07/11/01 22:54:06 YkT0PTde
「……わからん趣味だね」
青髪の青年は、手にしたシリカ商店の新製品―たしか“カンコーヒー”だったか―を一口啜って1人ごちた。
甘ったるさが心地良い。今度迷宮に潜るときはたっぷり持っていきたいものだ。
ドロップアイテムの持てる数が減るからメンバーはいい顔しないだろうが。
「わからん趣味、って……うちのリーダーの事?」
「カスメちゃん、可愛いじゃない」
その独り言に、返事が返ってきた。
青年の座っている右横、青年より一回りほど年下の、栗色の髪の白衣の少女。
青年の座っている左横、露出の高い祭祀衣装を纏った褐色の肌を持つ女性。
青年は左右を軽く一瞥すると、小さく肩を竦めた。
その3人の視界の先、離れたベンチに一組のカップル―と言っていいものかどうか―がいる。
黒いローブの小さな少女が1人と、少しさえない印象の男が1人。
男の方は彼らの……世界樹の迷宮に挑む冒険者ギルドのリーダーで、残りの人物達は皆、その仲間達だ。
それが何故、こんな風に二組に分かれているのかと言えば、それはつまり。
「いや、デバガメしといて人の趣味にけちを付けるのはどうかと思うけどよ」
青髪の青年はそう言ってからしばし考え込み、区切るように言葉を紡ぐ。
「カスメの奴は確かに可愛いさ。庇護欲もそそる。なんだかんだ言って家事もこなす。確かに嫁スペックは高い。
……けど、年が年だろ?」