08/08/21 19:05:45 kGXh9JXg
街で「すいませーん！」と後ろから声がする。振り返るか、振り返らないか。その時の心理状態で、同じ人でも反応は場合によって異なるはずだが、振り返る人の方が多い。
もし、それが悪意の呼びかけであるなら、振り返った人は危険に晒されるかもしれない。曖昧な呼びかけを自分のことだと思い込むのだから、
ちょっとお人好し、あるいは何か気になることがあるのだろうと悪者は見抜く。
「振り込め詐欺」は、こういう心理を利用して卑怯にも他人の心に入り込んでくる。相手が反応した一瞬をつかんで、相手が漠然と不安に思っていることへと話を誘導して信用させてしまう。
何せ、自分で漠然と思っていることだから騙される方はまるで望むかのように、深み深みへと導かれていく。
自分は絶対大丈夫だと思っている人こそ、用心した方が良い。誰であれ、新年のおみくじ、星占い、血液型、姓名判断などなど、ちまたに溢れる占いの類から完全に自由ではないからだ。
占いが少しでも「当たっている」と思ったことのある人は、すでに危ない。
曖昧な言葉を自分では気づかぬうちに自分で解釈し、当たっていると自分で信じ込む。これが占いの秘密だからだ。原理は、振込み詐欺と変わらない。
しかし、これは社会のあらゆる場面にあてはまる。私たちはいわば社会全体から、いつも呼びかけられ、情けなくも振り返り続けている。
社会とは、そういう呼びかけの大掛かりな装置に他ならない。社会全体が振り込め詐欺にならぬためには、一人一人がよほど心して思考せねばならない。