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Return Colors 九話 ~双璧の修復~
「ああ、そうか。物資は確保できたか。……中身は問題なかったんだな。それはよかった」
騎士団アジトの執務室。CCからの通信を受けながらライは手元のノートパソコンを高速
でブラインドタッチしている。
「それにしてもここまで騎士団が弱体化しているなんて思わなかった。要である物資強奪
も。なんなんだ、これは」
モニターに表示された今まで強奪したリストを見て、ライは呆れた表情になる。
もしルルーシュがこれを見れば、激怒して、冷笑でも浮かべ、痛烈な皮肉を軽く二つ三
つは放っているような、さんざんたる有様だ。
「卜部さんの情報が悪い? 人のせいにするぐらいなら自分で動いたらどうだ。……まぁ、
いいさ。とにかく帰還してくれ」
通話を終えて、ライは作業に集中する。
ライが騎士団と合流して早一ヶ月。その間、彼の仕事は物資強奪ではなく、かといって
NKFで戦うことでもなく、全く別のことに追われていた。
組織の立て直しである。
ブラック・リベリオン後弱体化した黒の騎士団。戦力的にはもちろん騎士団内部の内政
も損傷は激しい。
資金の流れ、物資の補給―これは主に強奪―、人材の流出。現在の黒の騎士団は、
かつての隆盛は影も形もなくなっている。ライが騎士団に入ったときよりもひどくなっている。
それらを何とか立て直そうと連日ライは机とノートパソコンの前から離れず、頭を悩ま
せていた。
「ゼロが捕まったこともあるが……やはり最大の原因は現総督のカラレスだな」
中でも特にひどいのが人材の流出だ。目の前に表示されたグラフを見ても、ブラック・
リベリオン後から騎士団員の数が急激な勢いで減少しており、その勢いがさらに増したの
が現在のエリア11の総督、カラレスが圧政を敷き始めた時期と重なるのだ。
ブリタニアにいる間、ライは当然のことながらエリア11のことも情報を集めており、
カラレスのことも知っている。