07/07/01 14:20:55 mVJH67B5
最近はコンピューターゲームにはまっている。アキトから貰った物なんだが……自分でキャラクターやステージを登録して作っていくフリーソフトでこれが面白くてたまらなくい、二週間もやっちまった。
今は寝室でゲームをやってる。ゲームクリエイターを気取って作るとなんだか頬の辺りがくすぐったい。
昔、ゲームを作りたいと親に言って殴られたのが懐かしい。あの時はセバスチャンが父さんを抑えて一時は助かった。
ちょっと昔の事を思い出して胸が苦しくなっちまったなあ。これからキャラの登録をして……それからそれから。そうやって頭の中で考えて具現化していくのが神様にでもなった気分。ゲームクリエイターの次は神ですよw
気づいたら日は暮れていた。窓から見える赤い夕日が美しいなあ……。そして周りを見渡してみるとベットの上にある物に気づいた。
「これは……?」
スレイがおやつに持ってきてくれたホットケーキがそこにはあった。
俺はそのホットケーキをフォークで突き刺し食べ始めた。腹が減っているかどうか分からないくらいゲームに集中していたから冷めているのは当然のこと。
「あなた、まだやっているの?」
スレイが扉を開けホットケーキを食べている俺を見つめる。
「……まだ食べていなかったんだ……」
「あ、いや…その……すまない」
「いいの……」
残念そうなスレイの顔。悪気はなかったんだが、これは全て俺のせいだ。
「お風呂沸いてるから先に入ったら?」
「ああ、そうだな。先に入ってその後飯を食うよ」
がちゃんと扉は閉まりこの部屋には沈黙が漂った。
その後はだらだらと風呂場へ向かった。
体を洗い湯に浸かる。なかなか良い湯だ。夏だから温度は低めに設定されている。これもスレイの気配りだと思うとなんだかさっきした事が物凄い悪い事のように思えてくる。
「いつ頃だったかなあ。こんな風になったのは……」
そうだ。薄々と気づいてはいたがスレイと俺の距離は離れていくばっかりで……。
俺は湯を手にすくい自分の顔にかけ、
「俺が夫してしっかりしなきゃなあ。スレイは弱い女だからずっと支えてやらないと悲しんでしまう」
言うだかなら簡単だ。しかし、俺とスレイの距離を縮めることなんて出来るだろうか?俺だけが距離を取ったのならまだしも、スレイも俺から距離を取っている。
風呂に入って飯を食う。今日はなめこの味噌汁にサラダと豚肉の生姜焼きだった。サラダは多めでヘルシーな感じが良い。
食いながらスレイに話しかけてみる。
「なあ、スレイ。お前、最近風呂に来ないな。いつもなら笑顔で俺の体を洗っているのに」
こんな時は下ネタが一番だと子供の頃に聞いたことがある。うろ覚えだが……。
「うん、あなたが疲れているから迷惑だと思って……ほら、最近遅いでしょう?」
「ああ、会議が入った分スケジュールがズレていくんだよ。たく、ミッテさんは無理な事ばかりを押し付ける。新婚だってのによー」
気づいたら俺の愚痴になっちまった。そんなつもりで話しかけたんじゃないのに。でも、迷惑って何で?
「というか、何で迷惑だと思うんだ?」
「ごめんなさい。わたし、いけないこと言って……」
ちょっと起こり気味に言った俺を見てスレイは早々に飯を食ってこの場を去ろうと椅子から立ち上がった俺はスレイの腕をギリギリの所でキャッチ。
「ごめんなさい…」
スレイは立ったままうつむき、俺に目を会わせようとしない。どうすればいい?どうすればいいんだ?俺は焦った。引き止めてその後は?引き止めなかった方が正解だと俺は思う。頭の中で混乱して、俺は「ごめん」と言った。
するとスレイは俺の顔を窺い再び目を逸らした。
「座ってくれよ。これからも事も話したいしさ。無理にとは言わない」
「うん……」
スレイは少し涙目になっていた。恐がらせたと思うと再び胸が痛い。
「お前には心配を掛けたと思っている。ゲームにはまっちまって、別の事はそっちのけで」
「別に心配だなんて、そんな……」
「正直になってくれよ。お前の事は昔から分かるんだからさ。言いたいこと言えって」
スレイは少し黙り込み俺に本当の気持ちを話した。
「本当はね。ずっと、寂しかったの。あなたがご飯食べ終わるの早くなって、それからお風呂はすぐに上がっちゃうし」
「それで?」
「それからね……」
スレイと久しぶりに沢山話した。こうやって長く悩みを言うとお互いの心が晴れた気分だ。言って良かったなあと思えるのがとても幸せだ。