07/06/08 21:29:50 b8HyLG09
>>143-148
アヤ大尉とエクセレンのライバル関係も面白かったし、バトルのクオリティも
(前回もだけど)高かったですよん。
乙&GJ!
面白かったー。
だけどなんというか、読み終えて放心。
エクセ姉さまって空気読めてるような、読めてないようなお人だよねぇ…
キョウスケも苦労する筈だよ…
後、バンカー相手はヤバすぎる!w
一撃必殺すぎ。
あれは殺人の為の武器と言っても差し支えないからなあ。
151:それも名無しだ
07/06/09 17:40:21 8A8JTNft
>>149
そうか、見たのか……アレを……。
うん、本当に凄かったよね、いろんな意味で。
レスは書ける時で構わないよん('-^*)/
152:それも名無しだ
07/06/09 17:43:46 8A8JTNft
>>150
サンクス(・ω・)/
ナンブ中尉にとっては、エクセレンの姐さんとの関係も分の悪い賭けなのかなぁと思ったりする、今日この頃w
まぁ、姐さんは姐さんで、中尉のマイペースぶりに振り回される事もあるし、おあいこかな?
153:それも名無しだ
07/06/09 20:26:19 NoSLAR7x
暑いしダルい…。休日というのはなんでこうも意地の悪いものなのだ。
俺はソファーの上で大の字になって寄り掛かる。スレイはエプロン姿でせっせと働いているなあ。洗い物を済ませ、次は洗濯か。洗面所のほうに向かうのが見える。
家は風呂の水を洗濯に使うことにしてるから大変なんだ。何がって、バケツで水を運ぶのがきつい。俺が安いポンプを買うかと聞いたらいらないと答えた。水運びはダイエットに良いらしい。
今日は良いではない。なんだか、曇りのような微妙な感じ。
スレイ「あなた~」
スレイがパタパタと速歩きで俺のいる茶の間に来た。困ったような表情をして何があった?
「ああ、洗濯機が壊れたのか」
俺とスレイは洗面所の洗濯機の所にいる。
スレイ「叩いても動かないのよ」
俺が見てやっても良いが生憎洗濯機を見るのは始めてだ。子供の時に壊れたラジコンは直した時があるけど。
「蹴ってみるか」
そう言って蹴りを一発。…洗濯機は動かない。当たり前か。映画やアニメのように直るはずがない。
スレイ「どうしよう。洗濯物溜まってるのに…」
最近は新しいゲームを買ったからスレイは家事をおろそかにしている。だから、洗濯物が溜まった。まあ、ゲームは俺が買ったんじゃないんだけどね。下らない責任逃れをしても意味が無い。俺は考えてある答えを導き出した。
「この際だから買ってしまおう」
スレイ「あなた、いいの?」
「構わないよ。衣替えの季節だから欲しい物をまとめて買った方が速い」
そういうことで買う物をメモして俺とスレイは車で30分くらいに着くデパートに向かった。
買う物は沢山ある。棚に椅子に可愛いちゃぶ台みたいなのに…家電だと洗濯機に大きいテレビ。テレビはスレイがでかい画面でゲームしたいと駄々をこねたから買ってやった。たく、お前は子供か!?そのほかにも買う物があって疲れた。
昼飯はデパートのレストランで食べた。ステーキが美味い。
スレイ「あなた、あ~んして…」
「あ~ん…」
スレイ「美味しい?」
「ああ、お前に食べさせてもらったから凄く美味しいよ」
スレイ「わたしにも…」
「今してやるよ」
お互いに食べさせあって楽しかった。周りの目が気になったが、俺達破廉恥夫婦からしてみればどうということはない。
次は地下のコインランドリーに向かった。昼飯前に溜まりきった洗濯物を入れておいたから丁度良い頃合いだろう。
154:それも名無しだ
07/06/09 20:29:21 NoSLAR7x
>>153
「何処だっけ…あっ、ここか」
デパートの駐車場の近くにコインランドリーなんて良く考えたよな。俺なら思いつかない。
俺は洗濯物をでかい洗濯機から取り出した。乾燥もしてくれるから凄く便利…て当たり前か。
「それにしてもあれだな。最近のお前の下着は黒でまとめてあるな」
スレイ「だって、あなたの好きな色が大好きなんだもん」
「二年くらい前にやめとけとは言ったが、凄く似合うと思うぜ」
スレイ「あなた、こんな所で恥ずかしいこと言われるのイヤ」
「しかし、顔は嬉しがってる」
スレイ「分かる?」
「ああ、分かるさ。お前のことが分からないはずないじゃないか」
もう、スレイは嬉しがって俺にひっつくばかり。洗濯物が取りずらいっての。
俺は一枚の下着に目がいってしまった。
「なあ、スレイ。お前、こんな可愛いの穿いてたっけ?」
俺は一枚のクマさんパンツを取り出してスレイに見せた。
スレイ「それ、わたしのじゃない」
「じゃあ、誰のなんだろ?誰かが取り忘れたのかな。だがイイな」
ゼオラ「それ、わたしのー!」
その時俺の頭上に衝撃が走った。気付いたらスレイが俺を膝枕で寝かせていた。
スレイ「あなた、大丈夫?」
「ああ大丈夫だ…。軍人の蹴りより凄かったなあ」
スレイ「あういうのが好きなの?」
「まあね」
スレイ「わたしには何が似合うと思う?」
「そうだな…お前なら苺かウサギちゃんかな」
スレイ「うふふ、分かった♪」
今晩からスレイの下着が可愛いプリントものになりますた。可愛い系も着こなすとは、さすが俺の妻。
155:それも名無しだ
07/06/09 20:36:15 NoSLAR7x
>>153
良いではない×
良い天気ではない○
156:それも名無しだ
07/06/10 16:09:33 3jDvPVbd
>>153-154
さぞ痛かったろうな、ゼオラの踵落とし。
俺も一辺くらったが、精神コマンド「魂」でもかかってんのか?ってくらい痛かった。w
157:それも名無しだ
07/06/10 16:10:46 3jDvPVbd
「コーヒーをお持ちしました、ご主人様」
そう言って、アヤがコーヒーを持って来てくれた。
メ イ ド 姿 で 。
そして、俺の隣に座り、猫みたいにすり寄ってくる。
俺はコーヒーをこぼさないよう気を付けながら、彼女の肩に手を回した。
今日はデートの予定もないし、一日ゆっくり過ごすつもりだった。
ただ、昨夜冗談半分に交わした約束を、アヤが実行してくれるとは思わなかった。
その約束とは、「今日一日、俺の着せ替え人形になってくれる」というもの。
いつかアヤに着てもらいたくてコッソリ買っておいたコスチュームが、ついにその威力を発揮してくれた。
朝はミニスカチャイナ服で相手をしてくれた。
昼過ぎからはメイド服に着替えて、ご丁寧に俺の事を「ご主人様」と呼んでくれる。
何か、何というか……良い気分だ。
俺はコーヒーを一口口に含むと、そのままアヤに口づけをする。
そして口移しで、彼女が入れてくれたコーヒーを飲ませてあげた。
アヤの白い喉が、コクっと音を立てる。
その後も、俺たちはお互いの唇と舌を味わい合う。
スカートをたくし上げて、真っ白な太ももに手を這わすと、
「んう……」
くぐもった声を上げて、身をよじらせた。
158:それも名無しだ
07/06/10 16:12:01 3jDvPVbd
>>157
相変わらず感じやすい身体だぜ……。
唇を貪りながら、露わになった太ももを、指先でくすぐるように愛撫する。
「ん……うぅん……」
舌を絡ませながら、アヤはお菓子をせがむ子供のように、声を漏らす。
下着の上から、もどかしい程の軽いタッチで、お尻を撫で回す。
「ふぅ……んあ……」
アヤはキスを続けながら、俺の首に両腕を回し、体をくっつけて来る。
服越しに、豊かな胸の膨らみが押し付けられる。俺を挑発するかのように。
……アヤ、最近スイッチ入るの早いな。
まぁ、どーせ俺のせいなんだろーけど。
「ぷふぁ……お願い……焦らさないで……」
唇を離して、アヤはネットリと絡み付くような甘い声で、哀願する。
どうすっか……まだ時間は早いが、火を点けちまったのは俺だし、男子たる者、責任は取らんとな。
俺は顎をしゃくって、ベッドを指し示した。
「……はい、ご主人様」
まだメイド気分のままなのか、アヤはそう答えながら、ポゥッと頬を赤らめる。
ベッドに上がり、いわゆる女の子座りになると、両手でゆっくりと、スカートをめくり上げる。
「ご主人様に……私の全てを捧げます……」
顎を軽く引き、気持ち上目使いになるアヤ。
159:それも名無しだ
07/06/10 16:13:26 3jDvPVbd
>>158
俺はそんな可愛いメイドを優しく押し倒す。
ピチャピチャと音を立てながら唇と舌を絡ませる。
太ももを愛撫して、下着に指をかけると、アヤが不意に尋ねてきた。
「着たまま……するの……?」
当たり前だ。
今日のアヤは、俺の着せ替え人形なんだろ?
着せ替え人形は服を着せて遊ぶもんであって、脱がして遊ぶもんじゃないぜ?
「……恥ずかしい」
―裸より、着たままの方が恥ずかしいってのか?
女ってぇのは、いまいちよくわからん……。
だが、おかげで新鮮なリアクションを拝めるんだから、良しとするか。
「優しく……してね……」
俺の下でかすかに震えながら、アヤは哀願する。
まるで初めての時みたいに、可憐で愛らしい。
「それと、キスして……いつもみたいに」
スゥッと目を閉じるアヤ。
俺はゆっくり優しく、安心させるように唇を重ねてやった。
そして、改めて彼女の下着をずり下ろして、剥き出しの両足を脇に抱える。
俺の背中に回っていたアヤの手に、グッと力が入った。
160:それも名無しだ
07/06/10 20:52:59 /vVjtLr+
>>156
ありがとう。
あれは魂掛かってクリティカル食らったみたいだった。その日の夜はスレイのウサギちゃん黒パンツを拝めたから良かった。
>>157-159
すっかり君好みの女になっちゃて、アヤさんったらwごちそうさまでした。今からスレイウサギちゃんを食べに行きますよw
161:それも名無しだ
07/06/11 20:41:07 uZoGZAvZ
>>160
サンクス(・ω・)/
だが一つだけ言っておく!
女は時として、ウサギの皮を被った獅子と化す事もあるので、気を付けよう('-^*)/
ちょ、アヤさんやめてやめて!せめてあと十分休ませて!
なに?時間がもったいない?
だからマウント・ポジション取らないでったら!
ちょ、マジで勘弁してください、アヤ様アッー!
し
ば
ら
く
お
待
ち
下
さ
い
゜
162:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/11 21:19:43 uZoGZAvZ
キャンプに月 行こう日
R-シリーズのオーバーホールに合わせて、私たちSRXチームに休暇が与えられた。
そこでヴィレッタがチームワーク強化という名目で、キャンプに行く事を提案した。
もちろんみんな大賛成。
……一名を除いて。
「チームワーク強化なら、キャンプなんかやらんでも他に色々と方法があるじゃないですか」
新人くんはそうぼやいてた。
もっとも、ヴィレッタがそれを聞き入れる訳がないんだけどなー……。
案の定、新人くんの意見は鮮やかに黙殺されて、私たちは荷物を持って、いざキャンプへ!
ヴィレッタがレンタルしてきた二台の4WDに、男女に別れて乗り、キャンプ場へ向かう。
キャンプ場に付くと、早速役割分担。
私とヴィレッタが料理を担当。
リュウとライがテントを張る係。
夕飯のおかずの魚を、マイと新人くんに釣って来てもらう事にした。
いや、だって……リュウとマイを組ませると、仕事そっちのけで遊び出しそうじゃない?
って私、誰に言い訳してるの?
―そんなこんなで、男女別のテントを張り終え、夕飯のカレーも出来たし、ちょっと遅れて新人くんとマイも大漁で戻って来た。
さぁ、それじゃあみんなで食事にしましょう。
163:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/11 21:21:17 uZoGZAvZ
>>162
夕食を食べてると、リュウがビデオカメラでみんなを撮影し始める。
「だってコレ、チームワーク強化のための訓練だろ?訓練内容は記録しとかないとな」
「お前にしては、気が利くな」
「リュウセイのくせに、珍しいじゃねーか」
「あーもう、ゴチャゴチャうるせえ!文句言ってっと、お前等の鼻の穴、アップで撮るぞ!」
「本当に撮るな!」
「メシ食ってんだから邪魔すんな!あっち行って一人で食え!そんで川に流されて爺さん婆さんに桃と間違って拾われて、鉈でかち割られろ!」
―新人くんも何だかんだで、楽しんでるみたいね。
ちょっと安心しちゃった。
本当に賑やか過ぎる夕食を済ませると、片付けをして、テントに入って就寝。
でも、ふと隣で寝るマイを見ると、何だか深刻な顔してる……。
どうしたの?マイ。
抱き寄せて、尋ねてみる。
「うん……あいつ、私たちの事嫌いなんじゃないかなって考えてた……」
思わぬ答えに、ちょっと戸惑う。
釣りをしてる時、喧嘩でもしたの?
そう尋ねてると、マイはポツポツと話し出した。
164:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/11 21:24:09 uZoGZAvZ
>>163
二人で、特に会話を交わす事もなく、釣りをしていたらしい。
退屈したマイが裸足になって、浅い所で遊んでいると、
「……ぬるいな」
突然新人くんが、そう呟いたそうだ。
「そうか?冷たくて気持ち良いぞ?」
「そっちじゃねえよ。今のこの空気がぬるいっつったんだ」
「空気?」
「前にいた部隊じゃ、しょっちゅう最前線に飛ばされて……仲間といる時ですら、いつ敵が襲ってくるかわからねえ……そんなピリピリした緊張感があってな……何かこう、ヒリつくような熱さにさらされてるような感じだった……」
そう語る新人くんの顔は、昔を懐かしんでるようで、哀しんでるようでもあったらしい。
「……私は、逆だな」
その顔に釣られて、マイも話し始めたそうだ。
「もう話したと思うけど、私は異星人に操られて、エアロゲイターの指揮官をやってた。でも、その時の事はよく覚えてない」
「…………」
「で、後になって、私やアヤの記憶は後から植え付けられた偽りの物だって言われて……自分は本当は何者なのかって考えても、答えが出なくて、まるで真っ暗闇の中で、冷たい氷の中に閉じ込められたような気分になった」
165:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/11 21:25:42 uZoGZAvZ
>>164
「……なるほど。そんな俺たちが一緒にいりゃあ、そらぬるくもなるわな」
新人くんは、おどけるようにそう言ったらしい。
マイに辛い事を話させたと思ったんでしょうね……。
「でも、私はこういうの、嫌いじゃない……アヤや、リュウたちがいてくれたから、暗い氷の中から出られたような気がする……お前は、イヤか?」
マイがそう聞いても、新人くんは答えなかった。
「引いてるぞ」
そう言って、立てたままのマイの竿を指しただけ。
結局魚を釣り上げるのに夢中で、答えは聞けないままだったそうだ。
「だから、ちょっと不安になって……」
マイは私の胸に顔をうずめる。
マイ。嫌いな相手に、自分の胸の内を明かす人なんていないわ。
「……そう、かな」
ええ、そうよ。
私はマイの髪を撫でてやりながら、安心させるように微笑む。
それと、ちょっと言葉のお勉強。
いい?こういうのは「ぬるい」じゃなくて、「暖かい」って言うの。
「暖かい……?」
マイが子猫のような瞳を向ける。
「……そうだな、私もそっちの方が良い」
マイはそう言って、ニッコリ微笑んでくれた。
166:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/11 21:27:47 uZoGZAvZ
>>165
それにしても、新人くんが自分の胸の内を語るなんて……。
また一歩、彼と私たちとの間の距離感が、なくなったような気がする。
うん、そうよね。焦る事なんてない。
少しずつ、うちとけていけば良いのよ。
マイの話を聞いて、私はそんな希望を感じ取ったのだった。
「リュウセぇぇぇイ!寝入りばなに怪談話なんかしてんじゃねえぇぇぇえ!本物が来たらどうすんだぁぁぁああ!」
「貴様は俺たちに恨みでもあるのか!はしゃぎ過ぎだ、この小学生が!」
「もういい!お前は外で寝ろ!んでもって幽霊にさらわれちまえ!」
「どうせ貴様のような馬鹿は風邪を引かんから、問題ないだろう!」
「ああああああ!すまねえ!俺が悪かった!だから放り出すのは勘弁してくれぇぇぇえ!」
……隣はずいぶん楽しそうね。
やっぱり、これなら大丈夫かも。
167:それも名無しだ
07/06/12 10:39:07 BAvkP/hQ
>>161
勉強になりますた
>>162-166
面白かった。釣りの時にその話とは相性の良い。魚が引っかかった時のタイミングが良い感じ
セバスチャンが言ってた。「人は自然の中で沢山のことを学ぶ」て
さあ、仕事の続きしなきゃな。スレイをセレブにするぞ
168:それも名無しだ
07/06/13 10:14:41 JjmQpizz
>>167
サンクス(・ω・)/
今にして思えば、静かな場所で釣りをしてたから、つい素直な気持ちになれたのかも知れんね。
169:それも名無しだ
07/06/13 21:47:14 fKTMCYFC
食事中
「今日は暑すぎる」
スレイ「バイトきつかった~」
「お前は暑い中よくやってるよ」
スレイ「嬉しい♪」
「会社ではギジェがミイラ化してボン太君は死にそうな顔をしていた。若い奴は活気が無いし…」
スレイ「そう…大変だったわね。そうだ、テレビ何かやってないかしら」
鉄矢『夏はプロの麦茶だぜ』
『新発売。さあ、皆もプロのようになろ~♪』
「何だ、このCMは…」
スレイ「鉄矢さん…」
「やばい…あのブーメランパンツが素敵に見えてしまった」
スレイ「あの輝いてる身体はなんだったのかしら」
「あれはサラダ油か何かを塗ってるんだろ」
スレイ「なんか夏っていいわね♪」
「そうだな。早く海へ行ってお前の水着姿が見たい」
スレイ「あなた、そういうことばかり考えて…もっと、わたし痩せなきゃ」
「おいおい、無理はするなよ。今のままが俺は大好きだ」
スレイ「わたしも今のあなたが好き♪」
「美味かった、ごちそうさま」
スレイ「お粗末様。そういえばアイスあるけど、食べる♪」
「いいね、夏だね」
スレイ「ブライト店長に沢山貰っちゃった」
「凄い量だな。しかも、苺味が七割をしめている」
スレイ「好きなんだもん♪」
「苺が好きなんてお前らしいなあ」
こんな変な会話が夫婦で毎日続いています
170:それも名無しだ
07/06/14 20:48:12 hsE6S3l/
>>169
ボン太くんが死にそうな顔してたとは、かなり一大事だな……。
ギジェ?割りとどうでも良いw
171:それも名無しだ
07/06/14 20:49:28 hsE6S3l/
ほら、アヤ。
口に含んだら、歯を立てずに舌を使うんだ。
「ん……」
アヤ、俺の目を見ながらやれ。
「はうあひいわ(恥ずかしいわ)……」
いいからやれって。
……そうそう。可愛いぜ、アヤ。美味しいか?
「ん……甘くて美味しい」
アヤはニッコリと、子供のような笑顔を見せながら、飴玉をしゃぶっていた。
俺の部屋のベッドの上。
シャツと短パン姿で寝そべる俺の上に、タンクトップとパンティ姿のアヤが身体を重ねている。
購買で買って来た黒蜜飴を舐めてたら、アヤが寄り添って来て、キスをせがむもんだから、ついでに口移しで飴玉もくれてやった。
そしてそのまま、ちょっとしたゲームを始めた次第。
「んー……」
十秒くらい飴玉をしゃぶった後、アヤがキスをせがむ。
緑の黒髪を撫でながら、唇を重ねると、差し込まれた舌を伝って、飴玉が口の中に入る。
口移しで飴玉のやり取りをして、先に溶かしちまった方が負け。
我ながらくだらねーゲームだが、アヤは楽しんでくれている。
「あなたの番よ。歯を立てて小さくしたらダメだからね?」
そう言ってアヤは、さっきの幼い面影のまったくない、淫靡な笑みを浮かべたのだった。
172:それも名無しだ
07/06/14 21:09:53 /gujEbDH
>>170
レスありです。
ボン太君、今日も頑張ってた。ちなみにギジェはミイラ化していたが午後の雨で復活した。萎れた雑巾が水を含んだ感じ。お前は蛞蝓なw
>>171
良いゲームを見せてもらった。ちなみに俺とスレイはポッキーキス。試してみるのも良いと思われ
173:それも名無しだ
07/06/15 20:39:34 TIWYvcIG
誰も来ないから浮上
174:それも名無しだ
07/06/15 20:41:15 TIWYvcIG
浮上してなかった
175:それも名無しだ
07/06/16 20:36:46 T72OT2k+
>>172
サンクス(・ω・)/
ポッキーキスなら、既に通過した道ですが何かw
176:魔剣烈剣①
07/06/16 20:38:13 T72OT2k+
ベッドの上に寝転がり、俺は昼間の模擬戦を思い出していた。
膝枕をしてくれながら、アヤが心配そうな顔で、俺の髪を撫でてくれる。
悪いが今は、そんなアヤのために明るく振る舞おうという気には、とてもなれなかった。
朝っぱらからゼンガー少佐に、格納庫へ呼び出された。
ダイゼンガーの整備が終わったので、模擬戦でテストしたい。そこで、俺に相手を務めろとの仰せだ。
アシュセイヴァーで、あのキワモノロボットと戦えってか!
「お前が乗るのは、アレだ」
少佐がそう言って指差したのは、ヴァイサーガだった。
む、アレならまぁ、何とかなるか。
「上官だからとて、遠慮はいらん。全力でかかって来い」
へっ、言われなくてもそのつもりですよーだ。
俺はパイロットスーツに着替え、ヴァイサーガのコクピットに乗り込んだ。
演習場に出て、ダイゼンガーと対峙する。
さしずめ、鎧武者vs騎士って感じか。
管制室の方を見ると、アヤの横でリュウセイがビデオカメラを構えてるのが見えた。
アヤに向けて、ヴァイサーガの右腕を軽く上げる。
アヤが笑顔で、手を振ってくれるのが見えた。
うっし、んじゃ始めましょーかね!
コクピットの中で「うっしゃあっ!」と軽く吠える。
俺の闘志に答えるかのように、ヴァイサーガは剣を抜いた。
177:魔剣烈剣②
07/06/16 20:39:33 T72OT2k+
>>176
ダイゼンガーは斬艦刀を、剣道の試合でよく見る正眼の形に構える。
液体金属製の刃を展開させない、普通の日本刀の状態のままで。
少佐、良いんですか?斬艦刀はそのまんまで。
『テストするのは機体本体だからな。お前は余計な心配などせず、全力で打ち込め』
へいへい、そういう事なら遠慮なく!
俺はヴァイサーガを真っ正面から突撃させる。
ダイゼンガーの刀が、喉元目掛けて稲妻のように伸びてくる。
その突きを右にかわして、腹部目掛けて剣を振った。
―が、その一撃は、ダイゼンガーがとっさに上げた膝と、同時に下ろした肘に挟まれ、捕らえられる。
俺はすかさず剣を離して、両腕の鉤爪で攻撃―しようとしたが、ダイゼンガーが無造作に刀を振る。
とっさに両腕でガードしたものの、それでもヴァイサーガはかなり吹き飛ばされた。
不安定な態勢での一撃だったってのに、何てパワーだよ……。
パイロットもかなりの色物だが、ロボットの方はその三倍以上のキワモノだぜ。
胸の内で毒づいてると、ダイゼンガーがヴァイサーガの剣を、投げてよこした。
そして、自分はゆっくりと刀を振り上げて……天を指す刀の柄尻に、左手を添えた。
178:魔剣烈剣③
07/06/16 20:41:41 T72OT2k+
>>177
早くもケリを付けましょうってか……おもしれぇ。
俺はヴァイサーガに、剣を鞘に収めさせると、居合いの―風刃閃の態勢に入った。
―実はヴァイサーガには、光刃閃という最大攻撃がある。
だがラミアの奴、俺が機体をぶっ壊しちまうとでも思ってんのか、リミッターを付けて、最大攻撃が出せないようにしていやがる……。
まぁ愚痴を言ってもしょうがねえ。今やれる範囲で、全力を出すだけだ!
拝ませてやろうぜ、ヴァイサーガ!
俺は高々と刀を構えるダイゼンガーに向かって、一気に接近した。
光の粒子をその場に残して、瞬時に距離を詰める。
でぃぃぃぃぃいいいぃぃぃぃやっ!!!!!!!!!!!
コクピットの中で、知らず雄叫びを上げていた。
白刃が鞘走り、ダイゼンガーの胴体を逆袈裟に切り裂くのを確信した。
だが―。
「ちぃぃぃえすとぉぉぉおおおぉぉぉぉおおっ!!!!!!!!」
俺の身体にビリビリと響いたそれは、通信回線越しのものではない、生の叫びだった。
向こうのコクピットからこちらまで、肉声が届く筈がない。
少佐の気迫が、声という形で、俺に届いたのだろうか?
そう考える余裕もなく、次の瞬間、ダイゼンガーの振り下ろした一刀が、剣を振るヴァイサーガの右腕を切断していた。
ポーンと小気味良く、切断された右腕が、剣を掴んだまま宙に舞った。
179:魔剣烈剣④
07/06/16 20:42:48 T72OT2k+
>>178
……くそ、思い出したらまたムカついて来たぜ。
ゼンガー少佐は、斬艦刀を展開しなかった。
早い話が手加減してたって訳だ。
負けた事も充分ムカつくが、それもまた、俺を不機嫌にさせる理由だった。
全力で戦ったんならともかく、手加減してもらって、それでも負けるなんてな……。
「まだ気にしてるの?」
アヤが尋ねる。
当たり前だろ。
俺は愛想なく答える。
我ながらガキくせえ態度なのはわかってるが、それでもそういう態度になりたい気分だ。
「ゼンガー少佐に、手加減されたって思ってるんでしょう?」
他に何があるってんだ。最後まで斬艦刀を通常のままで使ってたんだぞ?
「ん……私もそう思って、あの後少佐に尋ねてみたの。何故手加減したのかって……何て答えたと思う?」
知るかよ。
「手加減なんかしてない……ですって」
―はぁ?
俺は間の抜けた声を上げる。
手加減してないだと?だったら何で……。
「斬艦刀を展開しなかったのは、取り回しを良くして、あなたの乗るヴァイサーガの、素早い攻撃に対応する為……そう言っていたわ」
……ホントかよ。
「あら、失礼ね。こんな時に嘘を言うような、そんな空気の読めない女ではないつもりよ?」
アヤはそう言ってクスクスと笑う。
180:魔剣烈剣⑤
07/06/16 20:45:16 T72OT2k+
>>179
「何より、ゼンガー少佐はああいう事で嘘を言うような人じゃない。それはあなたも、よく知ってるでしょう?」
子供をあやすように、アヤは俺の髪を撫でてくれる。
……確かにそうだな。
負かした相手に気ぃ使って心にもない嘘を言うような、そんな社交的なタイプか?あの色物侍が。
あの人はいつだって、マジな話しかしない。
だいたい、どうでも良いと思ってる相手を、模擬戦で指名したりするか?
ならば―あの人なりに、俺の事を認めてくれているという事、だよな。
―くだらねえ。
思わず、口に出た。
ああ、本当にくだらねえ。
一人で勝手にウジウジして、アヤに心配させちまうなんて、くだらねえったらありゃしねえ。
自分自身が馬鹿馬鹿しくなって、つい笑ってしまう。
「良かった……少しは元気が出たみたいね」
アヤが安心したように笑う。
ああ、お陰様でな。
俺は答えながら身を起こし、アヤを抱き締める。
「じゃあ、お礼に……そのぅ……」
わかってる。今夜はアヤの奴隷になってやるよ。
冗談半分、本気半分で答え、俺は感謝の気持ちと愛情を込めて、口づけをした。
181:それも名無しだ
07/06/16 21:46:15 /H72KFKG
ちーす。
一週間ぶりくらいのご無沙汰ー。
ラトと同居人でっす。
>>157-159
大人の女。コスプレ付き。
…ケモノだ!w
ていうかエロ祭り?
つー事でエロ祭りの作品持ってきたんだけど…もう終わってるんだろーか。
>>162-166
もう六月かぁ。
キャンプ乙!
平和な時こそ辛い思い出が蘇ってきたりするものだ。
>>169
平和だ!
ブライト店長生きてていいよね。いやマジで。
>>171
あるある。
これはある。
とてもよくある。
>>176-180
キョウスケとゼンガーって精神の根っこの部分が結構似てると思ってるんだけど、
ブラザーももそう感じているのかな。
何か彼らは血が騒ぐっぽい。アシュセイバーとかソウルゲイン、そして無敵の男を見ていると。
全部まとめて乙!
182:それも名無しだ
07/06/16 21:49:57 /H72KFKG
フェアリオンの意識連結部分にバグがあり、ラトゥーニの感情がシャイン王女に
上書きされている。
そう基地の博士に説明されたのが一時間ほど前。
シャイン王女の心は俺で一杯に上書きされ、治療法が見つかるまでは王女の
欲望のガス抜きをしてやらなくては壊れてしまう、という。
俺のアパートのドアの外には銃を持った黒ずくめのグラサン軍団。
リクセント公国のボディーガードに固められ、俺は今、シャイン王女と二人きりで
軟禁状態にあった。
* * *
まっすぐにこちらを射抜いてくる潤んだ瞳は、限りない湖の青。
そして、欲情、と言っても差し支えない程の頬の紅潮。
12歳の少女にはあってはいけない表情。
「失礼…します」
「!!」
椅子に座った俺の前でゆっくりとスカートの中に手をいれ、ぱんつを下ろし始める
彼女。
膝を伸ばしたまま前屈で足首まで下ろし、靴を履いたまま丁寧に汚れないように
ぱんつだけを脱いでしまう。
183:それも名無しだ
07/06/16 21:50:37 /H72KFKG
王女はそれをガラステーブルの上に置き、注視してしまった俺の視線を捕らえて
にこっ、と純粋無垢な少女の笑みで微笑んで見せる。
「おにいさまが、欲しいのです」
そして、椅子に座る俺の上にゆっくりと対面する形で跨り、抱き締めてくる。
ふわりと香る、子供独特のミルクのような匂い。
そして、どこからか漂ってくる、女を思わせるひどく現実的な、この甘い匂い。
俺のジーンズのジッパーの上に王女の柔らかく小さな手が置かれる。
そろそろとまさぐり始めたそれを、俺は優しく制止した。
「俺への愛情は、まがい物だった筈ですよ」
王女は聞かない。聞こうともしない。
「ライディース少尉の事、お好きだったと聞いています」
はた、と止まる王女の手。
「俺は只の治療の為の道具。これは治療の一環です」
「…わかっています!!」
叩きつけるような王女の言葉。
「わかっているのです!だけど…だけど…!」
俺の胸に顔をうずめる。
「辛いのです…。愛してる…愛してる…これがラトゥーニの感情なら、彼女は
なんてすごい精神力でこれを我慢しているのかしら…。偽者とか本物とか、
もうどうでもいいぐらい辛いのです…。
いつも隣にいたい。触りたい。触って欲しい。抱き締めたい。抱き締めて欲しい」
俺はシャイン王女の頬を両手で優しく挟み、上を向かせて青い瞳を覗き込む。
「奇麗事を言うようですが、王女には自分を大事にして欲しい。抱き締めて
あげます。いつまででも、お好きなだけ。だから、頑張って下さい…」
ぎゅっ、と抱き締めた。
王女の体は小刻みにぶるぶると震えていた。
* * *
R指定板なのでこのぐらいにしておきますね。
てか、ちとはみ出たか。
184:それも名無しだ
07/06/16 22:03:54 T72OT2k+
>>181
感想、まとめてサンクス(・ω・)/
んー、やっぱゼンガー少佐もナンブ中尉も、戦いで飯食ってる訳だし、こだわらずにはおられんのかね?
185:それも名無しだ
07/06/16 22:07:24 T72OT2k+
>>182-183
GJ。ラトゥーニのブラザーへの想いの強さが、思わぬ形でわかっちまったよ。
だがブラザー、安心してくれ。これくらいはまだ許容範囲内の筈だ。
365日エロ祭りで、ついにアヤとレッツ・ボルトインする場面すら書いちまった俺に比べれば、YOUはとっても紳士的だぜ!('-^*)/
186:それも名無しだ
07/06/17 08:35:28 LIVU1mIF
>>185
サンクス!
恋の病っていうか禁断症状か!とか書いてて思ったり。
>ボルトイン
ボルテスかい!w
>紳士
ふふ、当然だよ。英国紳士としてはね。(レイトン教授
…ゴメン、嘘。
安心したよー。ありがとう。
187:それも名無しだ
07/06/17 12:40:26 InTpSRaU
>>186
>ボルテスかい!w
いや、だってさ……俺の股間の「ボルト」がアヤに「イン」しちゃう訳だしw
188:それも名無しだ
07/06/17 17:50:57 LIVU1mIF
>>187
それはそうなんだけどさw
ボルテスって5人乗り…
多人数同時プre(ストライクシールド
189:それも名無しだ
07/06/17 19:26:51 InTpSRaU
>>188
はぅあっ!言われてみればそうじゃねえか!
俺とした事が……これじゃただの鬼畜外道……!
よし、ここは紳士的に、シンメトリカル・ドッキングに脳内訂正しといてくださいw
190:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/17 19:29:46 InTpSRaU
優しさと月 厳しさと日(前編)
新人くんがチームに配属されてからの、今日は初めての合体演習。
正直に言うと、合体の度に私は、物凄い不安とプレッシャーに襲われてしまう。
私のR-3が合体の要となるのに、私のT-LINKコンタクトは未だに安定してるとは言い難い。
それでも、今までは何とか成功させて来れたけど、だからといって次も成功するなんて保証は、どこにもない。
演習場へ向かう輸送艦の中で、私はそんな不安から、つい暗い顔になりがちだった。
「大尉、大丈夫ですか?」
そんな私を心配したのか、新人くんが声を掛けてきた。
「今日の演習の事で、何か悩みでもあるんですか?」
はぁ……まだ出会って1ヶ月も経ってない彼にまで、見抜かれちゃうなんて……何だか自分が情けなくなっちゃう。
私は、自分の素直な気持ちを、新人くんに打ち明けた。
「……失礼ですが、そんな後ろ向きな気持ちじゃあ、出来るものも出来ませんよ。大尉自身が、前向きな強い気持ちでないといけません」
答える彼の口調には、相手を突き放すような、どことなく冷たいものがあった。
191:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/17 19:31:46 InTpSRaU
>>190
「まだコクピットにも乗っていないうちから、もう失敗した時の言い訳を考えてるようじゃ、合体演習なんてやるだけ無駄です」
―言い訳?
彼の物言いに、少しカチンと来た。
私なりに、チームの事を思っていろいろ考えてるのに、それを言い訳と切って捨てられるのは、いくら新人くんでも不愉快だわ……。
あなたにはわからないでしょうけど、SRXの合体は……。
「合体の難しさは、Only-One-Crushなんて物騒な名前で呼ばれてる事から、わかります。ですが、それを今まで何度も成功させて来たんでしょ?」
だからといって、次も成功する保証は……。
「それが言い訳だって言ってるんです。次も成功する保証はない。だから失敗しても仕方がない。そんな気持ちじゃあ、上手くいく筈がない」
彼はキッパリと言い放つ。
こんなにズケズケと物を言う子だとは、思わなかったわ……!
あなたなんかに、私の何がわかるって言うのよ!
ついカッとなって、怒鳴ってしまう。
「わかりませんね。グヂグヂとくだらねえ事考えてる暇があったらどうして、何が何でも成功させてやるって、自分を奮い立たせたりしないんです?本当にチームのためを思うなら、そうするべきでしょ」
彼はあっさりと言い返す。
192:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/17 19:33:29 InTpSRaU
>>191
「……これ、俺の家族です」
彼はそう言って、懐から一枚の写真を取り出して、私に見せた。
新しい軍服を着た新人くんと一緒に、ご両親と、お姉様と思しい女性が映ってる。
「俺はいつだって、絶対に生きて家族の元に帰るんだっていう、強い意志をもって戦って来ました。大切な家族のために、何が何でも生き延びるっていう強い気持ちがあったから、今もこうして生きています。
大尉もチームを大切に思うなら、どうか強い気持ちを持ってください」
彼の口調から、いつの間にか冷たさが消えていた。
真剣な声で、私に訴えかけていた。
でも、気持ちだけで何が出来るの?
「俺に言えるのは、気持ちすらない人間には、何も出来ないって事だけです。大尉、どうか腹をくくってください。チームのためにも、大尉ご自身のためにもね」
新人くんは写真を懐にしまうと、立ち去って行った。
―輸送艦が演習場に到着した。
私は、R-3パワードに乗って、発進する。
新人くんの言葉が、頭から離れない……駄目よ!今は集中しなくちゃ!
合体を成功させて、あの生意気くんを絶対に見返してあげるんだから!
私は自分にそう言い聞かせた。
193:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/17 19:35:36 InTpSRaU
>>192
ヴィレッタが、パターンO.O.C.のプロテクトを解除する。
T-LINK、フルコンタクト!念動フィールド、ON!
『いくぜ!ヴァリアブル・フォーメーション!』
リュウの掛け声と共に、私たちは合体シークエンスに入る。
フライトユニットを装備した新人くんのゲシュペンストが、こちらを見ているのを、モニターの隅に捉えつつ、私もR-3パワードを変型させる。
PT三機を念動フィールドで支えるのは、未だに骨が折れる。だけど、負けられないわ!
変型したR-1とR-2が合体を完了。
それをフィールドで包みながら、私はプラスパーツから切り離したR-3を合体させようとした。
……くううっ!だ、駄目……保たない!
ほんの一瞬、集中力が途切れてしまう。
次いで、機体を物凄い衝撃が襲う。
軸がズレて、R-3がR-2にぶつかってしまったのだ。
展開していた念動フィールドも、一気に消えてしまう。
『アヤ!大丈夫か!』
『いかん、フォーメーションを一時解除する!』
リュウとライの声が聞こえてくる。
ああ……みんな、ごめんなさい……やっぱり私は……。
絶望感、無力感、そして仲間への罪悪感で、目の前が真っ暗になる……。
その時、新人くんの声がした。
194:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/17 19:38:00 InTpSRaU
>>193
『合体は続行だ!そのままでいろ!』
激しく怒鳴りつける新人くん。
『何言ってんだ!だってアヤが……!』
『続行は危険だ!一旦中止してもう一度……!』
『やかましい!合体中止しやがったらぶっ殺すぞ!フォーメーションを続けろ!』
その声と同時に、コントロールを失って落下していたR-3の下から、何かがぶつかるような衝撃が。
新人くんのゲシュペンストが、R-3を支えてくれていた。
『大尉、早く続行してください!リュウセイとライまで落っこっちまいます!』
新人くんはR-3を支えたまま、上昇する。
でも、私は……。
『あんたがやるしかないんだ!腹ぁくくれ!俺があんたを支えてやる!だからチームはあんたが支えろ!』
私が、チームを支える……?
一瞬、みんなの顔が脳裏をよぎる。
ああ……そうよ、みんな私を信じてくれてる。私がここで踏ん張らなくちゃ、みんなの信頼はどうなるの?
みんなのためにも、私がやるしかない!
意を決して、私はもう一度T-LINKコンタクトを行う。
念動フィールドでリュウたちを支え、コントロールを取り戻したR-3を上昇させて、R-2に連結させる。
そして、手足に変型したプラスパーツを連結。
最後に、頭部に変型した、R-1のシールドを連結させて、合体完了。
『天下無敵のスーパーロボット!ここに見参!』
リュウの決め台詞と共に、SRXは大地に降り立つ。
機体越しに、地面を踏みしめる感触を感じ取った瞬間、私は目の前が真っ暗になった。
何とも言えない達成感に包まれながら……。
195:それも名無しだ
07/06/17 19:40:15 InTpSRaU
連投規制が怖いので、ここでちょっと休憩しますm(u_u)m
196:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/17 22:28:55 InTpSRaU
>>190-194
優しさと月 厳しさと日(後編)
「てめぇ、どういうつもりだ!」
―リュウの怒鳴り声で、私は目が覚めた。
ここはどうやら、輸送艦の医務室のベッドの上らしい。
見ると、マイがこちらに背を向け、入り口から廊下の様子を伺っている。
私もベッドを出て、廊下に顔を出す。
廊下では、リュウが新人くんの胸ぐらを掴んで詰め寄っていた。
いつもなら仲裁に入る筈のライも、今日は険しい顔でリュウの側にいた。
「貴様は、自分が何をやったかわかっているのか?」
「てめぇが無理矢理合体を続行させたせいで、アヤはぶっ倒れたんだぞ!」
二人とも、私のために怒っているみたい……。
でも新人くんは、少しも怯む様子はなかった。
「合体は成功しただろうが」
サラリと言い返す新人くん。
「それでアヤが気絶しちゃ、本末転倒だろうが!」
「貴様にはわからんだろうが、合体における大尉の負担はかなりのものだ。あそこは、一旦合体を中止して、改めてもう一度フォーメーションに入るべきだったんだ!」
「……んな事したって、意味ねーだろ。どうせまた失敗するのがオチだ」
新人くんは、また冷たい声に戻っていた。
「なんでわかるんだよ!やってみなきゃわかんねーだろ!」
リュウは今にも殴りかかってきそうな勢いだった。
197:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/17 22:31:01 InTpSRaU
>>196
「わかるさ。大尉は責任感が強くて、しかし、非常に繊細な方だ。一度失敗したら、自信をなくして次に悪影響を及ぼしかねねえ」
新人くんは、淡々と答える。
「今日は駄目だったけど、明日は上手くやろうなんて、そんな楽観的に構えられねえし、簡単に気持ちを切り替えられねえんだよ。お前ら単細胞と違ってな」
「単細胞だと……?」
ライが言われて、眉間のシワを深くする。
「だから、次の成功に繋げるためには、今日も絶対に成功させる必要があったんだ。今日の成功が自信になり、その自信が次の成功に繋がる……だから続行させたし、大尉はご自身の力で、見事やってのけたぜ。何か文句あるか?」
「大ありだ!それでアヤに何かあったら、どうするつもりだったんだよ!」
「そん時は、腹ぁかっさばいて、死んでお詫びするさ。その覚悟の上でやった事だ」
「てめぇ……!」
リュウは新人くんの態度に我慢出来なくなったのか、拳を振り上げる。
やめなさい、リュウ!
私は廊下に出て、新人くんをかばうように、二人の間に割って入った。
「あ、アヤ……」
「大尉……」
リュウもライも、私が新人くんをかばったのが不思議なようだ。
198:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/17 22:32:28 InTpSRaU
>>197
「アヤ、何でそいつの肩を持つんだよ……!」
「大尉が気絶したのは、コイツが合体を続行させたせいで……」
でも、続行を決めたのは私自身の意志よ!?
私は強い口調で答える。
今日の合体で改めてわかったわ。
私は心のどこかで、あなたたちに甘えていた……その甘さが、合体の障害になっていたのよ。
思えばイングラム少佐も、その甘さを断つ為に私を撃った筈……。
だから少佐の意志を無駄にしないためにも、あなたたちも私を甘やかすのはやめてちょうだい。
……リュウもライも、マイも、新人くんも、目を丸くして私を見ていた。
「アヤ……俺たち別に、そんなつもりは……」
リュウが恐る恐るといった感じで、口を開く。
ええ、わかってるわ。
だけど、仲間っていうのはお互い支え合うものでしょう?私一人が、みんなの好意に甘える訳にはいかないわ。
みんなには、これからも私を支えてほしい。その代わり、あなたたちの事は、私に支えさせてほしいの。
リュウとライの手をギュッと握って、私は笑ってみせた。
「わ、わかったよ、アヤ……」
「改めて、これからもよろしくお願いします。大尉」
二人はそう答えてくれた。
「わ、私も頑張る!」
マイも小さな手を、私の手に重ねる。
199:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/17 22:34:09 InTpSRaU
>>198
ありがとう、みんな……。
新人くんも、改めてよろしく……って、アラ?
振り向くと、新人くんの姿がない。
「アヤ、起きて大丈夫なの?」
そこへヴィレッタがやって来たので、新人くんの事を尋ねる。
「彼なら、向こうの方へ行ったわ。早足で歩いてたから、トイレじゃないかしら?」
「いや、そっちは格納庫だし、トイレなら反対側の方が近いだろ……」
―ひょっとして、照れくさくなって逃げたのかしら?
私、ちょっと様子を見てくるわ?
みんなに言い残して、私はヴィレッタが指差した方向へと歩いていった。
格納庫に行くと、彼は自分のゲシュペンストを見上げていた。
もう、どうして逃げたりしたの?
声を掛けると、彼は一瞬こちらを見てから、顔をそむける。
リュウたちに言われた事、気にしてるの?
「理由や結果はどうあれ、大尉の命を賭けのテーブルに乗せたのは事実です」
彼は申し訳なさそうに答える。
―そうね。だけど、おかげでまた一つ、吹っ切れたような気がするわ。
私は笑って、そう言った。
強がりでも、気休めでもない。
私の、素直な気持ちを。
200:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/17 22:35:16 InTpSRaU
>>199
今日の演習で、前より強くなれそうな気がする……あなたのおかげでね。
「俺は何もしてません。全て、大尉ご自身の力です」
そんな事ないわ……私は昔から、みんなに支えられて、やっと一人で歩ける……そんな感じだったもの。
イングラム少佐に撃たれた時も、そうだった……。
「支えられていようがいまいが、大尉が歩く事が出来るという事は、大尉には歩く力があるって事ですよ」
彼は穏やかな声で言ってくれた。
そうね……少なくとも、歩く事は出来る。
なら次は、人の手を借りずに歩けるようになれるし、走る事も出来るわよね?
「もちろんです。大尉にはそれだけの力があります」
うなずく彼の言葉は、力強かった。
ありがとう。その期待に、しっかり応えなくっちゃね。
これからもよろしくね、新人くん!
「イエッサ」
簡潔な答えの後で、私たちはグッと握手をした。
彼の手は、相変わらず燃えるように熱い。
だけどその熱さが、私には頼もしくて、心地良く感じられたのだった。
201:それも名無しだ
07/06/17 22:36:55 InTpSRaU
以上、投下完了。
何でこんな長くしちゃったんだろう……orz
202:それも名無しだ
07/06/18 06:49:52 sBu15CBb
>>190-200
非常にGJ!
内容に、そして長さに。
ゲシュペンストで機体を支える所、ブラザーの荒削りだけど想いに溢れているところ。
それぞれのキャラの感情の動きも説得力がある。
後、この時期だとアヤ大尉もイングラム少佐の影を引き摺っている頃なんだよね。
その辺りの描写もよろしい、と言わせて頂く!(レーツェル
マイの握手参加にちょっと笑ったけど。可愛いw
203:それも名無しだ
07/06/18 10:38:28 xhnOcIoc
>>202
サンクス(・ω・)/
正直、こんなに長くなっちゃって自分でも驚いてる。
頭に浮かんだ場面をドンドン詰め込んでいくと、こうもなるのか、と。
あと、認めたくはないが、アヤにとってイングラムはやはり特別な存在だった訳だし、やはり避けては通れまいと思う。
とりあえず好評で良かった。
204:それも名無しだ
07/06/18 10:40:02 xhnOcIoc
パイロットスーツ姿で、アヤは格納庫へ早足で歩いている。
俺はそれを追いかけながら、再び声をかけた。
なぁ、アヤ。機嫌直してくれよ。
アヤはそこでピタッと足を止めて、肩越しに俺を睨み―プイッとそっぽを向いて、また歩き出す。
俺はため息を一つついて、アヤを追いかけた。
昼休み。
飯食った後、アシュセイヴァーの調整の事で、ラミアにちょいとアドバイスを求めた。
ラミアは相変わらずのポーカーフェイスで答えてくれたが、その様子をアヤに見られちまった。
よっぽど仲睦まじく見えたのか、我が麗しの君はすっかりご機嫌斜めと相成った次第。
たく、女は手間がかかるぜ……。
しかし、こうやってへそ曲げて、ガキみたいな態度になるアヤも可愛い……そもそも、俺の事を愛してくれているからこそ、こうやって機嫌が悪くなる訳だしな。
それに、ここだけの話だが、俺も人の事は言えない。
上官であるアヤを呼び捨てにするリュウセイと、それを咎めたりせず、「リュウ」とあだ名で呼ぶアヤ。
そんな二人のやり取りを端から眺めながら、ひょっとして付き合ってるのか?と、不安と嫉妬に胸をかきむしられる思いに何度もなった。
それをアヤに思い切って打ち明けたら、大爆笑されたが。
205:それも名無しだ
07/06/18 10:42:34 xhnOcIoc
>>204
それはともかく。
俺はアヤの前に回り込み、両肩を掴んだ。
アヤ、頼むから機嫌直してくれ。ラミアとは本当に、ただ話をしてただけなんだ。
アヤは眉間にシワを寄せて、キッと俺を睨む。
「どうかしら?最近は他の女の子たちとも仲が良いみたいだしね!」
いや、確かに仲は良いよ?でもあくまでも、同僚としてであって、俺にとって特別なのは、アヤ一人だ!
頼むから信じてくれ……俺がアヤに嘘をついた事、一回でもあったか?
アヤの、宝石のように汚れのない瞳を、真剣な眼差しで見つめながら、俺は尋ねる。
「それは……ないけど……あっ」
―どうした?
「一度だけ、あったわ」
はぁ?冗談キツいぞ、アヤ!俺がいつお前を……。
「ほら、あなたがチームに来てからの、最初の合体演習(>>190-200)の時よ」
ええっと……俺、何て言ったんだっけ?
「私にご家族の写真を見せて、『俺は家族のために生きて帰るっていう、強い気持ちで戦ってきた』って……あなたのご家族はもう、亡くなっていたのに……」
あー……そんな事言ったな、そういえば。
あの時は、アヤの不安や弱気を払拭しなきゃならんと、必死だったからな。
206:それも名無しだ
07/06/18 10:45:16 xhnOcIoc
>>205
ああ、確かにあの時は、ああ言ったさ。
でも、嘘とはちょっと違う。家族が生きてた時は、本当にそういう気持ちで戦ってたしな。
それが嘘をついた内に入るとしても、それはアヤに、前向きな強い気持ちを持ってほしかったからだ。
あの頃から、俺の気持ちは変わってない。
俺は、アヤを愛してる。アヤのためなら、どんな事だって出来る。
どんな時でも、アヤをこの世のあらゆる残酷さから守ってあげたいんだ。
「…………」
アヤは、頬を赤く染めて、潤んだ眼差しで俺を見る。
「もう……馬鹿」
嬉しそうにつぶやいて、軽く身を屈めて、俺の胸に顔をうずめた。
―ふぅ、機嫌を直してくれたようだな。んじゃ、仲直りのキスでもするか。
「ん……」
アヤはスゥッと、迎えるように目を閉じる。
緑の黒髪を撫でながら、唇を近付けた瞬間―。
「エッチなのはいけないんだぁぁぁぁあああぁぁああっ!!!!!!!!!!!」
―突如響いたマイの叫びと共に、俺は午後の訓練を休む羽目になった。
207:それも名無しだ
07/06/18 19:23:34 nGdY5Nok
>>204-206
>写真
成る程。そういう訳か。
前メッサーに乗ってた頃に、既にあれは起こっていた筈だからねー。
でもまあ、これは良い嘘だ。そこにGJ。
バレなきゃもっと良かったんだろうけど、しょうがない。
そういえば、マイちゃんお誕生日オメ!(何歳かわからんが)
つ【激辛香辛料セット】【映画チケット×3】
郵送だけど送っといたよん。
208:それも名無しだ
07/06/19 01:37:37 8Pmq51Fp
>>207
>マイの誕生日
ぬふぅ……完璧に忘れてたっつーか、ノーマークだったわ……orz
209:それも名無しだ
07/06/19 12:25:50 8Pmq51Fp
いろいろあって、若干日程がズレはしたものの、今日はマイの誕生パーティーをやった。
トロンベに頼んで料理を作ってもらったが、アヤの手作りサンドイッチの方が、マイには最高のご馳走だったようだ。
コイツのこんな幸せそうな顔は、見た事ねえぞ?
料理を食べ終わった後は、誕生日プレゼントを贈呈する。
リュウセイ…フルアクションフィギュア「究極可動バーンブレイド」。
ライ…ムーンストーンとかいう宝石のピアス。6月の誕生石らしい。
ヴィレッタの姐さん…口紅。今から練習しておきなさいとの事。
アヤ…さっきの手作りサンドイッチ+お揃いの浴衣。
俺…紫陽花の花束。
「……お前のプレゼントが、一番手抜きで安上がりだな」
ほっとけ、クソガキ。
つーか、振りでも良いから喜べよ。足りない頭使って、必死に考えたんだぞ?
「ふふん。そういう事なら、その足りない頭に免じてありがたくもらってやる」
口では生意気な事をほざいているが、その子猫みたいな瞳は、紫陽花の鮮やかな色合いに見とれていた。
210:それも名無しだ
07/06/19 12:28:43 8Pmq51Fp
>>209
プレゼントを渡し終えると、カラオケ大会で(主にリュウセイが)盛り上がる。
「元気な女性……だったわよね」
リュウセイとマイのデュエットを眺める俺に、横からアヤがおもむろに声をかける。
な、何の事だ?
「紫陽花の花言葉よ。さしずめ、元気な女性に育ってほしいってとこかしら?」
……へ、へぇ~……そいつは良い事聞いたぜ。今度テストに出るかも知れねえから、覚えとこうっと。
何となく恥ずかしくなって、俺は目をそらしてしまう。
「出ないわよ。だいたい何のテストなの?」
律儀に突っ込み入れながら、アヤはクスクス笑う。
あー、くそ。何でバレたんだ?まさかこれも念動力か?
そんな事を考えながら、俺は照れ隠しにオレンジジュースを一気にあおるのだった。
211:それも名無しだ
07/06/19 12:31:26 8Pmq51Fp
>>207
ブラザーからの贈り物は、到着次第有効活用させていただきますm(u_u)m
212:それも名無しだ
07/06/19 17:46:14 Kov+LUT7
>>208-211
いや、正直マイに興味はないんだけどねw
でも某スレでその話題だったので、じゃあSRX組は今頃パーティーだなって。
後、プレゼントには拘らなくていいよん。
ネタの予備弾のつもりで投げただけだし。
そろそろ一年だもの。
紫陽花は元気になって欲しい人へ、か。
…プレゼントには人柄が出るなあ(ニヤニヤ
213:それも名無しだ
07/06/19 21:29:33 8Pmq51Fp
>>212
べ、別に花言葉なんか知らなかったんだからね!?
綺麗だし、今の時期にピッタリだと思っただけなんだから!
>後、プレゼントには拘らなくていいよん。
>ネタの予備弾のつもりで投げただけだし。
>そろそろ一年だもの。
それで「郵送」で送った訳ね。
まぁ、こちらもとっさにネタが浮かばなかったので「到着次第」とさせてもらったけどw
それにしても、もうそんなになるのか……。
スレタイが理由でスレストくらったのも、今では良い思い出ですw
214:壱
07/06/20 00:03:41 Emqbhura
お久しぶりです。
新参者ですよぅ。
人の姿、人のかたち。
式を打つ時に使う紙の人形、丑の刻参りの藁人形。そして、世間を騒がす機動兵器。どれもこれも、人の姿をしている。
なぜこうも人の形なのか…俺は目を伏せて思う。答えはある。が、それは割愛する。聞きたければ水羊羹をもって事務所へ来るがいい。来月の廿日からなら時間がある。
「…全力で現状から目をそらして、先にある休暇に想いをはせとるとこ悪いんやけどな」
いや、待て。廿日はイルイを町内プールに連れて行かねばならん。その次…廿一日からなら時間がある。
最早、本職が探偵である事など声を大にして言えぬところではあるが、これも仕事。働かざる者、食うべから…
「己に無理矢理な言い訳をしてまで、現実から逃避したい気持ちもわからんではないねんけどな…」
いや、待て…えーと…
「…目の前にある事実から逃げ出すネタが切れたとこで申し訳ないんやけどな…」
「…えぇい!」
俺は目を見開いた。俺の視線の先には、金髪釣り目で狐耳の…要するに妖狐の九重がいる。
「何だ、九重。どうしてお主が不機嫌なのだ。昨夜、痛いのを我慢して精をとらせてやったろうに」
俺は二の腕をさする。絆創膏の下には、九重の歯形がついているだろう。
九重は仏頂面のまま、俺を睨んでいる。九重の目の奥で、たまに緑の火がちかっと光っているところを見ると、かなり怒ってはいるようだ。
「藤原家四十二代目宗家ともあろう人が、式神の腹ん中も覗けんでどうすんねん」
「俺はお主の心は読まん。人の心も読まん」
「だから教師の腹ん中も読めへんねんか?何やねん、この中間考査の結果はぁ!」
「九重、それは中間テストといって…」
「じゃかまし!」
「仕方なかろう、仕事も重なっておったし…」
「何が仕事や!ウチを置いてやれイルイのお付きだ、やれクスハの護衛だ…と。そんなん探偵の仕事ちゃうわ。便利屋やっ!」
九重の平手が卓を叩いた。茶碗が舞う。
「ウチは情けないわ!これでも本家を出る時は七瀬や六道に八雲をよろしくって言われとったのに…」
「七瀬や六道は関係なかろう!」
「何でやねん。八雲の幼馴染みやないかい、七瀬は。六道は…ちょっと変わっとるけど…て、そんなんええわ。何て事や…ウチがついていながら、八雲を人生の落伍者にしてしもうた!」
「誰が落伍者かっ!!」
「ん」
「ぬぐ…主を指さすとは…お主には式神としての自覚が…」
「なーにーがー式神やねん。今必要なんは補習や!そこで、ウチが八雲の為に一肌脱いだる!ウチが教えたる!今後、ウチの事を九重先生と呼ぶようにっ!3、2、1、はい!」
「ちょっと待て、そんなに気合を入れんでもな…」
九重、八重歯が出てる出てる。
「あかん!これも、八雲のためなんやで。ウチもつらいんや…あ、授業中は教師に絶対服従やから。…さて、着替えてこよ」
…。今、結構大事な事をサラッと言ったような…。見ればスーツに眼鏡まで用意する完全武装ぶりだ。
いかん。このままでは…
その時、不意に携帯が鳴った。
俺はこの時ほど、携帯の着信をありがたいと思った事はない。
215:弐
07/06/20 00:04:50 /YoUhu7G
「ブランシュタイン~?どこのボンボンやねん」
女教師九重作戦が実行寸前で失敗した九重は、妖気を隠す事なく発散させながら俺の横を歩いている。
耳はうまく隠せているが、八重歯はちらり、ちらりと顔を覗かせる。この貌を見れば、やはり九重は妖狐・くだぎつねなのだと思い出す。どうも近くにいすぎて、忘れていたようだ。
話を戻そう。
電話はクスハからだった。
何でも、軍のえすあーるえっくすちぃむとやらに属するブランシュタイン殿の部屋で、正体不明の声が聞こえるのだそうだ。
それも、若い女性の声。最初は侵入者の線で調査がされたが痕跡はなく、ブランシュタイン殿も私物から空調の配管まで調査したが結果は空振り。
しかし、声はその後もたびたび聞かれ、何かしらの原因があるのは避けようもない事だった。
軍は部外者が関わる事をよしとはしなかったが、他でもないクスハの知人という事で、俺の出番となったのである。
「大方、昔フッた女の生き霊でも憑いとんのやろ。この魔削ぎの狐の目はごまかされへん」
…と。自分の思惑がいいところで寸断された九重が毒々しい気炎をあげている。
そんなに女教師九重作戦の阻止が口惜しいというのか…。
ま、こんなでも仕事だ。せめて依頼人の前ではまともになって欲しいものだ。
ブランシュタイン殿は、九重のような金髪の士官であった。白磁のような肌、涼しげな眼差し…およそ美丈夫と言ってよい。
俺たちは勧められるがままに腰かけた。挨拶をすまし、話を聞く。この時、九重の瞳が燐光を帯びる。無論、ブランシュタイン殿は気づかない。
「…貴方のお名前を呼ばれるか」
相槌を打つのに合わせて九重に視線を走らせる。九重が僅かに首を振った。九重の目には何も見えなかったらしい。この者に憑き物はない。ならば。
「…あいわかりました。どうやらこの件、貴方に憑き物がいる訳ではないようです」
「私に…では何が?」
俺は立ち上がった。
「古来より、百聞は一見にしかずと申されば…現場にて怪に尋ねるが上策と思われまする」
「…心当たりでも?」
「無論。では、参りましょう」
俺は微笑んだ。
依頼人の恐れを取り除く笑み。恐れは心に隙を作る。怪異どもは、その隙につけこむ事にかけては生まれながらに熟達している。
とは言っても、今回はそのような事には恐らくなるまい。
心当たり、に嘘を言うつもりはない。
まぁ、それも現場に行ってみればわかる事だ。
216:参
07/06/20 00:05:57 Emqbhura
ブランシュタイン殿の部屋は、軍人という職もあってか質素なものだった。
なるほど、これでは私物を調査するにしても、調査するものがない。卓の上の書物、写真立て、クローゼットの服、日用品、そんなものしか見当たらない。
しかし、これで充分だ。
九重は部屋に入るなり不満そうな顔をしている。妖蟲を喰らうつもりでおったのだろうが、陰の気がない。
むしろ、漂うのは陽の気だ。俺の予想は的中した。
「ブランシュタイン殿、わかりました。貴方の名を呼んでいたのはこれです」
「!?」
ブランシュタイン殿の柳眉が曇る。俺が指さしたのは写真立て。無理もない。
「…どういう事か、ご説明いただけますか?」
「勿論。まず貴方は、この回答を馬鹿げた事とお思いですか?」
「…素直に納得できる話ではないと思いますが」
「それは何故?」
「それは…写真は話しません」
「ではお尋ねしましょう。写真には姿が写る。が、気持ちは写らぬと何故お思いになるか?」
「な…」
「これは、『画霊』です」
「が…りょう?」
「思いや念のこめられた絵画が長い年月を経て変ずるものです。こめられた思いや念により、すすり泣くもの、怨み言を吐くものとありまするが…」
「…」
「この写真にこめられた思いは…無垢。それ故に、純粋で強い。それで画霊となったのでしょう」
写真には俺の知らぬ少女が写っている。服装からすれば、どこぞの姫君だろうか。その微笑みは可憐ではあったが、どことなく哀しげでもあった。
「…」
「この写真を貴方に贈った少女の気持ちを、少しでも察する事ははできませぬか。さすれば、この少女の気持ちも少しは安まるでしょう」
「…私は」
「この少女を愛しろとは申しません。ただ…文の一つでも…。思いは、近くなければ伝えられぬものではありますまい」
それから、ブランシュタイン殿はしばし黙りこんだ。ただ、じっと写真の少女に目を向ける。そして、ようやく、
「…シャイン王女」
その時、動かぬはずの写真の少女が、より可憐に微笑んだ気がした。
217:終
07/06/20 00:07:11 Emqbhura
「…結局、半分は当たっていたのだな」
ブランシュタイン殿と別れた帰り、俺は独り言のように言った。
「…何がや?」
「お主の言葉だ」
「ん…何か言うた?」
「生き霊」
「あ、あれかいな。でも、画霊は生き霊ちゃうやないか。写真にこめられた思いやもん」
「そうだが…」
俺はそんな事を話したいのではなかった。
離れていても、あれほどまでに相手を想える者もいる。しかし、俺は九重が何故あれほど怒ったのかわからない。
主と式神。それなのに。こんなに近くにいるのに。
「…すまぬ」
「何がや?」
「俺は、お主をわかってやれておらん」
「な、何やの?」
「俺は、お主が何故あれほど怒ったのかわからぬ。それが、悔しいのだ。申し訳ないのだ」
「…八雲」
「すまぬ」
「…なあ、八雲」
「何だ?」
「クスハやイルイでも、八雲は同じように思う?」
俺は九重の顔は見なかった。見てはならない気がした。
「…思わん」
「何でや?」
「クスハもイルイも、言わば他人だ。だが、お主はちがう」
式神だから…式神…。
いや…
「なら、ウチも謝らなあかん」
「…九重?」
九重の言葉に、俺は思考を止められる。
「ウチな…」
「ん?」
「ウチ…」
珍しく九重が口ごもった。釣り目が困ったように伏せられ、紅い瞳が泳ぐ。夕陽のせいか、頬が赤い。
「…九重?」
「あ、あーもぅ、ウチも謝る!だからこれでしまいやっ!」
「…?」
「な、何やねん!ウチも謝る言うとるんや!それでええやんか!」
「そ、それは構わんが…何をそんなに慌てておる」
九重の頬が紅潮した。
「慌ててなんかおらへん!」
「いや、慌てておろう」
「慌ててへん言うとろうが!」
九重はそう言うと、俺を追い越してさっさと歩き出した。いくら呼べども振り返りもしない。
やはり、わからぬ。
わからぬが…俺は九重との距離が、少し縮まったような気がしていた。
藤原八雲の事件簿3
終幕~
218:それも名無しだ
07/06/20 00:57:16 BNdii/ot
>>214-217
何だ、このベタベタなオチはーっ!w
俗に言う様式美ってやつですか?ツンデレってやつですか?
GJでした。
それとライ、手紙の一つも送らんとは何事か……今度説教してやらねばw
219:それも名無しだ
07/06/20 07:45:36 dwOtILmK
>>214-217
おお、お久しぶり!!
そして、これは…凄まじい。
ありえない程にGJ!!11
キャラの組み立てから動き、台詞回しの自然さ、巧みさ。そして面白さ。
ボキャブラリーの豊かさ。
いつもの事だけど神過ぎ。
もう、さっさとプロデビューしなさいw(もうしてたらすみません
読者としての感想。
九重をアニメで見たい。誰か作ってー。
後、八雲の素直な性格が好きだなぁ。傲慢さが無いし、優しいし。
基本は強力な式神使いだけど、中学生らしく幼く脆い所もあったりして。
ラストもGJ!その為の冒頭の前振りだったのだな、と。
そして。
…ライディース…?
シャイン王女…?
ヤバ。
変なSS書いたばっかりじゃん…w
こここ殺されるっw
でもここまで想いが強いのなら安心だ。
二人の未来に幸あれ(お前が言うな
ラトと同居人でした。
220:それも名無しだ
07/06/20 08:45:01 BNdii/ot
「手紙を書きたいのだが、何と書けば良いだろうか……?」
ライがいきなり部屋にやって来て、質問してくる。
何だよ、いきなり。
手紙って誰にだ?
つーか、何か伝えたい事があるから、手紙を書くんじゃねえのか?
「いや、実は……シャイン王女に手紙の一つも送ってやろうと思ったんだが……思ったんだが、その……」
―シャイン王女?
なるほどな。
俺はその名前を聞いただけで、納得した。
今のライが、妙に歯切れの悪い物言いをしてるのも、手紙の内容が浮かばず俺に助けを求めるのも、全ては恥ずかしさ故というやつか。
しかし、本当に唐突だな。
この前、知らないガキと色っぽいネーチャンを基地の中で見かけたが……あれは関係ないか。
しかし、そういう事はアヤやヴィレッタの姐さんに聞いた方が……。
「隊長は会議で、大尉はマイと食事に出かけている。リュウセイは、こういう時はインクの切れたボールペンよりも役に立たん事はわかるだろう」
確かに。
よっしゃ、そういう事なら、いっちょ俺もない知恵絞って考えてやるか。
とりあえず、立ち話もアレだし、入れや。
「すまん。感謝する」
ライはペコリと軽く礼をして、部屋に入った。
221:それも名無しだ
07/06/20 08:46:50 BNdii/ot
>>220
冷たい麦茶を飲みながら、俺とライはテーブルを挟んで、考え始める。
手紙の文面だが……王女様も色々忙しかろうし、あまり長いのは、読む暇がないからNGだな。
「うむ」
簡潔に内容をまとめれば、王女様も返事の手紙を書こうって気分になりやすいだろうし。
「そういえば携帯のメールも、長い文より短い文の方が、相手も返信しやすいと聞いた事がある……」
まぁ、その辺の調節は、お前自身に任せるが。
「だが俺は、手紙を送りたいだけであって、文通をしたい訳では……」
返信不要ですと言わんばかりの手紙を書いてみろ。
やっぱりライディー様は私の事を疎ましく思ってたのですね~!とか言って、泣き出しちまうぞ?
「む……だが……」
―よし、わかった。
相手を傷付ける事なく、かつ返信不要な文章を教えてやろう。
「そんな便利な文章があるのか?」
ライが疑わしそうに、眉をひそめる。
ふふん、任せとけ。
ただし、気持ちがしっかりこもってないと効果はねえ。
一字一句じゃ、まだ生ぬるい!一画一画に魂をこめて書け!
魂かけりゃあ攻撃力は一気に三倍だからな!
「攻撃してどうする」
良いから書け!紙持って来てんだろ?
「ああ……」
ライはテーブルに、やたら上等な便箋を出した。
222:それも名無しだ
07/06/20 08:49:31 BNdii/ot
>>221
そして、やたら高そうな万年筆を用意した。
「……で?」
うむ、まずは「いつか」と書け。
「い……つ……か……」
次は「迎えに」。
「むか……え……に……」
最後は、「行きます」だ。
「い……き……ま……す……と。しかしたったの一行で……む?」
どうした?
「―いつか迎えに行きます……貴様、これはある意味プロポーズじゃないのか?」
いや、プロポーズだよ。
こうやって書いときゃあ王女様も、いつか愛しのライディー様が白馬に乗って迎えに来てくださいますわ~!とか言って、喜ぶぞ?
王女様のハートをキープしたまま、相手に返信の負担も与えない一石二鳥の妙案!
ふっ、自分の策士ぶりが、チョッピリ怖いぜ……って、ライディースくん、何で左拳をググッと握り締めてるのかな?
「一瞬でも貴様を信じた、俺が馬鹿だった……」
ちょ、ちょっと待てライ!麦茶でも飲んで落ち着け!
あ、黒蜜飴舐めるか!?癒される甘さだぞ!?
と、とりあえず落ち着け!左手は!お前の左手はマジでやばいんだって!
「俺に出会った不幸を呪えぇぇぇぇえっ!!!!!!!」
し
ば
ら
く
お
待
ち
下
さ
い
゜
223:それも名無しだ
07/06/20 17:08:51 6j9l0Je8
小さな傷なら舐めればいい。
大きなものならそれなりの手当てをして。
治るべきものはそうやって治っていく。
だが、記憶や想いはどうすれば治るというのか。
二人の想いは、過去には通じ合っていたのだろうが…。
封筒の裏に書かれた名前は、ライディース・F・ブランシュタイン。
シャイン王女が受け取った手紙だ。
「いつか、迎えに行きます」
何故かちょっとよれよれになった便箋。
書いて、迷って。握り締めて。
何度も封を破っては取り出し、意味も無く内容を確認してはまた封筒に突っ込んだ。
そんな風情だ。
ひとつ溜息をついて、膝の上に頭を乗せて眠っている新たな同居人を見下ろす。
シャイン・ハウゼン。
編んだ細い金髪と、額に輝くヘッドティカ。
細いうなじと華奢なからだ。幼いながらも端正な顔立ち。
白を基調にした、まるで中世の絵画から抜け出てきたかのような豪奢なドレス。
シャイン王女は事故でラトの俺への気持ちを刷り込まれた。
俺は、ここ何日もシャイン王女の為を思って心を壊さぬよう細心の注意を
払って一緒に生活してきた。
俺は何もしていない。
正確には、何もしようとしない事に全力を注いでいる。
そして。
この手紙には、ライディース少尉の出せる限りの気持ちが篭っている。
王女を膝に乗せたまま、大の字にひっくり返って天井を仰いだ。
リクセント公国の強大な財力で世界中の研究機関を当たっているらしいが、
まだ王女の回復の目処は全くと言っていい程立っていない。
コンピュータに例えれば、今の王女の脳は悪いウイルスにデータを上書きされた
ハードディスクって所だろうか。
バックアップも無いのにどうやって元の状態に戻せと言うのか。
王女の想いは殺された。
フェアリオンの意識連結システムのバグに。
目を瞑る。
―ライディース少尉は、俺が憎いだろうな。
目を開けると、ラトゥーニが心配そうに覗き込んでいた。
「ラト…」
「うん?」
「シャイン王女、元に戻んないのかな」
ラトは無言のままだった。
224:それも名無しだ
07/06/20 21:55:54 BNdii/ot
なに?結局あの手紙、出しちまったのか?
今日の訓練を終え、部屋でアヤを待ちわびながら、一人ノンビリしてたところへ訪ねて来たライ。
彼の口から、昨日のあの冗談半分に書かせた手紙(>>220-222)を送ったと聞かされて、マジで驚いた。
俺を義手でぶん殴った後、自分でクシャクシャに握り潰したってのに。
「俺にもわからん……ただ、出しておかなくては、後悔しそうな……そんな気がした」
ライは軽く目を伏せ、真剣な顔で答える。
何じゃそりゃ。
お前、あの文章はプロポーズみたいだってゴネてたじゃねーか。
「だから、俺にもわからんと言っている……そうだ。俺には、自分の気持ちも、王女の気持ちもわからん」
王女様はお前が好きで、お前だって王女様の事は嫌いじゃねえんだろ?
「ああ……俺も、王女には好意を抱いている。彼女が俺を必要としている時には、いつでも駆けつけてやりたい」
何だ、わかってんじゃねーか。
「そうじゃない。その気持ちは、どういう意味なのか。それがわからない……」
―なるほどね。
例えばアヤに、俺とマイの事をどう思ってるかって聞けば、愛してるって答えるだろうな。
でもその「愛してる」は、それぞれで意味が違う。
そういう事か?
「そういう事だ」
ライは簡潔に答える。
225:それも名無しだ
07/06/20 21:58:04 BNdii/ot
>>224
「王女の好意も、単に周囲の人間と毛色の違う男に対する好奇心なのか、それとも亡くなられたお父上を重ねているだけなのか……それとも、俺を純粋に、一人の男性として見ているのか……時々わからなくなる」
まったくお前も難儀な性格してるな。
だが、何となくわかる。
俺も、時々アヤの気持ちが見えなくなりそうに感じる。
俺の知らない間に、気持ちが俺から離れちゃあいないかと不安になる。
それはアヤも同じらしくて、だからこそ触れ合う事で、お互いの気持ちを確かめ合ってる訳だが。
しかし、ロクに会えず、話も出来ないコイツはそうもいかんしなぁ……。
―そうだ、良い事思い付いた。
「猛烈に嫌な予感がするんだが……何だ?」
ほれ、王女様がラトゥーニと一緒に乗ってた二機のロボットがあったろ。ゴスロリオンとかいう……。
「フェアリオンだ……で?」
あれにお前と王女様が乗って、お互いの精神をリンクさせりゃあ良いんじゃねえ?
そうすりゃお互いの気持ちが一発でわかるってもんだ。
「……馬鹿馬鹿しい。そんな事で理解出来れば、苦労はしない」
とか言って、今一瞬考えたろ。
「からかうな」
まぁ、冗談は置いといて。
226:それも名無しだ
07/06/20 21:59:32 BNdii/ot
>>225
少なくとも、王女様をこの世のあらゆる残酷さから守ってあげたい。その気持ちには、嘘偽りはねえんだろ?
「ああ」
なら、今はそれで良いだろ。
あとは、今度会った時にでも直接話をして、確かめりゃあ良い。
別にお前も王女様も、明日になったらこの世から消えてなくなる訳じゃなし。
「……そうだな。今お前とくだらん話をしたところで、何の解決にもならん。今は、それで良しとしよう」
ライは晴れやかな微笑を浮かべる。
「やはり、王女と文通でもしてみよう。少なくとも、お喜びにはなろうからな」
おう、そうしてやれ。
俺はライを廊下まで見送る。
「わざわざすまなかった……ありがとう」
そう言ってライは左手を差し出す。
俺は軽く握手に応じてやった。
あ、ちょっと待て。
自分の部屋に戻ろうとするライの背中に、呼びかける。
「何だ?」
振り向いたライに、俺はポケットに入ってた黒蜜飴を投げてよこす。
疲れてるから、ゴチャゴチャくだらねー事考えちまうんだ。
それ食って、ゆっくり休め。
「そうだな……そうさせてもらう」
ライは笑って、飴玉を左手で受け取った。
227:それも名無しだ
07/06/20 22:05:07 BNdii/ot
>>223とリンクしてるかしてないかは、各人のお好きなように解釈してくださいm(u_u)m
いや、ブラザーの今後の展開が読めないもんで(^_^;)
余計な事だったらマジでごめんなさいm(u_u)m
228:それも名無しだ
07/06/20 23:26:04 6j9l0Je8
>>227
いや、単に鬱展開書きたかっただけ…って言ったら怒られそうだけど。
幾つかまだやり残した事があるんだよね。
その為にブレーキ掛けた。
せっかくエロシャイン導入した事だし。(やりたい事ってエロかよ!
次回、どうにもならない状況に追いつめられる主人公。
エロシャインの魔の手が迫る!
ラトはどうなる?!
なんちってね。サービスサービスゥ(古
229:それも名無しだ
07/06/20 23:41:54 /YoUhu7G
新参者ですよぅ。
お久しぶりでした。
皆さま、お元気なようでよかったです。
>>218
いやー…ベタベタでしたねぃ…
先読み可能な展開でごめんなさいです。
しかも、今回は黒天狐も黒烏も出撃せず…
手抜き感バレバレ?
うひゃあ、平にご容赦を。
>>219
こんばんはです。
お誉めにあずかり、大感謝です。
楽しんでいただけたなら、よかったぁ…
そ・れ・と。
ププププロデビュー!?
こんな凡才にチャンスをくれる、神な出版社ありませんよぅ。
言っていただけただけ、嬉しゅうございます。
その後の展開を投下してくださった皆さま、すばらしいです。
楽しんで読ませていただきました。
GJです!
230:それも名無しだ
07/06/21 00:22:06 mID2A8/k
スレイの夫です。少し開けていたのと、読んでなくて申し訳ない
今回は顔出しだけなんでレスは付ける気は無いです
同居人さんと不死身の男さん、感想ありがとうございます
結果が出る人が羨ましい
231:それも名無しだ
07/06/21 08:50:09 1Es3l4OD
>>228
なるほどね。
次回は エ ロ 祭 り という事になる訳ですな?w
>>229
いやいや、安心して読めたよん('-^*)/
俗に言う様式美ってやつですな。
>>230
お帰り。
読みたい時に読んで、書きたい時に書けば良いじゃないか(´∀`)
無理しちゃダメよん('-^*)/
232:それも名無しだ
07/06/21 17:50:59 7voYp/a/
>>229
また!そんな!ご謙遜を!(ビシビシ
あ、痛かったですか…?
うーむ力が入りすぎたか。
とにかくGJでした!
>>231
強調すんな!!w
コーラ噴いた。
>>230
押忍!!
233:君の夫は、もういない
07/06/21 21:20:17 7YNvrdRv
ユーラシア連邦宇宙要塞アルテミス。
その一室に、紫の髪をした一人の青年が寝かされていた。
男「…………う、うう……」
男は目を覚まし、辺りを見渡す。
男「…………ここは……?それに、『俺は』……?」
メリオル「お目覚めですか、クレーズ特務兵」
男「クレーズ……それが俺の名か……って、あんたは誰だ?ここは一体どこだ?」
メリオル「ここはユーラシア連邦宇宙要塞アルテミスの医療室です。
私はアルテミス所属のアガメムノン級戦艦オルテュギア管制担当のメリオル・ピスティスです」
男「…………教えてくれ、俺は何故ここにいる?そして何故俺は以前のことが思い出せない?」
メリオル「あなたはアルテミスで開発されたMS『ハイペリオン三号機』のテストパイロットだったのですが、
機動実験中に後頭部を強打、それ以前の記憶を失ったものであると思われます……失礼」
通信が入り、メリオルはパネルに向かった。
その男に遠目に見えたのは、禿頭に帽子をかぶったこの要塞の指揮官らしい男だった。
男には二人の会話までは聞こえなかった。
一方、地上では、複数の人間が話をしていた。
その中の青髪の女性は悲鳴にも似た驚きの声を上げた。
青髪の女性「行方不明!?」
緑髪の青年「ああ、あの後俺たちは大西洋連邦の新型『105ダガー』のテストパイロットをやったんだが……」
黒髪の青年「途中でザフトに遭遇、彼の機体が撃墜された」
茶髪の女性「あたしのブレンが脱出ポッドを確認したって言ってるんだけど……」
中華風の男「なにぶん厳しい戦闘でな……ポッドを追う余裕がなかった」
青髪の女性「そんな…………」
男「なあ、メリオル…だっけ?」
メリオル「はい、何でしょうか?」
男「そろそろ俺のファーストネームを聞かせてほしいんだが……」
メリオル「ああ、そうでしたね。あなたの名は……」
青髪の女性「……もう、会えないの……?」
メリオル&シャナ=ミア「「ゼア=ウィド」」
234:君の夫は、もういない
07/06/21 21:21:41 7YNvrdRv
お久しぶりです、ゼア=ウィドシリーズ新章突入です。
これからも楽しんで呼んでいただければ幸いです。
今後ともよろしくお願いします。
235:それも名無しだ
07/06/22 11:45:15 T6fPgA8y
>>233-234
美術館閉鎖の次は記憶喪失かよ!
何だ、その怒涛の展開はーっ!w
236:それも名無しだ
07/06/22 11:48:04 T6fPgA8y
>>232
>強調すんな!!w
>コーラ噴いた。
すまん、俺の中の野獣の血が反応しちまったようだ。
噴いたコーラはこれで拭いとき。
つ◇【←懐紙】
237:それも名無しだ
07/06/22 16:18:28 ycR8qwLf
>>231
ありがとう、そうなんだよね。だけど、面白いものを書かないと誉められないと思ってしまってその考えが頭の中で毎日ループしてしまうんだよ
>>232
押忍!!
>>233
話が見えないのはこれからパズル形式で色々と出てくるのかな。少し期待してしまいそうだ
238:それも名無しだ
07/06/22 20:06:19 ycR8qwLf
昼休み 実験室
オペ子A「あら、いたの?いたならいたって言ってくれればいいのに」
ラピス「・・・交代です」
オペ子A「じゃあ、後は頼むわよん♪」
・・・。
ラピス「それでは実験を始めます」
シャア「了解した・・・(ラピスたんハァハァ・・・)」
「調子どうだ?」
ラピス「・・・」
「・・・(相変わらずしゃべらんな)」
ラピス「・・・」
「まずまずの数値だな。果たしてあのロリコンニートのおじさんがどこまで行くのか」
ミッテ「あら、来ていたの?」
「ああ、ミッテさん」
ミッテ「困るわよ。関係者以外入っちゃ」
「まあまあ、いいじゃないですかちょっとくらい」
ラピス「・・・ここは関係者以外立ち入り禁止です」
「ラピスちゃん・・・君まで・・・分かった帰ることにするよ」
シャア「ラピスたんハァハァ!」
ラピス「?」
ミッテ「凄い数値ね。ラピス、もう少し何かしゃべりなさい」
ラピス「え・・・あの・・・」
シャア「ハァハァ・・・!」
ミッテ「凄い!予想以上の数値ね。これなら次の学会で№1間違い無しよ♪」
通路
「さっきは追い出されちまった」
ルー「無理ないわ。どうせ、ラピス目当てでしょ?」
「違うやいっ。俺にはスレイという妻がいるんだ」
239:それも名無しだ
07/06/22 20:38:01 T6fPgA8y
>>238
あのまま放置したら、シャアが暴走したりせんだろーなw
まぁ、ララァの背後霊が何とかしてくれるだろw
240:それも名無しだ
07/06/23 12:17:12 naw6xri5
「ん……あん……」
アヤの悩ましい声が、部屋に響く。
彼女の上で、俺が覚えたツボを刺激する度に、アヤは声を漏らして、くすぐったそうに身をよじる。
その度にベッドはギシギシと音を立てて軋んだ。
この上で、何度も何度もアヤと濃密な時間を過ごしたが、一人用にしちゃエラい頑丈だなと感心する。
それはともかく、俺はアヤの身体のツボを、うつ伏せた背中を眺めながら、ゆっくりと丹念に責め続けた。
「あっ……いい……!」
俺の動きに合わせるように、アヤの可憐な唇から快感の声がこぼれる。
「そこ……もっと、して……」
―ここか?
言われるままに、刺激を与える。
ここが良いのか?
「んっ……良い……」
いちいち確認しなくても、その声色から、アヤが気持ち良くなってくれてるのがわかる。
「もう……こんな事、どこで覚えたの?」
アヤが俺のために色々と努力しているように、俺も色々と勉強してるのさ。
何せ俺は、アヤを心から愛してるからな。
「んっ……馬鹿……うぅんっ!」
俺がここはと思う場所を突くと、アヤはまた切ない声を上げる。
どうだ、アヤ。気持ち良いか?
「んんっ……気持ち良い……きもちいい~~~~っ!!」
我を忘れた至福の声に、俺は何とも言えない喜びと達成感を感じた。
241:それも名無しだ
07/06/23 12:20:55 naw6xri5
>>240
全てが終わると、俺はアヤの上から離れて、ソファに座った。
ふぅ、ちょいと飛ばしすぎたかな。手が疲れちまった。
「でも、おかげで体中がほぐれちゃったわ。何だか、体が軽くなったみたい」
アヤが俺の隣に座り、子猫のようにすり寄ってくる。
「これなら、プロのマッサージ師としてもやっていけるかもよ?」
そうか?
もしそうだったとしても、俺はアヤ以外の客を取るつもりはないけどな。
答えながら、アヤを抱き寄せて、髪を撫でる。
しかしチームリーダーってのは、本当に疲れる役回りなんだな。
肩だけじゃなくて、他にもあちこちこってたぞ?
「そうねぇ……特に、どこかの誰かさんがすぐに無茶をするから、余計にストレスたまるのかも」
あぁ、だからその誰かさんにストレスぶつけてる訳だ。
昨夜みたいに。
「もう!わかってるんならもう少し慎重にやりなさい!」
アヤがプゥーッと膨れっ面して、頬をつねる。
「本当に心配ばっかりかけさせるんだから……馬鹿」
言うなり、俺の胸にすがりつくアヤは、まるでちっちゃな女の子だ。
「罰として、これからもちょくちょく、マッサージしてもらいますからね?これは命令よ!?」
イエッサ。
俺はそう答えると、おもむろに唇を重ねた。
「んっ……んふ……」
明らかに濡れた声を漏らすアヤが、俺の首に両腕を回して舌を絡ませて来るのに、時間はかからなかった。
242:それも名無しだ
07/06/23 13:05:15 ECBo5XBI
>>239
読んでくれたのか、サンクス。あれ以降あの場所に行ってないから分からないなあ
>>240-241
素晴らしいw
243:君の夫は、もういない
07/06/23 18:20:15 Ln+ge5sj
宇宙要塞アルテミス。
そのパイロット待機室で、三人の男が会話をしていた。
カナード「貴様が三号機のパイロットか?」
ゼア=ウィド「ああ、どうもそうらしい」
バルサム「ま、仲良くやろうや。俺はバルサム・アーレンド。
人は俺を『アルテミスの荒鷲』と呼ぶ」
ゼア=ウィド「へえ、凄いな。荒鷲か……」
感心しているゼア=ウィドに、隣の長髪の男がこう言い放った。
カナード「と言っても、こいつの撃墜マークはシミュレーションのもの、
異名も自分で名乗っているだけだ。俺はカナード・パルスだ」
ゼア=ウィド「そうか、俺はゼア=ウィド・クレーズ。よろしくな」
地上。
軍の施設に一人の青髪の女性が怒鳴り込んできた。
シャナ=ミア「お願いです!私が祭典で使用したラフトクランズを出してください!」
ちずる「落ち着いてくださいシャナ=ミアさん!一体何があったって言うんですか!?」
シャナ=ミア「ゼアがっ…ゼアが行方不明に……!」
シャナ=ミアはかろうじてそう言うとその場に泣き崩れた。
ちずる「シャナ=ミアさん……オルガ君、説明してくれる?」
オルガ「ああ、実は……」
アルテミス司令室。
メリオルと指揮官であるガルシアが会話をしている。
ガルシア「では、全ては順調なのだな?」
メリオル「はい。…偶然この要塞付近に漂流していた脱出ポッドを一人の情ある兵士が回収、
それに乗っていたのはフューリーの女王シャナ=ミア・エテルナ・フューラの伴侶
ゼア=ウィドだった。我々は彼に精神操作を行い以前の記憶を抹消し、彼は我々の同志だという
偽の真実を突きつけ彼を味方につける……あの兵士がポッドを拾ったのはラッキーでしたね」
ガルシア「ああ、これで三人のハイペリオンパイロットが揃った。もう我々ユーラシアに敵はいないぞ……」
ガルシア「全ては!我々ユーラシア連邦のために!ふふふ……ふはははははは!!」
244:それも名無しだ
07/06/24 04:39:07 ih3RD4/j
>>243
記憶喪失自体は、事故じゃなかったのね……先が楽しみ。
245:それも名無しだ
07/06/24 04:40:13 ih3RD4/j
朝の7時。
今日が日曜日である事を考えると、早い時間と言える。
俺はアヤの部屋の前にいた。
目の前のドアが、今はやたら分厚く、そして重く感じる。
それでも俺は、思い切ってインターホンの呼び出しボタンを押した。
―きっかけは、ほんの1時間前の事だ。
俺は自室のベッドの上で、まどろんでいた。
そこへ、アヤが真っ白な裸身を重ねながら、いつにない真剣な表情で、質問してきたのだ。
「もしも私が死んだら……どうする?」
突然すぎて、言葉が出なかった。
身を起こして、何故そんな事を聞くのかと尋ねると、夢を見たらしい。
異星人の総攻撃を受けてSRXが大破し、R-3の部分に直撃を受けて死ぬ夢。
その夢では、何故か俺はSRX組には入ってなかったらしい。
―馬鹿げた質問だ。
俺は絶対にアヤを死なせない。
どんな敵からだろうとアヤを守ってみせる。
俺は迷わず答えた。
「―もしもの話よ?嬉しいけど、ちょっと答えになってないわね」
アヤは表情も変えずに、そう返す。
もしもアヤが死んだら、か。
―その時は、どんな方法だろうと、必ず生き返らせる。
我ながら馬鹿げた答えだが、俺は真剣に答えた。
246:それも名無しだ
07/06/24 04:41:56 ih3RD4/j
>>245
俺にとって、アヤは掛け替えのない女性だ。
それを失う事は、死よりも恐ろしい。
例え悪魔と契約して、この肉体と魂をグラム10円で安売りする事になったとしても、アヤを生き返らせる。
イカレた答えなのは百も承知で、俺は言い切った。
―だが、アヤは悲しそうな顔をするだけだった。
「それも嬉しいけど……私は、あなたの重荷にはなりたくない。その時は、私の事なんか忘れて、他にもっと良い人を」
パァンッ!
アヤの言葉を、乾いた音が遮った。
一瞬の間を置いて、俺は自分がアヤの頬をぶった事に気付いた。
「………」
アヤが頬を押さえ、信じられない物を見るかのような視線を俺に向ける。
「ごめんなさい」
小さく呟くと、彼女はベッドを出て、服を着る。
引き止めようとしたが、上手い言葉が思い付かない。
そんな俺から逃げるように、アヤは部屋を出た。
私の事なんか忘れて、もっと良い人を見つけてほしい。
アヤは多分、そう言いたかったんだろう。
それは純粋に、俺の幸福を願ったからだ。
俺だって、死後もアヤの中で美しい思い出として残るならともかく、亡霊のようにアヤの心を縛り付けたくはない。
だから、立場が逆なら同じ事を言った筈だ。
247:それも名無しだ
07/06/24 04:45:15 ih3RD4/j
>>246
だが俺は、自分の想いが軽い物に見られてるように感じて、そんな自分勝手な思い込みから、アヤに手を上げてしまった……。
アヤがどんな気持ちで、あんな質問をしたのか……どんな気持ちで、あんな事を言ったのか、知ろうともせずに。
―どうしよう。
頭を抱えた。
これからどうするべきか、足りない頭を使って考えた。
あんな質問をしたアヤが悪い。
そうささやく声もあったが、それは無視した。
変な夢を見れば、変な質問の一つもしたくなるだろう。
いずれにせよ、手を上げた時点で、100%俺が悪い。
ならば答えは一つしかない―謝ろう。
そう決意して、俺はアヤの部屋の前に立った。
来る途中も、いろんな考えが頭をよぎった。
この行動もまた、自分勝手な感情を優先してるだけなんじゃないか?
今は、一人そっとしておいてやるべきじゃないのか?
だが、ある可能性を考えると、足を止め、部屋に戻る事など出来なかった。
何故なら、今アヤは、俺に嫌われたのではないかと不安に震えてるかも知れないからだ。
俺を傷付けてしまったのではないかと思い込み、泣いているかも知れない。
その不安や悲しみを取り除けるのは、俺だけだ。
嫌ってなんかいない。
傷付いてもいない。
そう言って、安心させてやりたい。
初めて逢った時から、俺はアヤを、この世のあらゆる残酷さから守ってあげたいと、心に決めていたのだから。
248:それも名無しだ
07/06/24 04:47:25 ih3RD4/j
>>247
インターホンのボタンを押して、呼びかける。
アヤ、俺だ。
話がしたい。顔を見せてくれ。
―少しの間を置いて、ドアが開いた。
アヤの端正な顔には、涙の痕があった。
やはり泣いていたのか―いや、俺が泣かせっちまったんだ。
罪悪感に胸をえぐられながら、俺は部屋の中に逃げ帰ろうとするアヤを、優しく抱き締めた。
ぶったりして、悪かった。許してくれ。
耳元でささやく。
「お……怒って、ない?」
恐る恐るアヤが尋ねる。
怒ってなんかない。
アヤは俺の事を思って、ああ言ってくれたんだろ?
それを俺が勘違いして、カッとなっただけだ。
もう怒ってない。
穏やかな声で答え、さっきひっぱたいちまった頬を、優しく撫でる。
本当にごめん。
痛かっただろ?
「叩かれた事より、あなたを怒らせたんじゃないか、傷付けて、嫌われたんじゃないかって……そっちの方が怖かった……」
ああ、やっぱり……それで、こんなに泣いていたんだな。
目尻に浮かぶ涙の粒を、指でそっと拭ってやる。
大丈夫。俺はアヤを嫌ったりなんかしてない。
心から愛してるよ、アヤ。
そう言って、俺はゆっくりと唇を重ねた。
唇を離して、真っ直ぐにアヤの顔を見つめる。
「よ、良かった……あたし……あたしね……あたし……」
安心からか、アヤの目からはポロポロと涙がこぼれ落ちる。
そのままアヤは、小さな子供のように泣き出した。
俺はアヤを部屋の中に連れ込む。
抱き締めて、口づけをして、思い付く限りの愛の言葉をささやいて、慰めてやった。
249:それも名無しだ
07/06/24 04:49:07 ih3RD4/j
>>248
「ん~っ!お腹いっぱい!」
レストランを出て、アヤは満足そうな声を上げる。
このランチで盛大に飛び去って行った、我が財布のお札たちを思うと、俺はため息が出そうになるが。
「さぁ、それじゃあ次は〇〇でブーツを買って、△△で水着も買わなくっちゃね!もうすぐ夏だもの!あ、あと夏物の服も欲しいわね~……□□で良いわよね?」
マジかよ……全部アヤと付き合い始めてから耳にするようになった、高級店ばっかじゃねえか。
勘弁してくれと言いたくなるが、今日1日アヤの奴隷になる事で、ひっぱたいた事をチャラにしてもらう約束だから、仕方がねえ。
「ほら!早く行くわよ!」
イエッサ。
答えながらも、やっと見せてくれた弾けるような笑顔に、俺も口元が緩む。
給料日前にスッカラカンになるだけでこの笑顔が見れるなら、安い買い物だ。
俺の前を楽しそうに歩くアヤに、道行く男どもが揃って視線を向ける。
今のアヤはヘソ丸出しのチューブトップに、パッツンパッツンのミニスカートとハイヒール。
小脇にはバッグと一緒に、着用の意志0の薄いジャケットを抱えている。
こんなイケイケな格好した美人が、初めて遊園地に来た子供のようにはしゃいでるんだ。
男なら、そらぁ気になるわな。
ふふん、良いだろ良いだろ!
俺 の 女 だ !
全宇宙に宣言してやりたくなるような、優越感がこみ上げる。
「ちょっと!何をボサッとしてるの!」
アヤが両手を腰に当てて、こちらを向く。
な、何でしょう?
「ほらっ、早く手を繋ぎなさい♪」
……イエッサ。
差し出された白く優しいその手を、俺は暖かな気持ちで、しっかりと握ったのだった。
250:それも名無しだ
07/06/24 14:33:39 UZ50QYVT
>>245-249
乙&GJ
感動した。仲直りできて良かったね。うん、本当に
最近、文章を読むのが嫌だったが最後まで勢い良く読めたのが不思議。興味を引ける文章なのかな、と
> 俺 の 女 だ !
素晴らしい、言い切ったなw俺も言い切れるが尊敬するよ
それにしてもアヤさんは飛んだ子悪魔ちゃんだなw財布、やばいんだろ?頑張るしかない
なんだか俺だけ置いてけぼりのように感じてしまった。ネタ書かないとなあ
251:それも名無しだ
07/06/24 15:37:54 UZ50QYVT
休日の午前中、ソファーでゴロゴロして麦茶を飲む。この前CMでやっていた『プロの麦茶』なんだが……今もブーメランパンツ姿の鉄也さんが頭から離れないのは呪いのようだ。
良い天気だ。空は雲一つもない。外から子供たちがはしゃぐ声が聞こえてくる。これが俺達が護ってきた平和なのかなと感じられて幸せだ。
スレイは外で洗濯物を干している。ここからはスレイの後姿が見える。
うむ、なかなか良い尻だな。上下する二つのお肉がたまらんw尻とか脚とかを見る人はおっさんだと聞くが、俺は自覚している。
スレイの後姿に見惚れていると、俺はあるおかしいことに気づいた。
手の動きが止まっている。ここからだとあまりよくは見えないが遠くの方を見ている様子だ。
何かあったんだろうか?
心配して外へ出てみるとスレイはまだ遠くを眺めていた。1メートルほど近づいたがスレイは俺の姿に気づかない。
そうか……向こうの子供達を見ていたのか。しかも物欲しそうに……。
なんだか勝手に見ている自分の胸が苦しくなってしまった。分かっている、誰のせいでもない。だけど、スレイは毎回病院科行く度に自分を責める。とにかく、慰めないと。
俺は後ろから優しくスレイの首周りに手腕をまわし抱きしめてやった。
スレイ「ひゃっ……!?」
しゃっくりが勢い良く出てきたような可愛い驚き方だ。
スレイ「いたの?」
「ああ、少し前からな。お前がぼーっとしてたから心配してやってきた」
スレイ「ごめんなさい」
申し訳なさそうに謝るスレイ。後ろからも悲しんでいると感じられる。
「謝らなくてもいい。また、子供のことでも心配してたんだろ?」
スレイ「うん、実はそうなの……」
下を向いて俯くスレイ。
「何度も言ってるじゃないか。天才とオタクの子なんだから時間が掛かるんだって……だから焦らず頑張らず気の向くままにやればいいさ」
スレイ「そうね……ごめんなさい」
「だから謝るなって」
俺はスレイを抱きしめる力を強くした。するとスレイも答えるように俺の手の上に自分の手を重ねてきた。
熱い手だ。あの戦争の最中、海のように……。
スレイ「あなた、覚えてる?婚約した日のこと」
何を言い出すかと思ったら、俺が考えていたことだった。お互い心が通じ合っていると思うと頬の辺りがくすぐったくなる。
「ああ、覚えてるさ。お前が最高に綺麗だったあの日を……今でも最高に綺麗だがな」
スレイ「うふふ、幸せ♪」
元気出したみたいだ。俺も凄く嬉しくてスレイの首筋を後ろからキスしてやった。
スレイ「ひゃん……、あなたムード壊した」
少し意地悪をされた少女のような、怒った声だった。しかし、実際は凄く喜んでいる。旦那の俺なら確実に分かる。
「何を今更w俺を興奮させたのはお前だろうに。それにお前を見ていると凄く嬉しそうだ」
スレイ「分かる?」
嬉しそうに質問する。
「分かるに決まっているだろう。お前と俺は夫婦なんだから」
この後はその場で少しいちゃいちゃしてしまった。ちょっと外で行っていることを忘れて先へと進んでしまった俺は破廉恥な男かもしれん。
スレイ「あなた、あんな元気な子が欲しい」
なんて可愛くねだるんだw俺のスレイちゃんはwwwのーぷろぐれむ、任せなさい。
ハザル「ルリアよ、この格好は格好良いだろう?」
ルリア「その辺の子供と大差はないと思われますが……」
ハザル「そうか。俺はこの子供の中で一番格好良いのだぞ、ルリア。さあ、今から虫取りだ」
ルリア「かしこまりました」
なんだか大きな子供だな。スレイが指を指した子供は……
「って子供じゃねぇしwwwwww」
ハザル「ルリア、大変だ!体が何故か、かゆくなってしまった!!」
ルリア「ハザル様、それはこの星の蚊という虫だと思われます」
ハザル「蚊という虫だと!?俺のヴァイクランで消滅させてくれるは!!見ていろよ、蚊め。今こそ、俺の編み出した新技を見せてやる!!」
俺とスレイはそのTシャツハーパンで虫取り網を持った男と虫取り籠を持った女を見届けた。
後から気づいたことだがあれは家のお向かいさんだった。最近は姿を見ず声だけが聞こえていたから忘れていたんだろうな、きっと。
252:それも名無しだ
07/06/25 16:01:20 kwo8tUXD
>>250
サンクス(・ω・)/
なぁに、アヤの笑顔に比べりゃ屁の突っ張りにもならんぜよw
>>251
ちょ、ハザル坊w
根性入れ直してやらにゃならんから、誰か大雷凰持ってこいw
253:それも名無しだ
07/06/25 21:51:47 lrH6CRNt
>>252
ありがとう、アヤさんはブランド物とか好きなんだな。
スレイは可愛い系や腐女子系が大好きなんだよ。まあ、腐女子系は一緒に住んでからだけど……。
俺がね。スレイにお前をセレブにしたいって言ったんだ。だけど、スレイは可愛いので満足だって、豪華な物は好まないらしい。うん、俺好みの女になったもんだ。
>根性入れ直してやらにゃならんから、誰か大雷凰持ってこいw
うん、大雷凰なら間違いなく勝てるよ。そして地球は平和になる。
254:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/26 16:09:36 ccQtU5bK
眠れない月 夜日
昼間のDC残党との戦闘のせいか、何だか寝付けない……。
お酒でも買って飲もうと思い、部屋を出るが、今夜に限って購買は閉まっていた。
どうしよう?
このまま部屋に戻るのも何だか癪だけど、かと言ってする事もないし……。
そこへ、新人くんがやって来た。
あなたも眠れないの?
「えぇ、まぁ……購買、閉まってるんですね……」
そうなのよ。
私も眠れなくて、お酒でも買って飲もうかと思ったんだけど……って、どこに行くの?
「コンビニ行ってきます」
この時間だと、外出の手続きも普段より時間かかるわよ?
「別にいいです。このまま部屋に戻るのも、何か癪だし」
……考える事は一緒なのね。
じゃあせっかくだし、私も行くわ。
そう言って、私は新人くんについて行く。
あ、でも勘違いしないでね?
あくまでもリーダーとして、あなたを監督するだけなんですからね?
―って、何を言い訳してるんだろ、私。
でも新人くんは、
「ええ、わかってますよ」
と優しく言ってくれた。
基地の守衛さんは、いつも以上に時間をかけて手続きを済ませて、外出許可を出してくれた。
やっぱり深夜の基地周辺は、暗くて静かね……。
夜間訓練を行う別の部隊も、今は演習場に出払ってるから、本当に静か……何だか、怖いくらい。
で、こういう時に限って、怖い話を思い出したりしちゃうものだから、何だか本当に怖くなって来ちゃった……。
255:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/06/26 16:12:46 ccQtU5bK
>>254
―ねぇ、手を繋いでも良いかしら?
気が付くと、そんな事を口走っていた。
「……は?」
新人くんもビックリしてる。
それもそうよね……恋人でもないのに、手を繋いでだなんて……でも正直言って、本当に怖くなって来ちゃって、誰かと手を繋いでないと、不安になってしまう。
―だ、だって、こんなに暗いとはぐれちゃうでしょう?二人一緒に出たんだから、戻る時も二人一緒の方が良いじゃない?
それに私は、リーダーとしてあなたを監督してるんだから、あなたに逃げられると面倒なの!
……ああ、私は何を言ってるんだろう?
自分から手を繋いでって言ってるのに、何で「仕方なくやってます」と言わんばかりに言い訳しなきゃならないの?
彼と手を繋ぐのが、恥ずかしいから?
恥ずかしいなら、何故手を繋いでなんて言い出す訳?
何だか自分でもよくわからなくなってくる……。
「イエッサ」
だけど新人くんは素っ気なく答えると、あの燃えるように熱い手で、私の手をキュッと優しく握ってくれた。
彼の手を通して、熱いものが伝わってくる。
さっきまでの、暗闇や静寂への怯えや不安は、もう消えていた。
「ありがとうございます、大尉」
彼がおもむろに口を開く。
「実は俺、暗い所は苦手で……大尉が一緒にいてくれて、こうやって手を繋いでくれて、本当に助かります」
そう言って、穏やかに笑う。
何故かちょっと嬉しそうにも見える。
―嘘よ。
本当は平気なくせに、わざと臆病者を装って、私の顔を立ててくれている。
気を遣われる自分を情けなく思う一方で、だけどそんな彼の心配りが嬉しくって、私は繋いだ手にキュッと力を込めたのだった。
256:それも名無しだ
07/06/28 12:10:04 g5dCRg7T
今日の訓練は、チーム内での一対一での模擬戦。
くじ引きで組み合わせを決めて、早速開始だ。
俺の最初の相手は、アヤだった。
「よろしくね。手加減なんかしたら、タダじゃおかないわよ?」
具体的に、どうタダじゃおかないんだ?
「 別 れ る 」
命捨ててかからせてもらいます、アヤ様!
「……何かお前、完璧に尻に敷かれてるな」
黙れリュウセイ。
尻に敷かれてやる度量がなくっちゃあ、男はやっていけねーんだよ。
俺はそう答えて、アシュセイヴァーに乗り込んだ。
R-3は、今日はノーマル形態だ。
―細身のボディにそこはかとなく色気を感じるが、あくまでもパイロットのアヤを重ねて見ているからだ。
決してリュウセイ菌に侵されてる訳ではない。
試合開始早々、R-3はレーザーキャノンを連発する。
T-LINKシステムでこっちの攻撃の意志を感知して、反撃のタイミングを的確に潰していきやがるから、手が出ねえ……。
ここは多少強引でも、一発かましてやらんとな。
ソードブレイカー!行ってこい!
俺はレーザーキャノンをかわしながら、機体の両肩に備え付けられた、計六基のビットを射出した。
257:それも名無しだ
07/06/28 12:11:28 g5dCRg7T
>>256
ソードブレイカーはビームを撃ちながら、R-3目掛けて飛んでいく。
俺もアシュセイヴァー本体にガンレイピアを連射させて、ソードブレイカーたちの援護をする。
『くっ!このっ!』
接近してきたビットに、R-3はビームソードを振るうが、的が小さく素早いからなかなか墜とせない。
すぐにアヤはソードブレイカーに気を取られて、隙を見せた。
いただき!
その隙を逃さずガンレイピアを撃つ。
しかしその光弾を、細長い物が盾のように防いだ。
ストライクシールドが、いつの間にか射出されていた。
『ストライクシールド……いきなさい!』
ビームソードでソードブレイカーを牽制しながら、その動きを読んでいたのか、ストライクシールドは稲妻のような勢いで、ソードブレイカーを六基とも叩き落とした。
更にそのまま、こちらに向かって飛んでくる。
いくら愛しのアヤとはいえ、こいつまで受け取る気はねえ。
俺はアシュセイヴァーをジャンプさせる。
そして、飛来するストライクシールドその物を足場にして、空中高くに駆け上がった。
R-3がレーザーキャノンを構えるが、ちょいと遅かったな!
ガンレイピアで、レーザーキャノンを保持する腕の関節を狙い撃った。
レーザーキャノンを落っことしたR-3の前に着地して、喉元にレーザーブレードを突きつける。
はい、お疲れさん。
『……参りました』
そう言う通信回線越しのアヤの声は、何故か嬉しそうだった。