室田伊緒たん応援スレ PART7 ☆彡at BGAME
室田伊緒たん応援スレ PART7 ☆彡 - 暇つぶし2ch184:名無し名人
08/02/22 23:08:54 SI73zpva
若者が鍵をひろった。異国的な彫刻がほどこされた銀色の美しい鍵。
若者の想像が膨らみ始める・・・これに合う鍵穴の向こうにはすばらしい人生が広がっているかもしれない。

だがいくら歩き回ってもひらく扉は無かった。
錠前屋や博物館でたずねてみても、何に使う鍵だか分からない。
美しい鍵に魅入られた若者はとぼしい金をはたいて旅に出た。
ときには外国まで足を伸ばす事もあった。それでも合う鍵穴の扉は発見できなかった。
希望と絶望にさいなまれながら若者はしだいに年をとっていく。
肉体と精神の疲れは、やがて静かなあきらめの気持ちを生んだ。
人生のよき伴侶だったと思うようにもなった。

思い立って彼は錠前屋にたずねる。
「この鍵に合う錠を作ってもらえないだろうか、自分の部屋のドアに取り付けたいのだ」
錠ができあがった。彼はひとり室にこもって鍵を回す。
長い人生に望み続けてきたかすかな響き・・・その夜、彼は安らかな眠りについた。

夜がふけたころ、彼は扉のひらく音に目を覚ました。暗闇にやさしい声が聞こえる。
「あたしは幸運の女神。あの鍵は、あたしがわざと落としておいたの。やっとドアを作っていただけたのね。」
なぜ、もっと早くこなかったのか、と言う彼にこたえて、幸運を与える儀式は秘密におこなわなければなりません、という。
「さあ、望みをかなえてさしあげるわ」

やがて闇に横たわる老人の声。
「なにもいらない。今の私に必要なのは思い出だけだ。それは持っている」



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