08/05/29 23:18:46 vKYQh7KY
~矢内之栗~
動乱の明代末期、兵士の携帯食として珍重されたのは米飯ではなく栗であったことは意外と知られていない。
銃器がない時代、合戦時の花形といえば弓矢部隊であった。栗は高価なため庶民には贅沢品だったが、弓矢部隊は優先的に栗を携帯することが許された。
ところが合戦が長期化し矢が尽きてしまうと弓矢部隊には死を意味することになる。せっかく配給された栗も無駄になることがあった。
そのため、「ケチケチしないで矢があるうちに栗を食せ」すなわち「矢内之栗」という戒めが広まったのは至極当然の流れといえよう。
これは将棋にもあてはまる。つまり相手の駒をいくら集めても自玉が詰まされれば何にもならない、獲った駒はできるだけ早く有効に使えという意味である。
近年、この「矢内之栗」の本当の意味を知らず掲示板において「矢内のクリ」などと乱用する輩が跋扈しているのは嘆かわしい限りである。
賢明なる読者諸氏はくれぐれも「矢内之栗」を誤用乱用しないよう厳重に注意しておく。
~日本曙蓬莱武術協会理事長 盛田慎之介 談~