スパロボキャラと何かスレ6at GAMEROBO
スパロボキャラと何かスレ6 - 暇つぶし2ch350:それも名無しだ
07/07/13 15:28:46 LIQpUvmq
>>349
ここまでの銃撃戦で、お互い相当数の弾丸をぶちまけて来たからな……こっちもマガジンは今取り付けた物でラストだし、ライが既に弾丸切れを起こしてる可能性も、なくはない。
もしもそうなら、勝負に出るべきか。
スラッシュリッパーは弧を描いて飛ぶ分、マシンガンに比べて標的に当たるのが遅い。
ビルの陰から飛び出して、マシンガンを撃ち、飛び出した勢いそのままにスラッシュリッパーをかわすって手もあるが……。

問題は、俺がそう考えてるのをライが見越していた場合だ。
わざと弾丸切れを起こしたように見せかけて、俺を誘っているのだとすれば、ここで勝負に出るのは自分から虎の穴に飛び込むようなもんだ。
さて、どうしたもんか。
ライのゲシュペンストから追撃が来ないのは、誘ってるからか、はたまたスラッシュリッパーがもったいなくて追撃出来ないからか……。

改めて状況を整理しよう。
俺のゲシュペンストはスプリットミサイル装備だが、もう使い切っちまった。飛び道具はマシンガンのみ。

対してライはスラッシュリッパーと、弾丸切れを起こしてないとすれば、マシンガンもある。

…………。

―スラッシュリッパー?



351:それも名無しだ
07/07/13 15:30:59 LIQpUvmq
>>350
―うし、一か八か、やってみるか!
俺は意を決して、武器を構えてビルから飛び出す。

ライの赤いゲシュペンストが、マシンガンの銃口をこちらに向けていた。
やっぱり弾丸切れはフェイクか!

互いのマシンガンが、ほぼ同時に火を噴いた。
コクピットの左側から振動が来る。
左肩に被弾したようだ。
バランスを崩し、動きが止まる。
こっちが撃った弾丸は、足下の道路を吹っ飛ばして、足止めさせただけだった。
『もらった!』
ライのゲシュペンストが、トドメを刺すべくマシンガンを構え直す。

―阿呆が。「もらった!」はこちらの台詞だぜ。

次の瞬間、上空から降ってきた一基のスラッシュリッパーが、ライのゲシュペンストの肩口を深々と切り裂いた。
さっき空っぽのマガジンを破壊して、そのまま落っこちたやつだ。
あれを回収し、飛び出すと同時に投げた。
マシンガンで足下を撃ったのは、ライの注意をそいつから逸らすためだ。

ライのゲシュペンストが、ガクリと膝を付いた。

モニターに、「状況終了」の文字が表示される。
シミュレーターを停止させて、俺はフゥーッと大きく息をついた。



352:それも名無しだ
07/07/13 15:34:55 LIQpUvmq
>>351
シミュレーターから出ると、ライが待っていた。

「してやられたな」

言ってる割りには、あんまし悔しそうじゃないな。
「良い勉強をさせてもらったからな」
素っ気なく答えて、かすかに微笑む。

ま、こっちもリュウセイ相手よりは、やりごたえのある試合だったよ。
「アイツは突っ込むしか能がないからな」
まるで猪だよな。R-1じゃなくてビルトシュバインに乗った方が良いんじゃねえか?

 猪 だ け に 。

「―上手いな」
「上手くねえ!黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがって!」

なんだ、いたのかリュウセイ。

「最初からいたじゃねえか!どんだけ俺を馬鹿にしてんだ、お前等!」
「失礼な事を言うな。馬鹿になどしてはいない」
「え……そうなのか?」

ああ、もちろんだ。

「俺たちはお前を正当に評価しているだけだからな」
「やっぱ馬鹿にしてんじゃねえか!もう頭来た!ライ、シミュレーターに入れ!まずはてめえからギャフンと言わせてやる!」
「フ、良いだろう」
二人は早速シミュレーターに入る。


「もう、あまりからかっちゃダメよ?」
俺の隣に寄り添うように立ちながら、アヤがたしなめた。

おいおい、これでも評価はしてるんだぜ?ここぞという時の爆発力はな。
俺は答えながら肩をすくめる。

あ~あ、しかし頭使ったせいか、肩がこるなぁ~……知恵熱も出るかも。
わざとらしく肩を回したり、こめかみを押さえながら、アヤの方をチラチラ見る。
アヤは俺の考えを察したのか、クスクス笑った。
「じゃあ、後でマッサージしてあげる。熱が出たら、添い寝もしてあげるわね。甘えん坊さん」
本当か?約束だぜ?
俺は言いながら、アヤの腰にゆっくりと手を回したのだった。


353:それも名無しだ
07/07/13 18:33:12 r91YmCTD
>>348
>民間人視点
うん、そうなんだよねー。
どんどん大きくなって頭上すぐの所までやって来て変形して、会場がジェットの奔流にさらされる所まで頭にはあったんだけど。
でもそれやると少尉とリュウセイ、また始末書だろうなってw
あんまりダイレクトパスすると疲れるかな、と思ってこっちにしてみたのですぜ。(日本語変

>介錯
ぐは。くくくくるしぃーw

>>349-352
GJ。
そういえばゲリラ戦の状況モードって我々少ないね。
イングリィ…じゃなかった新参者さんがラミアで書いたぐらいじゃね?
掩体を利用した射撃戦。新鮮に感じたよー。
緊張感あったしね。

後、ライとかリュウセイとかアヤ大尉とかの生き生きした会話がよろしい、と言わせて頂く!

354:それも名無しだ
07/07/14 14:35:07 EduUvlON
>>353
> でもそれやると少尉とリュウセイ、また始末書だろうなってw

なるほど、ブラザーなりの心配りってやつか。
しかしヴィレッタの姐さんは、始末書よりも、翌日のスペシャル特訓メニューの方が怖かったりするんだぜw


> そういえばゲリラ戦の状況モードって我々少ないね。

そもそも全長20メートルのPTじゃ、身を隠せる状況がマジで限定されるからなぁ……。
ゲームじゃ地形効果狙いで、平気で市街地のド真ん中に陣取ったりするけど。

355:それも名無しだ
07/07/15 10:43:06 rw6Qz4/q
>>354
>ヴィレッタ大尉
容赦ないだろうなーw
>身を隠せる状況が限定
そういえばそうか。
大き過ぎるってのはシチュエーション削るもんなんだねぇ。
ビルに隠れるダイターン3。ガンバスター。
ちとありえない。

ちょい時期を外したけど、スタート↓

356:それも名無しだ
07/07/15 10:43:46 rw6Qz4/q

空も地上も、陰鬱な灰色。それ一色。
そして、キャノピーを弾丸のように叩き続けるこの大粒の雨。
ラトゥーニとフェアリオンに搭乗するのは、これで何度目だろうか。

結構慣れてはきている。
だが、今回はいつもとは決定的に違っていた。
それは、他でもないこの俺がフェアリオンを操縦している、という事実だ。

時刻は夕方。6時過ぎ。
天候は、嵐、だった。

俺達は静かに。しかし、かなりの速度で雨風をものともせず上昇していく。
フェアリオンはとんでもなく機動性が高い。
そろそろとスロットルを開けてさえ、驚くような速さになる。
だが、加速圧は全くと言って良い程感じられなかった。
多少の旋回動作を合わせてさえ、普通に地上にいてその辺の椅子に座っているのと大差ないのだ。
コーヒーを入れたカップを無造作にその辺に置いておいたとしても、一滴も溢す事は無いのではないか。
そんな気がした。
多分、慣性、重力制御が普通のPTとは次元が違っている。
これに慣れてしまったら、ゲシュペンストには乗れないな、と頭の中でひとりごちた。

と、膝の上に乗せたラトゥーニが身じろぎをする。
成長途上の少女の体は信じられない程華奢で、薄い肉付きに俺の太い骨が食い込みそうで。
痛くはないのか、と心配になってしまう。

「大丈夫かい?」
「うん。何が…?」
「いや、大丈夫ならいいんだけど」

至近距離で不思議そうに覗き込んでくる蒼い瞳にどぎまぎしてしまう。
さっき調べたばかりのインジケータをもう一度チェックして気を散らした。

「もう、高度は10km地点に差し掛かる…ね。そろそろ雲を抜けそうだ」

俺がそう言うと、ラトは折り紙が沢山付いた笹の葉に視線を落とし、そっと微笑んだ。

 * * *


357:それも名無しだ
07/07/15 10:45:15 rw6Qz4/q

―1時間程前。

「七夕?」
「うん。雨…降っちゃったね…」

ラトは残念そうに笹の葉を見やった。
俺が昨日近所で切ってきて、花瓶に生けておいたものだ。
既に飾りつけはほぼ終わっており、後は短冊に願い事を書いて吊り下げるだけの状態。

「織姫と彦星って…一年に一回しか会えないんでしょ…?」

ラトがまるで幼児が両親に問うような質問を、いきなり俺にぶつけてくる。
いつもの事だ。
スクール、という単語が頭をよぎる。

「話によると、そうらしいね」
「今日は雨だから…また、来年?」
「うーん…」

確か、子供の頃に聞かされた話では…。

「いや、確か雲の上では会えてる、と思ったよ。地上で雨が降っていても、必ず」
「一杯、雨が降っても?」
「ああ。例え、今日みたいな嵐の日でも」
「そうなんだ…」

安心したような表情。
おとぎ話の中で引き裂かれ、一年に一度しか会えない恋人達に、ラトは何を感じたのだろうか。

俺は、ラトの頭にそっと手を伸ばし、ふわふわリボンごと頭を撫でながら、
「不安だった?」
と、優しく問う。

「会えなかったら、可哀想だし…」
「そうか…。う~ん。せっかくだし、織姫と彦星、見に行こうか?」
「…え?」
「雲の上まで、さ」

一拍置いて、ラトの表情がぱっと明るくなる。

もちろん答えは、YESだった。

 * * *


358:それも名無しだ
07/07/15 10:46:04 rw6Qz4/q

いきなり視界が開けた。
照りつける太陽。
白く輝く、まばゆいばかりの眼下の雲海。
ざばあ、と音を立てて深海から空中に躍り出たような感覚。

「まだ、昼間…!?」
「みたいだね。ちょっと早すぎたかな?」

推力を落とし、雲の中に入る。
また、ざん、と雲から飛び出し、フェアリオンをくるくるとフィギュアの選手のように回転させた。
モニターに映る映像、センサー各種は機体の回転を知らせるが、コクピットにはGの影響は何も無い。

「へへ。イルカみたいだろ?」

雲が、空が、世界が回る。
俺達を中心にして。

少しだけスロットルを開けた。
フェアリオンは急速に雲海を後にし、急上昇して宇宙に近づいていく。
高度10km…12km…15km…。
ここは既に成層圏だ。空の色が変わり始める。
南国の海のような、混じり気無しのサファイヤブルーから藍色へ。そして、虚無の黒へ。
真上に目をやれば、そこはもう空ではない。
漆黒の宇宙だ。
視線を下げていけば、眼下の雲海の水平線に近づくにつれて宇宙は深く鮮やかな青い空へと色調と様相を変えていく。
黒い宇宙と透明な美しい青い空。遙か眼下に雄大に広がる白い地平。大雪原のような雲の海。
雲の水平線近くの空は、太く青いレーザーのように自ら光を放っているように見える。

「綺麗…」

ラトが呟く。
同感だった。
ここまで澄んだ空は見た事はないし、黒い宇宙がグラデーションして青く光る空に変化していく様は圧倒的だ。
見渡す限りどこまでも続く雲海も、質量をもっているかのように存在感があり、その上今までに見た何よりも白い。
そう、感じる。

「…ラト」
「うん…?」
「イルカってさ。野生のものでも、海面から高くジャンプするらしいんだよ。なんでなのか、分かる気がしないか?」
「…」
「多分、今の俺達みたいな気持ちなんじゃないかな」
「うん…。きっと、そう…かも…」


359:それも名無しだ
07/07/15 10:46:49 rw6Qz4/q

ラトがそっと振り返る。
右手をコンソール、左手をスロットルに置いたまま、俺は動けない。
ラトが片手をコンソールに滑らせ、一瞬でフェアリオンを自動運転―待機モードにセットする。

「キスして…いい…?」

ラトが小声で訊いてくる。

「キキキ、キスって…むぐ」

華奢な躯が俺に覆い被さり、14歳の少女の腕が俺の首に回される。
紫色のウェーブがかった細い髪が俺の首筋をくすぐる。
熱く、柔らかい少女の舌が俺の唇を割って入ってくる。
ラトゥーニの、舌。
俺の舌を捉え、たどたどしくねぶる。

理性の糸が切れそうだ。
震える手をラトの背中に回し、最初は弱く。
だが、我慢できなくなって強く抱きしめてしまう。
その間もラトの舌はゆるゆると動き続けて。

「…ぷは」

キスを止めたら、もっとラトが欲しくなった。
ラトの首筋に顔をうずめ、唇を当てて強く吸う。
ミルクの匂いと、柑橘系の香水とシャンプーの匂いが、ないまぜになって俺の頭の中をぐるぐると掻き回す。

ラトがぴくり、とのけぞった。

「ぁ…」

ラトのちいさな手が俺の手を誘う。
ウエストの部分から、熱くほのかに汗に蒸れた少女のドレスの中へ。
手のひらに感じるラトの素肌。
驚いて抜こうとするが、ラトはそれを許さない。
両手で押さえ込んで抜けないようにし、潤んだ瞳でかぶりを振る。

「触って…」

ブラは、していなかった。
必要が無いのかも知れないが、だがそこには確実に女としての隆起があって。

手が溶けて沈み込んでしまうのではないか、と思える程柔らかくて。
ラトの体の中心を触っている、と感じる程に熱くて。

何よりも、ラトと一つになった感覚があった。
そのまま、もう一度キスをする。

脳髄が痺れる程に幸せだった。
手をラトの中心に置いて、見つめあう。これ以上の幸せがあるだろうか。

 * * *


360:それも名無しだ
07/07/15 10:47:29 rw6Qz4/q

夕暮れに差し掛かる。
雲海に沈む夕陽は、地上で見るよりも薄いオレンジ色で、横にぼんやりと伸びて霞んでいる。
残照に雲海が山脈のように、砂漠のように照り映える。

そして、宇宙がどんどんと降りてくる。

星が、出た。
最初はうすぼんやりと一つ、二つと数えられる程度だったのが、気付くと視界一杯に広がっていた。

星はどんどん増えていく。
地上にいる時の夕闇とは比べ物にならない。
満天の星空。撒かれた銀の煌く砂達。
その真下を、俺とラトはフェアリオンでゆるやかに漂っていた。

「お兄ちゃん…」

夢見るような表情でラトが言う。

「私、どうしてお兄ちゃんの事が大好きなのか、少し分かったかも知れない…」
「ん?好きって…。どうして?」
「今までに、PTをこんな風に使う人、いなかったもの…」

そうか、と思う。
スクールでは。
PTを只の戦闘機械としてしか使う人は居らず、全てが任務でしかなく。
ラトも、己の存在価値をどこに捉えてよいか判らず。
ずっと縛り付けられていたのだろうか。
凍てつき、傷ついたラトの心には、俺の力の抜け具合がぴったり嵌るのかも知れない。

「もちろん、それ以外も。寝ている時のお兄ちゃんも。食事してる時のお兄ちゃんも。歯を磨いている時のお兄ちゃんも。」

にこっと、みずみずしい朝顔がそっと花を咲かせるように笑って。

「全部、愛しています…。大好き…!」

そしてラトは、もう一度、今度は小鳥が餌をついばむように俺にキスをしたのだった。

* * *

短冊に願い事を書く。
地球上で、こんなに空に近い所で願う奴は、多分今年は俺達だけだろう。

「ラト、なんて書いたの?」

お約束のように、ささっとラトが慌てて後ろ手に短冊を隠す。

「しょうがないな、俺が先に吊り下げるか」

願い事を書いた短冊を笹の葉に結びつける。

「あ…」

ラトが嬉しそうに、はにかむように笑う。
いそいそと後ろから出してきたその短冊には、俺と同じ願い事が書かれてあった。


fin

361:それも名無しだ
07/07/15 14:52:45 0Jj+5r9S
>>356-360
GJ。
蒸し暑くなるこの時期にアツアツラブラブな話書きやがってw
しかも狭いコクピット内でお触りですかw
最後の、短冊に書いた願いが同じだったって締めもナイス。
様式美ですな。



362:それも名無しだ
07/07/16 06:20:40 Oda5w7Mw
>>361
サンクスハ汁。(つまらん

>アツアツラブラブ
羨ましそうだな!おい!w(失礼
アヤ大尉でやんなさいw

>お触り
今回、R指定を越えてるって話ですぜ?(小声
ヤバイね。

>様式美
いや、様式美取ったらこの世の中の著作物、99%絶滅するからw
まあ様式美マニアの私にかかればこんなもんですわ。(意味不明

つーわけでラトと同居人ですた。
朝はテンションたけーぜ。

363:それも名無しだ
07/07/16 21:36:04 KkBglsaW
>>362
> 羨ましそうだな!おい!w(失礼
> アヤ大尉でやんなさいw

ふっ、ならばそうさせて頂こうか!
もっとも、書かないだけで、俺たちはいつもアツアツラブラブだがな!
べ、別に悔しい訳じゃないんだからね!


> いや、様式美取ったらこの世の中の著作物、99%絶滅するからw

伝統芸能にいたっては完全に全滅ですなw
様式美万歳w

364:それも名無しだ
07/07/16 21:37:48 KkBglsaW
最初に言っておく!

スレスト食らったらごめんなさい。いやマジで。
大丈夫だとは思うが……では投下↓

365:それも名無しだ
07/07/16 21:39:03 KkBglsaW
ベッドに横たわる俺の耳に、アヤのクスクスと笑う声が響く。
俺以外の人間は絶対に聞く事はないだろう、淫靡な声。

「愛してる……」

俺の上に覆い被さり、下着姿のアヤは、俺の顔を濡れた瞳で覗き込み、ささやく。
そして、口づけ。
貪るように激しく、唇を吸われる。
舌が、何かを求めるようにせわしなく口の中に侵入し、動き回った。
俺も舌を動かして、それに応じる。
ピチャピチャと舌を絡ませていると、その舌を伝って、唾液が流れ込んできた。

俺はそれを、ゴクリと飲み下す。
いつもアヤにそうさせているように。

再び唇と舌のやり取り。
その間、アヤのたおやかな両手がシャツの下に入り込み、怪しい生き物の触手のように俺の肌をまさぐる。

「ぷはぁっ……」
息苦しさを覚え始める頃、唾液の糸を引きながら、アヤがようやく唇を離してくれた。

「ふふ……可愛い……」
シャツの下から抜いた両手で、俺の髪を撫で、頬と言わず額と言わず、顔中にキスの雨を降らせる。
舌先でチロチロと、耳たぶをくすぐる。
思わず首をすくめると、両手で頭を掴まれた。

「ダメ。じっとしてなさい?今夜のあなたは、私だけの可愛いお人形さんなんだから……」
狩る者の眼で俺を見つめるアヤ。

―そう、今夜は俺が攻められる側だった。
もっとも、最後までそうなのかは、俺にもアヤにもわからんが。



366:それも名無しだ
07/07/16 21:41:31 KkBglsaW
>>365
そうこうしてる内に、アヤは俺のシャツを脱がし始める。
露わになった上半身に豊かな胸の膨らみを押し付け、こすりつけた後、アヤは俺のうなじに吸い付き始めた。
「誰かに横取りされないように、ちゃんとマーキングしておかないとね……あなたは、私だけのものだって……」
そう言って、痕が付きそうなくらい強く吸う。
唇はゆっくりと下方へ移動し、胸板の辺りを吸い始めた。
キスだけじゃなく、唾液を塗りたくるように丹念に、舌で舐め回す。
その度に、体中をゾワゾワした感覚がほとばしる。
要するに、アヤの攻めに感じてる訳だ。
「どう?あなたはいつもこうやって、私をいじめているのよ?」

脇腹を両手でさすりながら、アヤは意地の悪い声でささやく。
「上官をこうやっていたぶるなんて、許される事じゃないわ……だから今夜は、私がタップリと罰を与えてあげますからね?」
軽く唇を重ね合った後、アヤは俺をうつ伏せにして、背中にも唇と舌を這い回らせる。
1ミリの隙間も残さない勢いで、しかし優しく、丹念に愛撫する。

いつも俺がしてやってるように。

「―どう?」
愛撫を中断して、アヤが尋ねる。
ちゃっかり胸を背中に押し付けながら。

どうって?

「そろそろ、欲しくなって来たんじゃない?」
耳元でささやくアヤの両手は、むしろそっちが欲しくなってんじゃないかってくらい情熱的な動きで、ズボンの上から股間をまさぐっている。

―ああ、欲しいよ。アヤが凄く欲しい。

俺も体の奥から湧き上がる熱に突き動かされるように、答える。

「ふふ、素直で良い子ね……」
アヤは起き上がり、再び俺を仰向けにする。
「それじゃあ、いつものように……まずはお口で……ご奉仕をしてあげるわね……」
アヤはかすかに息を荒げながら、俺のズボンに白魚のような指をかけたのだった。


367:それも名無しだ
07/07/17 06:54:26 uaHuoCVZ
>>363
おお、いけいけ!
>いつもアツアツラブラブ
いや、わかってるってw
>伝統芸能にいたっては完全に全滅ですなw
相撲編。
マワシは禁止。全裸で。
>>364-366
コラアアアアw
何書いてんの!(ブライトさん風に

GJw

まーアレだ。
たまに、だからね。
流れ的に多少はみ出す時もあるさ。

368:それも名無しだ
07/07/18 13:31:26 tDbEYblT
>>367
サンクス(・ω・)/
そうだよね。ごくたまになら、ほとばしる熱いパトスに身を任せても良いよね。

>相撲編
甘いなブラザー。伝統打破ならばこれしかない!
つ【女人禁制解除】


369:それも名無しだ
07/07/18 13:32:35 tDbEYblT
今日もコクピット内で、アシュセイヴァーの調整。
機体に慣れていくほどに、こうすれば良いんじゃないか、こうするべきではないかと、あれこれ自分なりの改善案が出てきて、キリがない。

しかしこいつは、自分の命を、そして仲間の命をも預けるマシンなのだ。
そう考えると、妥協は出来ない。

OSの調整の後、ソードブレイカーの新しい自動攻撃パターンの作成もやる。

「ずいぶん熱心ね」
そこへアヤがやって来て、声をかけて来た。

ああ、まぁな。
コイツで飯を食ってるんだし、当然さ。
俺はそう答えて、ニッと軽く笑う。

今はソードブレイカーの自動攻撃パターンを作ってるんだが、ちょっと手伝ってくれないか?
R-3のストライクシールドを参考にしたいんだが……。
「それは構わないけど、せっかくビーム砲が付いてるのに、ストライクシールドを参考にしたら無駄にならないかしら?」
アヤは言いながらコクピットに入り、適当なスペースに、ムッチリした張りのあるお尻をねじ込む。
見えそうで見えない、絶妙な位置にまでめくれ上がったミニスカートから伸びる、真っ白な太ももが、俺の目を慰めてくれた。

いや、そうでもないぜ。
太ももから視線を離せないまま、俺は答える。



370:それも名無しだ
07/07/18 13:36:06 tDbEYblT
>>369
ビームを撃つ時はどうしても、射線を安定させるために動きが直線的になったり、下手をすれば動きを止めにゃならん。
反面、勢いを殺す事なく、軌道を自在にコントロールしながら突撃するストライクシールドは、実はかなり強力な武器なんだ。
「そ、そうなの……?」
そうだよ。
しかもレーザーキャノンによる長距離射撃、テレキネシスミサイルによる広範囲爆撃で射程に穴がない。
念動フィールドのおかげで防御力はあるし、プラスパーツを付ければT-LINKフライトシステムで機動力も上がる。
単純な攻撃力では、元がHTBキャノンのR-GUNに負けるが、R-3は本来、前に出て戦えるだけの戦闘力を持った機体なんだよ。
「そ、そうなんだ……」
アヤは照れ笑いを浮かべるが、まんざらでもない様子だ。
争い事は好まないとは言え、やはり自分の乗る機体を誉められるのは嬉しいんだろう。
その機体を開発したのが自分の父親ともなれば、尚更だ。

ただ、アヤは大事なリーダーだからな。
やっぱり後方支援に徹してもらいたいね。
それに、アヤにおいしいとこを総取りされたら、俺たち男は立場がねえや。
おどけた調子で言うと、アヤはクスクスと笑い、
「それもそうねぇ。男女平等な世の中だし、男の子にも頑張ってもらわなくっちゃね」
そう言って、青い手袋に包まれたたおやかな指で、俺の頬をツンとつついたのだった。


371:それも名無しだ
07/07/19 07:39:50 updXocxG
>>368-370
>女人禁制解除

そりゃある意味様式美では?w

>しかしこいつは、自分の命を、そして仲間の命をも預けるマシンなのだ。

少尉とラトは立場が違うからねえ。
強制されて闘うか、納得して闘うか。
過去、ラトは強制されてPTに乗っていた訳だから。
ラトがそこにいたら、それはもっともな意見だとは思いながらも、
トラウマに心をえぐられる一言だ、と感じたよ。

今は自分や仲間を守る為だとしても、問題の傷は過去のものだから。
任務の為に薬物投与、人格改造、危険なテストを延々と受けさせれられたスクール出身の人間に正論は言えないと思う。
半身不随の人間に走れよ!と健常者が叩きつけるように言うのと一緒かと。

前にも書いたけど、言いたいことがまるっきりすれ違っているので主張をSSに書く事はしないけどね。
後、これに関しては悪いけどSSは控えて欲しいかな。
俺SSでの、ラトの価値観と主人公の否定に繋がるので。

機体の考察は良い感じ。
またひとつ進化したなあ、と思ったよ。

372:それも名無しだ
07/07/19 13:15:15 yQsvIW+t
>>371
サンクス(・ω・)/

ブラザーの感想読んで、「俺」とラトゥーニの違いが改めてわかったよ。

つー訳で、
>SSは控えてほしいかな。
↑この件は了解したよん。

373:それも名無しだ
07/07/19 17:57:48 2/rpTZme
>>372
うん。かたじけない。
でも少尉の軍人としての気持ちもよくわかるので。

374:それも名無しだ
07/07/19 22:49:37 yQsvIW+t
>>373
わかってるよ、ブラザー。
気にすんなって('-^*)/


375:それも名無しだ
07/07/21 13:34:06 5dIRy9GB
「なぁ、試作機は本当に量産機より弱いのか?」

―分隊室でライと新しいフォーメーションを考えてたら、マイがいきなりやって来て尋ねた。

どうした、いきなり。
「うん、レイオスプランの事、隊長からいろいろ聞かせてもらったんだけど、やっぱりSRXがそんなに弱いとは思えなくて……」
レイオスプラン?
ああ、「第一回チキチキ!EOTをもっと使いやすくしよう大作戦」か。

「 意 訳 し す ぎ だ 」

ライが芸術的なタイミングで突っ込んでくれた。

まぁ、それはともかく。
SRXは別に弱くねえよ。戦闘力だけを見れば、間違いなく人型機動兵器の中では最強クラスだ。あれとタイマン張れるのはグランゾンくらいなもんだろ。
「ただ、以前にも話したが、兵器に第一に求められるのは信頼性だ。残念ながらその点においては、SRXは不安が残る」
その不安を根本的に取り除くのがレイオスプランであって、別に弱くなる訳じゃねーぞ?
無駄な部分がなくなる、と言えばわかるか?
「無駄な部分って?」
そうさなぁ……例えば、合体後に自分で天下無敵とか言っちゃうパイロットとか。
「いちいち武器の名前を叫ぶパイロットもだ」
あと、技の名前を叫ぶパイロットに……。
「武器の名前をいちいち天上天下とか勝手に変更するパイロットも、だな」

「―って、全部俺じゃねーか!」

いきなりドアが開いて、リュウセイが入ってくる。
「黙って聞いてりゃ二人して好き放題言いやがって!お前らにはスーパーロボット魂ってもんがねえのか!」

『 な い 』

俺とライは、声を揃えて答える。
「な、なんだと!こういう時だけは抜群なコンビネーション発揮しやがって!さてはお前らデキてんだろ!このホモ兄弟!薔薇族!」

―ブチッ!

俺とライの中で、何かが切れる。

直後、俺の三角固めとライのアキレス腱固めがリュウセイに炸裂した。

その後リュウセイが反撃に出るわ、マイが俺だけをポカポカ殴るわで大騒ぎになったところを、アヤとヴィレッタの姐さんに見られて、俺たちは四人揃ってお説教されたのだった。


376:君の夫は、もういない
07/07/21 21:24:16 S5KMNY2g

ヒギンズ「待って、ゼア!一体どうしたっていうの!?」
ゼア=ウィド「問答無用だ。喰らえっ!」

ゼア=ウィドのハイペリオン三号機の構えたビームマシンガンから放たれる光がヒギンズのブレンに襲い掛かる。
と、突如その間に白い影が割り込み、バリアのようなものでビームマシンガンを弾き返す。

宗介「迂闊だぞ、ヒギンズ・サス」
ヒギンズ「ご、ごめん、宗介さん……」
ゼア=ウィド「ちっ、ラムダ・ドライバか…!」
宗介「恐らくゼア=ウィドはならかの精神操作を受けているのだろう。それによって
  俺たちを敵として認識して……」
ゼア=ウィド「ごちゃごちゃと五月蠅いぞ!てめえが死ぬか!」

今度はハイペリオン三号機がビームナイフを構えアーバレストに襲い掛かる。
しかし、ハイペリオン三号機の体は次の瞬間大きく吹き飛ばされていた。

ゼア=ウィド「なっ……!?」
耐爬「目を覚ませ、ゼア=ウィド!」
ゼア=ウィド「八卦ロボ……厄介だな、後回しとするか。次のターゲットは……てめえだ!!」
シャナ=ミア「!」

ゼア=ウィドはビームナイフを持ち直しシャナ=ミアのラフトクランズに斬りかかる。
シャナ=ミアは矛を操りこれをかわした。

シャナ=ミア「どうしたの、ゼア!?私がわからないの!?」
ゼア=ウィド「知っているとも!フューリーの皇女、そしてガルシア司令のために
      消すべき人物の一人だ!」
シャナ=ミア「! そんな……!」
オルガ「どけ、シャナ=ミア!」

オルガのカラミティガンダムの胸部から放たれたスキュラでハイペリオン三号機は体勢を崩す。

ゼア=ウィド「がっ!?連合が使用したブーステッドマン唯一の生き残りか……」
シャナ=ミア「オルガさん!余計な……」
オルガ「辛いんだろうが!知らないとはいえあんたの夫だろう!そんな奴と斬りあうなんて、辛いに決まってる!
   ここは俺に任せろ!」
シャナ=ミア「オルガさん……」
ゼア=ウィド「戦闘中に余所見とは余裕だな!もらったぞ!」

ゼア=ウィドの放ったビームマシンガンによりカラミティはシュラークとスキュラを、
投げたビームナイフにより両腕を破壊された。

オルガ「がぁぁっ!?」
ゼア=ウィド「ふん、この程度か。さて、資料が正しければそろそろのはずだが…?」
オルガ「グッ!?…ハァ……ハァ…ウ、グァア………!」
シャナ=ミア「オルガさん!?」
宗介「まずい!γ-グリフェプタンの副作用が現れ始めたか!」
耐爬「これ以上の戦闘は得策ではないな……しかし逃げ道もなし……」
ヒギンズ「私に……考えがあります」

377:君の夫は、もういない
07/07/21 21:42:51 S5KMNY2g
シャナ=ミア「本当ですか!?」
ヒギンズ「いいですか、皆さん。私の言うとおりに動いてください」

しばらくすると四機はカラミティを囲むように動き出した。

ゼア=ウィド「……? 一箇所に固まっているだと?何をするつもりだ?
      …まあいい、好都合だ!まとめて吹き飛べぇっ!!」

ゼアの雄叫びと共にハイペリオン三号機がビームキャノン『フォルファントリー』を
噴き出した。

ヒギンズ「……今っ!」
シャナ=ミア「…っ!」

直後、小規模の爆発が起こった。
しかし、ゼア=ウィドはその位置を訝しげに睨んでいる。

ゼア=ウィド「…………」
バルサム「いよぉ、やったじゃねえか、ゼア=ウィド」
ゼア=ウィド「バルサムにカナードか。何時からいた?」
バルサム「お前が緑のガンダムボコボコにするとこからさ。なぁカナード?」
カナード「……キラ・ヤマト……キラ・ヤマト……キラ・ヤマトッ……!」
バルサム「あーあ、メンデルから戻ってきてからずっとこれだぜ」
ゼア=ウィド「奴らは死んでいないぞ」
バルサム「あ?」
ゼア=ウィド「爆発が小さすぎる。それに―」

ゼア=ウィドは近くに浮いていた残骸を拾いバルサムに見せた。

ゼア=ウィド「これはMSのものでも八卦ロボのものでもASのものでもない。
      ましてフューリーの機体はシステムが違いすぎるしブレンから残骸がでようはずもない。
      出るとすれば…………携帯しているミサイルランチャーだ」
バルサム「なるほど、バイタルジャンプのカモフラージュってわけか」
ゼア=ウィド「そうなるな。さあ、帰還しよう。今回の任務はあくまで哨戒。討ち損じてもガルシア司令も
      そこまでお怒りになることはなかろう」

ヒギンズ「……みなさん、大丈夫ですか?」
耐爬「右の翼を少し掠めたが、問題はない」
宗介「それより、ここはどこだ?」
ヒギンズ「跳ぶことを優先したから正確な位置までは……あ、近くに要塞らしき物があります。
    そこに救援を求めましょう」

その要塞内部では――。

???「…失礼します」
???「どうした?」
???「救難信号が出ております」
???「どこからだ?」
???「要塞付近のブレンパワードからです」
???「何? …よし、回収しろ」
???「ハッ、……追加情報。パイロットの一人がγ-グリフェプタンを要求しています」
???「用意してやれ」
???「了解」
???「さて……一体このアメノミハシラに何用かな……?」


378:君の夫は、もういない
07/07/21 21:45:02 S5KMNY2g
本日はここまでです。
補習のせいで夏休みも暇じゃないです。
今日も皆様への感想を書く時間がないことをお許し下さい。
以上、オチをどうしよう、ゼア=ウィドでした。

379:それも名無しだ
07/07/22 18:11:33 xiSk6R6M
>>376-377
ちょ、ゼアinハイペリオン強すぎw

補習頑張ってちょ。
体だけは壊さないようにね('-^*)/

380:それも名無しだ
07/07/23 20:02:18 bXnHW0KB
>>375
面白かったですぜ。
こういうの超上手いよね。
GJ!

レイオスプランについてはよくわからんなー。
なんだっけ。

SRXの強さ…。
火力だ!w
一撃必殺砲はOG最強だよね。

>>378
補習か…。
夏休みの学校って結構好きだったな。
独特の雰囲気があるんだな。これがな。

381:それも名無しだ
07/07/24 10:12:39 sdQeCo6j
>>380
サンクス(・ω・)/

レイオスプランは「俺」が言った通り、色々と不都合や不具合も多いEOTをもっと安全かつ効率的に使いやすくするものだったはず。
とあるサイトの、OG2.5の台詞集でそんな風にライたちが話してた。



382:それも名無しだ
07/07/24 10:13:33 sdQeCo6j
『おはようございます!こんにちは!失礼します!』

分隊室で、朝っぱらからリュウセイとマイが声を揃えて、敬語を繰り返している。
その傍らで、アヤとヴィレッタの姐さんが二人を見張っていた。
「だいぶ言えるようになったわね。本番もその調子で頼むわよ、リュウセイ」
「任せとけ、隊長!バッチリ決めてy」

―スパァンッ!

姐さんの手にしているデッカいハリセンが、軽快な音を立ててリュウセイの脳天に一撃をくらわせる。
音が軽快だったのは、或いはコイツの頭が空っぽだからかも知れないが。
「早速敬語を忘れてどうするの?もう一回やり直し」
「いって~……り、了解……」
「隊長、何もそんなに思いっきり叩かなくても良いじゃないか!」

―スパァンッ!

抗議したマイの脳天にも、ハリセンが炸裂した。
「あなたは流れを読みなさい」
「うぅ~……あ、アヤ~……!」
「甘えてもダメよ。今日はとても大切なお客様がいらっしゃるんだから」
今日ばかりは、アヤも心を鬼にしてマイを突き放す。

「あら、おはよう。今日も頑張りましょうね?」
俺の視線に気付いたのか、不意にアヤが声をかけた。

おはようございます、コバヤシ大尉。
今日もよろしくお願いします。
俺はかかとを揃えて背筋を伸ばし、敬礼して答えた。

「さすがにあなたは、この辺の教育が行き届いてるようね」
姐さんが満足げにうなずく。

ありがとうございます、バディム隊長。

「さ、この子を見習って、あなた達も頑張りなさい。挨拶5セット、始め!」
姐さんが手を叩くと、リュウセイとマイは再び敬語での挨拶の練習を再開した。



383:それも名無しだ
07/07/24 10:15:24 sdQeCo6j
「あの~、何をしてるんですか?」
廊下から、ゼオラが声をかける。
珍しく、連邦軍の制服を着てやがる。

ほれ、今日は昼から、本部の監察官が査察に来るだろ?
あの二人、敬語が出来ねえから、それに備えて特訓中なんだよ。
「ど、どこも同じなんですね……うちも、アラドが今カイ少佐にミッチリしごかれてるところなんですよ?」
アイツは、最低限の敬語は喋れた筈だが……。
「だってアラドったら、着任挨拶で、私の後に堂々と『以下同文です』なんて言っちゃうような奴なんですよ?」
あー……なら仕方ねえな。

「本当に大変ですよ。私たちも、今日だけで良いから制服を着ろってカイ少佐に言われて……」
んじゃラトゥーニも、今頃制服引っ張り出してお着替え中か。
「ええ。でも、やっぱりちょっと馴染めないですね」
そう言ってゼオラは苦笑する。
確かに、ちょいと窮屈そうだな……。
「きゅうくつ……?」
オウム返しにつぶやいたゼオラが、途端にカァーッと赤くなる。

―ゴスッ!

直後、ゼオラのかかと落としが俺の脳天にめり込んだ。
「せ、セクハラですよ、少尉!私の胸はそんなに大きくありません!」
ゼオラは怒鳴りつけると、パタパタと走り去っていった。

胸の事を言った訳じゃないんだが……。

「アラアラどうしたの?大丈夫?」
そこへ投げかけられる優しい言葉に、俺は背筋が凍りつく。
「何があったのか、詳しく聞かせてくれるわよねぇ?」
振り向くと、アヤがイカした笑顔を浮かべていた。
「二人っきりで、じっくりと……ね☆」
俺の頬を撫でるアヤは、狩る者の眼になっていた。

非・性的な意味で。


384:それも名無しだ
07/07/24 20:21:48 8VaQdX/P
マイ可愛いわーw
敬語は無理。彼女には。
ハリセンで叩かれて、涙目になって口を尖らしてるマイ想像して萌えたよん。

>ラトの軍服
ここでも一瞬、OGsに変化?

そういえばOGsのラト。
もう何時でも眼鏡軍服だしジオン軍のパイロットスーツだし声はパヤパヤしてるしリュウセイ萌えが悪化してるし。
誰ですかアレは。
GBAラトカムバック。

アヤ大尉はむしろグレードアップしてる感じでいいねえ。

385:それも名無しだ
07/07/24 20:23:40 8VaQdX/P
言い忘れたけど。






GJ!!

386:それも名無しだ
07/07/24 22:44:56 sdQeCo6j
>>384-385
サンクス(・ω・)/
あの後、ゼオラへのセクハラ疑惑でアヤに「尋問」されて大変だったよ(*´∀`)

OGsの戦闘シーンを、YouTubeでいくつか入手したけど……コバヤシ姉妹のゲシュペンストキックに牛乳吹いた。
あと、アヤのカットインは非常にけしからんので、今夜はその件についてじっくりと「尋問」するつもりですw

387:それも名無しだ
07/07/27 11:21:53 OqsAOWxL
背中に、じっとりと濡れた柔らかい物体の感触。
次いで、まどろみを優しく払う声がする。

「起きて……ねぇ……」

耳元に絡み付くような、甘い声。
すぐに頭はハッキリしてくるが、もう少しこの声を聞いていたいので、寝た振りをしてみる。
「そろそろ時間よ?起ーきーて」
そう言ってアヤは、俺の耳に息を吹きかける。
くすぐったくてつい首をすくめると、アヤは面白そうにクスクス笑った。
「早く起きて、シャワー浴びなきゃ……昨夜はいっぱい頑張っちゃって、汗かいてるんだから……」
アヤのたおやかな指が、汗ばんだ俺の肌を優しく愛撫する。
チュッチュッと唇も、汗を吸い取るように這い回った。
「早く起きないと、してあげないわよ?朝のア・レ・☆」

―それは困る。
もう少しアヤに愛撫されたかったが、俺はゆっくり身を起こした。

アヤも起き上がり、タオルケットで自分の裸体を隠す。
「おはよう、お寝坊さん」
ニッコリと笑うと、アヤは朝のアレを―おはようのキスをしてくれた。

その後一緒にシャワーを浴びて、ベッドの上でかいた汗を洗い流す。
アヤに体を隅々まで拭いてもらったら、制服を着て、手をつないで食堂へ。

しかし途中の廊下で、俺は大事な忘れ物に気付いた。
「じゃあ、取りに戻る?」
いや、その必要はねえ。
俺はアヤの剥き出しになっている白い両肩を掴み、壁際へやる。
一瞬不安げな顔になるアヤの前髪を撫でてやり、俺はささやいた。

おはよう、アヤ。愛してる。

そして、彼女の可憐な唇にゆっくりと自分の唇を重ねた。

「んっ……もう……こんな大事な事を忘れるなんて……」
ごめん、アヤ。
怒ってるどころか、むしろ嬉しそうなアヤの言葉に、俺も合わせる。
「謝っても駄目よ?もっと……燃えるような熱いのをくれないと、許さないんだから……」

お腹を空かせた子犬のような眼で俺を見つめ、アヤはおねだりする。

仰せのままに、ご主人様。
おどけるように答えて、俺はアヤのリクエストに応えてやったのだった。


388:それも名無しだ
07/07/28 07:01:21 Mzx6zlJz
>>387
アレってキスか!w
ちと焦ったわ。
御馳と言わせて頂く!

しかしそろそろアレだね。
夏だ。

水着とか海とかその辺のネタ書かにゃーだよねえ。

389:それも名無しだ
07/07/28 14:44:47 zNLIgsW6
>>388
サンクス(・ω・)/

ハハハ、何の事だと思ったんだい、ブラザー。

しかし、確かにアレだね。海とか水着とか水着とか水着とか水着とか、男として避けて通れぬネタが待ち構えてるねw
あとは怪談ネタもか。

390:それも名無しだ
07/07/30 15:02:26 FMEx6Y7C
今日の食堂のスペシャルメニューは、トロンベ特製のうな重だった。
和食もこなせるとは、さすが食通!マジでうまかったぜ!

「ホント、トロンベさんって料理が上手よね。時々、悔しくなっちゃうわ」
とか言いながら、アヤもかなりご満悦のようだ。

「大尉……兄の名前はトロンベではありません」
向かいの席のライが抗議する。
そういやぁそうだったな。トロンベトロンベうるせーから、つい本人もトロンベって呼んじまうが。
で、本名って何だったっけ?
「いやぁねぇ、レーツェルさんでしょう?」
「それは偽名です」
あれ?そうだっけ?
じゃあ何て言うんだ?
「う~ん……」
アヤも思い出せないようだ。
じゃあ面倒くさいから、トロンベ・ブランシュタインって事で。

「  断  る  」

トロンベがいつの間にか俺の後ろに立っていた。
「君にはつくづく困ったものだな。君が私をトロンベよばわりするおかげで、最近はレオナまで私をトロンベと呼ぶ始末だ……」
つまり俺が、トロンベブームの火付け役って事か……照れるぜ。
「誰も褒めてはいない。いいか、トロンベは我が愛馬及び愛機の名、私の名前はエルザムだ」
あー……そういやぁそんな名前だったな。すまんすまん。
「すまんじゃない。良い機会だからちゃんと覚えておけ」
自分の兄貴の事だからか、ライも口うるさい。

「兄の名はエルザム。エルザム・ ト ロ ン ベ ・ブランシュタインだ」

―直後、トロンベは泣きながら食堂の外へと駆け抜けていった。

391:それも名無しだ
07/07/31 07:22:31 X99pn3Wr
>>390
言ってはいけない、と思うと口に出るもんだよね。
てかわざと?
兄弟間の溝、更に深まったな…w

392:それも名無しだ
07/08/01 11:51:21 sj1v6tzX
>てかわざと?
何を言ってるんだい、ブラザー。

 当 た り 前 じ ゃ な い か !

そうやって、なかなか兄貴を超えられないフラストレーションを解消してるのさw

393:着せてみました。①
07/08/01 18:11:26 sj1v6tzX
今日の訓練が終わった後、俺はチームのみんなを分隊室に呼び出した。
「お前が俺たちを呼び出すとは、珍しいな」
「ははぁ、さてはついに、アヤとの婚約発表か!?」
リュウセイが冷やかしの口笛を吹くと、マイが背中から殺意の波動を漂わせる。

そんなんじゃねーよ、俺は芸能人か。

「ところで、そのアヤが見当たらないんだけど……」
ああ、アヤなら今準備中です。
「準備?」
ヴィレッタの姐さんが、珍しく首を傾げた。

そろそろだな。
おい、アヤ。出て来いよ。
俺は分隊室の端にある、更衣室のドアに向かって呼びかける。

「……いや」

だがドアの向こうからは、子供のような口調で拒む声。

おい、わざわざみんなに集まってもらったんだぞ。良いから来いって。
「いやったらいや!恥ずかしいわ……みんなきっと、笑うに決まってるもの……!」
そんな事ないって!
つーかここまで来ておいて、今更いやもクソもあるか!さっさと来い!

俺はドアを開けて更衣室に入り、ぐずるアヤを力ずくでみんなの前に引っ張り出した。

『……おお~っ!』

異口同音に、みんなの口から感嘆の声がこぼれた。

アヤはフリルの付いたドレスを纏い、緑の黒髪に大きめリボンを飾っていた。
ラトゥーニが着ているアレの、大人サイズだと思ってくれれば良い。



394:着せてみました。②
07/08/01 18:13:31 sj1v6tzX
>>393
よっぽど恥ずかしいのか、アヤは顔を真っ赤にして、俺の後ろに隠れたがるかのように、俺の腕をキュッと掴んでくっついた。
まるで人見知りする子供だ。

「それ、ラトが着てるのと同じやつじゃねえか」
「実にお似合いですよ、大尉」
「アヤ、可愛い……私も、着たいな」
「みんなの言う通りよ?恥ずかしがる事はないわ」

みんなそうやって、誉めてくれる。

そうだろそうだろ。
だからわざわざみんなを集めて、御披露目する気になったんだ。

「本当……?」
アヤが上目遣いにみんなを見て、尋ねる。
もちろん全員、ウンウンと力強くうなずいてくれた。

「じゃあ……もうちょっとだけ……着ていようかしら……」

ああ、是非そうしてくれよ。
「で、でも!本当にちょっとだけよ!?今だって、恥ずかしくて死んじゃいそうなんだから!」

わかったわかった。
アヤをなだめすかして、御披露目会もお開きにした。

みんなが出て行った後、俺は更衣室に戻ろうとするアヤの腕を掴んで、引き止める。

「……?」
不安げな眼差しを向けるアヤを抱き寄せて、俺は耳元でささやいた。

―どうせだから、部屋までこの格好で行こうぜ?



395:着せてみました。③
07/08/01 18:14:53 sj1v6tzX
>>394
「なっ……!?」

アヤの顔が、更に赤みを増した。
驚きで、目を大きく見開いている。

「い、いや!いやったらいや!絶対にいやぁ!」

子供のように言い張るアヤ。

みんな褒めてくれただろ?大丈夫、誰も笑わないって。
「それでもいや!あなたがどうしてもって言うから着てあげただけなのよ!?なのに……うむぅっ!?」
アヤの抗議を、俺はキスで強引に塞ぐ。

クチュクチュと舌を絡ませると、アヤはほとんど条件反射で俺の背中に腕を回して、応じてくれた。

しばらくの間、唇と舌を味わった後、俺はゆっくりと唇を離す。

大丈夫だって。
今頃はどこの部隊も食堂で晩飯食ってるから、誰もいないよ。
それに、何かあっても、俺が守ってやるから。

髪を撫でながらささやく。

「……本当に、守ってくれる?」
俺の肩に顔をうずめながら、アヤが尋ねる。

ああ、もちろんだ。

「……お部屋に着いたら、いっぱいしてくれる?」
アヤが望むなら、朝までぶっ続けで体を張るぜ?

「……じゃあ、私、頑張る」
アヤは自分を励ますように、キュッと俺の軍服の袖を掴んだ。



396:着せてみました。④
07/08/01 18:19:33 sj1v6tzX
>>395
俺とアヤは手をつないで廊下に出た。

アヤのもう片方の手には、軍服の入ったバッグが握られていた。


宿舎へ続く廊下はガランとしてて、案の定誰もいない。

な?言った通りだろ?

「う、うん……」
ゴスロリファッションの影響か、アヤは幼い仕草でコクンとうなずく。
顔にも少し、安堵の色が浮かんでいた。

そこへ、廊下の向こうからパタパタと走ってくる、やたらヒラヒラした影が。
元祖ゴスロリパイロットのラトゥーニ様だ。

「………!」
ラトゥーニは俺たちを―というより、アヤを見て、ビックリしたように立ち止まる。

「ら、ラト……!あ、あのね!違うの、違うのよ!これは……!」
アヤがしどろもどろに弁解しようとしたが、次のラトゥーニの言葉がそれを遮った。

「アヤ大尉……綺麗……」

「……え?」
「まるでフランス人形みたいです。凄く似合ってますよ?」
「そ、そう……?」
「はい。デザインは同じみたいだけど、やっぱり着る人によって変わるんですね」
ラトゥーニはウットリと見とれている。

褒められてるのはアヤだけど、何か俺も、すげー良い気分だぜ……。

「あ!私、お兄ちゃんを待たせてるので、失礼します!」
ラトゥーニは元気良く敬礼して、パタパタと走り去っていった。

ホテルに寄り道しねーで、真っ直ぐ帰れよー。

冗談半分で言うと、ラトゥーニが顔を真っ赤にしながら戻ってきて、みぞおちへの強烈な跳び蹴りで答えてくれた。

くそ、突っ込みがますますキツくなってやがる……。
「この前ゼオラにかかと落としされたばかりなのに、懲りないわねぇ……良い気味よ」
うずくまる俺にツンとそっぽを向いて、アヤは一人でスタスタ歩き出したのだった。



397:それも名無しだ
07/08/02 06:15:44 Jhc1HjVB
>>392
ライ、性格わるっw

>>393-396
乙!
羞恥プレイ&コスチュームプレイだ!
コスプレっていう語感よりはコスチュームプレイ。
よりいかがわしい方向で。

まったく、いかがわしいw

ラトの飛び蹴りイイヨイイヨー
なんで萌えるのかわからんけど飛び蹴り萌えた。

398:それも名無しだ
07/08/02 10:12:45 N5XEr6B+
>>397
サンクス(・ω・)/

でも、そんなにいかがわしいかな(´・ω・`)

いかがわしいか(*´∀`)

だが、それが良い!(`・ω・´)


>なんで萌えるのかわからんけど飛び蹴り萌えた。

ヒント:魔法の呪文「あるてぃめっと☆ごーすと☆あたっく」

399:それも名無しだ
07/08/03 06:01:17 ph/2RCpq
>>398
うむw

>ヒント
そ れ だ !

400:プールに行こう①
07/08/05 17:34:29 TsykfWf1
ここは、よくアヤと二人で行く、スポーツクラブのプール。
今日はアラドとゼオラも誘って、ちょっとしたダブルデートの形になっちまったが。
二人はラトゥーニも誘いたがっていたが、あいつは彼氏とよろしく決めてるとこだろうからそっとしておけと言ったら、諦めてくれた。



今、俺はプールサイドのベンチに座って、アヤとゼオラが競争して泳いでるのをボンヤリと眺めていた。

……ゼオラの奴、思ったより速いな。
胸のせいで水の抵抗が増えて、泳ぎにくいんじゃねーかと心配してたが。
それとも、あの胸が浮き袋の役割になって、速く泳げるんだろーか?
尋ねてみたいところだが、どうせかかと落としの餌食になるだけだから、やめておこう。

「少尉、お待たせしました」
アラドが四人分の缶コーヒーを買って、戻って来た。
俺は自分のコーヒーを受け取り、ゴクゴクと飲み始める。
「しっかし、デカいプールって良いッスよね~!泳ぎ甲斐があって!」
アラドも俺の隣に座って、自分の分を飲み始める。

……あれは、泳いでたのか。
水面を手足でバタバタぶっ叩いて、なるべく高く水柱を上げる、ナウなヤングの間で大流行の遊びかと思ってたが。
「いや流行ってないし!ていうか、ナウなヤングって言い方も流行ってないし!つーか俺ちゃんと泳いでたじゃないッスか!前に進んでたし!」
あれはただの、水面ぶっ叩いた副作用じゃなかったのか?
てか突っ込み多すぎだ。
「ひ、ひでぇ……!」
落ち込むアラドを尻目に、俺はサッサと缶コーヒーを飲み干した。



401:プールに行こう②
07/08/05 17:36:24 TsykfWf1
>>400
そこへ、アヤとゼオラがプールから上がって、こちらへやって来た。

ゼオラは白のビキニ、アヤは赤地に白いラインの入った、どことなくR-3をイメージさせる競泳用水着だった。

「少尉は泳がないんですか?」
ベンチの端に置かれた缶コーヒーを拾いながら、ゼオラが尋ねる。

もう少し休んだら泳ぐよ。

ゼオラの胸の谷間に一瞬目を奪われたが、女王様のお仕置きが怖いので、意識して目を逸らしつつ答える。

「ところで、アラドは元気がないみたいだけど……」
同じく缶コーヒーを拾いながら、アヤが尋ねる。

ああ、自分が金槌だって気付いて、ショック受けてんのさ。

「えぇ!?違いますよ、アヤ大尉!少尉が」
「しょーがないわね。じゃあ後で私が、泳ぎを教えてあげるわ」
アラドの反論を、ゼオラが遮る。
「へっ、お前が人様に泳ぎ教えられるタマかよ。その胸が邪魔で、スピード出ないんじゃねえのか?」

―グシャッ!

ゼオラの手の中のスチール缶が、見事に握りつぶされた。
「アぁぁぁぁラぁぁぁぁドぉぉぉぉっ!!!!!!」
怒れる鬼神と化したゼオラと、悲鳴を上げて逃げるアラド。

まったく相変わらずだな、バカップルめ。



402:プールに行こう③
07/08/05 17:40:27 TsykfWf1
>>401
二人のドタバタコントを見物してると、アヤが隣に座って、頭を撫でてきた。

……何だよ。

「さっき、ゼオラの胸をジロジロ見たりしないで、すぐに目を逸らしたでしょう?そのご褒美」
ご褒美って、そんな大した事かね。
「ええ……あの子、胸が大きいのを、かなり真面目に気にしてるみたいだから……」
んじゃ、今アラド追いかけ回してんのも、マジ切れしてるからか。

……しっかし、結構見てるんだな。そーいう細かいとこ。
「当たり前でしょう?私はいつだってあなたを見てるし、あなたを見守っているわ」
アヤが濡れた体をくっつけてきた。
「だって、私たちは恋人同士なんだもの……」
そう言うと、アヤはスゥッと目を閉じた。
良いのか?ガキどもが見てるぜ?
プールの向こう側から、バカップルが喧嘩も忘れてこちらを見ているのを確かめ、尋ねる。
「構う事ないわ。見せてあげましょう?大人の恋愛のお・て・ほ・ん☆」
何か、むしろ悪い手本になりそうな気もするが……まぁいいか。

俺はアヤの肩を抱き、見せつけるようにゆっくりと、唇を重ねてやった。

アラドもゼオラも興味津々で見てやがる。

舌を絡ませると、アヤの両腕が首に回った。

……やっべー、癖になったらどないしょ。


403:それも名無しだ
07/08/08 11:58:34 qaDPoFdG
「あん……ダメよ、こんな所で……」
バレねーから大丈夫だって。
外には誰もいないし。
背後から、膝の上に座るアヤの豊かな胸に手を這わせながら、俺は答えた。

一日の訓練を終えた後、俺は静かになった格納庫で、アシュセイヴァーの調整に精を出していた。
そこへアヤがやって来たので、俺は彼女をコクピット内に引きずり込んで、欲望の赴くままにその肉体をまさぐっている次第。

軍服の上から胸を揉みしだき、太ももを愛撫しながら、剥き出しの肩に唇を這わせる。
「だ、ダメだったら……あぁ……許して……お願いです……」
抗議するアヤだが、その割りには何の抵抗もしない。
むしろその悩ましい声は、俺の中の加虐心を燃え上がらせるだけだ。

軍服をはだけさせて、直に乳房を弄ぶ。
ミニスカートをめくり上げて、下着の下に指を這わせた。

「だ、だめぇ……!」
アヤはイヤイヤをする子供のように、腕の中でもがく。

「こんな……こんな所じゃイヤ……ベッドの上で……したいのに……」
そうだなぁ……じゃあ、その可愛い口で満足させてくれたら、お望み通りベッドの上で好きなだけ抱いてやるぜ?

うなじを吸いながら、俺は意地悪く答える。

「おくち……ここで……?」
アヤは肩越しに俺を見ながら、子供のようなたどたどしい口調で聞き返す。

ああ、そうだよ。それとも、外でしたいのか?
「あぅ……わ、わかりました……ここでします……いえ、ここで、ご奉仕をさせてください……」
濡れた声で答えるアヤ。
完全にスイッチが入ったようだ。

それじゃあ頼むとするか。
俺はコクピットシートを後ろにスライドさせて、余裕を作る。
アヤはもぞもぞと俺の足下に座り込み、慣れた手つきで、ズボンのジッパーを下ろした。
「失礼いたします、ご主人様……」
俺の顔を見上げ、淫靡な笑顔を向けると、アヤはその可憐な唇で、俺を優しく包んでくれた。


404:それも名無しだ
07/08/08 11:59:51 qaDPoFdG
暑さにやられて、エラいもん書いてしもた……。

切腹。

405:それも名無しだ
07/08/08 13:46:04 oJOyTLeV
>>404
新参者です。
お久しぶりです。
よかったら介錯しましょうか?
乙ですよぅ。

手を怪我してしばらくぶりでした。
みなさん、お元気そうで何よりですぅ。

406:それも名無しだ
07/08/08 14:15:50 qaDPoFdG
>>405
お久しぶり(・ω・)/

手の怪我は大丈夫かい?
何か俺、お腹から血がダラダラ盛大に流れ出てるんで、介錯はお早めにw



407:それも名無しだ
07/08/08 17:25:29 oJOyTLeV
>>406
新参者です。
ならさっそく…
ゼンガー「我が名はゼンガー!悪(深読み禁止)を断つ剣なり!」

チェストォォォォォ!

ついでに投下します。

地球を震撼させたステーションコロニー、ルナ占拠事件の後、俺たち戦略空母ハミングバードのクルーは久しぶりの休暇を過ごしていた。
事件を無事解決させた功績を買われての有給休暇で、アラドは『大和は漢のロマン』との言葉を残して横浜基地へカレーを堪能しに出かけ、俺はゼオラと昨日までテスラ研にいた。
事件解決に助言をくれたオオミヤ博士にお礼を言いにだ。
しかし、オオミヤ博士も忙しい身で、この後も新型パーツの調整があるらしい。そして、今は…
「先輩、富士山が見えてきましたよ!」
軍の輸送機に便乗して、俺たちは伊豆基地に到着しようとしている。
俺の隣ではしゃいだ声をあげるのは、ゼオラ。今回の休暇は、ゼオラに付き合う約束だった。
『アテンションプリーズ。…お客さん方、そろそろ着陸体勢に入るぜ。シートベルトしないと舌噛むかも知れないからよろしくな』
気取った機長のアナウンスが入る。
「えー…もっと見たいのにぃ」
ゼオラは不満そうに口を尖らせる。が、瞳はこれからの事をあれこれ考えているのだろう、キラキラ輝いていた。
「先輩、占拠事件解決のヒントをくれた探偵さんにもお礼を言わないとね」
「そうだね…何てったかな、あの中学生?」
「藤原君!…先輩、中学生って言ったら怒られますよ。小っちゃい、も禁句ですからね」
「そうかな?九重さん…は笑ってたけど…」
「あ、九重さんは覚えてるんですね…!」
「いや…金髪で関西弁だったからインパクトあって…て、何怒ってるんだ?」
「怒ってません!」
「怒ってるだろ。そんなにほっぺ膨らまして…」
「怒ってませんったら!」
『…お客さん、じゃれるのはそれくらいにしてくれよ。本機はこれより着陸シーケンスに入るからな』
…こっちの会話は筒抜けか。これじゃ滅多な事は言えん。
申し遅れた。俺はクラウド・ファウスト。『スクール』の耐G・高速強襲課程被検者だ。今では戦略空母ハミングバードでテスラ研の新システム『ゼロ・ドライブ』搭載PTビルトアドラーの専属パイロットをしている。以前は二度とPTに乗るまいとしていたが…
と、その時、窓の向こうが白く曇った。輸送機は雲の中に飛込んだ。徐々に高度が下がり、空の蒼さが薄くなり、木々の緑が濃くなっていく。流れるように移り変わる窓の外は、やがてアスファルトを敷き詰めた滑走路に変わっていた。
『…タッチ・ダァウン!』
機長の雄叫びと同時に、輸送機は滑るように着陸する。舌の噛みようがない。
「わぁ…」
ゼオラは、まるで伊豆基地に初めて来たように窓から外を眺めている。
「…あら?」
輸送機がようやく止まった時、ゼオラはすっとんきょうな声をあげた。
つられて、俺も窓の外に目を向ける。
ゼオラと俺の視線の先にいたもの。それは、ATXチームのキョウスケ・ナンブ中尉だった。

408:2
07/08/08 17:27:42 oJOyTLeV
「ご苦労様です、クラウド大尉」
キョウスケは堅そうな口調で敬礼した。
「そちらも。キョウスケ・ナンブ中尉。…で?」
「…で?とは?」
「質実剛健が売りのキョウスケ・ナンブ中尉が、わざわざあいさつのために滑走路まで出張るとは思えなくてさ」
はあ、とキョウスケが珍しく曖昧な答え方をした。どう切り出したらいいものか、と判断に迷っているのか。
「…」
わずかな沈黙。やがてそれを縫って、もう1人のATXチームのメンバーが金髪を揺らせて現れた。
「いやん、2人は隠し事ができない仲って訳ねん。ようこそ、伊豆基地へ。クラウド大尉、ゼオラちゃん」
「こんにちは、エクセレン少尉」
「そちらも元気そうだね、エクセレン少尉」
「そうでもないんですよ、寝不足でぇ。毎晩毎晩、キョウスケったら…」
「演習後のミーティングをな。…エクセレン、あれを頼む」
エクセレンが巧いこと思案の時間を作ったようだ。キョウスケは意を決したように俺とゼオラに目を向ける。
エクセレンが封筒を差し出す。封筒には何も書かれていない。中には紙が一枚あるきりだ。そこでその紙を引っ張り出した俺とゼオラは、絶句した。
「…大尉たちもご存知とは思いますが」
キョウスケが言い難そうに口を開く。
「ああ、知っている。確かにね。…だが、説明がいるとは思わないか?」
「必要ですか?」
キョウスケは真顔で答える。
「…少なくとも、俺には映画のチラシ一枚わたされただけでは何の用事かさっぱりわからん」
映画のチラシ。そう、エクセレンがもったいぶって手渡した封筒の中に入っていたのは、去年公開された映画『ワンデイ・フリー』のチラシだった。
とある王国の姫君が親善大使として日本に来る。しかし若い姫君は堅苦しい公務に飽き、ドレスをミニスカートにはきかえ、東京の街へ飛び出した。
その途中、護衛に捕まりそうになった姫君を、暴漢に襲われていると勘違いした冴えない青年が助けた事で運命は動き出す。
追っ手をかわし、東京の街を駆け抜ける2人。その中で青年と姫君は自分でも知らぬうちに恋に落ちる。
しかし、姫君は告げる。
「私の自由は今日1日。明日になったら、遠くへ行ってしまうの」
やがて2人の時間の終わりを告げる朝日が昇る。彼らは朝日とともに別れた。
青年はやるせない気持ちで部屋に戻ってテレビをつける。と、そこに映っていたのは朝日の中で別れたあの娘。
驚愕する青年がテレビから目を離せずにいると、娘は自分がとある王国の姫である事を話し、青年の名を呼び、恋をした事を告げる。
「あなたに恋をしたのは一瞬。ここは日本で、私の国は遠いですが、それでもこの想いを抑える事はできません。恋する気持ちに、時間も距離も関係ない。そうでしょう?」
この台詞の恋する~からの部分は、流行語にもなったはずだ。確かゼオラが以前、そんな事を言っていた…気がする。
「それをご理解いただいたところでこれを見ていただきたいのです」
そう言いながら、キョウスケが取り出したのは一枚の写真。
「!?」
「驚くのも無理はありませんが…イクシス家の令嬢、アリシアが現在、テロリストに狙われているのです」
「アリシア・ノーベンバウム・イクシス…ごく親しい友人は頭文字をとってアニィって呼んでるらしいわ。親しい者同士だけの呼び方って、素敵だわん」
「茶化すな、エクセレン。…で、そのイクシス家令嬢が今、日本に向かっているのです。5日後の…」
「EOT技術拡散防止会議にね。イクシス家って、テスラ研のスポンサーでしょ?」
「だから、異星人に対抗するためとはいえ、EOTを使った機動兵器は許さんという連中からすれば、少女とはいえ標的です」
「…なるほどな。状況はわかったよ。俺たちがやるべき事もね」
「…恐縮です」
キョウスケは深々と頭を下げた。イクシス家令嬢、アリシアの写真を見た今、どうして俺たちがここに呼ばれたのか理解できた。
写真のアリシアは、シルバーブロンドの髪から白い肌まで、ゼオラにそっくりだったからだ。
「…了解した。そういうことなら人手がいるだろう。横浜にウチのアラドが…」
「あらん…彼、無理っぽいわよん?」
「…なぜ?」
「大和は、荷が重すぎたみたいよん」


409:3
07/08/08 17:29:16 oJOyTLeV
作戦の概要はこうだ。
情報によれば、テロリスト集団の名は『地球原理主義教導団』。完全な排異星人主義思想を掲げる過激派だ。
アリシアの来日の前に、地球原理主義教導団のメンバーの日本潜入が確認されているらしい。
この潜入メンバーに、にせのアリシアの情報を意図的にリークする。
リークされた情報をもとに出てきたところを、根刮ぎ刈り取る、というのが作戦の目的だ。
リークの内容は、来日してホテルに缶詰にされるのを嫌がったアリシアが、ごく親しい者…護衛の1人を伴ってホテルを抜け出した、といったところだろう。
後は適切に、しかも人目につきすぎずに、街をうろつけばいい。
護衛と冴えない青年のちがいはあれど、なるほど、映画のチラシにはこんな意味があったのか。
だが、今回の場合は逃避行ではなくて要するに囮だ。
「…すまないな、ゼオラ」
先に着替え終えた俺は、ドアを軽くノックしてからゼオラに話しかけた。
「せ、先輩!?な、何がです!?」
着替えているところで話しかけられたのだ、慌てたゼオラの声が返ってくる。
「任務のことさ。今回は、お前を付き合う予定だったのに…」
「い、いいえ…任務ですから、仕方ないですよ」
「いや、そうもいかない。俺は約束は破りたくないからな。ゼオラ、この任務をさっさと終わらせよう。その後はゼオラの行きたいとこ、やりたいことを全部やろう!約束だ」
「え…ホントですか!?」
「先輩に任せなさい」
「嬉しいっ!」
ドアの向こうから聞こえるゼオラの声に、喜色が浮かぶ。俺は正直、ほっとした。しかし…
「…先輩」
次の瞬間、ドアの隙間からゼオラの憂鬱そうな声が漏れてきた。
「どうした、ゼオラ?」
「先輩は、約束は破らないんですよね…?」
「ああ、もちろんだ」
「じゃ…もう1つ、約束してください」
想い詰めたようなゼオラの声。俺は固唾を飲む。実は、俺はこの時、何て答えたか覚えていない。
だが、ゼオラは俺の返答を聞いて、決意したように言葉を続けた。
「あの…笑わないでください」
…わら?
「…………なに?」
「じ…実は…着替えは終わったんですけど…わ、わた…こんな服、着たことなくって…」
「…う、うむ」
「ににに似合ってないかも…いえ、きっと似合ってないとおもうんですけどせんぱいにわらわれたらどうしようとおもったらでられなくなってそれで」
そこまで一気にまくしたてたゼオラは不意に黙った。
返事を待っているらしい。
「あ…あー…うん、約束する、うん。約束するよゼオラ」
「……」
返事はしたものの、ゼオラからは返答なし。答え方がまずかったか…と思ったら、俺の目の前でドアノブが動いた。
ゆっくりと開くドア。そこから見えるゼオラの姿は…
「…」
純白のシンプルなワンピースがゼオラを包んでいた。
それに合わせるようにつばの広い白い帽子。軍服やパイロットスーツでしかゼオラを見たことがない俺には、鮮烈で優雅で…今だから言う。言葉を失った。
「…へ、変…ですか?」
ゼオラは顔を伏せ、つばの広い帽子で隠しているが、首もとまで真っ赤になっている。
「いや…ごめん。綺麗だったから…声が出なかった」
「…え?」
「あ、いやその…変じゃないよ!似合ってるよ、ゼオラ!」
「ホントですかぁ!?」
ゼオラの顔が花が咲いたように明るくなる。
「あ、2人とも、準備できたみたいね。…て、いやん、ゼオラちゃん可愛いわん!苦労してチョイスした甲斐があったってものよ!ちなみに、クラウド大尉のはキョウスケなんだけどね」
そこへ様子を見に来たエクセレンは、着替えたゼオラを見るなり、抱きつかんばかりに喜んだ。
「これ、エクセレン少尉が選んでくれたんですか?ありがとうございます」
「うふん、そういうことはヴァイスリッターのエクセレンお姉さんにおまかせよん!」
…なるほど。
あの白いワンピースは、ヴァイスリッターのエクセレンが選んだものか。
ちなみに俺は黒いスーツ姿だが、キョウスケがアルトアイゼンに過剰な思い入れをもってなくて本当によかったと、俺はゼオラとエクセレンの様子を見て実感した。

410:4
07/08/08 17:32:26 oJOyTLeV
人目について、つきすぎないというのはなんと言うか…難しいものだ。
よくよく考えてみれば、純白ワンピースの少女に黒服の男。目立つなという方が無理だ。
「♪」
それでも、ゼオラは嬉しそうに歩いている。
さっきも、車道側は車に拉致される可能性があるので自分から車道側に入れば、
「先輩…優しいんですね」
とゼオラは小声で囁いた。
まあ、確かに拉致される危険性があるのに放置するよりは優しいだろう。
「で、でもさゼオラ…これはやらなきゃいけないのか?」
「ダメですよ先輩!みんなやってるじゃないですか」
「しかしだな…」
「…浮いちゃいますよ?任務失敗するかも」
「うぬ…それはよくない」
「なら、決まりです」
ゼオラがそっと手を差し出した。
確かに、確かに周りはよくもこれだけ集めたものだと賞賛に値するほどのカップルでごったがえしている。
しかも、揃いも揃って手を繋ぐわ腕を組むわ。
ここはそうでもしないと歩く事すら許されんのか?と勘ぐりたくなる程だ。
向こうではテレビ局が、わざわざ取材などしている。頼むから日本中すべてをここと同じにはしないでくれ。
「もう、先輩…」
ゼオラが上目使いで俺を見る。サングラス越しでも俺の眼が泳いでいるのがゼオラにはわかったかも知れない。
相変わらず俺は臆病だ。だから二度とPTに乗るまいと誓った。それでも自分の気持ちには向き合えた。だからゼオラとここにいる。
だがしかしそれでも、いざ行動に移すというのは、ある種PTに乗るより気合がいるものだ。
イルム、お前凄いよ。
俺には…。だが、男にはやらなきゃいけない時があるって言ってたな。
そして、俺は男だったりするわけで…


411:5
07/08/08 17:34:08 oJOyTLeV
「…先ぱ…きゃ!」
一瞬。
俺はゼオラを抱き締めた。
「せ、先輩…」
俺の胸に顔を埋めてゼオラが甘く囁く。動けない。
俺はゼオラの顎に指を当てる。ゼオラは少しだけ強張って、でも抵抗せずに顔を上げた。潤んだ瞳が俺を見る。
近づく唇。目を閉じるゼオラ。そして俺は…
「…聞こえたか、ゼオラ?」
「…え!?」
そうだ。恋人たちの雑踏にまぎれ、一瞬俺の耳に飛込んだ音。 あれは間違いなく、拳銃の撃鉄を上げる音だ。だから、俺は反射的にゼオラをかばった。
この雑踏では刃物や狙撃はかえって暗殺には不向きだ。そこでテロリストは片手で扱える小型拳銃を用意したらしい。
しかも、ジャムるのを恐れてか、回転式の拳銃を。確かに回転式なら自動式とちがって弾丸が拳銃内で詰まる心配はない。
撃鉄を上げる音も、この雑踏なら誤魔化せると踏んだのだろう。…俺以外なら誤魔化せたかも知れない。
だが、甘くみたな。俺はスクールの被験者だ。そして、ゼオラも。
「…」
ゼオラは俺の肩越しに周りを探る。すでに狙撃者の眼になっていた。
「…いました。4時の方向…距離6m」
「なら6ミリだな。よほど狙わないと致命傷にならない」
俺はわざとゼオラを強く抱き締め、ジャケット下の防弾チョッキを浮きだたせている。防弾チョッキの前では6ミリなど豆鉄砲だ。
そして、俺がゼオラを抱き締めていれば、標的であるゼオラを撃つ事はできない。
「…行きました」
やがてゼオラが注意深げに囁いた。テロリストは諦めて去ったらしい。
俺はそっとゼオラを離した。改めて見たゼオラは、それでも顔を真っ赤にしている。
「…先輩」
「わかってる、ゼオラ」
さっきからやたら周りがうるさい。
「私、我慢できません」
「…俺もだよ、ゼオラ」
やたらとシャッターを切る音と、でかいレンズが無遠慮にこちらを見ている。
「…先輩」
「…ゼオラ」
『おーっと、堅く抱き合った2人が見つめあって…今日のベストカップルは…』
マイクをもったレポーター。その時、俺とゼオラはうなずきあった。そして…
『今日のベストカップルはぁぁ~…君たちだぁぁあっ…て、何で逃げるの!?』
俺たちは走った。
本気で。

412:6
07/08/08 17:35:38 oJOyTLeV
「はぁ…はぁ…」
恋人たちの雑踏を駆け抜け、俺たちは倉庫が建ち並ぶ一角で一息ついた。
周囲を埋め尽すシャッター音、どでかいレンズ…ついさっきあった事ながら、思い出すだけで血の温度が上がる気がする。
それはゼオラも同じなんだろうか。息は荒いが顔は伏せたままだ。
「大丈夫か、ゼオラ…」
「……」
ゼオラはうつむいて手を胸に当て、息を整えようとしている。無理もない。かなり走った。
「……先輩」
「…どうした?」
ようやくゼオラが口を開いた。
「先輩…私、変です」
「ど、どうした?…まさか!?」
ゼオラの訴えに、俺は思わず彼女を振り返る。
「……」
「黙ってたらわからない!何だ!?どうした!?」
「…私…胸が…」
「苦しいのか!?」
「はい…ドキドキが…止まらなくて…」
「…っ!?」
「…先輩…」
顔をあげたゼオラの瞳は、艶やかに潤んでいた。ゼオラの甘い吐息が頬をなでる。俺はその瞬間、電撃を浴びたかのように硬直した。
視界はやたらに鮮明で、皮膚の感覚もいつもよりかなり敏感になっている。
しかし耳には早鐘を打つ心臓の音しか聞こえない。そして何より、頭の芯がぼうっとして、地に足をつけている感じがしない。
何だこれは…。酔っているのか? 俺の目も耳も体全体も、頭の芯までも、酔っているのか? この…ゼオラに。
が、その考えがまとまる事はなかった。一発の銃声が耳を、飛び散る荷台用の木枠が目を現実にたち戻らせる。
俺は反射的に射線を追った。俺の目がその先にいる、1人の男を捉える。
「噂は本当だったようだな、アリシア嬢がSPとできてるってのはよ」
「貴様…地球原理主義教導団の者か!」
「答える義務はないな」
テロリストは冷静だ。恐らく、教導団のメンバーではあるまい。金で雇われた暗殺のプロだ。
「…ちぃっ」
テロリストは悠然とした歩調で寄ってくる。俺はゼオラを守るように体を動かした。ゼオラを背後で身を縮めさせる。
俺はそこで状況を確認した。
殺し屋との距離は約10m。武器はさっき木枠を吹き飛ばしたところから見てもかなりの大口径。つまり俺の防弾チョッキは紙同然。
しかも、この距離では銃声を聞いた後では弾をよけるのはほぼ不可能。
加えて、こちらの武器は護身用スタンガンのみ。
作戦開始時から俺たちの行き先はモニターされているはずだが、ATXチームはおろか、バックアップ要員の姿すら見えない。
孤立無援、武器なし。最悪だ。
「さて、幕だ。アリシア嬢、あんたに恨みはないが、これも仕事でな。あんたが寂しくないように、先にこのSPをあの世に送ってやるぜ!」


413:7
07/08/08 17:37:12 oJOyTLeV
「待って!」
その時、ゼオラが叫んだ。
「…何だよ、お嬢さん。命乞いは聞けないぜ?」
「そんな事はしません。…あなたに言われなくても、この状況を好転させるのが難しい事はわかります」
「じゃあ何だよ?」
「…最期の別れを」
「ああん?」
「愛する者との、最期の別れを…あなたも人なら、最後に慈悲を…」
「フン…なるほどな。ああ、いいぜ。ただし、3分だけだ」
圧倒的有利にある立場への奢りか、殺し屋はいとも簡単に許可をだした。
それよりも、ゼオラの口調がアリシアを演じたままな点が気になる。何か策があるのか?
ゼオラは殺し屋に礼を言うと、俺を振り返らせた。そして、芝居がかった言い回しで、演技を続けた。
「現世で実らない愛なら、せめて来世で結ばれましょう」
そこでゼオラが俺の胸にもたれかかる。
「アリシア様…」
俺はゼオラに合わせる。合わせるしかない。ゼオラは俺の右手をとって自分の頬に当てた。殺し屋から見れば、悲哀にむせぶ恋人同士に見えるだろう。
そこで、ゼオラは小声で言った。ここまで近付かねば聞き取れない程の小ささだ。
「先輩、私が合図をしたら、飛び退いて下さい」
「…策があるのか?」
ゼオラがそっとワンピースの裾をたぐる。ぎょっとした俺の目に映ったのは、白い太股とゼオラの趣味とは思えない、ガーターベルト。そしてそこに納められた、護身用の小型拳銃。
「…私を信じて下さい」
「う、うん…。ま、この状況なら、何にだってすがるさ。任せる、ゼオラ」
「先輩…ありがとう」
ゼオラは顔を伏せた。俺はゼオラを包む腕にそっと力をこめる。願わくば、ゼオラの決意の力となれ…
「…そろそろ時間だ」
殺し屋の冷徹な声が乾燥した倉庫に響く。俺は殺し屋に向き直り、ゼオラを守るように両手を広げた。
「…いい覚悟だ、SP。だが、あんたを殺った後は、愛しのアリシア様の番だぜ?」
殺し屋はゆっくりと銃を構える。奴の視線と銃口。これは外れる。
銃声。
やはり弾は俺の髪をかすって行った。
「大した度胸だ、かっこいいよ、あんた」
殺し屋が嘲り笑う。おのれ、なぶる気か。
「三流の殺し屋風情に俺を恐れさせる事などできん。殺す気なら、よく狙う事だ」
「…何だと?」
「獲物を前に余裕を見せるのは三流の仕事だと言ったんだ。もう一度チャンスをやる。よく狙え」
「てめえ!」
殺し屋は激怒した。間違いなく、俺の眉間を狙っている。
「もう少し遊んでやろうと思ったが…いいぜ、お望み通り、ブッ殺してやる!」
殺し屋の目に殺意が宿る。殺意が目から腕を伝い、弾金にかけた指にこもる瞬間…
「先輩、よけてッ!」
ゼオラの叫びと銃声はほとんど同時だった。身を躍らせた瞬間、何かがそこを走り抜けたのがわかる。
「ぐあっ!」
甲高い衝撃音の後に悲鳴をあげたのは殺し屋だった。ゼオラの弾丸が、殺し屋の銃を直撃したのだ。
しかし、殺し屋は銃を落とさなかった。俺を殺すつもりで銃を握り締めた力が、ゼオラの弾丸に勝ったのだ。
「ざァんねんだったなぁぁあ!!」
殺し屋が嘲笑で顔を歪める。つきつけられる銃口。殺し屋が弾金をひく…
「…?」
しかし、殺し屋の銃は主の怒りに応える事なく、沈黙したままだった。
「畜生!何だってん…なぁあ!?」
殺し屋の顔が今度は驚愕に歪んだ。ゼオラの弾丸は、殺し屋から銃を奪うために轟いたのではない。彼女は、殺し屋の銃のセーフティを撃っていたのだ。
「ば…馬鹿な!」
当然、セーフティを解除しなければ銃は撃てない。焦った殺し屋がセーフティに気を取られた瞬間。
その一瞬の隙があれば十分だった。俺はスクールの耐G・高速強襲課程被験者。俺には超高速機動時のあらゆる事象に対応する反射神経がある。
「糞ッ…味なま…」
殺し屋がセーフティを解除し、再び殺意をこめた目に映ったのは、眼前につきつけられたスタンガンだった。
「獲物を前に、獲物から目をそらすとはな。…お前は四流だ」
殺し屋は何か言いかけたが、俺は迷いなくスタンガンの弾金を弾いた。

414:ラスト
07/08/08 17:38:40 oJOyTLeV
『いやん、途中で大尉たちをロストしちゃってねぇ。無事でよかったわー』
基地に連絡を入れた俺を迎えてくれたのは、エクセレンの緊張感のない声だった。
「よかったわー、じゃないだろエクセレン!こっちは大変だったんだぞ!」
『それについては反省しています、大尉。しかし、ゼオラと大尉ならば任務遂行は不可能ではないと信じ、お2人に賭けました』
「キョウスケ…お前が分の悪い方に賭けたがるのは知ってるぞ…」
『…光栄です』
「ちぇっ…」
任務は完了した。捕えた殺し屋から、テロリストのメンバーの情報も得られるだろう。尋問にはキタムラ少佐が当たるそうだ。お気の毒に。
ゼオラはバックアップが不十分だった事に対する不満よりも、任務をやり遂げた事への喜びが勝っているようだ。
エクセレンやキョウスケと話す声も弾んでいる。
「…そういえばゼオラ、どうして拳銃をもってる事を教えてくれなかった?」
「え!?」
「え、じゃないだろ。あればあるで、あんなに危ない橋を渡ることもなかったのに」
「そ…それはぁ…」
『おほほほ…』
ゼオラとエクセレンの歯切れが悪い。
「か、可憐な白いバラにも棘はあるって…」
「何だって?」
『だって、任務とはいえ、ゼオラちゃんと2人きりですものん。それは、ゼオラちゃんの護身用♪』
「な…どどどどういう意味だエクセレン!」
『大尉だって男でしょ。男は狼ですからん♪ね、ベーオウルフさん』
「何だとー!」
『何故そこで俺に振る。…しかし大尉、自分は賭けに負けました。大尉を少し見損ないました』
「キョウスケ!お前は何の賭けをしていた!?」
『チャンスを見つけたら、撃ち貫くべきです』
「だから何の!?お前ら、俺はゼオラのせせ、先輩であってだな…」
『あらん、この映像を見てもそんな事が言えるのかしら?』
エクセレンの笑顔とともに画面が切り替わる。映っているのは、腕を組んだ恋人たち。そして…
『固く抱き合った2人が今、見つめ合い…今日のベストカップルは…君たちだぁぁぁあ!』
「ぎゃあああああ!!」
こ、これはぁぁぁ!さ、さっきの…
『申し訳ありません大尉、生放送だったので番組最初から録画できませんでした』
『でも、大尉たちのバックアップはできなかった分、こっちのバックアップは万全よん。じゃ、気をつけて帰ってきてね』
通信は切れた。
ななな何てこった、あんな映像が…
ふとゼオラを見れば、恥ずかしそうに顔を伏せている。
「ま…まあ、その…何だ。ゼオラ…」
俺は任務を終えて、しょげているゼオラを見て思った。
エクセレンに言われたからからではないが。
「…はい?」
約束。そう、約束だ。
「任務も終えたし、あれだな…」
「…?」
「約束。俺は守るから」
きょとんとしていたゼオラの顔が、ぱっと明るくなる。基地に戻るまでの間くらい、任務も、スクールの事も、パイロットである事も忘れていいだろう。
「さあてゼオラ、まず、どこへ行きたい?」
「はいっ!まず最初は…」
俺たちの休暇は、今から始まる。
嬉しそうにはしゃぐゼオラ。
これから、この顔を何度見れるだろう。
この話は、いずれ…
機会があったら。

~Fin

415:それも名無しだ
07/08/08 22:54:54 qaDPoFdG
>>407-414
投下乙&GJ。
クラウドも知らなかった隠し玉が勝利の鍵ってのが面白かった。
その隠し玉の本当の意味を知って、笑わせてもろたけど。



ところで、俺の足下に転がってる俺自身の首なし死体を見てくれ。
こいつをどう思う?

416:それも名無しだ
07/08/09 23:30:15 vDCF906k
死ねと呼ばれた邪神が帰ってきましたよ

417:それも名無しだ
07/08/11 15:25:14 szOhBbo3
保守

418:それも名無しだ
07/08/12 18:33:14 ZudedWbn
基地の近くの砂浜に、SRX組全員が集合した。

今夜はささやかながら、みんなで花火大会をやるのだ。

しかし花火も良いが、浴衣姿の女性陣もなかなか良い目の保養になるな……日本の夏よ、ありがとう。

「よぉーし!んじゃ派手に始めるかぁ!」
早速リュウセイがロケット花火を打ち上げる。
それを皮切りに、みんな持参して来た花火を楽しんだ。

「いっくぜぇーっ!ハイゾルランチャー、シューッ!」
リュウセイがR-2パワードの真似をして、花火を肩にかつぐように持って火を点ける。

あぶねぇな!火花が目に入ったらどうすんだ!

「私もやる!ハイ・ツインランチャー発射!」
マイもリュウセイの真似をして、花火を肩にかつぐ。
えぇい!いちいち張り合うんじゃねぇ!
「うるさい!いけ、T-LINKブーメラン!」
うおっ!今度はネズミ花火をこっちに放りやがった!
こんのガキャアアアッ!俺のハルバード・ランチャー叩き込んだろかい!
「あなたも張り合ってどうするの!」
別の花火を手にして叫ぶ俺の頭を、アヤが絶妙なタイミングで叩いた。

そんなこんなで、最後はみんなで線香花火をして、花火大会はお開きとなった。
みんなで後片付けをしたら、解散する。

俺はアヤを連れて、もう少し夜の浜辺を歩く事にした。

月明かりが、少し先を歩くアヤの、襟口から覗く白いうなじを照らし出す。
格好が格好なだけに、いつも以上に色っぽかった。



419:それも名無しだ
07/08/12 18:36:16 ZudedWbn
>>418
「本当に静かね……まるで世界中に、私たち二人しかいないみたい……」
詩でも詠むかのように、アヤはつぶやく。

―実際そうならないだろうかと、俺は時々物騒な事を考える。
誰も邪魔する者のいない世界で、思う存分アヤと愛し合いたい……そう夢想する事がある。

「綺麗な夜空……お月様があんなにくっきり出てるわ」
足を止めて、満月を眺めるアヤ。
だが俺は、月を見たりはせず、明かりに引き寄せられる蛾のように、フラフラとアヤに近付き、抱き締めた。
「な……なに……?」
いきなりだったから、驚いたようだ。
子猫のように目を見開くアヤの頬は、ポゥッと赤らんでいた。

アヤが可愛いから、抱き締めたい。
ダメか?

「ダメも何も……もう抱き締めてるじゃない、甘えん坊さん」
アヤは左腕を俺の腰に回し、右手で後ろ髪を撫でてくれた。

俺も同じように、アヤの髪を撫でる。
次いで両手を、アヤの顔を挟むように添えた。

「恥ずかしい……」

俺の意図を察して、アヤが濡れた視線を向けながらつぶやく。
誰も見てないから、良いだろ?
「でも……月が……見てる……」
言われて、ふいっと月を見上げる。
確かに、俺たちをじっと見てるかのようだ。

―見せてやろうぜ。

俺は意地悪く答える。
お月様に、俺たちがどれだけ深く愛し合ってるか、見せ付けてやろうぜ。

「あ……もう……馬鹿」
アヤは満更でもなさそうだ。
何かを受け入れるように、スウッと目を閉じる。

俺も目を閉じて、ゆっくりと唇を重ねる。

すぐに、アヤの両腕が首に回り、俺も彼女の腰に腕を回したのだった。



420:それも名無しだ
07/08/13 09:16:14 SNuFSLbF
とりゃー。
ラトと同居人ですぜ。
最近近所の美少女に勉強教えてます。脳内で。

>>400-402
プールネタ来たー。
しっとり濡れたアヤ大尉に密着して座られたら、どんな男でもそりゃとろけるってばよ。
>>403-404
ゴルァw
全く、大尉はもう。

>>407-414
おお、おひさしー。
敵に焦点がきちんと合ってるし、センスいい文章で小気味良く話が進むので読んでいて楽しいし。
クラウドについても考察が進んでよりリアルになってる感じが。
ちょっと残念なのはビジュアル的に盛り上がりが少なかったかなーと。
トリプルバードストライクみたいな。(←この話でどうやってそれを出すんだ
流れ的に無理な事言うな!と怒らないで下されw

ともあれGJ!

>>418-419
花火大会で騒ぎ、二人きりの時の落ち着いた雰囲気を落差で強調したのがいいねー。
とてもほんわかしたよ。
その場にいる気になった。
GJ!

>>415
ブザマね。(赤木リツコ

いや、嘘です嘘!そんなアヤ大尉、いきなりR-3に乗り込んでどうしようと(スラッシュブーメラン

421:それも名無しだ
07/08/13 09:19:17 SNuFSLbF
ストライクシールドだった!

422:それも名無しだ
07/08/13 09:52:41 Cx13WB0a
>>420
>最近近所の美少女に勉強教えてます。脳内で。

ああ、それでラトゥーニが、アルティメット・ゴースト・アタックの練習してたのか。


ん?どうした、マイ。
なに?R-GUNのスラッシュブーメランがなくなってる?

お、見ろ。R-3の所に置いてあるじゃねーか。整備班が間違えてあっちに持ってっちまったんだろーな。
……血が付いてるよーに見えるのは、たぶん気のせいだ。


ん?なんだ?
なに、俺の首に縫い目があるって?
はっはっは、何言ってんだ。そんな訳な……(首筋に手をやる)

何じゃ、こりゃああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!














……ふぅ、夢か。
何はともあれ、感想サンクス(・ω・)/

423:帰って来た男①
07/08/14 19:41:36 2031cVKt
―訓練が終わった後、俺たちSRX組はブリーフィングルームに集まった。

今夜はリュウセイの提案で、いわゆる百物語をやる予定だ。
と言っても、六人で百話はちょいとキツいので、一人五話ずつという事になったが。

室内の灯りを消し、持ち寄った蝋燭に火を点ける。
後は、順番に怪談話をしていく度に、一本ずつ火を消していけば良い。

「そういえば、こういう催しは、最後に何かしらの怪異に見舞われると聞いた事があるな」
蝋燭の灯りを眺めながら、ライがポツリと漏らす。
「百話語り終えた後、そういう事があるって話らしいわね……」
「そ、そうなのか?アヤ……」
「大丈夫よ、マイ。もう旧西暦の頃から行われてるけど、本当に何かあるんなら、みんな怖がってやらなくなるでしょう?今も伝わってる催しって事は、結局何も起こらないって事よ」
そう答えながら、アヤは怖がってしがみつくマイの頭を、優しく撫でてやった。

―場合によっては、九十九話目を話し終えた時点で起こる事もあるがな。
「そうなの?」
ヴィレッタの姐さんが尋ねる。

「あ、俺も聞いた事あるぜ?最後の百話目が一番怖くて、でも後から思い出しても、誰もその百話目は話してなかったってやつだろ?」
お、知ってたか、リュウセイ。
「ふむ……確かに九十九話目を終えた時点で、いる筈のない人間が百話目を語るという怪異が起きてるが……」
「百話全て語り終えた後、『最後の一話を語った者が誰かわからない』という怪異が起きた……とも取れるわね」
「もう!隊長もライもそこまで!まだ一話も話さないうちから、マイが怖がってるじゃない!」
アヤがマイを抱き締めながら、二人を強い口調でたしなめる。

すまんすまん。
んじゃ、マイが泣きべそかいて小便漏らさないうちに、始めるか。
「わ、私はそんなに子供じゃない!」
マイが顔を真っ赤にして反論する。
ふふん、それだけの元気があれば大丈夫だな。



424:帰って来た男②
07/08/14 19:44:48 2031cVKt
>>423
という訳で、順番に怪談話を語り出す。
一つ話し終える度に、蝋燭を一本ずつ消していく。
徐々に闇が濃くなっていき、少しずつ怪しい雰囲気に―ならないんだな、これが。
今夜も月が明るい。
窓から差し込む月明かりが、部屋全体を青白く照らしてくれていた。
カーテン閉めた方が良くね?と誰も指摘しなかったのは、結局俺も含めて、みんな怖かったって事だ。

最初は好調に進んでいたが、段々ネタ被りが出て来た。
おかげで全員が話し終えた後も、まだ蝋燭が残っていた。

仕方がないので、被ったネタも、語った物として消していく。
が、誰か余分に用意したのか、はたまたカウントを間違えたのか、蝋燭がまだ一本残っていた。

どうする?これも消してお開きにするか?

「では、俺が締め括りに実体験を話そう」
おお、やれやれ。

「うむ、あれは俺がPTX小隊に所属していた頃の事だ」
早速スタンダードな語り出しで、最後の一話が始まった。



「―基地の格納庫にあるトイレに、血まみれの男の幽霊が出る。そんな噂をイルムが聞きつけ、本当かどうか確かめに行こうと言い出した」
へっ、あの人らしいぜ。
「寝苦しい熱帯夜の、暑気払いの余興にはちょうど良かろうと、俺も付き合う事にした。リンは馬鹿馬鹿しいと言って取り合わなかったが、イルムに上手く挑発され、同行する事になった」
リンってぇと、イルム中尉の恋人で、マオ・インダストリーの社長さんだっけか。
「そうだ。俺たち三人は、深夜の二時に件のトイレに一緒に入った。言い出した本人のイルムが及び腰だったのが、今にして思うと微笑ましいな」
何やってんだか。
その様を想像して、思わず吹き出しそうになる。
「幽霊は、手前から三つ目の個室に出るらしい。だが、イルムは個室のドアを開けようとしない。どうやらここまで来て、本当に怖くなったらしい。リンに開けてくれと頼む始末だ。
だがリンはリンで、馬鹿馬鹿しいだの興味ないだのと言って開けようとしない。これでは埒が開かないので、俺が開ける事にした」
みんな声も立てずに、じっと聞き入っている。
「二人を押しのけ、ガタが来ているのか、少々キツくなっているドアを開けた瞬間―絶叫が走った」


425:帰って来た男③
07/08/14 19:47:55 2031cVKt
>>424
絶叫って、誰の悲鳴だよ。
「誰のものでもない。叫び声は個室の中―洋式便器に腰掛けた血まみれの男の口からほとばしっていたのだ。
目は虚ろで、どこかを見てるようで、どこも見ていない。
顎が外れてるんじゃないかと思うほど大きく開かれた口から、基地全体に響き渡るような大声で叫んでいた」
―その様子がまざまざと想像出来て、俺は不覚にも、背筋にゾワゾワしたものを感じた。
「俺たちは火が点いたように、逃げ出した。俺もあの時だけは、恥も外聞も捨てて全力で走った。
そして、三人で朝になるまで、俺の部屋で寝ずに過ごしたのだ。恐怖で眠気など、完全に消し飛んでいた」
あのイルム中尉が、恐怖で眠れず、じっと朝を待つなんて、ちょっと想像付かねえな……。
「だが事実だ。そして朝になり―昼になってから、俺たちはもう一度あのトイレに行く事にした。
トイレに入り、もう一度三つ目の個室を開けようとして、俺はその時、また別の恐怖に包まれた。
―個室は、二つしかなかったのだ」
じゃあ、掃除用具入れも間違えて数えたんじゃね?
「いや、掃除用具入れはトイレの外に設けられている。つまりそのトイレには、どう考えても個室は二つしかない事になる」
えーっと、それじゃあ……。
「だが、俺はあの夜、確かに三つ目の個室を開けたのだ。ある筈のない、三つ目の個室をな……」

そして、最後の蝋燭の火が、ふっとかき消された。

―以上で、百物語終了、と。
しかし、最後の話は、怖い上にスッキリしねえな。
「しかしライ、お前案外物真似上手いな」
「……いや、俺は話してないが」
「え?そんじゃあ……」
「違うわよ。彼は相槌打ってたじゃない。だいたい、会った事もないのに、物真似なんて……」
「じゃ、隊長か?」
「失礼ね、リュウセイ。私の声は、そんなに低くないわよ」

みんな、自分じゃないと否定する。

426:帰って来た男④
07/08/14 19:50:32 2031cVKt
>>425
―いや、つーかね諸君。
さっきから俺の隣にいる、ロングヘアのお兄さんは誰なんですかい?
何か普通に相槌打っちゃったけど、うちにこんな背の高い奴いたか?
「……って事は」
リュウセイの声が震えている。
「まさか……」
ライも声がうわずっていた。
「本当に……」
アヤも信じられないようだ。
「帰って……来たの……?」
ヴィレッタの姐さんも、珍しく声が震えている。

『出たぁぁぁぁああああぁぁああっ!!!!!!!!!!!!!』

異口同音に悲鳴を上げて、みんな一斉にブリーフィングルームを飛び出す。
マイも釣られるように、一瞬遅れて逃げ出していた。

「何も……そこまで怖がる事もないと思うが……」
いや、まぁ時期が時期だし。
不覚にも逃げ出すタイミングを失った俺は、そう答えた。
「夢枕に立つくらいにとどめるべきだったか……」
「もう気は済んだだろう。帰るぞ」
月明かりがロン毛の脇にもう一つの人影を照らし出す。
「うむ、そうするか」
ロン毛はそいつにそう答えた後、俺の方に向き直る。
「驚かせてすまなかった。みんなにも、よろしく伝えておいてくれ……SRXチームを、頼む」
次の瞬間、蝙蝠の翼を生やした悪魔のような影が、部屋全体を覆う。
影が消えると、二人の姿も消えていた。

―誰もいなくなった、ブリーフィングルーム。
俺は蝋燭をかき集めて、ゴミ箱に捨てた。
そして、乱れた机や椅子を元通りに並べる。

後片付けが終わると、窓際に立ち、月を見上げた。

―まぁ、お盆だしな。

何となく、それで納得した。



427:それも名無しだ
07/08/15 06:40:23 I1DCHHbd
>>423-426
お盆になんてもの投下してくれやがりますか。
怖くておトイレ行けなくなるっての。
GJ!

後、幽霊の正体。
…イングラムでいいんだよね?
もう一人は悪魔?
とするとイングラム少佐……地獄に堕ちたのか!

死んでからもSRXチームの事を考えている少佐が、ちょっと微笑ましく見えたりしたり
しなかったりいたしましたですのことよ。

428:それも名無しだ
07/08/15 07:52:19 96PDH0RF
>>427
もう一人=クォヴレー

悪魔みたいな影=ディス・アストラナガン


アニメに出てたとは言え、一応GBA版OG準拠だから、敢えて明記は避けたんだが、わかりにくかったか……orz


429:それも名無しだ
07/08/15 08:08:37 I1DCHHbd
ごめん。実はアニメ見てない。
冒頭でPTX所属だったって言ってたからさ。
思いつくメンバーがそれしかいなかった。

よく判らんものに憶測でコメント入れるもんじゃないなー。

430:それも名無しだ
07/08/15 08:46:04 96PDH0RF
>>429
ドンマイ(・ω・)/

それにイングラムは、リュウセイともども地g


     し
     ば
     ら
     く
     お
     待
     ち
     下
     さ
     い
      ゜



431:それも名無しだ
07/08/15 18:23:33 sgsJ2sN8
新参者です。

タイムリーなネタ投下GJですよぅ。

やっぱりお盆ですからね。
他の方々も出てきたら怖いやら懐かしいやらw

おもしろかったです♪

432:それも名無しだ
07/08/15 18:39:46 96PDH0RF
>>431
サンクス(・ω・)/

みんな戦争で亡くした仲間や知人を思って、しんみりしてるかも。

>>429
遅ればせながら、感想サンクス(・ω・)/

ラトゥーニも、オウカ姉さんのお迎え準備してたりするんだろうかと、ふと思った。


433:それも名無しだ
07/08/17 16:51:40 +OrYRLVr
>>432

新参者ですが、こんなのを想像しちゃいました。

リューネ:「ねぇ、マサキ。あの提灯もってる人たち、何してんの?」
マサキ:「あぁ、今はお盆だからな。ご先祖さんを送りに行ってんだろ」
リューネ:「へぇ…ならさ、うちの親父も…」
ビアン:「親父ではない!いつも『お父様』と呼びなさいと言ってるだろう!!」
リューネ:「おおお親父っ!?」

マサキ:「馬鹿な!あんたは死んだはずだろーっ!?」
ビアン:「リューネ!お前はまたそんなはしたない格好で!
それからマサキ・アンドー!いくらリューネが可愛いからと言っても、わしの眼の黒いうちは許さんっ!許さんぞ!!」
リューネ:「可愛いなんて…親父ったら正直なんだから…」
マサキ:「死人が『眼の黒いうちは』とか、突っ込むとこ満載だがとにかく、何故ここに!?」
???:「フフフ…お困りのようですね、マサキ・アンドー!」
マサキ:「あっ!てめえはイングリィ!」
イングリィ:「貴方たち日本人が裸足で逃げ出す怖いもの、それは『地震』『雷』『火事』そして『親父』!
…貴方の親父はちょっと見付からなかったので付き合っている彼女の親父を呼んでみました。
…ククク…恐ろしいでしょう、マサキ!」
マサキ:「『付き合っている』とか、てめえの発言にも突っ込み所満載だが、死んだ人間をどうやって!?」
イングリィ:「フッ…私の開発した全自動イタコマシン『もってけ!死装束』があれば、この程度は造作もない事です。…それに、付き合ってないふりをしても無駄無駄無駄ァ!なのです」
リューネ:「付き合ってる…ば、馬鹿ぁ!そんな大きい声で…いやん」
マサキ:「この状況でどーしてお前はそんなに嬉しそうなんかなあ!?」
ビアン:「何と…すでにリューネには…父として悲しいが、これもいつか通る道!マサキ君!娘をよろしく頼むよ!」
マサキ:「あ…あんたさっき、『眼の黒いうちは』とか言ってなかったか!?」
ビアン:「はっはっは、死人のわしの眼が黒いわけがなかろう。なかなかおもしろい青年だな、マサキ君は!」
マサキ:「その初対面みたいな話し方はやめいっ!」
ビアン:「…しかし、娘の元気な姿が見られて良かった…これでわしも…」
マサキ:「!…おっさん…」
ビアン:「これでわしも、DCから足を洗えるというもんじゃ!」
マサキ:「だから問いたい!死人のあんたに足があるのか、小一時間程問いつめたいッ!」
ビアン:「おっと、時間だ。わしは今は消えてしまうが、お前たちの事はいつも見ているぞ」
リューネ:「…親父」
マサキ:「おっさん…」
ビアン:「来年の盆には、孫の顔が見られるのを楽しみにしておるぞー♪さもなくば三族までもれなく祟っとくからそのつもりで。ではさらばッ!」
リューネ:「や、やだ親父ったら!」
マサキ:「な、なんであんたはそう消え際にまで突っ込むとこ満載にしていくかなー!イングリィ!もう一回呼べ!このままじゃマジで孫を…て、いねぇぇぇ!?」

フフフ…どうやらうまく撒けたようです。今回はマサキを精神的に追い詰める計画でしたが…
ここまで完璧に追い詰める私の天才ぶりが恐ろしい。
そう、私は天才。
フフフ、今回は私の完全勝利ですね。

マサキ:「な、何だよリューネ…そんなにくっつくな!」

…釈然としないものもありますが、まあいいでしょう。
とにかく、私は天才!
天才なのです!
今回、活動が地味だったのは暑さでテスカ・ロッサがオーバーヒートしたからじゃありません!
ところでそこの貴方。現在、私は魔装機神テスカ・ロッサの操者を探していますが…
いいからだしてますね。
イングリィ・チームに入りませんか?
もし「モングリィ・チーム」と書いて応募してきたら「もってけ!死装束」で怖い人を枕元に立たせますのでお気を付け下さい。


434:それも名無しだ
07/08/18 10:47:16 PF7a9i4m
モングリィのくせに、何気に凄そうな物発明してんじゃねええええっ!

 G  J  !!

しかし、あれだな。
プラーナ増幅機とか作りゃいいのに。
やはりイングリィはモングリィかw



む?どーした、ライ。
なに、兄嫁にもう一度逢いたい?
リクセント公国を敵に回したくないからやめとけ。


435:それも名無しだ
07/08/19 06:43:30 yoMQOLTs
愛は深まるわビアンに取り付かれるわ。
なんというか、カオス増大?

GJ!

ラト、ステッキなんてどうして振り回してんの?
時空因果律の変換?なんだ、それ。

うわわわわ、黒髪の変なお姉ちゃんが出てきた!
しかも足無いし!浮いてるし!透けてるし!
た~すけて~!

436:君の夫は、もういない
07/08/19 20:57:23 n3VbNlXC

オーブ宇宙要塞、アメノミハシラのミナ自室。
ソキウスに連れて来られた五人がそこに立っていた。

ミナ「…なるほど、フューリーの皇女シャナ=ミア・エテルナ・フューラにミスリルのエキスパート相良宗介、
  ブレン乗りのヒギンズ・サスと八卦衆が一人耐爬、そして連合ブーステッドマン最後の生き残りオルガ・サブナックか」
オルガ「…ん?ちょっと待ってくれよ」

ミナの言葉にγ‐グリフェプタンを摂取し落ち着きを取り戻したオルガが口を挟む。

オルガ「ゼアも言ってたが、最後の生き残りってどういうことだよ?クロトもシャニもまだ生きて……」
ミナ「死んだよ。私の依頼で彼らはヘリオポリスへ向かっていたのだがね、途中でユーラシアのMSに撃墜された」
オルガ「……!!……あいつらが……!?」

オルガはその場に力なくへたりこんだ。

シャナ=ミア「オルガさん……」
ミナ「さて、シャナ=ミア殿、よろしいかな?」
シャナ=ミア「あ、はい……」
ミナ「話を聞く限り、君の夫、ゼア=ウィド・クレーズにかかっているのは精神操作の類ではない。奴ら独自の医療技術で記憶を消され、
  別の人物を通して新たな記憶を教え込まれた。ある意味精神操作より最悪だな。戻る確立は限りなく0に近い」
シャナ=ミア「……!」
ミナ「それでも、取り戻したいか、彼を?」
シャナ=ミア「……はい」

ユーラシア連邦宇宙要塞アルテミス、ゼア=ウィド自室。

ゼア=ウィド(結局あの後ガルシア司令に有り得ないくらいしぼられた。今回の任務はあくまで哨戒。敵の殲滅ではないというのに……)
メリオル「クレーズ特務兵、よろしいですか?」

一言断ってからメリオルが部屋に入ってきた。
その顔は何時になく神妙であった。
その後からカナードも入ってくる。

ゼア=ウィド「どうした、メリオル?カナードまで」
メリオル「今日は、あなたに真実を伝えにきました。とりあえず、オルテギュアまで来てください」
カナード「…………」
ゼア=ウィド「?ああ……」

ガルシア「何!?メリオルとカナードがゼア=ウィドをオルテギュアに!?」
兵士「はっ」
ガルシア「ええい、奴らを取り押さえろ!急げ!」
兵士「了解!」
ガルシア「早くしろ……ゼア=ウィドが本来の記憶を知っては手遅れだ……!」


437:君の夫は、もういない
07/08/19 20:59:42 n3VbNlXC
お久しぶりです。
鯖落ちで手も足も出なかったところへ友人の助言でなんとかなりました。
話はここからクライマックスへと直行の予定ですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
以上、24時間テレビ実は見てないゼア=ウィドでした。

438:それも名無しだ
07/08/21 12:27:54 FZ9xGc4L
>>327
GJ。
さぁ盛り上がってまいりました。
続き楽しみにしてるよん('-^*)/

439:それも名無しだ
07/08/23 13:10:07 Quk7jPFW
着替えを無造作にバッグに詰め込み、部屋を出る。
廊下で待っていたアヤと一緒に第二飛行場へ向かい、そこで待機している輸送機に乗り込んだ。
機内には、既にケンゾウ博士が乗り込んでいた。
俺は軽く頭を下げるだけの簡単な―というより愛想のない挨拶を済ませる。

このジジイがアヤにした事を思うと、未だに怒りが湧いてくる。
顔を合わせる度に、ぶん殴ってやりたい衝動に駆られる。
とはいえ、肝心のアヤがジジイのやった事を許しちまってるんだから、今更俺なんかがどうこう出来る訳がない。

このジジイを許すつもりはないが、アヤの為に、責めるような事もすまい。

とりあえず、今はそういう方針でいく事にしていた。



輸送機が、滑走路へ移動を始める。
俺は博士から離れた席に座った。
アヤがその隣に腰を下ろす。
少しして、輸送機が離陸した。
窓を覗くと、チームのみんなが機体に乗り込んで演習場に出ているのが見える。
みんなもこちらを確認したらしい。
R-1とR-GUNが、大きく何度も手を振っていた。
R-2や姐さんのヒュッケバインmk-Ⅱ・Mも、軽く手を挙げて、俺たちを見送ってくれた。

それを見て、アヤも手を振り返す。

今生の別れでもないのに、大袈裟な連中だぜ。

苦笑しながら、俺もつい、彼等の方へ向けて手を振ってしまっていた。



440:それも名無しだ
07/08/23 13:13:03 Quk7jPFW
>>439
その後俺は、機内格納庫の方へと移動した。
そこには、R-3パワードとアシュセイヴァーが搬入されている。

二つの機体を見上げながら、俺は事の経緯を思い出していた。



―T-LINKシステムを利用した新型レーダーがテスラ・ライヒ研究所略してテスラ研で開発される事となり、システムの開発者であるケンゾウ博士と、オペレーターとしてアヤが、テスラ研に行く事になった。
寂しくなるなーなんてガキっぽい感傷にとらわれた俺の胸の内を見透かしたように、姐さんは俺に、二人に同行するよう命じた。

しかし俺は、この都合の良い展開が素直に喜べなかった。
聞けば、テスラ研の方で、俺を指名しているらしい。
向こうに、俺に用事のある相手なんていない筈なんだがな……。
だいたい、アシュセイヴァーまで運ぶ理由がよくわからん。
R-3は、まだわかる。
アヤに必要不可欠だし、T-LINKシステムのサンプルも兼ねているんだろうからな。
しかし、アシュセイヴァーはいらねーだろ。それとも、テスラ研が俺を指名したのと、何か関係があるのか?

……何とな~く、嫌な予感がするぜ。

アシュセイヴァーを見上げながら、俺は朝っぱらから疲れた笑みを浮かべてしまった。



441:それも名無しだ
07/08/23 19:21:29 uuvahSR2
>>439-440
お、新展開?連載形式?
嵐の前の静けさな感じ。

レーダーのテストに護衛はいらないよなあ。
額面通りの命令では無さそうだ。

ん?ラト、言いたい事があるって?基地で言えなかったから?
なになに。
……ケンゾウ博士に怒らないであげて?

うーん、怒る時は怒る人らしいからなぁw
多分、だけど。大丈夫じゃないかな?

そいじゃ、通信終了。OVER?


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