07/12/08 12:29:35
「!?」
そう理解した瞬間、いきなり背景がぐにゃりと捻じ曲がり、色がぐちゃぐちゃに反転しだした。
いろんな色が混ざり合い、もはや元が何だったか見当もつかない色の塊に辺りは覆われ、
その中に幾つも幾つも……まるで展示物の如く、不気味に顔が浮かんでくる。
顔だ。顔だらけだ。顔、顔、顔。
その中には、あのチビガキの顔やフライゴンの顔もあった。
先ほど会った、あの見知らぬ三匹のモンスターの顔も。
そして……この『オレの顔』までも。
「この顔は、お前が……いや、『オレ』が『今まで』に出会ってきた人間やポケモン達の顔全部だ。
見覚えのない顔もあるだろう? だが、オレの夢の中であるこの場所に何故オレの見覚えのない顔があるんだ?
おかしいと思わないかい? え? どう思うんだ? え? おい。分からないのか……?」
そう喋ったのはその『オレの顔』だった。
少なくとも顔はオレと同じだ。……そして、相変わらず言っている意味は理解し難い。
「な、何なんだよ……」
わけが分からない事態に思わず、ため息ついでにオレはそう漏らす。
無数の顔が発する意味の分からない言葉を聞いていると、頭が割れてしまいそうに痛む。
その言葉は、耳に響いているというよりは、頭の中に直接響いているかのようなのだ。
このままここにいたら、狂ってしまいそうだ……どこか逃げ道はないものか。
必死に辺りを見回すと、無数の顔と顔の間、ぐちゃぐちゃの色の混ざり合いを割って一筋の亀裂が空いている場所を見つけた。
あそこが出口なのか。オレは、その亀裂目掛けて一気に走り出し―