07/11/07 16:12:59 HUpv9FjP
「私一人でもクリアできるもん!」
そう言ってエトリアの街を飛び出す赤マン子。
リーダーの注意も聞かずに一人でクエストを受け、6層に行ってしまった。
ギルドメンバーもすぐに後を追ったが、6層のどこに行ったのか分からない。
「私、戦うことしかできないから、こんなことでしかお金集められないから…」
そうつぶやきながら、クエストの内容を確認しつつ6層を歩き回るマン子。
「どこ探せばいいんだろうなあ、もっと奥かな?」
ザザザッ!バサッ!
「え…!?」
一瞬の隙をつかれ、後ろからメデューサツリーとヘルパピヨンに先制を食らってしまう。
「こ、このくらい!…ぐぅ・・・っ」
手足を封じられ、肝心のスキルが使えないマン子。
ヘルパピヨンの呪いの粉も受けてしまい、迂闊に攻撃できない。
すぐに薬で回復しようとするが、敵の攻撃は続く。
・・・カサカサ・・・「チュチュゥ・・・」
「!?…いた!ラッチ!・・・くっ、こんな時に…!」
戦闘中、通路の脇に小さなマウスが顔を覗かせた。
その後何とかヘルパピヨンを倒すが、メデューサツリーのうごめく枝葉が身体中を締め付ける。
「がはっ!…な、なんとか・・・しないと…」
メデューサの枝を切り落としながら必死に逃げようとするマン子。
尻尾にかわいいリボンをつけた小さなマウスは遠くからこちらを見つめ続けている。
「もう少し、もう少しだから、…そこで待っててね」
…
辺りが静かになり、通路に一人の戦士が横たわっていた。
「はあはあ…、わ、私だって、一人で…できるもん…」
「ふふ、これで、クエスト…クリア・・・帰らな、きゃ」
戦闘を終えたマン子は、血だらけになりながら袋から糸を取り出し…
――
ギルドのメンバーが通路に倒れている赤マン子を見つけたのはそれからすぐだった。
そのマン子の手には、チーズをかじる可愛らしいマウスと、
マン子の血で赤く濡れたアリアドネの糸が握られていた。