03/04/27 23:32 NW/ZHHIw
瓦礫の撤去作業は一晩では終わらず、その夜は三人ともフィガロ城に泊まる事
になった。幸いにも爆発の被害を受けたのは王の間のある城中央の一部だけだっ
たため、城の潜航機能やフィガロの政治機関への影響は最小限に留まった。
とはいえ真相が露呈すれば一大事である。この政変騒動の全容は国王エドガー
と直接関わった王弟マッシュ、セッツァー、リルムに加えて数人の側近にだけ知ら
された。
『フィガロ国王』としての判断で、表向きはエドガーの“趣味が高じた事故”
という扱いにした為に、ひたすら釈明と謝罪の処理に奔走する姿を目にしていた
せいからか。
「……しかし。無様も良いトコだぜ」
不愉快を露わにした口調でセッツァーは呟いた。全ての事情を知る彼からすれ
ば、方々へ頭を下げる彼の姿は不自然でしかなかった。
それに、この件ではどうも歯切れの悪いエドガーの態度が腑に落ちないのだ。
用意された部屋に備え付けられた大きなベッドに身を投げだし、天井に向かっ
て溜息混じりに声を吐く。
「まーた、何か抱えてやがるな」
そうとは分かっても、直接問いつめる気にはなれなかった。国王としての彼の
判断に口を挟む資格はないし、権利もない。
ただセッツァー個人としては、国王として体裁を繕うようなエドガーの姿を見
ているのは、少なくとも気分のいい事ではないし、理解しがたい物だった。
「……俺が考えても仕方ねぇか」
諦めたように吐くと渦巻く思考から逃れるように、セッツァーにしては少し早
い眠りに就くべく目を閉じた。