゼルさんにあげたかったんじゃないかな、と思ったけど何も言わない事にした。
だってそういうのは本人が話したい時に聞いてあげればいい事だと思うから。
せっかくなので私はフィッシュ&チップスのバスケットと飲み物を買ってきてアリスと分けた。
338:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/05 21:58 6CY+Kj7f
パンは取合いになるのがわかる、おいしいパンだった。
「最近、有名店のパン職人だった人が調理場に入ったらしいの」というのがアリスの聞いた話らしい。
午前の授業の感想を話したりしているうちに昼休みは終わった。
今日の午後は必須ばかりなのでずっと教室で授業を受けた。
一通りの授業が終わり、私は実習授業の方で先輩の作業を手伝う約束をしていたしアリスは図書委員の
仕事をしながらレポートの準備をするのでそこで別れ別れになった。
晩御飯は一応時間を決めておいて落ち合えたら一緒に食べるという事にしておいた。
実習の教室に作業服に着替えてから戻ると先輩たちが午前に私が修正を手伝ったデータを元に
作業にかかっていた。
「お帰りシグネ。待ってたよ~」
このクラスでは一番手先が器用だというセーラ先輩は細い筒を磨く手を休めず私に声をかけた。
現在このクラスが手がけているのはガーデンで標準モデルとして採用している拳銃を軽量化し、
尚且つ弾の飛距離と命中精度を上げる事だった。
一番手っ取り早いのは口径を小さくする事だけどシュミレーションで上手く行っても実際それを作るとなると大問題だ。
基本的にこの教室は手作りでやっているし、出来上がった物がガーデンの審査でパスしてもあまり繊細な設計だと
量産するのにコストがかかる。
「正直、ここにいるとマーケティングの方に詳しくなれるわよ」
サラ先輩は弾の原型を作るのに取り掛かっている。実はこの先輩はSeeD資格を持っている。
ミッションを受けると新しい武器を持って行ってテストする事が多いらしい。
私は溜まった設計図を入力するのに追われた。
後4人いる男子の先輩たちは仮眠をしに寮に戻ったらしい。
339:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/05 21:58 6CY+Kj7f
「あいつら夜型なんだよね」
セーラ先輩は次の筒に取り掛かった。
私はデータを演算にかけている時間を利用して先輩にお茶を入れた。
コーヒーばっかりだと胃に悪いので部屋からアリスにも出したのと同じお茶を取ってきてそれを入れた。
「あ~、なんか頭がすっきりする」
セーラ先輩が気持ちよさそうに伸びをする。
「これ、ティンバーのお茶でしょ?珍しいわね」
サラ先輩はさすがに色んな所に行くので詳しいみたいだった。
「肌にいいのよね、これ」
サラ先輩の一言でセーラ先輩が目を輝かせる。
「ホント?シグネ、余分持ってたら分けてくれない?ちゃんとお金払って買うから」
「友達のお母さんが作って送ってくれたお茶だから、お金はいいですよ」
「あのね、シグネ。礼儀正しいのはいいんだけどあたし、あんたと同い年だから敬語やめてくれる?」
先輩、もといセーラが困ったように言った。
「同い年?」
「そうだよ。図書委員のアリシアと同い年でしょ?あたしも」
ガーデンでは年齢毎のクラス分けじゃないのでこういうところがやっかいだった。
「以前は年齢別のクラスだったんだけどね。数年前に専門毎のクラス編成になったのよ」
サラ先輩が笑った。
「あの……サラ…は?」
どっちにしろ先輩と言うなと言われたので私はおそるおそる尋ねた。
「18歳よ。まあ、そんなに気にしなくていいから」
私がここのクラスに慣れるまで、もう少しかかりそうだった。
340:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/05 21:58 6CY+Kj7f
設計図の内容をチェックするとソフトをバージョンアップさせてからの方がよさそうなので
残りは来週にやる事にして私は食堂に向かった。
アリスとの約束の時間には少し遅かったけれど、アリスはお茶を飲んで待ってくれていた。
「お疲れ様、シグ」
アリスは私に気付いて手元の雑誌を閉じた。
「何食べるか決めた?」
アリスの質問に私は首を振る。
「クラムチャウダーの方がおすすめよ。今日のはトマト味のほうだったから」
夕食には少し早いじかんだったせいもあってさほど待たずにアリスのお勧めのメニューを買うことができた。
席に戻ってご飯を食べ終わるとアリスが雑誌りページを広げた。
「ね、シグはどっちの方がいいと思う?」
アリスの広げた雑誌には薄いピンクとラベンダー色のドレスを着たモデルがにっこり微笑んでいた。
「私だったらピンクが好きなんだけど、アリスが着るなら、こっちかな」
薄い生地を何枚か重ねたドレスの裾が柔らかくウエーブしているデザインで、アリスに似合いそうだった。
「そう思う?デザインは好きなんだけど色がちょっと私には大人っぽいかなぁって思うんだけど」
「そんな事ないよ。これ写真だし多分実物はもっと明るい感じだと思う」
アリスはうーん、と腕を組んで悩んでいる。
「パーティーにでも出るの?」
私の言葉にアリスはびっくりしたように雑誌から顔を上げた。
「教えてあげてなかった?もうすぐSeeD試験があるのよ。その後の就任パーティー」
「あ」
341:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/05 22:01 6CY+Kj7f
自分には関係ない話だと思っていたのですっかり忘れていた。
バラムガーデンは毎年春季にSeeD試験を行う。
成績によってSeeD候補生クラスに入った生徒の中でさらに事前選考を通った人だけが筆記試験を受け、
その合格者はさらに実際の戦場で行われる実地試験場に派兵されて指令達成によって初めてSeeDになれる。
そしてその試験の後は新任のSeeDのお披露目を兼ねてパーティーが催される。
SeeDが死亡したりした場合に実地試験での不合格者の中から再試験で追加合格させる事もあるけれど
その時は学園長室から認証式があるくらいだ。
ガーデン生にとって年に1回の一大イベントである事には違いない。
「私達の学年からは全員パーティー会場に入場できるのよ」
アリスはうっとりとした顔をしている。
SeeD就任パーティーはダンスパーティー形式で行われる。会場の収容人数の関係からSeeD受験可能年齢である
15歳はSeeD候補生のみ、16歳からようやく一般クラスの生徒も参加できるらしい。
「校内の男女比率の関係もあるから、女子はなるべく出席するよう言われるわよ」
アリスはそう言うと真剣にドレスの写真を見つめている。
「入学祝に服って、そういう事かぁ……」
実は今週の週末、私はバラムの家にお兄ちゃんと帰る事にしている。
お兄ちゃんがガーデン入学祝いに服を買ってやるなんていうからどういう事かと思っていたら、たぶんこれのせいなんだろう。
「シグネはどんなの着るの?」
アリスが目を輝かせる。
「ぜんぜん。だってたぶんこれから買うんだもん」
週末の予定をアリスに説明した。
「じゃあ、同じ日に私もバラムに行くからもしかしたら会うかもね」
「アリス、どうやって行くの?」
「バスよ。私車持ってないから」
「じゃあ、私と一緒に行かない?」
「でも、お兄さんの車でしょ?悪いわ」
「全然。私もアリスの服見たいし。それで家にも来ない?たぶんお母さんがケーキ死ぬほど用意してるから」
私としてはできればアリスにも一緒に来てもらいたかった。
お兄ちゃん同伴でドレス選びなんて恥ずかしすぎる。
「本当に、いいの?」
「うん」
アリスとの約束を取り付けて私はうきうきしながら週末を待った。
342:姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/05 22:04 6CY+Kj7f
本日は以上です。
とうとうストック全部使ってしまった…。
次回辺りから皆さん御存知のキャラがでてくると思いますので
もうちょっとだけお待ち下さい。
343:砂漠の王と風の覇者45
03/05/06 00:44 galVtqm0
「彼の本当の目的は、私の命でもこの城でもなかったんだ……。その証拠に」
言いながら視線を上げて、倒壊した塔に向ける。
そして、焼け落ちた王の間の上にある隠し部屋に、エドガーが密かに開発を
進めていた『機械』の設計図が置かれていた事を明かした。
帝国の支配。世界の崩壊。ケフカの暴走―悲劇を二度と繰り返さない為に
―そして何より、そこから立ち直る為に作ろうとした物だ。
「しかし……それが『兵器』となり得る力を秘めている。その事に彼は気付いた」
それでは力を求め、幻獣達を蹂躙し魔導を利用した揚げ句、力そのものに取り
込まれ、その傀儡となってしまった帝国やケフカの過ちを繰り返そうとしているだけだ。
だから抑止力として必要になる時が必ず来る、彼はそう主張し続けた。
「そして―」
結局彼は、最後まで自分の主張を曲げることはなかった。大量の瓦礫を残して
図面を道連れに死を選んだ。
そうすることでエドガーに託したのだ、この国と世界の未来を。
「私が間違っているのかも知れない。彼の言っていた事は決して外れてはいない。
けれど」
「……エドガー……」
こんな風に胸の内をさらけ出すエドガーの姿を、初めて見たような気がする。
普段の自信に満ちた彼からは想像も出来ないほど、実際には相当の重圧の中に立
たされていた事を知る。
国と、世界と、仲間を守るために生きている男なのだと。
「けれど私は……」
「もういいよ」
堪えきれないと言った様子で短くリルムが告げる。
「何も言わなくていいから」
言葉と同じようにゆっくりと、拙い動作でエドガーの背に腕を回しながら。
「……あたしが守ってやるよ」
宣言したのだった。
魔導が失われたこの世界で、以前のように戦う力はないけれど。
「ね?」
彼を失いたくない。その想いだけははっきりと分かったから。
抱き寄せられた身体を離して、自らの宣誓を確かめるようにエドガーの顔を見つめ直す。
344:砂漠の王と風の覇者46
03/05/06 00:49 160Qi7v3
「……リルム」
向けられた彼女の笑顔は、まるで砂漠のオアシスの如く透明な美しさを帯びて
いる。そんな彼女を目の当たりにしたエドガーの表情には戸惑いと躊躇い、何よ
り驚きの色をない交ぜにしてた複雑な顔で。
―こんなに動揺するエドガーを見たのも、初めてだと思った。
「言わせてくれないか?」
彼女の気遣いを退けてでも、これだけは伝えておきたいと。
黙って頷いたリルムを見て、エドガーは口を開く。
「リルムが塔から無事に脱出できたと分かった時、心の底から安心したんだ。け
ど、本当は」
345:砂漠の王と風の覇者47
03/05/06 00:50 160Qi7v3
目を閉じて、塔から身を投げたときの光景を思い起こしながら。
「もう二度と君に会えなくなると気付いた時、分かったんだ」
再び開かれた瞳は、目の前のリルムの姿をしっかりと捉えていた。
「俺は、リルムを失いたくない」
フィガロも夢も仲間も。
セッツァーの言うように、多くを求め過ぎているのかも知れない。
でも、こう思う気持ちは本心なのだから仕方がない。
「……迷惑かな?」
力無く笑うと、照れたように視線を外す。いつもは見せないそんな仕草を見な
がら、リルムは小さく笑みを浮かべる。
「へー、色男でも照れたりするんだ?」
揶揄するような口調は嬉しさの裏返し。
「自分でも驚いたよ。こんなに口下手だと思わなかったからね」
兄とは対照的に、女っ気の欠片もない弟に偉そうなことを言えないな、などと
苦笑しながら。
「いつかこの城へ来てくれる日を待ってるよ」
これだけを口に出すことが、今の彼には精一杯だった。
今までは、女性も夢も、追っている方が楽しいと思っていた。
だけど今は―
訪れる幸せを、静かに待ってみようと思うのだった。
砂漠の城を淡く照らし出す月光の下、二つの影が並ぶ。
肌に触れる冷たい夜気と穏やかな静寂が支配するこの場所が、やがて二人を祝
福する熱気と歓声に包まれるのは、そう遠い日の話ではなかった。
砂漠の王と風の覇者ー終ー
346:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/06 01:00 160Qi7v3
…………。
あ、あれ? 気が付けばリルムよりエドガー視点の方が多くなっていたよ(´・ω・`)
一つの括りとしてここで少し言い訳をさせて下さい。
この『砂漠の王と風の覇者』というお話は、そもそも「FF6のED後の世情を予想して
みる」というコンセプトの上に、個人的に書いた物だったりします。(そもそも萌えと
言うよりは、そう言う系統のスレを良く回ったり書き込みしていたもので。w)
国王エドガー29歳、彼が即位してから生まれたリルムが12歳。つまりリルムはエドガーが
「国王として生きてきた年数」と同じ年齢になります。
王位継承者として生まれた者として、兄として、個人を捨て国王という“公人”として生きる
道を選んだエドガーが、リルムだからこそ“個人”として彼女と接する事ができるんじゃないか?
そう言う面を描きたかったんです。
また、リルムの場合は……描ききれませんでしたが、本当はここを主題にしたかった……(撃沈)
修行して、出直して来ます。
この様な駄文にお付き合いいただいた方、本当に有り難うございました。そしてお疲れさまです。。
347:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/06 01:17 160Qi7v3
>>335
伸縮自在……って、なんか某湿布のような(w。
でもイメージは掴めました、ありが㌧。
(やっぱりFF10のシヴァの印象が強くて、それを持ってきてしまった様です。彼女は
大きかったので…w)
……あれ? するとアレクサンダーはあんなにごついのに等身d(略。
ピンク鯖に持って行くにも色々大変なんですね…なんとかここで書ける様に修正する
…とか?(他のレスの中に紛らわせてしまうという手があるかも知れない!w)
>>337-341(スニフの恋人)
いつも読みながら凄いなと思うのは、日常生活のありふれた場面描写って、漏れが書くと
得てして単調になりがちなのに、そう言う感覚がない(飽きさせない)ままで、すんなり話の
世界に入って行けるという所です。それだけ主人公の心理描写が自然に書かれているという
事なのでしょうか? 続きが楽しみですsage。
6ネタ…恐らく性懲りもなくまた書きに来ると思います(w。今回描ききれなかったリルム視点
で(例の如くHDDの中にある駄文を何とか加工してw)。
今度は言い訳しないでも伝わるぐらいの作品を書きたいです。
精進あるのみ、ですかね。・゚・(ノД`)・゚・
長々と失礼いたしました。
348:R@no-name
03/05/06 03:26 kU4d5Aas
ご指導感謝しまつ>姐さま、ドリル殿
問題の部分なんですが、絵にすると間違いなく修正逝きと思われる場面
なので、ついでに加筆した状態でピンク鯖へ持っていくことにします
「壱~壱拾&拾壱エロパロ小説スレ」にて、またおあいしませう~>成人RomALL
349:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/06 22:00 +MfKr/BN
お久しぶりです。。。
代行シリーズ電撃再開!!! スレに久々職人さん降臨ハァハァ (*´Д`)
スレリンク(ff板)l50
350:【モルポル山海月風味】
03/05/06 22:01 +MfKr/BN
深き霧の真上に。垂直に昇る雲。
薄紅の濃霧が山稜から傾れ、流れ落ちる。
その空間をはぜる、凛とした若武者達。
闇に剛剣が駆ける。
押し寄せる妖獣を両断し、更に宙を舞う。
「ソルジャーブルー!」
しなう剣と、炸裂する閃光。
すうっ、と瞳が光り、その視線が見る者を鷲掴みにする。
「ソルジャ-ブラック」
拍動する、勇壮な楽の音。
「──君も神羅軍で英雄と握手!」
♪魔晄戦記ソルジャ-ドン!おっおおおお~神羅~(※テーマ曲)
鯨の潮みたく金髪を引っ括り、TVの前でアイスを抱えた子供。
翌朝、幼馴染みとのおままごと中、花冠を載せたまま
彼は突如立ち上がり
「俺絶対!ソルジャーになるんだ!」と初恋の彼女に誓うのだった。
「…クラウドTV見過ぎ!(ノДT)」などと突っ込みが入っていた頃。
ソルジャー二人組は、変装覆面匿名状態で
ウオールマーケットの噂のモルポル山クラゲ拉麺に
舌鼓を打っていたのだった。
351:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/06 22:02 +MfKr/BN
>>311
自信は私もマジ無いです。。。(TДT)
こういう話が読みたいなぁ。って言う311さんのお気持が
物語になるのでしょうね。FF5好きの職人様期待sage。
>>315
コピペを、御自分の物として発表するのは
激しく遠慮して頂きたくおながいします。
>>323 >>327 >>332
本当にお疲れさまです。m(_ _)m
>>328
私も場違い小説さんのファンです。
読み易くて明るくて色香があって大好きなのです。
御元気でいらっしゃるのでしょうか…。続編マターリ期待sage。
>>329-330 >>335 >>348
おお!R@no-nameさん降臨続編キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!
ミュージッククリップのような映像を想像しました!
カコ良いクールビューティカップルですね。
続編、何処で続いても楽しみにしておりますです。
352:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/06 22:03 +MfKr/BN
>>333-334
ドリルさん乙華麗様ですた!
最後迄、張り詰めた緊張感が、ダレず持続なさってたのが凄いであります。
最後の最後に解き明かされた秘密に(゚д゚*)ウマー!です。
(*´Д`)ハァハァというより、両者の深い愛*がカコ良い…。
祝典を想像して萌えました!次回作もマターリお待ちしておりますです。
>>336-342
ああ(つД`)又パンが買えなかったのですね、ゼル。(w
兵器開発に神経を研ぎすます感じや、パーティ前の賑わいを
目の前で観ている感じがして、シアワセです。
サラさんの事情も気になります。
姐さんの、背景や設定の作りの丁寧さに萌えますたです。
353:29
03/05/06 22:10 BJw0mj2d
このスレは女性向けってわけでもない様な、、、。
そもそも漏れ、野郎ですし。
あと、謙遜っていうか卑下しすぎるのもやっぱりイクナイんでしょうね。反省すべ。
354:road to homeーこころの故郷1
03/05/06 23:12 NTnNJ4Il
今日ほど、自分の軽率さを恥じた事はない。
『よしっ! あのオヤジに教えてやろう!!』
なぜ、あんな事を口走ってしまったんだろう?
『このガウが本当の息子だってことを!!』
どうして、あそこへガウを連れていってしまったのだろう?
『待てよ……せっかくの親子の対面だ…おめかしでもさせるか』
―結局、傷ついたのはガウだったのに―。
草原の一軒家から飛空艇へ戻った四人の表情は一様に沈んでいた。ファルコン
に残っていた他の仲間達も察したのか、一人としてその件について触れる者はい
なかった。
彼らだってそれぞれつらい過去を背負い、あるいは掛け替えのない存在を失い、
それでも生きようとこの船に集っていた。
しかしそんな彼らでさえ、今のガウにかける言葉を見出せず、ただひたすらに
平静を装いながら沈黙を守るだけで精一杯だった。
それは誰一人としてガウの受けた―失ったと思っていた肉親との再会を果た
し、その直後に目の前で拒絶されるという―痛みを、受け止められる者がいな
かったから。
本来ならばそんな態度をとるべきではない。つらい時こそ支え合うのが仲間で
あった筈なのに……誰もがそう思いながら、己の非力さを実感せずにはいられな
かった。
「ウー……」
そんな中でただ一人、ウーマロだけはいつもと変わりなくガウと戯れていたの
が唯一の救いだっただろうか。
すっかり沈みきった仲間達を乗せて、飛空艇は次の目的地へ向けて飛び立った。
355:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/06 23:30 NTnNJ4Il
性懲りもなくFF6エドリル@リルム視点でリベンジ……と、思ったのですが、
今回はFF6本編中の『ガウの父親再会イベント』の余話的な物になります…。
前回のよりも短く…最後はお笑いにしてみたいと画策中(希望)。マターリ進行
ですが、やっぱりエドリルになります。(しつこいよ!)
>>350
あの神羅ならあり得そうですね…。恐らくセフィロスも広告塔として色んな所に
かり出されていたのかもしれないと思うと出張費が……(それは違)。
明るくノリのいい文章を書かれるんですが、視点の置く場所が(・∀・)イイ!ですよね。
それと、事情を知らないとはいえ正直スマンカッタ。
>>353
漏れも気をつけます。
改めて見方というか、見せ方というか、見られ方というか、
人の捉え方は様々だなと思います。文章も何もかも。
(けっきょく「答えが一つじゃないから面白い」、って事なんですけどね。w)
356:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/06 23:39 NTnNJ4Il
す、すいません。一応>>354でこれだけ解説入れさせて下さい。
パーティーメンバーの中に「ガウ」という野生児がいます。
彼の父親は、妻を失ったショックから、生後間もないガウを獣ヶ原に捨てます。
曰く、「悪魔の子」だからだそうです。
本編中で、マッシュ(エドガーの弟)が好意から二人を引き合わせるという
イベントがあります。
んで、彼はガウを捨てた事を肯定しながら、さらにガウの目の前で
「(マッシュのような)息子を持った父親は幸せだ」と言います。
それでもガウは怒る事なく、「しあわせ」だと告げて、仲間達と共に家を後にする。
…という、もの凄い切ないイベントがあるんです。
357:姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/07 20:32 2/NdPD2M
>>345
お疲れ様でした。エドガー、五年後が楽しみですなw
続いてマッシュキタキタキタキタ━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━?????
昔この板でツクールのFF風ゲームでマッシュがやたら強かったので
6は未プレイなのにマッシュは大好きだったりします。
>>350
> ♪魔晄戦記ソルジャ-ドン!おっおおおお~神羅~(※テーマ曲)
ぷはははははははは(T∀T;)
笑 い 死 さ せ る 気 で す か ?
358:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/07 20:34 2/NdPD2M
結果的に週末は大変だった。私じゃなく、むしろお兄ちゃんが。
週末、お昼前にアリスと一緒にお兄ちゃんの車に乗り込んだ。
ガーデンとバラム市街は結構距離があるけれど車の運転が出来れば通学もムリじゃない。
カリキュラムのきついお兄ちゃんはともかく私まで寮に入る事になったのは私の反射神経の鈍さのせいだ。
一応車の免許は取ったものの危なくて自動車通学なんかさせられないというのがお父さんの意見だった。
家についたのはちょうどお昼だった。
ガーデンは兵士養成学校だけに私がなじめるかどうか心配していたお母さんは友達を連れて帰ると言った時に
電話の向こうで張り切っていたので嫌な予感はしていたけれど、居間に入るとテーブルがお昼ご飯より沢山の
手作りケーキで埋め尽くされていた。
お母さんのケーキはおいしいけれど、このまま10人くらいのティーパーティーを開いても大丈夫そうな量の
お菓子にアリスは目が点になっていた。
アリスは気を使って、ガーデンの食堂で売っているジャムの瓶詰めをいくつかかわいく包んで持ってきてくれた。
年少クラスの子の授業で栽培したベリー類や、バイトの学生がガーデンのそこら中にある果物を収穫したものを
食堂のおばさんが煮て作る手作りだ。
お兄ちゃんがガーデンから帰ってくる時に買っていた物で、我が家の定番だった。
「まあ。ガーデンのジャムって梨や葡萄もあるのね?オリーったらベリーのジャムしか買ってこないんだから」
お母さんはアリスの買ってきてくれたジャムに大喜びだった。
「ジャムって言えばイチゴだろ?」
困ったような顔でお兄ちゃんは抗議しているけれど、私は知っている。
お兄ちゃんはピーナツバター&ジェリー(ピーナツバターとジャムを同量ずつ塗ったパンを重ねるサンドイッチ。
ベリー以外のジャムだと当り外れあり。かなり甘い)が食べたいがためにイチゴジャムばっかり買っている事を。
「梨のジャムなんて久しぶりだわ。梨のタルトが作れるわね」
梨のタルトはお父さんの好物だ。多分今夜のデザートでカルバドスとエスプレッソがセットで出てくるに違いない。
「シグネにこんな良いお友達が出来てよかったわ」
お母さんはうきうきした様子でサンドイッチを勧める。
359:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/07 20:34 2/NdPD2M
アリスは一見するとガーデンの生徒より市街にある女子高の生徒っていう感じだからムリもない。
お母さんは娘が欲しかったのに子供はお兄ちゃん一人しかできなかったのだ。
娘がいないお母さんが全員こうではないと思うけれど、お兄ちゃんがエマさんを紹介したらお兄ちゃんそっちのけで
エマさんにケーキを食べさせて着せ替えでも始めかねないと思う。
その時、電話が鳴った。
お母さんがキッチンの方の受話機で取った。
「彼女かな?」
アリスがこそっとつぶやいたので私も頷いてみせた。
「かもね」
「誰?」
お兄ちゃんはサンドイッチを飲み込むと聞いた。
「カータトレットさんって言ったわよ?」
一瞬紅茶を吹きそうになった。お母さんは既に好奇心満々になっている。
お兄ちゃんを含め、私達の間に変な緊張が走った。
妹、妹と言っていても実は従妹な訳だし、彼女としてはやっぱり面白くないかもしれない。
お兄ちゃんがキッチンで話す声は小さくてよく聞こえなかった。
お母さんが何か知ってるんでしょう的な顔をしているのに気付かないふりをしてサンドイッチを食べたけど
あんまり味がしなかった。
そうしている内に、お兄ちゃんが居間に戻ってきた。
「何だったの?」
私の質問にお兄ちゃんはげんなりとした様子で顔を上げた。
「昼飯食ったらすぐに買い物って言ってたけど、悪い、少し待ってくれ」
「もしかして、エマさん怒ってた?」
私が恐る恐る尋ねるとお兄ちゃんは頷いた。
360:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/07 20:35 2/NdPD2M
「私とアリスが買い物に行くのに、運転してるだけだって言えば良かったのに」
アリスも私の言葉にこくこくと頷く。
「いや、それも言ったんだけど、余計叱られた」
「……なんて?」
「ずるいって」
「え?」
聞き違いとしか思えない言葉がお兄ちゃんの口からこぼれた。
「……自分一人だけ、女の子二人がドレス買いに行くのに付き合うなんてずるいって。
今からここに来るから一緒に行くって。……なんで私も誘ってくれなかったのって、怒ってた。すごく」
お兄ちゃんは腕を組んではーっと、大きくため息をついた。
「じゃあ、あの、お兄ちゃんが別の女の子と一緒だから怒ってるんじゃ、ないの?」
「うん。お前の言う意味では怒ってない。そういうわけで悪いがあいつも一緒だ」
お兄ちゃんはすまなそうに言った。
「私は別にいいけど。……アリスは?誘っておいてなんだけど」
私の質問にアリスはちょっと考えるような顔をした。
「カータトレット先輩でしょ?私も知り合いだからかまわないわ。いい先輩よね」
「私もエマさん好きだな。楽しみだね~」
「うん。楽しみ」
私とアリスの様子にお兄ちゃんは複雑な顔をしていた。
それから1時間と経たない内にドアのチャイムが鳴った。
迎えに出るとオフベージュに薄藍と黒の模様の入った洒落たワンピースに上品なカーディガンを羽織った
エマさんが立っていた。
「こんにちは」
にっこりと笑った顔はやっぱり綺麗で、怒っているというのが嘘みたいだった。
「ごめんなさいね、押しかけちゃって」
「いいえ、どうぞ」
私が居間に通すとエマさんはお母さんにきちんと挨拶した。
361:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/07 20:37 2/NdPD2M
「えーと彼女は……」
お兄ちゃんがどう紹介しようかと戸惑っていると先輩はにっこり笑った。
「同級生なんです。いつもお世話になってます。これ、授業で栽培したものですけど」
エマさんはミニブーケにまとめたブラウン系の大人っぽいバラの花をお母さんにお土産として渡した。
理系の選択授業でバイオテクノロジーの初歩として花の品種改良しているクラスがあるのだ。
エマさんもケーキ責めにしたそうなお母さんに悪かったけれど私達は市街に向かった。
アリスの欲しいドレスのブランドのお店はエマさんの行きつけだったらしく、店員さんが奥から
ウインドウにない物まで出してきてくれた。
エマさんは店員さんと一緒にすごく楽しそうに私達にドレスを見立ててくれた。
結局、アリスは本で見ていたラベンダーのドレスに白のストールを合わせる事で納得した。
私は薄い若草色で肩の所がフリルのようにひらっとしている物に決めた。
「靴はどうなさいます?」
店員さんが出してくれたパンプスを見て、私はちょっとドキッとした。
殆どの靴のヒールが5㎝はあるのだ。こんなのを履いたらますます背が高くなってしまう。
私の隣でもアリスが同じような顔をしている。私はなんとなく理由がわかるので黙っていた。
「このドレスなら断然これですね」
店員さんが合わせてくれた靴は確かにドレスにぴったりだけどハイヒールだった。
私とアリスの様子を見て、エマさんはおや?という感じに靴を見た。
「二人とも、ダンス得意?」
突然のエマさんのセリフに私は首を振る。基本のワルツとラテン風のステップの初歩を子供の時習ったくらいだ。
アリスも基本くらいはできてもあまり踊った事がないと言っていた。
「じゃ、この靴全部却下ね。転んじゃう」
エマさんは別の場所から殆どヒールのない靴を幾つか探してきてくれた。
「これなら、大丈夫じゃない?」
細い皮紐を編み上げたヒールの無いサンダルを私に、アリスにはかかとに通したリボンを足首に巻きつけて結ぶ
ローヒールのセパレートパンプスを持ってきてくれた。
サイズもいいし、ハイヒールほど華やかじゃないけれど悪くなかった。
「私はこれにしようっと」
エマさんは手持ちの服に合わせるのだと言って青いハイヒールを選んだ。
362:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/07 20:39 2/NdPD2M
「オリー、ホールドしてみてくれる?」
お兄ちゃんがエマさんをワルツの姿勢でホールドする。
エマさんはわりと小柄でお兄ちゃんは長身の部類に入るからハイヒールの高さがあってちょうどいいくらいだった。
「すてき……」
アリスが口元で手を合わせて言った。
私もかっこいいなとは思ったけれどさすがにお兄ちゃん相手にアリスのように褒め言葉を口にはできなかった。
アリスの褒め言葉にエマさんは苦笑した。
「二人とも、パートナーは決まってるの?」
尋ねられて私とアリスは顔を見合わせる。当然、二人ともそんな人はいない。
「まあ、あなた達なら当日一人でいたらお誘いはかかるだろうけど」
エマさんは意味ありそうに笑うと試着していた靴を店員に渡した。
「私達はパーティー前にまず一仕事終えなくちゃね。オリー」
エマさんの視線に、お兄ちゃんが気まずそうな顔をする。
「何があるんですか?」
私の質問にはエマさんが答えた。
「筆記試験。SeeD実地試験前のね」
そういえばお兄ちゃんとエマさんはSeeD候補生だった。
お兄ちゃんは体術が専門でエマさんは剣技とクラスは違うけれど筆記試験は同時に受ける。
「帰ったら、しっかり勉強しなきゃ。来週だもんね」
お兄ちゃんは、またはーっとため息をつく。
「お前はもう大丈夫だろ?絶対受かるって」
そのセリフでエマさんの眉が上がった。
「何言ってるのよ。私は事前選考で落とされる可能性が高いのに。あなたは筆記さえクリアすれば絶対SeeDになれるのよ」
後で聞いた話によると、エマさんは体力不足という理由でSeeD候補生段階から先に進めないらしい。
お兄ちゃんはお兄ちゃんで、体力、技術に問題はないけれどペーパーテストが大の苦手で
二人ともお互いの得意分野にコンプレックスがあるみたいだった。
私とアリスのドレスを包んでもらうと、一度家に帰ってお母さんのケーキの残りを詰めた箱を受けとって私達はガーデンに戻った。
「エマ、そういえば家に来る時どうやって来たんだ?バスにしては早かったよな」
お兄ちゃんが不思議そうに聞く。
「バラムに行く人がいたから乗せてもらったのよ」
「よく家がわかったよな」
「だって乗せてくれたのニーダだもの」
363:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/07 20:40 2/NdPD2M
心臓が、どきりと音を立てたかと思った。
「ニーダが?」
「そう。先生の所に顔を出しに行くって言ってたわ」
エマさんの言葉にお兄ちゃんがヤバイ、という感じの顔をした。
「しまった。俺も行けば良かったな。もうずっと顔出してないや」
「先生って?」
私はできるだけ何でもないように聞こえるように尋ねた。
「道場の先生。覚えてないか?俺とゼルが通っていた体技の道場があったろ?」
そういえば私が一度ティンバーに戻る少し前、時々お兄ちゃんが白い服を持ってどこかお稽古に行っていた気がする。
「ニーダって、この間俺の代わりにお前の迎えに行ってもらった奴な。あいつも同門の生徒なんだよ」
そんな事、知らなかった。
「クラスメートかと思ってた」
「クラスも一緒だけどな。あいつと友達になったの、シグがティンバーに行ってからだったもんな。
そのうちまた紹介するよ」
まさか私があの人に「スニフ」なんてあだ名をつけてた事なんて知らないであろうお兄ちゃんは呑気に言った。
「そういえばあいつも今回受験だろ?」
エマさんにお兄ちゃんが聞く。
お兄ちゃんとクラスメートなんだから考えてみれば当然の事なんだけど、それでもあの人がSeeD候補生で
ガーデンの中でも特別な部類に入る人だなんてとても信じられなかった。
穏やかで、控えめな感じで、戦場で生死をかけて戦うような人だなんて、どうしても思えなかったのだ。
「この間G.F.の正式登録済んだって言ってたわよ」
「マジで?ヤバイな、俺。置いていかれそうだ」
そう言いながらお兄ちゃんの口調にはあせりがない。
正直な所、私から見てもお兄ちゃんにはSeeDになろうという気は殆どなさそうだった。
お母さんが言うには友達に付きあってなんとなく受けたら受かってしまったというのがガーデンに入った理由らしいから
むしろSeeD候補生になれた時点で奇跡のような物なのだ。
364:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/07 20:40 2/NdPD2M
エマさんにもそれがわかるのか、黙って苦笑いのような表情をしていた。
ガーデンに着くとお母さんのケーキの中で日持ちしない物を優先的にお兄ちゃんに引き受けてもらって4人で分け、
それぞれの部屋に戻った。
寝る前に日記を書こうと思った所でペンが止まってしまった。
この一週間は普通にあった事を書いていたのだけど、今日はどうしても「スニフ」に宛てて書きたかったのだ。
もうあの人は知らない人じゃなくてガーデンの先輩なんだから「スニフ」に宛てて書くのは良くないとは思ったけれど
結局、最後にはこう書いてしまった。
「スニフへ
私が思っていたよりずっとずっとお兄ちゃんと仲良しだったんですね。
もしかして家に来た事もあったのかな?そう思うなんだかびっくりです。
来てくれていたとしたら、お母さんの事だからガトーショコラ丸ごと1つ、
「あなたの分よ」って出したりしませんでしたか?
こんな事、冗談じゃなくて本当にやっていたらどうしよう。
私が初めて友達を連れて来た時はオレンジ・シャルロットでそれを
やっちゃったので友達が次の日食べ過ぎでお腹を壊して大変でした。 」
そこまで書いた所で、あの大きな目を瞬かせて「それは大変だったね」と言うニーダさんの顔が浮かんで来た。
最後に私はこう書いて日記を閉じた。
「パーティーで、スニフは誰と踊るのかな?」
365:road to homeーこころの故郷2
03/05/07 23:45 V3hMfw5m
その日の夜、整備点検を兼ねて停泊中のファルコン号甲板。
「…………」
いつも以上に仏頂面だった飛空艇の現所有者を見やりながら、なだめる様に声
をかけたのはロックだった。
「まーた、今日はいちだんと不機嫌だな」
「お前に愛想振りまいても何の得にもならんだろ?」
が、どうやら逆効果だったようだ。当てが外れたようにロックは口をとがらせ
不満を漏らす。
「何だよ。……ったく、人が色々悩んでるってーのによ」
「悩むヤツは悩めばいい。だが今お前が悩んでるのは、もともと他人がどうこう
口出しできる問題じゃないだろ」
セッツァーは簡単に言い捨てた。抗議の声をあげようと口を開きかけたロック
だったが、彼の言うことはもっともで反論しようが無い。
が、理性が納得したそばから口をついて出たのは感情に任せた言葉だった。
「……でもさ」
ロックという男は、頭で分かっていても放っておけない性分なのだと言う事は、
セッツァーも充分承知していた。しかし今回はそれが裏目に出るだろう―現に、
マッシュがそうだったのだから。
「まだ何か余計な世話を焼こうとするか?」
「そうじゃないけど」
「じゃあ黙って寝ろ」
「そーいう言い方って無いんじゃないか?」
ロックの声に明かな怒気を認めながらも、セッツァーは態度を変えようとはし
なかった。
「お前がどう思おうと勝手だがな、傷つくのはガウ自身だって事を忘れるなよ」
「…………」
366:road to homeーこころの故郷3
03/05/07 23:48 V3hMfw5m
怒るわけでもない、かといって諭すわけでもなく告げられたその一言に、今度
こそロックは閉口せざるを得なかった。
一応は納得するものの、二人の内心に去来するのはやはり同じ様な思いで。
(ガウの事もそうだけどよ、マッシュも何とかしてやらないと……)
(大体、弟が落ち込んでるって時にエドガーは何をしているんだ?)
残念ながらこういった場合、自分が出ていっても事態を悪化させるだけで好転
する事はないと、二人には自覚があった―からこそ、こうして悩んでいるのだ
が。
「親父か……」
ふと思い出した。
自分も父と同じ冒険家としての道を歩んだロックにとっては、身近で頼もしい
存在なのだろう。
「俺はどうでもいいがな」
天涯孤独のセッツァーにしてみれば家族の温もりなどは縁遠い物で、今更求め
ようなんて思う事はない。
「…………」
この後しばらく、二人の男は仏頂面をさげて甲板に佇んでいた。
367:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/07 23:51 V3hMfw5m
>>358-364(スニフの恋人)
漏れが一番苦手とする描写(ファッション。w)が沢山でてきてて(゚д゚)ウマー!!
……勉強になります。
シグネの心理描写、たまらなく良いです。憧れの人を密かに思うときの
独特の雰囲気が文面から伝わって来ます。
それにしても、たらふくケーキ食べられるなんて贅沢な。(w
368:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/08 00:06 gKQD9Rw2
>>353
ヒゲ自慢、もとい卑下自慢とゆう奴ですね。
おいらも自嘲…自重しますです。。・゚・(ノД`)・゚・。ゴメン
誉められたら「え~違うよ」じゃなく「有難う」が基本ですか?
>>354-356 >>365-367
新作キタ━━(゚∀゚)━━ !!!!おお!ガウだ!l \ァl \ァ
ガウは楽しい+元気が出る+でも切ない、感じがしますです。
FF6主要男性キャラ、皆面倒見が良くて、事態が悪化しても素敵です!
じ、事情ですか?何か人様に言えない事情が私に…?(((((((;゚Д゚)))))))
ドリルさんがオイラに謝るような事は、一切思い当たりませんです…。
寧ろ私が謝罪(何)
>>357-364
スニフなニーダ萌え!シグネさんの家庭が楽しそうです。
シグネさん、何気に謙虚な天才児ですね。
ドレスも改良されたお花も憧れます。ブラウン(・∀・)イイ!!
毎日の長篇うp、乙華麗さまです。読むのが楽しみであります。
369:【トロ、もとい神と旅する】(1)
03/05/08 00:07 gKQD9Rw2
灰白の月光。その背後に、凍り拡がる藍の闇。
血から湯気が立ち昇り、殲滅したドラゴンの肉体がどろりと崩れた。
英雄は逆光を浴び、凛と立っている。
「はーい、カットー!」
「やべ!俺台詞間違えた!」
「NG集だな…クックック」
此処、黄金円盤第6スタジオでは、お昼の連続ソープオペラ
『魔晄戦記ソルジャ-ドン』の撮影が続いていた。
「ソルジャーの仕事って、色々あんだなぁ!」
「TVに出たがったのはお前位だろう、ザックス。
それとも、幼稚園慰問の仕事でも手伝うか?」
「え、遠慮するっす!」
「ひまわり組の皆さんが、待っているぞ」
「一体全体どうして、一日中上司にくっついての仕事なんだ…」
──真面目に考えるのならば、お前は将来の右腕候補。
恐らく又、未熟であっても基礎能力値の高い若者が
俺の近くに配備される筈──
「ん?何か言った?」
「明日は夜間演習だ。彼女に振られぬ様、注意して措け」
すたたたたっと、AD(22) 君が駆け寄って来た。
「次の衣装なんですが…」
370:【トロ、もとい神と旅する】(2)
03/05/08 00:11 gKQD9Rw2
A:ゴシック調の紅白小○幸子風
B:マント+パンツ付きシルバーのピチピチタイツ
C:怪奇!蜥蜴土竜蝟怪人
「……!」
英雄の額に、厭な汗が滴った。
哀れなAD(22) 君はもはや顔面蒼白だ。
「ルーファウスぼっちゃま、たっての御希望だそうで…」
「スポンサー、か。大変だねえ、セヒロス(・∀・)」
「ザックスが着るそうだ。是非着せてやれ」
Σ(゚Д゚;嫌だぁぁぁ!止めろデートで彼女に捨てられたらどうする!!
と絶叫するザックスに
「キャラクター商品になる日が…実に楽しみだ」などと
嬉し気な英雄の言葉が応え、犠牲者を衣装部屋に押し込んだ。
次回はウエポン登場させるからな!と、小さなルーファウスは
画用紙一杯に怪獣を描く。ツォン主任は画用紙に触れ
「賜りました。ではデザイン室にその絵を送りましょう」と封筒を用意。
その日。スラムの巨大モニターに
ヤケッパチで矢鱈メッタラ、大立ち回りな大童に快刀乱麻疾風怒濤する
「怪奇!トカゲもぐらハリネズミ」姿の
ソルジャーブルーこと、ザックスが大写しとなった。
その姿にも関わらず、優し気な花売り娘さんが
ソルジャーブルーにうっとりしてくれたのが、唯一の救いである。
次回、「ウエポン~星の呼ぶ声~」にリミットブレイク!
提供は(株)神羅魔晄ソーセージでした。(※続きません(;´Д`))
371:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/08 06:07 5Wk+eWII
>>354
??
あのオヤジの台詞、私は「(ガウのような)息子を持った父親は幸せ」って
意味に取ってたんだけど。
マッシュの連れて来たガウを見て、オヤジは自分の息子だって気付いたんだけど、
自分には父親だって名乗る資格がないと思ってる、
だからせめて会えて嬉しいの「幸せ」という言葉で表現…みたいに解釈してたよ。
SSの途中なのにこんなツッコミ入れてゴメン。
372:371
03/05/08 06:14 5Wk+eWII
すまん、>>356だった。
オノレちゃんの蛸足に絡まれて逝(ry
373:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/08 20:02 wM2dKlMO
>>371-372
生キロ。てか横レススマソ。m(_ _)m
仰る通り物語も途中ですし、 解釈は人各々かなぁと。
371さん →ガウの父親の視点
ドリルさん →ガウの仲間の視点 っぽいですね、面白い。
374:【未亡人】(1)
03/05/08 20:03 wM2dKlMO
ピジョンブラッドの炎が、石榴状の瑕口を開け、天空に唸る。
星を壊滅させ得る隕石、メテオが宙吊りになっているのだ。
それでも。
平然と虫が鳴き、店が開き、勇者達はLv上げ中。
ザックスの思い出に逢いに、神羅屋敷へクラウドが訪れた。
「懐かしいな…」
「昔此処で、ウチのパパが凶斬り喰らったのよね」
「Σ(゚Д゚|||)え?何それ?!」
ティファの唇から、昔話が紡ぎ出される。
──小さな頃のクラウドは、可愛かったのよ。
『お医者さんごっこしよう!゚+.(・∀・)゚+.゚』
「Hだったけど」
「((((( ̄Д ̄;)))))←※クラウド」
クラウドは、幼稚園の秘密迄バラされそうな悪寒を覚えた!
「駄目じゃん。。。何か、村で浮いてたって聞いたよ!」
ユフィの問い掛けに、長い黒髪の先端が揺れ、溜息が溢れた。
「…そもそもはウチのパパが…」
村を訪れた少女。豪奢な金髪と、華奢な躯。涼し気な容顔が愛らしい。
その娘に、村の顔役の息子は一目惚れしたのだ。
375:【未亡人】(2)
03/05/08 20:04 wM2dKlMO
「若い頃、パパは、村のブロンド娘さんを口説いたらしいの」
艇長が、煙と共に口を挟んだ。
「んで、コスモキャニオンで勉強して、ロケット技術者になった
ストライフってぇ哥さんに、負けたんだろ?」
「そうなのか?!」
「夢の有る人って素敵ー!って事かな。アタシなら顔役にするけど」
今は失われた、緑濃きニブル山の風景。
その山道を、山チョコボで疾駆する若き技師。
「親父の事、知らなかったよ」
「あの頃は山にモンスターなんざ、居なかったからなぁ」
「…でも」
ティファは俯き、手の平で顔を覆った。
「でも死んじゃうの。ウチのママも、クラウドのパパも」
私は止めたのだが。と、ヴィンセントが前置きし、
「神羅の新薬実験のバイトをしていたからな…」と答える。
「え━━━━━ ?!」
愕然とするケット・シー。
「それで、独り身同士って事で、パパがクラウドのお母さんに
再チャレンジしたんだけど…」
葬列から、黒衣の未亡人が離れる。
伝統衣装である、黒い頭巾付の外套を脱ぎ捨てると
するりと伸びたロングスカートと、レースに覆われた顔が露になった。
鉄杖の燭台が、神羅屋敷の内部を照らす。
376:【未亡人】(3)
03/05/08 20:05 wM2dKlMO
「御用は何ですか?ロックハートさん」
未亡人の瞳は涙に潤い、ハンカチを外す事が出来ない。
体格の良い、男盛りのティファの父親が、小柄なクラウドの母に触れた。
父親は、未亡人の背後から肩に手を回し、厳かに告げる。
「ストライフさん。
貴女には、南に日当たりの良い果樹園が有る様だが?」
言わなきゃ良いのに。。。その一言で
クラウドママのリミットゲージが、一気に満タンになった。
ブラックフォーマル姿の未亡人が、ピンヒールから
石畳に火花を散らし、呪われた館を突進する。
「うるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
鉄の燭台が振り下ろされ、業火が空に文字を書く。
「 凶 」
衝撃波と共に、ティファパパは屋敷の外へ吹っ飛んだ。
轟音と共に、葬列の目前へパパが落下。
勇気ある雑貨屋のオカンが、クラウドママを宥める迄
髪を黒のリボン結びにした、幼いクラウドとティファ
及び、村人全員は((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル状態だった。
──以来、両家の仲は最悪だった、と云う。
「ウチのパパ、完ッ璧に口説き文句間違えたわね!」
「でも隠れて遊んでたけどな」
クラウドの台詞に、バレットが叫ぶ。
「…そりゃあ、何処の親父も警戒するぜ!」
377:road to homeーこころの故郷4
03/05/08 23:13 uakOzuNy
と、言うわけで飛空艇機関室。
甲板で交わされたセッツァーとロックの仏頂面会談の事実など知る由もなく、
エドガーは黙々とエンジンの基盤と向かい合って作業に没頭していた。
趣味と実益を兼ねたマシーナリー―技師としての腕は一級品で、飛空艇のメ
ンテナンスは彼とセッツァーが分担して引き受けていた。ブラックジャックと多
少構造の違いはあるものの、ファルコンの仕様にも慣れ、久々の点検作業も仕上
げの段階に入ろうとしていた。
「機械いじるのってそんなに楽しいか?」
以前、機関室で一人作業に没頭するエドガーにロックが尋ねた事があった。
楽しい―と言うのも確かにそうなのだが、エドガーがこういう作業に没頭する
時は、表に出さなくとも何かしらの理由があったりする。
まさに今日がその良い例だった。
弟マッシュとは約10年間離れて暮らしていたし、ケフカに蹂躙され退廃しきっ
た世界で「明るく生きろ」なんて言う方が無理なのかも知れない。だがそれでも
マッシュはいつも前向きで、笑顔を絶やす日はなかった。
だからこそエドガーは、今日のマッシュをまともに見る事ができずにいたのだ。
あれほど肩を落とした弟の姿は、これまで一度も見たことがない。父王がこの世
を去った時でさえ、あんな風に落ち込んだりはしなかったのに。
(……いや、そうじゃない)
心の中に次々とわき起こる思いを振り払うかのように、エドガーは大きく頭を
振った。
(そうじゃないんだ……)
マッシュが肩を落としている原因は言うまでもない。けれど、ああまでして彼
がガウと父親を引き合わせようとした理由は?
(…………)
そして、苦しいであろう胸の内を誰にも―兄である自分にさえ―打ち明け
る事なく、一人抱え込んでいる本当の理由は……。
(……“父親”……)
378:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/08 23:28 uakOzuNy
>>371
突っ込み、むしろ嬉しいのでありが㌧。掲示板(2ちゃん)に投稿する醍醐味です。
ご指摘通り356の解釈は漏れの主観がたっぷり含まれているんです。(w とくに
ガウの「幸せ」発言は仰るとおり。
ただ、ガウ父親のセリフを見ると、あのイベント非常に切ないと思うんです…。
----------
おやじ 「君みたいな立派な子をもった親は幸せじゃろうて。わしは今でも悪魔の子に
追われる夢を見るんじゃ。恐ろしや、恐ろしや」
マッシュ「言わせておけばこのじじい! ガウの気持ちも考えないで!ブン殴られたいか!?」
----------
細かい部分は違うかも知れませんが、恐らくこういうやり取りがあったと思います。
それを見て
「が、ガウ…・゚・(ノД`)・゚・」
と、泣いたり泣かなかったり。(w
ま、まさかこれも記憶違いだったらどうしよう………((((;゜д゜)))))
もう、遠慮なく突っ込んじゃって下さい。
379:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/08 23:38 uakOzuNy
>>373
さらに、漏れの文章力の無さを晒す結果になってしまった・゚・(ノД`)・゚・
あの356の文章中で
> んで、彼はガウを捨てた事を肯定しながら、
この“彼”は=ガウの父親。です。直前にマッシュの事を書いているので彼がマッシュに
かかるものと勘違いさせてしまう文章だと、書き込んでから気付きますた。(ダメじゃん)
でも、人それぞれの解釈があって面白いっていうのは考察系も同じくなので
やっぱりそこが魅力かと思います。(w
>>374-376
新薬実験のバイトかYO!!(そこで爆笑w)
それにしても7って謎が多いですよね。クラウド父の描写って本編中に無かったような
気がするんですが。(あったらスマソ)
って、母ちゃん強すぎ(w。やっぱりジェn(ry。
笑いと共に、読んでいると7キャラクター達に対する書き手の愛を感じます。(゚д゚)ウマー
380:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/09 20:54 YEq0BCnR
ここの職人タンは人柄がいいね。
レスに好感が持てる。
381:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/10 00:31 +6UYyDB6
少人数な中で突っ走ってるのかと安心していたんですが…スマソ、がんがります。
>>380
ネタを振ってくれたり突っ込んでくれたり、読み人もひっくるめてみんな(・∀・)イイ!と思う。
スレを作るのは住人だな~などと思う今日この頃。
そして、そうこうしているウチに誰かがリクエストに応えてくれると言う、同シリーズ異作品
同居型でさらに自給自足(?)なこのスレ(゚д゚)ウマー。と言ってみるテスト。
それと、自己ツッコミ風でスマソですが308は娘でも妹でもなく「孫」かも知れないと気付いた…。
>>307とガラフ…申し訳ない。
バッツの故郷の村の音楽、じーんと来ますね、なんか。
382:road to home-こころの故郷5
03/05/10 00:36 +6UYyDB6
―恐らくマッシュは……。
「エドガー殿」
「!?」
突然名を呼ばれ、僅かだが怯えたようにエドガーの身体が震えた。その拍子に
右手に握られていたペンチが滑り落ち、澄んだ金属音を響かせて床に転がった。
すると今度は、その音に驚き恐縮したような声が返ってくる。
「拙者、邪魔立てしたでござるか?」
「そんな事はないんだ。ちょっと手が滑って……」
声の主はカイエンだった。彼の方を振り返りその姿を確認すると、エドガーは
少し慌てた様子で落としたペンチを拾い上げながら取り繕うように告げた。
「でも、カイエンが機関室に顔を見せるなんて珍しいな。……それとも上で何か
あったのか?」
「いや、そうではござらん」
苦笑しながらカイエンは否定する。確かに機械は苦手だが、航行中によくここへ来て、
規則的に動き続ける機械類と対面する事は嫌いではなかった。
「皆もう今日は休んでいるでござる。エドガー殿もそろそろ休まれては如何かと
様子を見に参ったのでござるが」
「あ……ああ。これを設置し終わったらそうするつもりだったんだ。ありがとう。
私の事は気にせず、カイエンこそ休んだ方が良い。明日からもまた長いのだし」
383:road to home-こころの故郷6
03/05/10 00:37 +6UYyDB6
いつもの柔らかな笑顔を浮かべながら告げると、外してあったプレートカバー
を手にしたエドガーは再び基盤に向かって作業をはじめた。
カイエンはいつから機関室―エドガーの背後―にいたのか、どれだけの時
間黙って作業を見守り続けていたのか、既にカイエン自身すらも分からないほど
の時が流れていた。それでも尚、彼は機関室を出ようとはしなかった。
「……エドガー殿」
先ほどよりも幾分か声量を抑えて、カイエンが問いかける。
「なんだい?」
作業を続けながら、問いかけに応じるエドガーも、もう動揺する事はなかった。
「マッシュ殿は本当に良い兄上を持ったでござるな」
「カイエン?」
そんなことを急に言われたものだから、思わず手元の作業を中断して振り返る。
「エドガー殿はエドガー殿であって、他の何者でもござらん」
そう言った彼の表情は、清々しいまでの笑顔だった。
384:白 ◆SIRO/4.i8M
03/05/10 19:16 fHhrMwOs
>>377-379 >>381-383
あ、あ、あ、あ、あ、あ 。ド、ドリルさんゴメンなさいです!
おいら読解力が決壊してました。。。m(_ _|||)m
なのに温かい感想下さって、ホント有難うです。
クラウドの父ちゃんは、「小さい頃に死んだ」との台詞が有るだけ
だったような気がします。ヤター スキニ イジレル…!(・∀・)*ニヤリ
ガウもマッシュも、共通の苦悩を抱えているのでしょうか。(TДT)
整備するエドガーと、ゆったり兄弟を見守るカイエン…良いですね!
皆のパパが、カイエンみたいだったら、悩まなくて良いのに
などと思ってしまいますた。
ふとカイエン×ローザをリクエストしたくなりま(略)
>>380
380さんに、激しく好感を持ちつつ同意です。
ここは職人様方や、皆さんの雰囲気が良いので、読むのが楽しみでありまつ。
初心者のオイラも、書き込み易いです。
皆様が書き込んで下さってこそ、成り立つスレですね。
385:【人形の家。いえ、城】(1)
03/05/10 19:17 fHhrMwOs
風が、乾く。荒野に張り巡らされた根。それは
星に喰いつき、ドクヲ('A`)を…毒を吐く、世界樹の触手。
その腕が窪地の古城に、うねり迫りくる。
天空の大冒険家、メサ・イプセンが発見した遺跡の城。
湖面へ、鏡写しに映る山嶺の様に、上下逆に張り付いた二つの城。
城内に、幽かな声がした。
「どうせ俺は人形の様な物。ぐげ。。。」
「ノラ…!ゲフンゲフンいや、クラウド!」
どっかで見た様な勇者と魔王が、漫才をしてました。
「イプセン?(  ̄д ̄;)」
それはさておき。
古城に、エーコの神火が振り落とされる。
浄火により、火達磨となった地獄の狗、ケルベロス。
それでも飛びかかろうとする狗に、灼熱の黒魔法が火花を散らす。
獣の心臓から、炸裂する紅の炎。
「──やった!」
「よく焼けてるアルよ!」
燻った匂いと共に、炙られた巨躯は…パーティの胃に納まった。
「ビビ殿お手柄じゃ!
のう、帽子の下はどうなっておるのじゃ?」
「Σ(゚Д゚;≡;゚д゚) え?!」
思わず、魔導士くんはとんがり帽子を押さえる。
「ガ-ランドの技術を元に、クジャが作ったらしいですな!」
「ジタンみたいな、金髪かなぁ」
386:【人形の家。いえ、城】(2)
03/05/10 19:19 fHhrMwOs
(´-`).。oO(…星のカー○ィみたいだったりして)
などとジタンは思いつつも、
「取り敢えず、メサ・イプセンの書を捜そうぜ!」と、皆を促した。
大冒険家、救世主メサの書。
舞台の人気演目の一つ、「アグリアスタン(*´Д`)ハァハァ」に登場する幻の書。
演目には「でかい剣のツンツン頭」や「御山はしばれるべ」等がある。
噂では、失われた歓楽都市、ゴールデンパレスの記述が有ると云う。
「ゴールデンパレスの宝物、きっと手にしてみせるぜ!」
「頑張ろうね、ジタン」
手分けして探索中、ふと、階段下の気配にジタンが気付く。
「ん?ダガ-?」
ジタンがコトリと音を立てる。
その都度、ダガ-が怯えたり、驚くのだ。
「(´д`*) 可愛い……」
つい悪戯心で、階下に小石を落としてみる。
小石が床に落ちる。
と同時に、一つ目の妖獣、ア-リマンがダガーを襲撃した。
「…きゃぁ!」
「!」
ジタンは、吹き抜け付近の階段から、一気にホールに飛び下りる。
王女を庇い、同時にカウンターがスパークした。
ア-リマンの羽根が、腕を払う。痛みで腕が効かないと知るや
勇者は剣を尾で掴み、秘技を放つ。
387:【人形の家。いえ、城】(3)
03/05/10 19:20 fHhrMwOs
「待たせてゴメン!」
ダガ-王女がジタンの胸に飛び込む。そして
「……ドルフィンブロウ!」
ホエールゾンビが突如、波飛沫と共に勇者に突撃した。
「ぎゃぁぁぁぁあ!?」
しかし攻撃の手は休まず、コンデヤ・パタのわんこが、物凄い勢いで
「アンジェロストライク!」するのであった。
⊂⌒~⊃。Д。)⊃ 勇者は倒れますた。
勢いで崩壊した壁から、メサの書がコロン。(コレを御都合主義と言います。)
王女の切ない瞳が、何かを訴える。
「ジ、ジタンの馬鹿ッ!」
「…悪戯に気がついていたんだろう」
サラマンダ-が頭を掻く。
攻撃を喰らい、ジンジン痺れる頬をさすりつつ
「ふっ、照れ屋さんめ」
何だか嬉し気な勇者君だった。
「人形の家、か」
「ジェノムは…ジタンは人形じゃ無いよ…」
おずおずと俯きがちに呟くビビ。くしゃくしゃとジタンがビビを撫でる。
三角帽子の下の、幼く愛らしい素顔が微かに笑った。
ちなみに、ようやく発見されたメサの書は
「※狸
たきたたたったたとたどたっかたにたたあたるたさたた
たたたBYたメたたサた・たたたたイたプセたンたたた」
という、かなりアレな物であった事も、追記しておこう。
388:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/10 20:04 tdaWzn4C
>>387
ワロタ
389:road to home-こころの故郷7
03/05/10 23:21 PWQDbb3a
ちょうど同じ頃。
「ねえねえ、マッシュのお父さんってどんな人だったの?」
停泊中の飛空艇周辺の草原で、一人夜空を眺めていたマッシュに興味津々と
いった表情を向けていたのはリルムだった。
何の前触れもなく唐突にそんな質問をされた事、加えて昼間の一件を引きずっ
ていた事もあって、答える声に戸惑いの色は隠せなかった。
「ん? ……俺達の親父は先代フィガロ国王だったけど」
「それは色男に聞いたよ。そうじゃなくて『マッシュのお父さん』ってどんな人
だったの?」
リルムが求めている答えが何なのか、マッシュにはいまいち分からなかった。
自分はエドガーの双子の弟であり、自分たちの父親は先代フィガロ王である。こ
れは紛れもない事実なのだが、そう言っても彼女は納得してくれなかった。
どうしたら良い物かと考え込むマッシュを見ていたリルムが、思いついた様に
言葉を発した。
「んーっと、あ! マッシュには『お父さん』ってどんな人に見えたの?」
「え?」
そう言われて改めて父王の記憶を辿る―国王としての公務が忙しかったせい
か、はたまたマッシュがダンカンの元へ通っていたからか―父ではなく国王と
しての威厳漂う姿ばかりが思い出される。
「……そーいえば、時々コインで遊んでくれたりもしたな」
しばらく記憶の中を徘徊して、ようやく辿り着いた幼い頃の思い出。兄弟喧嘩
の仲裁役に現れた父王の優しい笑顔が脳裏に甦る。
「優しい人だった……でも、躾には厳しかったけどな」
決して多いとは言えない父との思い出を振り返りながら答えるマッシュの横顔に、
複雑な色を見て取りながら、リルムは話の続きをねだるのだった。
390:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/10 23:37 PWQDbb3a
>>385-387
ヤパーリビビの帽子の中身は仲間も気になってるもんだよな、漏れだけじゃないよな、うん。(納得)
それにしても9でSS書けるっていうのが凄いです、やっぱり視点を置く場所なのかな?
スタイナーの鎧の音が妙にうるさくて気に入った、って事だけは覚えてるんですが…。
それと、謝る事はないです。あの文面だとその受け取り方になっちゃいますし。(w
それよりもむしろ、ひとつ突っ込みたいところがあるんですが宜しいですか?
そのままだと、カイエンと西條秀樹が泣きます。(w
# だけどこれ、よく間違われる名前みたいです。>ローザ
またふと思った事を書き逃げ。
6はティナ・フィガロ兄弟・ガウ・リルム・カイエンと「父親」に関するイベントが多いのに、
7はエアリス(イファルナ、エルミナ)、ルクレツィア、セフィロス(ジェノバ)と、「母親」に
関する事柄をテーマにしている向きがあるんですね…。(純粋に6は女性が少ないだけ?)
…スマソ、関係ないしネタ振りにもならないかも。
391:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/11 19:05 KGWpF2as
というかFFって親に縁のないキャラが多いんだよね。
FF7はキャラの大半(クラ・エア・ティ・ユフィ・セフィロス等)が
片親いなかったし、
FF8に至ってはヒロインが片親で他全員孤児院出身だし。
392:road to home-こころの故郷8
03/05/12 01:03 /LyJWeOb
「拙者は先王の頃よりドマに仕えておりました故……」
ケフカの卑劣な攻撃によって滅んだドマ王国最後の王。元々カイエンは彼の父
に仕える侍であった。
「陛下が王に即位される以前から存じ上げていたのでござる」
文明も文化も違うフィガロとドマをそのまま比べることは出来ない、と前置き
した上でカイエンは話を続ける。
「先王もドマの政を統べるお立場でしたから、陛下と水入らずで過ごされる時間
をもつ事がかなわず……口には出しておりませんでしたが、察するところ陛下も
淋しい思いをなさっていた様でござる」
エドガーは手元の作業を止めて、カイエンの方をじっと見つめたままで話に耳
を傾けていた。
「拙者が妻をもらい子をもうけて以来、陛下は事有る毎に拙者の家族を気遣って
くれたでござる―『妻や子にとっての、こころの故郷になる事がつとめだ』と」
ドマ城が陥落したあの日、主君の元へ駆けつけたカイエンの呼び掛けに、毒に
冒され呼吸すらままならない状態に置かれても尚、王は彼の家族の所へ急ぐよう
にと告げたのだった。
「恐らく陛下ご自身の体験から、拙者の家族の事を気遣って下さったのだろうと
思うのでござる……しかし」
あの日の悪夢が頭の中をかすめる。忘れる事はできないが、もう囚われることはなかった。
「たとえ血の繋がりがなくとも、こころの故郷である事は可能でござるよ」
エドガーへ真っ直ぐに向けられた瞳に宿る優しさと決意が、何より雄弁に物語
っている。信じた者、愛する者を守るために戦って来た男が持つ“強さ”を確か
に感じた。力や権力ではない、けれど揺るぎない“強さ”を。
「…………」
そんなカイエンの姿に、どこか懐かしい思いが重なる。魅入られたように呆然
としていたエドガーだったが、やがてそれが何であるかに気付き、苦笑にも似た
笑みを漏らす。
「……二人のドマ国王はきっと幸せだったでしょうね、こんなに頼もしい人が傍
にいてくれたのだから」
それは心の支えであり、未だに超えることの出来ない目標であった父王の姿そのものだったから。
393:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/12 01:21 /LyJWeOb
エドリルって漏れのツボなんだけど、エドガー=ロニ=フィガロの事を
エロガー=ロリ=フィガロ
って言われているのを見てうかつにもワラタ。…一体どういうキャラなんだ。。(w
>>391
リノアって片親でしたっけ?(そう言えば母親の描写あったっけか…?)
7は本当に片親が多いですね。レッド13は勇者セト(父)が語られるも、母親って
出てこなかったし。セトイベント泣けたけど、考えると死地に赴く夫を見送ったセト
の妻も悲痛だっただろうに…。
それを考えると、10主人公は真っ当な家庭に育ってるんだなーとオモタ。。。
6シャドウ(一応父親)。7宝条。8学園長。9ガーランド。10のブラスカ・ジェクト
……父親のセリフって、心に残る物が多いなぁ。
394:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/12 01:36 zKF9FzAW
>393
リノアの母親はラグナの元カノのジュリアで、
たしかリノアが5歳くらいの時に交通事故で死んでる。
395:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/12 01:58 /LyJWeOb
度々長レススマソ。
>>394
ソレダ!!
宇宙船ラグナロク(?)船内で流れるEyes On Meに鳥肌立ちつつ、
その後、この板の8スレで歌詞の意味を知った後にDisc1~2の
ラグナ編(バーで足つる~村でジュリアのその後を知る)をやって
不覚にも泣きそうになった。(いや、もう何度も泣いてるから不覚どころじゃない。w)
歌詞と併せて聴くと非常に切なくなって、さらに墓石の前のEDを見ると……
・゚・(ノД`)・゚・
(レス継続不可)
…今度の休みに残っているデータ掘り起こして来ます。思い出させてくれてありが㌧。
396:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/12 01:59 Bwl52Vw2
スコールとリノアが兄弟でなくてよかったな。
397:姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/12 21:16 iosyY5+t
白さん
>>369
> 「ひまわり組の皆さんが、待っているぞ」
英雄がッ!幼稚園に行くんですか?(((((゚д゚;)))))ガクガクブルブル
ああ、他にも笑い所が多すぎるこの話……(T∀T;)
>>376
> 貴女には、南に日当たりの良い果樹園が有る様だが?」
これって要約すると「ねーちゃん(・∀・)イイ!乳してるね」って事でいいんでしょうか。
最近読解力に自信がなくなってきました。
人形の家の冒頭部も烈しく笑いマスタ。
しかし白さん顔文字使うのうまいですね。
惜しむらくはこの面白さの一部が2ちゃんねる限定という事です。
かの名スレ「2ちゃん風いい回しでFF・DQ」のエッセンスがここに……。
ドリルさん
忠義の人情話キタ━━ヽ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )メ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )メ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )ノ━━!!!!
私、家族愛の話って書くの苦手なのでエドガー&マッシュのお父さん絡みの
エピソード烈しくきぼんです。
でも確かカイエンの妻子って亡くなってませんでした?
だとしたら>>392、切ないなあ……。
398:姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/12 21:22 iosyY5+t
後、先日私の書いた部分に対してファッション関係の
記述があるというレスいただきましたが、私も実は
とても苦手です。
見た物を書く事は出来ても想像では無理なので
通販サイトやヤクオフでイメージに近い写真を探して参考にします。
なので今回はシグネはこちら↓のストールなし。
URLリンク(www.rakuten.co.jp)
アリスのドレスはこちらを参考にしてます。
URLリンク(www.rakuten.co.jp)
399:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/12 21:28 iosyY5+t
「シグネってエマ先輩の事知ってるよね?」
買い物に行った週明けから、私は時間があると実習室に篭っていた。
お母さんが作ってくれたお菓子のうち日持ちする物はここに持って来て皆に食べてもらった。
セーラは私に尋ねながら、残りわずかになったクッキーを火薬用に常備してあるはずのシリカゲルの
特大缶から取り出してかじっている。
「知ってるけれど……どうしたの?」
「私、同じクラスなんだけどSeeD試験の事前選考から落ちちゃったみたい」
セーラはSeeD候補生の剣技・特殊武器使用者クラスに所属しているのだ。
「エマさんが?」
「うん。それとあたしも」
セーラはクッキーを食べ終わると指を拭きながら口をちょっと尖らせた。
「あたしはまあ、仕方ないかなとは思うんだよね。最近SeeD資格よりこっちの方に必死になってるから。
エマ先輩は気の毒だったよ。体力測定の基準が今回はいつもより厳しかったみたい」
「基準て、そんなに変わる物なの?」
私の質問にセーラはバンダナをむしりとって頭を掻きながら答えた。
「最低ラインは変わらないんだけど、その時SeeDが不足している分野を埋める感じではあるかな。
今回は作戦能力とか知識よりバトルでの戦闘力重視みたい」
SeeDは様々な能力を必要とするが、個性を重視するガーデンは全てを一定基準の成績でクリアしていれば
苦手分野があってもそれを補って余りある特技があればSeeDとして認める事もあるらしい。
「前回の基準だったら体力測定値はなんとかクリアできたはずだからショックも大きいみたいだった。
オリー先輩がすごく一生懸命慰めてたよ。それでシグがどうとかって、あんたの名前も出てたよ」
だから聞いてみたのだ、という風な様子のセーラにそれ以上質問しても仕方ないような気がしたので私は手を止めたついでに
お茶を淹れようとした。
するとちょうどジョージがやってきた。
「お。今日は早いな」
ジョージが私を見て言う。私は必須の授業が他の人より多い関係でここに顔を出す時間が比較的遅めなのだ。
「コーヒー飲む?」
先輩が先に声をかけてくれたので私はお願いする事にしてクッキーを出すために缶を開けた。
400:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/12 21:29 iosyY5+t
「あ、ごめん。クッキーさっき私が食べたのが最後」
セーラの言葉にジョージが即座に反応した。
「ふざけるなよ。俺、今日楽しみにして来たんだぜ?」
ジョージはお母さんがバリバリのキャリアウーマンで、すごく忙しかったためホームメイドのお菓子に
人一倍執着があるのだそうだ。もっともセーラに言わせると「食べ物になら何でもじゃないの?」らしいけれど。
それでもお母さんのクッキーは確かに美味しいし、褒められると私だってうれしい。
お母さんは高級な服やアクセサリーにはさほど興味を示さないけれど新型オーブンとか希少種の小麦粉なんかには
舌なめずりしそうな表情になるので我が家では製菓材料メーカーの最新カタログは危険物と見なされている。
「二人とも、ちょっと待っててくれる?」
私は思いついて寮の部屋に戻った。
フリーザーからワックスペーパーに包んだ生地を出し、スライスして簡易オーブンで10分ほど焼く。
教室に戻ると、まだ険悪な空気が漂っていた。
「これ、お母さんが作ったんじゃないけれど」
ジョージにお皿に載せたクッキーを差し出す。
「え?焼き立て?」
ジョージがびっくりしたようにまだ熱いクッキーを口にする。
「おいしいな、これ」
言うが早いかジョージは立て続けにクッキーを頬張る。
「ずるい。あたしも」
「お前、もう食ったんだろ」
二人が揉めながら食べたのであっという間にお皿は空になった。
「これ、シグネが作ったの?」
セーラが最後の一枚を眺めて言った。
「うん。バター多めの生地を凍らせといて食べるときに切って焼くの。簡単だよ」
このクッキーは見た目は搾り出しクッキーほど綺麗じゃないけど味は負けてない。
「お母さんはもっと凝ったの作るから、私は簡単な奴教えてもらったの」
大した道具がいらないから寮の部屋でも作れて便利だった。
セーラは首を数度振ってからクッキーを食べた。
「シグ、あんた『ウルカヌス』のオペレーターじゃなきゃ、市内のお嬢様学校の方が似合うと思うわ」
良妻賢母の養成を第一義にしているその学校はお母さんの母校だ。
401:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/12 21:29 iosyY5+t
「うーん、でも私はクッキーより爆弾の方に興味あるから」
私の言葉にジョージが吹き出した。
「違いない。でなきゃ、このクラスに入れる道理がないな」
ジョージが思い出したように私にコーヒーを淹れてくれた。
「そうそう。今作ってる銃のテストモデル、今月中には出来るだろ?そしたら今度はオリジナルの武器設計が
課題になるからシグネも準備しておいた方がいいぞ」
「一人が一つ作るって事?」
私の質問にジョージは首をふる。
「いや。一応全員が設計プランを上げてクラス内コンペにかけて上位作を数点試作する格好だ」
「じゃあ、あたしはシグと同じ班希望だな。ジョージとじゃ期限内は無理っぽそうだもん」
「うるせえな。俺だってお前と一緒なんてやだよ」
憎まれ口を叩きあいながらもこの二人は仲がいい。
「それって、完全オリジナルじゃないとダメなの?」
私は思うところあって尋ねてみた。
「盗作みたいな事しなきゃ、他人の作品のアレンジでもいいけど?」
ジョージがおや、という顔になる。
「もしかして、なんかいいのがある?」
セーラはセーラで興味津々だ。
「うん。使えるかどうかわからないけれど」
「「何?」」
二人が同時に私に聞いた。本当に、息が合ってると思う。
「今は秘密」
私は唇にそっと指をあてた。
「シグ。いるか?」
突然、教室の前のドアが開いた。
「お兄ちゃん?」
私は驚いて立ち上がった。
私がこの学校に来てまだ日が浅いけれど、お兄ちゃんが私に会いに来た事なんてなかった。
402:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/12 21:30 iosyY5+t
「ごめん、ちょっといいか?」
私はパソコンの画面をロックして隠すと廊下に出た。
「作業中なのに悪いな」
ばつの悪そうなお兄ちゃんを見て私はぴんと来た。
「もしかしてエマさんの事?」
お兄ちゃんはえ?という顔で私を見る。どうやら図星だ。
「ああ、そういえばセーラはエマと同じクラスだったな」
私は頷く。
「じゃあ、話が早い。悪いけどちょっと手伝ってくれ」
「何すればいいの?」
お兄ちゃんは首に手をあてて何か考えるようにして言った。
「エマが落ち込んでるんだ。それでつい、SeeD就任パーティーの事でお前が相談に乗って欲しそうだったから頼むって
でまかせを言っちゃったんだよ。悪いけど話合わせてくれないか」
「いいけど。相談って何の事?」
「うーん、俺も適当に言っちゃったんだけど、化粧だとかそういう事で。あいつそういうの好きだから」
私はその点についてはすごく納得できたのでうなずいた。
「わかった。何にも考えてなかったんだけどエマさんにいろいろ教えてもらえばいいんだよね?」
「そういう事」
「んーと、じゃあアリスも誘っていいかな?私よりアリスの方がそういうの好きだし」
「あの子か?そりゃいいや。人数多い方があいつ喜ぶわ。頼むな」
「ところでお兄ちゃんは通ったの?選考」
私の質問に、お兄ちゃんはめちゃくちゃ渋い顔をした。
「ああ」
お兄ちゃんにとってはどうでもいいと思っている自分が通ったのもそれなりに負担なのだと思う。
「これから来週のテストまで勉強漬だな」
「じゃあ、エマさんの事はまかせて。どれくらい役に立てるかわかんないけど」
お兄ちゃんは力なく手を振って戻って行った。
私は教室に戻ってキリのいい所まで入力を済ませると寮に戻った。
403:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/12 23:41 Niny3AJr
オリキャラかよ・・・
404:白@飛空艇掃除中 ◆SIRO/4.i8M
03/05/13 00:21 6IvvMbui
>>388
有難うございます。笑って頂けて幸せでつ。
>>ドリルさん
分りますた。お詫びに「秀樹カンゲキー!」と叫びつつ
ブラックジャック号掃除して来ます。
人来ないし、あのスレdat落ちするのかな…(´・ω・`)ショボーン
ドリルさんの書かれる登場人物は、
落ち着きがあって大人で格好いいです!王様ハァハァ
>>391
そうですね。良く云われているのが、坂口さんがどうとかこうとか(以下略)
親世代リメイク見たい方、7でも8でも10でも多そうです。
リーブとヴィンセントとルクタン活躍するFF7-0.5キボンヌ!
>>姐さん
ドレス素敵ですー!シックだl \ァl \ァ
「ねーちゃん(・∀・)イイ!乳してるね」わ、笑いが止まりません先生。
と云いますか、「資産運用は俺に任せて、実印よこせや奥さん!」みたいな
一行入れるつもりで忘れてました…。
顔文字無しのちゃんとしたSS、いつかやってみたいであります。
勉強キツそうだったり、クッキーを焼きつつ武器の話をしたり、
士官候補生で女の子らしくて、とても(・∀・)イイ!!です。
>>403
そのあたりは最初にきちんと、姐さんが説明なさってまつよー。
オリキャラは人物の説明が必要な分だけ、凄い気がしますです。
モレ カケネー。・゚・(ノД`)・゚・。
405:【大火流る】(1)
03/05/13 00:22 6IvvMbui
疾駆する銃身。引き金を引く、紅の狙撃手。
それは、一撃で禽獣を消し去る、最強の拳銃。
鍛え込まれた銃砲が、華奢な狙撃手の手に馴染む。
ヴィンセントの、贖罪と魂を取り込んで。
「ム-バーキタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!」
「長居し過ぎて、アレが金と経験値に見えてきましたわ…(;´Д`)」
「あああああ!ヴィンセント!リボンに変化させんだから
マスタートンベリ、一撃で倒さないでよぅ。・゚・(ノД`)・゚・。」
「ああ…すまない」
最後の戦いに向け、武器を、魔晄の結晶を鍛えるメンバー達。
そこは大空洞の、異境。
湧き水が仄かな光をたたえ、緩やかに流れる。
曲線を描く象牙色の鍾乳石。
無垢な水滴が、濾過され、星の命と溶け合う所。
おぞましき最終決戦の地にあって、その場所は、何故か優しい。
「ぷっはー!やーっぱLv上げ後のビールは旨いねぇ!」
「おう!Σ(゚Д゚|||)…っておいおい!ユフィ、お前さんにゃまだ早ぇぞ!」
「へへっ。嘘だよん。ジンジャーエールさ!」
コスモキャニオンのパブ、スカーレット。
上質なカクテルと、賑やかな声。
「──どうだ?マスターマテリアは、完成したのか?」
「ああ、出来た。全員分には程遠いが、そろそろアイツに逢いに行こう。
大空洞で、独り待ってる、セフィロスに」
「……最後の戦いか」
「男二人でなに話してんの?」
不意に割り込んで来たユフィに、クラウドが振り向く。
「驚いたな…俺はそろそろ休むよ。又明日宜しく」
406:【大火流る】(2)
03/05/13 00:23 6IvvMbui
扉の向うに。グレートウォールもかくやと思わせる、濃厚な天満星。
ふと、バレットが口を開いた。
「昔ココで、アバランチが産声を上げた。
アバランチ創始者も、この星を見たんだろうか?」
「私は、きっと見たと思う。……星を守ろうとするこの地だからこそ
組織が産まれ、有志が集まったのだろう」
熱い風が、パブの外で唸った。
「こんな夜は。無い筈の腕が痛む」
「…幻肢痛か」
「バレット、かわいそ…(´・ω・`)」
しょんぼりとしたユフィの背中を、バレットが軽く叩く。
ファントムペイン。失われた、幻の肉体の感覚。
「だがよ、悪い事ばっかじゃねぇ。この感覚が有るからこそ、
銃が自分の手みてぇに思える。此処に手が有る、そう感じるんだ」
──私のこの體は。
何処迄が人で、何処からが人ならぬ身なのか…。
「ヴィンセント?」
ユフィに覗き込まれ、ヴィンセントが素に戻った。
「…バレットの様に思うのが、きっと良い。
私は今も──再手術の夢を見る。麻酔は、無かった」
「酷え…!」
バレットの顔色が、激昂によって濃くなる。
「あのね。ウータイは戦場だったから、大怪我した仲間は一杯いるんだ。
一番酷いのは…それは、いいや。又今度!
痛かったら摩るよ、バレット。そんなんじゃ駄目かもしれないけど」
月の無い夜に。パブのざわめきが風に乗る。
407:【大火流る】(3)
03/05/13 00:25 6IvvMbui
ユフィの頬は紅潮している。
瑞々しい肢体が、よろよろと倒れ込む。
「えへへ~!ねぇねぇヴィンセント、おんぶ!」
「飲んでいたのは、ジンジャエールでは無かったようだな…」
背負わぬ迄も肩を貸し、パブの目前にある宿に運ぶ。
最早バレットは高鼾だ。
「やー!熱いの!外ぉ!」
ひゆるりら~と云う風を背負い、ついでに大虎と化したユフィも背負って
二人はパブの外へ出た。
荒野の岩に冷やされた風。無数の風車が旋回し
コスモキャニオンの家々から、灯が零れている。
透明な小瓶を、ユフィに渡す。澄んだ水が、軽い音を立てた。
「…飲みなさい。早く酔いが醒めるだろう」
大きな黒い瞳が、背の高いヴィンセントを見上げる。
「あのね。ウータイにこんな噂があるんだ。
世界に出現する人形モンスターは、元ウータイ人捕虜だって」
「──!…それは」
「ゴメン。ヴィンセントにも、真相はわかんないよね。でもさ、
アタシの家族は、死んだ後、神羅本社に居たんだ。
何千枚もの切片になって…」
ユフィの声が詰まった。
ヴィンセントが、ユフィの肩を抱く。
「ゴメン、こんな…ゴメンね。でも、でもあれ、
アタシのお母さんなのに…!」
ユフィの小さな肩が、ヴィンセントの腕の中で嗚咽する。
「……戦いが終わったら。フェニックスを持って行こう。
甦る事を祈って」
408:【大火流る】(4)
03/05/13 00:27 6IvvMbui
突如、頬に軽い口付けの音がした。
「え?」
「…ありがと、ヴィンセント!
元気出たよ!
これでクラウドに続いてチュ-二人目!」
オロオロするヴィンセント(57)を置いて、
忍者娘は、足取りも軽やかに宿に向かう。
くるりと振り返り、破顔一笑。
「──ルクレッツイアさんと、幸せになれよ!」
「………………ハイ」
完敗です。
何に勝ったり負けたりしたのか、さっぱり分りませんが。
勝った筈の、忍者娘ちゃんが叫びますた。
「マスター!初恋に破れたアタシにお茶気で一杯!」
「ハイハイお茶ですね。って飲み過ぎですよ、お客さん」
蠍座の心臓、アンタレス。
軍神アレスに対抗する緋色の星。
荒野の空の元に、漆黒の髪の狙撃手が独り、残される。
「この様なあさましき身であっても
願わずには居られない…皆が、生きて帰る事を」
彼の流麗な紅い眼が、暗黒の星海を見据え、発砲する。
その標的として天に燃ゆるは──
蠍の心臓であり、龍の心臓でもある、心宿。 END
409:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/13 01:54 GRXzHV52
>405
面白い(・∀・)イイ!!
新鮮ですねー描写もキャラのカップリング?も。
さり気ない会話になごまされました。
ありがとです。続きでも他のでも、また期待しています。
410:road to home-こころの故郷9
03/05/13 01:57 bMCtR4pt
「あ、い、いや……その……」
ここまで言っておきながら、カイエンは目の前にいる青年が一国の王である事
を思い出し、慌てて弁解の句を繋ごうとする。
「う、上手く言えないでござるが……その」
必死に言葉を探しているカイエンの姿は微笑ましいとも感じながら、同時に彼
の誠実さの裏返しなのだろう、などと考えを巡らせつつエドガーは次の言葉を待
った。
「……マッシュ殿は決して……」
「ツライわけじゃないよ」
マッシュに向けられたリルムの笑顔は、どこまでも純粋な少女のそれだった。
「頼りないけどジジイもいるし、みんなといたら楽しいし」
日々死と隣り合わせの戦場に身を置く少女が屈託のない笑顔で言うのである、
それに反論できるはずがない。
「ただ……ちょっと興味があるじゃん? お父さんが生きているなら、ね?」
「……そうだな」
父を知らないリルム。父を亡くしたマッシュ。そして、父との再会を果たした
ガウ―それぞれが全く別の思いを抱えながら、それでも今は共に歩む仲間であ
ると、掛け替えのない存在なのだと。
言いたいはずなのに。
「だーいたい! そんなでっかい図体してるクセに、くよくよ落ち込んでるなん
て似合わないよ!!」
言いながら、マッシュの背中を思い切り叩いていた。
「ははは。……そうだな!」
自分が落ち込んだところで何も始まらない。ガウを励ます立場の筈が、逆に励
まされているなんて―何よりリルムの気遣いを感じ取って、少し照れくさい気がして。
「ありがとうな、リルム」
簡単な礼を告げ、マッシュは立ち上がるとリルムの頭に手をのせながら。
「小っちゃいのに大した嬢ちゃんだ」
戦いに身を置く少女への、彼なりの敬意を言葉にしたのだった。
411:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/13 02:17 bMCtR4pt
8やろうとしたら手元に無かった事に気付いて(´・ω・`)。
>>399-402
シグネ視点の日常描写も良いですね。情景描写が丁寧語口調なのが面白いです。
本編中では描かれていなかったSeeD試験受ける生徒の裏側…悲喜交々な風景が
なんだか(・∀・)イイ!味出してます。
やっぱり資料が手元にないと書けませんよね……漏れはファッションの描写、資料漁り
すらしないんで、頭が下がります。(そこに労力を費やせよ、と。w)
この話(こころの故郷)で、フィガロ兄弟の父王への思いを描こうと思ったのですが、
書いているうちに思わずカイエンの方へ傾いて、カイエンローラを書いたら
……果てしなく暗い話になっちまった……特に出だしが(汗。
他にもセリス編とかあって、あっちのスレに投下しようと思ったんですが、2ちゃんじゃ
需要なさそうな話なので>家族愛<このスレでヒソーリ・コソーリ・マターリと…。(弱気)
>>405-408
ユフィに対する見方を改めさせられる作品(゚д゚)ウマー!! マジで感激しますた。
KHFMのコロシアムで、数年越しの恨みをソラに晴らしてもらうべく(…板違いにつき略)。
スレの最初の方で出ていたヴィンユフィというヤツですね! 今もの凄い感激してます。
星空の描写、幻想的な中にも色んな角度から見る描写があって良いです。心宿なんて
まさかグレートウォールと一緒に来るとは……! 宇宙の広さと文章の深さ、見事です。
関係ない話かも知れませんが、その昔ルパン三世を見ている時にふと。
「ルパン三世に出てくる次元大介と、冴羽りょう(シティーハンターの。両者とも漢字失念)の
銃の腕はどっちが上なんだろう?」
という疑問を抱いたのですが、7やってても
「バレットとヴィンセントってどっちの方が腕良いんだろう?」
とか思ったり思わなかったり……と、言うわけでこのネタでキボンヌ!!
412:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/13 07:08 sVViiTeW
FF6ってロックとセッツァー以外は全員何らかの形で「家族」関連のイベントがあるんだよなあ。
(擬似家族、血の繋がりのない家族も含めて)
ドリルさんの次回はセリス編と信じて(迷惑?)、楽しみに待ってまつ。
ものすごくどうでも良い話だけど、セリスに関して一言だけ。
シド「セリスは、ワシにとって『娘』のような存在で…」
セリス「『おじいちゃん』って呼ばせて(ハァト)」
シド、哀れ。
413:姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/13 20:51 73zy+ur6
>>403
その件についてはごめんなさいとしか。
一応セリフのあるキャラですが所詮ポリゴンですからね。
専用ブラウザお使いならNG登録していただければ。
ああ、140さんだったらどうしよう…。
>>404
うわ、そのまま素直に読めばよかったんだ……(-_-;)
ピンク鯖に毒されてる……。
てっきり実り良い果樹園→熟れ熟れ未亡人という暗喩かと。
なもんでクラママが切れたのは「葬式の日にヤラセロとはどういう事だ(゚Д゚)ゴルァ!!」
っていう事なんだと思ってました。
そしてユフィカワ(・∀・)イイ!
>>411
セリス編もぜひ!
無骨なカイエンが一生懸命話そうとしている所がいいですね。
マッシュがリルムに優しいのはやっぱりエドガーと双子だからなんでしょうか?
414:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/13 21:27 73zy+ur6
部屋に戻るとアリスの部屋に内線をかけてみた。
「はい。シグ?」
運良くアリスは部屋にいた。
事情を簡単に説明して部屋に来てもらうように頼むとアリスはすぐに来てくれた。
「先輩、落ちちゃったんだ」アリスも心配そうな顔になる。
「気晴らしの手伝いをして欲しいって事だと思うんだ。手伝ってくれる?」
「もちろん」
アリスが快諾してくれたので私は先輩の部屋の番号をプッシュした。
「はい」
先輩は部屋にいた。気のせいか、少し声が暗い。
「エマ先輩ですか?私、シグネです。お兄ちゃんがお願いしてくれた事で」
「ああ、パーティーの事ね」
とたんに声が気安い物になる。
「それでもしお願いできるなら、アリスも一緒に」
「もちろんよ。良かったら今から私の部屋に来てくれる?」
私はアリスも連れて行く事を告げて電話を切った。
「私、先輩の部屋とか行くの初めて」
アリスがちょっと緊張したように言う。
図書委員の子の所に行く事は結構あっても皆同級生らしい。
私もちょっと緊張して先輩の部屋のドアをノックした。
「どうぞ」
部屋に通してもらうと共有スペースのテーブルに鏡が出ていた。
「座って」
先輩は優雅な手つきでお茶を淹れてくれる所だった。
「同室の子、今日は野外訓練で深夜帰りか外泊だから気楽にしててね」
先輩はにっこり笑ってお茶を私達の前に置いてくれた。
「オリーの思いつきでしょ?」
先輩の突然の言葉に私はどきんとした。
どうしよう、という顔の私とアリスを見て先輩はくすくす笑う。
415:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/13 21:28 73zy+ur6
「いいの。それでもこうやって協力してくれるんだもん。ありがたいわ」
「すみません」
私は思わず頭を下げた。
「でも、あの、私も声をかけてもらって嬉しかったんです。先輩、お化粧上手だし……」
アリスが一生懸命に先輩に言った。
「あら、そんな反応しないで。好きな事だし、ちゃんと教えるわよ?覚えておいて損はないと思うから」
先輩は大きなお化粧ケースを机の上に載せた。
「さて、今日は基礎化粧について教えるわね」
先輩が楽しそうにケースから綺麗な壜を幾つか取り出した。
私はほっとして先輩の説明を聞いた。
「シグネ?どうしたの?」
食堂で声をかけられ振り向いた。
サラがミゲルとクリスの三人でテーブルを囲んでいた。
私は声をかけられた意味がわかるのでちょっと気恥ずかしく思いながらサラ達のいるテーブルに行った。
「お?なんか違う」
ミゲルがサラの言葉の意味に気付いたらしくまじまじと私を見た。
「お化粧してる?」
サラは女性らしく目敏かった。
私はちょっと戸惑いながら頷いた。
「……なんか、いいな」
クリスがいつもの調子で言う。
「うん、かわいいよね。口紅の色とかすごくぴったり」
「そう、ですか?」
私はどうにも恥ずかしくて思わず持っていたトレーで顔を半分隠してしまった。
「照れる事ないのに」
ちょっと離れた所に視線をやるとアリスも私と似たような事になっている。
図書委員の先輩見つかったみたいだった。
「でも、珍しいね。放課後どこか行ってたの?」
サラの言葉に私は首を振る。
416:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/13 21:29 73zy+ur6
「ああ、エマちゃんか。あの子そういうの上手だよね。美人だし」
クリスがうっとりと言う。
「お前、シグの前で兄貴の彼女に色目使うような事言うなよ」
ミゲルが呆れたようにクリスに言う。
「ご飯終わったの?座れば?」
サラに勧められたので私は席に着いた。
「そのトレー、いつまでそうしてるの?」
サラはおかしそうに言うけれど私は恥ずかしくて仕方なかった。
エマさんは基礎化粧と淡い口紅だけにも関わらず照れくさくて仕方のない私達を見て厳命を下した。
「今日はこのままで夕ご飯食べていらっしゃい。21時になったらクレンジングしてあげる」
化粧品を持っていない私達は当然の事ながらメイク落としを持っていない。
「化粧くらいでそんなに照れてどうするの?要は慣れよ、慣れ」
そんな力強い言葉で食堂に送り出された私とアリスは目立たないように別々にご飯を食べて急いで帰るつもりだった。
ガーデンではお化粧については特に規則がないから極端な厚化粧でもなければ問題ない。
現にサラも基本的にはいつも薄くお化粧をしている。
私にしてみればお兄ちゃんからの依頼がなければ特に興味を持つ事のない世界だったのだから
少々気恥ずかしいと思うのは仕方ないと思ってもらいたい。
それでも知っている人達のとの会話で気分がほぐれてきた。その時だった。
「おーい、ニーダ!」
突然、私の向かいに座っていたミゲルが私の背後に向かって手を振った。
私は思わず肩がビクッとなってしまった。
「どうかしたかい、ミゲル」
私の少し後ろからニーダさんの声がする。
「お前、SeeD試験の事前選考通ったらしいな。おめでとう」
「ありがとう」
優しい感じの声でニーダさんが応える。
「おかげでこれから部屋に帰ってオリーと試験勉強だよ」
ニーダさんの口からお兄ちゃんの名前が出たので私はドキドキして来た。
「オリー、エマにきつく言われてたからな」
ミゲル先輩がくっくと笑う。
417:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/13 21:30 73zy+ur6
「うん。俺もエマに頼まれたんだ。一緒に勉強しろって」
「『厳命された』の間違いじゃないの?ねえ、シグ」
ニーダさんが自分の事を「俺」と言ったので私はちょっと驚いた。そんな時、突然サラに話を振られて私は動揺した。
「ああ、誰かと思ったら妹さんだったんだ」
ニーダさんが笑いながら私の顔を見ようとした。
信じられない事に私は、とっさにトレーで顔を隠してしまった。
皆が爆笑する。
「え?」
ニーダさんが戸惑った声を上げる。
「だめだよ、ニーダ。シグはシャイだから」
ミゲルがげらげら笑いながら言う。
「そうそう。知らない男には顔は見せない」
クリスが茶化すように言う。
そんな事はない、と言いたかったけれどトレーで顔を隠した事が余計恥ずかしくて私は真っ赤になった顔を隠したまま
うつむくだけで何も言えなかった。
「あんた達、からかうのはそれくらいにしときなさいよ。あのねニーダ、この子今日初めてお化粧したのはいいんだけど
慣れてなくて恥ずかしいのよ。そっとしておいてあげて」
サラが簡単に事情を説明してくれた。
「なんだ。そうか」
ニーダさんが安心したように言う。私は申し訳なくて泣けそうだった。
「でもエマがお化粧指南買って出たからにはどうせ今年のパーティーでもお化粧されちゃうわよ。
だからニーダ、あんた今回の試験に受かってパーティーに出れば見れるわよ」
サラがしれっとして恐ろしい事を言う。
「そんな、わざわざお見せするようなもんじゃないですよぅっ!!」
私はようやくの事で抗議の声を上げた。
ニーダさんが笑いをかみ殺したように軽口を叩く。
「いや、見せてもらうのを楽しみに試験頑張るよ」
私はその一言でなんだか頭の中が真っ白になった。
「いつまでもトレー顔にあてさせるのも悪いから、失礼するよ。じゃあ」
背後から足音が遠ざかって行った。
418:スニフの恋人/姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/13 21:47 73zy+ur6
「もう、行っちゃったわよ、シグ」
サラが優しい手つきで私の顔の前のトレーを取った。
「本当、恥ずかしがり屋さんねえ」
サラが優しく笑って私を見た。その目がなんとなく意味あり気で私はこそばゆい感じがした。
その後ようやくエマさんにお化粧を落としてもらって部屋に帰った時、私はもうくたくただった。
正直行って必修の基礎戦闘訓練より疲れた。
シャワーを浴びて早めにベッドに入って日記を広げたものの、何を書けばいいかわからなかった。
『見せてもらうのを楽しみに試験頑張るよ』
ニーダさんの言葉はたぶん冗談だと思う。
それでもすごくうれしかった。
でも、筆記試験に合格すればお兄ちゃんもニーダさんも実地試験のために戦場に派遣される。
先輩達が言うには実地試験での死亡者はここ数年はいないらしい。
けれど重傷者はいないわけじゃない。
それを考えると、すごく怖かった。
私は少し迷ってからペンを動かした。
「スニフへ
今日は失礼な事してごめんなさい。
事前選考合格おめでとうございます。
お兄ちゃんが筆記試験までお世話になります。
でもできれば実地試験には行って欲しいないなぁ……。」
419:姐 ◆ane/8MtRLQ
03/05/13 21:48 73zy+ur6
最後誤植ですね。
×欲しいないなぁ
○欲しくないなぁ
420:road to home-こころの故郷10
03/05/13 23:46 wlXGFgxq
が。
「……うっさいなー! 人がせっかく心配してやってるのに、今日という今日は
ぜったい許さないからな!! 勝負だキンニク男!」
どうやらその一言がお気に召さなかったようだ。
「お? 相変わらず口は元気だな」
サマサの村で初めて対面した時の事を、リルムはまだ根に持っているらしく、
“子ども扱い”される事がかんに障ったようだった。
この辺、女性心理に敏感なエドガーなら簡単に気付いたかも知れないが、
さらに悪いことにマッシュは、大声を張り上げて抗議するリルムをからかってしまう
ものだから、これまでの雰囲気が一気にぶち壊されてしまう。
「だてに1年間絵を描いて歩いてたワケじゃないんだからね!!」
リルムはすかさず絵筆を取り、マッシュに向かう。こういうところが若さの証
なのだろうとマッシュは羨ましく思ったりしながら。
「よし、相手になってやろう!」
彼女の挑戦を受けて立つのだった。
機関室から甲板へ出たカイエンとエドガーは、眼下で繰り広げられている予想
だにしない光景に、半ば唖然と立ち尽くしていた。
「…………」
「元気良すぎたって感じかな……ははっ……」
レテ川でも同じ様な言葉を呟いた気がする。額に手を当てながら、どう見ても
ケンカしている風にしか見えないその光景を見つめる。
一体なぜ、こんな夜更けに弟とリルムが相対しているのだろう?
「二人とも、一体どうしたでござるかーっ?」
カイエンが叫んでみるも、二人からの返答はなく。
「おいマッシュ! いい加減にしないか!!」
年端もいかぬリルムはまだしも、マッシュは大人なのだからとエドガーは諭し
てみるが、それも効果がない。
「ここは、強行手段と言うことで」
「合点でござる!」
二人は顔を見合わせて一つ頷くと、甲板から地上へ飛び降り彼らの元へ向かった。
421:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/14 00:08 mqHJgIBK
久々の休みだーーーー! っと、張り切って勢いで馬鹿な事をしてしまった漏れを憎みつつ…。
ど、どうしよう……某所に投下したSS、冷静に考えたらスレ違いなオチになると気付い(悔。
>>412
やはりシドといえど、寄る年波には勝てないのか……?(w
ロックは父親の後を継いで冒険家業に…という話を(本編かネットか分かりませんが)
見たのですが、セッツァーには“家族”って匂いが全く感じられないです。
天涯孤独でああいう生き方(俺の命そっくりチップ発言に端を発する)は憧れます。
そして某所にあんな中途半端な物投下してスマソ。やっぱりまだまだ半端な感は否めません。
だけど漏れ、あそこ好きなんだ~みんなの愛が伝わって来て。。。
>>414-418
初めて化粧を施す時の心理が良く出てます! シグネ萌えというより、その微妙で
繊細なところを描き出す文章に萌え萌えですが何か?(違w
というか、もうなんていうか見習いたいというか盗みたいですそのアビリティ(だから何)
いよいよ実地試験……ドキドキです。
……で、セリス編なんですが、恐る恐るファイルを開いて見たらカイエンローラよりも
話 が 暗 い んですよ。もうアフォかとバカかと。
マッシュ…やっぱり兄の固有アビリティには及びませんね>優しさ(w。以降ギャグかも…
422:名前が無い@ただの名無しのようだ
03/05/14 00:15 CWqMJ6c6
セッツァーは他のキャラに比べても過去がわかりにくい・想像しにくいんだよね。
飛空挺絡みで無理に出したキャラだからなのか……
423:road to home-こころの故郷11
03/05/15 00:21 znxNUT2Y
その頃。心地よい眠りの中に弛んでいたセリスは、けれど安息を妨げる小さな
声に名を呼ばれていた。
「……ス、……セリス!」
眠い目をこすりながら声の方へ顔を向けると、同じく寝ぼけ眼のティナが起き
あがっている姿が映る。
「……ティナ?」
「リルムがいないの」
メンバーの中で女性は三人しかいなかったため、彼女たちは同じ部屋で寝てい
たのだが、不意に目を覚ましたティナが、隣に寝ていたはずのリルムの姿がない
事に気が付いたのだった。
「一人になりたい時だってあるんじゃないかしら? 心配しなくても大丈……」
セリスはまだ完全に覚めていない意識の中で思考を巡らせ、ようやく辿り着い
た答えを口にするも、途中で自分の考えが間違っている事に気付いて言葉を切る。
―電流のように身の中を走る、その感覚が異変を告げていた。
「な、に……この気配」
「魔導……強い力だわ」
元帝国の魔導戦士・ルーンナイトという二人の研ぎ澄まされた感覚が、闇の中から
それを捉える。
「まさか……魔物!?」
つい先程まで微睡みの中にあった事が嘘のように、セリスは機敏な動きでベッド
から飛び起き、傍らにある装備一式を掴むと大股で扉の方へ向かった。
「出るわ!」
「ええ……こんな力、ただ事じゃないわ」
デスゲイズや八竜と一戦をまみえた時のような魔導の流れを、確かに感じる。
三闘神の封印を解放した結果、崩壊した世界各地で甦る古の魔物の恐ろしさを
知る二人の胸中に、言いしれぬ不安がよぎる。
ティナも手早く装備を整えると、セリスの後について扉へ向かった。
「行きましょう!」
「ええ」
胸の中に渦巻く不安を払底するかのように、彼女たちは扉を開け駆けだした。
424:ドリル装備の名無し ◆Lv.1/MrrYw
03/05/15 00:28 znxNUT2Y
まさかこんなにFF6にハマっているとは思わなかった…。気力が続くって凄いです、はい。
>>422
家族よりもダリル絡みで色々(゚д゚)ウマーな話がありそうなので、漏れは逆に好きなんですが、
どうでしょう?
ダリルの墓イベントを見たとき。
一番の理解者であり友人であり、何よりライバルだったダリルを失った世界で、
ギャンブラーとして生き続けたセッツァーの心情というのは一体どういう物だっただろう?
と思った。
世界最速にこだわっていた彼は、何より「ダリルと共に風を追うこと」が生き甲斐だったん
じゃないか。
ただ独りで飛ぶには広すぎる空。デスゲイズやケフカもいなくなった空に残るのは、
もの凄く虚しい様な気もする。
…なんてネタを考えたりもした。(w
425:ななしッ子
03/05/15 15:49 Q6Q2yXik
これでもやっておちつこうや
URLリンク(www.v-gene.com)
426:road to home-こころの故郷12
03/05/16 00:57 G+H/P324
セリスやティナの不安をよそに、草原での騒ぎは収まるどころか更なる拡がり
を見せていた。
「今日こそは決着をつけるぞマッシュ!」
「のぞむところだ!!」
リルムとマッシュの仲裁に入った筈のエドガーが、なぜかマッシュと対峙して
いる。
「お二人とも待つでござる!!」
カイエンの制止の叫びは、もはや兄弟の耳に届いてはいなかった。
「こらキンニク男っ! こっちの決着だってまだ着いてないんだからな!!」
火に油を注ぐようなリルムの声が宵闇に沈む草原に響き渡る。まさに三つ巴の
様相を呈してきた。
「一体なにをどうすればこんな事態に……」
嘆くカイエンをよそに、世界で一番はた迷惑な兄弟喧嘩の火蓋は切って落とさ
れたのだった。
一方甲板では、未だに仏頂面を下げた二人の男が佇んでいた。
「……なんだ!?」
沈黙を破って勢い良く反応したのはロックだった。ティナやセリスの様に魔導
の流れを感じているという訳ではないのだろうが、彼は全神経を集中させてその
正体を探ろうとする。
「こんな夜中から客人か? 珍しい事もあるもんだ」
セッツァーは口にしながら、船の下から僅かに聞こえる物音に気付いて溜息を
つく。
「ただ黙って考えていてもラチがあかん。……一汗かいてみるか?」
「そうだな!」
二人とも特に血の気が多いという方ではないのだが、考えたところで答えの出
ない問題を抱えているよりは、身体を動かしている方がマシだと言う選択だった。