選択肢を選んで1000スレ目でエンディングat GGIRL
選択肢を選んで1000スレ目でエンディング - 暇つぶし2ch150:名無しって呼んでいいか?
07/02/14 11:45:44
1、ついて行く

私は頷いてその手をとった。
一郎君が微笑む。
そうして笑うと修二君とそっくりになった。
同じ顔なのに絶対に見間違うことがなかったのは、やっぱり雰囲気がぜんぜん違うからなんだな、とぼんやりと思う。
「足は大丈夫か?」
「うん…」
一郎君と私の間にさっきまであった見えない壁みたいなものが消えている。
一郎君がそれを消してくれたのだと分かる。
今の一郎君なら信じられる、そんな気がした。
私たちはそのまま屋上への階段を上る。
屋上の扉の前までたどり着いたとき、向こう側から誰かが扉を開けた。
それは…

1.修二くん
2.御門くん
3.春樹

151:名無しって呼んでいいか?
07/02/14 15:40:06
3.春樹

「姉さん探したよ。鞄はないのに靴は残ってるしさ…」
私の姿を見てホッとしたように息をついたのもつかの間、春樹はすぐに怖い顔になる。

「お前!姉さんに何をしたんだっ!?」
そういいながら私をかばうように一郎君との間に割ってはいる。
今にも殴りかかりそうな勢いだ。

「春樹?」
春樹の行動の不可解さにあっけにとられたが、すぐに私が泣いているからだと気付く。

「春樹違う!一郎君のせいで泣いてるんじゃないからっ」
「…いや、俺にも原因はある。責められても仕方がない」
「……どういうことだよ。昨日の修二先輩との話にも関係あるのか?」
私の制止と、一郎君の言葉に眉をしかめて春樹が問う。

「修二がどんな話をしたのかは分からないが、おそらく関係あるだろう」
「また、力がどうとかいうのか!?そんな話信じられるとでも?」
「信じる信じないの問題ではない。一部の人間にとっては現実だ」
静かに一郎君が言う。
その静けさに春樹が口をつぐむ。

「大堂、君にもそろそろ分かっているのではないか?」
一郎君が私を見る。
私は…

1「わからない」
2「夢の事?でも…」
3「そんな力はない」

152:名無しって呼んでいいか?
07/02/15 11:28:09
3「そんな力はない」

「そんな力、私には……」
一瞬、夢のことかとも思った。
だけど……あれは内容もよく覚えていない、その瞬間になって初めて認識するような――普通の夢とほとんど変わりがないものだ。

「それは、本当か?本当にそう思って、そう言っているのか」
射抜くような視線。
一郎君は私の”何か”を探るかのようにじっと見つめてくる。

そこには、先ほどまでの柔らかな雰囲気はなくなっていた。
いつもの……硬い壁のようなものを感じる。
(……どうして?)

「わ、私は……」
一郎君への安心感が……この人なら信頼できるという自分の思いが急速に揺らく。薄らいでゆく。
私は一郎君の視線から逃れるように、ただ俯くしかなかった。

「もう、やめてください」
私の声をさえぎるように言葉。
そっと顔を上げる。
春樹が半ば睨み付けるようにして、一郎君をじっと見据えていた。

「力とか、現実とか、関係者とか……仄めかすだけで、ろくに真実を告げようともしない。
姉さんを不安にさせて、あなた達はそんなに楽しいんですか?」
強い、責めるような口調のまま春樹は続ける。
一郎君は、何を言い返すわけでもなくただ冷静にその言葉を受け止めていた。

「確かにあなたたちが何をしようが何を探そうが、おそらく俺には関係ないことなんでしょう。
だけど、何も知らない姉さんを……勝手に巻き込んで、傷つけるのはやめてください」
「春樹……」
春樹は一度だけこちらを振り返って――わずかに苦笑いのような微笑を浮かべた。
そして再び一郎君へと向かい合う。

「もし、あなたたちの勝手な都合で姉さんに何かしようというのなら……傷つけようというのなら、俺はあなたたちを決して許さない」
最後に、はっきりとそう告げた。

誰も何も言わない。
ただただ沈黙が訪れる。

やがて、沈黙を破ったのは一郎君だった。
「……帰るよ。弟さんがいれば大丈夫だろうからね」
春樹から視線をそらすと、大きく息をついた。
それから階段のほうへと歩いていく。

「すまなかったな、大堂……」
すれ違いざまに、一郎君が私に囁いた。
「一郎くっ」
思わず振り返り、その名前を呼ぶ。
しかし引き止める私の声にも足を止めずに、彼は階段を下りていく。

1.一郎君を追いかける
2.春樹と一緒に帰る
3.今は一人にしておいてほしいと言う

153:152
07/02/15 11:32:00
修正ミス orz

×→私の声をさえぎるように言葉。
○→私の声をさえぎるかのような、その言葉。

だいぶ違いすぎます、本当にあ(ry

154:名無しって呼んでいいか?
07/02/15 12:37:06
2.春樹と一緒に帰る

一瞬追いかけるように足が動いたが、追いかけてどうするつもりなのかと冷静な自分が問いかけてきてすぐに止まった。
「…春樹、帰ろう」
全身を覆う脱力感。
「うん」
春樹が私を支える。足も相変わらず痛かったが、それ以上に胸が痛い。

階段を下りながら、もしも、のことを考えてしまう。
もしも、私の力のことが予知夢だったとして、きちんと内容を覚えていたらこんなことにはならなかった?

(分からない)

もし夢を覚えていたら、今日のような事態になることを避けるために私は隆に音楽室で会うことをしなかっただろう。
でも、そうすると予知夢は予知夢ではなくなる。
実現しないただの夢だ。
それなら、覚えていないほうがいいのだろうか?
でもそうなると、やはり意味のない力になる。

でも予知夢を見ることがなければ、今日のように夢で見たのに防ぐことが出来なかった、とやりきれない気持ちになることはなかっただろう。
「……こんな力いらなかった」
思わずつぶやく。

「姉さん?」
つぶやきに私を支える春樹の驚いたような顔。
無性に春樹にすべてを話してみたくなる…

①「春樹、たぶん私の力は…」
②「春樹は未来を知りたいと思う?」
③「なんでもないよ」

155:名無しって呼んでいいか?
07/02/15 16:47:42
③「なんでもないよ」

私はできるだけ笑顔を作ってそう言った。

(全部話しちゃおうなんて……自分が楽になりたいだけだ)
そんな私の衝動的で勝手な思いを、春樹にぶつけるわけには行かない。

「姉さん……?」
春樹が気遣うようにこちらを見る。
「どうしたの?帰ろう?春樹」
私も春樹を見つめ返し、言った。
……そして、私たちは歩き出す。

(ダメだな……私)
隣にいる春樹をちらりと伺いながら、ふと思う。

今までだって、「お姉ちゃんなんだからしっかりしなきゃ」なんて思いながら頼りにしてばかりだった。
春樹は優しくて……いつだって私の味方でいてくれて。
それが嬉しくて、ズルズル甘えてた。

一瞬とはいえ、私の荷物をさらに春樹に背負わせようとしてしまった。

でも、これ以上はダメだ。
これ以上、春樹を巻き込みたくない。
(私だって、春樹を守らなきゃ……)

家までの道のり、私は密かにそう決意していた。



「ふぅ……」
ベッドの中。
天井を見上げながら、小さくため息をつく。

あれから、春樹とはほとんどいつもどおりだった。
夕食を食べて、テレビを見て、話をして。
本当にいつもどおりだった。

……でも、本当は気づいていた。
いつもどおりになるように振舞っていただけだ。
(そうしなきゃ、何かが壊れちゃう気がしたから……)
私も、おそらく……春樹も。


(それにしても、夢か……)
なんとなく眠れなくて、次から次へといろいろ考える。
ううん……なんだか、眠るのが怖かった。

もし本当に、この夢を見ることが一郎君の言う『力』だとしたら――
そして、また今夜も悲しい夢を見てしまったら――

そんな思いが私の中をぐるぐる回って、眠れない。

①気分転換に散歩にでも行こうかな……。
②春樹、まだ起きてるかな……?
③今までのこと、自分なりに整理しておいたほうがいいのかな……。

156:名無しって呼んでいいか?
07/02/15 17:11:03
②春樹、まだ起きてるかな……?

ふと春樹のことが気になって、戸を開け春樹の部屋のほうを見てみる。
まだ電気はついている。
(……だめだめ、春樹は巻き込まないって決めたんだから)

また、春樹に頼りたくなってしまう自分を叱咤する。
でも眠れそうにない。
けれどこのまま部屋にいるといつか眠ってしまう。
(眠りたくない…)

私はため息をついて、部屋を出た。
キッチンへ向かい、水を飲む。
一階にはすでに人はいない。静まり返っている。
キッチンを出て、薄暗いリビングへ移動した。
電気はつけず、リビングから庭を眺めた。
「きれい……」
雲のない夜空。半分くらい膨らんだ月が静かにあたりを照らしている。

ふと、その月明かりの下何かが動いた。
(何……)
目を凝らしてみると、そこには人が…
それは…

1.御門くん
2.修二くん
3.隆

157:156
07/02/15 17:12:58
6行目の「でも眠れそうにない。」はみすです。
読むときは飛ばしてくださいorz

158:名無しって呼んでいいか?
07/02/15 18:58:03
1.御門くん

御門くんがいた。

「……」
もう夜も遅いのに制服姿のまま。
その横顔には何の表情も映さずに、ぼんやりと月を見上げている。

(一人ぼっちで、どうしてそこに立っているの……?)

こんな時間だからなのか、人通りなんて全然ない。
ただ一人、御門くんだけがそこに存在していた。

……私は一瞬、自分が何かの芝居を見ている観客であるかのような錯覚に陥る。

月はスポットライト。
道路は舞台。
役者は御門くん。

(なんだか、不思議な感じ……)

最近の出来事や今の状況から考えれば、人を呼ぶべきなんだと思う。
だけど、この静かで不思議な雰囲気のせいか……私は判断に迷った。

私はどうするべきなんだろう?

この雰囲気を壊してでも、彼に近づいて話を聞くべきか。
見なかったことにして、部屋に戻るべきか。
それとも、念のため誰か人を呼ぶべきか。

私の選択は、

①声をかける
②部屋に戻る
③人を呼ぶ

159:名無しって呼んでいいか?
07/02/15 21:24:18
①声をかける

どうしようか一瞬迷う。
部屋に戻ると眠ってしまう。
人を呼ぶといっても、春樹には迷惑をかけたくない。

「こんばんは御門君、何をしているの?」
結果私はリビングの戸を開けて御門君に声をかけている。

「月を見ています」
そんなに話したことがあるわけではないが、珍しくすぐに答えが返って来た。
視線は月から離れない。

「今日の月は綺麗ね」
私も月を見上げる。

「今日の月は泣いています」
月を見上げたまま相変わらず感情の伺えない顔と声。

「……月の気持ちがわかるのは御門君の力なの?」
月を見上げながら不思議なことを言う御門君に、私は視線を御門君に移す。
「いいえ」
御門君はあっさりと否定して、月から私へ顔を向けた。
月明かりの下、すべてが幻のように現実感がない。

(御門君はきっと何かを知っている…)
それは確信。
じっと見つめられる。いつもこうして見つめられる。
答えが返ってくるとは限らない。
むしろはぐらかされる確立のほうが高い。
私は…

①「御門君の力は何?」
②「御門君も私を狙っているの?」
③「どうしていつもそんな目で私を見るの?」

160:名無しって呼んでいいか?
07/02/15 22:10:07
③「どうしていつもそんな目で私を見るの?」

「……」
私が問うと、御門君は私を見つめたまま黙り込んだ。
そして、そっと自分の胸元に手を差し入れる。
そこから取り出した金属片。

近くで見て、初めてそれが何であるのかを認識した。
――それは小さなロケット。
私も御門君も、それをじっと見つめていた。

「確かめているからです」
やがて、ロケットを包み込むようにして握り締めながら御門君は言う。
「何……を?」
「あなたをです」
「私?」
私が自分を指差すと、御門君は頷く。

(私を確かめる?どういうこと?)
言葉の意味がよくわからなくて、首をかしげる。

私の様子を特に気にした風もなく、御門君はさらに言葉を続ける。
「あなたは変わらない人なのですね。
……記憶に刻まれたままの、そのままの人のようです」
(記憶のまま?)
そこで、また疑問が増える。

私と御門君は、昨日以前にどこかであったことがあるのだろうか?
……それにしては、言い回しがおかしい気がする。
自分のことを話しているわけではなく、誰かから聞いたことを話しているような…・・・そんな感じ。

御門君は、まだ立ち去る様子は無い。
私は質問を続けることにした。

1、「御門君は誰かから私のことを聞いていたの?」
2、「御門君は私を確かめてどうするつもりなの?」
3、「御門君がなにかと私の傍にいるのは偶然じゃないよね?」

161:名無しって呼んでいいか?
07/02/15 23:36:32
2、「御門君は私を確かめてどうするつもりなの?」

「…………」
御門君は沈黙する。
すいっと私から月へと視線を移す。
しばらく月を眺めてまた私に視線を戻した。

「わかりません」
御門君の言葉はある意味予想通りであり、まったく違ってもいた。
明確な答えが返ってこないことは予想通り。
「わからない」と言われたことが予想外だ。
御門君にはわからないことなど存在しないとなぜか思ってしまう。

しばらく無言で見つめあう。
そうして何を確かめようとしているのだろう。
(何を確かめようとしているの?)
そう口に出そうとしたとき、カタンと小さな音がする。
普段なら、聞き逃すような小さな音。
けれど静かな夜、それは思いのほか大きく聞こえた。

音のした方を見上げると部屋の窓から春樹がこちらを見下ろしていた。
「姉さん?声が聞こえると思ったら…なにしてるんだよ?」

私はあわてて御門君を見る。
(……!居ない………)
さっきまでそこに居た御門君は居なかった。
春樹にはなんて言おう…

①「…………」
②「月を見ていたんだ」
③「さっきまで今朝話した御門君がいたの」

162:名無しって呼んでいいか?
07/02/16 00:43:15
②「月を見ていたんだ」

こんな夜更けに人と会っていたなんて言えば、春樹が心配してしまう。
私はとっさに嘘をついた。

春樹は私の言葉につられる様に、夜空を仰ぎ見る。
そして、また私に向き直った。
「姉さん。月を見るのもいいけど、ほどほどにして寝ないと明日が辛いよ」
「うん、わかってる」
「怪我もしているんだし、早く寝なよ」
「うん。おやすみ、春樹」

ようやく納得したのか、春樹の姿が消えると、窓の閉まる音がした。
それにしても……さっきまでいた御門君はどこへ行ったんだろう。
まるで、月明かりの中で幻でもみているようだったな。

春樹が言っていたように、もうそろそろ寝ないと明日が辛そうだ。
私は部屋に戻ってベッドに入る。
眠らなきゃいけない。でも眠れるかなのかな。

私は……
①今日のことを振り返る
②無理をしてでも寝る
③もう一度外を見る

163:名無しって呼んでいいか?
07/02/16 07:21:22
③もう一度外を見る

私は視線だけを窓の外にやる。
カーテンが開いたままの窓からは空しか見えなかった。

おそらく御門君はもう庭にはいないのだろう。

空を見れば、月がまだ浮かんでいた。
「今日の月は泣いています……か」
御門君が言った言葉を思い出す。
私にはいつもと変わらない綺麗な月に見える。
(どうして御門君はそんなことを思ったんだろう?)

それからいろいろと考えているうちに、だんだんと意識が薄れていく。
不思議と夢に対する恐怖はあまりなくなっていた。

その日、私はまた夢を見る。

1、春樹の夢
2、一郎君の夢
3、御門君の夢

164:名無しって呼んでいいか?
07/02/16 07:50:13
3、御門君の夢

御門君の姿があった。
相変わらずの無表情のまま、私をじっと見つめている。

「……あなたが逃げずに、立ち向かうというなら」
言葉とともに、ゆっくりと御門君が私の前に跪く。

「あの人との約束だけではなく、僕自身の意思で……
僕があなたを守ります」
私をまっすぐ見上げて、静かに……だけど力強く宣言する。

(あの人……?あの人って、誰?)
私が疑問に思っている間にも、夢の中の出来事は続いていく。

「愛菜……僕の主」
微かに……本当に微かにだけど、御門君が微笑んだ気がした。

(え?)
私が思わず見入っていると、御門君はそのまま私の手を取る。

「あなたの望みのままに」
そして、私の手の甲に唇を寄せた――


そこで、目が覚めた。
窓から差し込む陽光が眩しい。
ぼんやりしたままの頭で辺りを見回す。
見慣れた私のベッド。枕。部屋。
「夢……また、夢だ……」
大きくため息をついて呟く。

(あれ……?)
そこで、ふと気がついた。
今日の夢、いつもに比べて…

1.内容が鮮明だった気がする
2.悲しくない夢だった気がする
3.感覚がリアルだった気がする

165:名無しって呼んでいいか?
07/02/16 08:40:25
3.感覚がリアルだった気がする

手を取られた。優しく、暖かな手。
ふと自分の右手を見る。
(あれ…?)

右の中指の爪に小さな赤いアザ。
(昨日まではなかったはず…、どこかにぶつけた?)

でも、ぶつけたくらいで爪にアザなんかできるだろうか?
まじまじと見る。三日月型のアザだ。
『守ります』
ふっと、御門くんの姿が脳裏に浮かぶ。
(御門くん……主……夢?)
フラッシュバック。
「夢じゃ、ない……?」
少なくともいつもの予知夢ではない。

「姉さん起きてる?」
そのときノックとともに春樹の声。

「あ、うん。起きてる」
「入るよ」
そう断って、春樹が入ってくる。

「足はどう?」
まだベッドの上に居る私に、春樹が心配そうに尋ねてくる。

「だいぶいいよ」
「そう、良かった……」
一瞬の沈黙。

「……姉さん、今日は休んだら?やっぱり一日安静にしてたほうがいいと思うんだ」
春樹が目を伏せて言う。
その仕草で、春樹が私を心配しているのだとわかる。
(昨日いろいろあったしね……)
心配するなという方が無理なのかもしれない。
私は…

1.学校を休む
2.学校へ行く
3.考える

166:名無しって呼んでいいか?
07/02/18 18:02:02
1.学校を休む

最近、いろいろありすぎてとても疲れていた。
何よりも今までの出来事を自分なりに考える時間がほしい。

「うん、今日は学校を休むことにするよ」
「俺もその方がいいと思う。た・だ・し」

春樹は私の目の前に指を突き出す。
「必ず安静にしておくように」

(やっぱり、春樹にすごく心配されてる…)
「信用ないなぁ。この足じゃ、無理なんて出来ないよ。ていうか、春樹は心配し過ぎ」
私は春樹の突き出された指を掴んでひねってみた。
「いてて!痛いな……何するんだよ!?」

①「弟のくせに生意気だからよ」
②「心配してくれて、ありがとう」
③「私は平気だから、大丈夫」

167:名無しって呼んでいいか?
07/02/18 20:10:50
②「心配してくれて、ありがとう」

自分でもだいぶひねくれているなと思うけれど、素直にお礼を言うのも気恥ずかしい。
春樹は一瞬驚いた顔になり、それから少し眉をしかめる。
「……そう思ってるなら………」
「?」
言葉を続けない春樹に、首をかしげる。
少しの間の後、春樹はため息をついていつものような優しい笑みを浮かべる。
「今日は絶対に家から出ないこと!いいね?」
「わかってるってば!」
「そう?それじゃ、俺は学校行くから」
春樹はそういって部屋を出て行った。
その後しばらくして、玄関のほうから春樹の「いってきます」と言う声が聞こえた。

それを聞きながら、なんとなく外に目を向ける。
今日はとてもいい天気だ。昨日の夜のように、雲が無い。
考えたいことは色々ある。
今、一番気になるのは…

1、水野先生の探し物のこと
2、一郎くんや修二くんのいう「力」のこと
3、夢と爪のアザのこと

168:名無しって呼んでいいか?
07/02/19 10:36:27
1、水野先生の探し物のこと

やはりここ数日の出来事の始まり。
水野先生の探し物が気になる。
修二君はとても見つけにくいものだといった。
ごく一部の人にしかないもので、普通の人には見えない。
それが一郎君と修二君には分かる。
修二君が言うには、私は部外者ではない…。
隆も私の力を狙っている。

そう、隆「も」と修二君はいった。
なら、水野先生がねらっているのは、私の力?
「でも、私に力なんて…」
そこで、どうしても行き詰ってしまう。
もし、予知夢が力だったとしてもそんなものどうして探しているのか?
「ぜんぜん分からない…」
ため息をついて、時計を見る。

いつの間にかお昼近くなっていた。
だいぶ考え込んでいたみたいだ。
そのとき、カツン窓から音がした。
「?」
窓から下を見てみるとそこには…

①一郎君
②修二君
③隆

169:名無しって呼んでいいか?
07/02/19 13:05:44
②修二君

修二君がいた。
窓から見ている私に気がつくとひらひらと手を振ってくる。

「どうしたの?学校は!?」
窓を開けて修二君に問いかける。
静かな住宅街に私の声は思いのほか大きく響いた。

「愛菜ちゃん、しーっ……」
修二君はあたりを気まずそうに見回しながら、唇に人差し指を当てて「静かに」とジェスチャーをする。
「あ……」
慌てて両手で口を塞ぐ。
幸い、ご近所さんからは何の反応も返っては来なかった。

「学校は、ね……サボってきた♪愛菜ちゃんがいないからさ」
修二君はいたずらっぽく笑いながら言う。
…・・・その言い分に、私の中からは苦笑いしか出てこなかった。
「な、何それ……」

1.「ダメだよ、ちゃんとまじめに授業受けなきゃ」
2.「私がいなかったから……って私に何か用があったの?」
3.「人目につくから、とりあえず上がって」

170:名無しって呼んでいいか?
07/02/19 13:42:04
3.「人目につくから、とりあえず上がって」

修二くんが私に用事があるのは明らかだ。
でも、こんな状況では落ち着いて話も出来ない。

「玄関に回って。カギ開けるから」
「うん、ごめんね~」
大げさに誤る仕草しながら、修二くんが玄関の方へ行く。
急いで玄関の鍵を開ける。

「ありがとう、愛菜ちゃん」
「ううん、あがって?わたしずっと立ってるのつらいから」
「無理させちゃってごめんね」
修二くんをリビングに通す。
二人分のお茶を用意して戻ってくると、修二くんがソファに座ったまま外を見ていた。

「おまたせ。どうかした?」
「ありがとう。なんでもないよ」
お茶を修二くんの前に置く。と、修二くんの視線が私の手に釘付けになっている。

「あい、な、ちゃん、この爪のアザは…?」
「え?あ…」
言われて唐突に思い出す。

①いつの間にかあったと答える。
②夢での出来事を話す。
③今気づいたと言う。

171:名無しって呼んでいいか?
07/02/19 15:28:20
①いつの間にかあったと答える。

「いつの間にかあったの。
……たぶん、昨日までは無かったはずなんだけど」
私は少し手を引っ込め、アザを見つめながら答える。
「…ちょっとよく見せてくれる?」
「え?あ、,う、うん」
その言葉に恐る恐る手を差し出した。
修二君は私の手を取り、そこにあるアザを凝視する。

「これは…もしかして、力の?」
ふと真剣な表情のまま呟いた。
どうやら、修二君には何か心当たりがあるみたいだ。

(何か、重要なものなのかな?)
どうしよう。
答えてくれるかはわからないけど、聞いてみようか?
それとも、先に他の事を聞いてみようか?

「あの…」
思い悩んだ末、私は口を開いた。

①「修二君はこれが何なのかわかるの?」
②「ところで修二君の用事は何なの?」
③「さっき外を見ていたけど、気になるものでもあったの?」

172:名無しって呼んでいいか?
07/02/19 16:16:42
①「修二君はこれが何なのかわかるの?」

修二君はアザを見つめたまま、首をかしげる。
「う~ん、はっきり分からない。俺と兄貴二人そろってれば…もっとちゃんと分かるんだけど」
修二君は私の手を離して言葉を続けた。
「俺と兄貴は、同じ力を持ってるって言うのは前はなしたよね?」
「うん……」
「双子だから相乗効果があるのか、もともと一つの力が二つに分かれたのか分からないけど、二人そろってると力が飛躍的にあがるんだ」
「そう、なんだ?」
力といわれてもピンと来ないが、修二君にとっては身近なものなのだろう。
「そうそう、それで見えすぎちゃってね~、それはそれでアレだからあんまり近づかないようにしてるんだよ」
そういえば、二人そろっているところは余り見ない。
「と、まあ、俺たちの力の話は置いといて…愛菜ちゃん昨日はアザには気づかなかったんだよね?」
「うん…」
「それじゃあ、昨日の夜いつもと変わったことはなかった?」
いつもと変わったこと…御門君と夢のことがふっと浮かぶ

1、「昨日の夜、御門くんって男の子に会ったよ」
2、「不思議な夢を見たの」
3、「………特に、なにもなかったよ」

173:名無しって呼んでいいか?
07/02/19 19:59:19
3、「………特に、なにもなかったよ」

気がつけば、私はそう答えていた。

確かに昨日御門君に出会ったことや、夢のことはいつもとは違うことだったのかもしれない。
だけど、それをおいそれと話してしまっていいのだろうか?

私一人のことなら、あるいはこのことに関わっていると確信が持てる人ならまだよかったかもしれない。
でも、ここで話すべきかも知れないことには多かれ少なかれ御門君が関わっている。
その御門君に関して、私が知っていることはほとんどない。

仮に話したとして――もしも、御門君がこのことに何の関係も無い人だったら?
もしも、御門君まで巻き込まれることになったら?
そうなったからでは手遅れだ。

(それに……)
目の前にいる修二君を見る。
彼は私が答えたあとから、未だに沈黙し続けていた。
(今はまだ、修二君も信用していいのかわからない)

だから、今はまだ話せない……それが私の考えだった。

場は静かになり――二人の視線だけが交わされる。
私は修二君の、修二君は私の……”何か”を探るように。

そのときだった。

プルルルルルッ

唐突に電話が鳴る。
その音で、私は急激に現実に引き戻された気がした。

「……電話みたい。ちょっと待っててね」
修二君に一声かけて私は立ち上がる。

できるだけ急いで電話に駆け寄り、その受話器を取る。
「はい、大堂です」
電話の向こうから聞こえてきた声は……

①春樹
②近藤先生
③一郎君

174:名無しって呼んでいいか?
07/02/19 21:57:43
②近藤先生

「もしもし、春樹君の担任の近藤ですが……お母さんですか?」
「え?近藤先生?あ、私は春樹の姉の、愛菜です。母は仕事に出ていますが、春樹がなにか…?」
「…ん?愛菜さんは、今日は学校は?」
「あ、私は怪我をしてしまって、今日は大事をとって休みを…」
「そうでしたか、そうそう春樹くんなんですが、体育の時間にボールを頭部にぶつけてしまいまして…」
「え!?大丈夫なんですか!?」
「保健室に運ばれました。軽い脳震盪のようですが、一応大事を取って今日は帰そうと…」
「あ、はい!迎えに行きます!」
「いえ、あなたも怪我をしていると…私が送っていきますので」
「ありがとうございます。すみません…」
「いいえ、担任ですから。そうですね、今から出れば車で10分くらいでつくと思います」
「わかりました。よろしくお願いします」
電話を切ってため息をつく。

(春樹大丈夫かな…)
「愛菜ちゃんどうしたの?」
「あ、修二君。ごめん春樹がちょっと体育の時間にボールぶつかって軽い脳震盪だって…今からもどってくるって」
私はハタと修二君を見る。
このままだと、先生と春樹に鉢合わせしてしまう。
どうしよう…

1、聞きたいことが残っているので、靴を隠して自分の部屋に移動する
2、とりあえず玄関の靴だけ隠す
3、帰ってもらう。


175:名無しって呼んでいいか?
07/02/19 23:07:56
3、帰ってもらう。

「修二君。悪いんだけど、もう帰ってもらっていいかな」
学校を休んでいるのに、修二君を家に入れているのはまずい。
先生も来るのだし、春樹だって何て思うか分からない。

「どうして? 俺、今来たばっかりだよ」
「だって……学校を休んでいるのに、二人で会っていることが知られるのは良くないよ」
「何で? 俺と一緒にいるのが嫌なの?」
「嫌って訳じゃないけど。ただ、春樹の担任の先生も来るし、体裁が良くないって言うか……」
その先に続く言葉が続かなくてごにょごにょと、言葉を濁す。
「なるほど……、わかった! 愛菜ちゃんは、家の留守中に男を連れ込んでエロい事をしているって思われたくないんだ」
修二君はやけに納得げだ。

「なっ…」
確かに、そうだけど。
そうだけど、そんな風に露骨に言われると何ていっていいのか分からなくなる。
顔が熱い。
「じゃあ、俺は帰らない。だって、愛菜ちゃんとつきあってるって思われるほうが好都合だしさ」
好都合……って、そういう問題じゃないよ。

どうしよう……修二君が帰ってくれない
このままじゃ、先生と春樹が来てしまう……
①修二君を自分の部屋に隠す
②出て行け、と強引に追い出す
③仕方がないので、そのまま居てもらう

176:名無しって呼んでいいか?
07/02/19 23:23:24
③仕方がないので、そのまま居てもらう

「……私は理由があって休んでるけど、サボってるのは修二君なんだからね?」
ため息をついて、修二君をにらむ。

「怒られるのは修二君なんだから…」
「あれ?愛菜ちゃん心配してくれるの?」
にやにやと笑いながら、修二君が顔を覗き込んでくる。

(また、こういう態度ばっかり……)
こういう態度の修二君は苦手だ。

「はいはい、なんていっても都合のいいようにしか解釈しないでしょ?」
「もちろん」
間髪いれずこたえた修二君に、再度ため息をつく。
それから、まもなく玄関のあく音がした。

「春樹?」
玄関へ向かうと、春樹が一人で立っていた。

「先生は?」
「家の前まで送ってくれたけど、帰ったよ。まったく……大丈夫だって言ってるのに…」
「でも、頭でしょ?気をつけないと…。痛いとか、ボーっとするとはない?」
「ないよ……で、なんで修二先輩が家に?」
春樹の視線は、私の背後に注がれている。

①「そういえば、なんできたんだっけ?」
②「話をしにきてくれたのよね?」
③「……何かを確かめにきたんでしょう?」

177:名無しって呼んでいいか?
07/02/20 23:11:33
①「そういえば、なんできたんだっけ?」

急に爪のアザの話になったから、なんで修二くんが家に来たのか聞きそびれた。
何か用事があってきたのは間違いないと思うけれど…。
「あれ?言ってなかったっけ?」

修二君はわざとらしく首をかしげる仕草をする。
「聞いてないよ…。聞く前にアザの話になったし…」
「そういえばそうだっけね、まだ言ってなかったかも?」

そういいながら修二君は私の目の前まで歩いてきた。
思わず身構える。
「今日はね、愛菜ちゃん……」
「な、なに?」

修二君に両手を握られる。
あわてて手を引こうとするが、握られた手は思いのほか強く逃げられない。
「姉さんになにするんだ!」

春樹が引き離そうとするが、修二君は気に留めた様子もない。
「愛菜ちゃんにね、俺とお付き合いしてくださいって言いに来たの♪」
「……は?」
「………!?」

思考が停止する。
春樹も唖然と修二君を見ている。
思わず口から出たのは…

1、「ねぼけてるの?」
2、「……で、本当の用件はなに?」
3、「何をたくらんでるの?」

178:名無しって呼んでいいか?
07/02/20 23:30:30
2、「……で、本当の用件はなに?」

「つれないよなぁ、告白しているのに」
「じょ、冗談は置いといて……修二君は私のお見舞いに来てくれたのよ」
あわてて春樹に向き直り、私は言った。

「修二先輩は学校をわざわざ休んで、姉さんの見舞いに来ている……そういうことですか?」
春樹は憮然とした態度で修二君を見据えている。

「まぁ、それでもいいけどさ。で、弟君の頭は大丈夫なのか?」
「……頭が大丈夫って言い方が引っかかりますけど……具合はなんともありまんよ」

こんな展開になってしまって、私の頭がぼーっとしてしまいそうだ。
「春樹。打ったところが頭なんだし、病院に行った方がいいよ」
「吐き気もないし、大丈夫だよ」
「弟君、ちゃんと検査を受けてきたほうがいい。愛菜ちゃんは俺がちゃんと看ているから、さ」
「それが心配なんですよ」

春樹、かなり不審がっているよ……
①修二君と話があるといって、自分の部屋へ行く
②春樹を病院へ連れて行く
③三人で話をする

179:名無しって呼んでいいか?
07/02/21 06:39:51
②春樹を病院へ連れて行く

「駄目だったら!突然春樹が倒れたら、私どうすればいいのよ…」
春樹が心配なのと、この場から逃げてしまいたい一心で言う。
「私も一緒に行くから、ね?病院行こう。昨日見てもらったばかりだけど、私もまた足を見てもらえばいいしさ」
「……そこまで言うなら」
「え~。愛菜ちゃんもいっちゃうの?仕方ないなぁ、俺も行くよ」
「ついてこなくて結構です!」
「だめだめ、愛菜ちゃん。君は狙われているんだよ?」
「……水野先生も、隆も学校よ」
まだ午後の授業が残っている。二人ともまだ学校にいるはずだ。
「君を狙ってるのは二人だけじゃないよ?」
「………?」
「ん~……ま、言っちゃってもいいか。水野の後ろには、なにかの組織がある」
「…組織?」
ふと、公園で水野先生と修二君が言い争ったときのことをおもいだす。
修二君と別れた後、水野先生はどこかへ連絡を取っていたみたいだった。
「…まさか、そんなことあるわけない」
「そうです。姉さんをこれ以上不安にさせるようなこと言わないでください!」
春樹が本気で怒っている。
「嘘じゃない。そろそろ向こうも本気で動くはずだ。だから俺もついていくから」
急にマジメな顔になった修二くんに、私も春樹も言葉を失う。

1、春樹と二人で病院に行く
2、三人で病院に行く
3、病院へ行くのをやめる

180:名無しって呼んでいいか?
07/02/21 11:38:35
2、三人で病院に行く

「………仕方、ないわよね」
春樹は病院へ連れて行きたい。けれど「組織」は怖い。
修二君も、どんな組織なのかは分からないみたいだ。
その組織というのが、どういう目的で動いているのかさっぱり分からないところが不気味だ。
けれど修二君なら組織の人間を見分けることが出来るかもしれないのだ。

病院へ行くためにタクシーに3人で乗り込む。
むっつりと不機嫌そうに黙り込む春樹と、しきりに話しかけてくる修二君に挟まれて居心地が悪いことこの上ない。

「ねぇねぇ、愛菜ちゃん俺と付き合おうよ~」
「……お断りします」
「なんでさ~。俺ってお買い得よ?ほら、カッコいいし~、スポーツ万能だし~、勉強も結構できるし~」
ずらずらと並べる修二君にため息をつく。
タクシーの運転手が興味深げに聞き耳を立てているのが分かる。

「それに、君を守れるよ?」
最後の言葉だけこっそりと耳元にささやかれる。

「……………」
「いい加減にしてください先輩、姉さん嫌がっているじゃないですか」
春樹が押し殺した声で修二君をにらむが、修二君はこれっぽっちも気にしていない。
そうこうしているうちに、病院へついた。

春樹が検査を受けている間に私の足の診察は終わり、待合室で修二君と待っている。
ふと、視線を感じて顔を上げるとそこには…

1.御門君
2.一郎君
3.知らない男性

181:名無しって呼んでいいか?
07/02/21 19:46:49
2.一郎君

(あ……一郎君だ)
私が気付くと同時に修二君も一郎君の存在に気がついたのか「げっ!」と言いながら、別のソファーに移動してしまった。

一郎君は私を見つけると、ゆっくりとした足取りで近づいてくる。

「大堂。ここに修二が来ていないか」
「え……、私は知らないよ」
隠れた修二君の事を思って、私はとっさに嘘をついた。
「そうか。確かに居るはずなんだが」
「一郎君。どうして、修二君がここに居ると思うの?」
「わかるからだ」

一郎君は当然の事のように言った。
そして、ぐるりと周囲を見回して、フッとため息を漏らす。
「修二、そこにいるのは分かっている。出てきたらどうだ」

観念したのか、修二君が移動していたソファーから渋々近づいてくる。
「ちぇ……。せっかく愛菜ちゃんと病院デートしてたのにさ」

「そんな事はどうでもいい。お前、大堂に余計な事を吹き込むな。知らなくていい事だってあるんだ」
「愛菜ちゃんは自分自身の事なのに、何も知らないなんておかしいよ。知る権利があるはずだ」

私の事のようだけど、勝手に話が進んでる……
①二人のやりとりを見守る
②割って入る
③爪のアザついて尋ねる

182:名無しって呼んでいいか?
07/02/21 21:52:19
①二人のやりとりを見守る

「それで、大堂に危険がおよんでもか?」
「もう、遅いと思うけど?遅かれ早かれ、水野は愛菜ちゃんにたどり着く」
「そんなことにはならない」
「兄貴が水野を監視しているからか?でも、愛菜ちゃんの家に痕跡があった」
「……なんだって?」
一郎くんの眉がしかめられる。

「まぁ、水野関係とは言い切れないけどね。なにせ、俺一人だったし」
そういって、ちらりと私を見る。

「というか、なんかついてるよね?」
その言葉に、一郎くんも私に視線を向ける。

「………ついているな」
「でも、二人そろってるのにちゃんと見えないなんて、変だなあ。さっきよりはマシだけど」
「だが、これが水野に関係するものだとは決まったわけではない」
「まぁ、ね。でも、違うとも言い切れない。なにぶん見えなさ過ぎる。何か細工があるのか…」
同じ顔にじっと見つめられて、思わず首をすくめる。

「俺は、愛菜ちゃんが望むならちゃんと話したほうがいいと思うよ」
「………」
一郎くんが考え込むように黙り込む。
口を挟むなら今しかない…

1.「ついてる、ってなにが?」
2.「私の家に痕跡って…なに?」
3.「私の力について教えてよ」

183:名無しって呼んでいいか?
07/02/21 23:16:02
1.「ついてる、ってなにが?」

「「……」」
私がそう問いかけると、こちらを向いたまま二人して黙り込んでしまった。
(え?何、何なの?)
思わず自分の体を見回したり、触って異常が無いかを確かめる。

「……ぷっ」
私の行動に、突然修二君がふきだした。

(こっちは真面目にやってるのに……)
「……落ち着け、大堂。そんなことをしても意味は無いから」
私が微かにむっとしたのが伝わったのか、呆れたような……というか困惑した感じで一郎君がフォローを入れてくれた。

「そそ。ついてるってのは『普通に見えるもの』じゃないから、安心……んー、安心?
……ま、いっか。安心していいよ」
少し遅れて修二君もそう言ってくれる。
一郎君とは違って、かなり疑問形の頼りないフォローだったけど。

①「一郎君、フォローしてくれてありがとう」
②「修二君ってホントよくわからない人だね……」
③「春樹、遅いな……」

184:名無しって呼んでいいか?
07/02/21 23:40:52
②「修二君ってホントよくわからない人だね……」

思わず、ため息が漏れる。
適当かと思えば、そうでもないし。本当に、掴み所がない。

「愛菜ちゃん、もしかして俺に惚れたの?」
「どうしてそうなるのよ!」

相変わらず、二人は私をじっと見続けている。
一体、私の何を見ているんだろう……。

「悪意は見えないが、気になるな」
「 けどさ……ここまで俺達に見えないようにできるなんて、相当すごいヤツだよな」

「待て……この感じ。どこかで……」
じっと考え込んでいた一郎君が、突然、私の手を取った。
「大堂、この爪のアザはいつからある? どういう状況でついたものだ?」

私は……
①素直に教える
②教えない
③御門君の名前を伏せて説明する

185:名無しって呼んでいいか?
07/02/22 06:38:12
③御門君の名前を伏せて説明する

私はしばらく考えて話すことに決めた。
このままじゃいつまでたっても前に進めない。
(御門くんのことは、知らない男の子ってことにしておけば問題ないよね…)


「関係あるかわからないけど…」
そう前置きして私は夢での出来事を話した。

「大堂、そいつは君を主と呼んだんだな?」
「う、うん……」
「なんだよー、俺には話してくれなかったのに兄貴なら話すの~?」
「だ、だって、普通に夢だとおもうじゃない……」
修二君がぷーっとふくれる。

「いいんだいいんだ、俺なんて……」
わざとらしくいじける修二君を無視して、考え込む一郎君。

「おもいだした。時々学校で感じる残滓……あれと同じ感じだ」
一郎君は私をじっと見たままつぶやいた。

「ん?残滓?………あ~、いわれてみればそうかも」
一郎君の言葉に修二君もじっと私を見つめて頷いた。

結局二人だけわかってる……
1.「残滓ってなに?」
2.「二人だけわかってずるい!」
3.「あれは普通の夢じゃないの?」

186:名無しって呼んでいいか?
07/02/22 09:08:55
3.「あれは普通の夢じゃないの?」

「……そうだな。少なくとも普通の夢ではないだろう」
一郎君がゆっくりと頷く。
なんとなく私もそんな予感がしていたから、その返事は予想通りのものだったんだけれど。

「でもさ~、詳しいことはよくわからないよね~」
修二君が頭の後ろで手を組んで、一言呟く。

今度は三人で黙ってしまった。

「……これはあくまで俺の憶測に過ぎない、という前提で聞いてくれ」
やがて、そう切り出したのは一郎君だった。
その一言で私と修二君は一郎君に注目する。

「現時点での、俺の考えている可能性は……大堂とそいつが、何かの契約をしているか。
あるいは、大堂の力がその夢に作用しているかだ」
「どうして、そう思うの?」
私が問いかけると、再び一郎君は押し黙る。
……考えを整理しているのかもしれない。

少し間をおいてから、一郎君は難しい顔のままで考えるようにしながら答える。
「契約の可能性は、大堂が”主”と呼ばれていた点。
そいつの”あの人との約束”という言葉にそれが含まれているのかもしれない。
そして、大堂の力の可能性というのは……大堂、感覚がいつもの夢に比べてリアルだと言っていたな?」
私は頷く。
それを確認すると、一郎君は話を続けた。
「それが深く関わっているような気がしてならない。
……まあ、詳細がわからないから断言はできないが」
一郎君はそこで言葉を切った。

その推測を聞いて、私が思ったのは……

1、何かの契約をしている?
2、私の予知夢の力が強くなった?
3、どちらでもない、別の可能性がある?

187:名無しって呼んでいいか?
07/02/22 09:26:32
2、私の予知夢の力が強くなった?

私と御門くんが……何かの契約をしている?
(うーん?)
考えてはみたけれどあの夢の出来事以外思い当たる節が無い。
少なくとも私は、だからそこに別の要素が入ってくるとちょっとわからないけれど。

だとすれば、私の力が強くなったって可能性のほうが強くなるわけだけど。
(あの夢、なんだか中途半端だったような気もするし……)
ふと、昨日の夢を思い返してみる。

『……あなたが逃げずに、立ち向かうというなら』
どうしてああなったのかがそもそもわからない。
気がついたら御門くんが目の前にいて、そう話し始めていた。
あそこが完全に夢の始まりだとすると……ちょっと唐突な気がしなくもない。

(それに……どうしてそこまで私のことを……)
私があれこれ考えていると、一郎くんが口を開く。

「なんにせよ、そいつのことを詳しく調べる必要があるな」
その一言で私は思考を現実に引き戻された。
そうだ……こうなる可能性だって当然あったんだ。

どうしよう……調べられれば御門くんを確実に巻き込んでしまう。
けど、その一方で御門くんのことをもっと知りたいという気持ちもあった。

「あ、あのっ!」
私はとっさに口を開いた。

①「今はまだ、調べなくてもいいんじゃないかな?」
②「じゃあ、お願いしてもいいかな?」
③「私が調べてみたら、ダメかな?」

188:名無しって呼んでいいか?
07/02/22 09:51:47
③「私が調べてみたら、ダメかな?」

私の言葉に一郎君も修二君も驚いた顔をする。

「だめだ、危険だ」
「だめだよ、愛菜ちゃんに何かあったらどうするの?」
二人がほぼ同時に首を振る。

「で、でも、その男の子の顔は私しか知らないし…それに、私が主なら私を傷つけるようなことはしないと思うの」
二人は視線を交わす。視線だけで会話をしているみたいだった。

「……じゃ、学校でだけ!学校にいるときだけさがす!それならいいでしょ?」
「………なんで学校にいると思うんだ?」
一郎君が当然といえば当然の疑問を投げかける。

「え?だって……一郎君さっき学校で「ざんし」?を見たって言ったじゃない」
以前に学校で会っているとはいえない。
一郎君のさっきの言葉を言い訳にする。

「それって、学校にその男の子がいるかもしれないてことでしょ?」
「それはそうだが…」
難しい顔をして一郎君が黙り込む。

「姉さん、どうしたの?……なんで一郎先輩もいるんですか?」
そのとき、春樹が戻ってきた。
さっきまでいなかった一郎君の出現に、眉根を寄せる。

春樹すごく不振そう…
1、「修二君を探しにきたんだって」
2、「……偶然よ」
3、「春樹、結果どうだった?」

189:名無しって呼んでいいか?
07/02/22 22:37:56
3、「春樹、結果どうだった?」

「検査の結果は問題なしだったけど……こっちの方は問題があるみたいだね」
そう言って、春樹は私と双子の間に割り込む。

(このままじゃ、話がややこしくなりそう)
「ぐ、偶然なの。待合室に一郎君がいるからびっくりしたのよ。ね、修二君」
「え? あ……そ、そうなんだ。いきなり兄貴がいるんだもんなぁ、ホントに驚いたよ」
修二君と顔を見合わせて、無理やり笑顔を作った。

「何を言っている。俺は大堂と修二に話があってここまで来たんだ」

一郎君の言葉に、私と修二君は固まってしまう。
(なんで私たちのフォローを無駄にするかな)

「話って……また姉さんを狙う組織って話ですか? それとも得体の知れない力の話ですか?」
「君はまだ俺たちの話を疑っているようだな」
「当たり前です! 信じられるわけがない」

私だって夢のことがなければ、一郎君や修二君の話をまったく信じることが出来なかった。
……だけど、今なら確実に何かが起きているって事は分かる。
春樹に分かってもらうべきなのか、それともこのまま巻き込まないほうがいいのか。

私は……
①自分で話をする
②一郎君と修二君に話をしてもらう
③ごまかす

190:名無しって呼んでいいか?
07/02/22 23:12:00
②一郎君と修二君に話をしてもらう

私は春樹にかけるべき言葉が見つからない。

「どうすれば信じるんだ?」
その間に一郎君が春樹に問いかけていた。

「どうすればって……そうだ、あなた達のいう力を見せてください。見せられるものなら、ね」
「わかった。見せればいいんだな。修二」
「はいはい」
「「え?」」
いやみたっぷりに言った春樹の言葉に、あっさりと一郎君が頷く。
春樹も私も驚く。

「幸い二人そろっている。俺達はずっと大堂についていてやることができないから、、弟である君がきちんと大堂を守ってくれるなら、力くらい見せてやる」
「ま、疲れるけどね~」
「ちょ、ちょっと!春樹を巻き込まないで!」
私は慌てて一郎君の腕をつかむ。

「姉さん……、俺はいつでも姉さんを守りたいと思ってる。姉さんを守らせてよ?」

なんて答えよう…

1.「これは私の問題だから…」
2.「…でも、危険かもしれない」
3.「そこまで言うのなら…」

191:名無しって呼んでいいか?
07/02/23 00:23:33
1.「これは私の問題だから…」

私はやんわりと春樹の意思を拒む。
「姉さん……でも」
何かを続けようとする春樹を制して、私は首を横に振った。
(春樹は、巻き込まないって決めたんだから……だから、ごめんね)

そして、今度は一郎君に話しかける。
「……一郎君もよく考えて行動して。
一郎君や修二君は私さえ守れれば何でもいいの?」
自分で思ったより突き放すようなキツい言葉になってしまったかもしれない。
そう思ったけれど……同時に少しでも私の気持ちが伝わってくれればとも思う。
「春樹は私の大事な家族なの。
安易に巻き込んだりして、春樹に何かあったらどうするの?」

言いながら、私は実の母のことを思い出していた。
もしも春樹があんなふうに……突然、私の前からいなくなるような事になってしまったら?
(考えたくもない……そんなの、嫌だよ)

「もう、悲しい思いをするのは嫌なの……」
それ以上言葉を続けられなくて、私は話すのをやめた。

訴えかける私の言葉に、誰も何も言わなかった。
きっとそれぞれに思うところがあるのだろう。

今日何度目かの沈黙。
ただ、重い。

1、「春樹、帰ろう」春樹の腕を引っ張る。
2、「春樹、先に帰ってて」一郎君や修二君と話を続ける
3、「春樹も一郎君たちも、よく考えて」一人でその場を後にする。

192:名無しって呼んでいいか?
07/02/23 02:10:41
1、「春樹、帰ろう」春樹の腕を引っ張る。

けれど、春樹は動かなかった。
こぶしを固め、何かに耐えるように立ちつくしている。

「どうしたの、春樹?」
「姉さん……聞いてほしいんだ」
春樹は私の肩を掴んで、まっすぐな瞳を向けてきた。

「家族になる時、俺は……姉さんや父さんを酷く傷つけたんだ。だから……
もう二度と家族を悲しませないって誓ったあの約束は……今も、ずっと変わっていないから」

出会った頃の春樹を思い出す。
そうだ、家族になる時に春樹は約束してくれたんだ。

「姉さん、すっかり忘れていただろ?」
「うん。でも、思い出したよ」
「だから……家族だからこそ姉さんを守らせてよ、ね?」
春樹の真摯な態度に気持ちが揺らぐ。

「本当は、ずっと忘れていて欲しい汚点だったんだけどな……」
そう言って、春樹は苦笑した。

私は……
①それでも春樹を巻き込みたくない
②春樹に協力してもらう
③一郎君と修二君を見る

193:名無しって呼んでいいか?
07/02/23 06:39:14
③一郎君と修二君を見る

困ったような私の視線に修二君はにこっと微笑み、一郎君はいつもの冷静な視線を返す。

「愛菜ちゃん、よく考えて?俺達はどちらでもいい。というか、どちらかというと弟くんの協力はうれしいよ」
「君達はいま同じ状況にある。すべて中途半端な情報のみ与えられた状態。その状態にずっとおかれる気持ちは君にもわかっているはずだ。知らなくていいことというのはあるがな」
(春樹も同じ気持ち…)
一郎君の言葉が重くのしかかる。

「あー、俺は知っておいてもらったほうがいいと思うよ」
唐突に修二君がどっちでもいいという言葉を翻す。

「よく考えたら、知っといたほうがいい。組織が動いたら、愛菜ちゃんを利用するために家族に、弟君に危害が及ぶかもしれない」
その言葉に私は青ざめた。

「……その可能性もあるな。知っているのと知らないとでは、何かあったときの対応が変わる」
一郎君も言葉を添える。

「どっちにしろ、愛菜ちゃんの家族というだけで巻き込まれる可能性はあるんだよ」

そんな……
1.春樹に協力してもらう。
2.春樹を巻き込まない。
3.沈黙する

194:名無しって呼んでいいか?
07/02/23 11:11:16
1.春樹に協力してもらう。

「分かった……」
私はしぶしぶ頷いた。

「ありがとう、姉さん」
春樹はうれしそうに笑うけれど、私は重い気分のままだ。

「それなら、俺たちの力がどういうものか見せてやるよ」
そういって修二君と一郎君が春樹の後に立つ。
二人で春樹の肩に触れた。

「一度目を閉じろ」
一郎君の声に春樹が目を閉じる。

「よし、あけていいぞ」
修二君の声に春樹が目を開ける。

「わかるか?」
「なんだ、これ…」
「コレが俺たちが見ている世界だよ」
「大堂をみてみろ」
その言葉に春樹が私を見る。
春樹の顔が見る見る驚きに変わる。
私は一体どういう風に見えているのだろう?

「……姉さん?」
「そ、コレが力を持ってる人間だ」
「普通の人とは違うだろう?」
「さて、もういいかな。目を閉じて」
その言葉に春樹が目を閉じる。
その間に双子は春樹から手を放した。

「目を開けてもいいぞ」
一郎君の言葉に、春樹が目を開ける。

「コレで信じてもらえる?」
「………ああ」
春樹が頷く。

①「私はどういう風にみえてるの?」
②「私も見てみたい」
③なにもいわない

195:名無しって呼んでいいか?
07/02/23 12:04:03
③なにもいわない

「……」
私は何も言わずに、三人の様子をどこか遠くのもののように見ていた。
理解を深めていく春樹とは対照的に、私は置いてきぼりになったような――そんな気になる。

もちろん、全然そうじゃないのはわかっていた。
(みんな、私のため……なんだろうけど)
でもどこかが納得しない。

あまりにも非現実的なことが、目の前で当たり前の現実のようにに扱われているせいなのだろうか。
(さっきまで、春樹だって同じだったはずなのに…………どうして?)
力を見たゆえに信じ受け入れた春樹と、曖昧な力と確信ゆえに未だ完全に受け入れられない私。
なぜか、私と春樹……そして、私と三人の間に決定的な溝があるような感じがしてならなかった。

「姉さん?どうしたの?」
春樹が心配そうに覗き込んでくる。

私は……
1.話を切り上げて帰る。
2.誤魔化して話を続ける。
3.言い訳を作ってその場から離れる。

196:名無しって呼んでいいか?
07/02/23 12:25:38
1.話を切り上げて帰る。

「なんでもない。春樹の診察終わったならかえろう?」
笑みを作って春樹を促す。
なんとなく話をしていたが、ここは病院だ。
まわりの人たちは変におもわなかっただろうか?
双子は目立つ。いい意味でも悪い意味でも。
いまさらながらに、気になり始める。
「俺たちもついていくよ。確かめたいことがあるから」
「確かめたいこと?」
「兄貴もいることだし、何かの痕跡が残ってたっていっただろ?ちゃんとたしかめておきたい」
修二君の言葉に、そういえば二人の会話でそんな話をしていたと思い出す。
「そうだな、悪意があるようなら、対策を練っておく必要がある」
一郎君も修二君の言葉に頷く。

1.断る
2.一緒に帰る
3.明日にしてもらう

197:名無しって呼んでいいか?
07/02/23 19:53:46
1.断る

「あの、今日は遠慮してくれないかな……」
私はおそるおそるそう言った。

今日だけでも新たな話をいろいろ聞いてしまって、頭の中がちゃんと整理できていない。
そのせいかなんだか混乱してしまって……正直な話、肉体的にも精神的にも疲れてしまった。
こんな状態で調べてもらって話をしても、きちんとした考えとか話し合いとかができるとは思えない。

(それに、その痕跡は御門くんのものである可能性が高いかもしれないし)
これ以上調べられて、万が一御門くんに辿りつかれたりしたら困る。

「私も学校を休んでいるし、春樹も早退しているから。
その、ね。なんていうか、体裁が悪いって言うか……」
途切れ途切れになりながら言葉を続ける。

「そうか………ごめん、姉さん。
そうだよね。元々は俺が今日一日安静にしていてって言って、だから休んだわけだし」
歯切れの悪い言葉と私の表情から春樹は察してくれたようだった。
「すみません、先輩方。そういうことですので、今日は………」
そこまで春樹が言うと一郎君が頷いた。
「わかった。少しの間なら、痕跡も残っているだろうし今日は遠慮するよ。
だが、後日に必ず頼む。…………行くぞ、修二」
「へいへい。帰りますかーっと。んじゃね、愛菜ちゃん♪」
修二君がひらひらと手をふってくる。
「う、うん。またね」
私もつられて手をふりかえす。

そして、二人はそのまま帰っていった。

「じゃあ、俺たちも帰ろうか?姉さん」
来たときとはうってかわってどこか穏やかな表情で春樹が言う。

私は、
①素直に家に帰る
②寄り道をして帰る
③一人にさせてほしいと言う

198:名無しって呼んでいいか?
07/02/23 20:32:26
①素直に家に帰る

春樹に促され、病院を出る。
病院の前のタクシーにのり、家に向かいながらぼんやりと流れる景色をみるともなしにながめていた。
道は少し混雑しているみたいで、景色はゆっくりと流れていく。

だんだんと意識が薄れていく。
車の振動が心地いい。そのまま眠りに落ちていくのをとめられなかった。


気がつくと、学校の前。
(いつの間に……?)
すぐ隣に気配を感じて顔を向けると、御門くんがいた。
御門君は私と目があうと、スッと学校を指差す。
その指につられるように顔を校舎へ向けると、玄関の前に人影があった。
(誰?)
よく見えない。
目を凝らしてみる。

それは…
1、水野先生
2、隆
3、知らない人

199:名無しって呼んでいいか?
07/02/23 20:57:27
3.知らない人

知らない人だった。
だいたい20代前半くらいの、男の人。

その人は私と目が合うと子供のようににかっと大きく笑った。
「よっ」
そして片手を軽く挙げながら私に近づいてくる。
私は頭の中を「?」マークでいっぱいにしながら、その人が接近してくるのをただ見ていた。

(?私の知り合いにこんな人……)
「私の知り合いにこんな人いたっけ」
目の前にいる人が私の思考を読み取ったかのように、同じ言葉を発する。
私は思わず目の前の人をじっと凝視した。
「………って思っただろ、今?」
いたずらが成功した子供のような笑顔でその人は言った。
(な、何で……)
「何でわかるのか、今度はそう思った」
続けざまに思考を言い当てられて思わず後ずさりしてしまう。
私の反応を見て、その人はうんうん頷いた後に満足そうに再び笑った。

そして、不意に私に近づいて囁く。
「ま、正解はだな。お前さんがとてもわかりやすいカオをしているからだよ。
…………大堂愛菜さん?」
「っ!」
囁かれた耳を押さえて私はその人から距離をとった。
徐々に頬が熱くなっていくのがわかる。

「……っ!……っ!」
何か言ってやりたいのに、口がパクパクと動くだけで言葉が出てこない。

「あーあー、悪かった悪かった。
……にしても初々しいったらないねー。
ま、怯えなくていいぜ?今日のところは挨拶だけだ」
言いながら、その人はひらひらと両手を振る。
……おそらく彼なりの「何もしない」という表現なのだろう。

「そんじゃ、ま、いっちょ自己紹介と行きますか!
俺の名前は高村周防。
これから嫌でも関わりあいになるだろうから、覚えておいてソンはないと思うぜ?」

1、「ここは私の夢なの?あなたは何者なの?」
2、「あなたは私の敵?それとも味方?」
3、「嫌でも関わりあいになるってどういうこと?」

200:名無しって呼んでいいか?
07/02/24 00:28:21
1、「ここは私の夢なの?あなたは何者なの?」

「そうそう、ここは夢の中。お前さんは今タクシーの中で居眠りしてる」
かわいいねぇと高村周防と名乗った男の人はクスっとわらう。

「俺の正体はまだナ・イ・ショ」
そういって人差し指を口元に持っていく仕草が妙に子供っぽい。

「ちょーっと夢にお邪魔させてもらったよ。お前さんの夢はとても居心地がいい。とても優しくて綺麗だ」
「た、高村、さんは…」
疑問をぶつけようとした私の言葉を人差し指を左右に振ってさえぎる。

「ノンノン。す・お・う」
「え?」
「俺のことは周防って呼んで。高村さんだなんて他人行儀な~」
(他人だとおもうんだけど…)
「あ、いま他人だし、って思ったでしょ…てー、そんな変人見るみたいな顔すんなよ」
思わず眉をしかめた私に、周防さんは頬を膨らませる。

「周防……」
そのとき黙って立っていた御門君が周防さんに声をかける。

「なんだよ、お前愛菜ちゃんの味方なの?って、当たり前か」
この人は感情のこもらない御門くんの一言からも意思を汲み取れるらしい。

「冬馬を怒らせたくないし、さっさと帰るよ。まぁ、もうリミットだし」
そういう周防さんの姿が薄くなっていく。

「お目覚めの時間ですよ、お姫様」
周防さんの言葉と同時に、意識が現実へ向かって浮上するのがわかる。


「姉さん、起きて」
「…あ」
「ついたよ姉さん」
「春樹?」
「寝ぼけてるの?変な夢でも見た?」
タクシーを折りながら、春樹が聞いてくる。

1.「すごく変な人の夢だった」
2.「面白い人が出てきた夢だった」
3.「おぼえてない…」

201:名無しって呼んでいいか?
07/02/24 01:43:47
3.「おぼえてない…」

変な人と一緒にいたような気もするけど……。
どんな内容だったかも、何を話したかもまるで覚えていない。

「寝ぼけてないで、家に入るよ」
春樹に手を引かれ、家の中に入る。

(なんだか、まだぼーっとする)
「姉さん、ほらコーヒーでも飲みなよ」
リビングでぼんやり座っている私に、春樹はマグカップを手渡してくれた。

「ありがとう、春樹」
香ばしい液体を口に含むと、ようやく目が覚め始めた。
「こんな風にしていると、本当に普通なのにな……」

じっと私を見つめながら、春樹は呟く。
そうだった。春樹は一郎君と修二君の見ていたものと同じものを見たんだ。

私は……
①春樹の見たものを聞く
②一郎君と修二君の話を振る
③巻き込んでしまった事を謝る

202:名無しって呼んでいいか?
07/02/24 07:11:05
②一郎君と修二君の話を振る

「ねえ一郎君と修二くんは、どうして私を守ろうとするんだろう?」
(春樹をまき込んでまで…)
病院で話をしているときから疑問だった。

「二人は味方なのかな?」
これもまだ確定はしていない。
何か組織とは別の思惑があって味方のふりをしているだけではないか?

「わからない。ただ、二人とも今は姉さんを守りたいと思っているのは確かだね」
春樹は少し考えて、言った。
確かに、少なくとも今は味方と考えてもいいのだろう。

「そういえば、姉さん」
「…え?なに?」
「姉さんの力ってなんなの?何か力があるのはわかるけど、見ただけじゃ何の力かは俺にはわからなかったよ」
そういえば、双子も私の力がなんなのかはちゃんとわかっていないみたいだった。

私は…
1.夢のことを話す
2.ごまかす
3.わからない

203:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 00:30:06
1.夢のことを話す

協力してくれると言ってくれている以上、春樹には隠しておきたくなかった。
たとえ、予知夢が私の勘違いだったとしても、だ。
巻き込んでしまった春樹に対して、今、唯一私が出来ることでもある。

「私の力は……予知夢かもしれない」

「確信は持てないけどね」と前置きをして、私はたまに予知夢をみることを説明する。
そして、予知夢は現実に起きて初めて気付くものだと補足した。

「……ていう、使えない力を持っているかもしれないんだよね」

ずっと考え込むように身動きひとつしなかった春樹だったけれど、
ようやく話が終わると、手元のぬるいコーヒーを一気に飲み干した。

「姉さんが説明してくれた予知夢……きっと何度かみていると思うんだけど、具体的に起こった事を教えてもらっていいかな。
できれば、俺の分かる範囲の出来事がいいんだけど」

私は…
①隆と水野先生の夢を話す
②手のアザを見せる
③憶えていないと言う

204:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 01:04:30
①隆と水野先生の夢を話す

隆と水野先生のことを話そう。
春樹は『自分の分かる範囲』といっているから、アザや御門くんの夢を説明しても理解できないだろうし。
他の予知夢のことはよく覚えていないし。

「………あのね、昨日屋上前で会ったじゃない?放課後に」
「ああ、姉さんが一郎先輩と一緒だったときか?」
春樹が頷いた。
私はそれを見てから話を続ける。
「うん。実はその時のちょっと前にね……」

私は音楽室での出来事を話し始めた。

隆と水野先生が楽しそうに話していたこと。
水野先生が私に気がついて、隆に何かを囁きながら顔を近づけていったこと。
それに対して隆は特に抵抗しようともしなかったこと。

「それでね、そのときに気がついたの。
……私、一昨日にその光景を夢で見ていたんだって」
そこまで話し終えると、春樹は難しそうな顔で考え込んでいた。

①「やっぱり役に立ってないよね?」
②「春樹はどう思う?」
③「どうしてみんな、こんな力に注目してるのかな?」

205:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 07:57:33
③「どうしてみんな、こんな力に注目してるのかな?」

もし、これが力だとすると本当に何故、狙われることになるのかわからない。
春樹はしばらく考え込んで口を開いた。

「そうだね、でももし、もしだよ?」
春樹が「もし」を強調して言う。

「姉さんの見ている予知夢、それが最初から姉さんの記憶とか、脳とかに刻み込まれたようなもので、もう一人記憶を読めるような力をもつ人が居たとしたら?」
「それはどういう……?」
「姉さんは力に自覚がなくても、もう一人の力の持ち主には大きな意味があるってこと。もし、の話だけどね」
春樹の言葉を考えて、私は笑った。

「春樹、でもそれじゃあ意味がないよ?私がみる夢は私に関する予知夢だけだもん」
「覚えてないのに、どうしてそう言い切れるの?」
「あ……」
呆れたようにため息をつく春樹。
そうだ、自分のことならその時が来れば思い出すけれど…自分にまったく関係ない夢なら、もし予知夢を見ていても気づかずに終わる可能性だってあるんだ…。

「でも、あくまでもこれは仮定」
春樹は肩をすくめて続ける。

「そして、もう一つの仮定。姉さんの力はまったく別のもので気づいていない可能性があるってこと。
 予知夢はその別の力の派生の場合もある」
「別の力……」
ふと、御門くんのことが脳裏に浮かぶ。

1.御門君について話す。
2.御門くんの名前は伏せて契約についてはなす。
3.それ以外を話す。

206:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 09:34:50
3.それ以外を話す。

御門君にことについて話そうかとも思った。
だけど、私ですらよく分からないのに春樹にうまく話せるだろうか?

そう考えた末、私はそれ以外の話をすることにした。
でも誰のことを話そうかな……?

1.水野先生
2.隆
3.一郎君と修二君
4.近藤先生

207:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 11:08:07
1.水野先生

「元凶は水野先生よね…水野先生はなにをさがしてるのかな?」
「水野先生のバックに組織があるなら、組織がほしがってるって言うのが正しいだろうけどね」
春樹が律儀に訂正する。

「でも、組織で狙うというのなら、未来をしる力っていうのは案外使えるものだよね」
そういわれればそうかもしれない。
ただし、春樹の言うように私の力だけでは使えない。
結局振り出しに戻るだけだ。

「でも、その組織には力を「見る力」を持つ人は居ないみたいだね。でも、先輩達に接触してるってことは別の力を持ってる人が居るのかも」
「別の力?」
「そう。別の力を持った人が、先輩達のことを水野先生に伝えたと考えないと…普通の人には、力を持った人がわからないんだろう?」
「そうかもしれないけど、私にも力があるみたいだけど、一郎君と修二君が力を持ってるっていうのはわからないよ…?」
「そうなの?少しもわからないの?」
「うん」
「そうなんだ……」
春樹はまた何かを考え出したみたいで、沈黙する。

ふと、時計を見るとそろそろ夕飯の準備をしてもいい時間だ。

1.買い物に行く
2.家にあるもので何か作る。
3.まだ春樹と話す。

208:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 12:44:13
2.家にあるもので何か作る。

「そういえば、お腹すいたね。夕食の用意しないと」
冷蔵庫を見ると、買い置きがたくさん残っていた。

「ねえ、春樹。今日は久しぶりに私が夕食を作るよ」

「え……!?」
春樹は驚いたように、後ずさりする。
「どうしたの?」
「お、俺が作るから姉さんは座っていてよ。ほら、足だって怪我しているし」
春樹がすごく取り乱している。
「大丈夫。春樹は座っててよ。さぁ、張り切って作るぞ!」
「でも……、姉さんが作ると……」
春樹は何を遠慮しているのかな?

「いいって、いいって。春樹よりは下手だけど、私だって夕食くらい作れるんだから」
止めようとする春樹を強引に座らせ、私は夕食の支度を始めた。

今日の献立は…
①オムライス
②カレー
③子豚の丸焼きチョモロ風

209:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 13:03:12
②カレー

少し前に春樹がオムライスを作ってくれたから、カレーなんかいいかも。

「春樹、カレーでいい?」
「あ、うん…、カレーがいい……カレーなら、味は一緒だし……」
「ん?なんかいった?」
「いや、なにも……」
ぶつぶつと何かをつぶやいている春樹に首を傾げつつ、ジャガイモの皮を…

「…っ」
「姉さん?……あー、またやってる」
指をなめている私に、春樹が呆れたようにため息をつく。

「ま、まだ切ってないよ!切りそうになっただけだし!」
「切ってからじゃおそいんだよ。いいから姉さんは、ご飯炊いて」
春樹が強引に台所に入ってくる。

「俺は、これ以上姉さんに怪我をしてほしくないの。わかる?」
そういって私から包丁を取り上げる。

1.おとなしくご飯の用意をする
2.春樹を追い出す
3.サラダを作る

210:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 13:49:24
1.おとなしくご飯の用意をする

(なによ。せっかく張り切って作ろうと思ってたのに)

私はぶつぶつ文句を言いながら、お米を洗い始めた。

「……姉さん。なんでお米が泡立っているのさ」
「え? ……洗剤でお米を洗わないといけないでしょ?」
そんな私を見て、春樹はとびきり大きなため息を吐いた。

「もういいから……」
「で、でも」
「いいって。俺がやるからさ」

(結局、追い出されちゃった……)

食事が出来るまで、リビングに待機を命じられてしまった。
私はソファーに腰を降ろす。

すると、部屋の隅に黒い影のようなものを見つけた。
(何、これ?)
煙や霧みたいに実体がないけど……、目の錯覚かな。

私は
①近づく
②春樹を呼ぶ
③気にしない

211:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 14:21:11
②春樹を呼ぶ

「は、春樹?」
「なに?姉さん」
私の呼びかけに、春樹の声が返ってくる。
規則正しい包丁の音。
私は目をこすり、もう一度見直す。

(やっぱり、なんか居る?)
「は、春樹!部屋に、なんかいる…?ある?」
居るというのも、あるというのも違う気がする。

「なに言ってるの?」
春樹がリビングに顔をのぞかせる。

「あ、あそこにもやもやしたのが…」
部屋の隅を指差す。さっきよりも大きくなってる気がする。

「……?何も、ないけど……何が見えるの?」
「春樹には見えないの?えっと、煙みたいな…霧みたいな…影……っ!」
言い終わるか直前に、突然影がこっちに向かってきた。

私は…
1「春樹伏せて!」その場に伏せる
2.「春樹逃げて!」リビングを出る。
3.「春樹動かないで!」春樹をかばって前に出る。

212:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 15:30:17
1「春樹伏せて!」その場に伏せる

私は春樹の頭を無理やり床に押し付けた。
「痛っ…! な……何するんだよ!」

そうだった。春樹にはこの影が見えていないんだ。
「春樹! とりあえず、ここから出よう」
「どうしたんだよ、姉さん。もやもやしたものって?」

影は天井に張り付くように、今は動いていない。
逃げるチャンスだけど、春樹は何も見えていないんだ。

「さっきから、黒い影みたいなもやもやしたのが部屋に居るのよ。
早く、ここから逃げるのっ」
押さえつけていた春樹を解き、腕を引いた。
「何なんだよ……。一体、何を見ているんだよ」

春樹の手を引き、素足のまま庭に出る。
黒い影は私たちの後を追うようにして、不気味に這い回っている。

「ファントム……か」
突然、私の後ろで声がした。
振り向くとそこには……

1..隆
2.一郎君と修二君
3.御門君

213:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 15:53:47
2.一郎君と修二君

「うーん、こっそり見張ってて正解?ってね♪」
双子が立っていた。

「こっそりって…」
「説明は後だ。大堂こっちへ」
一郎君の言葉に、春樹と庭の隅に移動する。

「なんか、向こうもだんだん手段選ばなくなってきたね~」
軽口をたたきながら、修二君がもやもやとした影の前に立つ。

「でも、こんなの俺の手にかかれば………はい、おしまい」
「な、なに?」
修二君は私たちに背を向けていたため何をしたのかわからなかった。
私にわかったのは、影が急速に小さくなって、玉になったことだけ。
修二君はそれを拾い上げると、振り返ってにこっと笑った。

「ま、力の応用ってね」
軽くウィンクする。

1、「春樹、大丈夫?」
2、「二人とも帰らなかったの?」
3、「さっきのは何?」

214:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 17:28:41
3、「さっきのは何?」

修二君の手の中にある、小さな玉を見つめる。

「俺たちはあの影をファントムと呼んでいる」
一郎君は私に向き直り、冷静に答えた。

「ファントム……」
聞いたこともないけれど、なんとなく嫌な響きがある。

「あんなザコ、俺たちの手にかかったら、簡単、簡単♪」
そう言いながら、小さな玉を私に手渡した。
小さな黒い玉が私の手の中でさらさらと砂になっていく。

「ちょっと待ってください! 一体、何が起こっているんですか。そのファントムって……」
春樹は何が起こっているのか、まったく理解できていないようだ。
「幻のようなものだ。だが、憑りついた人間の生気を奪い、力をつける」
「だけど、俺には何も見えなかった……」
悔しそうに、春樹は目を伏せた。

生気……って、生命力みたいなものなのかな?
聞きたい事は沢山あるけど……どうしようか

①一郎君と修二君に家に入ってもらう
②礼だけ言って、帰ってもらう
③春樹を見る

215:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 18:00:10
①一郎君と修二君に家に入ってもらう

「こんなところで立ち話もなんだし、家に入ろう?」
私と春樹ははだしのままだ。
誰かに見られたら不審に思われてしまう。

「そうだな」
一郎君が周りを見回す。

「近くに異常はない。もう大丈夫だろう」
リビングに戻り、ソファに4人で座る。

「ファントムは知性を持ってるわけじゃない。簡単な命令を実行するだけだ」
一郎君はさっきの影をそう説明する。

「生気を吸われた人間は弱る。そしてファントムは力をつける。力をつけたファントムは、その人間を操れる」
「つまり、目標物に取り付かせて、ある程度弱らせて、目的の場所につれてくる。とかいう使い方ができるんだな」
「多少時間はかかるが、簡単に誘拐ができる」
「なにぶん、自分の足で歩いていっちゃうからね~」
「それは、姉さんが誘拐されそうになったということですね?」
春樹が言う。

「う~ん、そうなのかな?もしかしたら、弟君のほうかも?」
修二君が首をかしげる。
けれど、私はそれよりも気になることがあった。

「……今まであんなの見えなかったのに」
「そういえば、愛菜ちゃんファントムが見えてたみたいだね」
「今まで見えていなかったということは、大堂の力が強くなってきている、ということか?」
一郎君がじっと私を見る。

「いや、違うな……大堂の力に変化はない。ということは…、契約のほうか?」
そういって私の右手を見る。

御門君はやっぱりこのことに関係しているのかな…?
1、御門くんのことを話す。
2、今までのように知らない男の子として話す。
3、別の話を振る

216:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 20:53:23
2、今までのように知らない男の子として話す。

私だって知っている事といえば、名前くらいだ。
もう少し、御門君に関する情報を知ってから話した方がいいだろう。

「そういえば……その男の子が夢で『あなたが立ち向かうというなら、僕が守る』って言ってたよ」
「敵を認識する力は同時に敵に立ち向かう力となる……だが、それだけでは不足だな」
「不足どころじゃないよ。今の愛菜ちゃんじゃ、ファントムを倒す力はないし」

一体、この二人には私の力はどういう風に見えているんだろう。
今の私では、力が無いっていう事は分かっているんだ。

「おそらく、契約による遠隔制御だろう」
「やっぱり、兄貴もそう思う?」
修二君は一郎君を見る。
「間違いないだろう。契約を媒体にして見る力を送り続けているということだな。しかし、そこまでの力をどうやって……」

「あの! 俺は……」
今まで、ずっと黙っていた春樹が突然口を開いた。
「俺は、敵を見ることさえできないんですか? このままじゃ、姉さんを守るどころか足を引っ張るだけだ」

一郎君と修二君はどこか突き放した目で春樹を見ている。

私は……
①春樹にも見えるようにならないのか尋ねる
②私自身がファントムを倒す方法を尋ねる
③私がどう見えているのか尋ねる

217:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 21:28:54
①春樹にも見えるようにならないのか尋ねる

「それは無理だよ」
修二君があっさりと言う。

「大堂みたいにもともと力がある人間で素質があれば、自分の力を応用して見られるようになる」
「あとは、今愛菜ちゃんがしているみたいに、契約って手もあるけど…これはかなり力のある奴じゃないと無理」
「それほどの力がある人間なんて、そうそういない。俺達にも無理だ」
「まれに、後天的に力が現れるときもあるけど…そんなの本当に稀だからね」
「そう、ですか……」
春樹がうつむく。

「でも、ま、見えなくてもできることはあるよ」
「そうだな。力を持ってる人間は不安定になりやすい」
「俺達は双子だったから平気だったけど。愛菜ちゃんが消えないようにちゃんと見てなよ?」
「どういうことですか?」
「言葉どおり、だよ」
言葉どおり?私が消えるってこと?

「私が消えるの…?」
「あー、消えるというか…まぁ、大丈夫大丈夫。弟くんがいればそんなことにはならないから」
「そうだな、大事な役目だ」
二人は言葉を濁すが、なにか大事なことみたいだ。

1、消えることについて詳しく聞く。
2、ファントムを倒す方法を聞く。
3、力を応用する方法を聞く。

218:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 23:11:18
1、消えることについて詳しく聞く。

「それは俺から説明しよう。大切な事だから良く聞いていてほしい」
一郎君は一つ咳をすると、話を続けた。

「この力……俺たち双子や大堂の力は太極に反したエネルギーだ」
「太極ですか?」
「そうだ。太極に反しているために、陰陽の理を失う。結果、物理的に消滅する」

(難しくて、分からない)

「陰陽の理……」
話を理解しているのか、春樹は考え込んでいる。
「俺たちのような能力者は、陰もしくは陽の力が不安定だ。むしろ、偏っているといいだろう」
「その偏りをエネルギーに変えているということですか?」
「そういうことだ」
「ファントムは虚と実の法則を捻じ曲げたものだ」

(どうしよう……、分からないって言える雰囲気じゃないよ)
「兄貴~、 初心者なんだから、もっと分かりやすく教えてあげなよ」
私を見かねて、修二君が助けてくれる。

「十分、分かりやすく説明しているつもりだが」
「しょうがないなぁ。あのね、昼と夜、表と裏って具合に世の中はうまく調和がとれてるんだけど、俺たちは元々調和がとれてないんだ。
だから、無茶してるとこの世から消えて無くなっちゃうんだよ」

消える……私が?
①春樹がいるとなぜ消えないのかきく
②なぜ一郎君と修二君は平気なのかきく
③ファントムを倒す方法をきく

219:名無しって呼んでいいか?
07/02/25 23:50:45
①春樹がいるとなぜ消えないのかきく

「それはね、男と女だからさ。一般的に男が陽、女が陰といわれている。男だけ女だけの世界なんてバランス悪すぎだろ?」
楽しくもなんともない、と軽口をたたくように修二君が言う。

「男女そろっていることで、ある程度バランスが取れるんだよ」
「そう、なんだ……」
実際のところ良くわからないけれど、なんとなくわかったような気もする。

「それに、奇数よりも、偶数のほうがバランスがいいってのもあるしね」
いろいろと要素がからんでくるんだよ、と修二君が付け足す。

「………なるほど。わかりました姉さんが消えないようにちゃんと見ていることにします」
春樹は理解できたようだ。私はほとんど理解できていないけれど…。

「ですが、姉さんを消えないように見ていることはできても、今日みたいにファントムが襲ってきたらどうすればいいんですか?」
「そ、そうよね…」
「それなんだけどさ、愛菜ちゃん。契約の相手、愛菜ちゃんを守るっていったんだろ?」
「う、うん」
「襲われたときにさ、そいつのこと呼べば、助けてもらえると思うんだよね」
「……え?」
「そうだな、多分そのための見る力だ。何か怪しいものが近づいたら、呼べということなんだろう」
「………」
そうなのだろうか?

「あ!」
唐突に春樹が立ち上がった。

「晩御飯の準備の途中だった。仕上げてくるよ」
「あ、じゃ、私が……」
「いや、いい!姉さんは先輩達の相手をしててよ。先輩達もよければ食べていきませんか?カレーですけど」
「いや、俺達は」
「うん、そろそろ帰るよ」

1、一緒にご飯を食べようと誘う。
2、二人を見送る。
3、もう少し話しを聞きたいという。

220:名無しって呼んでいいか?
07/02/26 01:43:49
2、二人を見送る。

「そっか……わかった。じゃあ、せめて外まで見送るね」
一緒に食事をできないのは残念だけれど、二人には二人の都合がある。
私はせめて外まで見送ることにした。

「…………じゃあ、気をつけてね」
「愛菜ちゃんこそ。もしも今度何かあったら一番に俺を呼んでよね?」
「もう、修二君ったら」
修二君の相変わらずの軽い調子に私は思わず苦笑いを浮かべてしまう。
「……まあ、修二の言っていることはともかくとして」
一郎君は修二君に呆れつつも、付け加えるように私に言う。
「何かあったら俺たちを頼ってくれてかまわないから」
「一郎君……」
私が呼びかけると、一郎君は微かに笑ってくれた。
「じゃあ、また」
「愛菜ちゃん、またね~」
そして、二人はそれぞれに別れの挨拶を口にして去っていく。
「今日はありがとう!またね!」
私は軽く手を振りながらその後姿を見送った。


「今日はなんだか疲れたね……」
食事の最中、ふと呟く。
その言葉に春樹は何ともいえない表情のままこちらに顔を向けた。
「今日はいろいろあったしね……病院にも付き合わせちゃったし。
あまり休んだ意味が無かったかもね。ごめん、姉さん」
言いながらちょっとうなだれる春樹。

「……ま、まあ、明日は休日だし今度こそゆっくり過ごしてよ」
「あれ?そうだっけ?」
近くのカレンダーを確認すると、確かに明日は土曜日。
学校は休みの日だった。

1、春樹はどうするのかな?
2、一郎君や修二君はどうするのかな?
3、御門君はどうするのかな?

221:名無しって呼んでいいか?
07/02/26 02:14:53
3、御門君はどうするのかな?

なんとなく御門くんのことが頭をよぎった。
(御門くんの休日って………一体どんな感じなんだろう?)
休日の御門くんを想像しようとする。
…………しかし数秒で撃沈。
(お、思いつかない。
普段ですら謎なのに、休日なんてさらに謎だよ)
結局、食事中は妙に御門くんの休日のことが頭から離れなかった。


「はぁーーーーーー」
ベッドに倒れこみ、大きく息をつく。
「今日もいろいろあったな……」
呟いて目を閉じる。
目に浮かぶのは、今日のさまざまな光景。

学校を休んだこと。
病院でのこと。
そして、ファントムのこと。

(また今日も、わけの分からないことだらけ……)
ため息が出る。

そのとき、不意にファントムの話をしていた時の修二くんの言葉がよみがえった。

『襲われたときにさ、そいつのこと呼べば、助けてもらえると思うんだよね』

つまり、修二くんの言葉をそのまま信じるなら……御門くんは私の呼び声が常に聞こえる状態にあることになる。
(もしもそうだとしたら、すごいよね……いつでもどこにいても聞こえるんだろうから)

そして湧いてくる疑問。
(じゃあもしも、今呼んだら………………く、来るのかな)
そんな好奇心が芽生え、つい試してみたくなる。

でも……今は緊急時ではないし来ない確率は高い。
それに、何より。
(契約してる、とは限らないんだから。
ここで来てくれなかったら、相当マヌケだよ…私)

でも、気になる。
どうしよう?試してみようか?

①試しに呼んでみる
②ためらう
③バカなこと考えてないでさっさと寝る

222:名無しって呼んでいいか?
07/02/26 06:40:37
②ためらう

試したいけれど、もし来たらどうする?
こんな時間にいきなりチャイムなんてなったらみんな何事かと思う。
(聞きたいことは色々あるけど、今ここにこられたら困るよね…)

それに、もう寝ているかもしれない。
(寝ているところに、呼ばれても迷惑だろうし…)

それに、どこから来るかもわからない。
呼んで来てくれるとしても、ここに到着するまでに時間がかかるかもしれないのだ。
(あ、そうだ…)

守るといってくれたときは夢の中だった。
夢に出てきてほしいと頼んでみればいい。
「御門君。聞きたいことが色々あるの。夢に来てくれないかな?」
(これでよし!)

目を閉じると、程なくして意識が沈んでいくのがわかった。



気がつくと、学校。
目の前に御門君が立っている。
(あ、本当に夢であえた)

呼んだのは自分だけれど、やっぱり本当に居るとびっくりする。
「あ、あのね御門君、聞きたいことが色々あって」
「………」
御門君は相変わらず何も言わない。
静かに私を見ている。

1、ファントムのこと。
2、私が消えること。
3、契約のこと。

223:名無しって呼んでいいか?
07/02/26 09:12:03
3、契約のこと。

「えーと……あの、契約、について聞きたいんだけど」
そういっても御門君はじっと私を見つめたまま何も言わない。
「私の言ってる意味、わかる……よね?」
確認の意味で再び問いかける。

「はい」
御門君は少し間をおいてから、静かに頷いた。

(つ、続けていいのかな……?)
御門君の反応を見ながら、おそるおそる話を続ける。

「その、ここ最近……特に昨日か一昨日あたりから、私の力が強くなってきているみたいなの。
えーと、そもそも……力って、わかる?大丈夫?」
「はい」
再び御門君が頷く。
今のところ話は通じているみたいだ。
(いいえって言われなくてよかった……言われても私じゃちゃんと説明できないし)
私はほっとしながら、再び話し始める。

「知り合いが言うにはね?御門君がもしかしたら関わってるかも……って」
そこまで言ってから慌てて付け加える。
「も、もちろん、御門君のことは言ってないよ?
ただ、可能性としてそういう話が出たの」
私のフォローにも、御門君の表情は動かない。

「ど、どうなのかな?」
私は内心ヒヤヒヤしながら御門君の答えを待った。
これでもしも御門君が普通の人でした……なんてオチで、
今この瞬間が想像の産物に過ぎなかったら――かなり笑えない。
(だ、大丈夫だよね?話、通じてたみたいだし……)

やがて、御門君がゆっくりと口を開く。
「……確かに、あなたと契約はしています。
とはいえ、仮がつく上にそれすら不完全なものですが」
その言葉を聞いて、ああやっぱり……と納得がいった。
(御門君は私の力に関係していたんだ)

「本来はこのように強制的な手段をとることはマナー違反にもルール違反にあたります。
……できるだけそのような方法は取るなとも言われていました」
御門君は淡々と説明を続ける。
「しかし今回は急を要する事態でしたので、このような措置をさせていただきましたが」
そこで御門君は言葉を切り、私を見つめる。

(質問、していいのかな?)

①「不完全な仮契約?」
②「誰に『そういう方法は取るな』と止められていたの?」
③「ちなみに仮契約?をしたのはいつ?」

224:名無しって呼んでいいか?
07/02/26 09:56:00
①「不完全な仮契約?」

一郎君と修二君に契約しているとは言われていたけれど、それが不完全なものだとは思わなかった。

「えーっと…、どういうこと?」
「……あなたの意思を無視した契約です。僕が一方的に約束したと言えば近いかもしれません」
確かに私には契約をしたという自覚がなかった。

「あなたが僕の『約束』を拒否していないので、仮契約としてなりたっています」
「それって、私が御門君を拒否すると、契約破棄になるってこと?」
「はい」
それって、逆に受け入れれば契約が成り立つって事なのかな?

1.受け入れると契約が成り立つのか聞く。
2.なんで私と契約するのか聞く。
3.ほかの事を聞く

225:名無しって呼んでいいか?
07/02/26 11:12:21
2.なんで私と契約するのか聞く。

「何で、私なの?」
そもそもの疑問を御門君にぶつける。

私の質問に御門君はすぐには答えなかった。
胸元に手を当て、じっと考えるようなそぶりを見せる。
「託されたからです」
やがて、御門君は静かに答えた。
「誰に?」
私の再度の問いに御門君は沈黙する。
胸元に当てた手は、今度は軽く握られて。
御門君は視線をそこまで下げてじっとそれを見つめてから、顔を上げた。
「僕とも、あなたとも縁の深い人です」
私から視線をそらさずに、御門君が答えた。
「え?それってどういう……」
そこまで言ったとき、不意に景色が変わっていくのに気がついた。

「あれ?」
見回せば、だんだん辺りが白み始めている。
「……夢の終わりが訪れたようです。あなたの意識が目覚め始めているのでしょう」
御門君も私と同様に辺りを見回しながら、淡々と答える。
「もう、朝なんだ………まだ、聞きたいことあったんだけど」
薄れていく御門君の姿を見つめながら呟く。
「聞いて、みますか」
「え?」
御門君からの意外な一言に、私は思わず聞き返してしまった。
もし、今のが聞き違いでなければ……御門君は私に話をしてくれると言う事になる。
「ただし、聞いてしまえば本当に引き返せません。
おそらく、まだ今なら打つ手はあるでしょう……いえ、必ず手を打ちます」
そこで一度言葉を止めてじっと私を見つめる。
どこか意思のこもった強いまなざしで、御門君はそう断言した。
「もし、話を聞く決心がついたのなら……病院の近くの公園へ来て下さい。
来れば分かるようにしておきますので、いつでもかまいません」
言い終えてから、御門君は私に向かって恭しく頭を下げる。
「では」
その一言を最後に、私の意識は浮上していった。

「………眩しい」
差し込む太陽の光。
……またカーテンを閉め忘れたらしい。
その眩しさに目を細めながら、私は夢のことを思い出していた。

「決心がついたら、公園……か」
幸いなのかは分からないけど、今日は土曜日。
御門君の話を聞くには絶好のチャンスと言えるかもしれない。
(でも、御門君はいつでもいいって言ってたよね。うーん……)
土曜日の次は日曜日。つまり同じチャンスは明日もある。

それに、御門君の言うとおり戻れないのだとしたら……今すぐ決断してしまうのは早すぎるかもしれない。
(とりあえず、今のところは大丈夫みたいだし……どうしようかな?)

今日は
1.御門君のところに行ってみる
2.とりあえず外に出て散歩でもしながら考えてみる
3.今日こそは家でゆっくりする

226:名無しって呼んでいいか?
07/02/26 11:34:54
2.とりあえず外に出て散歩でもしながら考えてみる

(天気もいいし、散歩にでも行こうかな)
ベッドから立上り、足の具合を確かめる。
最初の頃に比べればかなり良い。
多少痛みはするけれど、足を引きずるほどではなくなっている。
着替えてキッチンへ行くとすでに春樹も起きていた。

「姉さん、おはよう。休みなのに早いね」
「おはよ。お父さんとお母さんは?」
「父さんは仕事の付き合いでゴルフ一泊。母さんも、仕事が残ってるって休日出勤」
「そっか、二人とも忙しいんだね…」
二人とも仕事人間でめったに家にいない。
春樹が焼いてくれたトーストを食べて立ち上がる。

「あれ?姉さんでかけるの?」
「うん、天気もいいし散歩に行こうと思って」
(ゆっくり考えたいこともあるし…)
「じゃ、ちょっとまって俺もついていくよ」
「え?」
「姉さんわすれたの?姉さんは不安定なんだって。消えちゃうかもしれないんだよ?」
「……あ」
すっかり忘れていた。

1.春樹と一緒に行く
2.一人で行く
3.散歩をやめる


227:名無しって呼んでいいか?
07/02/26 14:16:11
2.一人で行く

「だ、大丈夫だよ!いつもそうなるわけじゃないだろうし」
慌てて春樹の申し出を断る。

「春樹には春樹の予定があるだろうし、つき合わせたら悪いもの」
ただでさえ春樹を巻き込んで申し訳ないと思っているのだ。
この上、私の都合で春樹の自由を奪ったりできない。

「別に、俺はそんなこと気にしないのに……」
なんだか少しさびしそうに春樹が言う。

(どうしたんだろう?)
私が不思議に思って見ていると、春樹は小さく頭を振った。
「……なんでもないよ。
まあ、姉さんの邪魔しても悪いしね。くれぐれも十分気をつけて行ってきてよ?
人通りの寂しいところとかは極力避けて、何かあったらすぐに連絡すること。
わかった?」
春樹の口調に思わず笑みがこぼれてしまう。
だって今の言い方……お義母さんにそっくりだったから。
「あはは。なんか春樹、お義母さんみたいだよ?」
私があんまりにも笑うからだろうか?
少し拗ねた表情で言葉を続けようとする春樹。
「……俺だって口うるさく言いたくて言ってるわけじゃないよ。ただ……」
「わかってる」
それを制して、私は言う。
「わかってるよ。私のこと、心配してくれてるんだよね?」
「ん」
今度は大仰に頷く春樹に、また笑ってしまった。

「じゃあ、行ってくるよ。春樹も気をつけてね?」
「ああ……行ってらっしゃい、姉さん」
春樹に見送られて、私は家を出た。

………………さて、どこに行こうかな?
歩きなれた道を目的も無く歩いていく。

「あ」
しばらく歩いていくと、道が三つに分かれる。

右に行けば、いろいろなお店が建ち並ぶ繁華街。
左に行けば、御門君が夢で言っていた公園や病院がある。
直進すれば、学校と……あと、ファミリーレストランとか喫茶店とかの飲食店がいくつかあったはず。

さあ、どの道を行こう?

1.右
2.左
3.直進

228:名無しって呼んでいいか?
07/02/26 15:35:03
3.直進

なんとなく学校へ向けて歩く。
いつも通っている道なのに、休日というだけでまったく違う風に見える。
学校までは行かずに、途中の喫茶店に入ってミルクティーを頼む。
ミルクティーが来るまでの間ぼんやりと、外を眺める。

(御門くんは、今ならまだ打つ手があるって言ってた…)
聞いてしまえば引き返せない。
(でも、知らないままでいいのかな?)
御門くんと私に縁の深い人…一体だれだろう?
(必ず手を…うつ……って、御門くんにとって危険だったりしないのかな?)
とりとめのない思いが行ったり来たりする。

(もし、聞いてしまったら、春樹を完全に巻き込んでしまう)
でも、何も知らないまますべてが終わっているというのも、落ち着かない。

「お待たせしました」
目の前に置かれたミルクティー。
考え事を一時中断して、カップを口に運ぶ。

(おいしいなぁ)
甘さが身にしみる。甘いものをとると落ち着く感じがする。
ホッとため息をついて、もう一度窓の外に視線を向けた。
行きかう人をぼんやりと眺めていると、知っている人の顔。
あれは…

1、水野先生
2、隆
3、周防さん

229:名無しって呼んでいいか?
07/02/26 18:25:06
2、隆

あれは……隆!

最後に見たのは、別れを告げたときだった。
あの時は、私も気が動転していて

230:名無しって呼んでいいか?
07/02/26 18:50:43
>>229はナシでお願いします。

2、隆

あれは……隆!

最後に見たのは、別れを告げたときだった。
あの時は、私も気が動転していてろくに顔を見ることすらできなかった。

公園通りに向かって、隆はゆっくり歩いている。
私はその姿をただ眺めることしか出来なかった。

(今、隆に話しかけても何を話していいかなんて分からないよ)
そんな気持ちのまま、隆の背中を窓越しに見送っていると、ふと、異常に気付く。

(あれ……隆の背中に黒い……影?)

確かに、隆の背中を覆うように黒い影が張り付いている。
隆の中にするりと入ったかと思えば、またずるりと出てくる。
まるで、隆の体を住処にしているような動きだ。

「まさか……ファントム……」

どんどん隆は遠くに行ってしまう。
このままじゃ、見失ってしまいそうだ。

私は……
①急いで追いかける
②一人では何もできないので諦める
③一郎君と修二君に連絡する

231:名無しって呼んでいいか?
07/02/26 19:58:27
③一郎君と修二君に連絡する

慌てて携帯電話を取り出し、リダイヤルボタンを押す。
すぐに明るい声がした。

「愛菜ちゃん、おはよ~。なになに?デートのお誘い?」
「ち、ちがっ!隆、隆に」
「あいつがどうかしたの?」
「隆にファントムがついてるの!」
「……そりゃ、そうだよ。あいつは、ファントムを作る力を持ってるんだから」
「……え?」
思いがけない言葉に、思考がとまる。

(隆の力…?じゃあ、昨日のは、隆が…?)
「一つ、教えてあげる。ファントムに取り付かれてしまったら、ファントムは人の内にはいるんだ。外から見ただけじゃわからない。俺達でもね」
(じゃあ、隆の中に入っているわけじゃないあれは、隆が操ってるファントム…?)
「もちろん、ちょっとした手順を踏めば、取り付かれてるのかそうでないのかはわかるけどね」
電話の修二君の声がやけに遠く感じる。

「愛菜ちゃん、聞いてる?」
「あ、うん」
修二君の呼びかけに慌てて返事をする。

「あいつも愛菜ちゃんを狙ってるっていったろ?」
「うん……」
信じたくないことがどんどんと起こる。

「愛菜ちゃんひとりなの?早く家に帰ったほうがいい。見つかったら大変だよ」
「うん…ありがとう」
電話を切って隆が消えていったほうを見る。

1、隆をおいかける
2、しばらくこの場に残る
3、家に帰る

232:名無しって呼んでいいか?
07/02/27 09:54:21
3、家に帰る

ふと春樹のことが気になった。
(そうだ春樹には見えないんだから、もし取り付かれたら…)

その可能性に思い至ってあわてて家に向かう。
春樹を狙ってくる可能性もあるって一郎君たちが言っていたのを忘れていた。
(なるべく二人でいたほうがいいのかもしれない…)

私は春樹にファントムが取り付かないように。
春樹は私が消えてしまわないように。
「ただいま。………春樹?」

いつもならすぐに返事が返ってくるのに返事がない。
あわててリビングへ向かう。
「春樹……?」

リビングをのぞくと、春樹はソファで寝ていた。
(よかった…)

ホッと息をついて春樹の顔を覗き込む。
規則正しい呼吸。
(疲れてるのかな?でもここで寝てたら風邪ひくかも)
「春樹?」

ためしに呼んでみる。
「……ぅ?」

小さく返事をするもののおきる気配がない。
どうしよう?

1、無理やり起こす
2、上掛けを持ってくる
3、いたずらする

233:名無しって呼んでいいか?
07/02/27 18:06:10
2、上掛けを持ってくる

私は二階に毛布を取りに上がった。

ここの所身の周りで色々ありすぎて疲れていた。
でもそれは春樹だって同じこと。
世話焼きで口うるさくてしっかり者で。

でも、春樹は私の弟なのに。

私は次から次に起こる不可解な出来事に振り回されてばかりで
自分のことで精一杯だったけれど、春樹はいつだって傍で支えてくれた。

春樹には本当にいつも心配のかけどおしだ。

リビングに戻ると横になっている春樹の肩口まで毛布をかけた。
「……いつも心配かけてばっかりだね。頼りないお姉ちゃんで、ごめんね」
静かに寝息をたてる春樹にそっと声をかける。

(そういえば春樹の寝顔を見るのは久々かも)
思いついて知らず小さく笑みがこぼれた。

「……さ、ん…」
見守るように見つめていた春樹が不意に苦しげな声をあげた。

「春樹?」
「姉、さん……だめ…だ…」
呼びかける声にも目を覚ます様子は無く、苦悶の表情を浮かべてうなされている。

「春樹、どうしたの?」
頬を触れるように軽く叩くと凄い力で手を捕らえられた。
何度か声をかけてみるも手を掴んだまま離そうとしない。

(指先、白っぽくなってきちゃった…)
春樹は眉根を寄せてうなされたままだ。

どうしよう?
1、手が痛いのでむりやり手をはがす
2、心配なので引き続き声をかける
3、空いている方の手で携帯に電話をかける

234:名無しって呼んでいいか?
07/02/27 18:34:26
2、心配なので引き続き声をかける

「春樹?大丈夫だよ。私ここにいるから」
うなされる合間に何度も呼ばれる。

「大丈夫、ここにいるよ」
そのたびに何度も大丈夫だと言い聞かせる。
あやすように何度も何度も声をかけていると、表情が柔らかくなっていく。

「大丈夫」
だんだんと落ち着いてきた呼吸に安心する。
さっきよりは力が入っていないが手は離してもらえない。
手を離そうとすると、そのたびに力が強くなる。
仕方なく春樹の横に座る。

することもないので、これからのことを考える。

1.御門くんのこと
2.春樹のこと
3.隆のこと

235:名無しって呼んでいいか?
07/02/27 21:23:30
2.春樹のこと

春樹は力が無いことに、とてもショックを受けていたみたいだった。
だけど、守るっていうのは何も危険から身を守ることばかりじゃない。
春樹が居てくれていることが、私の支えになっているのは間違いない。
だから、やっぱり私は春樹に守られているんだ。
それに、春樹が居ると私は消えないって言っていたし。

(ありがとう、春樹)
そっと、春樹の前髪に触れた。

私はリビングにある、家族の集合写真に目をむける。
父と私、そして、義母と春樹が緊張した面持ちで家の前に立っている。
家族になった日の記念に撮影したものだ。

(よく見ると……春樹ってば全然笑ってないよ)

私を生んでくれた母は、私が小さい時に突然いなくなってしまった。
父と私は何年も帰りを待っていたけれど、結局、母が帰ってくることは無かった。

そして、父が再婚することになった。
それが義母と春樹の出会いだ。

はじめて春樹に会ったのは確か……
①3年前
②5年前
③7年前

236:名無しって呼んでいいか?
07/02/27 22:06:08
②5年前


私が小学6年生、春樹が小学5年生。
あの頃はまだ、私と春樹の身長は同じくらいだった。
私は中学に上がってすぐに身長が伸びなくなって春樹に追い越されたのだ。

(そういえば、春樹は最初再婚に反対してたんだっけ…)
当時のことを思い出す。

春樹に最初に会って言われたのは、『お前らなんか必要ない!』という言葉だった。
そのときはショックで、私は泣いてしまったのだ。
後から知ったことだけれど、義母は前の夫の暴力が原因で離婚していて、そんな義母を見て育った春樹は父親という存在を疎ましく思っていたらしい。
当時のことを春樹は汚点だというけど、義母を守るための言葉だったって父も私もわかっている。
それに、そんなすれ違いも1週間もすれば消えていた。
春樹の心にどんな変化があったのかわからない。
一週間が過ぎた頃、春樹は約束してくれた。『母さんだけでなく姉さんも、父さんも守れるくらいに強くなる。ずっと守る』恥ずかしそうに、私にそう言った。
すっかり忘れていたけれど、春樹はこうして約束を守ってくれている。

「あれから5年か…」
小さくつぶやく。
そして、連鎖のように本当の母のことが脳裏に浮かぶ。
あれから5年ということは、母が居なくなってから…

1、8年
2.、10年
3、12年

237:名無しって呼んでいいか?
07/02/27 22:59:03
2.、10年

もう、10年たつんだ。

実の母がいなくなった日のことは、おぼろげにだけど今でも覚えている。

寂しそうな笑顔。
「愛菜には幸せに生きてほしいから」
ゆっくりと私の頭をなでる手。
囁くような、悲しい別れの言葉。
「だから、ごめんね……愛菜」
私は曖昧な意識の中で、その全てを感じていた。

そして目が覚めたら、母はいなくなっていた。

探した。とにかく探した。
何度も、必死に。その名前を呼んで。
母が辿ったかも分からない道を走って。
涙で前が見えなくなっても、転んでも、とにかく走って。

「もう、やめよう……」
あの日の悲しい気持ちがよみがえった気がして。
……それを追い払うように私は頭を何度も振った。

そのとき、不意に聞こえる声。
「姉……さん?」
見下ろせば春樹が寝ぼけたような表情のままでこちらを見ていた。
「どうか、したの?」
寝起きの声のまま春樹が問いかけてくる。

①「何でもないよ」
②「昔のことを思い出してたの」
③「これからのことを考えたの」

238:名無しって呼んでいいか?
07/02/27 23:40:37
②「昔のことを思い出してたの」

「……むかし?」
「うん、春樹に初めて会ったときのこと、春樹にあうずっと前のこと……」
あの人は今どうしているだろうか?
ふと気になった。

「どうしてるのかな……」
無意識につぶやいていた。

「……?……ぁ」
私のつぶやきに不思議そうな顔をしながら起き上がろうとした春樹が、私の手をつかんでいることに気づいて慌てて手を放した。

「ご、ごめん姉さん。毛布まで……」
「こっちこそごめんね。疲れてるんでしょ?」
「いや、平気だよ」
そういって笑う春樹に、わたしも笑顔を返す。

「ねぇ……俺に合う前のことって、姉さんの本当の母さんのこと?」
少しの沈黙の後に春樹が口を開いた。

「うん……」
「思ったんだけどさ、姉さんの母さんって行方不明になったんだよね?」
「……うん」
「もしかして……姉さんの母さんも何か力を持っていて、それが理由で居なくなったとか考えられない?」
「……え?」
思ってもみなかったことだ。
記憶の中の母を思い出す。

母は……
1、どこにでも居るような普通の人だった
2、どこか夢見がちでぼんやりした人だった
3、とても活動的だったけれどよく転ぶひとだった

239:名無しって呼んでいいか?
07/02/28 14:54:55
1、どこにでも居るような普通の人だった

「普通の人、だったと……思うよ」
10年も前の記憶。
もう写真を見なければ顔すらはっきり思い出せない。
けれど母に何か特別な力があるようには感じなかった。
普段は優しいけれど、怒るときにはすごく怖い。
どこにでもいるような普通の母親だったと思う。

「そうなんだ?力っていうのは遺伝とは関係ないものなのかな?」
「さぁ?少なくとも、父さんは普通だよね?」
「……そうだね。仕事人間だけどね」
春樹はそのまま何か考えているようだった。

「…あ」
ふと、思い出す。

1、「一郎君たちに聞いてみればいいんじゃない?」
2、「さっき隆がファントムを…」
3、「そういえば、一年生に御門君っていた?」

240:名無しって呼んでいいか?
07/02/28 20:01:04
2、「さっき隆がファントムを…」

「どうしたの? 姉さん」
「あのね、さっき街で黒い影をまとった隆を見かけたんだ」
「隆さんが黒い影を?」
「うん。隆にはファントムをつくる力があるらしいの」

幼馴染の隆に、そんな恐ろしい力があったなんて事が未だに信じられない。
少し流されやすいところはあるけれど、ごく普通の高校生だと思っていた。
初めて手をつないだ時は、びっくりしたけど嬉しかったのに……。
だけど、それも私を狙う目的だったかもしれないと思うと胸が痛い。

「隆さんとこれからどうするつもり?」
「どうするって……」
「だって、姉さんと隆さんはまだ付き合ってるんだろう?」

そうだった。春樹には水野先生と隆が一緒いるところを見た話しかしていなかった。
「……私が一方的に言っただけだけど、別れたよ」
「そうか……」
「だけど、隆と一度ちゃんと話をしなくちゃいけないとは思ってるんだ」

気まずいかもしれないけど、どういうつもりで付き合ったのかきちんと隆の口から聞きたい。
もし私を狙っているなら、その目的も。

「俺は……危険だと思う。やめておいた方がいい」

①「危険かもしれないけど、やっぱり話しておきたいよ」
②「そうだね、春樹のいう通りにするよ」
③「やっぱり隆と水野先生は同じ組織なのかな?」

241:名無しって呼んでいいか?
07/02/28 20:38:11
③「やっぱり隆と水野先生は同じ組織なのかな?」

「違うんじゃないか?」
「え?どうして?」
「同じ組織の人間なら、一郎先輩が水野先生を隆さんへけしかける理由がないじゃないか」
「あ…そうか」
「別の組織か、もしくは隆さんはどこにも属していないか…」
隆が水野先生の組織とは関係ないと聞いてなんとなくほっとする。

「まあ、推測だよ。でも、姉さん本当に危険なんだから、隆さんには近づかないこと!」
「……どうしても?」
「当たり前だろ!?隆さんと話しがしたいなら、ファントムを退治できるようになってからにしてくれよ?取り付かれたら大変なんだからね」
「あ、そっか、そうだよね…」
見ることはできても、ファントムを退治できないんだから、万が一取り付かれるようなことがあったら大変だ。

(でも、隆はいままで私にファントムを取り付かせようとはしなかったのよね…?)
もしその気になれば、今までだって隆はいつでも私にファントムを取り付けることができたはずだ。
そういうと、春樹は首を振った。

「今までは姉さんと隆さんの関係は良好だったじゃいか。ファントムを取り付ける理由なんてなかったよ」
「……そうかな?」
「そうさ。もし水野先生が隆さんへちょっかいをかけなければ、何もしなくても姉さんは隆さんを信用してたろ?」
「そうだね、たぶん……」
「でも、これからは違う。姉さんは隆さんを不信に思ってる」
「うん……」
「自由にならないなら、自由にできるようにファントムを取り付けることだってするかもしれない」
「………」
春樹の言うことはもっともだ。

じゃあ、どうすればいいんだろう…
1.隆に近づかない
2.一郎君か修二君と一緒に行く
3.それでも一人で話しをしに行く


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