02/11/29 12:57
《午前8時四十分前後》
「愛する者の命のために。」
まっすぐなエリアの眼差しを正面から受け止めながら、セシルは答えた。彼女の問いに。
その言葉に、エリアの微笑が消え、何か別の表情が取って代わる。
「…そのために命を奪うのですか?沢山の、同じ、命を。」
我知らず手を握りしめながら、エリアは静かに言った。自分を押さえていないと、怒鳴りだしてしまいそうだ。
「僕にとって、命は“等価”じゃない。このゲームに参加してる全ての人間より、僕にとってのローザの命は重い。」
彼自身、冷たいなと驚くほどの声音でセシルが言う。まるで自分に言い聞かせるみたいに。
セシルは、ウソを言ってはいなかった。少なくとも今の時点では。
昔は、ゲームに参加する前は、そうは思っていなかった。全ての命は等価値だと思っていた。
だけど、気づいた。彼女が死んで。
彼女は何よりも大事だ。だから、他の命を奪ってでも彼女を生かす。
決意した時、彼はゾーマの操り人形になる事を決め、己を捨てた。
リディアと出会い、まだ僅かに心に残っていた己に気づき、再びソレを放棄した。
カインと出会って、再確認した。
セシルは今、誰だって殺せる。エッジでもカインでもリディアでも。ましてや知らない他人の命などそれ以前だ。
「…分かります、あなたの思いは…だけど、私にも背負うモノはあります!同じくらい、重いモノが!」
思わずそう叫んで、エリアは携帯していたミスリルナイフを抜いた。
エリアの心の中で焔(ほむら)が唸った。優しき水の心の中で、炎が怒りの産声を上げた。勇気の炎が。
その瞬間、セシルの表情が変わった。顔が強ばる。顔の裏で激情が爆発する!
どぉぅんっ!と、エリアの足下で黒の衝撃が弾け、ばっと雪が散る。周りに生えている木の一本が衝撃で倒れる。
剣の切っ先をこちらに向け、セシルが低く叫んだ。先ほどの黒の爆発も彼の仕業か。
「分かるものか…あなたに…!」
剣の切っ先に黒い光を集め、それをエリアに向ける。
…このまま話していたら、捨てたはずの己が戻ってくる。ソレは駄目だ。
ローザを生き返らせるためには、みんな殺すためには、何よりも、甘い自分自身が不必要なのだから。
152:2/4
02/11/29 13:01
ナイフを構えながら、エリアは小さく息をのんだ。
目の前にいる騎士は、強い。どうしようもなく強い。
ナイフを抜いて怒鳴ったのは失敗だったか?
否、そもそも彼女に打算など全くない。ただ、思いをぶつけただけ。
…騎士の、セシルの剣の切っ先の、黒い輝きが吠え狂う。
一瞬後には、エリアは黒い爆圧でバラバラになるだろう。避けられそうもない。
エリアはぐっと歯を食いしばった。その爆圧と、訪れる死を耐えるべく。
だあんっ!
爆圧は、エリアを殺しはしなかった。
「っ…!」
「エリア!無事か!」
「ロックさん!」
間一髪のところで駆けつけたロックのクイック・シルバーが、セシルの腕を撃ったのだ。
残念ながらその一撃は真芯を捕らえず、腕を軽く裂くにとどまったが。
「邪魔をするな…!」
セシルは静かな怒りをたたえ、ロックに向かって剣を向ける。
「ロックさん!これを!」
エリアはザックから吹雪の剣を取り出すと、ロックの方に向かって思いっきり投擲する。
非力な彼女としては長い時間、剣は宙を舞い、ロックの足下に突き刺さる。
「っ…!」
ロックが剣に向かって跳躍する、ロックの立っていた場所を黒が薙ぐ。クイックシルバーの弾丸が空を切る…!
「エリア!下がれ!遠くまでだ!」
剣を握ったロックが短く叫ぶ。エリアはソレを聞いて一瞬迷い…振り向くと、南に向かって走り出した。
自分では足手まといになる…味方がいる。
そして、ここからしばらく南には…あの、小さな水の反応があったはずだった。
153:3/4
02/11/29 13:09
「く…くう…。」
邪神官エビルプリーストは、弾丸に打ち抜かれた腕を引きずりながら雪原を歩いていた。こちらに走っていったロックを追って。
(あの男め、なかなかやる。)
彼と戦っていたバンダナの男、呪文すら使えないくせをして…。
あの弾丸さえ喰らわなければ、ヤツを捕縛できたのに。一瞬の隙に逃げられてしまった。
腕の治療にベホマを使っているが、どうも効きが悪い。なにか、力を制限されているような…。
ぼふっ!
突然なにかに足を取られて、エビルプリーストはその場に倒れた。
考え事をしていたせいで、足下に気が回らなかった。
「む、むう…。」
腕を引きずりながら立ち上がり、振り向く。何だ?何に足を取られた?
振り向き、足元を見ると答えは知れた。死体だ。死体に足を取られた。
深い雪に埋められ、埋葬されていたのだろう。彼が派手にこけたせいで雪が散り、ソレは顔を露わにしていた。
女性だった。紫色の髪の、美しい女性。
エビルプリーストは一時思案する。
死人に化けるのはリスクが大きい。本人の知り合いに会ってしまえば一発でばれる。
だが、いきなり出会ったら…どうだ?
驚くだろう。死んでいるはずの人物が生きて目の前にいるのだから。
その一瞬の隙さえあれば…呪文をたたき込める。
しかも、この女性は相当な美人だ。武器が無くて困ったフリでもしていれば、お人好しが助けに現れるだろう。ソイツを、仕留めればいい。
エビルプリーストはニヤリと笑い、変化の杖を振りかざした。すぐに彼の身体が女性の…ファリスの姿に変わる。
エビルプリーストはとりあえずおとなしい表情を作って、軽く一回転してみる…完璧だ。
「こんな物かしら…。」
声を出してみる。なるべくしおらしく。
もしもまったく事情を知らないバッツがコレを見たら大笑いするだろう。もしくはファリスは気でも狂ったかと心配するだろうか。
ファリスの姿をしたエビルプリーストは、にやっと嫌な…ファリスが絶対浮かべないような笑みを浮かべて、ファリスの死体を埋め戻した。
154:4/4
02/11/29 13:12
「む…。」
ファリスの死体を埋め戻そうとしたエビルプリーストの手に、何か堅いモノが触れた。
金属の感触。何か生き物のような形。
雪の中に手を突っ込んでまさぐり、ソレを取り出す。
ペンダント。大空を舞う飛龍を象ったペンダント。
「…もらっておくとするか。」
ファリスの姿をしたエビルプリーストは、ソレをザックの中に放り込んだ。
【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) ギガスマッシャー
現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方) 行動方針:皆殺し(ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】
【ロック 所持武器:クイックシルバー 小型のミスリルシールド 吹雪の剣 現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方)
行動方針:エリアを守る】
【エリア 所持武器:小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬
水1,5リットル×2 フィアーの書×7 小型のミスリルシールド 現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方)から南へ
行動方針:クリスタルの戦士との合流】
(エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能)
【エビルプリースト(現在の姿はファリス) 所持武器:危ない水着 変化の杖 ファリスのペンダント 現在位置:ロンタルギアの祠南に8マス・ファリスの墓
行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
155:1/3
02/11/29 17:27
「あいててて……」
ティーダは頭を抑えながら立ちあがった。
「大丈夫ー?」
頭上から、エアリスの心配そうな声が響き渡る。
「大丈夫じゃないッス……もう、5回目ッスよぉ?」
「全く、情けないな! バッツならこれくらいの落とし穴、簡単に避けられるぞ?」
「オレより引っ掛かってる人に言われたくないっつーの!」
偉そうなことをいうギルガメッシュに突っ込みをいれてから、ティーダは階段に走った。
ティーダ・エアリス・ギルガメッシュは、かれこれ一時間以上も、4階と5階を行ったりきたりしていた。
理由は簡単。5階に仕掛けられた、異常な量の落とし穴のせいである。
それらは巧みに床とカモフラージュされている上、魔法でもかかっているのか、
時間が立つとまた、元の床に紛れて判別がつかなくなってしまう。
誰が仕掛けたのかはしらないが、意地悪ここに極まれり。
お陰で最初は、モロに全員引っ掛かった上、エアリスが頭を打って気絶してしまったりもした。
ちなみに、この間に、アーサーに道案内されたマリベル達が、5階を通り過ぎていたのだが。
この時は、誰一人としてお互いの存在に気づいてはいなかった。
156:2/3
02/11/29 17:29
「じゃ、今度は気をつけてね」
「は~い、はいはい……」
3人がとった手段は、マッピング。
ティーダとギルガメッシュが色々な方向に進み、エアリスが紙に印をつけていく。
地道だが、確実な手段ではある。
……しかし、この手の勘と運があまりない二人。
落とし穴という落とし穴に、片っ端から引っ掛かること引っかかること。
最初は呆れ顔だったエアリスも、だんだん笑いを隠しきれなくなってきた。
「……もうイヤッス」
「もう少しだから頑張って、ねっ?」
たんこぶだらけの頭をさするティーダに、有無を言わせない笑顔で励ますエアリス。
「まぁ、ここまでくれば後少しだからな……ぁぁあああああああ?!」
一歩踏み出したギルガメッシュの姿が、不意に消えた。
エアリスは早速ペンで印をつける。
「ここにも落とし穴ね……ということは、ここを迂回すれば、階段に着くはずよ」
「だってさ。頑張って上がってこいよー」
投げやりに声を掛けて、ティーダは先に進もうとする。
その時、上の階から、重く低い音が響き渡った。
157:3/3
02/11/29 17:30
―ズ……ズズゥン……
「……?」
二人は顔を見合わせる。昨日聞いた土砂崩れの音に、良く似た音……
「ちょっとオレ、行って見てくるッスよ!」
不安に駆られたティーダは、慌てて階段へと駆け出した。
「あ、待って、そっちは!」
「へ? ……うわぁあああああああ!」
エアリスの制止は、ちょっと間に合わなかったらしい。
ティーダは足を踏み外して、落っこちた。
ギルガメッシュの落ちた穴へと。
「はぐぅっ!」「うぎゃっ!」
二人分の悲鳴が、階下で木霊する。
「……私、先に行ってるね」
エアリスはため息をつくと、マッピングした紙を穴の下へ落とし、階段を上がった。
【エアリス/ティーダ/ギルガメッシュ/ 所持武器:癒しの杖/無し/無し/
現在位置:ロンダルキアの洞窟
行動方針:上階で何が起こったのか確かめる/落とし穴フロアを脱出(w)】
158:リュック
02/11/29 19:15
「…う~ん。…あれ?ここは…」
リュックは目を覚ました。いつの間に気を失っていたのだろう。
しかし、今はそんな事はどうでもいい。今いる場所は見覚えのある、
いや、自分の家と言ってもいい場所。飛空挺の中の、休憩室。
「あら、リュック。目を覚ましたのね」
「ユウナン!?」
「どうしたの?狐に化かされたような顔して」
「…えーと」
(なんで?私、あのゲームに参加してたはずなのに)
「ふふ、大丈夫そうね。うなされてて心配だったんだから」
(そう、なの?あれは全部夢だったの?)
「ちょっと待ってて。今、食べる物持ってくるから。おなかすいてるでしょ?」
「あ、うん。お願い」
部屋から出ていくユウナの背中に、なんとか言葉をかけた。
部屋の中に誰もいないのを確認して、リュックはベッドから出た。
腕を伸ばしてみる。あの腕輪はもちろん無い。意識を集中してみる。別にヘンなトコは無い。
「…ぜんぶ、夢だったの?」
飛空挺の駆動音が、質問に答えてくれる。YESと。
「あ~もう、ヤな夢だった。」
思いっきりベッドに仰向けに倒れこむ。あのバカらしいゲームも、銀髪の剣士も、
怪物になった自分も、…アーロンを殺してしまいそうになった事も、夢だったのだ。
みんながいる。いつもと変わらない、新しい今日が始まる。あたり前の事なのに、すごく嬉しい。
そして、長く大きな腹の音がリュックの思考を停止させた。外から美味しそうな匂いが漏れてきた。
159:リュック
02/11/29 19:17
「はい、今日のお昼ご飯。いくらダイエットしてるからって残しちゃだめよ」
(ダイエットなんかしてたっけ?まあいいや。すごくお腹すいてるし)
ユウナの持ってきたトレイの上には、ジューシーな音を立てているステーキとワインが乗せてあった。
「うわぁ、おいしそう。」
「ふふ、お代わりあるからたくさんたべてね」
「いっただっきまーす」
歓喜の声も高らかに、ナイフとフォークを巧みに操って肉を一口大に切り分ける。
中にまだ赤い部分が残っているレアステーキ。耐えきれずフォークに突き刺さったそれを口に運ぶ。
「…おいしーコレ!!」
中まで巧みに火の通った完璧なレアステーキ。味、風味、食べごたえ、どれも完璧。
フォークとナイフがきらめき、あっという間に食べきってしまった。
「ユウナン、おかわり!」
「はいはい。すぐに持ってくるからね」
お腹はまだ満たされていない。それとなく側のワイングラスに手を伸ばす。
透き通るようなクリムゾン・レッド。かぐわしい香りが鼻腔をくすぐる。
とりあえず一口。
…言葉が出ない。感動すら与えるこのワインを、リュックは一気に飲み干した。
「それにしても、ワッカもひどい事言うわよねぇ」
「モガ?」
口にお肉をほお張ったまま聞き返す。
「リュックの事、ぷにぷにっていうんだもん。女のコをなんだと思ってるのかしら」
(モグモグ、ごっくん)
「ワッカ、そんな事言ってたんだ。くぬ~。今にみてろ~」
160:リュック
02/11/29 19:18
「だからって、絶食なんかしちゃダメよ」
「大丈夫。明日っからたくさん運動するから」
いっぱいになったお腹をさすりながら、ワインをすする。
テーブルの上には皿が山のように積まれ、床にはワインのビンが散乱していた。
「ところでユウナン。このお肉とワイン、普通のじゃないでしょ。どこで買ってきたの?」
いたずらっぽい顔をして問い詰めるリュックに、ユウナは微笑して答えた。
「それ、アーロンさんよ」
――沈黙だけが空間を支配した。駆動音は、いつのまにか消えていた。
ゆっくりとした波紋のように、言葉の意味が部屋の中に広がっていった。
「…ユ、ユウナン?ナニ言ってるの?」
何十秒も経ってから、ずいぶん間の抜けた声で答えた。
「なにって、リュックが採ってきたんでしょ?」
表情を変えずにユウナが答える。対照的に、リュックの心は激しく荒れ狂っていた。
「厨房にまだ残ってるから、見にいってきたら?」
既にユウナの声では無かった。しかしリュックは弾かれたように走りだした。
ドアを開けて――
「いや、やめて、いやだよ、こんなの」
ドアを開けたソコは廊下になっているはずだが、厨房に変わっていた。
リュックの視線の先、真ん中に置いてある大テーブルの上には、後ろを向いているが間違いない。
アーロンの、生首が置いてあった。
体は…どこにも無い。床に置かれたバケツに、骨がたくさん入っていた。
血は…一滴もない。壁のところに、ワインのビンが積まれていた。
「どう?人って、とってもおいしいでしょ?」
声の方を振り向き――ソコにユウナはいなかった。そこにいたのは――私だ。
「どうして?どうして私がソコにいるの?…ヒッ!!」
目の前のリュックの背中から、黒い羽が生えた。
「…私はお前だ。驚く事もあるまい」
低く、暗い声。変化は、絶えず続いていた。
161:リュック
02/11/29 19:19
黒い鱗が体を覆い、腹部から何本も腕が生えてきた。蜘蛛を思わせるフォルム。
そう、さっきまでの私。
「いや、いやだよ、わたし、そんなんじゃない」
「人の肉の味はどうだ?血の味が忘れられないだろう?」
「違う、わたし、そんなもの食べてない」
「自分の親しい者を殺す快感も、残っているはずだ」
「違う、やめて、やめてぇ……」
思わず耳をふさぐ。しかし、自分の手のやわらかい感触はしない。
恐る恐る自分の手を見てみる。
「いや、いやーーーーー!!」
黒いカギ爪と化した自分の腕をみて、リュックは絶叫した。意識が弾けた。
――冷たい感触が肌を包む。開いた目に白い景色が映って、リュックは身を起こした。
あたりを見まわす。飛空挺の中ではない。一面の、銀世界。
「…夢、だったの?」
身を刺す冷気が答える。YESと。
「…そっか。移動中に気を失っちゃったんだ。」
それにしてもイヤな夢だった。大丈夫、アーロンは生きてる。
そこまで思い出して、リュックの中でナニかが動き出した。
162:リュック
02/11/29 19:24
急激に増した飢えが、リュックの体を激しく揺さぶる。
夢の中のアイツの言葉が、頭の中をむちゃくちゃにかき混ぜる。
人の味が、心の中の倫理をぐちゃぐちゃにすりつぶす。
(もうダメだ。このままじゃ、飢え死にしてしまう!)
視界の隅に赤い髪を確認した次の瞬間、リュックは羽を広げソレに向かっていった。
【リュック(ハラぺコ):所持武器:進化の秘法 現在位置:台地中央山間砂漠南
行動方針:御食事 】
(魔獣時の能力を行使可能(レベル3コンフュ・真空波)・腕輪を失えば再び暴走の危険性有り。ただし腕輪を持ってしてもいずれ暴走あるいは死が訪れる(暴走とは別に吸血衝動が現れ始めています))
163:1/3
02/11/30 09:33
「くっ……。」
通路を半分ほど戻った辺りで若造がわしの術を振り払った。
あれだけの術を使ってもこの程度しかもたぬとはな、わしの衰えは思ったより進んでいる様だな。
現在わしの魔力、生命力の源である闇の力はほぼ枯渇状態にある、補充しようにもわしに力を授けてくださるお方、シドー様は既に身罷っておられる。
従って後はわし本来の人間としての魔力、生命力で勝負するしかないのだが、200年以上生きているわしにそんなものが残っているかは甚だ疑わしいな。
「少々相談したいことがあったのでな、我々が魂を駆集めるのを手伝って貰いたい、報酬はその魂を使ってのゲームからの脱出。」
別に死ぬ事自体はどうでも良い、わしの総てを捧げたお方、シドー様のおらぬ世界に未練なぞ無い。
だが、そんなわしを後悔と絶望しかない現世に呼び戻した連中にはたっぷりと復讐してやる、楽しいゲームをぶち壊しにすることでな。
「誰がそんな話に…」
「良いのか?このままいったら最後の一人になるまで殺し合うしかないのだぞ?どうせ失われる命だ、我々が有効に活用してやった方がまだましだとは思わぬか?」
問題はマゴットだ、今の中途半端な状態でわしの真実を告げるのは流石に不味い、下手に発狂でもされようものならわしの計画は頓挫せざるを得ない。
それに戦力の問題も深刻だ、今はまだ身体が動くから良いがいずれわしが荷物になるのは目に見えておる。
本来アルスかサマンサがベストなのだが、そこまで贅沢を言っている場合でもあるまい。
「無論他に良い方法を知っているならそちらに乗ろう、返答は?」
その時、小さな人影がわしに襲い掛かった。
164:2/3
02/11/30 10:14
「それが答えか?」
明らかに術者にしか見えない小僧の攻撃をあっさりと交わす。
そんな工夫もスピードも無い攻撃にわしが当たるものか。
「ビビ?」
どうやら相棒にも意外だった様だな、まあ相手に噛み付こうとする術者は非常に珍しい気がするが。
うん?そうか、そういう事なら遠慮は要らんな。
わしは真空を作るべく大きく杖を振りかざす。
「くっ…」
間に割って入る若造。
「馬鹿者がぁっ!」
わしは咄嗟に左の拳を叩き付け、あっさりと若造がそれを避け、そして若造の首筋を狙っていたビビの顎がわしの左手を食い千切った。
「どうしちまったんだよビビ……。」
わしの左手はそのまま租借されてビビの腹に収まってしまった、こうなると流石にべホマを使っても再生は不可能だな。
「この地方は非常に負の生命力に満ち溢れていてな、死にぞこないを長時間放置しておくとごく稀にアンデット化してしまう事がある。」
そんな特徴が無ければいかに難攻不落とは言えこんな食糧事情の悪い所に大神殿など作らぬよ。
「元に戻す方法は……」
「愚問だな、貴様らはアンデットに会った時にどう対処している?」
それにあそこに有るのはビビという魂を入れていた肉の器に過ぎぬのだがな。
「邪魔だけはするなよ若造。」
それさえなければただのゾンビ風情に我々が負ける筈が無いからな。
165:3/3
02/11/30 10:22
【ジタン: 所持アイテム:仕込み杖 現在位置:小島隠し通路
行動方針:不明】
VS?
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失)
武器:グロック17、グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
現在位置:隠し通路 行動方針:授業 ゲームの破壊】
【マゴット 武器:死神の鎌 現在位置:隠し通路 行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
VS
【/ビビ(アンデット化): 所持アイテム:ギザールの笛 現在位置:小島隠し通路
行動方針:生者を食べる】
166:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/11/30 11:55
>>151->>154の内、
《午前8時四十分前後》→《午前9時前後》
南には…あの、小さな水の反応があったはずだった→北には…まだ確実に生きている、風の戦士がいるはずだ。
ファリスの墓・祠から8マス→西に4~6マス、南に15~20マス
エリア現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方)から南へ→ロンタルギア東の森(狭い方)から北へ
を、上記のように訂正します。
どうもご迷惑お掛けしました。
167:163訂正
02/11/30 12:07
二行目の
>通路を半分ほど戻った辺り
を
>通路を幾らも戻らぬうちに
に訂正します。
スレ汚しスマソ
168:163,164訂正
02/11/30 13:06
若造を全て若僧に変更します。
169:バーバラ
02/11/30 13:10
バーバラは今、神殿南東も雪原を歩いていた。
足取りは決して速くはないが、その目には色濃く意思の光が満ちていた。
吐く息は白く、薄い空気が体を蝕む。しかし彼女は歩く事をやめない。
「…見えた。あの砂漠まで着ければ……」
視線の先、雪原の果てにうっすらと黄色の砂が見える。
それと同時に、なにか黒い影がこちらに飛んでくるのがみえた。
砂漠から飛来した黒い影は次第に大きさを増し、今ではその羽をも確認できる。
人の背中に羽が生えたようなフォルム。そしてその羽が一瞬ブレて――
「!!! きゃあ!」
間一髪バーバラは真横に飛び退く。風の刃が、さっきまでいた場所を薙ぎ払う。
「これは……真空波!?」
黒い影はなおも真空波を生み出し、バーバラに向かって解き放つ。
しかし、バーバラはそのことごとくを避けきっていた。
「…大丈夫。雪のおかげで軌道が読める。」
新たに放たれた二つの真空波を見切って避ける。
「…私、戦う。死んじゃ、いけないから。約束、守らないと、いけないから…!」
バーバラはこのゲームが始まってから初めて攻撃のための呪文を紡いだ。
「……アルス君、反応があったわ」
「そうなんですか!?方角は?」
「ここから北西、人数は一人ずつ、二人よ。名前はバーバラと、…リュックさん」
アルスは近くの雪丘に登り、その方角を見る。
「……!! ティナさん、二人が戦ってるみたいです!あの怪物は…やっぱり……」
「……どうするの?アルス君…」
「リュックさんを…殺しに行きます。たとえ、どんな結果になっても」
アルスの意思は、固かった。誰にも曲げられないくらい。
「…わかったわ、私も行く。行きましょ、手遅れにならないうちに」
170:バーバラ
02/11/30 13:12
「行け!バギマ!!」
真空の渦が、リュックの直前に発生する。進行を止め、目をくらますため。
風が雪を巻き上げる。バーバラはソコに向かって呪文を放った。
「くらえ!べギラゴン!!」
両手に生み出された熱線が対象の周囲を燃やす。雪がソレを反射し、対象を閉じこめる。
突然、対象を中心に風が巻き起こる。ソレが収まったとき、ソコにはモンスターが現れていた。
「…え?こんな怪物、参加者にはいなかったじゃない!?」
8本の足、黒い羽、黒い鱗、蜘蛛を思わせるフォルム、かなりの巨体。
こんなのが最初の広間にいて、気付かないはずが無い。
バーバラの叫びの答えのかわりに、ソレの羽が振動した。
「キャア―――!!」
バーバラは真空波にあたり、雪原に吹き飛ばされた。
「くっ、風で相殺しなかったらやばかったわね」
アレが真空波を放った直後、バーバラはとっさにバギを唱えていたのだ。
「大丈夫、外傷はないわ。でも、あんな怪物どうやって」
距離が離れたためアレの出す真空波は避けれるようにはなったが、近づけない。
「とりあえず、あの羽をなんとかしないと……」
アレは今同じ技しかやってこないが、もし別のパターンに切り替えたら……
「とりあえず、マヌーサ!!」
怪しい霧がリュックを包む。効いているならあたりを無茶苦茶に攻撃するはずだ。
しかし真空波は確実にバーバラのいたあたりをなぎ払う。
「次は、ラリホー!!」
甘い空気がリュックを包む。効いているなら眠ってしまうはずだ。
しかし真空波は絶えずバーバラのいたあたりをなぎ払う。
「これなら、メダパニ!!」
奇妙な物がリュックを包む。効いているならワケのわかんない事をするはずだ。
しかし真空波は(略
「状態変化呪文は効かないってワケね。方針を変えたほうが良さそうね」
171:バーバラ
02/11/30 13:12
リュックには呪文は効いていなかったが、中では少しだけ本来のリュックが目を覚ましていた。
(やめて、あたし、こんなことしたくない)
心の叫びは、体に届かない。そして再び意識が闇に落ちていった。
「くっ、あと使ってない魔法は…」
べギラゴンは効かない。中級魔法も多分効かないだろう。それなら大魔法クラスになるのだが…。
「こんな事なら、スーパースターより先に賢者をマスターしとくんだったわね」
後悔しても始まらない。ストックは3つ。いなづま、フェニックス、そして……
「…マダンテ…か。」
(コレを使ったら、あたしはナニもできなくなる。でも、使うべき呪文はコレじゃない。
北に行かなきゃならないから。『北西に行ったら良くない事が起こる』
だから、コレは良くない事じゃない。絶対、打開策はあるはず。だよね?お姉ちゃん)
「…よし。たぶんコレがあたしにできる精一杯。いくわよ!化け物!!」
そして、バーバラはリュックに向かって走り出した。
「せーの、みかわしきゃく!」
流れるようなステップを踏み、迫りくる真空波を避ける。
「いくわよ、まぶしいひかり!」
接近してくるバーバラを見ていたリュックの目は、その光に直撃して機能を失った。
「いけ!いなずま!!」
天空より墜ちし稲妻の剣がリュックの体を貫く。リュックは耐えきれず叫びを上げた。
バーバラはその叫びを聞きながら、最後の呪文を紡ぐ。
「クリスタルにこめられし炎の記憶。断罪の名をもつ汝の翼をもって魔を焼き尽くせ!!」
「フェニックス!!!」
――死の大地に不死鳥が舞い、紅蓮の炎がリュックの体をつつみこんだ。
172:バーバラ
02/11/30 13:13
「ハア、ハア、、、、やったの?」
猛烈な脱力感と喪失感に体を蝕まれながらも、バーバラは目の前の火柱を見つめていた。
火柱の中で黒い影はのたうちまわり、次第にその動きも鈍ってくる。
そしてその骸が剥がれ落ち、中から一人の女性の姿が生まれた。
「…どうして?なぜ……?」
「おねがい、わたしを、、ころして、、、、、、
もう、おさえきれない、、わたしが、きえちゃう、、、
いまなら、わたしを、、ころせる、、、おねがい、、はやく、、、」
「ダメ…できないよ。だって、あなたは、まだ生きてる」
さっきは殺してしまう気持ちでいた。でも、相手が人間だったのなら話しは違う。
「…もう、わたしじゃないの、もう、わたしは、もどれない、、
もっと、はやく、、ころされるべきだった、、
わたしが、わたしであるうちに、、おねがい、、」
「だめ、なにか方法があるはず。あきらめたら……」
「じかんが、、ないの、、、あいつは、まだ、しんでない、、、
あいつが、、めをさます、、まえに、、、はやく、、、!!!」
「だめ、あたしにはできない!!」
「もう、、だめ、、あいつが、、、」
そして再び、リュックの体が黒い鱗で覆われた。
173:バーバラ
02/11/30 13:14
「グウウウ、、オマエ、、、クワセロォ!!!」
「きゃあーーー!!」
リュックの体当たりに、バーバラは大きく吹っ飛ばされた。
「くう、…お姉ちゃん、あたし、どうしたらいいの?」
リュックは空に浮かび、物凄いスピードでこちらに向かってくる。
そのとき、黒髪の剣士の斬撃がリュックの羽を切り飛ばし、
巨大な火球がリュックを雪の中に叩きこんだ。
【リュック(ハラぺコ・重傷):所持武器:進化の秘法 現在位置:台地中央砂漠から南
行動方針:御食事 】
(魔獣時の能力を行使可能(レベル3コンフュ・真空波)・腕輪を失えば再び暴走の危険性有り。ただし腕輪を持ってしてもいずれ暴走あるいは死が訪れる(暴走とは別に吸血衝動が現れ始めています))
【アルス/ティナ: 所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣/プラチナソード
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南
行動方針:仲間を探す/謎の少年(テリー)の手にかかって殺される】
【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南 行動方針:北に】
174:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/11/30 15:18
カインは洞窟近くの岩山の頂上にいた。
無論、龍騎士たるカインなればこそ侵入できる場所だ。
そこから下界を見下ろすカインの息がはぁはぁと荒い、その視線の先には首をかしげながらも、
北に向かうセフィロスがいた。
「ちくしょう、俺って奴は」
カインはつい数秒前の事を思い出す、
本当は助けに行きたかった、だが、そこに到着したときにはすでに手遅れだったのだ、
と自分では思っているが、違う・・・本当はあの銀髪を見た瞬間、身体が竦んでしまったのだ。
結果、彼はセフィロスから、いや戦いから逃げてしまったのだ。
「こんなので・・・俺はアイツを止める事ができるのか」
カインの脳裏にセシルの言葉が甦る、もはやセシルを救う事は叶わないだろう。
ならば戦って止める以外に無い、それは親友である自分の役目だ、他の奴には譲れない。
だがこの体たらくは何だ。
命を無駄にするな、という観点から見れば、カインの行動は正しい。
だが、カインはそれを正当化するには、あまりにも一途でまっすぐな心を持ち過ぎていた。
どこまでも殺風景な景色に囲まれ、1人で頭を抱えるカインだった。
【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:ロンダルキア洞窟近くの岩山
行動方針:セシルを止める】
(セフィロスへの苦手意識あり)
175:1/5
02/11/30 18:26
ライアン、ルーキー、とんぬら、アイラの4人は森の中を歩いていた。
魔法の球はかなり広範囲に配置されているらしく、現に今も同じところを回っているようである。
ルーキーは白い息を吐きながら呟いた。
「なんだか、ぜんぜん進まないねぇ」
「仕方ないでござるよ。とにかく、今は一刻も早く森を出ることでござる」
そのとき、とんぬらがある方向に指をさした。
「今度こそ、抜けたみたいだよ」
森から抜けた先には、山道があった。
白く染まった道を見て、ルーキーはため息をつく。
「今度は山に登るの?」
「仕方ないでござるよ。あの森の中にいたのではいつまで経っても進めないでござる」
もちろん、それはわかる。だが、森の中は木々のおかげで風は届かないという利点もある。
この寒さだ、防寒具を着ているとんぬらやゾンビ状態のアイラはとにかく、自分はつらい。
ルーキーはライアンの方から飛び跳ねると、とんぬらの肩に移った。
「ねぇ、とんぬらさん、とんぬらさんのマントの中に入れてよ。もう、寒くて寒くて」
「これ、多少涼しい程度でござらぬか。あまりわがまま言うものではないぞ、ルーキー殿」
大真面目な顔でいうライアンに、とんぬらは苦笑した。
「まあまあ。僕はかまいませんから。いいよ、マントの中にお入り」
「やったぁ!ありがとうとんぬらさん!」
言うが早く、襟からマントの中に潜り込むルーキー。
そんなルーキーを、アイラはうらやましそうに見ている。
「やれやれ、モテモテでござるなぁ」
肩をすくめるライアン。とんぬらはあいまいな笑みを浮かべた。
山道は、険しい山脈の狭間に伸びていた。
こんなところで敵に会ったら、堪らない(でござる)な。
戦いに慣れた二人はそんなことを思いながら、先に進む。
この山を抜けて、とにかく見通しのよい場所に出る。
そこには勿論危険もあるだろうが、探し人がいる可能性もあるのだ。
176:2/5
02/11/30 18:26
(クーパー、アニー。今、どこにいるんだ…?)
とんぬらは、まだ幼い自分たちの子供のことを思った。
仲間たちのことも。ピエール、ピピン。そして……
そして、再開の時は来た。
お互いが、何の気構えもできなかった。正真正銘の突然。
「ヘンリー」
「とんぬら」
山間を、風が抜ける。
二人の連れは、それぞれの表情で二人を見比べた。
大きく息を吸って、そしてヘンリーは笑う。
「よう。相変わらず変なのに好かれてるみたいだな」
「まあね、どうやら性分らしい。ヘンリーも……」
「放送聞いたよ。フローラさん、残念だったな」
「…マリアさんも」
ヘンリーの連れ、アグリアスの眉が微かに動く。マリア、その名前はつい先ほど聞いたものだった。
「ああ。……また、お互い、大切な人を失ってしまったな」
ヘンリーはゆっくりと、とんぬらたちに近づいてくる。
「む、とんぬら殿、知り合いでござるか?」
そんなの見りゃわかるじゃん、とマントの中のルーキーは思ったが、
まあ大方本当に今気付いたのだろうから、何も言わなかった。
「ならばよいのでござる。ヘンリー殿、であったか。拙者は……」
「ライアンさん」
とんぬらは底冷えのする声でライアンの言葉を遮った。
ヘンリーは相変わらず笑ったままだ。
「やっぱり、お前にはわかってしまうか」
「何年親友やってると思っているんだ、ヘンリー」
「そうだったな…でも、さすがにこれはわからないだろう、相棒!」
177:3/5
02/11/30 18:27
ビンが投げつけられる。
次の瞬間、とんぬらはさざなみの剣を掲げ、ヘンリーは呪文を唱えた!
「イオ!」
「ヌ、おおっ!?」
「これは…っ!」
小規模な爆発。それ自体は、剣の力で跳ね返している。
だが、爆発はビンを巻き込み、ビンの中に入っていた薬品が引火して、とんぬら、ライアン、アイラに降り注ぐ!
火を纏った液体をかわせず、三人は火ダルマになった!
ライアンはごろごろと地面に転がり、とんぬらはフードと防寒具を脱ぎ捨てようと手をかける。
アイラは……相変わらず平然とした姿でライアンが落とした大地のハンマーを拾い上げると、
無造作に、地面を叩き付けた。
ドゥン!!
遥か彼方まで届きそうな重い音が響き渡り、雪が舞って白い柱が生まれる。
ライアン、とんぬら、アイラはその柱の中に巻き込まれ、吹き飛ばされた。
雪にまみれながら地面に落ちたころには、火は消えている。
「いたた…手荒すぎるでござるよ、アイラ殿」
雪を撥ね退け、身を起こすライアン。
アイラはやはり無造作に大地のハンマーをライアンに押し付ける。
とんぬらは二人からやや離れたところで、頭を振りながら身を起こした。
とんぬらがいる場所は、ライアンたちよりヘンリーたちに近い。
刹那、とんぬらをアグリアスの剣が襲う。
とんぬらは二度三度アグリアスの剣撃を受け流すと、バギの呪文を唱えた。
「くっ…」
巻き起こった真空の渦に攻撃の手が止まる。
その隙を見逃さず、今度はとんぬらが攻撃に転じる。
「とんぬら殿!」
ライアンは大地のハンマーを手に取った。アイラはすでにとんぬらの元に駆け出している。
178:4/5
02/11/30 18:28
そのときだった。
ゴゴゴ……
「む…何の音だ?」
「まさか…」
大地のハンマー。それは名前の通り、大地の力を秘めたもの。
その力は…大地をも揺るがす。
『雪崩!?』
全員(アイラを除く)が叫んだときには、白い激流が全員を押し流していた。
…
……
………どれくらい、気を失っていたのか。
とんぬらはちょうど森から山道に入るあたりで、我に返った。周囲を見回す。誰も、いない。
あわててマントの中を見ると、目を回して気絶しているルーキーがいた。
179:5/5
02/11/30 18:29
【とんぬら(DQ5主人公) 所持品:さざなみの剣
現在位置:台地北の森と祠西の山岳地帯の境目 行動方針:王子と王女を助ける、パパスに会う】
【ルーキー 所持武器:スナイパーアイ ブーメラン
現在位置:台地北の森と祠西の山岳地帯の境目 行動方針:気絶中】
【ライアン 所持武器:大地のハンマー
現在位置:祠西の山岳地帯で雪崩に巻き込まれました 行動方針:仲間を探す】
【アイラ(ゾンビ) 所持武器:死者の指輪 マンイーター
現在位置:祠西の山岳地帯で雪崩に巻き込まれました
行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらについていく。死者の指輪が外れたら???】
【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3
現在位置:祠西の山岳地帯で雪崩に巻き込まれました 行動方針:皆殺し】
【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法
装備武器:スリングショット ダイヤソード なべのふた
現在位置:祠西の山岳地帯で雪崩に巻き込まれました 行動方針:ゲームにのる】
180:バーバラ
02/11/30 19:29
173の持ち物修正します。
【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャ―
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南 行動方針:北に】
181:_ ◆yGAhoNiShI
02/11/30 23:28
幕府を開きたいのですが
何処に申請すれば良いのでしょうか?
182:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/12/01 00:03
雪原の中、つまらなさそうにセーラは歩いていた。
彼女はロンダルキアの洞窟方面から歩いてきた。
セフィロスとアーサーとの一騎打ち。
最初は身を潜めて消耗した片方をこのブレイズガンで撃ち抜く。
そうしようと思っていた。
だけど、その予想は外れてしまった。
あまりにも一方的であったためだ。
さすがに無傷同然の敵を攻撃することは無理があった。
気づかれる前に逃げ出さないと…
そう思い、あの場から逃げ出してきたのである。
もっとも、セフィロスにも、アーサーにも気づかれていたのではあるが。
アーサーは彼女の姿を見てメガンテの発動をやめて、セフィロスはそのおかげで命を救われた。
セフィロスに追撃の意思がなかったのは彼女の幸運以外の何者でもあるまい。
「あの騎士様は今いずこにいらっしゃるのかしら…」
彼女は目に焼き付けていたあの翼を求めてふらふらと北東へ、北東へと湖沿いに歩き出した。
【セーラ 所持武器:ブレイズガン 現在位置:南部の湖の南ぞい 行動方針:騎士様を探す&皆殺し 北東へ進んでいます】
183:1/2
02/12/01 04:36
「まだ早いけど、食事にしよっ」
「待ってましたっ」
ロンダルキア洞窟にて、ティーダたち3人は輪になって座り、休憩している。
異変を確かめるべく、エアリスは1人6Fに上がったのだが、そこは落とし穴よりもまだ性の悪い無限回廊だった。
ある程度のパターンは掴めたのだが、先行し過ぎるわけにも行かない。
そのためエアリスは一旦5Fに降りて、2人の合流を待っていたのだ、幸いすぐに合流こそ出来たのだが、
ティーダもギルガメッシュもかなり疲労しているようだ、事実、エアリスにしても不毛な行ったり来たりで、
かなり汗だくになっている、ここはひとまず気分を変えるべきだろう。
てなわけで、エアリスがバックの口を逆さにするとそこからごろごろと缶詰が幾つも転がり出て来る。
「おおっ、豪勢だな」
コンビーフに、カレー、魚のクリーム煮、etc、さらに桃缶にパイン缶もある。
すべて缶詰とはいえ、支給品のパンと栄養ドリンクにいささか食傷気味のギルガメッシュにとっては
充分なご馳走だった。
「そういえば、食料問題もあったな」
支給された食料と水は節約すれば5日は持つ、しかし思慮の足りない者ならそろそろ底を尽いていても、
おかしくない。
もしかして、これも奴らの狙い・・・・いや、だったら現地補給の道も絶っているはずだ。
ならば、そもそも俺たちが3日も持つとは思って無かったのか?
まぁ、いずれにせよ武器が無くてもまだ戦いようがあるが、食べ物が無くては話にならない。
少しだけマジメな表情で考え込むギルガメッシュ、その隣では待ちきれないといった表情で
桃缶をしっかり確保したティーダが、缶を指先でつんつんと叩いている。
「で、缶キリは何処ッスか?」
缶キリ・・・・その言葉を聞いて、エアリスの顔が一瞬真っ青になる。
「おい・・・もしかして缶キリを持ってくるの忘れたとか?」
不気味な沈黙が3人を包む。
184:2/2
02/12/01 04:36
「エアリスさん!まさかそんなマンガみたいことしちゃいないでしょうね?」
びくっ!、ティーダのその言葉にエアリスの肩が刎ねあがるのを2人は確かに見た。
さらにギルガメッシュが追い討ちを掛ける。
「幾らなんでも、お約束過ぎるぜ!俺でも恥ずかしくてやんないぞ、そんなこと」
びくっ!びくっ!
今度は効果音までも聞こえた。
缶詰はあれど缶キリは無い、マンガではおなじみの光景だが、自分たちの身に降りかかると、
これほど惨めで腹立たしいことはない。
エアリスは穴があったら入りたい、といった表情をしていたのだが、
やがて、立ちあがるとふらふらと、本当に自分から落とし穴の中へ飛びこんでいった。
文句を言われる前に自分から・・・・というわけなのだろうか?
「穴があったら入りたいってやつッスか、今のは」
「しかしある意味美味しいな、俺も機会があればやってみよう」
なんてことを言いながらも、ティーダとギルガメッシュはエアリスを回収しに、
自分たちも落とし穴に飛びこんでいった。
(無事脱出したら缶キリを探さないと)
ちなみにそんなバカ騒ぎの最中、スコールとリノアが6Fへと階段を上がっていったのだが、
そんなことは、彼らには知る由も無かった。
【エアリス/ティーダ/ギルガメッシュ/ 所持武器:癒しの杖/無し/無し/
現在位置:ロンダルキアの洞窟 行動方針:洞窟を出る&缶キリを探す】
【スコール(負傷)/リノア 所持武器:真実のオーブ/妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1
現在位置:ロンダルキアの洞窟地下6階 行動方針:?/スコールに着いていく 洞窟を抜ける方針で】
185:1/4
02/12/01 11:58
《午前9時10分前後》
ズズズズズ……。
何か、大きなモノが崩れ去る音がバッツの耳に届き、その拍子に彼は顔を上げた。
祠の外…だいぶ離れた所で響いた音。ソレは雪崩の音だったのだが、バッツは気づく事はなかった。
なにしろ、雪を見るのも初めてだったので。
「………。」
今までは顔を伏せ、努めて何も考えないようにしていたが…顔を上げ、みんなの姿が視界に入ってきたとたん、思考が回転を始めた。
(もう三日目…人数は半分近くにまで減った。もう行かなきゃ、間に合わない…?)
外に駆け出したい。今すぐ駆けだしてレナとファリスを探したい。
だけど、今の彼の周りには子供が3人と、怪我が治りかけたとは言えまだ動くのに不自由するのが一人。自分一人動くのは無責任ではないか?
だが、ここにいれば見つかる可能性は限りなく低いのだし、クーパーは戦う力があって…。
バッツの中で、二つの思考がせめぎ合った。
悩む。ひたすらに悩む。今まで、こんなに悩んだ事はなかった。
しかし、永久に悩み続けるわけには行かない。しばらくして、答えは出た。
バッツが唐突に立ち上がったのを見て、ピピンの脚を治療していたクーパーはきょとんとした顔をした。
ここで、このロンタルギアの祠でしばらく休もうと言い出したのはバッツ自身なのに。
まるで、どこかへ行こうとするみたいに、バッツは立ち上がった。
「バッツ兄…。」
「クーパー、ちょっと出てくる。」
クーパーの言葉を遮って、バッツが言った。
まるで、ちょっと買い物に行ってくるとでも言うような調子で。
186:2/4
02/12/01 12:00
「……え?」
呆けた声が、クーパーの口から漏れた。
「ごめんな。俺…もう我慢できない…限界だ。」
まるきりいつもの口調。いつものバッツの口調。ソレなのに、どこか…重かった。
「レナとファリスを探す。アニーとパパスさんと…エーコの仲間も。」
「ちっ、ちょちょちょちょっ!ちょっと待ってよ!」
淡々と言葉を紡ぐバッツを、エーコの声が止める。
「外には…あの怖いヤツとかいるし……危ないし…。」
「…だからさ。だから…行かなきゃ。」
バッツはそう呟いて…まるで独り言のようにそう呟くと、くるりと方向転換して扉の方へと歩いていく。
バッツは扉のノブに手をかけて…くるりと振り向いた。
「ここに隠れてれば…多分見つからないと思う。何もなくても次の放送が合ったら帰ってくるよ。」
バッツはそう言って笑い、ドアを開けて外に出ていった。
「………。」
クーパーは、バッツがたった今出ていった扉をじっと見つめた。
置いていかれた。自分は置いていかれた。
(……どうしてかは、分かるけどさ。)
危険だからだろう。死の危険があるから、ここに置いていった方が安全だとふんだからだろう。
だが、悔しかった。とても、とてもとてもとても悔しかった。
自分だって…バッツに見劣りしない力は持っているつもりだった。
アニーと父を捜したかった。パパスに会いたかった。バッツと一緒に戦いたかった。
みんなに……認めて欲しいと思った。父に一人前と、パパスに子供じゃないと、バッツと肩を並べて戦えると。
ぐ…と、クーパーが両手を握りしめた。
187:3/4
02/12/01 12:01
クーパーは小さくこくんと頷くと、さっと振り返ってピピンに向き直った。
「ピピン…。」
「何ですか?クーパー様。」
クーパーが何というか半ば予想しながら、ピピンはクーパーに問いかけた。
一瞬の迷い。一瞬の葛藤。クーパーはちらりと横目でリディアを見て…どうやら、決意したようだ。
「コレ…ピピンにあげる。」
クーパーはそう言って、ピピンにロングソードを差し出した。
ピピンはソレを受け取り、型通りの会釈…王族に対する会釈を行った。
「僕…バッツ兄ちゃん追っかけるから…リディアとエーコを……。」
「承知いたしました。クーパー様。このピピン、命に代えてもこの二人のお姫様をお守りいたしましょう。」
ピピンは深々とお辞儀をしてそう言ってから…ふと顔を上げてウインクした。
「さあ、早く行かないと追いつけませんよ?」
「…ありがとう!」
クーパーは顔いっぱいに眩しい笑顔を浮かべ、振り向くやいなや走り出した。
半開き状態だった扉を思いっきり手でついて、外に飛び出す。
クーパーは振り向き扉を閉めようとして…視界にリディアの顔を納めた。
「リディア、すぐ帰ってくるからね!」
リディアは、ソレを聞いて顔を明るくし、うんと頷いた。
ソレを確認すると、クーパーはバッツを追って走っていった。まっすぐに。
「…リディアだけで、エーコには一言もナシ?」
「クーパー様はリディアちゃんがお気に入りみたいだから…。」
「失礼しちゃうわ。全くもう…。」
ロンタルギアの祠で、そんな平和な会話が交わされた。
188:4/4
02/12/01 12:01
さくさくと地面に積もる雪を踏みしめながら、バッツは森の中を歩いていた。
祠から西にある橋。ソレを通って北に向かうつもりだった。特に理由があるわけでもないが。
(やる事がいっぱいあるからな。急ごう。)
と、バッツが決意を新たにした時、彼の背中の方で声がした。聞き覚えのある、少年の声が。
「…あんのバカ…。」
こっちに走ってくるクーパーの姿を確認したバッツは、頭を押さえてうめいた。
「まあ、しょうがないか…?」
顔を上げて一人ごちる。クーパーが自分で決めたなら、しょうがないだろうと思いながら。
【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾
現在位置:ロンタルギアの祠から北へ
行動方針:アリーナ(アニー)、レナ、ファリス、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す。最終的にはゲームを抜ける】
【リディア/エーコ/ピピン
所持武器:なし/なし/ロングソード
現在位置:ロンタルギアの祠
行動方針:セシルを探す?・祠で待つ/仲間を捜す・祠で待つ/リディアとエーコを守る。】
189:オルテガとか
02/12/01 14:43
アリアハン城下町。
大魔王の恐怖が全世界を覆った今でも、この街は人々の活気と笑顔に満ちていた。
自分が魔王討伐に向かったあの時から3度目。この街に戻ってきた回数だ。
まず家に帰る前に王に挨拶を済ませて、城から城下町に続く橋をわたる。
すれ違う人々も様々だが、見知った顔も多く親しみと期待を込めて私に挨拶をする。
やはりこの街に帰ってきて一番楽しみにしていたのは、やはり息子に会う事だ。
ずっと離れていても親の顔は覚えているのだろう。この前帰ってきたとき、
駆け寄ってきて「おとーたん」と呼んでくれた。
自分の道具袋に入っているお土産の事を考えると笑みを隠しきれない。
この前できたばかりのルイーダちゃんの酒場を見て、やっと我家が目の前に現れた。
ドアの前に立ち、深呼吸をする。なぜこんな事で緊張するのだろうか。
意を決してドアノブに手をかける。そのときだった。
「おとーさんおかえりーーー!!!」
「ぬおぉ!!」
勢い良く開かれたドアに、オルテガは大きくぶっ飛ばされた。
「おとーさーーーん!!」
ふらふらと立ち上がる私に、息子はダッシュをかけてタックルしてくる。
しかし歴戦の勇者である私は、その勢いを十分に殺し、大きく空に放り投げる。
たっぷり二十秒くらいたって落ちて来た息子をなんなくキャッチする。
「息子よ!いま帰ったぞ!」
そんな父に、アルスは満面の笑みを浮かべて抱きついた。
190:オルテガとか
02/12/01 14:44
「息子よ!土産があるぞぉ!!」
「うわーい!ありがとうおとーさん!」
期待に胸を膨らます息子に見守られながら、オルテガは道具袋の中をまさぐる。
確か底の方に入っていたはず……。あれ?
袋の中には水鉄砲は入っておらず、ソコにはあの忌わしき覆面が入っていた。
「…なぜ、こんなものが……」
呆然と覆面を袋の中から出して、見つめる。
「うわぁ、それがお土産なの?ずっと欲しかったんだコレ!!」
そう言うと、アルスはオルテガの手から覆面をひったくり、ソレをかぶる。
「やめろ!ソレをかぶったら……」
オルテガの悲鳴は、アルスの雄叫びにかき消された。
「フォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」
白目に怪しい光をたたえ、雄叫びをあげる息子の姿。
突如、体が膨張し筋肉が異常に発達する。衣服は裂け、しかしパンツだけは一緒に膨張する。
身長は既に3メートルを超え、オルテガの目の高さに発達した大胸筋が映る。
息子の変貌していく姿を、オルテガはただ呆然と見ているしか無かった。
「…なぜ、こんな事に……」
変化が止まり、巨大な筋肉の塊になった息子が目の前にいた。
「あいたかったぜぇ!!親父殿ぉ!!!」
後ずさりするオルテガを、アルス(?)はハグする。
「やめろ…やめてくれぇ……」
オルテガの周囲にアルスの高笑いが何度も何度も木霊し、オルテガの脳みそを揺さぶる。
巨大な肉の塊と共に、オルテガの意識は闇に落ちて行った。
191:オルテガとか
02/12/01 14:45
「…ゴハア!!…ゆ…夢か……」
全身に冷や汗をかき、息が荒くなっている。
幸せそうに寝ていたが、突如うなされはじめ、飛び起きたオルテガをチョコボは心配そうに見つめる。
(…まいったな。…あんな夢を見るなんて)
右手に握り締められた覆面をみつめる。
(…はやく、コレを処分しなければ……!!)
何度も火の魔法を紡いでは、直前でソレを中止する。
引き千切ろうと力を込めては、全然力が入らない。
(…くそ。オレには…無理なのか……)
覆面をソコらへんに放り投げ、力の無い笑い声をあげた。
これから二度とかぶらなければいいと結論を出し、袋の奥に覆面を詰める。
ついでに中に入っていた、多分朝に慌てて詰めたのであろう缶詰を開けて食べる。
どこぞのチームみたいに缶切りを忘れたりはしない。日頃から愛用している十得ナイフを持っていたのだ。
味は感じなかったが、元気は出た。ゴミをまとめ、出発の準備をする。
「…ちょうど正午になるな。行くぞ」
チョコボにまたがり手綱を引くが、チョコボは外に出ず、壁のところに向かう。
「クエッ」
「む?なにか書いてあるのか?」
オルテガはソコに書かれた文字を読み、大きくため息をついた。
「……………」
「クエ?」
「…ああ、大丈夫だ。出発しよう」
なにが大丈夫なのかわからなかったが、気をしっかり持ち手綱を引く。
「北だ。まず祠にむかうぞ」
「クエ♪」
そしてイヤな思いでを残し、チョコボは木の洞から外に飛び出した。
【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:洞窟北西の森の巨木の洞 行動方針:祠へ】
192:1/3
02/12/01 16:19
南西の森─
ティファは2人にクラウドとエアリスを見なかったか聞いてみたがファイ(導師)とデッシュは見ていなかったし、
また、ティファはエドガーは見ていないかった。
ティファ「……そっかあ。」
デッシュ「まあ、しかたねえな。それはそれとして、あいつのボディ面白そうだな。」
ティファ「へ?」
デッシュ「い、いや、あんたじゃない。後ろにあるさっきの変な機械だ。」
デッシュはキラーマシーンの残骸が気になるようだ。彼は残骸の方に行き、なにやらいじくりはじめた。
デッシュ「ふんふん。なるほどなー。こいつはどうやら元素の力を必要とする呪文が効きにくいようだな。
道具があればもっとよくわかるんだが。ちょっと調べてみるか……。」
ファイ「さっすが、デッシュ!!」
デッシュ「おだてても何もでんぞ。少年。」
ファイ「少年はやめてくださいよぉ。ファイっていう名前があるんですから。」
デッシュ「ああ、わかったわかった。少年。」
ファイ「……。」
ティファはクスクスと笑っていた。そして笑ったのはこのゲーム始まって初めてなことにも気が付いた。
ティファ『回復もしてもらったし、この人たち、悪い人ではないわね。』
ファイ「ところで、ティファさんに相談があるんです。」
というと、ファイは首輪についての説明をティファに始めた。
デッシュ「お、おい待てよ!」
デッシュは慌てると、ファイの耳元で囁く。「彼女を巻き込むわけにはいかないって。」
193:2/3
02/12/01 16:20
ファイは2人に向かっていう。
ファイ「とりあえず、僕の話を聞いてください。」
そしてまた、ファイは一通り首輪のことや、研究の成果をティファに話した。
ファイ「僕とデッシュでこれからも首輪の研究をしますが、たさっきのように魔法が効かない相手とか出てくるかもしれないし、
僕とデッシュではこの先、研究が調査できるかどうか不安があります。
ですから、僕達に女性としての知恵を貸してください。そして時には……その、守ってください。お願いします。
そしてもちろん首輪の解除ができたら一緒に逃げましょう。」
デッシュが口を挟む。
デッシュ「ちょっとまて、その時はお前が戦士系にジョブチェンジしとけばいいじゃないか。」
ファイ「それはそうなんだけれど…。実はジョブチェンジできないんだよ。」
デッシュ「な、なぜ?」
ファイ「理由はわからないんですけど。」
デッシュ「ちっ、ゾーマのやつめ!!」
デッシュは舌打ちをして、ゾーマへの不快感をあらわにした。
ファイ「あと、魔法なんだけど、首輪の研究をするにあたり、僕の魔法の力が必要になるかもしれません。
ですから、これからは魔法をセーブしなければいけないと思います。」
デッシュ「そういうことなら……。主催者側からも狙われるかも知れませんが、俺からもお願いします。」
ファイ「お願いします。」
2人はお辞儀をし、ティファの反応を窺う。
ティファ「……事情はわかりました。そういうことなら是非協力します。」
『そしたら、クラウドやエアリスと脱出できるし、ね。』
デッシュ&ファイ「ありがとうございます!」
2人は声を合わせて喜んだ。
194:3/3
02/12/01 16:21
【導師/デッシュ/ティファ 所持武器:天罰の杖/なし/星降る腕輪
現在位置:南西の森(湖と山に挟まれて森が1マスしかないあたり) 行動方針:エドガーに会う・首輪の入手・マシーンの残骸の調査】
デッシュは内心気になることがあった。
デッシュ『ひょっとすると、このマシーンのボディに使われている材料と首輪の材料は似ているかもしれない。』
195:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/12/01 22:01
雪・・・・・・か・・・・・・
何分か前に旅の扉により東のほこら付近に無事到着したヘンリーは周りに積もった
雪を見回しながら昔を思い出していた。
(ラインハットにいたころは兵士の奴の顔に雪をぶつけてからかってやったなー
あいつの名前何て言ったかな・・・・)
そこまで考えた時ヘンリーははっとして思考をやめた。
(何を考えてるんだ・・・・オレは・・・・・
冷徹になれ・・・過去を捨てろ・・・皆殺しだ・・・・・)
ヘンリーは、憎悪の呪縛から解き放たれようとしていた。
(だが・・・マリアが・・・マリアが・・・・・・・)
彼は怒りの矛先を近くの大木に向けた。
ザンッ!
大木を一閃すると彼はほこらへ向かった。
ぽたっ・・・・
彼の顔から水が垂れ、足元の雪が僅かに溶けた。
【ヘンリー
所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 火炎瓶×1
現在位置:東のほこら付近
行動方針:皆殺し(?)】
196:バーバラ
02/12/02 20:10
「大丈夫?ケガしてない?」
緑の髪の、女の人。…あたしの知らない人。
「動かないで。今、ケアルかけるから」
向こうで誰かが、あの人と戦ってる音がする。
女の人が何か言ってる。体が少し、楽になる。
「これで大丈夫ね。待ってて、今アレを倒してくるから」
……あの人を、倒す?
「ダメ!やめて!あの人は怪物なんかじゃない!あの人は…」
「わかってる。…顔見知りよ」
「だったらなんで!なんでそう簡単に殺すなんて言えるのよ!あの人は人間なんだよ!?」
「こんな事、簡単に言えるワケないでしょ!私だって、アルス君だってつらいんだから!!」
「だけど、あの人はまだ生きてる。何か助けられる方法があるはずよ!」
「私だって彼女を助けたい!だけど、方法なんかないじゃない!!」
「だけど…。こんなの、間違ってる」
「他に彼女を止める方法は無いの。だから、私達やらなくちゃいけない」
「…………」
「この選択が正解だなんて私も思ってないわ。でも、コレしか私達に選択肢がなかった。
どれが正解かなんて、後になってみないとわからない。ううん、正解なんて無いかもしれない。
だけどね、つらい選択肢しかなくても、それを選ばないのはやさしさじゃない。弱さよ。」
「…………」
「あなたがどうするにしても、誰にもあなたを責める権利なんてないわ。
彼女を助けようとしても、私達を止めようとしても、ここでじっと座っていても、
私はあなたを責めない。だから、自分が後悔するような事だけはしないで」
「…あの人、私を殺してって言ってた。私が私であるうちにって。
だけど、あたしは殺せなかった。自分が、あきらめる事を、知りたくなかったから。
でも、あの人の最後の願いをかなえてあげたい。それが、あの人の望んだ事だから」
「そう。…ごめんなさいね。これは私達の事なのに、あなたをまきこんでしまって」
「いいえ、これはあたしが決めたことだから。あたしがやらなきゃいけない事だから」
197:バーバラ
02/12/02 20:11
「てやぁーーー!!!」
無意識に気合の声が出る。アルスは真横に剣を振るい、脚を切り飛ばそうとする。
しかしあえなく鱗に阻まれ、硬い感触だけがアルスの手に残る。
コレに対しリュックは、羽は切られてしまったものの全身が硬い鱗に覆われており、
ダメージはくらってはいない。時折強烈な一打を受け止めた時、鱗ごと斬られたりしているが
すぐに新たな鱗が再生する。攻撃は脚を五本使い、後の三本で体を支える。
多方向からの巧みな攻撃は、しかしアルスの防御技術には及ばない。
一見互角のように見えるこの攻防は、アルスの方が圧倒的に不利だった。
硬い装甲、かなりの再生能力。アルスの攻撃はまず通じない。
もっと強力な攻撃ができるのであろうが、この隙の少ないこの攻撃が
一番有効なのを知っているのか、大技を使ってこない。もちろんこんな小技でも、
もし当たったりしたら戦闘不能は免れないだろう。
なにより、リュックの戦闘能力はアルスを上回ってはいたのだ。
しかし強烈な飢えと、この矮小な生物に対する侮りが、正常な思考を停止させていたのだ。
羽を再生して真空波を発生させれば、距離を取って大技を使うなりすれば既に決着はついていただろう。
そして、彼は失念していたのだ。自分の敵が、まだ二人残っている事。
そしてアルスの持っている天空の剣の力を。
(くそっ!攻撃が通用しない。魔法だって効いているようには……)
アルスは焦っていた。相手の攻撃をなんとかさばけているという状態なのにこちらの
攻撃が相手に通用しているようには見えない。
それにさっきティナの魔法に直撃していたはずなのに傷ついているようにも見えない。
効果的な攻撃方法が見つからないのだ。
(…なにか弱点があるはずだ。あきらめるな)
その時、何者かの声がアルスの頭の中に響き渡った。
198:バーバラ
02/12/02 20:12
『苦労しているようだな。お前の勇気に免じて、私が力を貸してやろう』
「だれだっ!?どこにいる!」
アルスは注意をそらしてしまい、相手の攻撃を捌ききれず、リュックの脚が肩をかすめる。
『油断するな。私はお前が持っている剣だ。』
アルスはなぜ剣が喋れるのかわからなかったが、今は目の前の相手に集中する事にした。
『それでいい。緑の髪の女が相手の背後から狙っている。一番脆い羽の付根だ。
女の剣は相手の体を貫くだろう。相手が仰け反ったら、私を相手の体に突き刺せ』
(それって、あんたの力じゃないような……)
『まず、相手の脚を数本斬り飛ばせ。私の力ならできるはずだ。』
(うわ、聞こえてた)
『そして最後に雷を落とせ。仕上げは赤毛の女がやってくれる。作戦は既に女の方には伝えてある』
(わかった。この攻撃を捌ききったらいくぞ)
「たぁーーーーーー!!」
最後の連続攻撃の後のわずかな隙をぬって、剣を脚に向かって振り下ろす。
なんども硬い鱗によって無効にされたその攻撃は、なんの手応えもなく脚を斬りとばす。
「グギャアアアアアアアアアアアア!!!!!」
初めて聞くリュックの叫び。怒りに目を燃やし、猛烈に攻撃を繰り出す。
しかし大振りな攻撃は、アルスにはかすりもしない。
攻撃を避ける動きを利用して、また一本脚を斬りとばす。
(すごいぞ!王者の剣にひけを取らない。それに、なんて軽いんだ!)
リュックの攻撃はなおも続いていたが、本数の少なくなった脚での攻撃は
先ほどまでの命中率は持っていなかった。天空の剣が再び煌き、三本目の脚が宙に舞った。
『やはり脚の再生に集中しているようだな。コレでは羽を再生する事など
思いつかないだろうな。次の脚を切り飛ばしたら、女が攻撃するはずだ』
「わかった。くらえ!!」
――また宙に脚が舞い、今までで一番おおきな叫びが雪原に響き渡った。
199:バーバラ
02/12/02 20:13
『今だ!!私を突き刺せ!!!』
アルスはリュックの首に、深く剣を突き刺し、大きく間合を取る。
『魔法を!!!』
「ギガデイン!」「サンダガ!!」
魔を裁く雷帝の鉄槌が、体に刺さった二本の剣を伝い、リュックの体内をズタズタに切り裂く。
――雷により炭化した体が崩れ去り、再び中から女性の姿が現れた。
「ごめんなさい。あたし、あなたを助ける方法を見つけられなかった。 だから、
せめてあたしがあなたの最後の願いをかなえてあげる。絶対、地獄へはいかせない!!」
「クリスタルに込められし風の記憶。天界への道を照らし、闇に墜ちし死者を導く者よ!」
「フェニックス!!」
――女性は、その炎をまるで愛しい者の様に抱き、ゆっくりと炎の中へ消えていった。
「…終わった……のか?」
炎の消えたソコには、この激戦を思い出させるモノは残ってはいなかった。
……リュックの死体さえも。
ただ雪原に突き刺さった二本の剣と、主を無くして佇んでいる腕輪があるだけだった。
バーバラは彼女のいた所をみつめて、彼女の為だけに、そっと涙を流した。
200:バーバラ
02/12/02 20:14
「あなたはこれからどうするの?」
あれから数十分。それぞれ異なる祈りをリュックに捧げ、それぞれ出発の準備をした。
「あたしはここから北に行きます。そこに、あたしの探している人がいるから」
目を少し赤くしていたが、その言葉と目には強い意思が感じられた。
「そうか。ティナさん、ぼく達も同行しようかと思うんだけど……」
「ええ。今は一人でも多く仲間が欲しいしね。このゲームを脱出するためにも」
ティナはゲームという言葉に、激しい怒りと嫌悪感を込めて言った。
「あたしの方からもお願いします。魔力が無くなってるから、
あたしの方が迷惑かけちゃいそうですけど」
ただでさえ消費量の多い召喚獣を、慣れていないのに何度も使ったためバーバラの
魔力は枯渇しかかっていた。そして、精神的にも肉体的にも激しく疲労していた。
「元はといえばぼく達の責任だしね。つらい仕事を任せてしまってすまなかった」
「…あたしがやらなければいけない事だったんです。気にしないでください」
「…この腕輪、彼女のモノみたいね」
「…ティーダに渡してあげよう。彼女も彼にコレを持っていてもらいたいはずだから」
「この剣、急に喋らなくなったな。…電撃で壊れたかな?」
『失礼な。その必要がないだけだ』
(うわ、生きてた)「さっきは助かったよ」
『…。一つ頼みがある。私の主を探して欲しい』
「どんな人だ?」
『資格がある者なら、自ら私の所へ来るはずだ。お前は私を持っていればよい』
「わかったよ。恩人の頼みだしな」
『わたしは人ではない』
三つの人影が砂漠へと消えていった。この雪原の戦いの傷跡は、彼等の心の中にのみ残っている。
201:バーバラ
02/12/02 20:16
【アルス/ティナ: 所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣・黄金の腕輪/プラチナソード
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南
行動方針:仲間を探す/謎の少年(テリー)の手にかかって殺される】
【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南 行動方針:北に】
――闇に包まれた部屋。数多くの実験器具と装置。エビルプリーストの研究室
ここには人知をはるかに超える技術があふれている。背徳的な実験がこの部屋で数多く繰り広げられてきた。
部屋の中を照らすのは、部屋の中に直立している水晶の筒から漏れるわずかな光のみ。
その空間に、誰かの独り言が響いていた。
「…やっぱり強制送還方程式組んどいてよかったよ。おかげで大事なサンプルを
失わないで済んだしね。小娘があの腕輪を拾ってから方程式がバグって効かなく
なってたけど、外れたら正常に動作したし。まあ、結果オーライってとこかな」
この一つ目ピエロ……エビルプリーストの使い魔にして分身。生まれてまだ3日だが。
彼の見ているケースの中には、一人の女性――リュックが入っていた。
「進化の秘法を行使していたみたいだからね。いろんなデータがとれるだろうし。
取り終わったら、ゲームに戻すのもよし。別の実験に使うも良し。それに、
こっちの新しい生物に合体させるのも良しってとこかな?」
口の形が笑みの形に歪む。愛らしい子供のように。
「さっさと修理して、データ取っちゃおっと」
リュックの入っているケースに、新たな液が加えられた。
【リュック :所持武器:なし 現在位置:エビプリの研究室 行動方針:なし 】
202:195
02/12/02 22:43
かなりカン違いしてますた。
>>195無効にしてください。
203:ザックス
02/12/02 23:32
ロンダルキアの洞窟。
長剣を背負った黒い長髪の青年─ザックスはそこに入るべきか否か迷っていた。
中には罠があるかもしれないし、最悪の場合魔物が巣食っているかもしれない。
ザックスはしばし思考した後、結論を出し、中へ入っていった。
(さ・て・と)彼は大きく伸びをした。
そして頭に二人の人物を思い浮かべていた。
黒い髪の活発そうな少女、そしてソルジャーになる前に多少の好意を寄せていた
あの少女。
(たしか、エアリスとティファって言ったな。二人とも昔オレと会ったことがあるはずだ・・・・)
しばらく真剣な顔をしていたザックスだがすぐにその顔が緩む。
(限られた人数しか選ばれないこのクソゲームで選ばれた三人の人間・・・
運命を感じるぜ!)
その二人のどちらがこの中にいる。そう直感した彼は中へ走って行った。
【ザックス
武器:バスタードソード
現在位置:ロンダルキアの洞窟
行動方針:非好戦的 エアリス・ティファの捜索】
204:バーバラ
02/12/02 23:58
>>201修正します。
【アルス/ティナ: 所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣・黄金の腕輪/プラチナソード
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南
行動方針:仲間を探す/謎の少年(テリー)の手にかかって殺される】
【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー
現在位置:ロンダルキア中央砂漠から南 行動方針:北に】
――闇に包まれた部屋。数多くの実験器具と装置。エビルマージの研究室
ここには人知をはるかに超える技術があふれている。背徳的な実験がこの部屋で数多く繰り広げられてきた。
部屋の中を照らすのは、部屋の中に直立している水晶の筒から漏れるわずかな光のみ。
その空間に、誰かの、子供の声のような独り言が響いていた。
「…やっぱり強制送還方程式組んどいてよかったよ。おかげで大事なサンプルを
失わないで済んだしね。小娘があの腕輪を拾ってから方程式がバグって効かなく
なってたけど、外れたら正常に動作したし。まあ、結果オーライってとこかな」
この一つ目ピエロ……エビルマージの使い魔にして分身。生まれてまだ3日しかたっていないが。
彼の見ているケースの中には、一人の女性――リュックが入っていた。
「進化の秘法を行使していたみたいだからね。いろんなデータがとれるだろうし。
取り終わったら、ゲームに戻すのもよし。別の実験に使うも良し。それに、
こっちの新しい生物に合体させるのも良しってとこかな?」
口の形が笑みの形に歪む。愛らしい子供のように。
「さっさと修理して、データ取っちゃおっと」
リュックの入っているケースに、新たな液が加えられた。
【リュック :所持武器:なし 現在位置:エビマジの研究室 行動方針:なし 】
205:1/4
02/12/03 17:05
>>203の少し前。
荒い息遣い。その間隔が、段々早くなっていく。
薄くなった酸素が、マリベルの体力と思考力を削っていく。
「…マリベル、もういい。早くこんな岩、デカイ魔法でぶっとばしちまえよ!」
ラグナはたまりかねたように叫んだ。
―もし、彼女が大きな魔法を放てば、自分は確実に巻き込まれるだろうが。
だからといって、自分のために、マリベルまで死なせるわけにはいかない。
けれど、マリベルは首を降った。
「冗談じゃないわ……自分の責任ぐらい、自分でとってみせるわよ」
そう、ラグナをこんな目に会わせたのは、自分の油断と軽口が原因なのだから。
それこそ死んでも、ラグナを見捨てるわけにはいかないのだ。
だから、彼女は岩を砕くためのイオ、ラグナの体力を保たせるためのホイミを、
ただひたすら唱え続けている。
塞がれた出口。7人の人間。呪文による小さな、しかし幾度もの爆発。
酸素はゆっくりと、しかし着実に、洞窟の中から失われていく……
206:2/4
02/12/03 17:07
「……うっ」
「え、エアリス!? 大丈夫ッスか?」
口元を押さえ、しゃがみ込んだエアリスに、ティーダが駆け寄る。その顔色は蒼白で、苦しそうだ。
良く見ると、ギルガメッシュも似たような症状を呈している。
ティーダが平気なのは、彼の身体を構成している幻光虫の力に他ならない。
普通の人間(?)である二人には、この薄い酸素はキツいしヤバイだろう。
「……くそっ、やっぱりさっきの音、落盤だったのか?
オレ、ちょっと行ってくるから、エアリスとオッサンはここで待っててくれ!」
それだけ言い残し、ティーダは走り出した。
道中、二人の男女がしゃがみ込んでいた。
声を掛けようとしたが、男性は尋常じゃない目で、ティーダを睨みつける。
もしこんな状況下でなければ、即座に襲いかかってきそうだ。
……だが、ティーダもわざわざ戦う気はない。
彼等を無視して、出口の方へと急ぐ。
その先で、ティーダは見た。
出口を塞ぐ岩の山、そして―
「マリベル!」
マランダで会った少女が、必死で呪文を紡いでいるのを。
「何やってるんスか! くそっ、オレがこんな岩、早くぶっ壊して…」
ティーダがいかづちの杖を拾い上げようとした時、マリベルが制止した。
「やめて……下に、人が、いるの……」
「!!」
慌てて、岩の下の隙間を覗く。そこには確かに、一人の男=ラグナの姿があった。
207:3/4
02/12/03 17:09
恐ろしいほどのバランスで、偶然に生まれた隙間。
下手に衝撃を与えようものなら、男は岩に押しつぶされ、圧死してしまうだろう。
……だが、このままでは、洞窟内の7人全員が窒息死してしまう。
どうする? 悩むティーダに、ラグナが声をかけた。
「マリベルさ、首輪外す方法思いついたって……言ってたんだ……
オレはいいから、マリベルだけでも助けてやってくれ……」
ティーダは驚愕を隠せず、マリベルの方を見た。
そして再びラグナの方に向き直る。
「……それが本当なら、尚更見捨てらんないッスよ!
マリベル、オレが何とかするから、合図したらここの岩ぶっ飛ばしてくれ!」
マリベルが、信じていいの? とティーダを見る。
ティーダは自身たっぷりに頷いてみせ、そして―
「よし、今だ!」
「イオ!」
爆発が、ラグナの前の岩を砕き、吹き飛ばす。
それと同時に、ティーダは流星のようなスピードで、ラグナの腕をつかむ。
絶妙なバランスで支えられていた岩が、スローモーションのように崩れ始めるのと殆ど同時に。
ティーダは、ラグナの身体を勢いよく引きずり出していた。
「よっし、後は任せた!」
「……イオナズン!」
マリベルの言葉と共に、巨大な爆発が岩盤を吹き飛ばした。
208:4/4
02/12/03 17:17
その後、3人は、外の―人に見つかりにくそうな場所に移動し、ラグナの治療を始めた。
両足が膝下からなくなり、おまけにイオで岩を吹き飛ばした時の影響か、頭から血が流れている。
……それでも、何とか一命を取りとめることはできそうだ。
マリベルの口からその言葉を聞いて、ティーダは内心ホッとしていた。
―スロウガで岩の崩れるスピードを抑え、
ヘイスガ&クイックトリックでラグナが押しつぶされるまえに引きずり出す―
とっさに考えたとはいえ、成功する確率は5割を余裕で切っていたはずだ。
あんな状況だったし、二人の手前、自信たっぷりに言ってみせたが……
本当は(失敗したらどうしよう)、と冷や汗でダラダラだった。
そんなこんなで、ティーダはすっかり忘れていた。
途中で見かけた男=スコールのことを。
置いてきたエアリスとギルガメッシュのことを。
そして、3人はついに気付かなかった。
吹き飛ばされた岩の下敷きになった、アーサーの死体に。
【マリベル/ラグナ(両膝から下を消失・重傷)/ティーダ
現在位置:ロンダルキア台地・洞窟の入り口近辺
所持武器:エルフィンボウ・いかづちの杖・エドガーのメモ/参加者リスト/無し
行動方針:ラグナの治療・首輪を外してゲームを抜ける】
【エアリス/ギルガメッシュ/ 所持武器:癒しの杖/無し/
現在位置:ロンダルキアの洞窟6階 行動方針:洞窟を出る&缶キリを探す】
【スコール(負傷)/リノア 所持武器:真実のオーブ/妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1
現在位置:ロンダルキアの洞窟6階 行動方針:?/スコールに着いていく 洞窟を抜ける方針で】
(アーサーの死体及び所持品は、吹き飛ばされた岩に覆い隠されました)
209:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/12/05 11:46
そろそろ橋が見えるころだ。
地図を眺めながらリバストは思う。
そのときは以後から何者家の気配を感じた。
…後ろから何者かやってくる。
…速い!
リバストが振り向くとそこには巨大な鳥…チョコボというが本人は知らない…に乗った男、オルテガがいた。
先ほどあった者…パパスのことだが…とはまた違った雰囲気を持つ男。
「ちょっと、聞きたいことがあるんだが。」
「なんだ?」
オルテガはチョコボから降りながら言った。
「アルスと呼ばれていた青年を見なかったか?」
「いや、見ていないが。」
「…そうか、わざわざ呼び止めてすまなかった。」
「嘘をついているとは思わないのか?」
「あんたは嘘をつける男ではないと思うが。」
なるほど、この男も「勇者」であるのだろうな。リバストは確信した。
「…祠に行くんだが乗っていかないか?」
クエッ?とチョコボが言う。しばらくすると納得したような表情を見せる。二人乗りは大丈夫らしい。
「私は神殿に行くつもりなんだが…」
「アルスが祠にいなかったら神殿まで足を伸ばすつもりだ。行き先は同じだろう。ならば乗っていくがいい。」
「じゃあ、言葉に甘えさせてもらおうか。」
オルテガがチョコボに飛び乗る、リバストも乗る。
「じゃあ、行くぞ。」
歩くスピードの何倍もの速さでチョコボは平原を駆けていった。
【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:平原北 行動方針:祠へ】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:平原北 行動方針:神殿へ】
チョコボが一匹ともにいます。
210:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/12/06 00:26
慟哭が響いて行く、笛を握り締め、死体すら残さずに消えた仲間の為に、若僧の慟哭がただ響いて行く。
「親友だったのだな?」
頷く若僧。
「仲間は残っているのか?」
「…ああ」
ふむ、引き込めるやもしれんな。
「で、どうするのだ?」
「え…?」
返答に窮している様だな。
「我々と共にゲームを抜けるのか、残った仲間も切り捨てて生き残るのか、そう聞いている。」
他の道も無い訳では無いのだが、そんな余計なことは言わん。
「本当に他の道があったらそっちに乗るんだな?」
「無論。」
ゲームをぶち壊しに出来るのなら文句は無い、そんな方法があればの話だがな。
「仲間も一緒に脱出できるのか?」
「可能だ。」
その時まで生き残っていれば、な。
「わしはハーゴン、こっちがマゴット、貴様はなんと言うのだ、若僧。」
「……ジダン。」
……ククク、クククククククッ
【ビビ 死亡】
【ジタン: 所持アイテム:仕込み杖、ギザールの笛 現在位置:小島隠し通路
行動方針:ゲームから脱出】
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失)
武器:グロック17、グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
現在位置:隠し通路 行動方針:授業 ゲームの破壊】
【マゴット 武器:死神の鎌 現在位置:隠し通路 行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
211:192-の修正版 1/3
02/12/07 12:25
南西の森─
ティファは2人にクラウドとエアリスを見なかったか聞いてみたが導師とデッシュは見ていなかったし、
また、ティファはエドガーは見ていないかった。
「……そっかあ。」
ティファはため息をついた。
「まあ、しかたねえな。それはそれとして、あいつのボディ面白そうだな。」
デッシュはティファの方に視線を向ける。
「へ?」
「い、いや、あんたじゃない。後ろにあるさっきの変な機械だ。」
デッシュはキラーマシーンの残骸が気になるようだ。彼は残骸の方に行き、なにやらいじくりはじめた。
「ふんふん。なるほどなー。こいつはどうやら元素の力を必要とする呪文が効きにくいようだな。
道具があればもっとよくわかるんだが。ちょっと調べてみるか……。」
「さっすが、デッシュ!!」
導師は感心する。
「おだてても何もでんぞ。少年。」
「少年ってのやめてよ。僕にはちゃんとした名前があるんだから」
「ああ、わかったわかった。少年。」
「……。」
ティファはクスクスと笑っていた。そして笑ったのはこのゲーム始まって初めてなことにも気が付いた。
『回復もしてもらったし、この人たち、悪い人ではないわね。』
導師は真剣な顔に戻すとティファに向かいこう言った。
「ところで、ティファさんに相談があるんです。」
というと、導師は首輪についての説明をティファに始めた。
「お、おい待てよ!」
デッシュは慌てると、導師の耳元で囁く。
「彼女を巻き込むわけにはいかないって。」
212:192-の修正版 2/3
02/12/07 12:25
導師は2人に向かっていう。
「とりあえず、僕の話を聞いて」
そしてまた、導師は一通り首輪のことや、研究の成果をティファに話した。
「僕とデッシュでこれからも首輪の研究をするんだけど、さっきのように魔法が効かない相手とか出てくるかもしれない、
だから僕とデッシュだとこの先、研究できるかどうか不安があるんだ。
だから、僕達に女性としての知恵を貸して欲しい。そして時には……その、ぼく達を守って欲しいんだ。
そしてもちろん首輪の解除ができたら一緒に逃げよう。」
デッシュが口を挟む。
「ちょっとまて、その時はお前が戦士系にジョブチェンジしとけばいいじゃないか。」
「それはそうなんだけれど…。実はジョブチェンジできないんだよ。」
「な、なんで?」
「理由はわからないんだけど。」
「ちっ、ゾーマのやつめ!!」
デッシュは舌打ちをして、ゾーマへの不快感をあらわにした。
導師は続ける。
「あと、魔法なんだけど、首輪の研究をするにあたり、僕の魔法の力が必要になるかもしれない。
だから、これからは魔法をセーブしなければいけないと思う。」
「なるほどな……。主催者側からも狙われるかも知れないが、俺からもお願いする。」
「お願いします。」
2人は頭を下げ、ティファの反応を窺う。
「……事情はわかりました。そういうことなら是非協力します。」
『そしたら、クラウドやエアリスと脱出できるし、ね。』
「「ありがとう!」」
2人は声を合わせて喜んだ。
213:1
02/12/07 18:20
ソロはまだフライヤの見せた動きが信じられなかった。
完全に捉えていたのだ。
剣を振り下ろせば体を真っ二つにした死体のできあがり、のはずだった。
あんな速度で動く魔物など見たことない。
(負けるわけがない、負けるはずがないんだ)
落ち着きを取り戻さなければならない。
ゆっくり息を吸い込んで、一気に吐き出す。 繰り返すこと数回。
フライヤを見据える。まるで肩一つ揺れていない。厚い毛に覆われた顔から鋭い視線を感じる。
(くっ……)
フライヤの恐ろしいほどの冷静さを前にソロは再び動揺した。それを見透かせられまいと、己を鼓舞する
ために声を上げる。
「僕は世界で唯一人の勇者だ! 僕だけが特別なんだ。 シンシアたちは僕が勇者だと
信じて死んでいったんだ!」
剣を握る手に汗が滲む。
ソロの体は燃え上がる程の気迫で包まれた。周りの空気もそれに呼応するかのように熱くなる。
「えええいっ!」
肌を突き刺すような殺気がソロの全身からほとばしる。 そばで見ていたピエールは圧倒された。
フライヤは飽くまでもその殺気を冷静に受け流す―
ソロが全速で駆ける。 魔物めえ、今度こそ!! 剣を握る手に一層力を込めた。
喉元を狙った必殺の突き。
だがフライヤは退がらず、前に出た!
(なっ、右でも左でもなく…)
一瞬の躊躇。 突然フライヤが目の前から消えた。冷たいものが足元に滑り込んでくるような感覚を覚える。
その瞬間、腹が爆発したかのように熱くなった。
「がはっ……」
姿が消えたように見えたのは下に潜り込んだため。
フライヤの拳がソロの腹にめり込んでいた。
214:2
02/12/07 18:21
猛烈に熱いものが喉をつきあげてくる。
めり込んだ拳がまだ離れない。 剣を振るおうにも力が入らない。
どん、と空いた手でフライヤがおもいっきりソロを突き飛ばす。
「うげえっ!」ソロは胃の内容物を吐き散らしながら後方に転がっていった。
「勝負あった……」
ソロが倒れたまま動かないのを見て、ピエールはフライヤのもとへ駆け寄る。
「あまりに殺気を出しすぎるから、こちらもつい力が入ってしまった……」
フライヤは少し後悔した。まだソロは腹を押さえて呻いている。
「彼はどうします?」
「細かい事情はわからぬが……何やら自分に不満があって暴走しているのではないか」
フライヤは先程の戦いでソロが洩らした言葉だけで、彼のことがわかったような気がしていた。
「放っておくのは危険じゃ。今度こそ誰かを、いや既に人を殺めているやもしれぬ。
この場で息の根を止めておく」
それを聞いてピエールの顔が一瞬険しくなる。
「と言いたいところじゃが、それでは私も同じになってしまう。 武器を取り上げておけばよいじゃろ
それに、よく見ればまだ子供じゃ」
ピエールはほっとしたように、
「承知しました。やはり貴女は勇猛なだけの方ではなかった……」
ピエールは片膝をついて(スライムの上で)、王族に挨拶するが如くうやうやしく礼をした。
「フライヤ様、このピエール、御身の為に命を懸ける所存であります」
「ど、どうしたのだ、ピエール殿」
フライヤは目を丸くして驚いた。 冗談で言っているようには見えない。
「ピエール殿、頭を上げるのじゃ。その、ジタンたちはどうしたか」
しどろもどろになっていると、突然動物のような唸り声が耳を打った。
ハッとなって身構えた。 ピエールもたちまち警戒の姿勢を見せる。
声の主はソロだとすぐにわかった。 獲物を狙う野獣のような視線が二人に向けられた。
215:3
02/12/07 18:22
「魔物ども…怪物どもめ! どうしてさっさと殺さない。 僕を生かしておいたことを後悔させてやる」
全身を自分の吐いた汚物に塗れながら、ソロは血走った目で威嚇する。
その姿こそまさに怪物そのものなのだが。
「まだやる気か」
ソロはエンハンスソードを持とうとすらせず、ただ体をぶるぶると震わせている。
凄まじい殺気は前と変わらない。 だが今度はフライヤも冷静ではいられなかった。
体にのしかかる圧迫感。 全身の毛が逆立つ感覚はこの男におぞ気を感じるから…?
いや、重力に逆らい直立する毛並みは現実のもの! フライヤは天を見上げた。考えられるのは一つ。
「ピエール殿、珊瑚の剣を私に!」
フライヤは飛翔した。逃げるのではなく受け止めるために。
ソロの慢心を打ち砕くために。
ピエールはフライヤのやることに間違いはないと確信していた。だからこそ躊躇いなく自分の剣を投げ渡す。
空中で受け取った珊瑚の剣はフライヤの意図によって逆手で握られ、ある構えを作り出した。
「ライデイーンッ!」
ソロは喉が千切れるほどの声で叫んだ。空に立ち込める暗雲にたちまち雷が走る。
「黒コゲになって落ちろおっ!」
轟音が域内に響き渡る。稲妻はフライヤの腕部を直撃した。 ―確かにそう見えた。
「……!?」
勝ち誇った表情のソロの目に驚愕の映像が飛び込んでくる。 認めるはずのない現実。
雷神がフライヤに味方した。 電流を帯びた珊瑚の剣は雷神の息吹に姿を変えていた。
そのまま逆手に構えた珊瑚の剣を全力で前に振り出せば、完成。
ライデインストラッシュ。
216:4
02/12/07 18:23
「終わりじゃ。行こう、ピエール殿」
フライヤは背を向けてさっさと歩き始めた。
「フ、フライヤ殿、終わりとはどういうことですか?」
ピエールはソロが棒きれのように突っ立っているのを見た。
「あとは自分自身の問題じゃ」
フライヤは立ち止まらなかった。
後ろの方で、なぎ倒された樹木がぶすぶすと燻っている。
髪にべっとりと付着した汚物の甘酸っぱい臭いが鼻をつく。
その不快感を堪えながら、ソロは叫んだ。
「僕は、勇者なんだ! 世界でたった一人の……ううっ、勇者なんだ」
自分が何者であるか確かめるように叫ぶ。 その目に涙を浮かべて。
「でも、今は……」
ソロは血で汚れたエンハンスソードを曇る目で見つめた。
自分を見失った代償はあまりにも大きかった。
【フライヤ、ピエール 行動方針:ジタンたちを探す 所持武器:エストック、珊瑚の剣
ソロ 行動方針:なし 所持武器:スーツケース核爆弾、エンハンスソード 現在位置:ロンダルキア南】
217:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/12/07 21:51
祠から飛び出した陰が二つ。
バッツとクーパーである。
西の橋を抜けて北の森へ──
最初の橋を抜けたところでとある女性とすれ違う。
思わずバッツが振り返るほど美しい、ミレーユである。
神秘的は魅力をもつ彼女に思わず足を止めたが、すぐに再び駆け出した。
二人はミレーユを美しい、としか認識しなかったが、彼女がすでに死んでしまっている探し人の場所を知っているということを二人は知らない。
どうやって知ることができようか。
片や、ミレーユ。
今すれ違ったバッツが占いに出ていた人たちの探し求める相手であることは知らない。
彼女の占いではそこまで詳しいことは見えなかったのである。
そして、今はすれ違った相手に気をかける余裕なんてなかった。
とにかく、走り抜けていた。
アモスの守ろうとした友を彼に代わって守るために。
求めるところは同じでも、どこか、すれ違っていた。
【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾 現在位置:ロンタルギアの西の橋から北へ
行動方針:アリーナ(アニー)、レナ、ファリス、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す。最終的にはゲームを抜ける】
【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・水筒1.5ℓ 現在位置:ロンダルキアの西の橋から南へ 東部の森へと向かう 行動方針:占いで見た人に会う(ロック、エリア)】
218:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/12/12 23:33 37/Skxbx
支援サゲ
219:1/3
02/12/14 23:49 aHyrUvLj
バッツとクーパーが祠を出てから、もう二時間がたとうとしていた。
辺りは木が鬱蒼と生い茂っており、雪原のように雪が白く輝くこともない。
ただただ肌寒く、昼だというのに森の中はひどく暗かった。
それが関係しているのかはわからないが、
この間彼らに会話がなされることはほとんどなかった。
といって、二人の仲が拗れたわけではない。
短い時間とはいえこの異常な状態の中で共に暮らしていた二人は、既に沈黙なが苦になるような間柄ではなかった。
もっとも、時が経つに連れてバッツの顔が少しずつ険しくなっていくものだから、クーパーとしても話し掛けづらかったのかもしれない。
しかし北の森の中央部のあたりで、バッツは急に立ち止まったかと思うと空を仰いで言った。
「なあクーパー、俺、思うんだ」
なんの脈絡もない話にクーパーは目をぱちくりとさせたが、構わずに続けた。
「実は全部悪い夢なんじゃないかって」
バッツはクーパーの方へと向き直った。
「ほんとは、俺は今頃森の中で野宿してるんだ。
タイクーンにいって、レナやファリスたちと会うために。
そしてさ、着いたら、みんなと笑って最近のことを話すんだ。
クルルは相変わらずガキで。レナはしっかりしてるけど、でもどこか抜けてて。
ファリスは全然王女って柄じゃなくて、それを俺がからかうと怒るんだよ。
そのくせ、王女なんて嫌だっていうんだよな。
うん、それで、田舎には幼馴染みのあいつらがいて、暖かく俺のことを迎えてくれる。
おやじたちの墓参りをしたあと、ボコと、またどこか旅にいく…」
そこまで一気に話すと、バッツは俯いて、
それを見やりながら、クーパーも口を開いた。
名前を聞いても誰かはわからなかったが、それがバッツにとってどういう存在なのかはわかる。
「僕も、同じようなこと考えたよ。でも…」
クーパーは須臾躊躇ったが、はっきりといった。
「これはやっぱり、夢じゃないよ」
220:2/3
02/12/14 23:55 aHyrUvLj
その声はやや絶望的な色を帯びていたものの、同時に現実から逃げることのない力強さも感じられる。
バッツは溜息をつきながらクーパーを見やると、クーパーはなにか思い出しているように見えた。
元の世界のことを思い出していたのか、それともいつかの夢のことを思い出していたのか、それとも…
――ああ、そうだったな。クーパーはもう、大事な人を、一人失ってるんだ。
バッツは再び空を見た。
視界のほとんどは木で埋まってしまっけれど、辛うじて一部の青を見ることができる。
腰にささっている剣は最初ほどではないにせよ燦然と輝くなどということはなく、
そして今の自分ではこれ以上の光は欣求したところで得ることはできないだろうと諦観していた。
現段階では恐らく、クーパーの方が持ち主としては相応しいであろう。
バッツはそんな自分に対して苛立ちを僅かに感じていた。
こんな気持ちになったのは、彼らの気の持ちようの違いからきたのかもしれない。
自身が生き延びることよりもあの姉妹の命のほうが、天秤にかけるまでもなくバッツにとっては重かった。
ゲームを脱出することだって、彼女らを助けるという前提条件によるものである。
もっとも、現在のところ肝心の脱出手段が暗中模索の状態ではあるのだが…。
なんにせよ、彼にとって己の命に対する興味はさほどなかったといってよい。
そしてそれは、最初に懊悩したように自分の死を悲しむ人がいないと思いこんだ故に他ならないのだが、
今にしてみると、少なくともこの少年やパパス、祠においてきた皆がいる間は、
いかなることがあろうとも生きていたいという気持ちも少しずつではあるが彼の中にも生じてきた。
後はそれを決定づける「何か」が必要なのである。
無論、レナやファリスに会えば心情的な打開の道は開けただろうが、もはやそれも叶わぬことだ。
彼らが知る由もないが、既に二人とも逝去している残酷な訃音がもうすぐに伝えられる。
そのときが彼、バッツ自身にとって一つ目の山場となるに相違ない。
「レナとファリスの生存」という彼にとって不変の真理にも近かったそれが否定されるのだ。
221:3/3
02/12/14 23:59 aHyrUvLj
さらにやはりこの大地の神というのは相当に意地が悪いらしく、
先のミレーユとの遭遇の件もそうであったように、彼らが祠を南ではなく北へといったのもまた運命の擦れ違いである。
もしも南へと進んでいたならば、悲劇を知らされるまでに今もっとも会うべき人物に会うことができたであろう。
しかしながら、どのような運命にあっても彼はそれに抗しなければならない。
それこそがクリスタルに導かれたる戦士の所以なのだから。
しかしながら、どのような運命にあっても彼はそれに抗しなければならない。
それこそがクリスタルに導かれたる戦士の所以なのだから。
刹那、バッツはクーパーを見ると、視線を森の奥へ戻していった。
「放送までにはまだ時間があるはずだ。このまま、南の城へ行こう」
現実には、放送までの時間などほんのわずかなのだが、放送回数が増えたことなどを知るべくもなかった。
ただバッツたちが南へと向かうのは、性悪の神もようやくにして悪戯心をおこしたからだろうか?
そこには少なからず運命的な出会いがあるかもしれない。
もっとも、この冷ややかな地の主が最後まで気が変わることがなければ、だが…。
しかし、この鮮やかな雪原こそ不変のように見える中、それはきっと杞憂であろう、恐らく、多分。
【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾 現在位置:ロンタルギアの北西の森から南へ(中央の砂漠を通る)
行動方針:アリーナ(アニー)、レナ、ファリス、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す。最終的にはゲームを抜ける】
222:スラリソ ◆5VrxCs/8kA
02/12/15 00:08 g29TtPjW
ゾーマの城。
相も変わらず外には稲妻が轟いている。
稲光で見える影は他ではないゾーマそのもの。
悠然と構えるゾーマは何を考えるだろうか。
傍らにはバラモスゾンビの影はない。どこかにいるだろうか。
バラモスゾンビの姿はない。どこかにいるだろうか。
「頃合だな。」
ゾーマは立ち上がり、水晶玉に念をこめる。
「参加者の諸君。如何過ごしているか…?
中々に頑張っているではないか。
今現在ちょうど正午、だな。…まだ日も長い、精々凍えぬようにな。
闇の中におちた参加者の名を読み上げる。
「アモス」「ホイミン」「イリーナ」「レナ」「ファリス」「アーサー」「ビビ」
以上である。
次に、禁止呪文、魔法を読み上げる。
「アストロン」「メテオ」「コメテオ」「コメット」「クエイク」
以上である。
我が名はゾーマ。
我こそすべてを滅ぼす者…」
(時刻が正午を過ぎました。)
223:スラリソ ◆5VrxCs/8kA
02/12/15 19:58 g29TtPjW
放送直後のこと。
静かな雪原。
静寂が辺りを包む。
ボコッ…!
突如何もない雪原から手が現れる。
ゆっくりとその身を現わす。
旗から見ればゾンビと思えなくはない。
…いや、実際ゾンビなんだけど。
とんぬらの姿はない。近くにもいない。真っ白の雪原には足跡はないからだ。
かなりの雪崩だったがどうやらあまり流されてはいない。
彼女はそんなことを気に留めることなくとんぬらを求めるようにふらふらと歩き出した。
懐にしまってあったマンイーターはあの雪崩でどこかに流れてしまった。
…今の彼女にとってさほど大きな問題ではないのだけど。
「…待て。」
アイラは振り返る。
アグリアスも埋もれた雪の下から姿を現した。
遠くなりそうな意識をオヴェリアへの忠誠心のみで繋ぎ止めここに現る。
相手は一人、先ほどの奇襲はあの女のために失敗した。
悪い作戦ではなかった。確かに裏をかいたのだから。
アグリアスはダイヤソードを構える。
相手は丸腰、だが油断はしない。
224:スラリソ ◆5VrxCs/8kA
02/12/15 19:59 g29TtPjW
「大気乱す力震え…」
仕掛けようと行動を先に起こしたのはアグリアス。ダイヤソードに氣を込める。間合いは十分。
氣を放出するその瞬間、彼女は何気なく目を瞑る。次の瞬間。
「うっ!?」
顔面に雪玉が直撃する。アイラの石つぶてならぬ雪つぶて。放出されるべき氣が散開する。
雪で足がもつれる。アグリアスが雪を払ったそのときにはすでにアイラは一気に間合いを詰めていた。
ムーンサルトで迫る。アグリアスの剣は完全に引かれていた。剣を構えるも…すでに遅い。
胸部に食らって派手に吹っ飛ぶ。
再び深い雪に身を沈める。
急いで身を起こすもすでにアグリアスの敗北は確定していた。
手に感触がない。ダイアソードが宙を舞う。
それは剣がアグリアスを拒絶したのか。
たとえ、その身が呪いで蝕まれていたとしても、たとえ、守るべき主君がすでに亡くとも…
守ること、救うことを忘れない者を剣は選ぶというのか。
ダイアソードはアイラの手に渡った。
すぐさまアイラは剣の舞を繰り出す。
アグリアスに刃が届かんとした刹那。アグリアスは詠唱を完了していた。
ヘイスト。
間合いを取り一気に背を向ける。
「…情けないっ!」
それは自分の何に対しての言葉か。アグリアスは逃げ出した。たとえなんであろうとも生きなければならなかったからだ。
静かに見送るアイラ。アイラは追撃の意思はなかった。…と、言うか、今はとんぬらに会うことが彼女にとっての最優先事項であったからだ。
アイラはアグリアスとは全くの反対方向、山を下っていった。
【アイラ(ゾンビ) 所持武器:ダイアソード 死者の指輪 現在位置:祠西の山脈中腹付近→山を下る
行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらを探していく。死者の指輪が外れたら???】
(マンイーターはどこかに流れていった。見つけるのは至難の業。)
【アグリアス(ヘイスト) ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法 装備武器:スリングショット なべのふた
現在位置:祠西の山岳地帯中腹→山を登る 行動方針:ゲームにのる】
225:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/12/15 22:10 b4dgtlEy
「……ざっと、片付いたか。」
「どういう意味だよ?」
「わしの部下も、宿敵も、皆逝ってしまった。それだけの事だ。」
うん?どうした?二人供何を妙な顔をしておる?
「………」
「部下の方はこのゲームの前に壊滅しておる、だいたいわしは部下の為に貴様に協力した訳ではない。」
「じゃあ何であんたみたいな悪党がこんな真似をしてるんだ?」
失礼な奴だな。
「第一に、わしの世界ではこんなゲームの話は聞いた事が無い、つまり奴等のいう事は信用できない。
第二に、わしは唯々諾々とこんなゲームの駒になれる程腑抜けではない。」
奴等にわしの真意を知られる訳にはいかん、この程度の方便は使わせて貰うぞ。
「………で、どうするんだ?」
「今日は呪文を使い過ぎた、神殿に引き返して明日に備える。」
「そんなチンタラやってたらっ!」
「失敗は許されんのだっ!慎重に振舞って何が悪い!」
大体だな、貴様があんな所で凍ってなければメラミやメラを使わずに済んだのだぞ?
「……それに神殿まで戻れば上手くすれば1人分ぐらいは確保できるあてがある、今は黙って付いて来い。」
若干の装備の交換を行った後、我々は神殿に移動を開始した。
【ジタン: 所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:小島隠し通路
行動方針:ゲームから脱出】
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失)
武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
現在位置:隠し通路 行動方針:授業 ゲームの破壊】
【マゴット(MP減少) 武器:死神の鎌 現在位置:隠し通路 行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
226:スラリソ ◆5VrxCs/8kA
02/12/16 00:09 NWwOoaqg
《午前11時40分前後の話》
どぅんっ!どどどどぅんっ!
遠慮のない、耳障りな音がロックの鼓膜を打ち付けた。
身体を隠す大木の幹に、小さな穴が大量に生まれる。
(くそ…もう何時間こうしてるんだ…。)
大木をかりそめの盾としていたロックが、小さく舌打ちして木の陰から飛んだ。
木の陰から木の陰へ飛ぶ一瞬の間に、大量の弾丸と黒の爆圧が彼を追いかける。
クイックシルバーに残った弾丸を全て…正真正銘、全て敵に向かって吐き出させながらソレを回避し、隠れる。
ぜぇぜぇと息を荒らげながら、ロックはクイックシルバーを投げ捨てた。
もう一発も入っていない。弾の入っていない銃など、ただの鉄の塊に過ぎない。
「ちくしょう……。」
もう一度、うめく。今度は声に出して。
コレまでずっと、隠れながらの弾丸の交換を繰り返していた。
ロックのクイックシルバーと敵…黒衣の騎士セシルのギガスマッシャーと暗黒波はお互いを殺そうと幾度も牙を剥き…
結局、ここまで一度もソレをなしえなかった。
ロックがここまで生きていられた…それも、無傷で生きていられたのは、彼の実力とソレに数倍する運のたまものだろう。
だが、彼が闘っている暗黒騎士…セシルの場合、その比率は逆転する。つまり、彼の運とそれに数倍する実力。
「何とか逃げ切らないと…。」
身体を庇う木が、無数の弾丸の洗礼にさらされているのを感じながら、ロックは逃げ切るための思考を始めた。
227:スラリソ ◆5VrxCs/8kA
02/12/16 00:09 NWwOoaqg
右手に掴んだ巨大な銃が、何の遠慮もなく怒声を発し、そして怒声は弾丸となって敵が隠れた木の幹をえぐり取る。
ただひたすらに敵を殺すべく、暗黒騎士セシルは弾丸を撃ち続けていた。
今戦っている…と言うにはやや一方的だが…バンダナの男、ロックはよく頑張っていると言えた。
もう三時間近く、危険な賭けに出る事もなくただひたすらに隙をうかがい続ける。並みの人間に出来る事ではない。
だが、それももう終わりだ。
ロックが、弾を撃ち尽くしたクイックシルバーを捨てるのをセシルは見た。
敵には銃がない。おまけに魔法を使える様子もない。だがこちらには銃と…暗黒の力がある。
「もらった…!」
セシルはもう一度、ギガスマッシャーに弾丸の怒声をあげさせるべく指に力を込めた。
…それから数分が過ぎて…ロックが、動いた。
再び別の木の陰へ飛び出し、隠れようとする。
だが、それを見逃すほどセシルはうかつではないし、寛容でもない。
「終わりだ!」
叫び、引き金を引く。
撃ち放たれた弾丸がロックの身体を浅く引き裂くのが見えた。
そして、ロックがこちらに何かを投げつけるのが見えた。
そして、セシルの視界はいきなり白に閉ざされた。ものすごい重量と共に。
うまくいった!
身体を鉄の飛礫に引き裂かれた痛みを強引に無視して、ロックは歓声を上げた。
ついさっきまでセシルが立っていた位置には、こんもりとした雪の山が出来ている。
その足下には、アモスのミスリルシールド。その後ろには、雪化粧を落としてスッキリした巨木が一本。
ロックの投げたシールドはセシルの後ろの巨木に命中し、その衝撃で落ちてきた雪が彼の身体を覆い隠したのだ。
ロックはそれを確認すると、振り返りもせず賭けだした。
エリアの走っていった方に向かって。
228:スラリソ ◆5VrxCs/8kA
02/12/16 00:15 NWwOoaqg
「くそ…。」
セシルは小さく毒づきながら雪の山から這い出した。
まんまとしてやられた。まさかこんな事をするなんて思っても見なかった…甘かった。
セシルは完全に雪山から這い出ると、その場にどっかりと座り込んだ。
暗黒波の撃ちすぎで、体力が消耗していた。
【セシル(やや体力を消耗) 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) ギガスマッシャー
現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方) 行動方針:皆殺し(ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】
【ロック(全身に浅い傷) 所持武器:吹雪の剣 現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方)から北へ
行動方針:エリアを守る】
(弾切れのクイックシルバーとミスリルシールドは森に放置されています)
229:あぼーん
あぼーん
あぼーん
230:スラリソ ◆5VrxCs/8kA
02/12/16 19:45 NWwOoaqg
《午後0時》
「参加者の諸君。如何過ごしているか…?」
突然ロンタルギアの大地に声が響いた。よく知っている声。背筋が冷たくなり、産毛がそそけ立つような…。
「ゾーマ…?」
バッツは、意外そうに言って、立ち止まった。
後ろからついてきているクーパーもそれに習う。
(どうして…)
そんな言葉が、二人の脳裏に同時に過ぎる。
放送のはまだだいぶ先のハズだが…正午?放送の回数が増えたのだろうか?
クーパーはぽかんと空を見上げ、バッツは麻痺しかけた頭を再回転させる。
だが、ソレは…バッツの頭の再回転は…一瞬後に、凍結した。
「闇の中におちた参加者の名を読み上げる。
アモス、ホイミン、イリーナ、レナ、ファリス…」
……空を見上げていたクーパーの身体が、びくりと痙攣した。驚きに。
レナと、ファリス。さっき、バッツが話していた名前…。
まさか。探しに行こうと言う所だったのに。もう、死んでいる?
…放送が終わった。寒々とした声は途切れ、静寂が戻る。
クーパーは、バッツを見た。見ただけで、声をかける事が出来なかった。
バッツの背中が見えた。顔は、表情は見えなかった。
ただ、分かった。彼の周りの空気が一瞬変わったのが。
ゾーマとは違う方向の恐怖を感じる。魔の覇王と相対した時の威圧感ではなく、凶悪な魔物と出会ってしまった時の絶望感。
だが、ソレはすぐにさっと引いていき…戻った、いつものバッツに。いつものバッツを取り巻く空気に。
231:スラリソ ◆5VrxCs/8kA
02/12/16 19:46 NWwOoaqg
恐る恐る、声をかけてみる。何となく…まだ、怖い。バッツが。
「……大丈夫だ。」
バッツは答えた。力強く、だがどこか震えた声で。
バッツがこちらを振り向いた。そして、笑った。いつもの、ただ少しだけ力のない笑顔で。
「泣いたり怒ったりしてるヒマなんて…無いからな。」
「でも……だって…。」
「子供(ガキ)が余計な気を遣うなよ…大丈夫だ…俺は。」
クーパーの頭に、バッツの手がぽんと置かれた。
その表面は冷気で冷え切っていたが、芯からぼんやりとした暖かさが伝わってくる。
だけど、その手は震えていた。ブルブルと小刻みに。恐怖ではなく…怒りに。
「これ以上誰かが死ぬ前に…ってことだ。行くぞ。」
「…うん。」
クーパーは頷いた。頷く事しかできなかった。
それ以外の言葉を今のバッツにかけてしまったら…バッツがどうなってしまうか、分からないから。
今回のゾーマの宣告は…バッツにとって間違いなく最悪の知らせだった。
二人が死んだ?死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ…殺された。
(誰が殺した?)
バッツがバッツ自身に問いかける。答えが分かるはずもないが、それでも問いかける。
そのとたん、バッツの思考は血の赤と闇の黒に向かっていきなり急降下していった。
凄惨な殺戮が脳内で瞬時に展開される。
あの、ゾーマの城にいた全ての顔が、その殺戮の海の中にいた。
広い雪の大地の中央に、綺麗な顔のレナとファリスの身体。もう動かない二人の身体。
その周りに、もはやほとんど原型をとどめぬ死体の山。
死体の誰かが、二人を殺した。死体の全ては、バッツが“壊した”。
(みんな殺してしまえ。)
ゾーマの声が…ゾーマの声色をしたバッツ自身が、バッツにそっと囁いた。
(みんな殺してしまえばいい。その内の誰かは確実に二人を殺した。)
バッツが死体の山を見た。知った顔が…クーパーの、アニーの、このゲームで知った全ての顔があった。
(殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ…)
(止めろ!)
232:スラリソ ◆5VrxCs/8kA
02/12/16 19:48 NWwOoaqg
バッツが絶叫する。喉はすでに用をなさなかったが、それでも心の中で絶叫する。
そのとたん、凄惨な地獄の風景の空想は消え失せ、現実の地獄が目の前に広がった。
どうかなってしまいそうだった。右手が動く。剣を手に取ろうと…。
「バッツ…兄ちゃん…?」
クーパーの不安そうな声が後ろから響き、そのとたん、動こうとした体が止まる。
(そうだよ…クーパーがこんなにしっかりしてるのに、俺がコレじゃ…。)
まだ、やらなければならない事がある。そうだ、やらなけらればならない事が。
「……大丈夫だ。泣いたり怒ったりしてるヒマなんて…無いからな。」
そう返事をしてやる。クーパーを安心させるように、笑顔を作って。
「でも……だって…。」
「子供(ガキ)が余計な気を遣うなよ…大丈夫だ…俺は。」
なるべく平静を装って、バッツは言った。ついでにクーパーの頭を撫でてやる。
「これ以上誰かが死ぬ前に…ってことだ。行くぞ。」
「…うん。」
バッツの言葉にクーパーが応える。
ソレを確認してから、バッツは再び雪原を歩き出した。