07/06/17 19:33:29 InTpSRaU
>>191
「……これ、俺の家族です」
彼はそう言って、懐から一枚の写真を取り出して、私に見せた。
新しい軍服を着た新人くんと一緒に、ご両親と、お姉様と思しい女性が映ってる。
「俺はいつだって、絶対に生きて家族の元に帰るんだっていう、強い意志をもって戦って来ました。大切な家族のために、何が何でも生き延びるっていう強い気持ちがあったから、今もこうして生きています。
大尉もチームを大切に思うなら、どうか強い気持ちを持ってください」
彼の口調から、いつの間にか冷たさが消えていた。
真剣な声で、私に訴えかけていた。
でも、気持ちだけで何が出来るの?
「俺に言えるのは、気持ちすらない人間には、何も出来ないって事だけです。大尉、どうか腹をくくってください。チームのためにも、大尉ご自身のためにもね」
新人くんは写真を懐にしまうと、立ち去って行った。
―輸送艦が演習場に到着した。
私は、R-3パワードに乗って、発進する。
新人くんの言葉が、頭から離れない……駄目よ!今は集中しなくちゃ!
合体を成功させて、あの生意気くんを絶対に見返してあげるんだから!
私は自分にそう言い聞かせた。