08/08/21 19:38:19 kGXh9JXg
角界に前代未聞の事件が起きた。幕内力士が大麻取締法違反の疑いで逮捕された。大相撲の長い歴史で、現役の関取が逮捕されるのは初めてという。
昨年の力士暴行死事件や、今年に入ってからの2つの部屋での暴力行為など、不祥事が相次いでいる。異常事態だ。このままでは相撲ファンから愛想を尽かされてしまう。
角界自体がまさに土俵際に追い込まれている。そのことを、日本相撲協会は強く自覚するべきだ。
逮捕されたのはロシア出身で、間垣部屋に所属する若ノ鵬寿則容疑者だ。道路に落とした財布から、大麻の成分を含んだたばこが見つかった。本人も容疑を認めているという。
力士は十両以上になって関取と呼ばれ、初めて一人前とみなされている。給料が支給され、部屋では個室が与えられる。身の回りの世話も若い力士がしてくれる。
待遇は幕下以下と比べて格段に厚い。その分、品格も求められる。
本来なら、「力士養成員」とも言われる幕下以下の時代に、厳しいけいこやしつけを通じて社会常識を身につけていくものだ。
未成年の弟子を預かる師匠や部屋付きの親方にも、常識を備えた社会人として弟子を育てる責任がある。こうした仕組みが今、
機能していないのではないか。
部屋の中で、親方や兄弟子による理不尽な暴力が横行すれば、若い弟子にも秩序を守ろうとする意識は薄らぐだろう。
間垣部屋だけではなく、角界そのものの体質が問われている。
若ノ鵬は2005年春場所に初土俵を踏んだ。トントン拍子に番付を上げ、2007年の九州場所で、昭和以降では6番目の若さの19歳3カ月で新入幕を果たした。
出世が早かった分、周囲は日ごろの生活指導にも十分目を配らねばならなかったはずだ。技術面ばかりに気をとられ、社会人としての教育がおろそかにいなかったか。
日本の文化や礼儀、規律などにうといならば、丁寧に、きちんと社会の決まりを教えなければならないのは当然だろう。
今回の事件を若ノ鵬個人の犯罪として片づけることなく、力士の教育のあり方を根本から見直すことが急務だ。
力士暴行死事件を受け、協会は再発防止策を文部科学省に報告したばかりだった。角界はたかが緩みきってしまったのではないか。
北の湖理事長をはじめ、角界に関係する全員が、本気で体質改善に取り組んでもらいたい。不祥事がさらに続くようでは、国技の名が泣く。