コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 23at GAL
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 23 - 暇つぶし2ch532:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 10:54:37 IWG9DxFj
 サザーランドとグラスゴーの混成部隊。数は五機。放たれる銃弾を蒼の月下は鮮やかに
舞ってかわす。
 懐に入り込むと同時、廻転刃刀がサザーランドの胴体を斜めに切り裂く。続いて側にい
たグラスゴーへ飛燕爪牙を放ち、頭部を吹き飛ばす。
 瞬きした次の瞬間、斜めに両断されたサザーランドが爆発する。ライは月下をさらに前
進、加速させる。
 残る敵機は慌てた様子で銃を構えるが、その動きは余りにも鈍重だ。流星の如き速さを
見せるライの月下は一番近くの敵には廻転刃刀をたたき込み、後方に残っている二機には
ハンドガンの銃弾を撃ち込む。
 三機が砕ける様を見ず月下を振り向かせ、頭部を無くしたグラスゴーの元へ跳躍。コク
ピットブロックに逆手に構えた廻転刃刀を突き刺す。
 僅か数十秒で排除は終わり、同時に追いつく紅蓮と月下。
『…ねぇ、ライ』
 震える声でカレンが話しかけてくるが、ライは答えず月下を走らせる。外縁部を爆破し、
三機のナイトメアはゲットーへ降り立つ。
 しばらく廃墟だらけのゲットーを走り、隠れる場所を見つけ身を隠す。
『それじゃあ、アジトは、残っているみんなは……』
「カラレスと話している間にアラカワゲットーのアジトに向かうよう暗号電波を送っておいた。
ブリタニア軍から襲撃されるより前に暗号電波が届いていれば、逃げているだろう」
 ライの言葉に、重苦しい沈黙が周囲を満たす。
『……私、ちょっとアジトに行ってくる』
「カレン!?」
『すぐアラカワゲットーに向かうから、二人は先に向かってて』
『……な。待て、紅月!』
慌てた様子の卜部が声をかけるも、紅蓮は高機駆動走輪を回転させアジトの方へ走り去
っていく。
『くそっ。ライ、後を追うぞ』
「はい!」
 小さくなった紅蓮の後を慌てて二機の月下が後を追う。フルスピードを出しているのだ
ろう、ライの月下は紅蓮の姿を見失わないようにするので精一杯だ。

533:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:55:03 rHeSxXTL
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534:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:55:48 sE6gr5A0
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535:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 10:56:19 IWG9DxFj
十数分ほど疾走し、アジト前にたどり着く。立ちつくす紅蓮の横に並び、そして眼前の
光景を見て、ライは唇を噛みしめる。
「…!」
 視界に映る崩れたアジトに使用していた廃墟は炎に抱かれ、黒煙を吹いている。ひび割
れ、砕けているコンクリートの地面にはサザーランドのライフルの弾倉が転がり、ランド
スピナーによって刻まれた爪痕がいくつも見える。
 そして周囲に散らばっているかつて人だったものやその一部、闇に隠れて見えないがお
そらくおびただしい血痕も残っているだろう。破壊された無頼の残骸も見える。
「く……!」
―こうなるべき事を、予期しておくべきだった……!
 この惨劇はライの責任だ。こちらの襲撃が読まれていると想定した時点で、黒の騎士団
内部に相手の内通者がおり、自分たちが不在の間にこうなる可能性も考慮しておくべきだった。
 一体どれだけの人員を失ったのか。無事に逃げたものはいるのだろうか。罪の意識に震
える体を必死に押さえ、冷静さを失わないよう必死に感情を抑え込む。
『……うああああああっ!』
 獣のような咆哮を放ったカレンに、ライははっとなる。ランドスピナーを唸らせ、真紅
の機体が跳躍する。
「カレン!? どこへ……!」
叫びじみた問いをライが放つがカレンは答えない。赤のナイトメアが遠ざかっていく。
慌ててそれを追うライと卜部の月下。
『ライ! スピーカーのセンサーを最大値まで上げてみろ! 銃撃の音が聞こえる!』
 紅蓮を追う最中、卜部に言われたとおりセンサーを上げる。すると進行方向より銃撃や
爆発音が聞こえてくる。
「…!」
 銃撃の正体はすぐに判明した。アジト近くのゲットーでサザーランドやグラスゴーが周
囲を蹂躙している。
「団員はこちらに逃げたのか!?」
 思わず声に出してしまうライ。答えは返ってこない。

536:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:57:31 sE6gr5A0
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537:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 10:57:37 IWG9DxFj
『紅月! 待て!』
 卜部の静止も空しく、甲壱型腕を振り上げた紅蓮がブリタニア軍へ突っ込んでいく。
 それとライと卜部の月下に気がついたサザーランドらは一斉に機体をこちらに向ける。
「くっ! カレン!」
 すかさずフォローに入るライ。牽制の銃弾を放ち何機かの注意を自分へ向けさせる。
「落ち着けカレン! 今の状況で戦ってもこっちの負けは確定的だ!」
 工場より全力で逃走したときにエナジーの半分を使いきっている。ライの月下がそうな
のだから他二機も同様と見ていいだろう。
 眼前に映るだけのサザーランドならどうにかなる。しかしモニターには次々敵機の光点
が現れ出す。その数は三十、いや四十以上だ。
 廃墟や瓦礫を壁にして目まぐるしく攻撃、回避、牽制を繰り返す青の月下。しかし徐々
に周囲にはサザーランドの数が増えてくる。ライの表情が焦りを帯び、冷や汗が頬を伝う。
「南東の方角は敵の数が少ない! 一転突破して逃げるぞ!」
『そんなことできるわけないじゃない!』
 十手ナイフ─呂号乙型特斬刀をサザーランドから引き抜く紅蓮。悲痛なカレンの叫び
が機体から響く。
『ここのゲットーの人達も、アジトの皆だって……。私が、私の軽率な行動で殺したよう
なものなのよ!
 それなのに尻尾を巻いて逃げるなんて、できるわけないじゃない!』
 十近いミサイルを跳躍してかわす紅蓮と青の月下。すぐさまその方向へ爆走する紅蓮。
 主の激情のまま戦場を舞う紅蓮。豹のごとく力強さとしなやかさが兼ね備わった動きだ
が、今日は感情が理性を抑え込んでいるのか無鉄砲、無防備な姿が多くみられる。
 並のパイロットならば数回は撃破されているだろうが、パイロットとしての彼女の腕と
本能がそれらを回避、防いでいる。
 だがいつまでも持つというわけでもない。ライも必死に援護、フォローに回っているが、
このままでは卜部も含めて全滅は必至だ。
「責任は君だけにあるわけじゃない! 僕にだってあるし、卜部さんだってそうだ!」
『だけど! 私が、リフレインにこだわったから! いくらお母さんのことがあったからって─!』

538:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:57:56 rHeSxXTL
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539:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 10:58:56 IWG9DxFj
 輻射波動でまた一機撃破する紅蓮。すぐさま反転した別のサザーランドに向かっていこ
うとしたその時、
「っ! カレン!!」
 月下のカメラが今撃破された敵機の近くの廃墟の影に、大型キャノンを構えたサザーラ
ンドの姿をとらえる。
 咄嗟にキャノンの射線上にライは月下を走らせる。砲弾が発射されたのと同時、青の月
下はその先へライフルを撃つ。
「ぐあああっ!」
 敵機の撃破が確認されたと同時、砲撃を受けた衝撃に体が揺さぶられる。あまりの激し
い揺れに体は揺さぶられ、体や頭が幾度もコクピット内部に激突する。
『ライ─!』
 途切れ途切れの意識の中、カレンが叫ぶ声が脳裏に響く。今にも落ちそうな意識を歯を
食いしばり、引き留める。
『ライ、ライ!!』
「……だ、大丈夫。それよりも早く、ここから……」
 かすかな放電がコクピット内で踊っている。気力を振り絞り、ライは機体の損傷具合を
確認する。
『だ、だけど……』
『撤退するぞ! 紅月』
 モニターに映っていた二つの敵機を撃破した卜部の月下がそばに寄ってくる。
『卜部さん…』
『しっかりしろ! ここで死ぬ気か! 今は逃げることだけを考えろ!!』
『っ! ……わかりました。ライ、月下は動ける?』
「……いや、駆動系をやられたようだ。まともに動けそうにない。すまないがコクピット
ブロックを持ってくれ」
 近距離で大型ランチャーの砲撃をまともに受けたせいか、月下は想像以上に激しく損傷
していた。

540:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:58:57 sE6gr5A0
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541:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:00:13 IWG9DxFj
 左碗部が完全に破壊され、左脚部も動作不良を起こして動かない。また全体の稼働系に
も影響しているのか、無事な右碗部や脚部もレスポンスがさっきとは比べものにならない
ぐらい低下している。
─こんな形で、月下を失うなんて……!
 悔しさに歯噛みし、ライは月下本体の自爆スイッチを入れて、コクピットブロックを分
離させる。
『よし、撤退するぞ!』
 卜部の声と同時に大きく揺れるライの体。小さな振動が体を揺らす中、耳に聞こえてく
る爆発音。
「ごめんな。月下……」
 失ってしまった相棒へ、ライは謝罪の言葉を放つ。その時、ふと額から何かが流れてく
る感触がする。
 ふと手をやり、見ると、額へ触れた指先は真っ赤に染まっている。
「さっきの攻撃で……」
 力なくつぶやき、ライの意識は闇に落ちた。


 気がつき、ライの視界に入ったのは二つだ。
 ひとつは薄汚れた天井、もう一つはその天井に備え付けられた小さな電球。
 体は重く、気だるいが動けないというほどではない。ゆっくりと視線を周りに向ける。
 いくつかのベットに薬瓶らしき瓶がいくつも並べてある棚。入口だろう扉のそばには診
察室にあるような机といすが並んでいる。
 そこまで確認して、ライはここがどこなのかを思い出す。
「アラカワのアジトか……」
 つぶやき、同時に無事に逃げてこられたと言う事実にほっとするライ。
 あちこちに包帯が巻かれ、絆創膏が張られた体を起こそうとしたとき、ゆっくり入口の
扉が開かれる。
「カレン……」
「……ライ! 目が覚めたのね」
 柔和に微笑むカレン。久しぶりに見るその表情にライは一瞬目を奪われる。

542:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:00:25 rHeSxXTL
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543:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:01:22 IWG9DxFj
「ダメよ、まだ動いちゃ」
 体を起しかけていたライを、カレンが優しく抑える。
「ここはどこなんだ?」
「アラカワゲットーのアジトよ。まったく、びっくりしたわ。ここへ到着してコクピット
ブロックを開け得たらあなた気絶してるんだもの。
 あれから丸一日眠り続けていたのよ」
「状況は、騎士団の皆は……」
 カレンの表情から笑みが消える。わずかに顔が俯く。しかし視線はまっすぐライをとら
えている。
「……あなたの知らせのすぐ後に襲撃を受けたらしいわ。さすがに全員、とまではいかな
いけれど、無事な人たちもいるわ」
「……そう、か…」
 安堵の息を吐き、ライはゆっくりベットに体を横たえる。
「……ごめんなさい」
「カレン?」
「あなたは自分や卜部さんにも責任があるって言ったけれど、今回のことは、やっぱり私
に責任があるわ。
 死なせてしまった人たちのことも、あなたの負傷も」
「カレン、それは─」
「あの情報を聞いて、私が熱くならなければ、あなたの言うことを聞いていれば、このよ
うなことにはならなかったもの。
 馬鹿よね、私。こういうことは私よりもあなたやルルーシュの方がずっと優れているっ
てわかってたのに」
 自嘲の笑みをカレンは浮かべる。目じりには涙が浮かび、少しでも刺激すれば泣き出し
そうな表情だ。
 その光景を想像し、胸が痛む。ライはそっと、優しく言葉をかける。
「…カレン。どうしてあそこまでリフレインの工場を破壊することにこだわったんだ?」
 長い、長い沈黙の後、カレンは口を開く。
「……私のお母さんも、リフレインを使用していたの」
「カレンの、お母さんが?」

544:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:01:35 rHeSxXTL
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545:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:01:35 sE6gr5A0
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546:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:02:52 IWG9DxFj
 普段のカレンとはまるで違う、か細く弱弱しい声で彼女は語りだす。
 それはライの知らぬ話だった。そしてライは、彼女が日本解放を目指し、日本人として
黒の騎士団で戦う理由を理解した。
 自分がルルーシュやナナリーが幸せに暮らせる世界を作るため戦うように、彼女は母親
と再び親子として暮らせる場所を作るために戦っていることを─
「なるほど。それを聞けば君の激昂ぶりも納得がいく……」
「……でも、私が頭に血を上らせたせいで、あんなことに……」
 そこまでいってカレンはうつむき表情を隠す。全身が細かく震え、膝に固められた両の
拳に水滴が落ちる。
 ライは何も言わず、視線を逸らす。今度は何も言葉を発しない。
「…ねぇ、ライ」
 室内に響いていたかすかな嗚咽の音が収まったとき、涙交じりの声でカレンが訪ねてくる。
「なんだ?」
「どうして私をかばったの?」
 あまりにも唐突な質問に、ライは目を丸くする。
「……どうしてって、なぜそんなことを聞くんだ?」
「だって、あなたは私たちと違って日本解放のためにここにいるわけじゃない。ルルーシ
ュ達のためにここにいる。そのあなたが……」
 不安げで不思議そうにこちらを見るカレンにライは愕然として、次にカチンとくる。
 疲労や痛みのせいか、内なる思いを躊躇することなく口に出す。
「好きだからだよ」
「……え?」
「僕は君のことが好きだ。大切な人だ。戦友であり友達だからだよ。
 確かにルルーシュとナナリーの二人は大切だよ。だけど大切な人が彼らだけだなんて、
僕は一度も思ったことはないし、言った覚えもない」
 何故か固まるカレンにライは感情に突き動かされるまま、彼女への思いを、内情を激流
のような勢いで吐露していく。
 ルルーシュとナナリーのために騎士団を利用する、という思いもある。だがそれとそれ
だけの思いで自分は戦っているわけではない。エリア11へ戻ってきたわけではない。

547:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:03:42 rHeSxXTL
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548:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:04:19 sE6gr5A0
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549:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:04:46 IWG9DxFj
「ミレイさんたち生徒会メンバーはもちろん、今ここにはいない扇さんや玉城さん、藤堂
達も、僕にとっては大切な友達で、仲間だよ」
 記憶を探し、ギアスに恐れ、戸惑う中、彼らの存在がどれだけライを癒してくれたのか。
 ルルーシュやナナリーに比べるほどでないにしろ、彼らもライにとっては大切な人たちだ。
「カレン、僕がアッシュフォード学園や黒の騎士団にあれほど早く馴染めたのは君のおか
げなんだよ。
 学園では記憶を通り戻すためいろいろな場所を案内してくれたし生徒会の仕事も手伝っ
てくれた。いろいろなことも教えてくれた。
 騎士団ではナイトメアの模擬戦や任務でも君は近くにいてくれた。ブリタニア軍と戦う
時も君がそばにいると誰にも負けない、何でもできるような気がした」
 今では一番大切な二人ルルーシュとナナリー。しかし最初からあの二人と仲が良かった
わけではない。
 記憶をなくし、人や物事に無関心な自分へ最初に親身に接してくれたのはミレイとカレ
ンだ。この二人があってはじめてライは生徒会の中に入り込めた、あの二人と親しくなれ
たといっても過言ではない。
 そして黒の騎士団ではただ一人の顔見知りだった彼女。学校とはまるで違う姿や性格だ
ったが、入ったばかりの自分を気遣う態度だけは全く変わりがなかった。
 そして戦場で紅蓮を駆るその勇壮かつ鮮烈に輝くその姿は、生と死が入り乱れる場所に
あって誰よりも頼りに思え、美しく思った。
「君は僕にとって大切な友人だ。かけがえのない人だ。嘘じゃない、誓ってもいい」
そう言いきってカレンを見つめると、ライの表情は訝しげなものへと変わる。
「……カレン?」
「え? あ、な、何?」
「どうしたんだ、顔を赤くして……」
 どういうことなのか、カレンは熟しきったリンゴの如く顔を真っ赤にしている。
 先ほどとは一変したその様子にライは先ほどの感情の乱れも忘れ、心配げに言葉をかける。
「もしかして風邪でも引いていたのか? すまない、気がつかなくて」

550:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:05:11 rHeSxXTL
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551:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:06:03 IWG9DxFj
「ち、違うわ。なんでも、ないの」
 頬の赤みがさらに増し、慌てて離れるカレン。
「そうか? 無理してないだろうな? ここに来たのも僕の見舞だけじゃなくて薬を取りに─」
「へ、平気よ! 風邪なんて引いてないから! 本当に、平気、だから。……あ、そうだ。
お腹空いてるわよね。ちょっと待ってて、すぐご飯を持ってくるから」
 ひどく狼狽しているカレン。慌てた様子で立ち上がり、部屋から出て行ってしまう。
「……何なんだ? 風邪も引いていないのに赤くなるなんて。カレンの奴、本当に大丈夫
なんだろうか…」
 カレンのおかしな態度に首を傾げるライ。と、再び扉が開く。
「目が覚めたか」
「CC。無事だったか」
「当然だろう。私はあの程度で死にはしない」
 不敵な笑みを浮かべた彼女は腕と足を組んだ尊大な姿勢で椅子に腰を下ろす。
「怪我の具合は悪くないようだな」
「ああ。あと一日程度休めば問題はないとは思う」
「確かにな。だがこの左腕はそうではないようだな」
 包帯が巻かれた個所へ、そっと触れるCC。ひんやりと冷たい彼女の手が心地いい。
「……知っていたのか」
「お前が倒れてここに運び込まれたときに聞いたのさ。これはどうした。戦闘中のものではないな」
「スザクと刃を交えたことは話しただろう。その時のものだ」
 言うと、CCはそれ以上何もいわない。手を離し、席を立つ。
「……CC。ブリタニア軍の襲撃でどれぐらいの団員が死んだ?」
「六割…いや、七割ほどかな」
 まるで明日の天気を言うかの如く、あっさりとした口調でCCは言う。
「……多いな」
「仕方があるまい。お前が教えてくれた直後、アジトのレーダーにサザーランドが引っ掛
かったのだ。
 私や他のものを逃がすために無頼や生身で戦ってくれた戦闘班は壊滅状態だ」

552:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:06:57 sE6gr5A0
支援

553:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:07:32 IWG9DxFj
「そうか……」
「ちなみに今日のニュースでは昨日の騒ぎはいつもの通り、テロリスト撲滅のため軍が出
動したということになっていた。
 近くのゲットーを襲ったのも、テロリストが逃げたからだという」
「そうなのか?」
「馬鹿を言え。ブリタニア軍が襲ったゲットーはこことは正反対の位置にある。どうせカ
ラレスが我々への見せしめのために、近くのゲットーを襲うよう指示を出したのだろう」
 CCの確信じみた予想は、決してはずれではないだろう。カラレスという男は、そんなこ
とは平然とやってしまう男だとライも知っているからだ。
「焦るな」
 己の不甲斐なさ、ルルーシュ、ナナリーの奪還、黒の騎士団の編成─。そのほか様々
なことに対し自己嫌悪と焦燥感を感じていた時に、唐突に飛び込んでくるCCの言葉。
 ライを見るCCは普段の冷淡な表情に見える。しかしそこにわずかだが気遣いのようなも
のも感じられる。
 以前とは明らかに違う彼女の変化にライは驚きつつも、ぶっきらぼうに答える。
「……わかっている」 
「だと、いいがな」
 出ていくCCを見送って、再びライは天井へ視線を向ける。
 今回の作戦の失敗で、一体どれだけの被害が出たのだろうか。自分の月下も失い唯でさ
え少なかった騎士団人も七割も失ってしまうとは。
 黒の騎士団をつぶせなかったことによりカラレスは今以上に日本人や黒の騎士団らの抵
抗組織の弾圧を激しくするだろう。今の騎士団に、それを耐えることはできるのか─
 先のことを考え懊悩していると、突然勢いよく入口の扉が開かれる。
 驚き身を起こすと、目にしたのはお盆を持った態勢で右足を上げているカレンだ。
「何、してるんだ」
 ライは思わず唖然とした声を出す。
「何って、ほら。食事を持ってきたのよ」
 開いた扉を再び足で閉じ、そばにやってくるカレン。そしてライを見て怪訝そうな顔になる。
「……どうしたの。暗い顔して」

554:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:07:50 rHeSxXTL
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555:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:09:25 IWG9DxFj
「え、いや。別に」
 ライは内心を悟られまいとカレンからお盆を受け取る。盆の上に乗っている器にはお湯
に浸された白米と野菜が入り混じっている。
「これは?」
「お粥よ。日本で病人に食べさせるといったら、これよ」
「カレンが作ったのか?」
「そうよ。味は問題ないとは思うけど……まぁ、食べてみて」
 言ってカレンは盆の上に乗っているスプーンのようなものを渡してくる。
 ライは受け取り、器の中身を救って口へ運ぶ。
 程よく柔らかい米と野菜が口の中でうまい具合に混じり合う。薄く味付けもされており、
なるほど、これは─
「うん。おいしい。体が温まる」
「……よかったぁ」
 子供のような無邪気な笑みを見せるカレンに、ライは思わず微笑する。
 彼女に感謝するようにライは一口一口味わって粥を口に放り込む。気がつけば器の中身
は空となっていた。
「ありがとう。美味かったよ」
「どういたしまして。─ところで、さっきは何を悩んでいたのかしら」
 盆を受け取ると、カレンは唐突に聞いてくる。
 まっすぐな彼女の視線にライは思わず口に出しかけるが、何とかそれを抑える。
「……いや、大したことじゃないよ」
 心配させまいと笑みを浮かべて言ったのだがなぜかカレンは眉を吊り上げる。
「ライ、さっきあなた言ったわよね。私は……友達。仲間だって」
 途中、何故か躊躇して、頬を染めてカレンは言葉を紡ぐ。
「あ、ああ」
「その悩みごとに、私は力になれない?」
「それ、は」
 力になれなくはない。黒の騎士団の問題は彼女にも関わることだ。
 だが現状その問題はどうしようもない。だから話すことは─
「ぁ」

556:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:09:50 rHeSxXTL
支援

557:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:10:59 IWG9DxFj
 小さくかすれた声をライは出す。それは目の前にあるカレンの真剣な、しかしどこか不
安げな表情を見て、気がついたのだ。─彼女のつれなかった態度の原因は、自分にあっ
たことを。
 騎士団と合流し、そのさんざんたる内情を見た自分はいつの間にか彼女を─さらに言
うなら卜部やCCも─頼らなくなっていた。戦場においての戦力としては信頼を置いては
いたが、それ以外では大したことはできない、と勝手に決め付けていた。それの証拠に騎
士団の内政は全てライが一人受け持っていた。協力も求めなかったし、相談さえもしなかった。
─何をやっていたんだ。僕は
 そのような態度を自分が取ればカレンの態度にも納得がいった。そしてそんな態度をと
っていた自分を、強く恥じる。それはどう見ても友人に対する態度ではない。
―ルルーシュとナナリーが幸せに暮らせる世界を創る。その為ならばカレンさえも利用
するのだから、そのような気遣いはいらないと思うが
 内に潜む冷静な自分が語りかけてくるが、ライは納得しない。今の態度を変えない限り、
カレンとの仲は修復されない。騎士団の双璧たる二人がその本領を発揮できないとなると
戦力に大きく影響してくるし、ライが望む未来が訪れないことにもなりかねない。
―いや、そんなことは関係ない
 カレンはルルーシュの全てを、そして過去のライを知って、なおかつ信じようとしてい
る。そんな彼女を駒として利用するなど、彼女のみならず友や自分への侮辱に他ならない。
「いや、そんなことはないよ」
 そう言うと輝くような笑みをカレンは見せる。それを見て、ライは心が安まるのを感じる。
 正直なところ、ライの最優先事項はランペルージ兄妹のことだ。騎士団の掲げる日本解
放がなされずとも、自分の望みが叶うのならばそれでもいいと思っていた。
 だが、自分を助けてくれた友人であり、自分の全てを知る戦友であり、自分を信じよう
としている彼女―紅月カレンの想い、願いを知った以上、それ無視することはできない。
 今のライは友人への友情に報いるためにいるのだから。
―やるべき事が一つ増えたな
 穏やかな表情のカレンと話しながら、ライは"ランペルージ兄妹の幸せな世界"の横に
"日本解放"という新たな項目を追加した。


つづく


558:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:11:20 sE6gr5A0
支援

559:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:11:21 rHeSxXTL
支援

560:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:12:30 IWG9DxFj
9話終了です。前回久しぶりの投下にもかかわらず覚えていてくれた方々と、支援してくれた皆さん、ありがとうございます。
以前申し上げたとおり日本編は今回で終わり、次からはR2本編にオリジナル展開を交え
た話になります。今回も前回同様センスのない題名通りのお話です。
前回の最後を読めばわかりますが仲違いした二人をどうやって仲直り出せるか。足りない
頭で考えたところ、カレンの事情を使わせて貰いました(このSSはギアスEND後なの
で、カレンの事情は知りません)
あとランペルージ兄妹第一だったライの中で、カレンのランクがアップしています。これ
が後々伏線として使えるような使えないような……??
それではまたお会いしましょう

561:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:18:55 rHeSxXTL
>>560
RC卿、乙&GJでした!
満足感と何故か達成感をかんじました
このように長い文章を書くのは大変だと思いますが、頑張ってくださいね
カラレス総督を凄いとかんじる日が来るとは……
ライの苦悩?も解決したようですし、次回から本編突入とのことで
全力を挙げて続きを楽しみにさせていただきます!

562:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:21:51 sE6gr5A0
RC卿、GJ。
ここでカレンフラグですか。
ああ、これからどうなる、どうするライ。

563:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 12:51:14 hSSUTo4x
RC卿GJでした!



流れを切って申し訳ないのですが、一晩明けて読み返したら、文章や改行がおかしいと思う箇所があったので修正しました
また、一部表現を画像掲示板に合わせるなどの変更をしました
(基本的な内容は変わっていません)


絵板管理人様
個人的見解ですが、文字数制限などで不可能でないならば、絵板の注意書きに以前こちらに書き込まれた
・画像の持ち帰りについて
・画像の削除について
の二点を入れておいた方が良いのではないかと思います
ご検討ください

564:4の修正テンプレ案・第4稿
08/09/08 12:52:42 hSSUTo4x
関連外部板として、ロスカラSSスレ派生画像掲示板(URLリンク(bbs1.aimix-z.com))があります。
自作画像を画像掲示板に投稿したい&SSスレに投稿報告したい方は画像掲示板の注意も精読の上、以下のガイドラインに従ってください。


(画像投稿報告ガイドライン)

1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。尚、コテハン&トリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメ他公式媒体などにインスパイアされた場合は、それを書く(例:R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)

2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
例:
「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。
画像板の(タイトル)です。
・内容(挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど)
・注意点(女装・ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)・微エロ(キス、半裸など)・ゲテモノ(爬虫類・昆虫など) など、
絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮をお願いします)
以上です。よかったら見てください。」
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。

3.気になった方は画像掲示板を見に行く。
画像の感想は、原則として画像掲示板に書き、SSスレの投稿報告レスには感想レスをつけないこと。
画像に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。

4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したものとします。
・SSスレに投稿報告した時点で、美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
(不適切な例:ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)

565:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 12:59:31 Fc2BcoqU
すみません
トーマス卿
今気づきましたので修正のお願いを…
>>369
どうやらこの甲冑は売り物らしい。

の後に

ただ、気になるのは値札の横に小さく『夜になると勝手に暴れ出すので注意してください』と書かれているのだが…

と入れてください
出来ればでいいのですいませんお願いします

566:絵板 ◆1kC3aaXjik
08/09/08 14:54:14 A+HUPRZ9
>>563
ご指摘ありがとうございます。
絵板の注意書きに削除についての文言を加えました。
文字数制限(300文字)がきびしかったこともあり現状の妥協点に・・・

以前明示した、「投稿作品の蓄積保管をしないこと」に関しては
当方がSSスレでの「画像版の保管庫」になるつもりではないということ、
従って永続的に作品を閲覧できる状態にはならないということを
はっきりさせておくために提示させていただいた点であったこと、
また、投稿掲示板側で「お持ち帰り」の件に触れてそれ推奨することになるような?
文言も奇妙かと思ったことからもこちらを削ることにしました。

(投稿掲示板でログが流れてそれきりになるのは一般的な仕様だと思うので
 それほど問題はないのではとも考えました。
 ログは200件ほど残るそうなので早々に作品が消えることはなさそうです。)

もし、ご指摘の点と筋違いの理解をしているようでしたら申し訳ありません。

567:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 17:34:38 2ZvTDw4X
>>560
乙です!
感想で書きたいところが色々あったはずのに終盤のツンデレで全て頭から吹っ飛んでしまった。
カレンかわいいよカレン。

568:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
08/09/08 18:38:29 qE6KxLHj
>>565 修正しました。

569:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 18:47:06 8U6kHEoz
19:00頃に投下します。前書き、あとがき含めて12レス分になるので、
支援お願いします。

570:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 18:53:55 9oHLXehS
支援

571:余暇 ◆kkvclxzIds
08/09/08 19:02:18 8U6kHEoz
ありがとうございます、そろそろ投下します。

作者:余暇
タイトル:白銀の騎士、再び 第三話「ライの決意、ノネットの想い」

(追加設定)
・R2時点でマリーカは15歳だったので、ほぼ一年前の今作は14歳の設定。
・親衛隊ルートを通ってるので、シュナイゼルとライの直接の面識はなし。

今回はEUとの停戦協定が締結される前日の話が中心。
ノネットさん視点で話は進みます。

572:余暇 ◆kkvclxzIds
08/09/08 19:04:19 8U6kHEoz
             『白銀の騎士、再び』
         第三話「ライの決意、ノネットの想い」

マリーカが私の屋敷に来た日の夜。私、ノネット・エニアグラムは自室で考え込んでいた。
「ライの奴、本当に大丈夫なんだろうな。まあ、夕方には治っていたから大したことではなかったんだろうが……。」
私はこの屋敷の居候にして、将来はラウンズの座も狙えると期待している、あの男のことを気にしていた。
「あいつはちゃんと、キューエルの最期をマリーカに伝えられるのだろうか。精神的な負担にならなければいいが。」
いくら以前に比べて体調が落ち着いているとはいえ、長時間他人と接するのは慣れていない。もしまた、以前のように……。
「いや、電話で話した時、あいつの意思は固かった。私が止めたところで意味はないだろう。せめて、見守ってやらねば。」
私は、EUとの停戦協定が結ばれる前日のことを思い出していた。


573:余暇 ◆kkvclxzIds
08/09/08 19:07:17 8U6kHEoz
EUとの停戦協定が締結される前日、アヴァロンにて。
「停戦協定、でありますか。」
私とルキアーノはシュナイゼル殿下に呼ばれ、停戦の旨を告げられた。
「EUには今回の作戦で大きなダメージを与えることができた。向こうは互いの利権が絡んで結束力が大幅に低下し、
これ以上の戦闘は無理だと思ったらしく、先ほどこちらに停戦の意思を伝えてきたよ。」
「加えて、こちら側の被害も大きいのと、兵たちの士気低下も著しく、
これ以上続けても被害を大きくするだけと殿下が判断なされたのです。」
殿下と、その副官のカノンが事情を説明した。
「じゃあ、他の戦線はどうなんだ?ここはすぐにでも協定を破棄されそうなのか?」
ルキアーノがカノンに尋ねる。
「残念ながら、EU戦線はしばらくの間平穏を保てそうですわ。それと、他の戦線もすごく落ち着いていますの。
敵方の体力が相当弱ってきているみたいですよ。ブラッドリー卿はすぐにでも戦地に行かれたいようですけど、ご期待に添えず申し訳ございません。」
柔らかな笑みを浮かべつつ、カノンが答えた。
「けっ、じゃあしばらくは暇なのかよ。そんなのやってられるか。なあ、ノネット。」
ルキアーノが面白くなさそうに吐き捨てた。本当に血気盛んな奴だ。
「ふう、殿下の御前で口汚いぞ、ルキアーノ。それに、私をお前と一緒にするな。戦うのが嫌いなわけではないが、
好きこのんで他人の命を奪おうとまでは思わん。戦わずに済むのなら、それに越したことはない。」
「ふん、戦うのは嫌いじゃねえのに命を奪うのは嫌いだあ?何とも矛盾した思考だなあ、ナイトオブナインさんよお?」
「……言ってろ。」
矛盾しているのはわかっている。戦場で強い相手と相対した時に心躍る瞬間はある。だが、たとえどんな人間でも、
軽々しくその命を奪っていいものではない。だから、軽い気持ちで人の命を弄ぶこいつは嫌いだ。

574:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 19:07:55 KIZeT7T1
支援

575:余暇 ◆kkvclxzIds
08/09/08 19:10:05 8U6kHEoz
「まあ、それぞれ思うところはあるだろうが、明日にはEU戦線は一旦作戦を終了する。」
シュナイゼル殿下が口を開いた。
「幸い他の戦線も落ち着いているから、兵士たちには束の間の休息を与えようと思う。訓練を再開させるまでの間、
現状から考えて二週間くらいは休ませても構わないと思っている。二人はどう思う?」
「殿下の仰せのままに。さぞ兵士たちも喜ぶことでしょう。」
反対する理由などない。私はすぐさま賛同した。
「…まあ、殿下がそうおっしゃるのなら反対はしませんぜ。俺個人としては、暇なのはご勘弁願いたいですがね。」
ルキアーノも、しぶしぶと言った感じで賛同した。
「ありがとう。では、正式な通達は明日にしてくれ。今日は戦闘は起きていないとはいえ、まだ協定の締結には至っていない。
兵士たちの集中力を削ぐわけにもいかないからね。」
「「イエス、ユア・ハイネス。」」
私とルキアーノは一礼し、退室しようとしたが、
「ああ、エニアグラム卿。少しだけ残ってもらえるかな?」
殿下が私を呼び止めた。何事だろうか。

576:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 19:11:17 KIZeT7T1
sage忘れすいません
支援

577:余暇 ◆kkvclxzIds
08/09/08 19:14:12 8U6kHEoz
「確か君は、ライという騎士と知り合いだそうだね。」
殿下が口にしたのは、ライの名前だった。
「殿下、彼をご存知でしたか。」
「ああ、直接の面識はないが、コーネリアや特派のロイド伯爵から話を聞いたものでね。
かなり優秀な人材だそうじゃないか、君もかわいがっているそうだね。」
「ええ、彼はナイトオブラウンズも狙える腕や人格を備えていると、私は考えます。」
シュナイゼル殿下にも興味を示されるとは、コーネリア殿下ではないが、本当に人好きのする男だ。
「エリア11平定や、特区日本成立に大きく貢献したと聞きますが、今は体調を崩して、
エニアグラム卿の領地で療養中なんですって?」
カノンが尋ねてきた。そこまで調べていたか。
「ええ、もう三ヶ月近くになります。初めの頃に比べると大分落ち着いているようですが、まだ軍に復帰するには早いようです。
若いし将来も有望なので、あわてて復帰させる必要もないとは考えますがね。」
「エリア11の女性軍人の中で密かに人気だという、美形の騎士。私も一度、お目にかかりたいですわ。」
カノンが妖しげな笑みを浮かべる。人の趣味をとやかく言うつもりはないが、
ライをあっち方面に目覚めさせるのは、正直気が引ける。
「早く会ってみたいね、彼に。あのコーネリアが認めるほどの人材だ、ものすごく興味がある。
彼によろしく伝えておいてくれないか?私が会いたがっていた、と。」
「わかりました、きっと彼も喜ぶことでしょう。」
私は殿下に一礼し、退室した。殿下の含み笑いの奥に何かが見え隠れしていたが、その真意はわからなかった。

(彼が復帰した時にはうまく私の手札に加えたいものだが、コーネリアが簡単に手放してくれるかどうか。
もう少し様子を見る必要がありそうだね。)


578:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 19:15:13 KIZeT7T1
支援

579:【次スレからのテンプレ推奨AA】
08/09/08 19:17:01 qHYEdyx5
  , '     , '  f     |       l    ',   ヽ.  ,'   __ノヽ、_ノヽ_ノヽ_ノヽ、_ノヽ_ノヽ
. /     ./    {.       {       j  ,  }    .! /   )ちょっとあんた達!!
,'     ,' i    ヽ、,\-┘    '-y、   i      |, '   < 
!       , ! !   ./,, ==ゝ、    _ノ__,ヽノ  丿 i !      ! いいかげんにDS版コードギアスの黒の騎士団のエースが
t     | t ヽ、/ '' 〃_)i. ` ´  rf´)iヾ,ヽ/ 丿ノ     丿 扇さんでもオレンジでも、ましてやヘルマンのおっさんでもなく、
. \    t. ゝ-v’  { i、リ!     |f_j|  ,'_ / ´    ∠__この私だという事実を認めなさいよ!!
   ` ‐- !ゝf ‐、     -‐‐'    ヽ .ヒタ  .fノ          ヽ,.-‐- 、,. -‐-、,. -‐- 、,. -‐-、,. -‐- 、,. -‐-
      ', l  }  .:::::::::.  ,~-┐ .::::::. }|  ヾ、
       l ゝ、_`      /    l    ,.' !    }.}  、
      ノ  _.  \     {   ,'   , イ ヽ  ノノ  丿!
 t ‐--‐'  / `/"ヽ` 、 ヽ - '  _,-'⌒!`` =' '‐-‐'  l
  ` ‐-ッ' ./   {  .∧   ` ー ',-'     !`i ヽ     ノ

580:余暇 ◆kkvclxzIds
08/09/08 19:17:45 8U6kHEoz
私はその足で、ルキアーノの部屋へ向かった。一つ確認したいことがあったからだ。
「ルキアーノ、いるか。」
すぐに扉が開き、奴が顔を出した。
「何だ、俺に何か用か?」
「うむ、ヴァルキリエ隊の休暇はどうするつもりだ?期間はどれくらいになる?」
あまり好きなタイプではないが、努めて明るく振る舞う。
「まあ、一応二週間の予定だぜ。その後演習をする予定だがな。」
「そうか、わかった。ありがとう。」
私は部屋を立ち去ろうとしたが、
「待ちな。」
ルキアーノに呼び止められた。
「何だ、どうかしたか?」
「マリーカを説得しようとしても無駄だぜ。あいつはこのEU戦線が初陣だったのに、それなりの戦果をあげた。
あいつはそのうち、血の味を覚えて忘れられなくなる。何より肉親を奪われたことによる復讐心は消えることはねえ。
あいつが人の心を失うのも…」
「ふざけるな!彼女がどれだけ悩んでいるのか、お前は知ってるのか?自分の手で人を殺すことの重みに
つぶされそうになっているんだぞ。彼女の心は私が守る、彼女の純粋な心を、
肉親を想う気持ちを利用したお前などの思い通りにはさせん!」
「くくく、泣かせるねえ。ま、せいぜい頑張りな。ハハハハハ!」
ルキアーノは自室へと消えていった。

(ふっ、私としたことが、つい感情的になってしまったな。だが、どうしても奴だけは好きになれん。)


581:余暇 ◆kkvclxzIds
08/09/08 19:21:33 8U6kHEoz
私は自室に戻ってすぐに、紅茶を飲んで一息ついた。そして、停戦後のことを考えた。
「やはり、一度マリーカとじっくり話し合う必要がありそうだ。あいつの胸の内を把握しておかねば。
だが彼女を屋敷へ連れていくとなると、必然的にライと顔を合わせることになる。
あいつは果たして、外の人間と触れ合って大丈夫だろうか?だが考えようによっては、
相互作用で二人ともいい方向へ向かうことも考えられる。あいつに確かめてみるか。」
私は、ライに電話をかけた。
『もしもし。』
「やあ、ライ。私だ。」
『あ、ノネットさん。お元気そうですね。』
ライの声が明るくなる。不思議と私もさっきまでの重い気分が軽くなった。
「調子はどうだ?」
『おかげさまで、大分落ち着いていますよ。本当にノネットさんのおかげです、ありがとうございます。』
「いや、最終的にはお前自身の力で立ち直らなければならんのだからな。私はその手伝いをしているだけだ。」
『いえ、それでもノネットさんがいなければ、僕は……。』
「ふふっ、嬉しいことを言ってくれる。」
彼と話すうちに、気分が高揚するのを感じていた。先輩として、保護者として。そして、一人の女として。
(だがあの朴念仁は、どうせ私の気持ちには気づいていないのだろうな。いずれ、はっきりさせねばな。)

582:余暇 ◆kkvclxzIds
08/09/08 19:25:30 8U6kHEoz
「あっ、そうだ。シュナイゼル殿下がお前のことを気にしておられたぞ。
コーネリア殿下やロイド伯爵からお前の話を聞いて、会ってみたくなったそうだ。」
『えっ、シュナイゼル殿下が?そうですか、光栄です。でも、殿下にそこまで言われるほど、自分に魅力があるとは思えないんですが。』
「おいおい、お前はまだそんなことを言ってるのか?コーネリア殿下や私が認めたのだ、もっと自信を持て。」
こいつは相変わらず、人からの評価に対して鈍感な奴だ。
「それともう一つ、明日EUと停戦協定を結ぶことになる。他の戦線も落ち着いているので、一度そっちに帰れそうだ。」
『そうなんですか?ノネットさんがEU戦線に行かれて一ヶ月くらいになるんですよね?今度はどれくらい休めそうなんですか?』
「うむ。一般兵は二週間くらい休めるそうだが、私はラウンズだからな。いつ仕事が入るかわからんし、はっきりしないな。」
『そうですか、大変ですね……。』
ライの声が、少し寂しそうなものに変わる。
「ところで、外の人間に会う気はないか?」
『外の人間?誰か連れて来るんですか?』
「うむ。私の幼馴染なんだが、新兵でありながら他のラウンズの親衛隊に抜擢された子でな、それだけに色々悩んでいるそうなんだ。
彼女の悩みを聞いてあげたくて、そっちに連れて行きたいんだがな。よく気が利く優しい子だから、お前のリハビリにもいい効果が
あると思うんだが、どうだ?と言っても、お前の中にある『やばい何か』次第だがな。」
そう。ライの体に変調をきたし、彼が人と接触することを怖れる原因になった力。それが制御できないなら、マリーカに会わせるのは酷だ。
彼は思案した後、その口を開いた。

583:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 19:26:52 6kGE0N0y
支援

584:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 19:27:01 UljW38ql
親衛隊ルートを通ってもシュナイゼルと会う機会があるんだけど

一回目は特派の施設、2回目は特区会場(確かいたよね)

585:余暇 ◆kkvclxzIds
08/09/08 19:29:28 8U6kHEoz
『大丈夫だと思います。いつまでも怖がってるわけにもいきませんし。それに、もしおかしくなっても、
その時はちゃんとノネットさんに伝えますから。』
「随分と頼られているんだな、私は。まあいい、決まりだな。明後日かその次の日には着くと思うから、
菓子などを用意しておいてくれ。変にケチらず、上等な物を用意しろよ。」
ライに頼られている。どういう感情が彼をそうさせているのかは知らないが、私はその事実だけでも嬉しかった。
『わかりました。ところで、どんな人なんですか?新兵ということは、若い人なんですか?』
「ああ、確か十四だったか。お前より年下のかわいらしい少女だ。だからフランクに、優しく接してやれ。第一印象は重要だぞ。」
『はあ、わかりました。ところで、名前は?』
「うむ。マリーカ・ソレイシィだ。」
『ソレイシィ?……まさか!』
電話口の向こうで、ライが驚きの声を上げる。私はそれに違和感を覚えた。
「どうした、何を驚いて…」
『ノネットさん!もしかして彼女、キューエル・ソレイシィ卿の関係者の方ですか?』
「あ、ああ。キューエルは彼女の亡くなった兄だが。ん?ちょっと待て。お前はキューエルを知ってるのか?」
ライはしばらく黙った後、重い口を開いた。
『はい、ナリタ戦の前に一度だけ会ったことがあります。
そしてナリタ戦で彼ら純血派を助けに行ったんですが、キューエル卿だけは助けることができなかったんです。』
「そうだったのか、そんなことが……。」
私は驚いた。ライとキューエルの間に接点があったとは。
だがそうなれば、彼は救えなかった男の妹と顔を合わせることになる。精神的な負担が大きいのは目に見えていた。


586:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 19:32:45 rHeSxXTL
支援

587:余暇 ◆kkvclxzIds
08/09/08 19:33:34 8U6kHEoz
「ライ、残念だが今回は…」
『ノネットさん、彼女に会わせて下さい。』
「何だと?」
驚いた。今まで他人と顔を合わせることを怖れていたあいつが。だがおそらく……。
『彼女に会って謝りたいんです、お兄さんを助けられなかったことを。』
やはりそうか。ライは責任感の強い男だ、ずっと罪悪感があったのだろう。
「だが、大丈夫なのか?それはお前にとって、大きな負担になるのではないか?
『やばい何か』が何らかの影響を及ぼすことも考えられるぞ。」
『わかっています。でも、気持ちに整理をつけたいんです。マリーカさんにどう思われようが、ちゃんと伝えたいんです。
キューエル卿とのことや、ナリタ戦でのことを。』
「お前……。」
彼もああ見えて意地っ張りな男だ、おそらく半端な意志ではないだろう。ならば私ができることは一つ、彼を見守ってあげること。
「わかった、お前の好きにしろ。だが、そのことを話す時は必ず私も立ち会うからな。
そうでなければ、お前の変調に気づいて止められる人間がいないだろう?」
『ありがとうございます、ノネットさん。その時にはお願いします。』
「ああ、任せろ。とにかく、近いうちに彼女を連れて帰るから、それまでに準備しておけよ。
掃除や菓子の準備もだが、心の準備もな。」
『わかりました、それじゃ。』
私は電話を切った。思いもよらない展開だった。まさかこんなことになるとは。
「だが、あいつが決めたことだ。そうしなければ前には進めないのならば、
私はその手助けをしてやるだけのこと。これで、事態が好転すればいいのだが。」

そして私は翌日、マリーカを自分の屋敷に招待することとなる。

588:余暇 ◆kkvclxzIds
08/09/08 19:37:43 8U6kHEoz
「ライ、いいか。」
所変わって、自分の屋敷内。あの日のことを思い出してもう一度確認したくなった私は、ライの部屋の扉を叩いた。
「どうぞ。」
部屋の中からライの声がして、私は扉を開けて中に入った。
「どうかしましたか?」
普段と変わりのない彼の様子。
「本当に大丈夫なのか?マリーカにちゃんと話せるのか、キューエルのことを。」
彼の表情が引き締まる。
「ええ、大丈夫ですよ。これはいつか、通らなきゃならない道だと思うんです。
そしておそらく、胸のわだかまりを解消しないと、僕は前に進めない。
もう一度立ち上がって、コーネリア殿下や仲間のために自分のできることをしたい。
お願いです、ノネットさん。彼女と話をさせて下さい。そしてもし、僕が持つ力が暴走しそうになった時は……。」
「ああ、わかってる。私が止めてやるよ、だから安心しろ。」
私は力強くうなずいた。ライの覚悟は本物だ。自分の弱さを知り、それを乗り越え、さらに一回り成長しようとしている。
ならば私もできる限り協力しよう。
「明日、キューエルの墓参りに行くつもりだ。その時に話すか?」
「はい、僕も一緒に行きます。そしてマリーカに話そうと思います。彼女にとっては辛い話だと思いますが、それでも彼女には知る権利がある。」
「よし、わかった。今夜はもう休め。しっかり明日に備えるんだ、じゃあな、おやすみ。」
「おやすみなさい。」

そして次の日、私たちの周りの世界は、少しずつ動き始める。

589:余暇 ◆kkvclxzIds
08/09/08 19:43:59 8U6kHEoz
以上です、支援ありがとうございました。

>>584
確かに会う機会はありましたが、特派ルートと違い、直接の会話はなかったと思います。
会話がない=直接の面識がない、と解釈していました。
昨日親衛隊ルートをやったばかりなのですが、また確認します。

590:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 19:49:43 inRRU4Nk
>>589
乙でした。
ああーやっぱりノネットさんはいい人だw
ライ復活も時間の問題みたいだし、次回の
投下を楽しみにしています。
シュナイゼルとライの会話ですけど、確か、クラブの性能
と次期量産機(ヴィンセント)について話合うイベントがありました。
でも強制イベントじゃないので、親衛隊ルートでも出ないことも有るかもしれません。


591:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 20:00:08 rHeSxXTL
おのれ、猿め! 私の支援を邪魔するとは!
>>589
余暇卿、GJでした!
テンさんのあまりのチンピラぶりに吹いたw
次回、自らの罪?を告白するライと告白されたマリーカ
それぞれがどういった描写になるのか楽しみです
続きを期待しつつお待ちさせていただきます!

592:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 20:10:33 8U6kHEoz
>>590
そんなイベントがあったんですか。何回かやったけど、完全に見落としました。
ご指摘ありがとうございます、確認してみます。
クラブとヴィンセントに関する話は、後半に持っていこうと思います。
それまでは、シュナイゼルとの会話は未経験にしておきます。

593:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 20:49:50 UljW38ql
>>592
自分の疑問で余計な事させてすまん

親衛隊ルートだとスザクともう1人の騎士って感じで挨拶程度のものだった

594:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 21:19:35 FEtwgXHe
>>560 遅ればせながらRC卿GJ!ライの天然っぷりとカレンのツンデレっぷりが絶妙なハーモニーを奏でてましたな。そしてここでカレンフラグ。実に自然なギアスENDからのライカレ(?)移行だと思います。次回も大期待です!


595:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 21:46:32 LA5bhEQ2
どうもこんばんは~。蒼い運命の人でございます
昨日はしたらばのアレで見事釣り針に引っかかってました。まさにクマー
それはさておき、昨日投下のつもりだったお話を投下にきましたが、みなさんいらっしゃいますか?

596:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 21:49:25 FVUcpocH
支援するしか無いじゃないか!!

597:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 21:50:43 rHeSxXTL
釣り糸を食いちぎらんばかりの貴方に感動したりしてました
支援します

598:BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
08/09/08 21:53:41 LA5bhEQ2
まったくもって大人気ないというか、お恥ずかしいというか・・・
人間、やはり眠い時には寝ないといけないと思いました(以上言い訳終わり
今回“も”ふと思いついた話です。続きでなくて、申し訳ないです
■本日の前書き■
○レス数はあとがきも含めて14レス
○ライ×マリーカ とはいえ、ほとんどカップリングと言えない状態だったり
○ある意味テンさん×ライ ※BL・やおい・腐女子要素はありません
○オリジナル設定、オリジナル機体てんこもり
○主人公はいじめられてこそ華。ウフフフフ・・・
○我がドイツ軍の科学力は世界一ィィィィィ!
○※ライが荒んでいます。が、無害です

599:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 21:55:18 rHeSxXTL
支援

600:1/14 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
08/09/08 21:55:53 LA5bhEQ2
■涙の理由■

そこは軍艦の中の一室。で、あるのにそこにいるのは部屋の雰囲気に似つかわしくない華やかな女たちだった。
最年長に見える者にしてもせいぜい20代。中には10代とおぼしき少女までいる。それら女たちは揃いも揃って軍服を身に纏い、誰かを待っていた。
「アテンション!」
静寂を破り、ブリーフィングルームに飛び込んできた言葉。その言葉の主を室内の全員が起立して出迎える。
敬礼する彼女たちに答礼する男。彼女たちの隊長である彼の名を「ライ」と言う。
「よろしい、着席してくれ。みんな寝ているところを起こしてすまない。緊急事態だ」
たちどころにざわめく室内。それを沈めるのは年長者らしき若い女だった。
「みんな静かに」
彼女に頷いてライは静かに室内を見回した。
「眠い者もいるようだが、現在の状況を聞けば眠気も吹っ飛ぶ。もう一度言うが、緊急事態だ」
デスクの端末に小さな携帯端末をセットし、正面の大型モニターに映像を映し出す。
それはこれから向かう予定の地だった。
ウクライナ。
黒海の北部に位置するヨーロッパ有数の穀倉地帯。天然資源にも恵まれ、古くから工業地帯として繁栄してきた地である。
EUとの戦いのため、これより彼女らが配属される土地・・・・・・だった。それはもはや過去形となったのだ。
「現地時間〇〇二五。約三時間前にEU軍の電撃作戦によって南部クリミア半島のセヴァストポリ要塞が陥落したとの連絡が入った」
今度は動揺を含むどよめきで室内が満ちる。
「統帥本部の発令により、我がグラウサム・ヴァルキリエ隊はナイトオブテン、ルキアーノ・ブラッドリー卿の指揮下において本要塞の奪還作戦参加を命ぜられた」
質問はあるか? との言葉に、挙手と共に発言を求める声があがった。
先ほど仲間たちのざわめきを静めた女だ。
「リーライナ、何か?」
「本作戦は我らだけで行われるのですか?」
ライは明確に否定する。「現地の正規軍との共同作戦となる。すでに先方と話はつけてある」と。
三度ざわめきが室内を席巻する。
しかし、今度は動揺といった類のものではなかった。

601:2/14 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
08/09/08 21:57:53 LA5bhEQ2
『さすがはわたしたちの隊長。仕事が早い!』
そういったライへの尊敬であるとか、好意を意味する類のものだ。
しかし、それらを完璧にいなしてみせるライは、その表情を変えることなく、静かにするようにと部下たちを諭した。
「敵EU軍の戦力にはパンツァーフンメルの後期生産型に空戦タイプのパンツァーファルケが多数確認されているとのことだ。ただ、未確認ながら第七世代相当の強力な機体の存在を示唆する報告もあがっている」
「隊長はEUにそんな強力な─第七世代ナイトメアを作る技術があるとお思いですか?」
また別の隊員の言葉に頭を振るライ。
「未確認だと言っている。しかし、」
ライは表情を変えずに言う。
「己が優れているのだからと、相手は劣っているはずなどと思い込まないことだ。我々は勝つための爪と牙を持っている、それなのに相手はそれらを持っていないと決め付ける道理はないだろう?」
しかし、先ほどとは違い、そのライの発言には賛同とは異なる反応しかかえってこないようだ。
『わたしたちの隊長は心配性だから』そんな程度の認識しかない。
彼女らが特別なわけではなかった。敵国の軍隊に対するブリタニア軍人の印象などどこも対して違わない。
我ら最強のブリタニア軍に、EUなどが、中華連邦などが、ナンバーズどもが何するものぞ。そんなものなのだ。
「本艦はこれより戦闘態勢に移行し現地へと向かう」
部下の女たちに注目させ、質問がないことを確認するとライは言葉を発した。
「程なく出撃になるだろう。最終ブリーフィングは45分後。各員、乗騎の最終チェックを怠らないように」
解散! その合図でブリーフィングは終わった。



ブリーフィングルームを出たライを追いかけようとマリーカはすぐに部屋を出た。
今度こそ先陣を務めさせていただきたい、と嘆願するためだ。
『結果を出してみせる。わたしなら出来る!』
それをいちいち口に出してしまうところがまだまだ子供だという証拠だ、などと先輩のリーライナに言われてしまう自分なのだが、
─口に出すからこそ、やり遂げるという気持ちが明確な形を持てるのだ─
そう思うマリーカなのだ。

602:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 21:59:50 D8V3FQDc
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603:3/14 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
08/09/08 21:59:53 LA5bhEQ2
そして、それを子供のようだと笑わずに『よい考え方だと思う』そう認めてくれたのがライだった。
実績を示す場を与えてもらう。戦果をあげて実績を作る。そして隊長に自分を認めてもらう!
『やってみせる。わたしならやれる!』
─君になら出来る──
隊長はそう言ってくれるだろうか?
ブリーフィングルームを出て何度目かの角を曲がったところでマリーカはライの背中をとらえた。
「ライ隊長──」
そう呼ぼうとしたとき、それを躊躇わせる人影が彼女の視界に映った。
『ブラッドリー卿・・・』
それは彼女が属するグラウサム・ヴァルキリエ隊の主。隊長であるライが仕えるナイトオブテン、ルキアーノ・ブラッドリーの姿だった。
マリーカは彼が苦手だった。彼女だけではない。ヴァルキリエ隊のほとんどの隊員が彼を苦手に思っていた。
─ブリタニアの吸血鬼─
それは彼女たちの主を端的に表す表現だ。
総ての血を一滴残らず流させるような攻撃的な戦いぶり。吸血鬼という異名は彼の総てを表しているわけではないにしろ、その一端については過不足なく示している。
『何を話ししているんだろう・・・』
攻撃的で凶暴で、品位の欠片もない“ただ強いだけ”の男。それに対し、騎士としても指揮官としても全幅の信頼をもてる、何よりも人として“尊敬ができる”男。
この二人が主従として、どのような時も常に一緒にいる、その理由がわからなかった。
一度聞いてみたことがある。
「隊長はなぜブラッドリー卿に仕えているのですか?」
答えはなかった。ただ、曖昧な微笑みがかえってくるだけ。
もう少し近寄れば話の内容を聞けるだろうか? そっと近くに寄ろうとした時、ぐっと彼女の手を引く者があった。
「何をしてるの! マリーカ!」
小声で叱るリーライナ。
すいません・・・と小声で謝りつつも、二人の様子を窺えなかったのが残念なマリーカだった。




604:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:00:38 D8V3FQDc
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605:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:00:45 FVUcpocH
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08/09/08 22:01:13 Xzp+3UQX
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607:4/14 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
08/09/08 22:02:54 LA5bhEQ2
「まったく呑気な女どもだな」
そうですね、と興味などまるでなさそうに答えるライ。
それは、普段彼女たちと接っしている時とはまるで違う彼の姿。
そんな荒んだ様子のライを面白そうに見るルキアーノ。
ルキアーノにとって自分は退屈しのぎの出来る玩具でしかないはずなのに、なぜこうも自分を面白そうに見るのだろうか? 
だが、どうでもよいと思う。彼が自分にもつほどには、彼に興味を持てはしないライであった。
─僕には関係ない。どうでも、いい・・・──
そう思いつつ、しかし任せられた仕事はきちんとこなすのがライという男だ。
「現地の正規軍との交渉は済んでいます。こちらとしては・・・」
「オレの邪魔にならなければ、それでいい」
はい、と答えるライ。
「ブラッドリー卿が暴れる邪魔にならない部隊展開を提案し、総て呑ませました。この戦場でも貴方好みに、好きなように暴れられることでしょう」
そのような言い方なのに、ライの言葉には嫌味が感じられない。ルキアーノが彼を気に入った理由だ。
ライは今までつきあってきたどんな人間とも違うように思えた。ある意味、ルキアーノが初めて興味をもてた人間なのかもしれない。
「だが、な。そういうことで言えば、だ」
ルキアーノは正面からライの頭を両の手で、挟み込むように抱えた。
「それはつまり、キサマ自身にとっても、自分好みに暴れられる戦場になった。そういうことじゃないか」
舌なめずりをするように言う。ライの表情は変わらない。
「前にも言っただろ? キサマはオレと同じ側の人間だ、と」
「僕と貴方が同じ側の人間ですか」
「そうともさ」
自分の視線を目をそらすことなく、真正面から受け止めるところ。そんなところも彼を気に入った理由の一つだ。
「戦場に立つたびに感じるだろう? 立ち塞がる者を打倒し、破壊し、砕き、引き千切る度にこみあがる赤黒いヨロコビを」
ライは何も答えない。
ルキアーノはそんなライを離さない。
フッとルキアーノは笑った。「まぁ、いいさ」悪魔のような禍々しい笑み。吸血鬼の笑顔。
「キサマはオレのモノだ。ゆっくりと待つさ。キサマが自分自身で自分の中のバケモノに気がつく時を、な」
「そんな時がくると?」
来るさ、とルキアーノは即答した。
「そう、遠いことはないだろうぜ」

608:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:04:07 D8V3FQDc
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609:5/14 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
08/09/08 22:06:00 LA5bhEQ2
それだけ言ってルキアーノはライを解放し、背を向けた。
「ヴァルキリエ隊の運用に関しては?」
何事もなかったように問い掛けるライ。対するルキアーノも、
「いつもどおりだ。キサマに任せる」
何事もなかったように答えるのだった。



「コントロールよりヴァルキリエ隊各機! 正規軍攻撃隊とのライムラグは10分。敵迎撃機を一機たりとも攻撃隊に近づけるな!」
母艦カールレオン級浮遊航空艦「カムロドゥノン」発令所からオペレーターの檄が飛ぶ。
「了解」
短い返答に「グッドラック!」の返礼を受け、ライは新たに愛機となったヴィンセント・エアを編隊の先頭につけた。
エリア11での第七世代KMF「ランスロット」の成功を受け、その量産の前段階として先行試作された新鋭機だ。
その名前はライの記憶の奥底を刺激するものだった。胸に鈍い熱を感じさせるそれを、彼は無視する努力を続けていた。
「ライ隊長、搭載火砲の具合はいかがでしょう?」
オペレーターとは違う女の声がライの耳をうつ。
ヴィンセントの手には空戦には不向きと思える、物干し竿にも似た長大な銃器が抱えられている。それのことを言っているのだ。
「使ってみないことにはなんとも言えないが・・・。格闘戦に不向きであろうことは間違いなさそうだ」
プラズマ徹甲弾を撃ちだす新型のKMF携帯型リニアガンである。
これも「ランスロット」の成功を受けて開発されたものだった。「ランスロット」専用KMF携帯火砲[V.A.R.I.S.] を参考に、「ランスロット」のような大容量コンデンサ搭載機でなくても運用が可能なリニアガンとして開発された機材だ。
KMFの主要な携帯火砲はいわゆる「コイルガン」。電磁石の反発によって弾丸を発射する銃器であったが、「リニアガン」はその初速、破壊力においてそれらを遥かに凌駕する。
ライのヴィンセントによって運用されるこのリニアガンはスマートリンクシステム(射撃者が見た物を装着したアイウェアで識別し、照準を微調整する)等々、多くの新システムを搭載した試作品だった。
「ライ隊長ならうまくやれますわ」
技研より派遣されたその女に「ありがとう。そう願うよ」と告げる。
どうもていの良いモルモット扱いされているのではないか? 器用に色々とやってみせるのも考え物だな。そのような自覚は最近ようやく生まれた。

610:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:07:40 D8V3FQDc
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611:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:07:55 KKnBsz4M
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612:6/14 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
08/09/08 22:09:00 LA5bhEQ2
ライの「ありがとう」という言葉に敏感に反応したのは技研より派遣された技術者の女・・・ではなく、マリーカの方だった。
「なんで隊長はいつもあんなのとばっかり・・・」
ぶつぶつとコクピット内で文句を言い連ねる。出撃直前での最終ブリーフィングでやっと言い出せた先陣を務めさせてほしいという願いをやんわりと退けられたことも不満の種になっていた。
「大体あの女ってば、いつも隊長にべったりすぎるのよね」
新型機の整備やらあのでかい銃の調整だの、なんだかんだと言ってはライにつきまとっているように見えるのだ。
そうやって不平を鳴らしているのが機動に表れたのだろう。エレメントを組むリーライナから叱責が飛ぶ。
「集中しなさい!」
さすがにハっとして、操縦桿を握りなおすマーリカだった。
「ヴァルキリエ隊、スタンバイ。敵迎撃機との会敵まであと10分」
カムロドゥノンからの通信。フロートユニットの翼下に下がった投下型増槽を投棄し、ライ指揮下のヴァルキリエ隊各機は戦闘速度に入った。
『隊長の機体、とてもキレイ・・・』
白い機体に蒼いラインの塗装。それは物語に描かれる騎士のイメージそのものだった。
自分たちの緋色に塗装されたサザーランドも嫌いではないが、白と蒼のコントラストで彩られたヴィンセントはマリーカの美意識をとても強く刺激する。
「ヴァルキリエ・リーダーより各機」
戦闘機動に移るとのライの指示が飛ぶ。
「敵は運動性が低いとはいえ火力は高い。舐めてかかって命の無駄遣いはするな」
「イエス、マイロード!」女たちの声が飛び交う。正面にはすでにセヴァストポリの基地がその姿をみせようとしている。
ライのヴィンセントの背後で緋色のサザーランド達が編隊を組み直し始めた。
二機編隊でエレメントを構築し、二個のエレメント─四機で最少戦闘単位としてまとめる。
そうしてできた戦闘単位を「ラーズグリーズ」「レギンレイブ」「ヘルヴォル」「ヒルド」と戦乙女の名を冠したセクションとして運用するのがライの戦術だった。
一方のエレメントが攻撃に入る際にもう一方は高度を上げて援護にまわり、次は援護を担ったエレメントが攻撃に入り、先に攻撃側だったエレメントが援護行動に移る。その繰り返し。
攻撃の際もかならず援護が確保される、それがライが隊員に遵守を要求する“僚機を失わずに勝利する”戦術だった。

613:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:10:50 KKnBsz4M
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614:7/14 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
08/09/08 22:12:00 LA5bhEQ2
まず出来うる限りの安全を確保した上で攻撃をしかける戦術。それは少し慎重にすぎるのではと考える者も多い。マリーカもその一人だ。
『わたしだったら、もっと強気でもいけるはず!』
彼女とて十代の若さでナイトオブラウンズの親衛隊に抜擢された逸材。実力はある。認められもしている。
だが、その思いが若さゆえの傲慢でもあることに彼女は気が付いていなかった。
「目標視認! 正面にセヴァストポリの海軍基地!」
同時に蒼い空の端々に黒いゴマ粒が見て取れるようになってきた。
「ヴァルキリエ・リーダーより各機。全機突入せよ! グッドラック!!」
ライの戦闘開始の命令が行き渡る。グッドラック─健闘を祈る! 
ゴマ粒がぐんぐんと大きくなる、それは鋼鉄のファルケ(隼)。EU軍の主力航空型KMF。
黒海─黒色の硫化鉄を含む堆積物があるため黒く見える海。その洋上で戦乙女たちの戦いが始まった。



最初の会敵から30分が過ぎた。
「レギンレイブセクション、戦果報告!」
リーライナの声にマリーカは「レギンレイブ2、撃墜3!」と報告する。三番機、四番機はそれぞれ一機撃墜、二機撃墜との報告だった。
やはりEUが迎撃機としてあげてきたナイトメアはパンツァーファルケだけのようだ。
ファルケ─隼とは名ばかりの鈍重な、不恰好なナイトメアもどき。
『こんなのが相手なら、いくらだって相手できる』
敵の迎撃機はその数を大きく減らした。もう残り少ない。正規軍の攻撃隊にその手が向かないよう戦闘空域に拘束しつつ戦ってきたが、もはや連中は死に体だ。
『いくらでも、相手できる?』
エナジーフィラーも機銃弾も、まだ十分戦闘継続に耐える。短射程ミサイルもまだ温存してある。いざとなれば白兵戦闘だって・・・。
『わたしなら、できるっ!!』
スロットルを開き、残存の敵に向かって機体を急進させる!
「マリーカ、何を!?」
「やってみせるんですよ!」
編隊から離れるマリーカにリーライナは驚くが、しかしその意図をすぐに見抜く。
「勝手なことをしないの! 戻りなさい!」

615:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:14:26 JxkTpnlj
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616:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:14:40 D8V3FQDc
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617:8/14 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
08/09/08 22:15:59 LA5bhEQ2
「ちょっと、命令違反よ?!」
僚機のパイロットからも通信が入るが、もうマリーカは止まらない。
「持ち場を離れないで! マリーカ!!」
方位270に単独の敵機。マリーカが狙いを定めると同時に敵機もこちらに気が付いたようだ。
「ごめんなさい。でも、わたしは戦果を。実績を!」
ヘッド・トゥ・キルで倒してみせる。すれ違い様にライフル弾をフロートユニットに叩き込んだ。
「一つっ!」
煙を吐きながら墜落していく敵機を一瞥し、すぐに次の敵機を探す。いた。
次の敵機は080に二機。距離は800もない至近。さらに距離を詰めてロックオン。右の敵機に短射程空対空ミサイルを放って仕留める。
「二つ目っ!」
これで五機目の撃墜。今日のエースは確定だ・・・この調子ならもっといけるかも? 
左側の敵機はロールをかけて急速離脱を試みている。もちろん逃しはしない。
その三機目の敵をライフルの有効射程にとらえ、マリーカはトリガーにかけた指に力をかけた。
刹那。
「きゃあぁぁぁぁっ!!!」
機体を襲う激しい衝撃にたまらず悲鳴をあげる。
コクピットの中を警告音が鳴り響く。モニターに被弾を示す警告表示が出ていた。不吉な赤い警告灯も。
─フロートユニット被弾:損害70% 戦線離脱の要を認める─
「そんな?!」
必死に機体のたてなおしをはかるマリーカ。フロートユニットの揚力はまだ生きているのが救いだった。
「一体どこから? いつ接近されたの? なんでこんなっ!」
再び警告音がマリーカの耳目をうつ。敵機接近。自機の直上!

618:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:16:49 rHeSxXTL
全力で支援

619:9/14 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
08/09/08 22:19:00 LA5bhEQ2
それは美しい機体だった。
鳥を思わせる流れるようなフォルム。空の色の機体。
それが矢のような鋭さをもって突進する。光の尾を引いて、砲弾さながらに飛ぶ!
『これがナイトメアの速さなの?!』
視認したと同時にまたも激しい衝撃が機体と自分とを襲った。
「きゃあぁぁぁぁっ!!!」
直撃! 30mmの徹甲弾がサザーランド・エアの装甲を抉る。小爆発を起こし、マリーカ機の右腕がライフルとともに脱落した。
「死ぬ?!」
恐怖が浮かび、それは瞬く間にマリーカの総てを覆い尽くす。
「いやあぁぁぁぁぁっ!!!」
助けて! 死にたくない! 操縦桿を無意味に動かす。パニックを起こしていた。機体は無意味にその手足を動かすばかり。
マリーカのサザーランドをパスした蒼いナイトメアは大きく旋回し、再びこちらにその機首をめぐらした。
その大推力で一撃を加えるのだ。今度こそ一撃で屠るつもりなのだ。
ほんのまばたきほどの一瞬で、敵はマリーカ機に迫る。手が届こうかの位置にまで文字通り“飛んだ”。
「・・・ライさん」
マリーカの口をついて出る言葉。
そのとき。
ドガアァーーーーッ!
銃弾の着弾とは違う衝撃にサザーランドの機体が跳ね飛ばされた。
「レギンレイブ2! 生きているのなら返事をしろ!!」
ライのヴィンセントだった! ヴィンセントに蹴り飛ばされたサザーランドはその反動で大きく飛ばされ、銃撃の難を避けることができた。
ヴィンセントの腕部・脚部を大きく振り姿勢を制御するライ。振り向くとともに腰だめに抱えたリニアガンを連射する。
無照準での連射。牽制の射撃。
「次っ、そこォ!」
フロートユニット翼下の短射程AAMを発射。回避に入る敵機に肉薄をかける!
蒼いマシンはチャフを焚いてミサイルの追跡をかわす。その間にライのヴィンセントはリニアガンの射程にその機影をとらえていた。

620:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:21:50 EFKEnomR
おっと猿防御!間に合うかな?支援

621:10/14 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
08/09/08 22:22:00 LA5bhEQ2
機体のファクトスフィアにリニアガンの複合センサーを連動させ、既存のKMF用携帯火砲と比較にならない射撃精度を実現したという。
技研の技術者どもはそう言っていた。そしてそれは事実だった。この火砲によって、今日この戦場で12機の敵機を屠ったライだ。
ライは照準レティクルの中で激しい機動をくりかえす蒼いマシンに向かって今度はセミオートで連続射撃を行った。
一射目、回避。二射目、回避。
三射目が至近弾となった。
銃の射撃精度の高さは間違いないものだと感じ取れた。それでも後方をとれていながら、三射目でようやく至近弾というのは。
『マシンの性能か、パイロットの腕か』
おそらくその両方だろう。ライはそう一人ごちた。
あの機体の機首にペイントされたエンブレム。ライは見逃していない。黒いチューリップのパーソナルマーク。
『あれがEUのエース。カラヤ1か』
光の尾を引いて戦域を離脱していく蒼い機体。それをライは見送る。どのみちあの速力。追いつけるわけがない。
味方の撤退のための時間稼ぎは完了したということなのだろう。
戦域外より突如尋常ではない速度で進入し、ルキアーノに一撃を与え、迎撃部隊を包囲するヴァルキリエ隊機に一撃を与え、混乱を作り出して友軍の離脱のための隙をつくった。
やはりなと思った。EUも第七世代・・・もしくはそれ以上の力を持つ高性能ナイトメアフレームの開発に成功していたか。
『あの光の尾。従来型の電気熱ジェット推進ではないな』
技研のデータバンクで見た光量子推進システムの理論概要に酷似している・・・そう思った。
まぁ、いい。ライは頭を振った。この戦域での戦闘は終わったのだから、と。
ヴィンセントを回頭させる。その下方で大破したサザーランドを僚機たちが支えていた。
「コントロールよりヴァルキリエリーダー。敵戦力は総て撤退。ヴァルキリエ隊全機はカムロドゥノンへ帰投されたし」
了解と答え、ライは配下の女たちへ帰投の指示を飛ばす。
戻ってからもまた仕事だな、とぼやくライの視線は大破したサザーランドへ向いていた。
『確か、マリーカ・ソレイシィと言ったか』
興味はなかった。彼にとって何もかも総てが瑣末なことに過ぎない。
ただ、隊長としての義務は果たさなければならない。それだけだった。

622:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:22:26 JxkTpnlj
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623:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:22:42 rHeSxXTL
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624:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:23:31 KKnBsz4M
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625:11/14 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
08/09/08 22:25:00 LA5bhEQ2



パンッという乾いた音がマリーカの頬の上にたった。
脚が一瞬浮いたものの、倒れはせずに踏みとどまる。10代の若さとはいえ彼女は軍人だった。
「申し訳、ありません・・・でした」
修正を加えたのは無論ライだ。彼女たちの指揮を預かる、責任をもつものとして、それは義務だ。
「不要な行動は味方全体を危機にさらす。なぜ命令に従わなかった?」
なぜだかライは苛立っていた。事の経緯を聞くほどに苛立ちは募った。彼女に対しての苛立ち? そうではない。自分でもなぜだかわからない。
『僕はもう何に対しても興味など持たないはずなのに』
しかしこの苛立ちは厳然として存在している。これはなんだ? 何に対して僕は苛立っている?
「一時の感情と身勝手な意思で動くなど、愚か者のすることだ。君は自分の行動の重大さを理解しているか?」
「はいっ・・・」
彼女はその目に涙をたたえていた。だが、それをこぼすまいと歯を食いしばっている。軍人としての節を守ろうというのか。口答えなど一切しない。
─かまうな! 不要な行動は味方全員を危機にさらす。命令通り撤退しろ!─
『え?』
不意に胸の奥底にしまったはずの思い出が蘇った。
─・・・・・・なぜ私の指示を無視した? 一時の感情と身勝手な意思で動くなど・・・・・・無能のやることだ─
『そうか、そうだったんだな』
ライは自身の苛立ちの理由を今、知った。
「マリーカ・ソレイシィ。自室に戻りたまえ。処分は追って沙汰する」
叱責の言葉を飲み込み、譴責を打ち切ってライは背を向けた。同僚たちがマリーカに駆け寄ったのが気配で悟れた。
振り返らない。
振り返れば・・・きっと見苦しい顔を見せてしまうだろうから。
だから。

626:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:25:43 rHeSxXTL
全力で支援

627:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:26:49 hSSUTo4x
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628:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:27:24 D8V3FQDc
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629:12/14 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
08/09/08 22:28:00 LA5bhEQ2



「うっ、うぅ、うえぇぇぇぇ・・・」
ライの姿が見えなくなってから、マリーカは嗚咽を始めた。リーライナを始め何人かの同僚たちが駆け寄る。
子供の様に泣きじゃくるマリーカを慰めながらリーライナは思った。
『この子は自分がなぜ涙を流すのか、わかっているのだろうか』
先の戦闘でエレメントを組んでいた自分だけが聞いていた。
死を間近に感じた時のマリーカのつぶやきを。
─・・・ライさん─
あれだけいつも「兄さん、兄さん」と言っていたマリーカが最期と覚悟した時に呼んだ名前はその兄の名ではなかった。
「マリーカ、泣かないで」
その震える背をさすりながら慰める女たち。
『貴女の涙の理由はなに? 失態を演じたから? それとも・・・』
隊長としてマリーカを譴責するライの姿が思い浮かんだ。
「うわあぁぁぁぁぁん・・・・・・」
リーライナは知らない。もちろんマーリカも、ヴァルキリエ隊の他の女たちも。
別室でいま一人涙を流している者がいることに。

「うっうっうっ・・・」
ライも自分にあてがわれた士官用個室、その暗い部屋の中で一人嗚咽していた。
収まるとともにベッドサイドの机に置かれたグラスをあおる。
一気に飲み干し、むせて、それでもまたボトルからグラスへなみなみと注ぐ。そして飲み干す。
最近酒量が増えた。
『酒豪だったあの人たち程じゃあない』
そう言い訳しながら再びグラスをかたむける。そしてまた、泣いた。
─命令通り、計画通りに動かねば、騎士団全体が危機に陥る。お前は自分の行動を理解しているのか─
胸の奥に熱を感じるのは酒のせいだけではない。先ほど自分がマリーカに放った言葉はかつて、自分に向けられた言葉と同じものだったと思い出していた。
なんと皮肉なことか!

630:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:28:42 rHeSxXTL
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631:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:30:26 gMrY//wb
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632:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:33:10 KKnBsz4M
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633:13/14 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
08/09/08 22:34:43 LA5bhEQ2
命令に背き、譴責を受けた自分が、自らが受けたと同じ言葉を部下に発していたなどとは。
『いま、君はどうしている? ゼロ・・・』
トウキョウ租界での決戦の後、刑死したとは聞いた。だが、ライはそんなこと信じていなかった。
藤堂中佐、仙波さん、朝比奈さん、千葉中尉、卜部さん・・・。貴方方が今の僕を見たらなんと仰るだろうか。
その名が、顔が、瞼の裏に浮かぶたびに、ライの枯れたはずの涙をとめどなく溢れさせた。
圧倒的な力量の差の前に破れ、死ぬはずだった自分がこうして生きながらえてブリタニア軍にいるという事実。
それを日常のものとして受け入れている自分に気が付いた時、この心は砕け散った。
ルキアーノが、あの吸血鬼が何を思って戦場で相対し、戦い、降した敵である自分を生かしているのかは知らない。
いまではそれを含めて何もかもがどうでもよくなっていたと、そう思えていたはずなのに。
なのに。
「なぜ、心が痛いんだ。涙が止まらないんだ。なぜ、いまさらっ! いまになって急に!」
誰か教えてくれ! 誰もいない暗い部屋の中でライは叫ぶ。
捨てたはずの心が痛む理由を。枯れたはずの涙が流れる訳を。この涙の理由を教えてくれ。
応える者は誰もいない。暗い部屋の中、そこにはただ、ライの嗚咽だけがあった。
無意識にその胸に手をあてるライ。
それは捨てきれぬモノ。
少尉の階級章。
過去をもたない彼のこれまでの総てを。思い出を象徴するもの。どうあっても捨て切れなかった唯一のモノ。

いくつかの隔壁を隔て、二人の男女が泣いていた。
なぜ、涙が零れ落ちるのか? 
互いにその嗚咽の意味も不確かなまま、二人は泣き続けていた。
ただ、涙を溢れさせていた。
溢れさせていた。

634:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:36:26 rHeSxXTL
全力で支援

635:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:36:41 D8V3FQDc
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636:14/14 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
08/09/08 22:41:32 LA5bhEQ2
【ぎあすあとがき劇場 V.V.といっしょ】

投下終了と同時にわたしの横でV.V.がつぶやいた。
「ねぇねぇ、あおちゃん」
─なぁに? と聞き返すわたし。
「急になんなの? 空色の機体とか、無理矢理っぽいカラヤ1とか。かなり???なんだけど」
─わたしはですね、ギアスで一つだけ不満な点があるんですよ。
「と言うと?」
可愛く首をかしげるV.V.にわたしは答えた。
─EUのあまりの雑魚っぷり。存在そのものが疑問な程に超・雑魚なところが!
「はぁ?」
なにそれって感じで呆れ顔を見せる彼。「だって、それは・・・」
─まぁ、百歩譲ってEUはいいんです。EUなんて。しかしですね、我が祖国がないがしろにされるのは許せないッ!
「祖国? だって、あおちゃんってば日本じ・・・」
─我がドイツ軍のおぉぉッ! 科学力はあぁぁぁッ! 世界一ぃぃぃぃぃぃぃぃぃッッッ!!!
飲んでいたほうじ茶を吹き出すV.V. 汚いなぁ。誰が片付けると思っているんだろう。
「ドイツってあおちゃ・・・」
─そもそも納得いかないんですよね。我がドイツが技術力でヤンキーごときに遅れをとってるなんて設定とか
「ヤンキーって、あおちゃ・・・」
─カラヤ・アイン! 世界最高のエースを生んだ、我がルフトヴァッフェを越える蒼穹の騎士などあるものかっ!
「いやいやいや、それって第二次世・・・」
─つーか、主力がフンメルってなにさ。Ⅲ号Ⅳ号戦車の車体を流用した自走砲じゃないかっ!
「・・・・・・」
─くたばれヤンキーゴーホームッ! ルフトヴァッフェに栄光あれっ!!!
「(もう、帰って・・・・・・・)」
V.V.相手にドイツ軍人のなんたるかを語り続けるわたし。
こうして、ドイツ軍人たちの夜はふけていくのでした(マテ

637:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:44:33 kTCfnC8L
相変わらずのクオリティの高い文章でおなかいっぱいになります。GJ!
ついでにV.V.乙ww

638:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:45:53 LA5bhEQ2
以上ですた~
最初はライ×マリーカの、ちょっと捻った6レスくらいの甘々短編だったんですが
いつのまにかこんなんになってしまいました
趣味丸出しです。丸出しどころかモロ出しです。あぁ・・・
とりあえず、お風呂入って寝ようかな。うん
それでは、またです! 感想とかツッコミとかよろしくお願いしま~す!

639:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:46:19 rHeSxXTL
なるほど、携帯でのマルチポストが規制でしたか……理解は幸せ!

>>638
BLUEDESTINY卿、GJでした!
……切なさが止まらない
というかこれの前後の詳細なSSをお願いプリーズしたいくらいです
それほどまでに良いSSでした!
っていうかラストJ○J○ネタw
……これ↑、伏せ字になってなくない?
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

640:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:47:03 FVUcpocH
マリーカ可愛いなぁ、QLが羨ましいな、あんな妹がいて。

641:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:49:50 JxkTpnlj
>>636
セヴァストポリ要塞と聞いて列車砲グスタフを連想した私は一般人。GJ、お疲れ様でした。
長文なのに飽きさせない内容の濃さ、いつも感心と感動を与えてくれます。

ここからは私の独り言として。
沈黙などを表す際に、「・・・」を使っておられますが、正しい形としては「・・・」ではなく、「……」なのですよ……。(機種依存文字云々とはまた別)
あ、いえ、わかっていてその上で使っているというならばいいんです。ただどうしても気になってしまって、確認を取りたかったっていうか。
気分を害されましたらすいません。スルーしてくださって結構です。

642:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 22:55:24 EFKEnomR
>>638
GJ!
あまりに脇だったEU(とテンさんとヴァルキリエ隊)の栄光に幸あれ。
祖国が滅びようと最期の1機までルフトバッフェはルフトバッフェであり続けるのさ…
そして立ち直れない酔っぱライさんの明日はどっちだ!

643:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:04:57 Fc2BcoqU
こんな高クオリティの後に低クオリティの俺が15分くらいに投下するぜ

644:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:06:21 JxkTpnlj
>>643 支援します

645:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:18:23 Fc2BcoqU
感謝します
では時間で投下

13レスくらい

ライマーユニーシリーズの番外編でタイトル「劇場版 狂王」

注意
・ギャグです
・基本的に世界観、キャラともにぶっ壊れてます
・狂王とありますがライの過去とは何も関係ありません
・広い心の方だけ見てください

では投下

646:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:19:04 inRRU4Nk
おおーまってました!!支援

647:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:19:38 rHeSxXTL
キターーー!
支援!!!

648:萌は文化
08/09/08 23:21:24 Fc2BcoqU
「というわけで『狂王』の映画化が決定した」

何が、というわけなのかは不明だが、ゼロのこの一言により黒の騎士団は劇場版『狂王』の製作会議がおこなわれた。

「今回は基本的にはDVD版を元に、総集編3部作にしたいと思う。なお、今回は私と朝比奈ではなく井上が監督、脚本を担当することになった」

ゼロが説明すると皆に狂王の台本が配られた。

「ゼロ、キャストに私の名前がないのですが?」

DVD版には出演していたのに台本に自分の名前がないのを見て不思議に思ったカレンが手を上げた。

「ああ、それなら時間の都合でカットした」
「え?」

いきなりの降格宣言を受け、カレンの表情が凍った。

「カットって! 私は確か主人公のライの同級生で、ライの唯一の心のオアシスなヒロインだったのにカットですか!?」

納得いかずに問い詰めるカレン。

「そうだ。今回は井上の要望で出来るだけ大人向けに作るそうだ。だからヒロインは同級生ではなく主人公ライが居候している親戚のお姉さん役の千葉にやってもらう」
「え? 私が戦闘隊長の相手役?」

予想してなかったゼロの言葉に驚いた後、すぐに頬をほんのり赤くする千葉。

649:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:22:33 inRRU4Nk
支援

650:萌は文化
08/09/08 23:23:27 Fc2BcoqU
「そうだ、井上の予定では話の流れこそはDVDと同じだが、性格や人間関係は大きく変えるようだ。特に主人公のライの性格は大きく変更するらしいぞ」
「大きく変更って?」

台本をパラパラ見ていたライが井上の方を見ると、井上はニッコリ笑った。

「それはね、前回の『狂王』のライ君はホストなのに少し子どもで純粋な人物だったけど今回は、手段を選ばない冷酷な人物像を目指しているの」
「冷酷って……それ受け入れられるんですか?」
「フフフ、ライ君、女性はね、ちょっと危ない香りがしたり、クールで頭がいい男性に憧れたりするものよ。ノートに名前を書いたら死ぬ作品の主人公とか」
「それは危ない香りではなく危ない人じゃないんですか?」

こんな感じで会議は続き、井上が監督、脚本で『劇場版 狂王』が製作された。

651:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:24:05 inRRU4Nk
支援

652:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:24:20 7cVJnH2P
支援

653:萌は文化
08/09/08 23:26:07 Fc2BcoqU
『劇場版 狂王』

『僕の名前はライ。最近高校を卒業したばかりで現在アルバイトで生活をしているフリーターだ。母親は昔、交通事故で亡くなり、父親は有名な政治家だったが、金を横領していたのがバレて僕が産まれる前から刑務所の中。会ったことすらない。
そんなわけで僕は長い間、親戚の間では煙たがれ、親戚の間をたらい回しにされていた。他人が見れば絵に描いたような不幸な人生。でも僕は別に不幸だとか思っていない。何故なら…』
「ただいま」

古臭いアパートの一室で独白してるライ。
そこに千葉が帰って来た。

「お帰り凪沙さん」

優しい笑みで千葉を迎えるライ。

『彼女、千葉凪沙に出会えたからだ』

ライは立ち上がるとキッチンに向かい作り置きのシチューを温め始めた。

「どうだ? 就職先は見つかったか?」
「嫌、最近は不景気みたいで…」

料理を温め終わるとライは千葉と2人分の食事をお盆に乗せてテーブルに運ぶと2人は食事を始めた。

「別に進学してもよかったんだぞ? これでも貯金はあるんだから」
「いやですよ凪沙さん。お金を払ってまで僕は勉強したくありませんよ」

他愛のない話をしながら2人は食事した。

654:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:27:27 inRRU4Nk
支援


655:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:28:03 7cVJnH2P
支援

656:萌は文化
08/09/08 23:28:48 Fc2BcoqU
食べ終わったライは自分の食器を片付け始めた。

「バイトか?」
「はい、今日は夜勤なんで朝帰りになります」
「そうか気をつけてな」
「はい、行ってきます」

千葉に見送られてライはアパートから出た。

『凪沙さんは親戚にたらい回しにされた僕を唯一引き取ってくれた人だ。自分1人の生活に精一杯なはずなのに、彼女は僕のために自分の人生を捨ててまで僕を引き取ってくれたのだ。彼女は僕のことを弟程度にしか思ってないだろう。
だが僕は彼女を1人の女性として愛している。僕は彼女ためにならなんだって出来る。だって彼女こそが僕の全てであり、僕の生きている意味なのだから』

バイトに向かうライは明るい夜の街を歩いていた。

「そこの君」

ライが呼び止められて振り返るとそこには狂王とかかれたプラカードを持ったゼロが立っていた。

「よかったらホストをやらないか?」
「ホスト?」

決して仮面マントの怪しい男にツッコミを入れずにライは眉をひそめた。

「そうだ。貴様はその素質がある。理由は私の直感だ」
「それ信用あるのかい?」
「当然だ。私はゼロだからな」
「そうか…」

興味なさげに呟くライ。
ゼロの言葉にも決してツッコミは入れない。

657:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:29:34 inRRU4Nk
支援

658:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:29:41 7cVJnH2P
ゼロwww支援

659:萌は文化
08/09/08 23:31:58 Fc2BcoqU
「どうだ? お前なら間違いなくNo.1ホストになれる。それにホストになれば儲かるぞ。お前なら一月に何百万、年収何千万も夢ではないかもしれないぞ」

熱心にライを勧誘するゼロ。
しかし、ライはつまらなそうに頭をかいていた。

「でもホストって知らない女性の相手しなきゃいけないだろ? 悪いけど僕はある1人の女性意外には興味ないんだ」
「ほう、これまた一途な奴だな。まあ、いいだろう。一応私の名刺を渡しておこう。気が変わったらいつでも来い、歓迎するぞ」

ゼロはライに名刺を渡すとそのまま去って行った。

「『ホストクラブ狂王』か、凪沙さん以外の女性を口説くなんて考えたくもないな」

そう言うとライは名刺をポケットに入れてバイトへ向かった。

「ただいま………あれ? 凪沙さん?」

バイトから帰宅したライは居るはずなのに千葉の返事がないことに不安を感じて部屋に入った。

「凪沙さん? な、凪沙さん!!」

ライが部屋に入ると苦しそうに倒れている千葉を発見した。
場面は変わって病院に

「あー、ダメね。お姉さんは完全に今危ない状態。半年以内に手術しないと死ぬわね」

医者(ラクシャータ)はレントゲンを見ながら軽い口調で言った。

660:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:32:45 inRRU4Nk
支援

661:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:33:05 7cVJnH2P
支援

662:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:35:06 kTCfnC8L
ラクシャータ自重www支援w

663:萌は文化
08/09/08 23:36:24 Fc2BcoqU
「どうすれば治るんですか!?」
「今言ったでしょ。人の話聞いてた? お姉さんは今、半年は寝たきりになって半年以内に手術しないと死んじゃう病って言う珍しい病気にかかってるのよ。だから手術しないと死んじゃうのよ」
「それで凪沙さんは助かるのですか!?」
「だ~か~ら!」

完全にパニック状態のライは医者(ラクシャータ)の話しをまるで聞いていなかった。
そのため明らかに変な病名にライはツッコミを入れなかった。

「手術って………一体いくらかかるのですか?」

やっと落ち着いたライは医者(ラクシャータ)の話しを聞いていた。

「やっと話しを聞いたわね。そうね、大体、一千万くらいかな」
「なっ! そんなに!?」

あまりの金額に驚くライ。

「だってこの病気珍しいからね。ついでに私、最近新車買ったらお金がないのよね。だから一千万」

何がだからなのか?
とりあえず一千万を要求する医者(ラクシャータ)

「そんな大金ありません」
「あらそう、困ったわね。まあ、半年の間は寝たきりだけど死にはしないからお金が出来たら声かけてね」
「一千万………そんな大金……ハッ!」

ライはポケットからゼロからもらった名刺を取り出した。

664:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:37:15 inRRU4Nk
支援www

665:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:37:40 kTCfnC8L
これは酷い医者ww

666:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:38:38 rHeSxXTL
ウ○ップかよw
支援

667:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:38:42 7cVJnH2P
ヤブ医者だww支援

668:萌は文化
08/09/08 23:39:48 Fc2BcoqU
「儲かるか……」

場面変わって夜のネオン街
ライは名刺をくれたゼロの元へ訪れた。

「ほう、どうした? 興味のない女を口説くのは嫌じゃなかったのか?」
「金が必要になったんだ。それだけだよ」

嫌味たらしく言うゼロの言葉に顔色一つ変えずにライは言った。

「まあ、いい。では早速私のホストクラブへ案内しよう」
「私のって……君、もしかしてホストクラブのオーナーなのかい?」
「フッ、その通りだ。すごいだろ」

自信満々にポーズを決めるゼロ。
「そうだね」
「…………」
ゼロの自慢を軽く流したライは狂王と書かれた看板の店の前に案内された。

「ここが私の店だ」

そう言うとゼロは店の扉を開けてライを手招きした。

「ズルズル~、ん? ゼロ誰それ?」
「もしかして、最近スカウトしたって言ってた人かな?」

店に入ると何故が六畳一間の畳の部屋の中心でラーメンを食べてる杉山と朝比奈が居た。

「紹介しよう、ここがホストクラブ狂王、そして彼らが私のホストクラブのホス……トォ!?!」

にこやかな笑みを浮かべたライは無言でゼロの頭を2人がラーメンを食べてるテーブルに叩きつけた。

669:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:39:55 gMrY//wb
ちょww
ラクシャータヒドスww

670:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:40:51 inRRU4Nk
店がしょぼいwww支援

671:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:41:19 7cVJnH2P
支援

672:萌は文化
08/09/08 23:44:16 Fc2BcoqU
「君は僕を馬鹿にしてるのかい?」
「べ、別にそんなつもりはないぞ!」
「じゃあ聞くけど、客は1日に何人来る?」
「………何人来る?」

ゼロは助けを求めるようにドン引きしている杉山を見た。

「え、えっと……3日に1人か2人です」

杉山が言うとライは容赦なくゼロの頭を叩きつけ続けた。

「ま、ま、待て!! わかった! わかったから止めてくれ!」
「………」

ライがゼロをつかんでいた手を離すとゼロは慌ててライから距離をとった。

「金が欲しいか? ならば勝ち取れ! いいか…………待て! 話は最後まで聞け!! とりあえずその包丁は元の場所に戻してくれ! ………つまりだ、そんなに金が欲しいならまずは貴様がこの『狂王』を立て直せ!!」
「………!」
「そう、正直今の狂王は経営が苦しい。だがもし貴様が立て直してくれると言うなら私は全力で貴様に賭けよう。さあ、どうする?」

まるでライを挑発するように手を差し伸べるゼロ。

「…………面白い。大金が手に入るかどうかは僕しだいってことか。いいだろう、その話乗ったよ」

ライはゼロの手をつかみ握手をした。

「僕達の紹介は無視かい?」
「まあ、脇役だしな」

673:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:44:53 inRRU4Nk
切ねえwww支援

674:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:46:44 gMrY//wb
支援
寂れ過ぎww

675:萌は文化
08/09/08 23:46:48 Fc2BcoqU
そんな2人を見ながら杉山と朝比奈は静かにラーメンをすすっていた。

そして…

「それで厨房は……」
「ふむふむ、ここに……」
「って立て直すって本当に店を建て直すとこからかよ!」

元々の店を打ち壊し、ライとゼロの設計、監修の元で現在『狂王』は建て替え工事中であった。

「当然だよ。あの店内じゃダサすぎてお客さんが来るわけないじゃないか」
「だったら店内をリフォームするだけでよかったじゃないか!」
「………あ」

杉山に突っ込まれるとライは一瞬固まったがすぐにそっぽを向いて作業に戻った。

「ここはみんなゼロからスタートするためにね」
「いや、嘘だろ! あ、って言ったし!」
「ん? 呼んだか?」
「呼んでないからゼロは黙っててくれ!」

『そんなこんなで新しい『狂王』が完成した。そして僕のホストとしての新しい生活がこれから始まるのであった』


つづく

676:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:47:31 inRRU4Nk
其処からwww支援

677:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:48:28 gMrY//wb
支援


678:萌は文化
08/09/08 23:49:57 Fc2BcoqU
「総集編と聞いていたが結構違ったな」

ジノとアーニャと一瞬に映画館から出て来たノネットは背伸びをしながら言った。

「ライ様………素敵だった」

完全にトリップ状態のアーニャ。
しかし、ジノは1人渋い顔をしていた。

「どうしたジノ?」
「いや、面白かったには面白かったんだがな……」
「何? ………ライ様にケチをつける気?」

いつになく感情をむき出しでアーニャはジノを睨んだ。

「いや、単純にライマーユニーが出ないのがな……」

残念そうに呟くジノ。

「衝撃の~」

すると遠くからジノに向かって走って来る人物が居たがジノは気づかずに話しを続けた。

「私が好きなのはライ様じゃなくてライマーユニーなんだよ。正直ライ様にあまり興味はな…」
「ファーストブリット!!」
「グホッ!!?」
「も、モニカ!?」

遠くから走って来たモニカはその勢いのままジノにドロップキックを喰らわし、ジノは大きく吹き飛んだ。

679:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:51:34 gMrY//wb
支援

680:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:51:59 inRRU4Nk
支援


681:萌は文化
08/09/08 23:52:23 Fc2BcoqU
「は~い、ノネット久しぶり」

優しく微笑みノネットに手を振るモニカ。

「お前も映画見に来てたのか?」
「当然よ。だってライ様だもの! 今月はもう3日置きくらいに見に来てるわ」

キャーキャー言いながら幸せそうにクルクル回るモニカ。

「お、おい、いきなり何しやがる!!」
「………足りない」
「え?」

蹴られたジノは起き上がりモニカに文句を言おうとつかみかかった。
するとジノは逆にモニカに投げ飛ばされた。

「そう、あなたに足りないもの! それは!」

仰向けに倒れたジノにモニカは馬乗りになった。

「情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!」
「ちょ!!」

何かにとりつかれたように馬乗りの状態でジノをひたすら殴りつけるモニカ。

「そして何よりも!」

そしてモニカはトドメとしてジノの足をつかみジャイアントスイングで投げ飛ばした。

682:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:53:15 7cVJnH2P
モニカひでぇww支援

683:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:54:04 gMrY//wb
支援

684:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:54:32 inRRU4Nk
支援

685:萌は文化
08/09/08 23:54:42 Fc2BcoqU
「ライ様への愛が足りない!!」

投げ飛ばされたジノは映画館の看板に綺麗に突っ込んだ。

「ライ様あってこそのライマーユニー。ライマーユニーはいいけどライ様に興味ないなど言語道断。そんなのこの私が許さないわ」
「モニカ………」

ポーズを決めるモニカに感動して涙を流すアーニャ。

「モニカ………ライ様は、ライ様は」
「ええ、アーニャ。素敵な人よ。子どもぽくてかわいい笑顔や、今回の映画みたいにクールなお顔。そしてあの人の何気ない仕草の一つ一つが全てに私は虜。魅力的な人よ。そう、ついに私は見つけた! 文化の真髄を!!」

力強く拳を握り力説するモニカ。

「いきなりドロップキック、馬乗りパンチ、ジャイアントスイングはひでーじゃねぇかモニカ!!」

ボロボロになったジノがモニカに文句を言いに戻って来た。

「んなことわかってるわよ!! この蛇野郎!!」
「え? なんでそこまで言われなきゃいけないの?」
「受けなさい! 私の(ライ様への)愛を! 瞬殺の~!」
「ギャァー!!」

なんか大変なことになってるジノ達から離れ、1人自販機でジュースを買っているノネット。

「………今日も平和だな」

ジュースを飲みながらノネットはそんなことを呟き、ライ様の魅力を拳で語るモニカ達を眺めていた。

686:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:54:59 G82zsJJF
クーwwwガーwww
支援

687:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:55:48 gMrY//wb
支援

688:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 23:56:12 inRRU4Nk
ノネットさんはライ様好きじゃなのか?支援


689:萌は文化
08/09/08 23:59:20 Fc2BcoqU
おまけ

ラジオを聞いている皇帝とV.V

ゼロ『次のハガキは……ペンネーム、ブリタニアエンペラーさんからです。私はライマーユニーさんのデビュー当初からの大ファンです。これからも頑張ってください………だそうだ』
ライマーユニー(ライ)『ありがとうございますブリタニアエンペラーさん。あなたみたいな人に支えられて今の僕が居るんですよね。お礼にオリジナルステッカーをプレゼントしますね』

皇帝「ヌアッハハハハ! あやつめ、やりおったな!!」
V.V「よかったねシャルル。ハガキ読んでもらえて」
ゼロ『では次のハガキは……ああ、最早お馴染みのペンネーム、V2さんからです』
皇帝「ヌアッハハハハ!?」
ライ(ライマーユニー)『ホント、V2さんは毎回毎回おハガキありがとうございます。今回は特別に僕のサイン入りの番組オリジナルTシャツをプレゼントしますね』
V.V「………ニヤリ」←勝ち誇ったような笑み
皇帝「あやつめ、やりおったな!!」←悔しそう

690:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/09 00:00:15 jkB/W6Np
遂にラジオまで!?支援

691:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/09 00:01:14 V/ZOdOZU
しかしもう、今さらだが反逆はどうなったかと問いry
反逆のルルーシュじゃなくなってるwww

692:萌は文化
08/09/09 00:03:09 Z9orxg6j
以上で終了です


かなり迷走してますね
番外編なのに無駄に3部作
全部書くかは不明です

支援ありがとうございました

眠い、私はもう寝ます

693:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/09 00:03:34 VcjpIYfv
むしろ何に反逆してるw支援

694:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/09 00:06:45 jkB/W6Np
お疲れさまでしたw
いや~最高でしたw
流石スレのギャグ王!!(誉め言葉)
是非続きを御願いします。!!できればライマーユニーよりも
長く!あと出来ればカレンのバージョンも!
次回の投下を熱望しております。

695:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/09 00:08:32 pMo1UczI
>>692
萌は文化卿、GJでした!
ゼロwww六畳一間てwwww
杉山、朝比奈、いつまでラーメン食っとんねんwww
よく考えたら、ブリタニアをぶっ壊せてる=反逆成功?
いつもながら大変面白いSS、こんなカタチでGJでした!
ライマーユニーも、狂王も、続きが気になって仕方がないんです
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!

696:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/09 00:12:59 V5tzc+jQ
追い付けないーっ!

>>490乙でした
R2が始まったばかりの頃、一年間記憶がないまま過ごしたとはいえ、ルルーシュ成長してねえぇぇぇっ!
と思っていた&
一期のイメージで、スザク(人外の域)>一般ラウンズ(人類の上限)≧藤堂(熟達者)、カレン(資質に恵まれた自己流)
という感じでとらえていて、紅蓮可翔式無双にポカーンとしてしまった私にとっては、
ライとカレンが鍛練により確実に成長していると思われるようなエビソードはメチャメチャGJでした!
女性の頼みを断れない自分を誤魔化すライも笑えてよかったです

>>560乙でした
甘いものは大好きだが、人間は甘いものだけでは生きていけない
何か上手く言えませんが、五臓六腑に染み渡る薬膳というか、健康になれそうなバランスの取れた食事をいただいた気分です
ストイックな文章も、調味料を極限にまで抑え、素材の良さを引き立てている感じがしました
何か変な感想ですみません
あと、誤字ではないかと思うものを二つあげます
>>503 NKFで戦う→KMFで戦う
>>537 一転突破→一点突破

>>589乙でした!
鉄火肌で姉御という表現が相応しいノネットさんですが、この話では姉御というより
(マリーカの)お姉さんって感じで新たな魅力に目覚めた気がしました


>>638
色んな意味で胸の熱くなる作品でした
軍事物に弱い私は、グットラックが出てくる度に某妖精の女王の名を冠した機体の出てくる話を連想してしまいました
(アニメ版しか見てないけどw)

>>566
対応ありがとうございました
おっしゃられる通り、持ち帰りを推奨する形になるのはおかしな話なので、今の形で良いのではないかと思います

697:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/09 00:13:28 Z4lZAIHO
素晴らしいカオス……この流れならば、書いた自分でもよくわからないコレを投下しても許される気がする!
というわけで、投下したいがやはり10分ほど感想の時間を待つべきか!?

698:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/09 00:14:17 jkB/W6Np
>>697
そうするのがよろしいかと

699:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/09 00:16:04 Z4lZAIHO
ですよね、なら待ちます。
あ、お風呂入れてこなきゃ……

700:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/09 00:49:40 pMo1UczI
私は我慢弱い!
という訳で>>699卿、申し訳ありませんが限界です

他の方、支援は任せました
……おやすみ

701:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/09 00:53:47 Z4lZAIHO
>>700
すいません。時間をおいたら冷静になって、
そしたら「これ意味分からん過ぎだろ。投下してもリアクションに困るだろjk」
と思い悩んでいたんですが、言った以上はやはり投下することにしました。
というわけで、投下します。あとがきいれて、6~8レスくらいです

702:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/09 00:55:33 BU8Pd2dq
>>701
おk 支援

703:千葉はライの嫁
08/09/09 00:55:53 Z4lZAIHO
・ギャグ? 否、カオス。本編の展開並みにカオス。
・書いた人の体験談が元ネタ。
・キャラ、壊れてます。
・つまらんって思っても、石は投げないで。

704:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/09 00:59:36 BU8Pd2dq
支援

705:BAD END
08/09/09 01:00:23 Z4lZAIHO
アッシュフォード学園の食堂で、ライは彼の友人達と昼食を楽しんでいた。
メンバーはライ、ミレイ、シャーリー、そしてミーヤ。
ちなみに配置はライの正面にミレイ、ライの隣に座るシャーリーの正面にミーヤだ。
ライはリヴァルも誘ったのだが、彼曰く「あの集団の中に入る勇気が無い」と断られた。
あの集団って、生徒会でいつも一緒のメンバーじゃないか。ミーヤだってクラスメートだし。
そう疑問に思っていたライは、リヴァルの指す集団が昼食時、ライの席を中心に座る女子全員のことであることに気付かない。
実際、今仮にライが周囲を見渡せば彼の近くの席は女子が占領していて、男子はその様子を離れた席から(おびえた様子で)眺めていることに気が付いただろう。
しかし、ライは基本的に食事の時は食事に集中するタイプ、しかも今回は親しい友人達との語らいも楽しんでいる最中だ。
やけに女子が多いことに気が付きはしたものの、彼はそうした周囲を特に気にしなかった。そう、“いつものこと”なのだから。
「しかし、昨日は久しぶりにライの部屋に遊びに行ったけど、随分物が増えてたわねぇ」
「ええ。友達が遊びに来るたびに、何故か色々とお土産とかで置いていくんですよ。
 この間ニーナが来た時は、夜仮●とかいう人形を貰いました。不思議なんですが、あれを枕元に置いてから安眠出来るんですよね」
そういう効果があるんでしょうか、と首を傾げたライは、そこで何かを思い出したように、そうそう、と言葉を続けた。
「どういうわけか、物を貰うとその代わりみたいに僕の物が無くなっちゃうんですよね。
 下着とか歯ブラシとかなんですけど、無くなっている物が物ですから盗まれたとかではないと思うんですが。
 会長が遊びに来た日も靴下がどこかに行っちゃって。会長知りませんか……って、会長に聞いても分からないですよね」
「ソウネ、チョットココロアタリナイワ」
自分の言葉に苦笑するライから微妙に視線を逸らしたミレイは、何故かカタコトだった。
「キャハハ! シャーリーったらドジっこなんだから!」
「そ、そんなに笑うことないでしょ」


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