コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 23at GAL
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 23 - 暇つぶし2ch400:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
08/09/07 21:38:53 o8PHGYS0
今回の議事録です。ほぼリアルタイムで更新していきます。
URLリンク(www1.ocn.ne.jp)

401:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 21:48:38 0xPf2s0P
>>400
読ませていただきました。私は、
(画像投下仮ルール)
に沿う形でいいと思います。
ただ、これですと、SS以外のコードギアスの絵も認めるという事ですよね?
私はそれでも構わないと思います。


402:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 21:49:08 gJ9GYz3L
意見出ませんね。正直これまでで出尽くしている感があります(個人的にですが)
多分どうやっても完全に意見のまとまりを見る事はないでしょうからいいとは思うんです
とはいえ、そうなると「そのとき参加できなかった者の意見は無視か」や「イヤな人間の意見はスルーか」
となるのでしょうけど
とはいえ、すでに議論のための議論と化してる状態では予定としてこの時間にとしてあるのに参加しませんでしたってのは
反対の理由にはならないのではないでしょうか
また「それがイヤな、嫌いな人もいる」という意見は「では好きな人の意見はどうなるのか」ということになりますから反対の理由足りえないのでは?
すでに出尽くした(したらばの方でこんな意見出てましたよね?)意見ですが、気になったのであげてみました
ちなみに蒼い運命の人です。一応自分の意見として責任はとりたいので署名(?)です


403:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 21:52:14 gJ9GYz3L
画像投下の取り扱いに関しても
十分じゃない?
と聞きたいくらいです。わたしは

404:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
08/09/07 21:56:05 o8PHGYS0
>>401 ただ、これですと、SS以外のコードギアスの絵も認めるという事ですよね?
厳密には、SS以外の「ロスカラ」の絵ですね

405:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 21:57:20 155qWoYa
一ついいですか?美術館についてなんですけど、画像投下版がある限り
必要がないと思います。
理由としては2箇所に同じ絵があっても意味ないと思うからです。
あくまで美術館に収めたいのなら投下版に投下した絵が消えそうになった
ら収めるとう方法をとった方がいいとおもいます。

406:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 22:01:29 CHH8Mt5E
・この一週間では投下数が少なく検証不足→もう一週間様子を見る
or
・投下数は少ないものの、大きな問題はなかった
→掲示板運用及びSSスレへの投下自体は現行ルールで取敢えずは問題なし

の二択しか思い付かない
美術館云々に関しては、美術館に格納する分には嫌な人はスルーすればいいんだから
トーマス卿の好きにすればいいんじゃないかと思います
ただし、スルー派がスルーしやすくする為に、4のテンプレに以下二つを追加
・SSスレに投下した時点で絵師は美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投下時のレスにその旨を明言してください

また、トーマス卿は絵の保管についてはこのスレでは報告しないことも重要かと
代替としては画像掲示板に報告するor保管庫に更新情報ページを作って報告する形が考えられるかと思います
また、絵の感想については、SSスレではNGのままがよいかと思います

407:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
08/09/07 22:02:23 o8PHGYS0
>>405 仰る事は尤もなのですが……
・画像掲示板は永久的な保管庫を兼ねるものではない
・「消えそうになる」というタイミングがわからないので、画像掲示板も常時監視しなければならなくなる
・「絵を投下しました」のタイミングで拾う形にすれば、監視はここだけですむ
というわけでして……2カ所同時監視というの流石に。すいません。

408:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 22:05:33 155qWoYa
>>407
では、2週間後とか期限をつけるのはどうですか?
現在投下された絵はまだ消えてないことですし。


409:401
08/09/07 22:05:42 0xPf2s0P
>>401 
・アニメやSSにインスパイアされた場合は、それを書く(例…R2の何話をみてテンさん描きました)
という記述がありましたので、アニメの絵も認めるのかな? という勘違いをしてしまいました。
なるほど。
ならば、投下を認めるのは、
・SS以外の「ロスカラ」の絵。
・SSの挿絵
 以上。
という理解で、よろしいでしょうか?
もいろん。この場はそれを議論する場だとは存じていますが、
一応議事禄に書いてあることの確認という意味で

410:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 22:11:35 155qWoYa
それにしても、絵の投下数が少ないよねえ。これじゃ406さんの言うとおり
検証不足かもなあ。しかも本編の超展開でSSそのもの投下も少なくなる
だろうし、この状況で絵の投下が増えるとは思えないしなあ。

411:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
08/09/07 22:14:32 o8PHGYS0
>>406 >絵の保管についてはこのスレでは報告しないことも重要
はい。それはそのほうがいいと私も考えております。

>>408 今の速度ならばそれでもいいですが、仮に今より速くなると矢張り常時監視が必要になってしまうのです……。

>>409 それが一番無難かと。あの画像掲示板はあくまで「ここから派生した」ところですので。

412:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 22:17:21 gJ9GYz3L
たとえ超展開でも書く気まんまんなわたしのような人はまだまだいるはず・・・
ただ、わたしってば他の人に比べても非常に遅いんですよね。投下するのが

413:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 22:33:11 72cADDfK
動きを止めたか
セシルさんをお持ち帰りするならいまのうちだな

414:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 22:34:14 0xPf2s0P
>>407
トーマス卿の大変さを含めて、絵の投下の報告はこのスレにあっても良いと思います。
そして、トーマス卿はそれを確認して保管。
保管を拒否したい人はそのむねをここの絵投下の報告レスに書く。
そして絵の感想はここに書かない。保管完了報告も同様。

いままでの意見をまとめると、こういうことですよね?

415:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 22:34:27 155qWoYa
>>411
なる程、よくわかりました。
ではもう議論も出尽くしたようですし、決定でいいんじゃないですか?

416:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
08/09/07 22:36:21 o8PHGYS0
この議論を読んで決まりかけてる美術館の方針

・このスレに投下宣言がされたものは即座にこちらに保管する(>>410氏すいません。こちらの負荷状況を鑑みるにこれしかありませんでした)
・画像の保管報告&感想はこちらでは一切しない。これは私に限らない(全て向こうかな?まあこれはあちらの管理人様の意見も聞かねばなりませんが……)
・SSスレに投下した時点で絵師は美術館への保管に同意したものと見なされます(←いいですね。採用させていただきます)
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投下時のレスにその旨を明言してください(←これもGOOD!)

417:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
08/09/07 22:38:19 o8PHGYS0
言い忘れました。
投下宣言がされたものは即座にこちらに~よりも、何らかの理由で保管を希望しない場合は~の方が優先されます。

418:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 22:40:57 155qWoYa
>>416
この書き方ですと、このスレに絵の投下が良くなったように
見えますけど、勿論スレに直接投下は厳禁ですよね?

419:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
08/09/07 22:43:15 o8PHGYS0
>>418 そうですね。基本は現在の>>4になると思います。画像を投下自体は全て向こう、こちらにはその報告だけということで。
すいません、言葉が足りなかったというか拙かったというか。

420:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
08/09/07 23:04:37 o8PHGYS0
えっと、じゃあ今回の議論で出た形でいいんですかね?それならば、テンプレの文言とかは取り敢えずおいといて、
画像掲示板の方に、今までこちらで投下宣言が為されたものの収容可否を伺おうと思うのですが。

421:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 23:05:45 Eu7tcUGg
いいと思いますよ。

422:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 23:06:08 CHH8Mt5E
>>406>>409を反映して、テンプレいじりました
後、保管できないようなものが投下される可能性も考慮して、文言追加しました
微妙なラインとして、
・挿絵として描いた絵が職人さんにスルーされても泣かないこと
(何らかの理由ですぐに閲覧できない、職人さんが絵はスルー派の場合も考えられます)
とかも、思い付いたのですが余分かな?

あと、当然ながら過去に遡って適用するわけにはいかない&このスレではテンプレでないので
投下済みの絵とこのスレに投下される分はトーマス卿に向こうで確認をとってもらう形になるかと……

423:4の修正テンプレ案
08/09/07 23:07:31 CHH8Mt5E
関連外部板として、ロスカラSSスレ派生画像掲示板(URLリンク(bbs1.aimix-z.com))があります。
画像を投下したい方は画像掲示板の注意も精読の上、以下のルールに従って投下してください。


(画像投下ルール)

1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。 尚、コテとトリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメやSSにインスパイアされた場合は、それを書く(例…R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)

2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投下。
「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。
画像版の(タイトル)です。
・内容(挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど)
・注意点(女装・ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)・微エロ(キス、半裸など)・ゲテモノ(爬虫類・昆虫など)
絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮を願います)
以上です。よかったら見てください。」
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投下は避けてください。

3.気になった方は画像掲示板を見に行き、感想を画像掲示板に書く。
(原則としてこちらの投下レスに絵の感想レスをつけないこと)
絵に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
4.SSスレに投下報告をした絵師は以下の項目に同意したとみなされます。
・SSスレに投下した時点で絵師は美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投下時のレスにその旨を明言してください
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
(ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)

424:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 23:11:49 155qWoYa
>>423
概ねいいんですが、4の2つ目のSSスレに投下した時点はを投下報告に
変えたほうがいいですね。勘違いしそうなので。

425:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
08/09/07 23:16:09 o8PHGYS0
>>423 私的にはそれで全く問題ありません。424氏の指摘された箇所を修正するとより完璧かと。

426:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 23:24:21 0xPf2s0P
>>423 
賛成です。
それにトーマス卿が問題ないとされたのなら、なおの事です。

427:絵板 ◆1kC3aaXjik
08/09/07 23:24:44 QeERj/sz
追いつきました。

>>423-424
異論ありません。

トーマスさんがご無事で(?)何よりでした。
みなさんおつかれさまです。

428:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 23:25:01 f7b46oyE
急用で席はずしてるあいだにあらかた終わってるorz
俺は423に賛成です。あとはトーマス卿の終了宣言かと

429:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
08/09/07 23:34:11 o8PHGYS0
―では。
このレスをもちまして、390より開始した第3回画像取り扱い会議を>>423氏のものを採用するということで終了したいと思います。
参加してくださった皆様、まことにありがとうございました。私は今から画像掲示板に行って、絵師の方に既にここで投下宣言が
なされた分についての収集可否を伺おうと思います。では失礼いたします。
※議事録の纏めは明日中ということでお願い致します

>>427 当面、流動食しか食べれない状態です(泣

430:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 23:34:31 CHH8Mt5E
>>422のテンプレ追加は余分と言うことでいいですか?
まあ、いずれにせよテンプレ自体の可否は24時間おいた方が無難ですが…


紛らわしいとの意見があったので「投下」を全て「投稿報告」に変更の上、前文を微修正しました。

431:4の修正テンプレ案・第2稿
08/09/07 23:36:34 CHH8Mt5E
関連外部板として、ロスカラSSスレ派生画像掲示板(URLリンク(bbs1.aimix-z.com))があります。
画像を投稿及び投稿報告したい方は画像掲示板の注意も精読の上、以下のルールに従ってください。


(画像投稿報告ルール)

1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。 尚、コテとトリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメやSSにインスパイアされた場合は、それを書く(例…R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)

2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。
画像版の(タイトル)です。
・内容(挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど)
・注意点(女装・ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)・微エロ(キス、半裸など)・ゲテモノ(爬虫類・昆虫など)
絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮を願います)
以上です。よかったら見てください。」
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。

3.気になった方は画像掲示板を見に行き、感想を画像掲示板に書く。
(原則としてこちらの投稿報告レスに絵の感想レスをつけないこと)
絵に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したとみなされます。
・SSスレに投稿報告した時点で絵師は美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
(ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)

432:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 23:37:51 gJ9GYz3L
みなさんおつかれさまでした
>>流動食?!
大丈夫とおっしゃるならとは思いますが、お体を大事にしてくださいね
終わってから投下と宣言してましたが、遅くなりましたし明日の夜にということで
それではおやすみなさいです

433:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 23:38:46 155qWoYa
>>429
ご苦労様でした。
ただ、議事録のまとめは急がずに養生した方がよろしいかと。

434:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 23:43:28 QeERj/sz
>>429
流動食とは・・・
はやくおいしいご飯を食べられるようになるといいですね。どうかご自愛を。

>>431
ちょっとした誤字?かと思うのですが
2の三行目「画像版」は「画像板」の方かと思います。

435:4の修正テンプレ案・第3稿
08/09/07 23:49:20 CHH8Mt5E
関連外部板として、ロスカラSSスレ派生画像掲示板(URLリンク(bbs1.aimix-z.com))があります。
画像を投稿及び投稿報告したい方は画像掲示板の注意も精読の上、以下のルールに従ってください。


(画像投稿報告ルール)

1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。 尚、コテとトリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメやSSにインスパイアされた場合は、それを書く(例…R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)

2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。
画像板の(タイトル)です。
・内容(挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど)
・注意点(女装・ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)・微エロ(キス、半裸など)・ゲテモノ(爬虫類・昆虫など)
絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮を願います)
以上です。よかったら見てください。」
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。

3.気になった方は画像掲示板を見に行き、感想を画像掲示板に書く。
(原則としてこちらの投稿報告レスに絵の感想レスをつけないこと)
絵に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したとみなされます。
・SSスレに投稿報告した時点で絵師は美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
(ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)

436:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/07 23:59:44 0xPf2s0P
 こんばんはKOUSEIです。
 話も一区切り付いたようですので、
 トーマス卿の復帰祝いといってはなんですが、前回の続きを投下させていただきます。

437:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/07 23:59:45 QeERj/sz
>>435
orzなんかスミマセン

OKだと思います。

438:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:01:01 hmuPa5Au
えーと、議論終わったようですので、0時15分ぐらいから投下してよろしいでしょうか?


439:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:02:17 hmuPa5Au
あ、KOUSEIさんどうぞ。
タイミング悪かったですね。
すみません

440:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:02:46 inRRU4Nk
>>436
支援します。438さんはそのあとが宜しいかと。

441:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 00:04:06 bq4s+t1N
>>438
あっ、もしかして、昼ぐらいに議論が終わった後、投下宣言してた人ですか?
(すみません。今さっきそのレスみました)

そちらが宣言が先でしたので、今回はおゆずりします。
すみませんでした。

442:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:06:59 inRRU4Nk
>>441
ゆずりあって投下されないんじゃ意味無いとおもうんでお先に投下したらどうですか?

443:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:15:48 hmuPa5Au
>>441
いいえ違いますから、どうぞ。

444:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 00:17:55 bq4s+t1N
>>443
分かりました。
では次から投下させていただきます。

445:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 00:20:57 bq4s+t1N
 シーン6『アッシュフォード 学園』Bパート

 アッシュフォード学園。その校庭。
「びびび、びびったぁぁぁ……」
 紅月カレンは、精巧につくられたラッコの着ぐるみの中で、先ほどの衝撃に今だ心揺さぶられていた。
「あ~、もう。遭遇することは予想してたけど……」
 このアッシュフォード学園に潜入すると決めた以上。今回のイベントの主役であり、アッシュフォード学園に復学しているスザクと遭遇する可能性はもちろん認識していた。
しかし、それはせいぜい遠目から眺めるとか見つけるとかそれぐらいで、まさかぶつかって、こけさせられて、更には助け起こされて「大丈夫ですか?」なんて声をかけられるとは微塵も思わなかった。
「私だってバレてないわよね……」
 そう心配して。カレンは今まで逃げてきた道を振り返る。
 学生は数多くいる。そして何人かは物珍しそうな目でこちらを眺めているが。それらはあくまでレジスタンス紅月カレンに対してではなく、彼女を包んでいるラッコの着ぐるみに対しての好奇の視線であり、監視や敵意のそれとは違っていた。
 カレンは、昔から体術や格闘技をやりこんでいるので、そういう視線の判別は何となくつくし、例え追跡や尾行をされていても、よほど技量の差が無い限りは、それに気付くことができる。例え、それがあのスザクだとて例外ではない。
 今のカレンはそれほどスザクとの生身での技量の差は無いはずであった。それは、先ほど顔を合わせた時に何となく分かった。だから……。
「まぁでも。スザクと顔を合わせられたのはある意味幸運だったかな」
 それは過信ではなく、純粋にそう思えたし、カレンはそう言えるだけの事をこの一年にしてきた。
 カレンは今下着に近い服装をしている。着ぐるみに包まれた悩ましげな肢体には、良く見ると目立たないまでも数多くの傷跡があった。
 それは、彼女が“彼”を助けると心に決めた時からこの一年間積み重ねてきた修行という名の苦行の証だった。その代わり、彼女は女ながらに星刻に『大した女だ』と認められるまでの実力を持つに至った。
 しかし、それでもスザクと生身で殺し合いをしたとしても素手同士なら今も百パーセント敵わないだろう。でも、こちらにナイフ一本でもあれば……。
「勝率は五分って所かしら」

446:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:21:53 a/J/z2QH
支援

447:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:22:04 inRRU4Nk
支援

448:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 00:23:42 bq4s+t1N
 カレンはその事実を実感し、それこそ魔女のように影のある笑みを浮かべた。
 これは一年前、銃と持っていてもスザクには敵わない。と感じていた頃に比べたら大きな進歩だった。この一年、死ぬような修行を重ねてきた成果だった。
 体に刻まれた傷。
 確かに。女性であるカレンにとって自分の体に傷が付くのは耐え難い事ではあった。しかし……。
 カレンは“彼”の女になるために、とうに女を捨てた。
 “彼”を必ず助け出す。それは自分の体以上に優先される事柄だった。日本解放ももちろんそうである。
 いや……。
 カレンが修行を重ねてきた理由はもう一つあった。その目的は日本解放やライ救出に遠く及ばないものだが、しかし、確実に果たしたいものだった。それは……。

 スザクを殺す。

 あの男は生きていては駄目だ。それがカレンがこの一年で出した答えの一つだった
 スザクが生きている限り。日本解放においても、ライ救出においても、いや、両方果たせた後でも必ず障害になる。それに、なによりアイツは、彼を―ライを撃った。
 許せるものではない。絶対に。絶対にだ。その事を考えただけでも、殺意が膨張して爆発しそうだった。もはや、スザクとは手を取り合うどころか同じ向きで歩く事さえ不可能なのだ。
 彼は……ライはスザクと同じ向きに向かって歩き出そうとした途端―行政特区に前向きな考えを持ち始めた途端、カレンの傍から消えた。
 繰り返さない。そんな事は繰り返させない。そのためにも、その原因を抹殺するしかない。
(スザク。今日は見逃すけど、次に会う時は……って、ん?) 
 と、ここでカレンは、今回スザクを見逃す事になった原因を見つけた。
 学園の隅の方で歩く一人の少女。
「あ、あの女ぁぁぁ!?」
 いた。どこで手に入れたのかアッシュフォード学園の制服を着ている。変な耳飾り。綺麗な緑の長髪。物憂げで、苦労など知らなさそうな素直なお人形さんみたいな顔。美少女だ。しかもとびきりの。しかし、中身はたちが悪いただの不良魔女。
「C,C,ぅぅぅ!!」
 カレンは着ぐるみを動かしてドタドタとC,C,の方に向かって走る。
 それは、着ぐるみにしては相当早いスピードだった。どれぐらい速いかというと、周りの人間がその速さに驚いて「お~」と感嘆して拍手を送るぐらいである。

449:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:25:21 inRRU4Nk
支援

450:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:25:32 gMrY//wb
支援

451:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 00:26:18 bq4s+t1N
 しかし、当のC,C,はそんなカレンに気付いていないようで、何食わぬ顔で校舎の角を曲がり。カレンの視界から消えた。
「逃がすかぁ!」
 カレンもすぐにその角を曲がった。だが、
「…………あれ?」
 そこに魔女はいなかった。いたのは走ってきた着ぐるみを奇妙な目で見ている学生達だけだった。
(ああ、もう! 一体、どこに消えたのよ!?)
 カレンは睨みつけるようにあたりを見渡す。その時、
「あっ」
 カレンの視界に一つの出店が入り。彼女はC,C,の捜索も忘れて気が抜けたように立ち尽くしてしまった。

 ○

「ふぅ……」
 ロイ・キャンベルは一階のトイレで用を足しながらため息を付いた。
「酷い目にあったな……。いや、現在進行形で酷い目にあってるか……」
 ロイは視線を下げてみる。見えるのはもちろんチャイナ服だった。
 結局、服は返してもらえなかった。
 返してください。と頼んでも、女子学生が返してくれないし、なによりジノが「返さなくていいよ~。俺達このまま回るから」と言って取り合ってくれなかった。
 服を返してくれないとか小等部のイジメか! と突っ込みたくなるが、なによりアーニャからも「このまま回ろう」と頼まれてしまったため、ロイはしぶしぶ、まだこの格好をしていた。
「何か……僕って女性に弱い気がするな……」
 と、ロイはそんな事を思ったりした。
 女子生徒にこのチャイナ服を着てください! と頼まれた時も断れなかったし。アーニャのこのまま回ろうという頼みも断れなかった。
 それに、ノネットさんから模擬戦を頼まれたら絶対に付き合ってるし、モニカさんから、お買い物に付き合ってと言われたら付いていく。それに、ローマイヤさんから、一緒に図書館で勉強しませんか? という誘いも断った記憶が無い。
 カノンさん……は違う。女じゃなかった。セシルさんの魔王の夜食は(逃げる暇が無くて)差し出されたら食べるし、カリーヌ様のお誘いもほとんど断らない。ナナリー総督の頼みも公私問わず大体引き受けてるし、ドロテアさんの時だってetc,etc……。
(……ちょっと待てよ)
 と、ここでロイは、ある恐ろしい考えに至った。
(僕ってもしかして女性の尻に敷かれているタイプ?)

452:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:27:15 a/J/z2QH
支援

453:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:28:08 3sLxYMdJ
しえん。

454:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:28:38 inRRU4Nk
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455:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 00:29:09 bq4s+t1N
 女性の頼みを断れない。それは、女性に逆らえないという意味とイコールではないだろうか? しかし、それはあまりに男として情け無いような……。
(ば、馬鹿な。違う、そんなわけ無いじゃないか)
 ロイは即座にその考えを否定した。
 旧来より。騎士とは己のプライドより、女性を大切にするものである。女性を敬うこと。それが騎士の本懐。だから自分は騎士として女性の頼みをあまり断らないのだ。決して、女性に対して自分の意志が弱いわけではない。多分……。
 と、ロイはかなり歪曲した騎士道を心の支えとして、何とか心身の体面をギリギリで死守した。
「さ、さぁ、スッキリしたし。こんな馬鹿みたいな考えもスッキリ忘れて、この祭りを楽しむとしよう」
 ロイは暗い思考を振り払うように明るく言って便器を離れる。ちなみに、すでにチャイナ服を着て歩き回る事に対する恥ずかしさとかは感覚が麻痺したのか、あまり感じなくなっていた。激痛を伴う生傷もやがて麻痺して痛くなくなるのと同じ原理かもしれない。
「ん? あれは……」
 その時。ロイがふと窓の外に視線を移すと、トイレを隠すように茂っている木々の隙間から見慣れた着ぐるみが見えた。
 それは、スザクがぶつかって倒してしまった。ラッコの着ぐるみだった。

 ○

「懐かしいな……」
 カレンはクレープ屋を見つめながら、少しだけ昔の事を思い出していた。
 一年前。あれは学園の文化祭での出来事だった。二人で待ち合わせして、そして、この学園の色々な場所を回った。
 クレープ屋もその一つだった……。
 もちろん、このクレープ屋を営業しているのはあの時と違う学生だし、よく見れば営業している場所も全然違う。しかし、久しぶりにこの思い出深い学園に足を踏み入れたというのもあって、カレンはどこか感傷的な気分に浸りやすくなっていた。
(ライに買ってもらったクレープ。美味しかったな……)
 記憶が溢れてくる。
 一年前。
 自分がクレープ屋を見ていたら。「僕が奢る!」と言ってきかなかった彼。
 そもそもお金もあまり持ってないくせに、珍しく良い顔をしようとした彼。
 そして、自分が豪快にクレープを頬張っていて、その仕草を「地が出るよ」と注意したくせに、直して大人しく食べている自分に、

456:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:30:57 YT+PiCQd
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457:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:32:13 inRRU4Nk
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458:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 00:32:18 bq4s+t1N
<僕はやっぱり。大人しく食べてるカレンより、ガツガツ元気良く食べてるカレンの方が好きだな>
 と、言った彼。
「バカよねホント。女の子に言う台詞じゃ無いわ……」
 カレンは懐かしそうに微笑んだ後、
「……」
 悲しげな顔で俯いた。
 彼の笑顔。
 忘れられない。忘れようとも思わない。忘れたくない。なぜなら、その笑顔はもう一年以上、記憶の中でしか見ていない……。
(……もう、会えないのだろうか)
 そんな考えが、何度頭をよぎっただろう……。
(……あ、やだ)
 気が付くと、カレンの目頭はじんわりと熱くなっていた。
 ここでカレンは、今日の自分は感傷的な気分に浸りやすくなっている事を自覚した。
 それは仕方が無いのかもしれない。
 懐かしい空気。懐かしい場所。懐かしいざわめき。懐かしい光景。かつて、ライと共有したものがここには悲しいほど多く溢れている。
「うう、湿っぽいのは止めよう……」
 カレンは心の汗を指で拭う。その時、
「ラッコさん」
「!」
 誰かから呼びかけられて、カレンは体を震わす。そして素早く振り返った。
 そこには、
「どうも。こんにちは」
 男がいた。
 銀のツインテール。顔が見えないぐらいの分厚いぐるぐる眼鏡。筋肉の凹凸が良く分かるピチピチのチャイナ服。
(オ、オカマ? それとも変態?)
 カレンはあまりの光景に数歩下がる。その行動に気付いて、チャイナ服の変態は困った顔で微笑んだ。
「あ、いえ。怪しいものじゃないです」
(いや! 充分怪しいし!)
 カレンは心の中で突っ込んだ。
 実を言えば。カレンは不幸にも変態とか怪しい男とかそういうのに数多く出会ってきた。

459:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:32:55 YT+PiCQd
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460:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:32:58 2ZvTDw4X
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461:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:33:42 inRRU4Nk
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462:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 00:35:03 bq4s+t1N
 カレン・シュタットフェルトとしてこの学園に通っていた時期。彼女はモテた。そりゃあもうすごく。
 見た目は文句無しの美少女。清楚なお嬢様。そして、病気がちで内気となると、どうやら、そういう趣向の方々の琴線に触れたらしく。
 下校の途中、いきなり通路から男が飛び出してきて「はぁ、はぁ。お嬢さん。ほ~ら」とか、女性の衣装に身を包んだ男が「ハァハァ、お嬢ちゃん。履いてる○ンツ売って」という出来事も一度や二度ではなかった。
 もっとも、カレンは実際は内気どころか中身は肝っ玉母ちゃんもびっくりの強気な少女なので、そのたんびに、変態の骸を死屍累々という言葉が相応しいぐらいに積み上げていったものだ。
 だが、カレンとて女である以上、そいつらには多少ながらも恐怖を感じていた。
 そして今、目の前に立つ男は、そいつらと似たような格好をしていたので、思わず後ずさりしてしまうのは、そういう経験をしてきたカレンにとって仕方が無い防衛反応であった。
 しかし、カレンがそうやって警戒バリバリだとは気付いていない様子で、その男は至極普通に話しかけてきた。
「実はさっきあなたがぶつかったのは私の友人でしてね。大丈夫でしたか? どこかお怪我なんかは……」
(へ? 友人? スザクの?)
 その言葉が、カレンの警戒を少し解いた。
 成程。とカレンは納得した。この女装した男は、先ほどの件で、心配して話しかけてきただけのようだ。
 そもそも、目の前の男が本物の変態だったとしても、カレンは着ぐるみを着ているわけであり、普通こんな着ぐるみの中に入っているのは男だと思うだろう。つまり、目の前の男は本当の変態だったとしても、その今の言葉だけは信頼に値する。
 カレンは喋るわけにはいかなかったので、すぐに着ぐるみにガッツポーズを取らせた。<私は大丈夫です>というアピールをしたのだ。
 それが伝わったらしく、女装の男は安堵した様子で微笑んだ。
「良かった。大丈夫なんですね。安心しました」
 そして、男は視線を横に逸らし、どこかを見つめた。
「クレープ。お好きなんですか?」
 その言葉で。カレンは男がクレープ屋を眺めたのだと理解した。
 男はカレンの答えを待たずに言った。
「奢りますよ」
(へっ?)

463:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:35:56 YT+PiCQd
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464:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:36:18 inRRU4Nk
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465:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 00:39:06 bq4s+t1N
 驚いているカレンを尻目に、男はチャイナ服のスカートを扇情的になびかせながらクレープ屋に歩いていく。そして店員の学生に声をかけた。
「すみません。クレープ二つ」
「はい二つね」
「ちょっとオマケして下さい」
「可愛いおじょうちゃんに言われたら断れないな。それにしても、えらく手の込んだ女装だね」
「はは、どうも……」
 という会話を売り子の学生と交わし。男はクレープを二つ手にとって、こちらに戻ってきた。
 そして、その二つの内の一つをカレンに差し出した。
「どうぞ」
(え……?)
 カレンは男から差し出されたクレープを見つめ、固まってしまった。
 男は首を傾げた。
「クレープ屋。ずっと眺めてましたよね?」
「……」
 カレンは答えない。ただ呆然とクレープと男の顔を交互に見るだけ。 
「これは、友人の非礼のお詫びの代わりです。どうか受け取ってください」
 そして、男は更にグッとクレープを差し出してきた。
「……」
 その時。カレンの中で男がクレープを差し出す姿と……彼の姿が被った。

<はい、カレン。クレープ>

「……」
 当然の事だが。目の前の男はライではない。
 こんな全体的に野暮ったくないし、女装してももう少し可愛いと思う。つまり全然似ていないのだ。
 でも……。
「?」
 カレンが何もアクションを起こさないでいると、男はあれ? と首を傾げた。
「あの、もしかしてクレープ嫌いでした? 僕の勘違いだったかな……。ラッコさんがずっとクレープ屋を見てたから、僕はてっきり―」
 少し困った表情で話す男。

466:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:39:57 a/J/z2QH
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467:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:40:24 inRRU4Nk
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468:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 00:42:01 bq4s+t1N
 口調は似ていない。仕草も似ていない。何も似ていない。銀髪ぐらいしか同じじゃない。でも、

<カレン>

 男がクレープを差し出す姿とライがクレープを差し出す姿が確かに被った。いや、被ってしまった。
「……」
 同時に、カレンの中から言い様の無い感情が湧き上がった。
(……ライ)
 そして、その感情はあっという間に許容量を越えて溢れ出した。
 今まで傍にいなかった男を、不意打ちに近い形で感じさせられた事によって、心の中で堰きとめられていたものがあっさりと決壊したのだ。
(何でいないの?)
 分かりきっている答え。それでもカレンはそう問いかけずにはいられなかった。
(何で私の傍にいないの?)
 自分が弱かったから、守られた。
(何で私、こんな見ず知らずの男の前でこんな気持ちにならなきゃいけないの?)
 自分が弱かったから守れなかった。
(いてよ……。傍にいてよ……嫌だよ。私、あなた以外の男の前で泣くなんて嫌だよ……)
 不条理だと分かっている。それでも、カレンは傍に本物のライがいてほしかった。ずっと一緒にいてほしかった。ずっと一緒に……。
 この一年。後悔ばかりが先にたった。
 なぜ、一年前。彼は自分の事が一番大切だといってくれたのに、自分はそんな彼の気持ちに怯えを抱いたのか。
 なぜ、愛されたいと思っていたのに、愛し合う関係になる事に恐怖を抱いたのか。
 なぜ、日本解放を言い訳に、その問題を先送りにしたのか。なぜそもそも言い訳などしたのか。
<正直に言えばねカレン。僕は日本解放より、それより、平和な世界で君と過ごせるなら、それで―>
 そう言われた時、なぜ、自分は「日本解放をおろそかにしないで!」と怒ったのか。
 分かっていたのに。ライが日本の事を疎かにしていない事なんて自分が一番よく分かっていたのに……。
 なぜ、逃げたのか。なぜ、
<嬉しいわライ。私もあなたの事は好きよ。大好き。一番好き。でも、日本解放もちゃんとやってよね>
 と、悪戯っぽく微笑みながら、彼の胸に飛び込んで顔を埋めなかったのか。今はこんなにもそうしたいと思うのに、なぜその時はできなかったのか。

469:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:43:13 inRRU4Nk
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470:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:44:31 gMrY//wb
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471:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 00:47:00 bq4s+t1N
 確かに。それは、ライがいなくなった事とは何の関係も無い。
 でも、それでもカレンはその時、自分が素直になっていれば今の状況も色々と変わっていたと思えて仕方が無かった。
 しかし……それも全ては過去の事。それらは失ってから気付いた。失ってから後悔した事。
 後悔して、そして正直死にたいとも思った。
 でも……それでも寂しくても悲しくても、死にたいような気持ちになっても、カレンは彼が守ったこの命を粗末にするわけにはいかなかった。
 だから、その寂しさや悲しさをエネルギーに変えて今まで頑張ってきた。かつて言えなかった事をライに絶対に言うんだ。と足を踏ん張ってやってきた。
 それなのに……。
 なぜ、こんな男の前でこんな……。それがエネルギーではなく、単純な寂しさと悲しさに戻されてしまったのか。
 気付けば。今度こそ心の汗などと言い訳のしようのない本物の涙がカレンの頬を伝った。幾筋も、幾筋もだ……。
『お~いロイ。何してるんだ~?』
 その時、カレンの思考を遮るように明朗な声が響いた。潤んだ瞳で彼女が声のする方に顔を向けると、そこには二階に並ぶ窓の一つから身を乗り出している男女がいた。
 一人は金髪で長身。そしてカラフルなドレスに身を包んだ男。そしてもう一人は、ピンクの髪を布の髪留めで結った、ウェイトレスの格好をした少女。
 カレンはその男女に見覚えがある気がした。しかし、どこで見たかは思い出せない。
「あ、ジノ。それにアーニャ」
(!)
 にこやかに言う目の前のチャイナ服の男の言葉で、カレンの頭の中の欠けたピースがカチリとはまった。
(まさかジノ・ヴァインベルグとアーニャ・アールストレイム!)
 そこはカレンは歴戦の勇士。暗い感情などその事実で一気に吹っ飛んだ。
 ナイトオブスリーとナイトオブシックス。まごうことなきカレンの敵がそこにはいた。
 一瞬見間違いかとも思ったが、見れば見るほど間違い無かった。前に一度見た写真とそっくりだった。
 それに、今思い起こせば、あの二人は先ほど自分がスザクとぶつかって、起き上がれなくてもがいていた自分を助け起こす時、そのスザクと親しげに会話していた。

472:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:47:57 inRRU4Nk
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473:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:49:23 zsSQEUT+
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474:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 00:51:16 bq4s+t1N
 あのナイトオブラウンズであるスザクと同じ目線で会話できる人物は、相当限られる。
(待って。となると、今、私の目の前にいる、あのスザクと同じ目線で会話していた男は……)
 カレンはゆっくりと目の前のチャイナ服の男に視線を戻す。相変わらずラウンズの二人に微笑みを送っているこの男。
 確か。この男はあの金髪の男にロイ。と呼ばれていた。
(ロイ……そうか。こいつロイ・キャンベルか!?)
 カレンは驚きで更に一歩下がった。
 ナイトオブゼロ。ロイ・キャンベル。
 そうだ、間違いない。ラウンズの中でも特に目立たない存在だから、この男に関しては完全に失念していた。
(そうか、こいつにライの面影を見たのは、銀髪の他にKMF乗りの体つきをしていたからか……)
 KMFに乗っている者には操縦者独特の体が出来上がる。長時間の訓練をこなすラウンズなら尚更だろう。
 そのKMFを操縦するという私生活からかけ離れた行動を何百時間と繰り返す事によって、体つきがその行動に順応するために、通常なら付かない体の部位に筋肉を形成するのだ。それは、肩の周りであったり、手首の辺りだったりするのだが……。
 なるほど、確かにこの男の体つきは見れば見るほどKMFのパイロットだったライとそっくりだった。ピチピチの服を着ているからそれが尚更良くうかがえる。
 それでも。完全にそっくりというわけではない。どちらかと言えば、このロイという男の方がライより筋肉の付きが一回り大きい。しかし、その体の特徴は本当に良く似ていた。
『おっ、なんだ。そこにいるのはさっきのラッコさんじゃないか。良かったなアーニャ。お前一緒に写真撮りたかったんだろ?』
『ロイが捕まえててくれてラッキー』
『つうわけで、悪いけどラッコさん。ちょっと一緒に写真とってくれないかな? 今からそっち行くから』
 男―ナイトオブスリー。ジノ・ヴァインベルグは叫ぶように言うと、窓枠に手を置いて身をさらに乗り出そうとした。どうやら二階から飛び降りる気らしい。
 カレンはジノの行動に唖然とした。
 何て奴だ。と思った。
 子供が真似をしたらどうするのだ。良い子のみんなには絶対に真似をしてほしくない。っていや、そんな事より……。
(マズイ! あいつこっちに来る?)
 そう、それがとりあえずは一番の問題だった。

475:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:52:48 a/J/z2QH
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476:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:53:02 gMrY//wb
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477:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 00:54:02 bq4s+t1N
 カレンはその場から、すぐに逃げ出そうとした。
 でも、いきなり走り出したら怪しまれないだろうか? と足を止めた。しかし、あの金髪の男、どこと無く好奇心旺盛な子供のような顔をしている。もしそれこそ子供の悪戯みたいに着ぐるみの頭を取られたりしたら万事休すではないか。
 このエリア11にわざわざやって来るラウンズの事だから、黒の騎士団のエースである自分の顔もおそらく知っているだろう。
 ここに留まり続けるのは危険すぎる。ああ、でも、やっぱり、いきなり逃げるのは怪しいし……。
 と、こんな事を考えてる間にも、ナイトオブスリーは窓枠に手をかけて飛び降りようとしている。
 どうするか迷って結局カレンは。

 ○

『私。忙しいのでキュイ』
「へ?」
 ロイは驚きのあまり上ずった声をあげた。
『クレープありがたく頂きますキュイ! それじゃ!』
 と、ラッコは妙に高い声を発しながら、ロイが持っていたクレープを強引に受け取り、そのまま土煙が上がるような勢いで走り去ってしまった。
 取り残されたロイは、
「……キュイ?」
 と呟いて、疑問符を浮かべた。
 おそらく、このキュイ。というのはラッコの鳴き声のつもりなのだろうが、自分だったら恥ずかしくてとてもあんなセリフは喋れない。
 ロイがラッコの去っていった方を見ながら、突然の事に呆然としていると、同じく窓枠に手をかけながら呆然としていたジノが上からポツリと呟いた。
『……あのラッコ。走るのが趣味なのか?』
『さぁ?』
 隣のアーニャが首をかしげて答えた。ジノはロイを二階から見下ろした。
『なぁ、ロイ。お前ら何してたんだ?』
 ロイは友人を見上げた。
「え、いや。ラッコさんがクレープを物欲しそうに眺めてたから、さっきのスザクのお詫びも兼ねて奢ったんだ」
『ふ~ん』
 ジノが無機質に答える。そして彼はその視線をロイの手に向けた。
『ところでロイ、何持ってるんだ?』
「ん? ああ、これか。クレープだよ」
『美味しそう……』
 そう呟いたのはアーニャだった。ロイはそんなアーニャを見て言った。
「アーニャも食べる? チョコバナナでいい?」

478:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:54:57 YT+PiCQd
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479:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:55:06 inRRU4Nk
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480:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 00:56:26 bq4s+t1N
『イチゴクリームがいい』
「よし。ジノは?」
『俺は奢ってくれるならクレープより、ブリタニアロールの方がいいな』
「はいはい。了解」
 そして、ロイはまたクレープ屋に行こうとしてきびすを返す。しかし、ここで「ん?」と、あることに気が付いた。
 ロイはまたすぐに振り返り、いまだに同じ窓でこちらを見下ろしている同僚二人を見上げ、聞いた。
「……ってジノ。そこって男子トイレだよね」
 そのはずだった。ロイがさっき用を足したトイレはそのジノ達がいる場所の真下。ならば、建物の構造上その上―ジノ達がいる二階もまたトイレのはずだった。
『? ああ、そうだよ。俺がここで用を足してる時に、お前を見つけたんだ』
 で、それが何? と言った感じでジノが聞き返してくる。どうやら彼は、この摩訶不思議に気付いていないらしい。
 仕方無いので、ロイはストレートに言った。
「……なんでアーニャがそこにいるんだ」
『へ?』
 ロイが言うとジノは素っ頓狂な声を上げ、ゆっくりと隣の(当たり前だが女の子の)アーニャを見る。
 アーニャはなにやら淡々と携帯を弄っていた。
『……ってそうだよ! なんでお前がここにいるんだアーニャ!?』
『?』
 アーニャはジノの声に対して不思議そうな顔をした。

 ○

 ようやくコスプレ衣装のレンタル時間が終わって元の服を返してもらったロイは、
「いいかいアーニャ!」
 と、しつこいようだが本日何度目かになる兄貴分としての自覚と責任を抱きながら、強い口調で言った。
「これからは勝手に男子トイレに入っちゃ駄目だ!」
 すると、レンタル時間を延長して、いまだにウェイトレスの格好をしているアーニャは、小動物の食事を思わせる仕草でクレープを頬張りながら首を傾げた。
「なぜ?」
「………………はっ?」
 ロイは予想外のアーニャの返答に思わず聞き返す。アーニャは口に含んだクレープをゆっくりと咀嚼した後、更に言った。
「なぜ私が男子トイレに入っちゃいけないの? 男子トイレは男子が用を足す所であっても、女子が入っていけないという道理はない」

481:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:57:30 YT+PiCQd
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482:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:58:21 gMrY//wb
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483:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 00:58:29 inRRU4Nk
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484:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 01:01:11 0nZP1b3Q
しえん


485:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 01:01:56 bq4s+t1N
 アーニャは言い切った。
 ロイは神に尋ねた。
(コノコ、ホンキデショウカ、カミサマ……)
 当然の事ながら、この問題は道理は無くても道徳はある。しかし、そんなものをどう説明すればいいのか……。
「いや、あのねアーニャ……」
「それに、それを言うなら」
 とアーニャはロイの言葉を遮るとスッと振り返り運動場の隅にあるトイレを視線で示した。
 そのトイレには女子トイレの入り口の前に長蛇の列が並んでいた。こういうイベントでは良くあることだが、女子トイレというのはよく混む。
 しかし、それだけなら、遊園地とかでもよく見るただの日常的な風景だが、その女子トイレの隣にある男子トイレからは、今まさに、中年の“おばさん”が満たされた顔で手をハンカチで拭きながら出てきた。
 ロイは愕然とし、ジノはそれを見てプッと噴き出した。
「あ~。確かに。それならあのおばさんも注意しなきゃいけなくなるな」
「いや、あれはその、何ていうか、少々お年を召した方だけが行える特別な行動というか……。いや、そもそも、あれは正しい事ではなくて……なんと言えばいいのか……」
 と、ロイは頑張って理論を説明しようとするが、段々とゴニョゴニョとした言葉になり、最終的には、
「…………ジノ」
 とロイは助けを求めるように、同じく服装を元の私服に戻したジノを見た。ジノは肩をすくめて、
「頑張りたまえキャンベル卿。私ではなくて兄貴分である君の仕事だと思うよ」
 と言った後、押し殺した笑みを浮かべただけだった。あと、いつもプライベートでは使わないその丁寧な口調が、ロイはなんか腹立たしかった。
「……」
 しかし、同僚が役に立たない以上、自分がやるしかなかった。
 そう観念して、ロイは言葉を選びながらアーニャに説明した。
「……じゃあ、ちょっと下品な話になるけど。アーニャが用を足している時に僕が女子トイレに入っていったら君はどう思う?」
「ロイが?」
 アーニャはそれを聞いて眉をひそめ、顔を俯かせて考え込んだ。
 そのまましばらく悩み続けた後、おそらく手に持ったクレープが原因と思われる、生クリームを付けた小さな口から出た答えが、
「分からない。だって、ロイがそんな事をする所を想像できない」だった。
「成程。一理ある」
 ロイは頷き、更に言った。

486:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 01:02:34 inRRU4Nk
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487:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 01:04:40 bq4s+t1N
「じゃあ、仮定を変えよう。もし君が用を足している時にジノが女子トイレに入っていったら君はどう思う?」
「ジノが……?」
 アーニャは、心底嫌そうな顔をして即答した。
「どう思う以前にトリスタンの角に括り付けて、シュタルケハドロンで吹っ飛ばす」
 その返答に、ロイは授業で答えを尋ねた学生から正解を聞いた教師のように満足げに頷いた。
「だろう。だから次からはやっちゃ駄目だよアーニャ。君のやった事は人に多大な不快感と嫌悪を与えかねない行為なんだ」
「……分かった。良く理解した。次から気をつける……」
「分かってくれて嬉しいよアーニャ。ほら、口にクリームが付いてる」
「ありがとう、ロイ」
「落ち着いて食べればいいから」
「うん。分かった」
 ロイが微笑みながらアーニャの口元をハンカチを取り出して拭い。アーニャも淡々ながらも頬を朱色に染めながらお礼を言う。
 そんな仲むつまじい兄妹のような二人が、穏やかで和やかな空間を生み出す中。ジノだけが輝くような笑顔にくっきりと青筋を浮かべて、

「 な ぁ 、 お 前 ら 。 実 は 俺 の 事 嫌 い だ ろ ? 」

 と左腕に右手を添える決闘申し込み寸前の姿勢を取り、更に背後から暗い空気を醸し出しながら呟いた。
 ロイはその呟きにしてはやけに大きな声で発せられたジノの言葉を聞いても、何食わぬ顔でアーニャの口を拭ったハンカチをしまい、それからゆったりとあたりを見渡した。
「とまぁ、ジノいじめはこれぐらいにしておいて……ここにはもう何も無いね」
 この辺りにもう出店は無い。あるのは校舎とその周りで生い茂る木々だけだった。どうやら、いつの間にか学園の隅の方にまで来てしまったらしい。
「もどる?」
 アーニャの言葉に、ロイは頷く。
「そうだね。一般人があまりこういう場所に来ても、学校側は迷惑だろうし」
 ジノも「いじめ、駄目、絶対……」と呟いた後、少々ふて腐れた態度で同意した。
「……面白そうなもんはここにはなさそうだしな。って、んっ?」
「どうしたのジノ?」
 ロイが聞くと、ジノは前方を指差した。
「なぁ、あれKMFじゃないか?」
「え?」
 ロイがその方向に顔を向けると……確かにあった。KMFだ。
 三人は早足でそのKMFが置いてある場所まで移動した。

488:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 01:05:34 inRRU4Nk
支援

489:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 01:06:04 bq4s+t1N
「これは……基本フレームのみだね。MR1か」
「そうだな。外装も外されてるし。コンパクトに折りたたまれてる」
 ロイとジノは身を屈めながら、そのKMFをしげしげと眺めた。
「? 何これ?」
 その時、男二人と違って少し離れた場所でKMFを観察していたアーニャが、何かを見つけて拾い上げる。
「ん? どうした」
 ロイとジノは、KMFを見るのを止めてアーニャに近寄り、それを横から覗き込んだ。
「これは……計画書みたいだね」
 ロイは更に言葉を続ける
「どうやらこのKMFを使って、この計画書に印が付けてある場所までトマトを運ぶみたいだ。へぇ~凄いな。巨大ピザを焼くんだね」
「校庭にあったでっかいかまどはそのためのやつか。しかしトマト? そんなのどこにもないぞ?」
 ジノがあたりを見渡すと、アーニャがそのジノの裾を引っ張って言った。
「ここじゃない。多分ここ」
 アーニャが計画書の中にある地図に指を当てる。そこには確かに<トマト置き場>と書かれていた。
「しかも。運ぶのはスザク」
「そうか。じゃあ、関係者じゃない僕達はここから離れた方がいいだろうね。アーニャ。その計画書を元あった場所に戻しておいて」
「分かった」
 と、ロイの言葉に従ってアーニャが再びその計画書を地面に置こうとすると、その横からひょいっと長い腕が伸びてきて、計画書をアーニャから取り上げてしまった。
 ジノだった。
「ジノ?」
 ロイが不思議そうな顔を向ける。
「まぁ、待てよ二人共。要はそのトマトをKMFで会場に届ければいいんだろ?」
 ジノはそう言うと、計画書を手で弄びながら不敵に笑った。

 シーン6『アッシュフォード 学園』Bパート 終わり。Cパートに続く。

490:KOUSEI ◆tYEsc9pKQ2
08/09/08 01:07:30 bq4s+t1N
 投下終了です。 
 深夜にもかかわらず支援ありがとうございます。
 
 それにしてもまたCパートまでいってしまった……。
 もうちょっと構成考えてコンパクトにまとめないとな……。

 そういえば先日。絵心が全く無いと自覚しながらも、自分でロイ・キャンベル(蛇の方じゃないです)を書いてみようと思い立ち、書いてみたんですよ。
 そしたら、その絵を見た友人が、
 友人「なにこれ。髪の長い野比○び太?」
……。
 ……うん、確かに。そう言われればそうとしか見えない……。
 そうですね。SSもろくに書けない私が、欲を出して絵に手を出そうとしたことがそもそもの間違いですよね……。 

 ではまた来週。

491:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 01:11:03 rHeSxXTL
>>490
KOUSEI卿、GJでした!
中盤に号泣、終盤は吹きまくり
なんとも忙しく、面白いSSでした!
ジノの扱いが不憫すぎるw
続きを全力を挙げて待たせていただきます!

492:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 01:12:18 inRRU4Nk
乙でした~
ぼくは貴方の作品を本編並みにたのしみしています。
それにしても。今回はカレンが光ってましたね~キュイが最高
でした。アーニャのボケも良かったし。
本編の超展開にも負けずにがんばってください。

493:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 01:14:14 Vj2xE9BA
乙です、非常に面白かったです。
ジノ、お前って奴は何てコメディ体質な…w
しかし何故カレンは声が同じという点は気にしてないのだろう?

494:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 01:15:02 6D3j8Oxs
GJ!
うーむ、一番ライを愛しているカレンでも流石に見分けることは出来なかったか…
しかしルルーシュといい、彼らには「ライは成長してるかも? わかりにくいようにされてるかも?」という発想はないんだろうかw
…しかしさりげにライアニャの兄妹っぷりが微笑ましいぜ。
でもアーニャ、それ恋人フラグどんどん潰してますから!

495:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 01:19:06 OCqNjTjn
KOUSEI卿 GJ!
たまたま起きててよかったっ!!
ロイ、君の場合は尻にしかれるというかなんというか…
うん、某一級フラグ建築士の如く気づいてないよね(遠い目)
カレンは切ないですね…。
ちょっとばかしホロリときそうでした。
ジノ。…うん、ガンバ。でも日頃の行動のせいもあると思うよ?w
アーニャとなんだかいい兄妹ですねwアーニャがどう思ってるかともかくww

続きも全力で期待してます!!
これからも頑張ってくださいっ!!!


496:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 01:48:04 KIZeT7T1
>>490
感想をダラダラ書くのは性に合いません
ですので簡潔に言わせて貰います
ライを想うカレンこそ本物!!
大変癒されました

以上、次回投下をお待ちしております

497:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 02:55:23 hDHXzuip
KOUSEI卿、乙であります。

今回カレンの悲哀に泣いた。
冒頭で見せたカレンとライの別離が切なすぎた分、今回はより一層深く感じました。
読み返すと、ライカレの描写はまだあまりない筈なのに二人の深く濃く、カレンの想いが伝わってきます
……それでも、「声を聞いて気づけよカレン」と思ったのは僕だけでしょうか(KY発言スミマセン)

しかし、一転して終盤でのアーニャの寄行とジノ弄りw
シリアスな空気が台無しだ~!でも、それがGJ!!
次回も楽しみにしています!

498:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 07:59:51 FEtwgXHe
KOUSEI卿最高!待ちに待ったカレンとの再会ですね。カレンの想いがとても丁寧に表現されてて泣けます。
というわけで、私も一言。
『ライカレこそ正義!』

499:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 08:12:31 3sLxYMdJ
昨日二人ほど投下する人がいたようですが、その人達は今いないのでしょうか?
もしいないのであれば9時ぐらいに投下します。

500:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 08:20:47 SyoeM/aW
9時か…大丈夫だと思う。支援は出来ないんで無事に完遂されることを祈ってます。

501:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 08:26:18 gE9MGWlY
KOUSEI卿、GJです!
言ってやりたい、カレンに目の前にいるのがライだと言ってやりたい…
でもこのままほのぼの兄妹やってるアーニャも見たい…どうすればいいんだ!?

それにしても卿のジノははっちゃけてるなあ。いいぞ、もっとやってくださいw
本編でもこれくらいやってれば空気なんて言われず…やだなあ、嘘だよジノ君。なんでトリスタンでこっちに来るのかな?

502:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 09:04:05 3sLxYMdJ
>萌は文化卿

 日本文化を正しく知らないとはいえ、ユーフェミアとライの土産センスにワロタww しかしライよ、
ノネット達の心配よりユーフェミアが一人で来たことに怒るべきなのでは……?
 お守りもらって妄想していたカレンでしたけど、ユフィを助けるために名前を使ったことを知れば、後
が怖いなぁ。

>KOUSEI卿

 切ない。あまりに切ないカレンの想いの後にラウンズのギャグ。とても上手く勉強になります!!
しかしすぐ目の前にいるのにライに気がつかないカレン。気づくのは一体いつになるのでしょうかね。
アーニャの常識のなさは本編同様面白かったです。ジノへの対応が容赦無かったのは笑えましたが、も
し例えがライだったらなんと答えていたのか……。


さてReturn Colors9話投下いきます。
最後の投下より五分以上経過し、 支援がなく続きがない場合はお猿さんに引っかかったものと判断してく
ださい。また後で続きを投下します。


作者名 RC
タイトル Return Colors
カップリング 現在のところなし

注意事項
このSSはギアス編の続きとなっています。
本編に出てこない地名や設定は捏造だらけです。
人物も本編に近づけるように書いていますが齟齬は当然あります。
主人公はライです。
一話の長さは結構あります。今回は24、25ぐらいスレを使うと思います。
規制に引っかからないよう、支援をよろしくお願いします。

503:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 09:05:18 3sLxYMdJ
Return Colors 九話 ~双璧の修復~


「ああ、そうか。物資は確保できたか。……中身は問題なかったんだな。それはよかった」
 騎士団アジトの執務室。CCからの通信を受けながらライは手元のノートパソコンを高速
でブラインドタッチしている。
「それにしてもここまで騎士団が弱体化しているなんて思わなかった。要である物資強奪
も。なんなんだ、これは」
 モニターに表示された今まで強奪したリストを見て、ライは呆れた表情になる。
 もしルルーシュがこれを見れば、激怒して、冷笑でも浮かべ、痛烈な皮肉を軽く二つ三
つは放っているような、さんざんたる有様だ。
「卜部さんの情報が悪い? 人のせいにするぐらいなら自分で動いたらどうだ。……まぁ、
いいさ。とにかく帰還してくれ」
 通話を終えて、ライは作業に集中する。
 ライが騎士団と合流して早一ヶ月。その間、彼の仕事は物資強奪ではなく、かといって
NKFで戦うことでもなく、全く別のことに追われていた。
 組織の立て直しである。
 ブラック・リベリオン後弱体化した黒の騎士団。戦力的にはもちろん騎士団内部の内政
も損傷は激しい。
 資金の流れ、物資の補給―これは主に強奪―、人材の流出。現在の黒の騎士団は、
かつての隆盛は影も形もなくなっている。ライが騎士団に入ったときよりもひどくなっている。
 それらを何とか立て直そうと連日ライは机とノートパソコンの前から離れず、頭を悩ま
せていた。
「ゼロが捕まったこともあるが……やはり最大の原因は現総督のカラレスだな」
 中でも特にひどいのが人材の流出だ。目の前に表示されたグラフを見ても、ブラック・
リベリオン後から騎士団員の数が急激な勢いで減少しており、その勢いがさらに増したの
が現在のエリア11の総督、カラレスが圧政を敷き始めた時期と重なるのだ。
 ブリタニアにいる間、ライは当然のことながらエリア11のことも情報を集めており、
カラレスのことも知っている。

504:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 09:06:11 3sLxYMdJ
 矯正エリアに派遣された彼は調査して知った人物通りの人間で、ナンバーズへの弾圧も
激しく、黒の騎士団のような反抗勢力を壊滅させることにも力を入れている。騎士団員の
数が急激に減ったのも、下の団員達が彼の恐怖政治を見て己が命を惜しんだことも要因の
一つだろう。
 騎士団側としては人材の流出―はっきり言えば脱走だ―に歯止めをかけるだけの力
はないと言っていい。と言うよりも幹部であった三人がそれに対して全く手をつけていな
いのだ。
『戦う気のないものを置いていても仕方があるまい』
 卜部に問いただしたところ、平然とそんな答えが返ってきた。カレンも同様の態度で、
CCに至っては全く興味なさげに「しょうがあるまい」と一言だけ。その時ライは微妙な表
情で頷いたが、内心では呆れていた。
 逃げ出している人間が全員末端の人間だけならば百歩譲って問題ないと考えられる。し
かし中層、または上層部に位置するものまで逃げ出している状況には大いに問題がある。
 罰則を設けるべきかとも思ったが、それも意味のないことなのでやめた。現状で罰を用
意してしまえば流出が激しくなるのに協力するようなものだからだ。
「せめて藤堂さんがいれば、幾分かましな状況だっただろうに……」
 ライと同じ騎士と将の器を持つ日本において最高峰の人材。奇跡の藤堂。彼がもし捕ま
っていなければここまでの弱体化はなかっただろう。
 はっきり言って、今の騎士団は日本各地に潜伏している他の犯行組織と何ら変わりがな
い。現在のエリア11に駐屯しているブリタニア軍と真っ向勝負すれば、あっさり壊滅す
るだろう。
『いっそのこと、お前がゼロになったらどうだ?』
 数日前、さんざんたる内政について三人の幹部を叱責していたときにCCがいつもの人を
からかう笑みでそう言っていた。自分の能力を見てではなく、ただの冗談としていったの
が丸わかりな顔だった。
 当然ライとしてそんな言葉は真に受けない、考えることもない。第一自分がゼロの仮面
を被って成りきったとしても、自分は決してゼロにはなれない。
 今までゼロ、ルルーシュが起こしてきた数々の奇跡。あれは彼と同じ能力を持つ人間、
もしくは彼以上の才覚のものがいればできる、と言うものではない。あれは彼だけにしか
できないことだ。


505:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 09:06:32 inRRU4Nk
支援

506:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 09:07:13 3sLxYMdJ
「だとしても……」
 ゼロの復活は、今騎士団が抱える様々な問題を一気に解決できる最良の手段ではあるの
だ。彼が復活すれば人材の流出は大きく減るだろうし、他組織とのコミュニケーションに
おいてもこちらが有利になるのは間違いない。
 だがそうするためにはただゼロが復活した、と言う噂を流すだけでは意味がない。万人
がその意味を知らなければならない。その為にゼロには"奇跡"を起こして貰わなければ
ならない。
 とはいえそんな奇跡を起こせるような都合のいい状況は転がっているわけはない。そも
そもルルーシュは記憶を失っており、しかも偽りの弟まで―特異な能力を持ったあの少
年―が側にいる。騎士団の内情、ルルーシュの記憶、偽りの弟―
「……月下の調子でも見てこよう」
 悩む余り頭痛を覚えたライは腰を上げ、体を慣らす。気がつけばCCの通信から数時間が
経過している。
 軽く柔軟をすると、左腕に痛みが走りライは顔をしかめる。端整な顔立ちが暗く歪む。
「……くそ」
 スザクから受けた傷は完治していない。エリア12に到着し、エリア11への密航ルー
トで向かう最中、医者に診て貰ったが思った以上に深い傷らしく、短時間での回復は望め
ないという診断だった。
 痛みと共に一瞬脳裏をよぎる嵐の中の激闘。沸々とわき上がる怒りを静め、ライは格納
庫へ向かう。
「……カレン?」
 格納庫につき、眼にする彼女の姿。他の人の姿はなく、彼女一人だ。
カレンは自身の愛機である紅蓮二式とその隣に並ぶライの蒼の月下の間で、何やら思い
悩む表情を浮かべている。
「カレン、どうしたんだ?」
「ひゃいっ!?」
 近づき呼びかけると、素っ頓狂な悲鳴を上げ、こちらを振り向く。
「な、何よ」
「いや、それは僕が聞きたいんだけど。それよりもそんな顔してどうしたんだ。何か悩み事かい?」

507:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 09:08:05 inRRU4Nk
支援


508:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 09:08:48 3sLxYMdJ
 言って一歩近づくと、カレンはきっとライを睨みつける。が、すぐに気まずげな表情となって視線をそらす。
「……別に、何でもないわよ」
 言って素早く横を通り過ぎる。振り向いたときには格納庫の扉に前にいる。
「……カレン」
 相変わらずな態度に、ライは柳眉を下げる。
 再会してからと言うものの、どうもカレンの態度が以前と違う。何故かライに対してそ
っけない。悪く言えば、冷たい。
 笑顔などは全く見せず、返答にも一言二言。話でもしようと話しかけたときにも何かと
用事があると言って立ち去ってしまう。
「……やはり、怒っているのか」
 記憶を消したこと。ブリタニアにいたこと。―自分の戦う理由に対して。
 ライは紅蓮と月下を見上げる。かつて赤と蒼に染め上げられたこの二機は一つの字があ
った。ライは内心でその名を呟く。
―騎士団の双璧
 ゼロと彼ら二人がいるところに敗北はない、と言う意味でつけられた渾名だという。事
実三人が揃った状況での明確な負けは一つとしてない。
 もしブラック・リベリオンのときも自分が欠けていなければ負けなかったのだろうか。
ふと、ライはそんなことを思う。
「君の主人は、どうしたら機嫌を直してくるのかな」
 呟き、ライは紅蓮二式のボディに触れる。
 ルルーシュとナナリーの幸せのために己が全てをかける。そう誓いを立てて、エリア1
1へやってきた。その為なら何でもするし、誰に疎まれ、憎まれようとも構わないと思っ
ていた。
 だが実際そうされることに、意外なほどダメージを受けていることにライが気がつく。
だが他の人間ならこうもショックを受けなかっただろう。
 騎士団においても、生徒会においてもカレンはルルーシュ、ナナリーに次ぐ大切な人だ。
そしてそれは今も変わっていない。だからこその痛みなのだろう。

509:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 09:10:24 3sLxYMdJ
「でも、仕方がない、か」
 日本解放のために戦う彼女に面と向かって騎士団を利用すると言い切ったのだ。あのよ
うな態度を取られるのも仕方がない。
「―それに、慣れているしな」
 他者からの悪意と敵意は狂王のときに散々味わったことだ。大切な人から向けられたこ
とはないが、その痛みにもじきに慣れるだろう。
―所詮僕はここにいるはずのない人間なのだから
 両手でライは頬を叩くと、表情を引き締め月下に歩み寄る。コクピットハッチを開き、
中に入り起動プログラムを稼働させた。


 誰もいないアジトの通路を最初カレンは早足で歩いていたが、徐々にその即後は遅くな
り、止まる。
 後ろを振り向く。人の姿は見えない。足音は聞こえない。……ライは追ってこない。
「……何やってるんだろう。私」
 憂鬱だった気分がさらに重くなる。思わずカレンは横の壁に体を押しつけてしまう。
 ルルーシュとナナリーのために戦う。彼ははっきりそう言いきった。
 それは悪いこととは思わない。自分とて母親との幸せな日々を取り戻すために日本解放
を、ブリタニアを倒すことを目指している。自分たちを利用していたルルーシュでさえ、
大切な人の思いで戦っていたのだから。
 だが、何故かカレンは彼への態度を軟化させることはできない。仲間だ、友達だと思っ
ているのに、どうしてもあのようなつんつんとした態度を取ってしまう。
―私は、何に対して納得がいっていないんだろう?
 もう何度目か解らない自問にカレンは頭を悩ませる。
 ライは頼りになる。KMFの腕前では自分と並ぶし、頭脳においてもゼロ、ルルーシュに
匹敵するものを持っている。誰にでも優しいし、周囲の和を取り持つことも上手だ。気が
つかないところで支えてくれたりもしている。
 騎士団の双璧。以前気づかぬうちに誰かからそう評されていたことに、カレンは素直に
嬉しかった。戦場において共に立てば何でもできるような気がしたし、誰にでも負けない
気持ちだった。

510:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 09:11:14 3sLxYMdJ
 彼に対してはゼロに抱いていた信頼、心酔とも似て非なる感情があった。
それがなんなのかはっきりとは解らないが、悪い思いでないことは確かだ。でなければ
好意を抱くこともなかった。
 でも今、自分は以前のように彼に対して優しくない。笑顔も見せてない。―何故?
「本当に、何やってるのよ。私は……」
 壁から体を離し、カレンは再び歩き始める。しかし後ろから見たその姿はとても頼りな
く見えた。


「リフレイン?」
 いつもの幹部を集めた会議中、唐突に卜部がそのような単語を口にした。
「確か麻薬の一種ですよね。効果は、懐かしい過去を見せるとか」
「ああ。以前何度か黒の騎士団がリフレインの工場を潰したことはあるが、リフレイン自
体がなくなったわけではない。
 小さく細々としたルートは日本のあらゆるところに張り巡らされて、それを見つけ潰す
のも黒の騎士団の所用の一つではあった」
「で、そのリフレインがどうしたんです? 卜部さん」
「……トーキョー租界のとある場所で作られているという情報を入手した。それがゲット
ーの日本人に流れ、多くの中毒者を作り上げているらしいのだ」
 にがを噛みつぶしたように卜部が言うと、血相を変えたカレンが立ち上がる。
「早速潰しに生きましょう!」
「ちょ、ちょっとカレン。待ってくれ」
 鼻息粗く言うカレンにライは驚くも、静止の言葉を投げかける。
 すると当然と言うべきか、カレンはこちらを睨みつけてくる。
「どうして止めるの? 麻薬を作ってる工場なんてさっさと潰した方がいいじゃない」
「それはそうだけど、落ち着いて考えるんだ。現在の騎士団の状況とその工場の場所を」
 言ってライは机に広げられている租界の地図を指で叩く。
「租界でも総督府に近い場所にその工場はある。となれば警備は厳重だろうし、脱出ルー
トも限られる。
 仮に襲撃が上手くいってもすぐさま政庁から軍が駆けつける」

511:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 09:11:35 inRRU4Nk
支援

512:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 09:12:35 3sLxYMdJ
「……サザーランドの十機や二十機、あなたの月下や私の紅蓮なら何とかなるでしょ。そ
れに卜部さんもいるのよ」
「それはそうだが余りにも多勢に無勢。何よりリフレインを手に入れてもこちらにはほと
んど、と言うか全くメリットがない。余りにもリスクが大きすぎる」
 騎士団としての立場からしたらリフレイン工場を潰すことは間違っていない。だがこち
らはかつてとは比べものにならないほど弱体化している上、メリットがほとんど無くデメ
リットばかり目立つ。利が全くと言っていいほど得られないこの作戦を実行する気にはな
れない。仮に実行するとしたら最低ラインとして騎士団の戦力が充実してからだ。
「それじゃあ見逃せっていうの!?」
 怒鳴り、机を叩くカレン。その鬼気迫る表情を見て、ライは驚きよりも疑問が芽生える。
「……何を、そんなに憤っているんだ? カレン」
 正義感が強く、日本人という立場に誇りを思っている彼女ならこの情報にいきり立つの
はわかるが、それにしても熱くなり過ぎだ。リフレイン工場を潰すことばかり考えていて、
その実行の難しさやメリット、デメリットの部分に目がいっていない。
 ライの問いにカレンは答えず、ただ彼を睨めつけるばかりだ。刀のように鋭く、烈火の
如く熱を秘めた双眸。しかし何故か目尻にはかすかな涙も見える。
 どうしたものかと思い、ライはCCへ視線を送るが、彼女はこちらへ全く視線を向けない。
 どうやら傍観することに決めたようだ。続いてライは卜部に視線を向ける。卜部は卜部
で腕を組み、目を閉じたまま熟考している。
 いたたまれない沈黙が周囲を満たす。ライは灼熱のようなカレンの視線から顔をそらし、
今一度考える。
―やはり、デメリットが多すぎる
 個人的に考えてもできればリフレイン工場は潰したいが、リスクを考えると作戦の実行
にどうしても頷けない。どうやってカレンを諭すべきかライの脳が稼働し始める。
 だがそこで唐突に卜部が目を見開き、言う。
「今一度確かな情報か確認し、間違いがなければ工場を潰そうと思うのだが、どうだろう」
「卜部さん!」
「卜部さん!?」
 卜部の提案にカレンは嬉しげな、ライは驚愕の声を上げる。

513:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 09:13:23 inRRU4Nk
支援

514:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 09:15:15 gMrY//wb
支援

515:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 09:21:15 eohoKk1U

【表現規制】表現の自由は誰のモノ【104】
スレリンク(news2板)

516:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 09:23:22 inRRU4Nk
規制かな?

517:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 09:41:06 t7SvAiNu
しえん

518:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 09:41:36 ZkfLdAZJ
>>516
だね
支援があるとはいえ、投下間隔が短い気がする

519:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 09:56:54 XozaZIUY
支援
駄目そうかな?

520:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:13:55 yBf0FBuj
PSPで保管庫のSS読めないのですが…

521:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:27:25 CiGw8nep
フレームページは無理じゃね?
一応支援

522:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 10:44:36 IWG9DxFj
 まさかこの状況で動くことを決意するとは。今一度情報を確認するというのはライへの
配慮だろうが、だとしても―
「リスクが大きすぎます! それに、罠という可能性もある!!」
 リフレインはブリタニアから見ても麻薬の一種で取り締まる必要がある。そのリフレイ
ン工場が総督府の近くにあるということ自体おかしいことなのだ。大勢のイレブンがリフ
レインに溺れればゲットーのみならず租界のイレブンにも流れ、大量の中毒者を作り、異
変が本国に察知される。仮にも一エリアの総督に任じられるほどの人物であるカラレスが
ブリタニアを害するような真似をするとは到底思えない。
 これはあくまでライの予想だが―もしかしたら各地に潜伏する黒の騎士団を引きずり
出すために流した偽情報だとしたら? 仮に本当だったとして何故今まで噂レベルでもい
いからこの情報が入って来なかったのだ? リフレインを作っている工場は大きい。人員
も多いだろうしゲットーのイレブンに流しているのであれば情報が漏れるにしても、さし
て時間はかからないはずだ。
 それに元々もたらされた情報自体怪しすぎる。工場側からしたら危険度の高いはずがこ
こまで明確に場所まではっきりした情報として外に漏れるなど。卜部さんの情報ルートは
入ってくる情報は多いが、デマも多いことはライもよく知っている。もう一度確認すれば
信憑性は高まるだろうが、そうだとしてもやはりリスクが高すぎる。
「だからもう一度確かめるって言ってるでしょ。何もなければ動かない。あれば動く。そ
れだけよ」
 工場へ襲撃することが決まっているようにカレンが言う。
 再びライはCCを見るが、やはり彼女は興味なさげにチーズくんを弄んでいる。どうやら
周りにライの味方はいないようだ。
「……わかった」
 苦渋の面でライは頷いた。そして今回ばかりは卜部の情報が間違っていることを願った。


 宵の空を暗雲が覆っている。暗く星や月が見えない空は、まるでライの心情をそのまま
表しているかのようだ。
 月下のコクピットの中、作戦開始時間を待ちながらライは何度目か解らないため息をつ
く。目の前のモニターに映る工場は、今回の作戦行動が行われる場所だ。リフレインが作
られている工場だが、表向きは医療の薬品を作っているところらしい。

523:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 10:47:21 IWG9DxFj
 再度の調査の結果、工場でリフレインを製造していることが確認された。それを聞き今
回の作戦が決行されることとなった。
「何事もないといいのだけれど……」
 ライが言っているのは予想外のトラブルのことだ。工場付近の警備や防衛システムなど
はギアスを使って調査、解除済みだ。何事もないのであればすんなりリフレインを消却し
工場を破壊して逃げられるだろう。
 だが不安は尽きない。何故か心に何かが重くのしかかる。これは過去に幾度か体験した
ことがある虫の知らせという奴だ。
 このような気分になると決まって予想外のこと―しかも悪いことが起こる。ライは起
こりうる可能性のあるトラブルを幾つも想定し、どうやって対処するかを先程から何度も
何度も繰り返している。
 そうしている内に作戦時間が来た。ライは月下を起動させ、隣の紅蓮、卜部の月下と共
に工場へなだれ込む。
 電灯のつかない工場内は普通の人間では一寸先も見えない。月下のカメラで電灯のスイ
ッチを確認したライは一般隊員達に明かりをつけるよう伝え周囲を警戒する。
 光が工場内を照らすと、積まれた段ボール箱へ駆け寄る団員達。徐々に聞こえるサイレ
ン音にライは月下の操縦桿を握り直す。
『……何これ!?』
 遠鳴りだったサイレン音がはっきり聞こえてきたときに、カレンの素っ頓狂な声が響く。
『どうしたんだ、カレン』
『これは…リフレインじゃないわ!』
『―その通り。まんまとはまってくれたな。黒の騎士団』
 卜部の叫びに返すように突如聞こえてくる男の声。カメラを向ければ工場に設置された
スピーカーからその声は響いている。
『死にゆく愚かな下等なイレブン共よ。冥土のみやげとして我が名を名乗っておこう。
 私はカラレス。エリア11を治める総督である』
『これはどういうこと! ここではリフレインを製造してゲットーの日本人を餌食として
いるはず! なのに何故こんなものがあるの!』

524:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 10:49:26 IWG9DxFj
 カレンの叫びを聞き、カラレスは嘲りの声を上げる。
『馬鹿か貴様は。皇帝陛下の忠実な臣下である私がブリタニアを害するものを作ることを
政庁の膝元で許すはずは無かろう。
 だがここでリフレインを作っていた、というのは半分真実ではある』
 そこまで聞いて、ライは全てを理解した。そしてすぐさまコクピット内に設置された赤
色のボタンを押す。
『認めたくないことではあるが我らが同胞にも愚か者はいるのだよ。ここは医療に使用さ
れる薬品を作る工場だが、その環境を利用して前責任者は一部をカモフラージュしリフレ
インを製造してイレブンどもへ売り、私腹を肥やしていたのだよ』
 すると妙な音が蒼の月下より響く。それを聞き一般団員達はすぐさま工場から姿を消す。
 月下に設置したエマージェンシーコールだ。作戦中、予想外のことが起きた場合に使用
されるそもので、今頃彼らはライが用意した脱出ルートを使って逃げているはずだ。
『それが発覚したのはつい最近のことだ。当然前責任者は罰したが、これは貴様達を誘き
寄せる格好の餌になると判断したのでな。わざと情報を漏らしたのだよ』
『その答えは、完全じゃないな』
『ライ!?』
 月下のモニターを見ながらライは淡々と言う。センサー類を強化した蒼の月下のモニタ
ーには工場の周囲に集結している敵機を映している。
 それを眺めながら、ライはコクピットの側面に設置された赤いボタンを何度も何度も押す。
『ここで製造したリフレインは処分せずゲットーに住む一部の日本人にわざと横流しをし、
その噂を広めるよう言っておいたんだろう? 騎士団に確実に情報が届くように。
実際、多くのリフレイン中毒者がいれば、噂にも信憑性が立つからな』
 今回の作戦が実行された一つの要因として、騎士団の団員がリフレイン中毒者の集まり
を目撃し、彼らから話を聞いたという事実がある。その後ライは団員から中毒者達がどこ
にいるかを聞いたが、訪れたその場所に中毒者達が現れることはなかった。
 その後も噂が絶えなかったことを考えると、おそらくは故意に情報を流出していること
が騎士団側に知られないようにするため、中毒者達には場所を変えるよう指示でも出した
のだろう。

525:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:51:08 rHeSxXTL
支援

526:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 10:51:19 IWG9DxFj
『ほう、そこまで理解するとは。下等なイレブンにも、少しは頭が回る奴がいるようだな』
 変わらぬ嘲りの声が聞こえるスピーカーにライは月下の飛燕爪牙で返答する。
「カレン、卜部さん。ルートZ1を使って逃げます」
「…う、うん」
「わかった。だが外はすっかり囲まれているな」
 先程より増えた敵の数。僅かに焦燥をにじませる卜部の声。しかしライは平然として言う。
「何この程度なら僕たち三人でも何とかなりますよ。―解っていると思いますけれど考
えるべき事は無事に逃げ切ることです。最悪機体が損傷しても破棄して逃げるんです」
ラクシャーター、もしくはロイド当たりが聞いたら怒りそうな言葉だな、とライは内心で呟く。
入り口に向けて月下をゆっくりと移動させる。カメラやモニターに映る無数の光を見て、
改めて敵機の数を確認する。
 こちらのKMFの数を軽く十倍は超えている数だ。だがライはひるまない。大勢ではあ
るが絶望的な数ではないし、今ここにはスザク達ラウンズもいない。この程度で怯んでな
どいられない。
「ゼロが帰ってきて日本を解放するまで、僕らは死ぬわけにはいかないんですから」
 力強く言って、ライは光の群れに向けて月下を疾走させた。


「カレン、右上に三! 卜部さん、後方から追ってくる二機へ牽制をお願いします!」
 深夜に包まれたトーキョー租界を三機のナイトメアが縦横無尽に動き回っている。
 先頭を走るのはカレンの紅蓮二式。真ん中がライの乗る蒼の月下、最後尾が卜部の月下だ。
 狭い街中で、次々とわいて出てくるサザーランドやグラスゴー。もし真っ向勝負ならば
瞬時に撃破できる相手。しかし当初の予定通り、三人は逃げて逃げて逃げまくっていた。
 カラレスは今晩、本気で黒の騎士団を壊滅させるつもりだったのか用意したナイトメア
の数が半端ではない。さしものライ達も逃げるだけでも一苦労である。
 蟻のように群がるブリタニア軍に紅蓮二式や卜部の月下は大忙しだ。だが三人の指揮を
執るライは特に苦労している。目まぐるしく解る周囲の状況を把握し、予測し、最短かつ
安全なルートを取捨選択し続けている。それだけでも大変だというのに二人の手が回らな
かったときにはフォローもしている。

527:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:51:43 ERkEkR6y
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528:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 10:52:55 IWG9DxFj
 正直なところ、このような状況にもかかわらずライが少しの動揺も見せず、能力を遺憾
なく発揮できているのは数ヶ月だけとはいえブリタニア軍人としてシュナイゼル式の元で
戦ってきたことが大きい。
 元々指揮官に必須な能力を持っていたライだが、ブリタニア軍での自主学習と戦場の経
験が積み重なり、ライ・ランペルージ卿の時でも並ならぬ能力を発揮。さらに王であった
頃の記憶とライ・ランペルージの記憶を取り戻した今、それは常軌を逸したレベルのもの
へとなっていた。
 目の前のサザーランド二機を紅蓮の飛燕爪牙とライのハンドガンがそれぞれ右足、頭部
を吹き飛ばす。よろめく二機の間を鮮やかな動きですり抜ける紅蓮と月下二機。
「よし、もう少しで租界から出られるぞ」
『ええ!』
『今回はだいぶ損傷したからな。アジトに戻り、早いところ機体の整備を行わなければ』
 卜部の言葉にライは目を見開き、低い声で言う。
「……いえ、アジトには戻りません」
『え? 何でよ』
心底不思議そうなカレンは言う。どうやら卜部もカレンも気づいていないようだ。
「アラカワゲットーに小さいですがアジトがあります。そこへ向かいます」
『アラカワって……どうしてそんな遠くのアジトに行くのよ』
 租界外縁部とその前に立ちふさがるブリタニア軍のKMFをカメラは捕らえる。
「二人とも、おかしいとは思いませんでしたか。僕たちはあの工場へ襲撃をかけました。
しかしカラレスはこちらが来ることが解っていたかのようにスピーカーで話しかけ、多く
のナイトメアも用意されていた」
『え?』
『……!』
 惚けたようカレンの声と、息を呑む卜部の様子が聞こえる。
 とりあえず最後の障害を排除するべく、ライは月下を疾走させる。突然加速したライの
月下に紅蓮や卜部の月下は追いついてこられない。

529:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:53:49 rHeSxXTL
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530:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:54:01 ERkEkR6y
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531:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:54:33 sE6gr5A0
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532:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 10:54:37 IWG9DxFj
 サザーランドとグラスゴーの混成部隊。数は五機。放たれる銃弾を蒼の月下は鮮やかに
舞ってかわす。
 懐に入り込むと同時、廻転刃刀がサザーランドの胴体を斜めに切り裂く。続いて側にい
たグラスゴーへ飛燕爪牙を放ち、頭部を吹き飛ばす。
 瞬きした次の瞬間、斜めに両断されたサザーランドが爆発する。ライは月下をさらに前
進、加速させる。
 残る敵機は慌てた様子で銃を構えるが、その動きは余りにも鈍重だ。流星の如き速さを
見せるライの月下は一番近くの敵には廻転刃刀をたたき込み、後方に残っている二機には
ハンドガンの銃弾を撃ち込む。
 三機が砕ける様を見ず月下を振り向かせ、頭部を無くしたグラスゴーの元へ跳躍。コク
ピットブロックに逆手に構えた廻転刃刀を突き刺す。
 僅か数十秒で排除は終わり、同時に追いつく紅蓮と月下。
『…ねぇ、ライ』
 震える声でカレンが話しかけてくるが、ライは答えず月下を走らせる。外縁部を爆破し、
三機のナイトメアはゲットーへ降り立つ。
 しばらく廃墟だらけのゲットーを走り、隠れる場所を見つけ身を隠す。
『それじゃあ、アジトは、残っているみんなは……』
「カラレスと話している間にアラカワゲットーのアジトに向かうよう暗号電波を送っておいた。
ブリタニア軍から襲撃されるより前に暗号電波が届いていれば、逃げているだろう」
 ライの言葉に、重苦しい沈黙が周囲を満たす。
『……私、ちょっとアジトに行ってくる』
「カレン!?」
『すぐアラカワゲットーに向かうから、二人は先に向かってて』
『……な。待て、紅月!』
慌てた様子の卜部が声をかけるも、紅蓮は高機駆動走輪を回転させアジトの方へ走り去
っていく。
『くそっ。ライ、後を追うぞ』
「はい!」
 小さくなった紅蓮の後を慌てて二機の月下が後を追う。フルスピードを出しているのだ
ろう、ライの月下は紅蓮の姿を見失わないようにするので精一杯だ。

533:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:55:03 rHeSxXTL
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534:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:55:48 sE6gr5A0
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535:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 10:56:19 IWG9DxFj
十数分ほど疾走し、アジト前にたどり着く。立ちつくす紅蓮の横に並び、そして眼前の
光景を見て、ライは唇を噛みしめる。
「…!」
 視界に映る崩れたアジトに使用していた廃墟は炎に抱かれ、黒煙を吹いている。ひび割
れ、砕けているコンクリートの地面にはサザーランドのライフルの弾倉が転がり、ランド
スピナーによって刻まれた爪痕がいくつも見える。
 そして周囲に散らばっているかつて人だったものやその一部、闇に隠れて見えないがお
そらくおびただしい血痕も残っているだろう。破壊された無頼の残骸も見える。
「く……!」
―こうなるべき事を、予期しておくべきだった……!
 この惨劇はライの責任だ。こちらの襲撃が読まれていると想定した時点で、黒の騎士団
内部に相手の内通者がおり、自分たちが不在の間にこうなる可能性も考慮しておくべきだった。
 一体どれだけの人員を失ったのか。無事に逃げたものはいるのだろうか。罪の意識に震
える体を必死に押さえ、冷静さを失わないよう必死に感情を抑え込む。
『……うああああああっ!』
 獣のような咆哮を放ったカレンに、ライははっとなる。ランドスピナーを唸らせ、真紅
の機体が跳躍する。
「カレン!? どこへ……!」
叫びじみた問いをライが放つがカレンは答えない。赤のナイトメアが遠ざかっていく。
慌ててそれを追うライと卜部の月下。
『ライ! スピーカーのセンサーを最大値まで上げてみろ! 銃撃の音が聞こえる!』
 紅蓮を追う最中、卜部に言われたとおりセンサーを上げる。すると進行方向より銃撃や
爆発音が聞こえてくる。
「…!」
 銃撃の正体はすぐに判明した。アジト近くのゲットーでサザーランドやグラスゴーが周
囲を蹂躙している。
「団員はこちらに逃げたのか!?」
 思わず声に出してしまうライ。答えは返ってこない。

536:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:57:31 sE6gr5A0
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537:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 10:57:37 IWG9DxFj
『紅月! 待て!』
 卜部の静止も空しく、甲壱型腕を振り上げた紅蓮がブリタニア軍へ突っ込んでいく。
 それとライと卜部の月下に気がついたサザーランドらは一斉に機体をこちらに向ける。
「くっ! カレン!」
 すかさずフォローに入るライ。牽制の銃弾を放ち何機かの注意を自分へ向けさせる。
「落ち着けカレン! 今の状況で戦ってもこっちの負けは確定的だ!」
 工場より全力で逃走したときにエナジーの半分を使いきっている。ライの月下がそうな
のだから他二機も同様と見ていいだろう。
 眼前に映るだけのサザーランドならどうにかなる。しかしモニターには次々敵機の光点
が現れ出す。その数は三十、いや四十以上だ。
 廃墟や瓦礫を壁にして目まぐるしく攻撃、回避、牽制を繰り返す青の月下。しかし徐々
に周囲にはサザーランドの数が増えてくる。ライの表情が焦りを帯び、冷や汗が頬を伝う。
「南東の方角は敵の数が少ない! 一転突破して逃げるぞ!」
『そんなことできるわけないじゃない!』
 十手ナイフ─呂号乙型特斬刀をサザーランドから引き抜く紅蓮。悲痛なカレンの叫び
が機体から響く。
『ここのゲットーの人達も、アジトの皆だって……。私が、私の軽率な行動で殺したよう
なものなのよ!
 それなのに尻尾を巻いて逃げるなんて、できるわけないじゃない!』
 十近いミサイルを跳躍してかわす紅蓮と青の月下。すぐさまその方向へ爆走する紅蓮。
 主の激情のまま戦場を舞う紅蓮。豹のごとく力強さとしなやかさが兼ね備わった動きだ
が、今日は感情が理性を抑え込んでいるのか無鉄砲、無防備な姿が多くみられる。
 並のパイロットならば数回は撃破されているだろうが、パイロットとしての彼女の腕と
本能がそれらを回避、防いでいる。
 だがいつまでも持つというわけでもない。ライも必死に援護、フォローに回っているが、
このままでは卜部も含めて全滅は必至だ。
「責任は君だけにあるわけじゃない! 僕にだってあるし、卜部さんだってそうだ!」
『だけど! 私が、リフレインにこだわったから! いくらお母さんのことがあったからって─!』

538:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:57:56 rHeSxXTL
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539:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 10:58:56 IWG9DxFj
 輻射波動でまた一機撃破する紅蓮。すぐさま反転した別のサザーランドに向かっていこ
うとしたその時、
「っ! カレン!!」
 月下のカメラが今撃破された敵機の近くの廃墟の影に、大型キャノンを構えたサザーラ
ンドの姿をとらえる。
 咄嗟にキャノンの射線上にライは月下を走らせる。砲弾が発射されたのと同時、青の月
下はその先へライフルを撃つ。
「ぐあああっ!」
 敵機の撃破が確認されたと同時、砲撃を受けた衝撃に体が揺さぶられる。あまりの激し
い揺れに体は揺さぶられ、体や頭が幾度もコクピット内部に激突する。
『ライ─!』
 途切れ途切れの意識の中、カレンが叫ぶ声が脳裏に響く。今にも落ちそうな意識を歯を
食いしばり、引き留める。
『ライ、ライ!!』
「……だ、大丈夫。それよりも早く、ここから……」
 かすかな放電がコクピット内で踊っている。気力を振り絞り、ライは機体の損傷具合を
確認する。
『だ、だけど……』
『撤退するぞ! 紅月』
 モニターに映っていた二つの敵機を撃破した卜部の月下がそばに寄ってくる。
『卜部さん…』
『しっかりしろ! ここで死ぬ気か! 今は逃げることだけを考えろ!!』
『っ! ……わかりました。ライ、月下は動ける?』
「……いや、駆動系をやられたようだ。まともに動けそうにない。すまないがコクピット
ブロックを持ってくれ」
 近距離で大型ランチャーの砲撃をまともに受けたせいか、月下は想像以上に激しく損傷
していた。

540:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 10:58:57 sE6gr5A0
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541:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:00:13 IWG9DxFj
 左碗部が完全に破壊され、左脚部も動作不良を起こして動かない。また全体の稼働系に
も影響しているのか、無事な右碗部や脚部もレスポンスがさっきとは比べものにならない
ぐらい低下している。
─こんな形で、月下を失うなんて……!
 悔しさに歯噛みし、ライは月下本体の自爆スイッチを入れて、コクピットブロックを分
離させる。
『よし、撤退するぞ!』
 卜部の声と同時に大きく揺れるライの体。小さな振動が体を揺らす中、耳に聞こえてく
る爆発音。
「ごめんな。月下……」
 失ってしまった相棒へ、ライは謝罪の言葉を放つ。その時、ふと額から何かが流れてく
る感触がする。
 ふと手をやり、見ると、額へ触れた指先は真っ赤に染まっている。
「さっきの攻撃で……」
 力なくつぶやき、ライの意識は闇に落ちた。


 気がつき、ライの視界に入ったのは二つだ。
 ひとつは薄汚れた天井、もう一つはその天井に備え付けられた小さな電球。
 体は重く、気だるいが動けないというほどではない。ゆっくりと視線を周りに向ける。
 いくつかのベットに薬瓶らしき瓶がいくつも並べてある棚。入口だろう扉のそばには診
察室にあるような机といすが並んでいる。
 そこまで確認して、ライはここがどこなのかを思い出す。
「アラカワのアジトか……」
 つぶやき、同時に無事に逃げてこられたと言う事実にほっとするライ。
 あちこちに包帯が巻かれ、絆創膏が張られた体を起こそうとしたとき、ゆっくり入口の
扉が開かれる。
「カレン……」
「……ライ! 目が覚めたのね」
 柔和に微笑むカレン。久しぶりに見るその表情にライは一瞬目を奪われる。

542:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:00:25 rHeSxXTL
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543:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:01:22 IWG9DxFj
「ダメよ、まだ動いちゃ」
 体を起しかけていたライを、カレンが優しく抑える。
「ここはどこなんだ?」
「アラカワゲットーのアジトよ。まったく、びっくりしたわ。ここへ到着してコクピット
ブロックを開け得たらあなた気絶してるんだもの。
 あれから丸一日眠り続けていたのよ」
「状況は、騎士団の皆は……」
 カレンの表情から笑みが消える。わずかに顔が俯く。しかし視線はまっすぐライをとら
えている。
「……あなたの知らせのすぐ後に襲撃を受けたらしいわ。さすがに全員、とまではいかな
いけれど、無事な人たちもいるわ」
「……そう、か…」
 安堵の息を吐き、ライはゆっくりベットに体を横たえる。
「……ごめんなさい」
「カレン?」
「あなたは自分や卜部さんにも責任があるって言ったけれど、今回のことは、やっぱり私
に責任があるわ。
 死なせてしまった人たちのことも、あなたの負傷も」
「カレン、それは─」
「あの情報を聞いて、私が熱くならなければ、あなたの言うことを聞いていれば、このよ
うなことにはならなかったもの。
 馬鹿よね、私。こういうことは私よりもあなたやルルーシュの方がずっと優れているっ
てわかってたのに」
 自嘲の笑みをカレンは浮かべる。目じりには涙が浮かび、少しでも刺激すれば泣き出し
そうな表情だ。
 その光景を想像し、胸が痛む。ライはそっと、優しく言葉をかける。
「…カレン。どうしてあそこまでリフレインの工場を破壊することにこだわったんだ?」
 長い、長い沈黙の後、カレンは口を開く。
「……私のお母さんも、リフレインを使用していたの」
「カレンの、お母さんが?」

544:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:01:35 rHeSxXTL
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545:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:01:35 sE6gr5A0
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546:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:02:52 IWG9DxFj
 普段のカレンとはまるで違う、か細く弱弱しい声で彼女は語りだす。
 それはライの知らぬ話だった。そしてライは、彼女が日本解放を目指し、日本人として
黒の騎士団で戦う理由を理解した。
 自分がルルーシュやナナリーが幸せに暮らせる世界を作るため戦うように、彼女は母親
と再び親子として暮らせる場所を作るために戦っていることを─
「なるほど。それを聞けば君の激昂ぶりも納得がいく……」
「……でも、私が頭に血を上らせたせいで、あんなことに……」
 そこまでいってカレンはうつむき表情を隠す。全身が細かく震え、膝に固められた両の
拳に水滴が落ちる。
 ライは何も言わず、視線を逸らす。今度は何も言葉を発しない。
「…ねぇ、ライ」
 室内に響いていたかすかな嗚咽の音が収まったとき、涙交じりの声でカレンが訪ねてくる。
「なんだ?」
「どうして私をかばったの?」
 あまりにも唐突な質問に、ライは目を丸くする。
「……どうしてって、なぜそんなことを聞くんだ?」
「だって、あなたは私たちと違って日本解放のためにここにいるわけじゃない。ルルーシ
ュ達のためにここにいる。そのあなたが……」
 不安げで不思議そうにこちらを見るカレンにライは愕然として、次にカチンとくる。
 疲労や痛みのせいか、内なる思いを躊躇することなく口に出す。
「好きだからだよ」
「……え?」
「僕は君のことが好きだ。大切な人だ。戦友であり友達だからだよ。
 確かにルルーシュとナナリーの二人は大切だよ。だけど大切な人が彼らだけだなんて、
僕は一度も思ったことはないし、言った覚えもない」
 何故か固まるカレンにライは感情に突き動かされるまま、彼女への思いを、内情を激流
のような勢いで吐露していく。
 ルルーシュとナナリーのために騎士団を利用する、という思いもある。だがそれとそれ
だけの思いで自分は戦っているわけではない。エリア11へ戻ってきたわけではない。

547:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:03:42 rHeSxXTL
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548:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:04:19 sE6gr5A0
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549:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:04:46 IWG9DxFj
「ミレイさんたち生徒会メンバーはもちろん、今ここにはいない扇さんや玉城さん、藤堂
達も、僕にとっては大切な友達で、仲間だよ」
 記憶を探し、ギアスに恐れ、戸惑う中、彼らの存在がどれだけライを癒してくれたのか。
 ルルーシュやナナリーに比べるほどでないにしろ、彼らもライにとっては大切な人たちだ。
「カレン、僕がアッシュフォード学園や黒の騎士団にあれほど早く馴染めたのは君のおか
げなんだよ。
 学園では記憶を通り戻すためいろいろな場所を案内してくれたし生徒会の仕事も手伝っ
てくれた。いろいろなことも教えてくれた。
 騎士団ではナイトメアの模擬戦や任務でも君は近くにいてくれた。ブリタニア軍と戦う
時も君がそばにいると誰にも負けない、何でもできるような気がした」
 今では一番大切な二人ルルーシュとナナリー。しかし最初からあの二人と仲が良かった
わけではない。
 記憶をなくし、人や物事に無関心な自分へ最初に親身に接してくれたのはミレイとカレ
ンだ。この二人があってはじめてライは生徒会の中に入り込めた、あの二人と親しくなれ
たといっても過言ではない。
 そして黒の騎士団ではただ一人の顔見知りだった彼女。学校とはまるで違う姿や性格だ
ったが、入ったばかりの自分を気遣う態度だけは全く変わりがなかった。
 そして戦場で紅蓮を駆るその勇壮かつ鮮烈に輝くその姿は、生と死が入り乱れる場所に
あって誰よりも頼りに思え、美しく思った。
「君は僕にとって大切な友人だ。かけがえのない人だ。嘘じゃない、誓ってもいい」
そう言いきってカレンを見つめると、ライの表情は訝しげなものへと変わる。
「……カレン?」
「え? あ、な、何?」
「どうしたんだ、顔を赤くして……」
 どういうことなのか、カレンは熟しきったリンゴの如く顔を真っ赤にしている。
 先ほどとは一変したその様子にライは先ほどの感情の乱れも忘れ、心配げに言葉をかける。
「もしかして風邪でも引いていたのか? すまない、気がつかなくて」

550:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:05:11 rHeSxXTL
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551:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:06:03 IWG9DxFj
「ち、違うわ。なんでも、ないの」
 頬の赤みがさらに増し、慌てて離れるカレン。
「そうか? 無理してないだろうな? ここに来たのも僕の見舞だけじゃなくて薬を取りに─」
「へ、平気よ! 風邪なんて引いてないから! 本当に、平気、だから。……あ、そうだ。
お腹空いてるわよね。ちょっと待ってて、すぐご飯を持ってくるから」
 ひどく狼狽しているカレン。慌てた様子で立ち上がり、部屋から出て行ってしまう。
「……何なんだ? 風邪も引いていないのに赤くなるなんて。カレンの奴、本当に大丈夫
なんだろうか…」
 カレンのおかしな態度に首を傾げるライ。と、再び扉が開く。
「目が覚めたか」
「CC。無事だったか」
「当然だろう。私はあの程度で死にはしない」
 不敵な笑みを浮かべた彼女は腕と足を組んだ尊大な姿勢で椅子に腰を下ろす。
「怪我の具合は悪くないようだな」
「ああ。あと一日程度休めば問題はないとは思う」
「確かにな。だがこの左腕はそうではないようだな」
 包帯が巻かれた個所へ、そっと触れるCC。ひんやりと冷たい彼女の手が心地いい。
「……知っていたのか」
「お前が倒れてここに運び込まれたときに聞いたのさ。これはどうした。戦闘中のものではないな」
「スザクと刃を交えたことは話しただろう。その時のものだ」
 言うと、CCはそれ以上何もいわない。手を離し、席を立つ。
「……CC。ブリタニア軍の襲撃でどれぐらいの団員が死んだ?」
「六割…いや、七割ほどかな」
 まるで明日の天気を言うかの如く、あっさりとした口調でCCは言う。
「……多いな」
「仕方があるまい。お前が教えてくれた直後、アジトのレーダーにサザーランドが引っ掛
かったのだ。
 私や他のものを逃がすために無頼や生身で戦ってくれた戦闘班は壊滅状態だ」

552:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:06:57 sE6gr5A0
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553:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:07:32 IWG9DxFj
「そうか……」
「ちなみに今日のニュースでは昨日の騒ぎはいつもの通り、テロリスト撲滅のため軍が出
動したということになっていた。
 近くのゲットーを襲ったのも、テロリストが逃げたからだという」
「そうなのか?」
「馬鹿を言え。ブリタニア軍が襲ったゲットーはこことは正反対の位置にある。どうせカ
ラレスが我々への見せしめのために、近くのゲットーを襲うよう指示を出したのだろう」
 CCの確信じみた予想は、決してはずれではないだろう。カラレスという男は、そんなこ
とは平然とやってしまう男だとライも知っているからだ。
「焦るな」
 己の不甲斐なさ、ルルーシュ、ナナリーの奪還、黒の騎士団の編成─。そのほか様々
なことに対し自己嫌悪と焦燥感を感じていた時に、唐突に飛び込んでくるCCの言葉。
 ライを見るCCは普段の冷淡な表情に見える。しかしそこにわずかだが気遣いのようなも
のも感じられる。
 以前とは明らかに違う彼女の変化にライは驚きつつも、ぶっきらぼうに答える。
「……わかっている」 
「だと、いいがな」
 出ていくCCを見送って、再びライは天井へ視線を向ける。
 今回の作戦の失敗で、一体どれだけの被害が出たのだろうか。自分の月下も失い唯でさ
え少なかった騎士団人も七割も失ってしまうとは。
 黒の騎士団をつぶせなかったことによりカラレスは今以上に日本人や黒の騎士団らの抵
抗組織の弾圧を激しくするだろう。今の騎士団に、それを耐えることはできるのか─
 先のことを考え懊悩していると、突然勢いよく入口の扉が開かれる。
 驚き身を起こすと、目にしたのはお盆を持った態勢で右足を上げているカレンだ。
「何、してるんだ」
 ライは思わず唖然とした声を出す。
「何って、ほら。食事を持ってきたのよ」
 開いた扉を再び足で閉じ、そばにやってくるカレン。そしてライを見て怪訝そうな顔になる。
「……どうしたの。暗い顔して」

554:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:07:50 rHeSxXTL
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555:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:09:25 IWG9DxFj
「え、いや。別に」
 ライは内心を悟られまいとカレンからお盆を受け取る。盆の上に乗っている器にはお湯
に浸された白米と野菜が入り混じっている。
「これは?」
「お粥よ。日本で病人に食べさせるといったら、これよ」
「カレンが作ったのか?」
「そうよ。味は問題ないとは思うけど……まぁ、食べてみて」
 言ってカレンは盆の上に乗っているスプーンのようなものを渡してくる。
 ライは受け取り、器の中身を救って口へ運ぶ。
 程よく柔らかい米と野菜が口の中でうまい具合に混じり合う。薄く味付けもされており、
なるほど、これは─
「うん。おいしい。体が温まる」
「……よかったぁ」
 子供のような無邪気な笑みを見せるカレンに、ライは思わず微笑する。
 彼女に感謝するようにライは一口一口味わって粥を口に放り込む。気がつけば器の中身
は空となっていた。
「ありがとう。美味かったよ」
「どういたしまして。─ところで、さっきは何を悩んでいたのかしら」
 盆を受け取ると、カレンは唐突に聞いてくる。
 まっすぐな彼女の視線にライは思わず口に出しかけるが、何とかそれを抑える。
「……いや、大したことじゃないよ」
 心配させまいと笑みを浮かべて言ったのだがなぜかカレンは眉を吊り上げる。
「ライ、さっきあなた言ったわよね。私は……友達。仲間だって」
 途中、何故か躊躇して、頬を染めてカレンは言葉を紡ぐ。
「あ、ああ」
「その悩みごとに、私は力になれない?」
「それ、は」
 力になれなくはない。黒の騎士団の問題は彼女にも関わることだ。
 だが現状その問題はどうしようもない。だから話すことは─
「ぁ」

556:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/08 11:09:50 rHeSxXTL
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557:RC ◆0A6HOlRhmA
08/09/08 11:10:59 IWG9DxFj
 小さくかすれた声をライは出す。それは目の前にあるカレンの真剣な、しかしどこか不
安げな表情を見て、気がついたのだ。─彼女のつれなかった態度の原因は、自分にあっ
たことを。
 騎士団と合流し、そのさんざんたる内情を見た自分はいつの間にか彼女を─さらに言
うなら卜部やCCも─頼らなくなっていた。戦場においての戦力としては信頼を置いては
いたが、それ以外では大したことはできない、と勝手に決め付けていた。それの証拠に騎
士団の内政は全てライが一人受け持っていた。協力も求めなかったし、相談さえもしなかった。
─何をやっていたんだ。僕は
 そのような態度を自分が取ればカレンの態度にも納得がいった。そしてそんな態度をと
っていた自分を、強く恥じる。それはどう見ても友人に対する態度ではない。
―ルルーシュとナナリーが幸せに暮らせる世界を創る。その為ならばカレンさえも利用
するのだから、そのような気遣いはいらないと思うが
 内に潜む冷静な自分が語りかけてくるが、ライは納得しない。今の態度を変えない限り、
カレンとの仲は修復されない。騎士団の双璧たる二人がその本領を発揮できないとなると
戦力に大きく影響してくるし、ライが望む未来が訪れないことにもなりかねない。
―いや、そんなことは関係ない
 カレンはルルーシュの全てを、そして過去のライを知って、なおかつ信じようとしてい
る。そんな彼女を駒として利用するなど、彼女のみならず友や自分への侮辱に他ならない。
「いや、そんなことはないよ」
 そう言うと輝くような笑みをカレンは見せる。それを見て、ライは心が安まるのを感じる。
 正直なところ、ライの最優先事項はランペルージ兄妹のことだ。騎士団の掲げる日本解
放がなされずとも、自分の望みが叶うのならばそれでもいいと思っていた。
 だが、自分を助けてくれた友人であり、自分の全てを知る戦友であり、自分を信じよう
としている彼女―紅月カレンの想い、願いを知った以上、それ無視することはできない。
 今のライは友人への友情に報いるためにいるのだから。
―やるべき事が一つ増えたな
 穏やかな表情のカレンと話しながら、ライは"ランペルージ兄妹の幸せな世界"の横に
"日本解放"という新たな項目を追加した。


つづく



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