07/11/16 13:51:50 iUjFEkiL
「はぁ……」
朝飯を箸でつつきながら、ため息をつく。
SRXチームに配属されて三日。
アヤ大尉の提案で、俺はRシリーズについての勉強会を彼女の部屋でするようになった。
大尉が作成したであろうプリントを、小さなテーブルの上に広げ、向かい合って行う、一対一の勉強会。
俺は「蛇の生殺し」という言葉をそこで実感させられた。
正面のソファに座るアヤ大尉の、ミニスカートから伸びる太もも。
眩いばかりの白い肌。
少し屈んだだけで見えそうになる、胸の谷間。
Rシリーズについての説明をする唇の動きもとても魅惑的だった。
俺が来る前にシャワーを浴びてるのか、いつも緑の黒髪はしっとりと濡れている。
目の前にこれだけ魅力的な女性がいたんじゃ、いくら俺でも勉強会に集中出来ねえっつーの……。
結局暇を見つけては、アヤ大尉からもらったプリントに目を通し、その内容を頭に詰め込む羽目になる。
今夜もやるんだよなぁ、勉強会……。
「はぁ……」
彼女と二人きりになれるのは嬉しいが、また生殺しにされるのかと思うと、どうにもため息が出てしまうのだった。
「おはよう」
そこへ、アヤ大尉が朝食の乗ったトレイを手に、やって来た。
「隣、いいかしら?」
俺はその問いに、無言で隣の椅子を引いてやった。
「ありがとう」
アヤ大尉はニッコリと笑って、椅子に座り、テーブルにトレイを置く。
その動きの一つ一つに、俺は知らず見入っていた。
「勉強会はどう?私の説明、ちょっとわかりにくいところとか、ない?」
彼女は子猫のような愛くるしい瞳を向けて、尋ねてくる。
「もしわからないところがあったら、遠慮しないで聞いてね?大事な事だし」
「ああ……今は大丈夫だ」
俺は慌てて視線をそらし、味噌汁をかきこむ。
が、うっかり湯気を喉に吸い込んじまって、むせ返った。
「んもう、慌てて食べるからよ」
アヤ大尉はクスクス笑って、背中をポンポン叩いてくれた。
「大丈夫?口の中、火傷してない?」
「ああ……大丈夫、大丈夫だ」
手の甲で口元を拭いながら、答える。
答えながら、うなじや鎖骨のライン、剥き出しの肩に目が行ってしまう。
肌が外気や日光に晒される事も多い筈なのに、何故こうも美しい白さを保てるのか……女っ気のない生活を送ってた俺には、刺激が強すぎるぜ……。
19:それも名無しだ
07/11/16 13:55:50 iUjFEkiL
>>18
「どうかしたの?」
さすがに俺の視線に気付いたのか、アヤ大尉がキョトンとした顔で尋ねる。
「何だか顔が赤いわ……熱でもあるんじゃない?」
そう言って俺の額に、青い手袋に包まれた手をあてがう。
その後、それでは熱があるかわからない事に気付くと、信じられない行動に出た。
「ちょっと、ごめんなさい」
そう言って俺の頭を両手で挟むと、コツンと自分の額を俺の額にくっつけたのだ。
額だけとは言え、大尉の素肌が触れている……。
息がかかりそうな超至近距離に、スラリとした鼻筋が、花弁を思わせる唇が、エメラルドのような瞳がある。
ほんの少し目線を下げると、深い胸の谷間が見えた。
その谷間も、透き通るような白さを誇っている。
顔どころか、全身の体温が上昇していくのがわかった。
思わず、彼女の細い体を抱き締めてやりたい衝動に駆られる。
「……やっぱり、熱があるみたいね」
その言葉に、俺は我に返った。
「ヴィレッタ隊長には私から言っておくから、今日は部屋で休むといいわ」
「あ、いや……」
熱があるのは、病気だからではないんだが……。
「ダメよ、無理をしちゃ。怪我や病気は早めに治す。これも大事な仕事の一つなんだから」
俺が体調を崩してると、すっかり思い込んでいるアヤ大尉は、口調をわずかに強めた。
「ご飯食べたら、ちゃんと部屋で休む事。これはチームリーダーとしての命令よ」
眉根をキュッと寄せて、大尉は付け加える。
……何かもう面倒だ。病気っつー事にしとこう。
「イエッサ」
短い返事をすると、アヤ大尉は安心したようだ。
「後で、医務室からお薬もらって来てあげるわね?」
そう言って、とても優しい、柔らかな笑顔を見せてくれた。
その笑顔はとてもあどけなくて、まるで少女のようだった。
20:君の夫は、もういない
07/11/17 21:57:38 /vGuXx5E
アルテミス司令室。
司令室に到着したゼア=ウィドは椅子に座りほくそえむガルシアに銃口を向けていた。
ゼア=ウィド「…………」
ガルシア「意外と速かったな、クレーズ特務兵?」
ゼア=ウィド「その名前で俺を呼ぶな。俺はゼア=ウィド…エテルナ・フューラだ」
ガルシア「ふふふ、その様子では記憶はまだ完全には戻っていないようだな?」
ゼア=ウィド「うるせえぞ。てめえは、自分の置かれてる状況が分かってんだろうな?」
ガルシア「ふはははは、その言葉、そっくり君に返すとするよ、ゼア=ウィド」
ガルシアは懐から拳銃を取り出し、ゼア=ウィドに向けた。
ガルシア「私はこう見えても反射神経だけは良くてね。君が引き金を引く頃には君はこの世にはいないさ」
ゼア=ウィド「…………」
ゼア=ウィドは銃口を下ろそうとはしない。
この状況、如何なる動きを起こしてもすぐに狙い撃ちだ。
どうすればいい、ゼア=ウィドは焦っていた。
シャナ=ミア「ゼア!」
ゼア=ウィド「!?」
突然、シャナ=ミアとオルガが司令室に乱入し、ゼア=ウィドが一瞬揺らいだ。
ガルシアはそのコンマ一秒の隙も見逃さなかった。
ガルシア「ではまずその王女から撃たせてもらおう!」
シャナ=ミア「っ!」
ゼア=ウィド「…!」
オルガ「ちっ…!」
ゼア=ウィドは、動けなかった。フューリーの騎士といえど、飛び出た弾丸をどうにかできるほど万能ではない。
それに、ゼア=ウィドが動けなかった理由はもう一つ、『知らない』のである。この女性を。
もちろんメリオルやカナードから彼女が自分の妻である事は聞かされている。
しかし、ゼア=ウィド自身はそれを認識しているわけではない。つまり、ゼア=ウィドは彼女を『知らない』。
『見知らぬ女性のために動く』今のゼア=ウィドにはこれが出来なかった。
銃声が響く。
シャナ=ミア「…………?」
シャナ=ミアは生きていた。銃声は聞こえたはずなのに。その理由はすぐに分かった。
一人の男が、シャナ=ミアに覆いかぶさり、銃弾から彼女を守ったのだ。
ゼア=ウィド「…………!?」
シャナ=ミア「あ…ああ……いや…………」
シャナ=ミアは震える唇でその男の名を叫んだ。
シャナ=ミア「オルガさん!!」
21:君の夫は、もういない
07/11/17 21:59:48 /vGuXx5E
今日はここまでです。
>>18-19
なんだか新鮮味がありますね。
いっつもいちゃついてっからなぁ……w
以上、いっそゼア=ウィドをアルテミス編で終わらそうと思ってるゼア=ウィドでした。
多分次回が最終回です。
22:それも名無しだ
07/11/20 14:08:41 6hbHd2qT
>>21
マジで!?
も、もちろんその後、また違うキャラの話があるんだよね!?そうだと言ってよバーニィ!