07/05/06 12:49:25
③御門くん
「愛菜!周防!」
いつもとは違う、鋭い叫びのような呼び声。
……一瞬耳を疑った。
その声の主のいつもの話し方とはあまりに違っていたから。
「ええと、御門君……?」
「そうそう!」
周防さんが嬉しそうに言う。
(でも、どこにいるんだろ?)
声は聞こえたけれど、姿はまったく見えない。
……一体御門君はどこにいるんだろう?
「冬馬!お前ってばナーイスタイミング!」
「…………お前は」
相変わらずの無表情のまま、ため息のようなものをつく御門君。
「……ひとまず、こっちへ」
御門君のその声と同時に、私たちの前方に光が見えてくる。
「おう、サンキュ!」
「……うっし、愛菜ちゃん、できるだけ飛ばすからしっかりつかまってろよ?」
周防さんは私の肩を抱き寄せ、それから真剣な表情をこちらに向ける。
「それから……あっちにたどり着くまでは、余計なことは考えるな。
途中の幻惑や、囁きに捕らわれてもいけない」
言われて、私は辺りを見回す。
御門君の示してくれた光の標と、私たち以外はただただ暗闇だけ。
……今のところは、特に幻が見えたり聞こえたりはしなかった。
「ここは精神世界。……ましてやここは君の影響が大きい領域だ。
君の答え次第で物事が大きく変わってしまう恐れもある。その後……どうなるかは、正直俺には保障できない」
重々しい周防さんの言葉。
私は……
①「わ、分かりました」
②「それを利用して、さっきみたいにいい方向に変えてはいけないんですか?」
③「変わるって、たとえばどんな風にです?」