07/05/18 06:22:28 mXXB8aYS
このスレのお約束
・オリジナルキャラとスパロボキャラの絡みで何か考えてみよう
・sage進行で
・エロは紳士的にR指定ぐらいまでで
2:それも名無しだ
07/05/18 06:23:28 mXXB8aYS
前スレ
スレリンク(gamerobo板)l50
3:それも名無しだ
07/05/18 08:46:17 6Ugbll+T
>>1
乙。
前スレ埋めないとな
4:それも名無しだ
07/05/18 16:35:49 3hhbpzSL
>>1乙&サンクス(・ω・)/
5:それも名無しだ
07/05/20 17:25:21 U2O+gAG0
新スレ記念に、キャラ紹介をば…↓
◆「俺」
地球連邦軍少尉。
元戦闘機乗りで、DC戦争の終わり頃にPTパイロットに転向。
部隊がDC残党との戦いで全滅した後、バックアップ要員としてSRXチームに転属。
アヤ・コバヤシ命の、不死身の男。
現在の乗機はアシュセイヴァー。
◆アヤ・コバヤシ
当SSのヒロイン。
地球連邦軍大尉。
SRXチームリーダーで、R-3、R-3パワードのパイロット。
普段は気丈な女性を演じているが、「俺」の前では子供っぽい部分を見せる事があるのはご愛嬌。
◆マイ・コバヤシ
アヤの妹でR-GUN、R-GUNパワードのパイロット。
姉と「俺」がいい雰囲気になると、念動力で容赦なく「俺」だけを攻撃する、シスコンロリっ子サイコドライバー。
◆ラトゥーニ・スゥボータ
教導隊所属のゴスロリパイロット。
スレ住人の、ラトの同居人氏の持ちキャラ。
◆ヴィレッタ・バディム
地球連邦軍大尉で、SRXチーム隊長。
責任ある立場故にパイロットに専念出来ないため、バックアップ要員として「俺」をチームに招いた。
同様の理由により、R-GUNは実質的にマイ専用機となっているので、出撃の際は量産型ヒュッケバインmk-Ⅱに搭乗する。
6:それも名無しだ
07/05/20 17:27:34 U2O+gAG0
キャラ紹介その2↓
◆リュウセイ・ダテ
地球連邦軍少尉。
R-1のパイロットで、SRXのメインパイロットも務める。
たまに「俺」やアヤの逆鱗に触れて、簀巻きにされる事もある。
◆レーツェル・ファインシュメッカー
本名はエルザム・V・ブランシュタイン。
ライの兄で、元教導隊。
飼っている愛馬になぞらえてるのか、乗る機体は必ず黒く塗り、トロンベ(竜巻)と名付ける。
それを皮肉られて、「俺」からは本人までトロンベと呼ばれている。
更に、アウセンザイターもダイトロンベ呼ばわりされる始末である。
◆ライディース・F・ブランシュタイン
「ライ」という愛称で呼ばれている、R-2、R-2パワードのパイロット。
典型的な2号機乗りかと思いきや、シスコン・ブラコン・ロリコン・ガチホモの、驚異の四冠王を達成した偉大n
し
ば
ら
く
お
待
ち
下
さ
い
゜
7:それも名無しだ
07/05/20 17:33:18 gvCwlx3m
>>5-6
乙とGJ。ワロタ
前スレまだ書けるよ、と報告
8:それも名無しだ
07/05/20 17:36:57 U2O+gAG0
>>7
報告サンクス(・ω・)/
新スレ一発目に持ってきた方が見付けやすいかなと思ってやってみた。
9:それも名無しだ
07/05/20 17:45:10 U2O+gAG0
今思い付いたんで、キャラ紹介その3↓
◆イルムガルド・カザハラ
地球連邦軍中尉。
グルンガストのパイロットで、愛称はイルム。
なかなかの切れ者だが、悪戯好き&女好きな性格故に、そうは見えない。
ラトゥーニやマイに変な知識を教えたりする困り者。
◆オクト小隊
カチーナ・タラスクを隊長に、ラッセル・バーグマン、タスク・シングウジ、レオナ・ガーシュタインの4名で構成されたPT小隊。
基本的にネタ要員。
特にレオナは、ゼオラ共々、その超絶的な料理の腕前で「俺」を苦しめる強敵である。
他にも色々登場しますが、ほぼOG本編に準拠しますので、割愛しますm(u_u)m
10:それも名無しだ
07/05/21 15:46:33 lHsvj3F9
すんません、前スレ使い切っちゃいましたm(u_u;)m
改めて、投下します。↓
11:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/05/21 15:48:33 lHsvj3F9
初めての月 デート(?)日
以前に約束していたので、今日は新人くんと二人で、お食事に。
でも、それだけじゃつまらないから、早めに基地を出て、買い物に付き合ってもらう事にした。
だって彼ったら、せっかくの休暇でも、どこへも出掛けずに、基地の中にいてばっかりで……そんな事じゃ、気持ちが塞ぎ込んじゃうわ。
多少強引にでも外へ連れ出して、リフレッシュさせてあげるのも、リーダーの務めよね!
―という訳で、新人くんを連れ出して、デパートへ。
服や靴を買う時、彼にも見てもらう。
でも、特に理由がある訳じゃなくて、あくまでも話のキッカケを作るためよ?……って、誰に言い訳してるの?私。
まぁ、それは置いといて。
新人くんはつまらなさそうな顔で、私が何を言っても、この前みたいに「そうですね」の繰り返し。
もう!少しは真面目に答えなさい!
「えぇ~っ?」
くぅぅっ……ちょっと怒ってみせても、まだ「笑っていいとも!」の観客状態だなんて……私ひょっとして、馬鹿にされてる?
何とかして懲らしめてあげないと、リーダーとしての沽券に関わるわね……何か良い方法はないかしら?
そう考えてると、ある場所が目に入る。
―ピンと来ちゃった。
12:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/05/21 15:50:27 lHsvj3F9
>>11
さぁ、次に行くわよ?
しっかり付き合ってちょーだいね!これはリーダー命令よ?
「イエッサ」
おどけて言う私に、荷物を持って素っ気なく答える彼だけど、次の売り場の入り口で足が止まる。
ふふん、当然よね。何せ私の次の目的地は、ランジェリーショップだもの。
見れば彼は、顔を赤くして、視線を泳がせている。
どうしたの?早くいらっしゃい。
「あ、いや、しかし……」
これはリーダー命令だって言ったでしょう?
それともアナタ、上官命令に逆らうつもり?
わざと意地悪な口調で言うと、彼は言葉に詰まる。
もうちょっと意地悪しちゃおうかな?
まさかアナタ、リュウみたいに逃げ出すつもりなのかしら?
「……リュウセイと、来た事あるんですか?」
ええ。あの子ったら私をほったらかしにして、どこかへ行っちゃったのよね~。
……なーんてね、嘘だけど。
「……わかりました。お付き合いします」
彼は、まさに苦渋の選択と言わんばかりの表情で答える。
さすがは男の子!潔くて頼もしいわ~♪
なんて白々しい事を言いながら、私は売り場の中に彼を引きずり込む。
私が買い物をしてる間中、彼はずっと恥ずかしげに目線を伏せたままだった。
……ちょっと可哀想だったかしら?
13:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/05/21 15:51:43 lHsvj3F9
>>12
買い物を一通り済ませると、時間になった。
予約しておいたレストランへ、新人くんを連れて行き、食事。
お店の雰囲気に馴染めないのか、彼ったら始終緊張していた。
食事を終えて、お勘定を済ませると、店を出る。
少しは楽しんでもらえたかしら?
そう思って彼の顔を覗き込むと……彼はやっぱり、つまらなさそうな表情のままだった。
もう!楽しそうな振りくらいしてくれても良いじゃない!
そんな彼の表情に、ついカッとなって私は怒鳴ってしまった。
確かに無理矢理お買い物に付き合わせて、悪かったとは思ってるわ。
だけど、それも私なりに、気分転換させてあげようと思ってやった事なのよ!?
―と、そこまで言って、私は自分のミスに気付いた。
こんな恩着せがましい言い方じゃ、反感を買うだけじゃない……私がそんな事でどうするの?
慌てて謝ろうとしたけれど、その前に彼が口を開いた。
「………すいませんでした、大尉」
悲しそうに目を伏せている。
いけない、やっぱりキツく言い過ぎたんだわ……。
「大尉には、感謝しています。俺なんかのために、時間を割いてくださって」
彼はポツポツと続ける。
14:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/05/21 15:53:22 lHsvj3F9
>>13
「ただ、ずっと最前線で戦い続けて……こういうのに、馴染めなくなってるんです」
彼は寂しそうな声で、そう言った。
「自分のような人間が、こんな所にいて良いのか……大尉のような汚れのない女性と一緒にいて良いのか……自分がこうしてノンビリした時間を過ごす事自体、間違ってるんじゃないかって、そんな風に思えて……」
歩きながら、彼は堰を切ったように話し続けた。
「なんか、テレビの中の映像を見てるみたいに、今という時間に現実味が持てないんです……自分はここにいちゃいけないような、そんな気分になって……」
馬鹿な事言わないで!
私は彼の言葉を遮るように、叫んだ。
ここにいちゃいけないとか、間違ってるとか、そんな事誰が決めたの!?
あなたは今、確かにここにいるの!それは間違いでも何でもないわ!
私はまくし立てながら、彼の手をギュッと握った。
燃えるような、熱い手……私はその熱さを確かめるように力を込める。
この手の温もりは、確かに現実のものよ?
あなたはちゃんとここにいる。
ここにいても良いの。
それを何かの間違いだなんて、私が誰にも言わせないわ……あなた自身にもよ!
私はいつになく強い口調で、ハッキリと言った。
15:番外編「アヤ・コバヤシの日記」
07/05/21 15:55:37 lHsvj3F9
>>14
あなたはただ、戦ってばかりいたから、心が疲れているだけなのよ。だからそんな風に感じるだけ。
でも、あなたのその戦いがあったから、今の穏やかな時間があるのよ?
あなたが戦った事で、守られた平和があるの。
だからあなたには、ここにいる権利があるわ。もっと、自分に誇りを持ちなさい?
「…………」
彼は何も答えなかった。
ただ、申し訳なさそうに、目を伏せる。
今は実感が湧かないでしょうけれど、でも私は、心からそう思ってるわ。
あなたの戦いは無駄じゃない。今もチームのために貢献してくれてるでしょう?
だから、もうそんな悲しい事は言わないで……これは命令よ。
「イエッサ」
彼はやっと、ただそれだけ言ってくれた。
―命令。
そんな言葉でしか、彼を納得させる事が出来ない私。
そんな言葉でしか、自分を納得させる事が出来ない彼。
それが悲しくて、気が付くと涙がこぼれていた。
「大尉……泣いてるんですか?」
彼が心配そうに尋ねる。
―誰のせいだと思ってるのよ、馬鹿。
16:それも名無しだ
07/05/21 18:13:34 uiCdjmF9
>>11-15
まずは乙。
前のネタが改変されてこういうふうになると、度々驚かされる。
アヤさんの気遣いと心の強さを感じた。最後辺りの命令の話で命令とは何か?と考えてしまった。
読んで良かったと思う。素晴らしいスタートをありがとうです。何度もだが、日付の書き方好き。
17:それも名無しだ
07/05/22 00:06:18 t/67b6ll
朝、俺はスレイとキスを済ませ駅に向かい電車に乗った。
ガタンゴトン…
「はぁ~…月曜は辛い…orz」
ライト「お宅さん、その気持ち分かるよ」
「同士よ。今日一日頑張ろうぜ」
ライト「ああ」
「レイはいいよな。入社後すぐにちやほやされて…俺の頃はカルヴィナにしごかれた」
レイ「仕事ですから…」
駅のエレベーター付近
AI-1「わーいわーい」
「ちょw子供が遊ぶなよwww」
ミッテ「遊んではいけません」
AI-1「ママ、ごめんなさい」
ミッテ「良い子ね」
クラウレ「あなた、あれを見て…」
ランバ「あんな子が欲しいのか。任せろ」
「……(おじさん、良いのか?w)」
仕事終わり帰宅
「ただいま…月曜ダリー…」
スレイ「あなた、お帰りなさい。お疲れ様」
「やっと俺の女神ちゃんを見れる」
スレイ「あなた…胸はダメぇ…」
18:それも名無しだ
07/05/22 13:32:08 NA1w0kb5
>>16
サンクス(・ω・)/
何よりも、前の日記を覚えててくれてるのが、一番嬉しかったり('-^*)/
19:それも名無しだ
07/05/22 13:33:35 NA1w0kb5
>>17
クラウレって誰かと思ったら、ハモンさんの事か。
いくら蒼い巨星でも、AI-1みたいな子は無理だろ……w
20:それも名無しだ
07/05/22 18:06:38 t/67b6ll
>>19
ありがとうです。
そうだよねぇ。だがおヒゲのおじさんの気持ちも分かる気がする。あんなに元気で素直な子は珍しい。
言い忘れたことだが、見ない間にAI-1が急成長していた。あれはミッテさんの実験に大切なものらしい…厄介事は御免だから関わらないでおこう。
21:それも名無しだ
07/05/23 13:43:36 Ay0Mx92V
今日のマイは、朝から元気がない。
まぁ無理もねえか……あんだけ可愛がってた猫たちと、離れ離れになっちまったんだからな。
どういう事かというと、実は子猫が生まれた辺りから、マイは咳をするようになっていた。
猫の抜け毛が原因で、喉やら気管支やらを悪くしちまったらしい。
母猫は、一日中じっと寝てるか、外をフラつくかしてるだけだったんで、まだ影響はなかったが、子猫たちはずっと部屋の中にいる上、結構ヤンチャで、パタパタ暴れ回ったりしているから、その影響がモロに現れた訳だ。
マイは平気だと言い張ったが、さすがにこれは見過ごしておく訳にもいかねえ。
幸い、クスハの知り合いが猫を欲しがっていたんで、その人に親子ともども飼ってもらう事にした次第だ。
昨日クスハに猫たちを預ける時は、大変だったぜ。
マイの奴、この世の終わりが来たかのように泣きじゃくってたな。
あと、腹いせに俺目掛けて、テーブルやらロッカーやらを念動力でぶつけたりもしてくれやがったが。
まぁ、これくらいで機嫌直してくれるんなら、我慢するかね。
まったく、男はつらいぜ……。
22:それも名無しだ
07/05/23 17:31:05 0jxs4NKa
>>21
君の心強さに感動。さすが不死身の男だ
報告:ZZを視ると言ったが金溜まりそうにないから諦めますた
23:それも名無しだ
07/05/23 18:38:24 0jxs4NKa
この家に引越した頃
「じゃあ、行ってくるよ」
スレイ「行ってらっしゃい」
午前中
ナナイ「すみません、お願いします」
テンザン「…(うわ気持ち悪い。幼女ばかりの本だっての)」
……
テンザン「ホッちり紙交換してるってのに一つもエロ漫画が集まらないっての」
スレイ「すみません、これお願いします」
テンザン「わっかりました……ホッ!?」
スレイ「何か?」
テンザン「いえ、何でもないです…(エロ漫画ゲットだぜっての)」
夜、自室
「あれ?俺のエロ漫画は?…エロゲ雑誌も…同人誌も…」
「無いーーっ!!」
スレイ「あなた、どうしたの?」
「俺のエログッズどこへやった?」
スレイ「それならちり紙交換に出したわ」
「マジで?」
スレイ「うん」
「……orz」
スレイ「わたしがいれば必要無い物でしょ?」
「それはだねぇ……」
スレイ「ね?」
「ああ……」
24:それも名無しだ
07/05/24 12:38:23 YiFw8htt
良かった……テンザンがニートしてなくて本当に良かった!
25:それも名無しだ
07/05/24 18:04:05 8P7UxCRB
>>24
ありがとうです。ちなみにテンザンは現在メイドカフェの店長をやっている。番外編付けるの忘れてしまった。そこでアイビスも働いているから素敵な出会いがあるといいな。
キャラの設定等はPC直ってから投下する。携帯だと書く気がゼロだから。
26:それも名無しだ
07/05/25 08:13:11 RH/x00jS
久しぶりにきましたお。
ラトと同居人でっす。
おっおっ(キャラ違ってるって
キャラ紹介乙!
イルムは外せないところだーね。
猫とアヤ大尉の話も読ませて頂いた。(レーツェル風に
御馳!
ところで、アヤ大尉が今度の軍の慰安祭でステージで
山本リンダの歌を歌うって本当?
オクト小隊あたりはなにすんのかね。
オーバー?(通信終了
27:それも名無しだ
07/05/25 10:33:14 TI71PJcb
朝からチーム全員が、会議室に呼び出された。
「議題は、来月に行われる慰安祭での……我々SRXチームの出し物についてよ」
出し物って、ヴィレッタの姐さん……文化祭じゃないんスから……。
「うるさいわね。評判が良い部隊には、上層部から特別予算が下りる事になってるの。この特別予算を何が何でも手に入れるわ。隊長命令よ」
……イエッサ。
いつになく気合いの入った姐さんの眼差しに、俺はそう答えざるを得なかった。
「でも、具体的に何をやりゃあ良いんだよ?」
「ん~……たこ焼きとか焼きそばとか?」
「大尉、それでは本当に文化祭になってしまいます」
「私はクレープ屋さんが良いな」
そうじゃねえだろ、マイ。
まぁ、この場合は……PT使ったアトラクションとか、思い切ってSRX合体を実演とかが妥当だろーな。
「何を言ってるの。内容は既に決めてあるわ」
ヴィレッタの姐さんが、そう言ってプリントを配る。
各人のやる事が書かれてあった。
俺とリュウセイの、PTを使ったアクロバット飛行をバックに、アヤとマイの歌を披露……って、コレじゃただのコンサートじゃねえか!
しかもPTはただの演出装置かい!
28:それも名無しだ
07/05/25 10:35:32 TI71PJcb
>>27
「これなら確実に上からの評判が良くなるわ。バックの演奏は私とライが担当よ」
「了解です……」
ライが苦渋に満ちた顔で答える。
たく、やりゃあ良いんでしょ、やりゃあ。
しかしR-ウイングとアシュセイヴァーのアクロバット飛行ってのはなぁ……飛行機型と人型じゃ、ビジュアル的な統一感に欠ける気が……。
「心配いらないわ。ビルトラプターを用意してあるから、あなたはそれに乗りなさい」
イエッサ。何でこの人、こんな気合い入ってんだろ……。
「それと、アヤとマイが歌うのは、この曲よ」
姐さんが、楽譜を二人に渡す。
どら、どんな歌だ?
…………。
………。
……。
ちょっと待てぇぇぇえええぇぇぇいっ!!!!!!!!!!!
姐さん、これだけは!これだけはやめてぇぇぇぇ!!!!
「私の彼はパイロット」だけはぁぁぁぁぁあああぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!
「その歌だと、何か不都合でもあるの?」
大ありだ!エクセレンの姐さんが、何て言ってからかってくるか知れたものじゃないッスよ!
「つべこべ言わない!とにかくこの内容で行くと決めた以上、口答えは許さないわ。わかったわね……答えは聞いてないわ!」
あんたは鬼だぁぁぁぁぁあああぁぁぁっ!!!!!!!!
29:それも名無しだ
07/05/25 10:37:39 TI71PJcb
>>26
山本リンダは、具体的なイメージが湧かないんだ……スマヌ、切腹。
30:それも名無しだ
07/05/25 10:53:26 TI71PJcb
……てな訳で、こちとら大変だ。
昼休み、俺は食堂で、たまたま席が向かい同士になったラトゥーニに、慰安祭での出し物の事を語った。
「何だか賑やかそうで、楽しそうじゃないですか」
見てる分はな。
しかし、歌の歌詞と、俺とアヤの関係を重ねると、そりゃあもう自殺もんの恥ずかしさだぞ?
旧西暦のアニメの挿入歌らしいが、俺に対する嫌がらせとしか思えねーよ。
「あ……あはは……」
ラトゥーニが笑ってごまかす。
「あ、私たちも、慰安祭で出し物やるんですよ?PTによるアクロバット飛行なんですけど」
ほう……お前やラミア、カイ少佐はともかく、ゼオラとアラドは大丈夫なのか?
実戦とは違うコンビネーションが要求されるんだぞ?何かとすぐに喧嘩になる、あのバカップルじゃ、マジで空中分解したりしてな。
「大丈夫ですよ。これでも特殊戦技教導隊です。甘く見ないでください」
ツンと済ました顔で、ラトゥーニは自慢げに答えた。
ふふん、自信たっぷりだな。
まぁ、せいぜい頑張って、彼氏にご褒美のチューでもしてもらうこった。
―直後、テーブル越しの右ストレートが、俺の顔面にめり込んだ。
31:それも名無しだ
07/05/25 16:59:31 3pvn7it8
>>27-28>>30
ヴィレッタさん可愛いなwアニソンは素晴らしいぞ。俺は大好きだ。まあ、頑張れよ
32:それも名無しだ
07/05/25 18:00:16 fekE7nbd
ふー、ただいま。
>>27-30
おおう、やっぱり山本リンダはガセネタか。
でも私の彼はパイロットでもいいんじゃないかな。
きっと歌う時、絶対ステージからアヤ大尉の目線が来るだろうけどね!w
ラトの敬語が、ちょっと羨マシス。
俺SSだと無理だからなあ。
ルリみたく敬語で嬲られてみあqwせdrftgyふじこ(変態
とにかく、GJと言わせて頂く!(レーツェル
33:それも名無しだ
07/05/25 18:19:08 3pvn7it8
>>32
お帰りなさいです
駅前、俺は会社からセレーナと相合傘で来ちまった…。次は家までセレーナと一緒か…最悪だ。セレーナはその気になってヘタクソな色目を使ってくる。正直萎える。
駅の出口まで来たがやはり雨が降っている。止むと期待を込めて来たが…。
その時、青い髪の美女の姿があった。俺の妻のスレイだ。俺のために来てくれたんだ!俺はスレイに歩み寄り声を掛けた。
「スレイ、ただいま」
スレイ「あっ、お帰りなさい」
やっと来てくれたというようなスレイの表情。長い間待っていてくれたのだろう。
「俺の分の傘が無いな、ということは相合傘したいのかな?」
スレイ「うん♪」
「元気な返事だ。さあ、帰ろう。今晩の飯は何だ?」
スレイ「今日はね。ワカメの味噌汁と野菜サラダよ」
「今日は凄く疲れたから軽い物で良かった。お前は気の効くな」
俺はスレイの頭を撫でてやった。すると、スレイは少女のような可愛らしい笑みを浮かべる。
セレーナ「あの~…わたしは……」
スレイはセレーナに見せびらかすように俺と腕を組んで、家に向かった。
34:それも名無しだ
07/05/26 14:30:45 HrsOq1sk
>>31
サンクス(・ω・)/
ヴィレッタの姐さんも気合い入ってるし、俺も頑張るよ。
>>32
サンクス(・ω・)/
ラトゥーニは、ブラザーと出会ったばかりの頃は敬語使ってたっぽい印象はあるなぁ。
あくまでも個人的な印象だけど。
またぞろイルムが変な事教えなきゃ良いがw
>>33
取り残されたセレーナに、売れ残ったトコロテンのような哀愁を感じたw
35:それも名無しだ
07/05/26 15:02:05 HrsOq1sk
今日は慰安祭に向けて、アクロバット飛行の練習だ。
久しぶりに座るビルトラプターのコクピットシートの感触に、口元がにやけてしまう。
リュウセイのR-ウイングと共に、早速練習開始だ。
ウォーミングアップ代わりに、簡単な編隊飛行を三つほどこなしていく。
しかしリュウセイは、イマイチこちらとの距離の取り方がわからないのか、ターンを決める度に、近付きすぎたり離れすぎたりしている。
どうした、リュウセイ。
もっと自信持って、思い切ってやれ。
『いや、わかってるんだけどよ……こういうの慣れてねぇもんで……』
通信回線越しの声にも、いつもの元気がねえ。
よし、わかった。
俺が合わせるから、お前は自分のラインをキッチリ取る事に集中しろ。
『わかった。頼んだぜ?』
リュウセイの返事の後で、もう一度フォーメーションに入る。
二機が並んだまま、ジェットコースターみたいに空中で三連ループを描くパターンだ。
R-ウイングは、さっきまでとは打って変わった、思い切りの良い動きで飛んでいく。
たった一言でこうも変わるとは、元々単純な奴ではあるが、俺の事をそれだけ信頼してるって事でもあるよな……。
何だかくすぐったくて、俺はつい笑ってしまった。
36:それも名無しだ
07/05/26 15:04:28 HrsOq1sk
その日の練習を終えて、俺はアヤの部屋に向かう。
フォーメーションの打ち合わせに熱が入っちまって、不覚にも長引いちまった。
アヤが待ちくたびれないよう急がなくてはと、つい足早になった。
部屋の前に着くと、まずは大きく深呼吸。
その後インターホンで呼びかけると、
『もうちょっと待ってて』
と、妙に明るい声で、アヤが返事をする。
そのまま一分ほど待つと、
『いいわよ』
お許しが出たので、ドアを開けて中に入る。
中に入ると……。
そこには、ショートヘアのリン・ミンメイが立っていた。
「本番で着るステージ衣装なんだけど……どう?」
アヤは照れくさそうに笑い、ゆっくりと俺の前で一回転。
か、可愛い……世界征服も可能な愛らしさだ……!
たまらず抱き締めて、キスをする。
アヤも俺の背中に両腕を回し、応じた。
唇と舌を交えながら、彼女の体をゆっくりとベッドに押し倒すと、
「ダメ……シワになっちゃう……それに、汚れちゃうわ」
と、抗議が入った。
どうせ本番まで時間はあるんだし、クリーニングに出しても間に合うだろ?
「ダメよ。ヴィレッタに無理を言って、明日返す約束で借りて来たんだから……あなたに、見てもらいたくて……」
恥ずかしげに目線をそらすアヤ。
くそ、なんて愛らしいんだ……この前は一晩中マウントポジション取ってたくせに。
俺は、アヤの顔をやや強引にこちらへ向けさせると、情熱の限りを込めて口づけした。
37:それも名無しだ
07/05/26 15:47:54 LvoR9ftU
>>34
ありがとうです。セレーナが売れ残ったトコロテンに笑った
>>35-36
リュウセイとの友情を感じた。リュウセイは人と合わせるのが苦手なんだよな。いつも自分だけで突っ走っちゃって
アヤさんは口ではこうだが身体は正直。素晴らしい
38:それも名無しだ
07/05/26 16:43:29 5Bb+YCM0
>>36
ミンメイのコスプレとは!
本格的にあの歌への秒読みが始まってるぞおおw
御馳!
ラトもシャイン王女とWINKを演るみたい。もちろんアクロバット飛行もするけどね。
その話はいずれうp予定。
頑張って慰安祭盛り上げようぜー。
で、それと関係は無いんだけど、宿題仕上げたよー。
前スレ>>239-241の続き。
バーニングPT・後編。
一応読まなくても判るようにしてあるけど、もっと感情移入したい方は
消えてしまう前にご一読を。
↓スタート
39:砂塵
07/05/26 16:44:36 5Bb+YCM0
暑かった。
乾いた灼熱の空気が砂漠の強い風に煽られ、砂を含んだ燃え滾る
質量となって、体の奥底まで強引に熱を捩じ込んでくる。
容赦ない直射日光に炙られ続けた体表面はかさかさに乾燥し、声はしわがれ、
眼は強い陽光に当てられ軽く失明したようになり、行く手さえもよく見えない。
疲弊した角膜にうすぼんやりと映るのは、どこまで進んでも同じ景色。
方角はこれでよし、と見当をつけて進んではいるものの、
正直どうどう巡りしていても全くおかしくは無い。
砂のちょっとした盛り上がりに足を取られ、バランスを崩す。
背中に背負った大事な荷物。大切な人。
―ラトゥーニ・スゥボータ。
庇って、自分だけが前のめりに砂丘に頭から突っ込んだ。
幾度と無く繰り返されたルーチン。
よろよろと起き上がり、口の中に入った砂の塊を吐き出し、唾を吐こうとする・・・
が、そんなものは出やしない。
低く悪態を付きながら震える手で砂をゆっくりと払い、意識の無いラトを
また背負い、煉獄のような歩みを再開する。
のろのろと、かたつむり以下の速度にも感じるが、眼前に聳え立つ何十、
何百個目の丘陵を越えれば目的地だ、と信じて進む。
また絶望するだけだ、と判ってはいても。
俺とラトが砂漠のど真ん中に不時着して、四日が経とうとしていた。
『簡単な偵察任務』
『フェアリオンを使うまでも無い』
カイ司令の言葉が脳裏に木霊する。
連邦軍の戦闘機、メッサーを使ってDCの制空圏内をかすめて飛んで、
異常があるかどうか確認するだけの仕事。
あまりに価値が無い空域とお互いが認識している為、領土としては
放棄されているに近い場所の偵察。
今までこの空域でDCが動いた事は無い。絶対に襲われる危険は無い
…と云う事で、カイ司令がラトと俺に観光旅行代わりにくれた、
9日間というラトの休暇込みでの任務。
その間フェアリオンは完全なオーバーホールを受け、こちらは仕事が
終わり次第、南国でのバカンスになる予定だった。
40:砂塵
07/05/26 16:46:04 5Bb+YCM0
連邦軍基地まであと180km、という所できらり、と何かが砂影から
光ったのに気付いた時は既に遅かった。
左のエルロンから主翼本体をいきなりレーザーのようなもので貫かれ、
成す術無く不時着。
…敵が潜んでいたのだ。
DCの辺境での悪行は一般人の間でさえ周知の事実だ。
捕虜が男なら殺す。女なら辱めて犯してから殺す。
ラトは連邦軍のトップエリートパイロットと言える存在だ。
DCがラトの身元検索をすれば、すぐに素性が
ばれてしまうだろう。
捕まる訳にはいかなかった。
当然、すぐに生存者の確認と抹殺に来ると思ったのだが…
どうせ砂漠に落ちたら助からない、と考えられたのだろうか。
半壊したメッサーから脱出し、急いで連邦軍基地に向けて出発した俺達に、
追っ手が掛かる事は結局のところ無かった。
だが、追っ手を恐れて昼となく夜となく歩き通しだったツケは高くついた。
ラトゥーニは軍人だ。しかも肉体改造まで行うというスクール出身の。
しかし、やはり子供であり、女性であって。
墜落してから三日目の昼、ついに意識を失い倒れてしまったのだ。
俺は訓練などされてはいない。ただの民間人だ。
だが、意識を失い、砂に汚れたラトの横顔を見やる度に、枯れかけた体力に
熱いものが補充されるのを感じる。
その力でよろめく一歩を踏み出すのだ。
絶対に、生還する。
かならず、生きて帰す。
せめて、ラトだけでも。
* * *
41:砂塵
07/05/26 16:46:59 5Bb+YCM0
五日目。影が出来るほど盛り上がった砂丘の陰で、最後の水をひび割れた
ラトの唇に滲ませていると、ラトはうっすらと瞳を開いた。
「……こふっ」
声帯まで水が回っていないのだろう。声が出ないようだ。
「大丈夫。大分進んだよ。今日中には基地に着くと思う。必ず連れて行く。
ラトは安心しておぶさっていればいい。ほら、飲んで」
水筒を傾けた。こくこくと細い喉を鳴らしてラトは水を飲み干し、ハッとした
顔になる。
「ごふっ…おにいちゃんの分は…?」
「ああ、さっき少し飲んだよ。大丈夫だ」
「そう…よかった…」
嘘だった。
昨日から何も飲んではいない。最初から、ラトに殆どの水を回している。
だが、これでいい。
「さあ、出発するよ。背中におぶさって。」
「うん…」
「あとちょっとだよ。基地に着いたら、シャワーは先に使っていいぜ?」
「ふふ、体、くさいかな?」
「俺も臭いから、判らないな。はは」
イルムのような軽口を叩きつつ、ラトに背を向ける。
よろよろとのしかかって来るラトをよっこらせ、と背負い。
そして、ラトの体温の高さに怯えた。
熱射病なのは間違いない所だ。
水も底をついた。今日でたどり着けなければ…
考えない事にする。
* * *
42:砂塵
07/05/26 16:47:53 5Bb+YCM0
感覚がとうに失せた両の足を、機械的に動かす。
いち、に。
いち、に。
夢を見ているようだ。
頭の中に思い浮かんだ言葉を端から叫んでいるような気がする。
もしかしたら本当に叫んでいるのかも知れない。
熱い砂が火ぶくれになった俺の足を焦がし、揺らめく大地を突き抜けて
踏みしめ、引き抜き。
道路って、こんなにめり込むんだっけ…整備が悪い…
いや、砂漠。砂、だ。
標識が立ち並んでいる。通行止め。一時停止。
ああ、止まらなきゃ…
幻覚すら混じり始めた思考と風景。
頭を振れば標識は消し飛ぶ。
そして。
何日もの時間、幾百もの砂丘を越えたそこに、忽然と銀色の建物と
人型機械は出現したのだった。
* * *
「ラト!…ラト!基地だ!」
喜びのあまりその場に膝を突いてガッツポーズ。
「ん…基地…本当に…!」
「ああ。俺達、助かったんだ…!」
「ん…」
だが、ラトは目を擦り。
ぱちぱちとしばたたき。
しばらくそうしていたが、振り返ってばつが悪そうに、言い難そうに微笑む。
「ごめんなさい。眼、見えないみたい…」
「!」
ラトの目の前で手を振る。瞬きすら…しない。
見開いたままの瞳で、手探りで俺を探しながら、ラトは言う。
「失明…しちゃったかな」
「そんな!」
「ごめんなさい…」
ラトは俺の手を探し当て、それが唯一の世界との接点のように大事に抱え込み、
ただ、ごめんなさい、と繰り返した。
一瞬、言葉を失ってしまう。
砂漠の強い陽光のせいなのか。
吹き荒ぶ砂混じりの風のせいなのか。
「と、とにかく医者に見せよう!きっとここにいる筈だ。行こう!」
「うん…」
「もしここに医者がいなくても、そこのリオン辺りに乗せたらきっとすぐに
医者のいる所まで行けるさ…!」
はた、とラトが立ち止まる。
「リ…リオン…?」
「ああ、バレリオンまであるな。BPTでしか見た事無いけど、多分間違いない」
ラトが押し殺すように、囁くように言う。
「リオンって…今はDCしか使ってない筈…」
「なんだって!」
生きているものすら何一つ無い酷暑の砂漠を何日も歩き通してきて。
これ以上無い焦熱の地獄を見た筈なのに。
その一言で、頭から冷水を浴びせられたような気持ちになった。
「じゃあ、あれはDCの基地だって事に…」
「うん…」
「バカな…」
43:砂塵
07/05/26 16:48:46 5Bb+YCM0
背筋に冷たい棒を突き込まれたような感覚が治まると、
徐々に怒りが巻き起こってくる。
激昂の領域まで。
―バカな。
あれ程の時間苦しんで、やっと助かると思ったら敵の基地だと…!
腹が立った。やり場の無い怒りが溢れ、轟々と渦を巻く。
そして。
怒りは頂点に達したと同時に嘘のように消え、そこに一つの決意が
浮かび上がってくる。
ラトのちいさく華奢な手を、ぎゅっと握って話しかける。
「ラト。どうやら一機だけ、量産型ゲシュペンストがあるみたいだ。
鹵獲って奴だと思う」
「うん…」
「奪おう。奪って闘おう」
「え、でも私目が見えないから操縦できない…」
ラトは不安げな顔をする。
「俺がするさ」
ラトの眼が見えないのは判っているが、その端正な顔ににやり、と
笑いかける。
「え…?」
「バーニングPTで、訓練は厭と言う程積んでいるさ。
俺はたかがゲーマーだけど、実戦もイケる口なんだぜ?」
「リュウセイに40連敗もした癖に…?」
「ああ、言っちゃ駄目な事言ってる…!w」
「ふふ」
「はは」
こんなに辛い状況なのに、笑いがこみ上げてくる。
たかがゲーマー。
街で対戦ゲームをやり込んでいる程度の人。
そんな奴に命を預けてくれ、と言っているのだ。
馬鹿らしい事この上ない。
だがラトゥーニは砂の上に座り直し、俺のほうを向いて丁寧にお辞儀をした。
「よろしく、お願いします」
「…え」
自嘲的な気分でいたから、このリアクションは予測していなかった。
「…いいのかい?」
「うん。もう、前から決めてることだから」
「前から?何を…?」
「ずっと、お兄ちゃんについて行くって」
それだけを言って、ラトは光を失った、だが、深い山奥の湖のように蒼く
透明に澄んだ瞳を俺に向けて、花が咲くようににっこりと笑ったのだった。
44:砂塵
07/05/26 16:50:27 5Bb+YCM0
* * *
砂丘ばかりといってもこの辺は隆起も多く、日陰になる場所は沢山あった。
上空から飛来するかも知れないDCの機体から身を隠す為に、穴を掘って
頭に上着をかぶり、砂を掛けて身を潜める。
最後のレーションをラトと分け合い、齧る。体力が必要になるのは間違いない。
喉は焼けつく様に乾いてはいる。だが、レーションに含まれている水分のお陰で
大分楽になった。
俺とラトは基地の様子を窺い続けた。
半日、偵察して大体の様子は掴めた。
基地の間取り、見張りの配置、人の多い場所、少ない場所。
見張りが交代するのは二時間置き。その時、誰も来ない辺境の基地だから
なのか、すぐに次の見張りが出てこない事が多い。
平均して7分。早い時は2分程で出てくるから、この辺は運だろうが、
賭けるならここしか無いだろう。
俺達は砂影に隠れ、目的のゲシュペンストからかなり近い場所まで這いずって
近寄っておき、見張りが居なくなると同時に砂を巻き上げて走った。
時は既に夕暮れ。
ラトも俺も、体力の限界はとうに超えている。
大体、コクピットにたどり着けた所で動かせるという見込みは無い。
自転車だって使わない時は鍵を掛けておくものだ。
だが、なんとなくカンが働いた。出来そうな気がした。
その可能性に全てのチップをBETだ。
分の悪い賭けどころでは無いが。
そしてなんとか、ゲシュペンストに到着する事が出来た。
―コクピットが、開いている…!
ラトを先に押しやり、その上で先に昇って引き摺り上げる。
…なんとか、見張りに見つかる事無くコクピットに入り込む事が出来た…!
本来一人用のコクピットはぎゅうぎゅう詰めだ。
俺はラトを抱え込むようにして座り、操縦桿の感覚を確かめ、
コントロールパネルに指を滑らせる。
なんと、有り得ないほどの幸運な事に、エンジンには火が入っていた。
だが。
45:砂塵
07/05/26 16:51:06 5Bb+YCM0
「あ…ミッションディスクが、無い…!」
「え…?」
回避、索敵、火器制御などの重要な要素を行うプログラム・ディスクが
抜かれていた。
OS自体は立ち上がっているのだが、これでは何をどうする事も出来ない。
なにかしら障害はあると思ったが、これは…。
だが、ラトが平然と言う。
「OSは立ち上がってるんでしょう…?バージョンは、幾つ…?」
「ええと…5.4」
「わかった。今、作るね」
「!」
とんでもない話だ。
ゲームのものでさえ、ミッションディスク作成は何週間も掛かる。
実際の機体ならさらに難易度は上がるだろう。そんなものをホイホイと
作れてしまうものなのだろうか。
しかもラトは今、目が見えていない状況だ。
ブラインドタッチで全ての作業を行うというのか。
すっ、とラトが光を失った瞳を閉じる。
と、見つめる俺の目の前、というか、俺の膝の上に座ったラトが、ひとつ
大きく深呼吸をした。
パネルの上をラトの指がめまぐるしくひらめく。
空中に幾つも開くウインドウ。
凄い勢いでつむぎ出されていくプログラム群。
新しいアプリケーションが次々と立ち上がり、綺麗に整列された文字達が
下から上に波になって流れていく。
俺はあんぐりと口を開け、呆れ返って見つめるしかなかった。
これは、想像を、超えている。
ラトが『天才』と言われている真の意味が判った気がした。
作業は30分程で終了した。
全てが、だ。
火器管制から機体制御まで大体はインストールしたという。
起動トリガーを引くと、機体は問題なく動作した。
「近接と回避主体にしてあるの。お兄ちゃんの闘い方に合わせて設計したから…」
「…!」
バーニングPTでは、しつこくリュウセイに近接を挑んでは、至近距離で
カウンターのG・リボルヴァーを浴びて負け続けていたというのに。
あの試合をずっと見ていてさえ、俺の闘い方で闘(や)ってくれというのか。
むしろそのスタンスを強化して、『信じる』と言ってくれているのと、これは
同義だ。
体が熱くなる一言だった。
「判った。ここからは任せてくれ!」
と、力強く答え、ラトの頭に手をやり優しく撫でる。
「ありがとう、な」
「ううん。頑張って…」
ラトが振り返り、俺の頭を優しく両手で挟むと、不意に俺の唇にラトの
それを重ねてきた。
お互いの唇はがさがさだったが、それでもラトとのキスは、俺の脳髄を
甘く痺れさせた。
生の実感がこみ上げてくる。俺達は今、生きている。
46:砂塵
07/05/26 16:52:30 5Bb+YCM0
連投規制防止の為にいったん切ります。
続きはまた今夜か、明日にでも。
47:それも名無しだ
07/05/26 17:18:07 HrsOq1sk
>>37
サンクス(・ω・)/
これもひとえに、俺の調k……もとい、愛情のおかげさ!
>>38
サンクス(・ω・)/
おお、シャイン王女まで参加なさるとは!どおりでライが鼻息荒くして、デジカメ買いに行く訳だ!
ライ「デタラメを言うな……」
げぇっ!ライ!ち、違うんだ、これはきっとノイエDCの陰謀に違いn
ライ「俺に出会った不幸を呪えぇぇぇっ!」
し
ば
ら
く
お
待
ち
下
さ
い
゜
48:それも名無しだ
07/05/26 17:24:48 HrsOq1sk
>>39-45
お疲れ様。続き楽しみにしてるよん。
基地までラトゥーニおぶって歩ききったブラザーのド根性と、ミッションディスクを30分で作成したラトゥーニの技量、そして最後のキスシーンにGJ!('-^*)/
49:それも名無しだ
07/05/26 18:47:10 qY0CYzSo
>>48
サンクス!
レスを入れてくれたから、次のを上げても大丈夫…だっけ?
続きいきます。
砕け散ったらごめんなさい。
後、GJあり!
ラトに興味なかった人も、OGでメインにしたくなるような話を書ければいいなあ。
さあて後半。
やっと闘いだ!
↓続き
50:砂塵
07/05/26 18:47:50 qY0CYzSo
* * *
この鹵獲ゲシュペンストには、テスラ・ドライブが搭載されていた。
普通のMKⅡ-Mタイプなのだが、DCならリオンタイプと同時に行動する
事が多い為なのだろうか。非常に有り難い。
銀色の機体が、砂塵を吹き散らして舞い上がる。
フェアリオンに同乗した時とは段違いの、生の加速圧が俺達を押さえつける。
慣性制御装置が壊れているのか、とも思ったが、機体の差か、と考え直す。
「追っ手は来るだろうけど、出来るだけ最初に距離を取ろう。ラト、
もしかして連邦軍に連絡取れるかい?」
「ううん、連邦のと通信機のタイプが違うみたい。目が見えさえすれば…」
「俺もDCの通信機なんて使い方判らないしな…。まあ、逃げ切れば
済む事だ…!」
テスラ・ドライブの出力を臨界まで上げる。最大戦速…!
そこで、やはり、と言っていいか。何者かから通信が入った。
スクリーンに映し出されたその姿は、予想通り連邦の制服を着ては居ない。
テレビで見た事があるが…DCの戦闘服に間違いない。
「何者だ…!所属部隊と階級、姓名を言え」
「無所属、匿名希望、かな」
「なんだと?!」
「ごめんなさい」
俺が適当に答え、ラトは律儀に謝る。
性格が出るところだ。
俺は、すぐに通信機のスイッチを探しあてて切断した。
だが、こちらの姿はモニターで見られてしまっただろう。
パーソナルデータの照会はもう終わったかも知れない。
よしんば、ラトゥーニの素性が今すぐばれなかったとしても、ぼろぼろの
服を着た、見た事も無い男と女がゲシュペンストを盗んで乗り回しているのだ。
拿捕、または撃墜しに来るのは間違いない。
最高速度で砂漠の地表すれすれをぶっ飛ばす。
あれ程苦しんで通り過ぎた煉獄の上を、今は鳥が飛ぶよりも遥かに早く、
連邦の基地を目指して一直線に飛翔する。
51:砂塵
07/05/26 18:48:38 qY0CYzSo
兵装の確認。
スプリットミサイル。
M950マシンガン。
ネオ・プラズマカッター。
ジェット・マグナム。
余分な武装は何一つ付いていない。空中戦が出来る、という事以外は
BPTで乗り慣れているノーマルなゲシュペンストだ。
オプションにテスラ・ドライブを選択した時と変わらないさ、と、自分に
言って聞かせた。
試しに左右に機体を軽く振ってみる。
思い描いた理想のラインで空中にシュプールを描いた。
回避パターンの一つを無作為に選んで実行してみる。
幾何学的な動きに予測不能なGがあちこちから掛かる。
こちらの方も、切れ味がとてもゲシュペンストのものとは思えない。
素晴らしい反応だ。BPTでもこれ程のチューニングをされている
ゲシュペンストなど動かした事が無い。
「凄いな、この動き…。ミッションディスクのプログラムのせいなのか…」
「お兄ちゃんに合わせてあるの。あのゲームの時、ずっと外のモニターで
見てたもの…。」
「40連敗の時?」
「うん…」
「そっか…。負け試合だったが、無駄じゃあなかったな」
冗談交じりに言うと、ラトは振り返って見えない瞳で俺を見つめ、
真摯な表情で、俺の操縦桿を握った手を探し当てて柔らかく掴んでくる。
「…お兄ちゃんは、弱くなんかなかった。機体がついていっていなかっただけ。
このプログラムで、それを証明出来ると思う。」
「責任重大だな…はは。頑張らないとね」
自分が実は弱くなかった、あれは機体のせいなのだ、と正面切って言われると
やや照れる。
本当に有り難い。ありがとう、とお礼をしたい。だが、それはどうしても
言葉に乗せる事が出来なくて。
しかたがないから、ラトをぎゅっと抱き締めた。
「ラト」
「うん?」
「ええと…」
愛してる、という単語を口に出す前に。
機体が出し抜けにがくん、と揺れた。
52:砂塵
07/05/26 18:49:47 qY0CYzSo
鳴り響く警戒音。
装甲表面をビームが掠めて飛んだのだ。
警告抜きで撃ってきた…!
レーダーを見る。3機。少し離れて1機。
リオン3機と、バレリオン1機…。
追っ手だ!
相対速度を見る限り、このまま逃げ切る事は出来なさそうだ。
大体向こうの射程距離に捕まっているのだから、回避行動を取れば取るだけ
最大速度が落ちる。
やるしかない…!
「ラト、いくよ!」
「うん!」
急速反転。
振り向きざまに一番近いリオンにスプリットミサイルを連射。
マシンガンを構え、弓なりの軌道で突撃した。
敵のリオンの撃ったホーミングミサイルとバルカンが、ゲシュペンストを
掠めていく。
狙った敵のメインカメラの視界外に入ってプラズマカッターを突き出し、
テスラ・ドライブフルブースト…!
普段はテスラ・ドライブの代わりにアフターバーナーやブースターを使うが、
これは俺のバーニングPTで最も得意とする闘い方だ。
初めての実戦だが、まるで昔から繰り返してきた事のように、自然に体が動く。
いける…!
ざくりと敵機体にプラズマカッターが喰い込み、敵装甲の軋む音が直接
ブレードからコクピットまで伝わる。
ぎしり。
だが、いつまでも取り付いていては敵の的になるだけだ。
横向きにGを掛けて回転し、遠心力でプラズマカッターを抜きながら、
回避パターンセレクト、ランダム。
スプリットミサイルを撃ってからここまで、3秒と掛かってはいまい。
そして、今の攻撃は、確実にエンジンブロックを貫いた。このリオンは爆発する。
回避パターンのきついGに上下左右に振り回されながら、爆発する筈のリオンを
大まかに敵群の間に挟む。
視界をカッと白色光が包む。轟く爆発音。
ひとつ!
即座にベクトルを変え、急上昇。
プラズマカッターを真横に構え、軌道を一直線にセット。テスラ・ドライブ全開。
まだ爆発のあった方向を向いているリオンに、斜め上から突撃…!
狙い違わずかっさばき、そのまま振り抜いて加速。
バレリオンの攻撃だろう。今まで居た場所を白色の稲妻が通り過ぎていく。
背後でまたもや起こる爆発と閃光。
ふたつ!
ゲシュペンストの後ろをイオン化した大気が妖精の麟粉のように煌き、渦を巻く。
53:砂塵
07/05/26 18:50:41 qY0CYzSo
ここまででこちらの闘い方は、残りのパイロットに予測されている筈だ。
もう、一直線に突撃して切り刻むのは無理と言っていい。
バレリオンの攻撃に注意しながら最後のリオンにマシンガンを撃ちまくる。
回避の中心はバレリオン。リオンの攻撃は最悪、喰らってもいい。
回避に集中。10秒。回避パターン入力。
機体のあちこちをバレリオンの連装ビームキャノン、ビッグヘッドレールガン、
リオンのホーミングミサイル、レールガンが掠めていく。
俺はラトの華奢な体を抱き締めて、きついGに身を任せる。
腕の中のラトにちら、と視線を投げかけると、まるで闘いなど存在しないかの
ように、安らかな表情で眼を閉じていた。
…信じてくれているのだ。
と、右手の方で爆発音。
インジケータをチェック。マシンガンに直接被弾したらしい。
マシンガンの残骸を投げ捨て、メイン射撃武器をスプリットミサイルに
切り替える。
同時に俺のゲシュペンストのマシンガンを細かく被弾し続けていた、
最後の敵リオンが爆発した。
みっつ!
残りはバレリオン1機のみだ。レーダーをチェック。増援は無し。
ジェット・マグナム、セット…!
充填開始。
避ける。避ける。避ける。
大まかに相手の背後に回りながら、突撃するタイミングを伺う。
敵パイロットの息遣いまで、戦場の雰囲気で伝わってくる気がする。
このパイロットは、弱い。
ビッグヘッド・レールガンを撃つタイミングが単調だ。
こちらの動きのひとつひとつへの追従が遅い。
リュウセイなら、こんなヘマはしない。
リュウセイなら、もっと視界を取る事に神経を使う。
リュウセイなら…と考えて、ちょっと苦笑してしまう。
―奴は、強かったんだな。
ビッグヘッド・レールガンをすり抜けて、発射タイミングに合わせて
溜めに溜めたジェット・マグナムをバレリオンにぶち込んだ。
* * *
54:砂塵
07/05/26 18:51:42 qY0CYzSo
空はまだまだ快晴だった。
砂漠の雨は珍しいそうだから、明日も明後日も。
その次も、またその次の日も晴れなのだろうけれども。
最初の目的地だった連邦の基地。距離にして、現在残り約50km。
どちらにしても全く見当違いの方向に進んでいた事になる。
あそこでDCの基地にたまたま突き当たらなければ、あの日そのまま
力尽きていただろう。
砂漠の広さを考えれば、信じられない幸運、という事になる。
神に感謝するべきだとは思うが、味わった絶望感を考えれば感謝半分、
呪詛半分といったところか。
レーダーに敵の機影は無い。既に連邦の制空圏内だからだ。
ラトのアドバイスを受けながら通信機をセットし直し、こちらが
連邦の軍人、ラトゥーニ少尉と民間人であることも連絡できた。
後数分もしないうちに迎えのメッサーが来る筈だ。
後は誘導ビーコンに従って着陸すればいいだけだ。
自動操縦に切り替えるのも悪くない。
いまだ光を取り戻さないラトゥーニの眼だけが心配だが、症状を軍医に
通信で伝えた所、多分心配無いとの話だった。
砂漠ではよく有る症例らしい。
治ると良いのだが。
「…ねえ、お兄ちゃん」
「うん?」
「戦闘前に、何か言いかけてた…でしょ。続き…」
「…え!?何か言ったっけ???」
知らない振り知らない振り。
今更そんな恥ずかしい事、とても言えない。
だが、ラトの攻撃は、その後基地に辿り着くまで延々と続いたのだった。
fin
55:砂塵
07/05/26 19:15:01 qY0CYzSo
署名忘れてた。
ラトと同居人でした。(言わなくても判るって?orz
長文にお付き合い頂きまして、感謝!
56:それも名無しだ
07/05/26 20:02:27 LvoR9ftU
>>39-45>>48-54
バーニングPTの戦いが活かされてる所が面白い。ラトと愛の力で生還だな。読みやすくて良い感じ。凄くGJでした。
自分のレベルの低さが身に染みた。
57:それも名無しだ
07/05/26 22:41:13 HrsOq1sk
>>50-54
戦闘シーン、マジでカッコ良かった。
リュウセイとの戦友的な絆(?)も垣間見えたような気もするよ。
BPTの凄さも再認識出来たし、最後のコクピットでのラトゥーニの質問攻撃想像したら和んだ。
GJ&お疲れ('-^*)/
58:それも名無しだ
07/05/27 09:23:21 XTq6ketJ
>>56
愛は地球を救うのだから、二人救うぐらいは造作も無いのです。
なんちってな。(とてもそんな楽々な展開には見えなかったぞ)
GJ、どうもありがとう。
>>34
>敬語
そそそそうだったのか!
敬語ハァハァww
そのままにしとけば良かっt(ラトゥーニブリーカー&ドリルキック
>>47
ライ…w
ライがエロいシャイン見て鼻血出してぶっ倒れる話にしようかな。ライの為に。
きっと喜んでくれそうだ。彼なら。
>>57
戦闘シーン書いてて、なんだかゲシュペンストのプラモ欲しくなってキター
ていうかこれから只の民間人がPT乗る機会なんて無いよね。これが最初で最後か…。
ラトゥーニとか無敵の男とかはいつもこんな死線をかいくぐっているんだねぇ…(嘆息
>戦友
強さに関しては、まだまだリュウセイ>主人公なのかな。
認めていなかったからこそ40回も闘って、結果的にそれで実力を貰って、最後にそれに気付く。
多分帰ってからまた対戦やりまくりでしょー。
GJ、感想、どうもありがとう。
久々に書いたのでとても嬉しい。
頑張って、もっといいSSが書けるようにならねば。
ラトと同居人でした。
59:それも名無しだ
07/05/27 10:37:00 V9FwQMxN
>>58
スレイの夫です。応援してるよ
60:それも名無しだ
07/05/27 15:20:21 U2MYycQW
>>58
ライが鼻血……柴田亜美の漫画みたいな感じになるんだろーなぁ……w
採 用 !!
……なんてねw
61:それも名無しだ
07/05/27 22:35:05 V9FwQMxN
朝だ。あまり天気は良くない……起きたくないな。
俺はベットの中に顔まで入れて、小さく縮こまる。
「…今日が終われば明日からまた仕事か」
スレイ「あなた、起きてる?」
スレイが部屋に入ってきた。天使の声が聞こえる。なんだか、起きたら時が進みそうで怖い。
だが、その天使は俺の気持ちとは裏腹に起こそうとする。
スレイ「具合でも悪いの?」
今の台詞はキター…だが、起きたくない。俺がいつもの生活リズムを崩さないように起こしてくれよと妻のスレイに頼んではいたが今日は守れそうにない。
目を瞑った時だった。俺の上の掛かっている布団ははぎとられ朝のひんやりとした空気が身体全体を襲う。
俺は体を今よりも縮こませた。
スレイ「呼んでも起きないなんて子供みたいよ?」
分かってるよ、スレイ。だが今は俺を夢の中にいさせてくれ。
その時、俺の額に何かが当たった。少し固さと温かさを感じるそれは上下にゆっくり動作する。
目をゆっくりと開けてみるとスレイが俺にでこすりをしていた。
スレイ「…すりすり」「朝から何をやってるんだ?」
スレイ「あなたとわたしの新しい愛情表現…」
愛情表現かよ…萌えますた。
「スレイ…それだけでいいのか?」
スレイ「ううん、おはようのキス」
「ああ、今してやる…」
俺はそう言うとスレイの口にキスをした。スレイは俺の首に手を巻き付け徐々に激しさを増していく。キスというよりもお互いにかぶりついているようなディープキスだ。
スレイ「ダメ…もっと」
甘えた声がたまらない。この台詞は何度聞いても飽きないのが不思議だ。
俺の心は燃え上がりある毎度の台詞が自然と出た…
「お前は俺の最高の妻だ…」
スレイの愛を受けて今日からまた頑張れそうだ。仕事だけじゃなくて別のことも。
62:それも名無しだ
07/05/27 22:37:50 V9FwQMxN
>>61
ごめん、改行おかしいみたいだ
63:それも名無しだ
07/05/29 06:20:41 Wyp+okC7
ラトゥーニ「アキトさん、この制服が好きなんですか?」
僕「ああ、大好きさ。ルリルリィ!」
ラトゥーニ「アキトさんのえっち。子供にこんな格好させて…変態」
僕「ああ、もっと言ってくれルリルリィ!敬語でなじってくれぇ!」
ラトゥーニ「アキトさんはヘンタイです!ロリコンです!」
…。
……。
ナニコレ。
俺は、今しがた変な原稿を渡してきたイルムをジト目で睨む。
「おいイルム。…なんだ、これは」
「いや、お前ん家の夜の生活想像図」
…。
……。
「ラト、用意はいいか!」
「オウ!…イマガカケヌケルトキ!!」
俺とラトゥーニのラリアートは、逃げようとするイルムの首の前後に綺麗に
クリティカルヒット。
その後、ラトゥーニの必殺ラトゥーニブリーカーから流れるようにフロント
スープレックス。
そして、俺のとどめの流し台最上段からのフライングクロスチョップが
派手にイルムに炸裂したのだった。
>>60
ライは真面目だから、顔に出さないけど内心のリビドーが凄いよ、きっと。
柴田亜美の絵柄はとても良く似合う。絶対。
64:それも名無しだ
07/05/29 08:22:30 yRTEBNG8
>>63
Mな僕を見て幸せな気分になった俺はSです。朝から面白かった。新しい合体攻撃にワロタ
スレイと三回のディープキスを済ませ電車に乗って降りたんだが…相変わらずボン太君は女子高生にちやほやされてた。羨ましいです!…俺には妻がいる、俺には妻がいる…
俺の顔を見てため息をつくルー…そして、妻持ちの俺にひっつこうとするセレーナ…今日も一日頑張ってきますね。
65:それも名無しだ
07/05/29 09:25:36 /Ybz036m
>>63
「……という事があったんです」
朝の食堂で、向かいの席に座るラトゥーニから、俺は話を聞いた。
なるほどね。それでイルム中尉が朝からボロボロだった訳だ。
ラトゥーニ、彼氏にそれとなく伝えとけ。
流し台最上段からの攻撃は非常に危険だから、イルム中尉とリュウセイ以外には使用するなってな。
「ちょ、何で俺が入ってんだよ!」
俺の左隣に座るリュウセイが抗議する。
何故かと聞くなら答えよう。
テメーは昨日、俺がアヤと一緒に食べようと思って取っておいたエクレアを食ったからだ。
「しかも一個だけならともかく、二つとも食べちゃったのよね……」
俺の右隣に座るアヤが付け加える。
「………」
「お、おいラト!何でそんな軽蔑するような目で見るんだよ!」
「軽蔑してるから」
「だって知らなかったんだから、しょうがねえだろ!」
「それでも普通、二個とも食べたりはしない」
「だ、だってよぅ……本当にすげー美味かったから……」
「関係ない」
ラトゥーニの冷たい返答に、リュウセイはすっかり打ちのめされた。
「さっきの伝言、お兄ちゃんにもしっかり伝えておきますね。少尉」
ラトゥーニは俺の方を向くと、楽しそうに敬礼してみせたのだった。
66:それも名無しだ
07/05/29 09:41:26 /Ybz036m
追記
>>64を見たイルム中尉が、ボン太くんスーツに興味津々のようです。
67:それも名無しだ
07/05/29 17:33:55 yRTEBNG8
>>66
それは大変だ。すぐに阻止してください。全世界の女子、女性のために…。私は世界が違うので託すことしか出来ない。
また、小学校と中学校をウロウロするシャアさんを見た。あのダサいサングラスで
68:それも名無しだ
07/05/29 17:43:43 h6c6RQy7
>>65
「流し台最上段からの必殺技は禁止か…」
「とどめが難しくなるな。まあ、俺としては良い意見だと思う」
「いつの間にそこにいる、イルム!!」
その後、イルムを追って町内三周もしてしまったのは秘密にしておこう。
* * *
あ、ラト、エクレア作ったって?
そうか。
喜ぶだろう。きっと。
明日届けてくるといい。
アヤ大尉と、例の無敵の男に。
69:それも名無しだ
07/05/30 12:01:20 aRGRWUd1
朝、玄関
スレイ「あなた、もう少し…」
「ああ…」
結局、3回もキスしちまった。しかし、愛の証である。
外へ出ると、話し声が聞こえてきた。お隣さんか。
ナナイ「…お願いしますね」
シャア「ナナイ…これではネズミだよ…」
ナナイ「では、あのいやらしい幼女の本はちり紙交換に出してもいいんですね?」
シャア「分かった。だからあの本だけは許してくれ」
ナナイ「結果次第です」
何のことだか分からんが俺は会社に向かった。
シャア「イルイちゃん、おはよう」
イルイ「おはようございます」
シャア「今日からわたしはネズミさんになることになったんだ。だから応援してね?」
イルイ「ネズミ…ですか……?」
シャア「そうだ」
ロリコンニートなおじさんがまたイルイちゃんに声をかけていたが、変な行動はとってないので俺は見逃してやることにした。
会社に着いて皆に挨拶。
「おはよう」
ボン太君「ふもっふ♪」
ルー「おはよう」
レイ「おはようございます……」
アキト「おはようございます」
ラピス「……」
シャア「おはよう、諸君」
「ちょw何であんたがいるんだ!?」
シャア「今日からここで働くことになった。シャア・アズナブルだ」
ミッテ「わたしから説明しましょう」
これはわけありだなw
ミッテ「うちの会社でもニュータイプの研究を積極的に行うことになったの。それで、誰からも必要とされていないロリコンニートのこのおじさんが被験者にふさわしいと思い採用ということになったのよ」
上の決定だから従うしかないよな…。また大変になりそうだ。
70:それも名無しだ
07/05/30 15:00:04 8vQETJp6
>>67
心配するなブラザー。
あの後ヒュッケバインがやって来て、イルム中尉を連行していったからな。
さすがは我等がリン社長!男前な顔グラフィックは伊達じゃない!
そこに痺れる憧れるぅ!
あれ、ヒュッケバインがブラックホールキャノン装備で飛んで来t
し
ば
ら
く
お
待
ち
下
さ
い
゜
71:それも名無しだ
07/05/30 15:21:18 8vQETJp6
>>68
午前中の訓練を終えて、昼飯。
食堂にアヤと肩を並べて入ると、入り口でラトゥーニが待っていた。
よぅ、チビっ子。どうした?
「あの、これを……」
ラトゥーニが手にしている小さなバスケットを差し出す。
中には、小皿に乗ったエクレアが二つ、入っていた。
「私の手作りなんです。良かったら召し上がって……少尉?」
「どうしたの?心臓を鷲掴みにされたみたいな顔になってるわよ?」
……いや、何でもねぇ。
ただ、金髪お嬢様や銀髪巨乳のせいで、手作りという言葉に軽いトラウマが出来ちまってるみたいでな……。
だが、お前が作ったんなら問題なかろ。
ここで立ち食いするのもアレだから、座って食うか。
俺は二人を連れて空いた席に座り、アヤと一緒にエクレアを食べた。
うん、甘くて美味い。
「これなら、お兄ちゃんも喜んでくれるわよ?今度作ってあげたら?」
アヤがそう言うと、ラトゥーニはポォッと頬を赤く染め、嬉しそうにうなずく。
そうしてやれ。
ついでにトロンベに弟子入りして、料理全般マスターすりゃあ、いつでも嫁に行けるだろ。
「よめ……お兄ちゃんの……お嫁さん……」
自分の花嫁姿でも想像したのか、ラトゥーニは完全に夢の世界に旅立っちまったようだ。
おーい、どっち道お前が結婚出来るまで、まだ最低でも4年はかかるぞ、12歳児。
「私はもう14歳です!」
そんな可愛らしい突っ込みと共に、テーブル越しの右ストレートが俺の顔面に突き刺さった。
相変わらず突っ込み強烈すぎだな……。
「自業自得よ。ご愁傷様」
アヤがクスクス笑う。
まぁ、こういうやり取りも悪くないか……。
72:それも名無しだ
07/05/30 15:23:13 8vQETJp6
>>69
ネズミって、モルモットの事か。
赤い彗星ももうダメだなw
73:それも名無しだ
07/05/30 20:19:12 aRGRWUd1
>>70
世界が救われたなw
>>72
ありがとう
74:それも名無しだ
07/05/31 07:59:57 hZkGdLmz
今回はネタでなくレスで返そう。
>>71
見た目12歳に見えるって前言った事、覚えててくれたとは。サンクス!
ラトも御馳。ありがとう。
関係ないけどイルム。
前に無敵の男とイルムが一緒にアヤ大尉に怒られる話があったじゃん。
あの話は面白かったなー。
>>69
かつてシャア・アズナブルと呼ばれた男がそれか。
ララァに呪われるぞw
75:それも名無しだ
07/05/31 08:54:56 uiH3mRKa
>>74
サンクス(・ω・)/
ラトゥーニが夢の世界に旅立つあたりで、ふと思い出してあのオチにつなげた次第。
気に入ってくれて良かった。
>前に無敵の男とイルムが一緒にアヤ大尉に怒られる話があったじゃん。
グルンガスト壱式vs量産型弐式かな?
本当は、ブーストナックル同士の力比べやりたかっただけなのだよね……。
前スレの「南海の妖花」も、俺式クロスターゲットをやりたかっただけで。
……結構行き当たりばったりだな、俺。
76:それも名無しだ
07/05/31 08:56:21 uiH3mRKa
って、前スレ消えちまってますよ、ド畜生……orz
77:それも名無しだ
07/05/31 09:49:23 t4xuKo89
>>74
ありがとう。ロリコンニートの当然の報いw
>>76
報告感謝
78:それも名無しだ
07/05/31 17:50:38 SLhm2Bpq
ふーただいま。出先で携帯で書き込める人はいいなあ。(なら買え
>>75
>グルンガスト壱式vs量産型弐式
それそれ!
あれはハマった。スーパーロボットはああでなくてはね。
イルムとのバトルもGJだったし。
クロスターゲットってあれかな?
ダブルファイアかな。
燃えの部分だよねえ。
そういえばラトと主人公、クロスターゲットした事無いな…
>>76
お、本当だ。消えてる。
まあ、ログは取ってあるよ。いずれサイトでも立ち上げるなら送ろうか。
最近は携帯専門の小説サイトも多いよね。
携帯で書いて携帯で読んだり、ネットの携帯小説が書籍化されてミリオンセラーになる時代だからなあ。
最初兄貴が携帯で書いてるって聞いてすげーとか思ったけど、結構普通らしいよね。
79:それも名無しだ
07/05/31 18:32:31 uiH3mRKa
>>78
>クロスターゲットってあれかな?
ダブルファイアかな。
そう、それ。俺とアヤの合体攻撃。
俺のSSで唯一シュウが出たやつ。
αで、さらわれて洗脳されたアヤたちをリュウセイたちが助け出す「クロスターゲット」って話があって、台詞だけ見たらアヤとリュウセイの間にプチ恋愛フラグが立ってるように見えて、テメーふざけんじゃねーぞリュウセイの分際で
(以下百行ほど削除)
とにかくそういう嫉妬に似た感情から書き上げたのが「南海の妖花」なんだけど、何故かシュウが出て来るし、アヤは自力で脱出しちゃうしで、まぁ何だ。
俗に言うライブ感ってやつでございます。
>最初兄貴が携帯で書いてるって聞いてすげーとか思ったけど、結構普通らしいよね。
そうか、普通なのか。まぁ携帯の普及率を考えれば、当然だわな。
パソコンより安いし、パソコンほどじゃないがネットも出来るし、何より手軽に持ち歩けるし……こうして考えると、結構凄い道具だよね、携帯電話。
80:それも名無しだ
07/05/31 18:33:47 t4xuKo89
>>78
ああ…便利な世の中になったもんだ
81:それも名無しだ
07/05/31 19:14:23 Igf7/jjZ
>>79
むーαってもう五年前?六年前?よく覚えてるなあ。
まあ名作だから今やっても色褪せないだろうけれども。
そっか、元ネタがあったのか。覚えていたらもっと楽しめたのになあ。ちと損した。
>リュウセイ
奴は誰にでもフラグを立てに行きやがるから。
本当、あれ程無節操なキャラいないって。
クスハのモトカレ設定でブリット可哀想だし、ラトの事だってそう。マイもか。
そしてアヤ大尉まで…!
無骨で一途なキョウスケを見習えっての!(テンザン
>ライブ感
細切れのアイデアを一杯キープして、適当に書いて繋がるライブ感が楽しい。
全然違う話になったりしてね。
でもそれもいい。
>携帯
ウムス。
自信を持って邁進してよろしい感じ。
迷いを吹っ切る言葉になってくれれば、と。
82:それも名無しだ
07/05/31 22:24:09 uiH3mRKa
>>80
便利になった分、変な犯罪も横行し出しているのが、何というか悲しいねぇ……。
>>81
実はαはイングラム裏切りで挫折した。
アニキャラ板のアヤスレで、同好の士が立てたサイトがあって、そのサイトの台詞集を読んだだけなんだ。
それでも、アヤは誰にも渡さない派の俺は、嫉妬の炎が燃え上がったけど。
83:それも名無しだ
07/05/31 22:33:08 t4xuKo89
>>82
気持ちは凄く分かる。俺はスレイネタが書かれているだけで気持ち悪くなる。おそらく嫉妬だろう。
スレイ「あなた、早く来て」
「ああ、すまん」
スレイ「もう、わたしを放っておいてPCなんかやらないで頂戴」
「だから、すまんと言っているではないか。一人にしてごめんな」
スレイ「いいの。あなた…好き……」
「コントローラー持って言われると凄く良いなw」
すみません、これからスレイとゲームの続きをします。それでは皆さん、おやすみなさい。
84:慰安祭①
07/06/01 16:06:44 6yHEPGMi
さぁ、今日は待ちに待った慰安祭だ。
誰が待ってたかは聞くな。
基地の近くに設けられた特設会場で、たくさんの出店が並び、人がごった返している。
まず軍からの最初の出し物は、ATX組のチーム内での模擬戦だ。
演習場で行われる試合を、会場のモニターが移す。
ナンブ中尉とクスハ、エクセレンの姐さんとブリットが組んでのタッグマッチだが、中尉も姐さんも、それぞれのパートナーをしっかりリードしていて、見応えのある試合だった。
続いて教導隊。こちらも演習場からの生中継。
ファルケン、ビルガー、量産型ヒュッケバインMk-Ⅱの三機による編隊飛行は、一糸乱れぬ見事な動きだ。
次がカイ少佐の模範演習で、イルム中尉を相手に、ゲシュペンスト同士の格闘戦。
やはりPTX小隊で鳴らしただけあって、イルム中尉もカイ少佐相手に善戦したが、結局試合は少佐の勝ちで終わった。
しかしちょっと見直したぜ、イルム中尉。
最後にラミアのソロ飛行。アンジュルグの外観も手伝って、その動きは神秘的な舞いを思わせるものだった。
だがリュウセイ。頼むから慈しむ眼で見つめるのはやめろ。
端から見ると、ちょっと怖いぞ……。
85:慰安祭②
07/06/01 16:08:55 6yHEPGMi
>>84
さぁ次は、いよいよ俺たちSRX組の出番だ。
アヤたちは既に会場でスタンバってる。
俺とリュウセイは、基地の格納庫で機体の最終チェックと、フォーメーションの簡単な打ち合わせをやった後、発進した。
お互い、機体を飛行形態に変型させて、会場上空に到着。
コクピットに、短いイントロと、それに続いてアヤとマイの歌声が響き渡る。
歌に合わせなきゃならんから、コクピットに通信をつないであるのだ。
『キューンキューン♪キューンキューン♪私の彼はパイロット♪』
特設ステージの上で、二人のリン・ミンメイが声を重ねて歌っている姿が、コクピット内の通信モニターに映っている。
なんだよ。確かに映す必要はないが、別に良いだろ。
『キラリ輝って急降下♪』
『ゴーと噴かして急上昇♪』
マイ、アヤの順に歌う歌詞の通りに、R-ウイングとビルトラプターは動く。
互いの腹をくっつけ合った状態で。
『長く尾を引く飛行機雲で♪』
姉妹が声をハモらせたところで、俺たちは左右に別れる。
『大きなハートが重ねて二つ♪』
アヤの歌声に合わせて、両機が半分ずつ空中にデッカいハートマーク二つを描く。
ちょっとしんどい……。
86:慰安祭③
07/06/01 16:10:18 6yHEPGMi
>>85
『青い大空ラブサイン♪』
マイのパートで、描いたハートマークを貫くように、二機とも真っ直ぐに降下。
『I love you You Love me?♪』
再び姉妹が声をハモらせ、俺たちは左右に別れた後、機体を交差させながら上昇。
『だけど彼ったら私より♪』
『自分の飛行機にお熱なの♪』
……アヤのパートは、俺への当てつけか?
『キューンキューン♪キューンキューン♪私の彼はパイロット♪』
最後に二人で声を合わせて歌い上げ、俺たちもPTに変型して空中で決めポーズ。
観客の拍手の音がコクピットにも聞こえてくる。
余韻を残すように、ステージ上空でわずかな時間ホバリングした後、再び飛行形態に戻り、俺とリュウセイは帰投する。
体中がカッカッと熱くなっていた。
出し物が上手くいった興奮もあるだろうが、それだけじゃない……。
通信モニターに映る、あるものを見たからだ。
モニターに映るアヤの視線の角度、ステージとビルトラプターとの位置関係から察するに、間違いねえ。
アヤは空に向かって……いや、俺に向かって、投げキッスをしてくれたのだ。
唇に触れた指先をスゥッと空へ伸ばす、緩やかな仕草だったが、俺はそう確信していた。
畜生、ニヤケが止まらねえ……。
87:慰安祭④
07/06/01 16:12:38 6yHEPGMi
>>86
俺たちの出し物の後、文字通りのサプライズゲストが現れた。
リクセント王国のシャイン王女だ。
ラトゥーニとのコンビネーションで会場は盛り上がり、慰安祭は大盛況のうちに幕を閉じた。
―静まり返った格納庫。
俺はパイロットスーツのまま、ビルトラプターをじっと眺めていた。
短い間だったが、またお前と空を飛ぶ事が出来て、本当に良かったよ……お疲れさん、相棒。
知らず、想いが言葉になって、唇からこぼれる。
「あら、まだ着替えてなかったの?」
会場から戻り、制服に着替えたアヤがやって来た。
俺の隣に、寄り添うように立つと、フワッと香水の香りが鼻をくすぐった。
「そっか……そうよね、名残惜しいわよね」
ああ。
俺はただそれだけ、答えた。
確かに名残惜しい。
だがビルトラプターはもう、その役目を終えているんだ。
コイツから得られたデータは、R-1の開発に生かされただけでなく、他の機体にも何かしらの形で生かされてる筈だ。
コイツは充分頑張った。ゆっくり休ませてやらないとな。
だから、お別れを告げていたのさ。
俺はそう言って、アヤの肩を抱き寄せる。
「きっとビルトラプターも喜んでたと思うわ。アナタと空を飛べて」
アヤは、俺の目をまっすぐに見つめて、そう言った。
ああ……そうだな。
だがそれでも、何とも言えない寂しさを覚え、俺はアヤの胸にすがりつく。
「ほら、元気出して。相棒も頑張ったんだから、アナタも胸を張りなさい?」
アヤはそう言って、最近やっと伸びてきた俺の髪を撫でてくれる。
「まったく……いいわ。どうせ衣装は、返す前にクリーニングに出さなくちゃいけないから……今夜は、あなたの着せ替え人形になってあげる」
アヤは優しく、しかし明らかに濡れた声でささやき、唇を重ねてきた。
舌と舌が絡まり合うのに、時間はかからなかった。
88:慰安祭⑤
07/06/01 16:14:07 6yHEPGMi
>>87
追記①
会場から戻ったライの胸元が、赤く汚れていた。
出店で買ったホットドッグのケチャップだと本人は言っていたが、真相は定かではない。
追記②
オクト小隊は、何故か出し物をやらなかった。
タスクなんか、この手のイベントはすげー好きそうなのに、珍しい事もあるもんだ。
アヤとそんな事を話しながら廊下を歩いていると、レオナと鉢合わせた。
不参加の理由を聞くと、
「あんな物を着るくらいなら、舌を噛んで死にます!」
そう言って不機嫌そうに去っていく。
訝しみながらロビーを通りかかると、タスクがソファでしょぼくれていた。
四人分のボン太くんスーツを引き連れた奴の背中は、すすけていた。
89:それも名無しだ
07/06/01 16:17:52 6yHEPGMi
早速慰安祭をお届けしましたが、>>84の
>演習場で行われる試合を、会場のモニターが移す。
の部分の「移す」を「映す」に脳内変換しといて下さいませm(u_u;)m
90:それも名無しだ
07/06/01 20:21:15 5aSlYth2
>>84-89
おお、慰安祭!
前半はイベント目白押し、中盤はアヤ大尉の歌とアクロバットのシンクロ。
ビルガーとの久しぶりの邂逅にアヤ大尉との絡み、と内容も盛り沢山。
一行一行光景を想像しながら読ませて頂きましたよん。
非常にGJ!
エネルギーが溜まり次第こちらもラトSideをお送りする予定ー。
今日はちょっと寝不足で死にそう。
91:それも名無しだ
07/06/01 20:27:36 5aSlYth2
うは、ビルトラプターをビルガーとか書いてしまった
ごめんorz
92:それも名無しだ
07/06/01 22:18:29 6yHEPGMi
>>90
サンクス(・ω・)/
ゆっくり休んで、どデカい爆弾投下してくれ。
楽しみにしてるよん('-^*)/
93:それも名無しだ
07/06/02 13:38:02 vuapJNgt
>>92
爆弾。
そんなに凄いものはとても出来そうにないし、無理!
でもありがとう。
遅くてごめんorz
いつものようにお先行っていてくだされい。
つ【茶】
94:それも名無しだ
07/06/02 15:53:48 5uBqEhJ+
>>93
おおっと、プレッシャーかけちまったかな?
まぁ焦るこたぁーない。今まで通り、愛という名の欲望の赴くままに書けばいいさ。
住人のみなさんにプレゼント。
つ【トロンベ特製水羊羹】
95:ゼアの苦労日記
07/06/02 21:36:07 R2ZNrk3H
文化祭準備が忙しくて書き込む暇がありませんorz
>>1乙です。
∮月Κ日
???「……めよ」
「う、ううん……」
???「……目覚めよ」
「うう……」
???「目覚めよ、『四皇種子』ゼア=ウィド・エテルナ・フューラよ……」
「………!」
「うわああ!!?……あ、あれ……?」
俺は飛び起きて辺りを見回す。いつもの俺の部屋だ。
フェンとシャナは別室だ。同居人や夫婦でもモラルは大切だと思う。
「…………またかぁ」
最近はこの夢で目を覚ましてばかりだ。
何かよく分からない黒い塊から名前を呼ばれる、そんな薄気味悪い夢だ。
「……まあいいや。かなり早いけど、仕事行くか」
俺は最近忙しくて行けなかった職場に小走りで向かった。が。
「お、見えた見えた……ん?」
そこにいたのは、仕事仲間のオルガと宗介、ヒギンズと耐爬だった。
「よぉ、オルガ」
オルガ「あ、ゼアか……」
「どうしたんだよ、元気ねえじゃん」
宗介「あの張り紙を見てみろ……」
「あ、何々、『当美術館は展示品の九割が盗品であったことが発覚したため、
現館長は退職、当美術館も閉鎖とさせて頂きますご了承ください』……」
ヒギンズ「そういうこと」
「じゃあ…………俺たち…………『失職』かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
96:それも名無しだ
07/06/02 21:37:48 R2ZNrk3H
お久しぶりです。
新スレだってのにこんなネタですいません。
反省してます。
以上、クラスに早く馴染みたくて劇の脚本役を買って出たぜア=ウィドでした。
97:それも名無しだ
07/06/02 21:54:58 ro6pVMWl
>>96
ひさネタ乙です。来てくれて良かった。
目の前の壁を超えることは大切。応援してるよ。
以上、スレイの夫ですた
98:それも名無しだ
07/06/03 12:01:43 MXUvRZk4
>>96
九割が盗品だったために閉館って、何その怒涛の展開!?
これでも食って元気出せブラザー!
つ【トロンベ特製プリン】
99:それも名無しだ
07/06/03 12:02:48 MXUvRZk4
アンカー微妙にずれた…。
>>95-96って事でm(u_u)m
100:彼の名はルゥ。
07/06/03 20:13:11 uhid9bTW
お久しぶりです。ルゥの中の人です。
前回の続きを投下させて貰います。
コレまでのお話↓
URLリンク(www.uploda.org)
101:彼の名はルゥ。
07/06/03 20:15:22 uhid9bTW
「なあ、頼むから話を聞いてくれよ。きっと俺達は分かりあえる。そうだろ?」
取りあえず両手を上げ、猫なで声を出してみる。
畜生、なんで男相手にこんな声ださにゃあならんのだ。
「黙れ。お前を一旦俺達のセーフ・ハウスへ連れて行く。話ならそこでゆっくりと聞いてやる」
油断無く銃を構える宗介。其処には一部の隙も無い。
「信じてくれ。誓って俺は怪しい者なんかじゃない」
「俺は黙れと言った」
刹那。パン、と乾いた音。
銃声だ。俺の足元からそう離れて居ない位置に弾痕が穿たれる。
―オイオイオイオイ、マジかよ。ホントに発砲するか普通!?サイレンサーも付けずに?
背筋に冷たい物が走る。
といっても殺されるかもしれない、という恐怖ではない。威嚇射撃なのは一目瞭然だからだ。
俺が怖かったのはこんな場所―住宅地のど真ん中にあるマンション―で気軽にパカパカと発砲できるその神経に、だ。
良く見て見ると、そこかしこに同じような弾痕が在った。
後でこれまた統夜に聞いた話だが、彼が発砲するのはわりと日常茶飯事らしい。
付近の住民や同級生は「ああ、またアイツが改造モデルガンで遊んでいるな」位にしか思って居ないのだそうだ。
やれやれ、何て街だ。
俺を撃つなよ!?死んじまう!!」
「まだ殺さん。貴様がどれだけ協力的になれるかどうかで、それは決まる」
「大人しく従えば、名誉ある扱いを保障しよう。暖かい食事と寝床も提供してやる。だが、あくまでも抵抗するというのなら―」
再度、銃声。天井の蛍光灯の1つが粉々に割れた。
それをぼんやりと眺めながら、俺は内心苦笑していた。
―ああ。こいつ勘違いをしてるな。もし撃ったら―
―死ぬのは、お前なのに。
102:彼の名はルゥ。
07/06/03 20:16:04 uhid9bTW
まあいい。男の断末魔なんぞ直に聞いたら一週間位は俺のマイサンが使い物にならなくなっちまいそうだしな。
「わーったよ。大人しく貴方様に従いますとも」
俺は大仰に肩を竦めた。
―それに。殺すのは何時でも、即座に出来る。赤子の手を捻るより簡単だ。
「そうか。ならば俺と同行してもらう。―そっちだ、歩け」
俺の背後に回りこみ、銃を背中に押しつけ歩くよう促す宗介。
「ヘイヘイ。全ては貴方様の思うがままに…ってか」
「黙って歩け」
やっぱ殺そうかなぁ、コイツ。
辿り着いたのは同じマンションの一室だった。
俺の部屋と然程離れて居ない。余りの近さに正直拍子抜けした。
「ドアを開けろ」
宗介の口から紡ぎだされる言葉はあくまでも素っ気無く簡潔だ。
ったく、日本人なんだから「どうぞ汚い所ですが」とかいって謙遜しろよ、くそっ。
心の中で悪態をつき、ドアを開ける。
「入れ」
「いちいち言われなくても―」
再びゴリ、と銃が押し付けられる。
「分かりました分かりましたよ…はぁ」
中に入りリビングに足を踏み入れると。
「ソースケ!遅かったじゃない…ってあれ?貴方…誰?」
きょとんとした顔の少女が俺達を出迎えた。
103:彼の名はルゥ。
07/06/03 20:17:26 uhid9bTW
ほっそりとした、線の薄い整った顔立ち。やや切れ長の綺麗な黒瞳。
長い黒髪を端っこで結わえたその娘(こ)を簡潔に且つ有体に言い表すなら―美少女だった。
まあ、この世の全ての女は何かしらオンリーワンな美しさを持っているもんだが。彼女はその中でもとびきりだ。
くぅ~良いねぇ。女の子。それもメチャ可愛い女の子。
嗚呼、目と心が洗われる様だぜ。
まあソレは兎も角。彼女今宗介の名前を呼んだな。
彼の部屋に居るって事は顔見知りか。呼び捨てで呼んだとこを見ると…かなり身近で親密な間柄か。
って事は恐らく彼女が千鳥 かなめか。
この子がウィスパードねぇ…。
確かに普通の子と比べて飛びぬけて可愛いとは思うが、それ以外は普通の女の子にしか見えないんだが。
「む。千鳥か。悪いが今日は君の手料理を食べれそうに無い」
「はぁ?なんでよ。もうとっくに完成して、後はあっためるだけなんだけど」
「俺も残念に思う。だが周辺をうろついていた怪しい男を発見したものでな。今から尋問しなければ」
「そんな訳無いでしょ!あのガウルンって人もやっつけたんだし、あたし達を誰が狙うってのよ!」
「どう見たって何の関係も無い通りすがりの一般人じゃない!」
「そんな事は無い。一見自然体に見えて隙の無い身のこなしといい俺から一度は武器を奪った事といい、只者とは思えん」
「まあ俺が只モノではないナイスガイってのは認めるがね。それより」
「君みたいな可愛い子に会えて光栄だよ。初めまして、子猫ちゃん」
彼女の手を取り、ウィンクをする。ふっ…落ちたナ。
宗介が「千鳥から離れろ!」と殺気交じりの怒声を張り上げてるが無視無視。
「…なんかクルツさんに似てるわね。ロンゲだし。ブロンドじゃなくて銀髪だけど」
半目のかなめちゃん。あっれぇ?効果無し?
「…うむ。俺もそう思う」
もしかして宗介との親しげな様子と言い…もしかして。
「君達ひょっとしてカップルってやつ?」
そういった瞬間かなめちゃんが面白いように狼狽した。
「な、なにいきなり変な事言うんですか!」
「あたしとソースケは別にそんなんじゃなくて…」
「ただ近所だし色々あったしコイツロクな食生活して無いから食事くらいご馳走してやろーかなー…って」
「なんですかその『ごちそうさまー』って顔は」
「いやもう見たまんまだよ子猫ちゃん。全く此処最近良い女だと思ったら皆彼氏持ちかよ…やってらんねぇ」
「だからあたしは―」
「あーはいはいツンデレツンデレ」
「…っ!あーもうワケ分かんない事いってんじゃねーわよ!」
スパン、と小気味言い音と共に。
俺の脳天に彼女の手に何時の間にか握られていたハリセンが振り下ろされた。
結構痛い。
104:彼の名はルゥ。
07/06/03 20:18:26 uhid9bTW
「で!?あんたは一体なんなのよ!何処の誰!?」
先ほどの礼儀正しい他人行儀な彼女は何処へやら。仁王立ちし俺に詰め寄る。
「言っとくけど正直に答えないとこの戦争バカ、本当に何しちゃうか分からないからさっさと答えた方が身のためよ!」
「俺はソースケ君にさっきから何度も説明しようと思ったんだけどね」
「問答無用と言うか、なんかしようとするだけで発砲するんだよ。それで俺にどうしろと?」
「ソースケ。銃を下ろしなさい。根拠は無いけどこの人はガウルンとかとは違う様に思えるのよ」
「だが千鳥―」
「黙んなさい!さっさとその銃をしまう!」
「…分かった」
「さ、コレでいいでしょ。アンタ誰よ?」
「助かったよ子猫ちゃん。俺の名はルゥ=ウェン・アーヴィル。俺は―」
俺はここに引っ越す事になった事情。
そしてこの部屋に来る事になった経緯をかいつまんで説明した。
「成る程。よーっく分かったわ。この戦争バカがご迷惑をおかけしたようで」
「まあいいさ。君みたいな子猫ちゃんに会えたから―ってあれ?何を…」
俺の言葉など耳に入っていないのか肩をいからせ宗介につかつかと歩みよる。
「千鳥、待て。俺は」
彼女のただ事ではない様子にだらだらと凄い勢いで冷や汗をかく宗介。
「…やっぱりアンタが悪いんじゃない、このバカー!!!!!」
スパーン!
俺の時より遥かに強烈な勢いで宗介目掛けハリセンを振り下ろした。
「中々痛いぞ、千鳥」
「やかましい!…ルゥ…さんだっけ?ホンッッッットにゴメンナサイ。コレからコイツに良く言っておきますんで」
「…そいつぁ助かる。でもまあ、程々にね。無理して君の肌が荒れでもしたら世界的な損失だ」
俺は踵を返して宗介の部屋を後にした。
背後から聞こえてくる、「アンタってばどうしていつもいつも…くぬっ、くぬっ」「痛い痛い」と言う声に。
「…ごゆっくり」と呟きながら。
105:彼の名はルゥ。
07/06/03 20:20:27 uhid9bTW
「ルゥ!遅かったじゃん。どうしたの?」
家に帰った俺を出迎えたのは、心配顔のテニアちゃんだった。確かに、もう日もとっぷりと暮れている。
「…いろいろあってな」
俺は彼女に先の出来事を説明した。俺今日こんなんばっかだ。
「…ソースケに膝蹴りかましてくる」
眉を吊り上げるテニアちゃんを俺は慌てて制止する。
「まあ勘弁しときな。俺はなんとも無いし…なにより今かなめちゃんにこっぴどく絞られてるから」
「…ルゥはソレで良いの?」
上目遣いで尋ねるテニアちゃん。可愛いなぁ。エ=セルダ殿の忘れ形見じゃなかったらとっくに口説いてるのに。
「粋な男ってのは器がデカイのさ。過ぎた事をクヨクヨと気にしてられるかよ」
「でも。心配してくれてアリガトな、テニアちゃん。俺…スッゲー嬉しいよ」
テニアちゃんを優しく抱き占める。ついでに優しく髪を撫でてやる。
「えへへ…。そ、そう?照れるなぁ」
嬉しそうに相好を崩すテニアちゃん。
「あ、あのね…?あ、あたしね…」
ごにょごにょと何かを言おうとするテニアちゃん。
「ん?どうしたテニアちゃん?」
「ルゥ…事…きなの」
頬をほんのりと赤く染め何か言って居るんだが、いつもの彼女らしからぬか細い声だったから殆ど聞こえない。
「なんだって?良く聞こえないぞテニアちゃん」
「だ、だからぁ―」
じれったそうなテニアちゃん。どうしたんだ一体?だが、その時。
「お帰りなさい、ルゥ。遅かったから皆心配してたのよ」
ドアから新たな人影が。
俺のパートナー、フー=ルー・ムールーだった。
106:彼の名はルゥ。
07/06/03 20:22:00 uhid9bTW
「…何でわざわざ来たの?中で待ってればいいじゃない」
先程とはうって変わった不機嫌そうな顔と声のテニアちゃん。
わだかまりが完全になくなるのはまだ遠い、か。
「そんな言い方無いだろ。仲良くしてくれ。テニアちゃん達がケンカしてると俺、悲しいよ」
「…ルゥ。分かった…ゴメンナサイ、フー=ルー。ちょっとだけ、言い方が悪かった…かもしんない」
『ちょっと』を協調するテニアちゃん。俺はフー=ルーに目で『悪いな』と目配せ。
『分かってるわ』と苦笑しながら視線を返すフー=ルー。
んー。こう言うアイコンタクトでの会話って、いいよなぁ。
いかにも心が通い合ってる、って感じで。
「所で、アレは買ってきた?」
「…アレとは?」
「醤油餅よ。もしかして、忘れたとか言わないでしょうね?」
「…あ!…あ、アハハ。…………………………悪い、忘れた」
「でもな?俺にも色々と事情があってな?それどころじゃ―」
「問答無用。買ってきなさい、今直ぐ」
「…仰せの通りに」
俺は肩を落とすと回れ右をしてスーパーへと駆け出そうとすると、フー=ルーが俺の裾を掴んだ。
「…待って。やっぱり私も行くわ。また忘れられたらかなわないもの。それに―」
「私だって…その。…………………………待ってたんだから」
うあー。真っ赤な顔で顔を逸らしながらそんな事を言わないでおくれ子猫ちゃん。
トキメキ過ぎてどうにかなっちまいそうだ。
107:彼の名はルゥ。
07/06/03 20:22:50 uhid9bTW
「というわけだ。ちょっと2人で近くのスーパーにでも行ってくるよ」
と今度こそ出かけようとしたら。今度はテニアちゃんに裾を掴まれた。
「あたしも行く」
「いやでもスーパーに行くだけだぞ?面白い事も無いし買い食いとかもできないぞ?この時間だと試食コーナーだって」
「うるさいなぁ!あたしも行くったら行くの!いいよね!?」
「オッケーオッケー。両手に花で俺は万々歳さ」
「と言うわけでお邪魔させてもらうからね。なんならあたし達にまかせて家で休んでてもいいよ」
「アタシと違ってオ・ト・ナなんだから。そろそろ疲れとか取れにくかったりするんじゃないの?無理しないほうが良いんじゃない?」
かっちーん、と。そんな音が聞こえたような気がした。隣に居るフー=ルーから。
なんだ?いやな予感がするぞ。
罠に嵌められ生身でリュンピーの群れを相手にする事になった時だって、此処まで嫌な感じはしなかった。
「貴方こそ、部屋に戻って夕食にしたら?お腹をならしながらずっとルゥが来るまで我慢して待ってたんでしょ?」
「無理をしないで、は私の台詞ね」
「面白い事言うね、フー=ルー」
「貴方ほどじゃないわ、テニア」
「あははははは」
「うふふふふふ」
なんだ?目の前の2人を見ていると湧きあがってくるこの得体の知れない悪寒と戦慄は。
「行こう、ルゥ」
テニアちゃんは俺の左手を。
「行くわよ、ルゥ」
フー=ルーは俺の右手を。
それぞれ手にとって歩きだす。…あの、強く手を握りすぎじゃないか?ちっと痛いぞ。
とは思うものの何時もと違う二人の様子に俺は何も言えない。
―どうやら、俺が心休まるのはもうちょっと後みたいだな。
俺は心の中でそっと1人ごちた。
108:彼の名はルゥ。
07/06/03 20:24:53 uhid9bTW
以上です。
やっぱりバトル物よりこう言う話を書いていた方が筆がのるなぁ…
ロボゲー板向きでは無いのかもしれぬ。
まあ書くのは止めませんが。
例の如く続きは忘れた頃に投下すると思います。
ルゥの中の人でした。
109:それも名無しだ
07/06/03 20:46:35 MXUvRZk4
>>101-107
乙&GJ。
さすがに女同士の修羅場は苦手かw
やはり女は魔物だ……。
110:それも名無しだ
07/06/03 20:49:09 MXUvRZk4
補足
女同士の修羅場は苦手ってのは、ルゥに対して言った言葉です……念のため。
111:彼の名はルゥ。
07/06/03 20:52:51 uhid9bTW
>>110
分かってますよw
あとルゥが銀髪ロンゲなのは最初からその設定でした。
…書くのを忘れてたんですorz
あ、プリンごちそうさまです。
実にトロンベな味でした。
112:それも名無しだ
07/06/03 22:13:07 QnHH7ch0
スレイの夫です。ちょいと読みました
>>84-88
アヤさんの唄と機体の動きの合わせ方と書き方が上手い。想像できた
>>92
求められるって羨ましいな。書いても実力の無い俺は誰からも求められない
>>101-107
まずはひさネタ乙です。
醤油餅に愛を感じました。こういった形でネタを返されるのはとても嬉しいです。
上手くは書けないけど演出的に楽しめた。ハリセンのタイミングが素晴らしい。GJです
>>108
気持ちは分かります。書きたいものを書けばいいのさ
113:それも名無しだ
07/06/04 14:13:15 s9bFmMS1
>>111
プリン気に入ってもらえて何より。
好評だったと、トロンベにも伝えておくよん('-^*)/
>>112
サンクス(・ω・)/
アクロバット飛行の動きは、特に脳みそ使った。
満足してもらえて嬉しいよ('-^*)/
114:慰安祭(後日談)
07/06/04 14:55:40 s9bFmMS1
>>84-88
今日のヴィレッタの姐さんは、機嫌が悪い。
慰安祭で、あんなアイドルのコンサートまがいの出し物やっといて、結局特別予算は教導隊に与えられる事になっちまったらしいからな。
無理もねえ。
でも訓練で俺らに八つ当たりするのはやめてください……。
俺のアシュセイヴァーがボコボコだよ、コンチクショウ……。
「やはり私も歌うべきだったわね……」
とか言ってたが、それは関係ない気がする。
それに、姐さんがリン・ミンメイの格好して「私の彼はパイロット」を歌うシーンなんて、想像できねぇ……つーか、したくねえ。
115:それも名無しだ
07/06/04 17:22:37 iUzy2scC
>>114
姐さんの唄う姿も見てみたかった。八つ当たりなんて可愛いなw
以上、スレイの夫でした
116:それも名無しだ
07/06/04 22:55:09 iUzy2scC
>>61
これはスルーか。俺が昼間妄想に明け暮れ夜は寝る暇を削って考えて書く意味は無いな。頭の悪い俺のネタは褒めるところが一つも無い。ほかの住人とは違ってなんの成長も見せていないのだろう
117:それも名無しだ
07/06/05 03:19:34 PCMTS016
>>115
サンクス(・ω・)/
でもね、八つ当たりされたこっちの身にもなっとくれw
俺たち頑張ったのに(´・ω・`)
>>116
頑張って書いた話がスルーされる事もあれば、その場の勢いだけで書き上げた物がエラい好評だったりする事もあるだろう。
ネガティブになるのはブラザーの勝手だが、そんな感情をここで吐き出したら、構ってちゃんのレス乞食と思われかねんよ?
118:それも名無しだ
07/06/05 07:56:35 1Fa+v7nQ
>>17
構ってなのは去年から自覚してるよ。自分のネタをどうすればいいか分からない俺は直す気は無い。でもずっとここにいる。何を言われても
暑い…やっと家か…長かった……。
「ただいま」
いつも軽い玄関のドアが重く感じる。気温は見てないがかなり暑い。昼のニュースでは真夏日だと言っていた。
スレイ「あなた、お帰りなさい」
パタパタと小走りで来るスレイ。薔薇が描かれているエレガントなエプロンは大人の色気を感じさせ、俺の心を癒してくれる。しかも、今はピンクのTシャツにジーンズ……最高だなw可愛らしく、それで綺麗。それが俺の妻のスレイだ。
スレイ「キスして?」
「ああ…お前に見とれていて忘れていた。今日も綺麗だよ……」
俺はスレイにただいまのキスをした。軽く済ませるつもりだったが、スレイは俺から口を離さず舌をこれでもかというくらい絡ませてくる。
スレイ「うっ…あ……」
「激しいな…」
首に手を巻かれ徐々にスレイの声と舌が激しく、俺の欲情した心を襲う。
「飯冷めちゃうんじゃないのか?」
スレイ「いいの。今日は冷やし中華だから」
「そうか…お前は甘えん坊ちゃんだなあ」
数分間、ディープキスをした後に台所に向かった。しかし、冷やし中華は伸びていた。
なんてこったーっ!
「伸びてんな……」
俺は席に座り冷やし中華を眺めながら残念そうに言った。
スレイ「ごめんなさい。わたしったら伸びることを忘れて…」
申し訳なさそうに言うスレイ。俺は慰めるように…
「なんだ。味は変わらないじゃないか。伸びて量が増えたし一石二鳥だな。お前も早く食べろ」
スレイ「うん」
元気出たみたいだ。今晩の飯も美味かったし満足。
119:それも名無しだ
07/06/05 10:11:47 PCMTS016
だったら黙ってろ。
愚痴はチラシの裏にでも書き綴って、ゴミと一緒に燃やしちまえ。
それと冷やし中華って数分で伸びるもんか?
本当は数分じゃなくて、数十分はいちゃついてたんじゃないか?w
120:それも名無しだ
07/06/05 11:45:36 1Fa+v7nQ
>>119
ああ、ありがとう。ブログか何かに書いてるよ。愛しあってる時は時間が止まってる感じがするからどのくらい経ったか分からない。
121:それも名無しだ
07/06/05 14:55:18 PCMTS016
さて、今日も1日、張り切っていこうかねっと。
「うっしゃあああ!格納庫に俺、参上!気合い入れていくぜぇっ!」
おお、ずいぶんとハイテンションだな、リュウセイ。
「へへん。俺はいつだって、最初から最後まで徹底的にクライマックスだぜ!」
……何じゃそりゃ。
おい、マイ。
アイツ、何か変な物でも見たんじゃねえか?
「変な物かはわかんないけど、昨日私と一緒に、仮面ラ〇ダー〇王のDVDを見たぞ」
電〇だか電報だか知らんが、やっぱりそっち系からの受け売りか。本当に小学生だな、アイツは。
「……マイ。ひょっとして一晩中、リュウの部屋にいたの?」
「ううん。12時くらいになったら、もう遅いから部屋に戻れって、強引に追い出された」
……ほっほう。
本来なら、「もう遅いから泊まってけ。俺は床で寝るから、マイがベッド使って良いぞ」なんて言いそうな感じだがな……。
「あの子なりに、マイの事を意識し始めてるってところかしら?」
たぶんな。
「う~ん……姉としては、何だか複雑だわ……」
「……?二人ともどうしたんだ?」
小声で話す俺たちに、マイは首を傾げる。
「な、何でもないわよ?気にしないで?」
アヤが両手をパタパタ振りながら、笑ってごまかした。
122:それも名無しだ
07/06/05 14:59:41 PCMTS016
>>121
「みんな、集まったようね。今日も1日、頑張っていくわよ」
おはようございます、ヴィレッタの姐さん。
「もちろんだぜ、隊長!俺は最初からクライマックスだからな!」
うるせーな、馬鹿の一つ覚えみたいに繰り返しやがって。お前は言葉覚えたばっかりの九官鳥か。
だいたい、オメーの馬鹿っぷりが最高潮(クライマックス)に達してるのは、もはや全宇宙の常識だろーが。今更言わなくてもわかってるよ。
「勝手に変な常識作るんじゃねぇ!しかも全宇宙って、お前の毒舌もクライマックスじゃねーか!普通そこまで言うか!?」
言 う よ 。
「……醤油?」
……ラー油?
「……アイ・ラブ・ユー?」
気持ち悪っ!
「地獄に落ちろ」
「ひでぇっ!」
ライの追い討ちとリュウセイの反応が、テンポ良く決まる。
「さぁ、軽いコントは放っておいて、ミーティングを始めるわよ」
『コントじゃない!』
ヴィレッタの姐さんのつれない一言に対して、俺たち三人は綺麗に声をハモらせた。
123:それも名無しだ
07/06/05 19:16:43 1Fa+v7nQ
>>121-122
素晴らしいチームワークだな。これでこれからも大丈夫だろう。姐さんの機嫌は良くなったみたいだな。
頼みがある。君から姐さんに伝えてくれないか?ミンメイのコスプレと歌が見たいって…。無理にとは言わない。
124:それも名無しだ
07/06/05 21:58:41 1Fa+v7nQ
良し、これで準備は出来た。
今、俺は愚痴を沢山紙に書き燃やそうと庭で火を灯した。新聞紙と薪を入れなかなか勢いの良い火だ。
時計は9時すぎ、スレイは洗い物の最中だ。さきほどまでは風呂場で愛しあってましたがw
スレイ「あなた、何をしてるの?」
スレイが窓を開け俺に話しかける。いつものエプロン姿がたまらない。
「ああ、愚痴を書いて火で燃やそうと思ったんだ」
スレイ「楽しそうね。わたしもする」
いや…別に楽しくはないんだが…。スレイは上機嫌で紙とペンを庭に持ってきた。
スレイ「出来た♪」
嬉しそうに書くなんて…お前はお絵描きをする少女かwだが、それも良い。
「…で、何を書いたんだ?」
スレイの持っている紙を見てみる。
以下、スレイの持ってる紙の内容↓
・全ての日が日曜日だったらいいのに
・ハサウェイ君のおこずかいを五百円でいいのでアップさせてやってください
・子宝に恵まれますように
・もっと幸せになりたい
・ブライトさんを辛さから解放してやって下さい
以上、スレイの持っている紙の内容終わり
「あのさ、スレイ…これ愚痴じゃないんだけど……」
スレイ「お願い事。あなたとわたしの」
「お願い事ねぇ…てか、始めのやつ明らかに子供だろw」
そんなこんなで紙を火の中に放り投げた。火が先ほどより燃え盛り綺麗だ。
スレイ「あなたは何て書いたの?」
「会社の愚痴さ。ミッテさんや社長のこと」
スレイ「ふーん…」
二人で燃えている火を眺めているとロマンチックだな。なんだか時が止まっているようだ。
俺が気がつくと、スレイに手をギュッと握られていた。温かい手だ。スレイも俺の手の温もりを感じているのだろう。
スレイ「ねぇ、あなた?」
「何だ?」
スレイ「花火してもいい?」
「大きいのは出来ないぞ。それに後片付けが面倒だ」
スレイ「大丈夫」
スレイは家の中から花火を持ってきた。よく見てみると線香花火ばかりだった。
スレイ「えへへ、あなたとしたくて買っちゃったの♪」
凄くやりたそうな笑顔で言うスレイ。久しぶりにドキドキしてしまった。
その後、俺とスレイは線香花火を楽しんだ。短さ故の美しさがそこにはあった…。
125:それも名無しだ
07/06/05 23:46:31 PCMTS016
>>123-124
サンクス(・ω・)/
しかし本当に紙に書いて燃やすとは思わなんだw
あ、それとコレはささやかなプレゼント。
姐さんには内緒だぜ。
つ【ヴィレッタ隊長の、リン・ミンメイのコスプレどきどき体験記~私の彼はパイロット~】
126:それも名無しだ
07/06/05 23:51:23 1Fa+v7nQ
>>125
ありがとう。俺、ずっと大切にするよ。
さてと、これからスレイに見つからない場所を探さないとな。
127:それも名無しだ
07/06/07 07:16:29 H//j2zUV
充填完了。ラトと同居人ですお。
おっおっ(二回もやるな
J組のルゥ氏とゼア氏来てたんだね。おひさ。
キャラとかわかんないけど、全部読ませて頂いてますよん。
続きにも超期待。
>>121-122
リュウセイとアヤ大尉になにやらせても、肉声が頭の中でリプレイ
されるんだよねー。
兄貴のそのエミュレーション能力に嫉妬。
全俺が。
しばらくは貰ったネタを小出しにしていこうと思うですよ。
次回はイルムVSカイ少佐あたりで。
今回は、入り口に入ったところ編。(←変なタイトルだ
128:それも名無しだ
07/06/07 07:17:12 H//j2zUV
今日は基地の慰安祭だ。
にこにこ楽しそうに俺の後をついて歩く今日のラトの格好は、
六月らしいちょっと夏をイメージした感じの水色のワンピースに
白いサンダル。
セーラー服みたいな大きめの柔らかそうで白い襟が、ラトの少女らしく
華奢で可愛らしいイメージを引き立てている。
大きな花と原色の風船で派手に彩られたアーチを抜け、基地の中に
一歩足を踏み入れる。と、増えてきた人波に流され、いきなりラトと
はぐれそうになった。
流れに無難に乗ってゆっくり進みながら見渡せば、たこ焼き、お好み焼き、綿飴。
変なお面売りに、りんご飴、金魚すくい。
各種さまざまな出店。
普段はしかめ面をして煙草でもふかしていそうな強面の軍人さん達が、
今日だけはぎこちない笑顔で一生懸命商売に勤しんでいる。
「へい、たこ焼き2つね。お待ち!」
「ちょ~っと焼けるまで時間掛かっちゃうけど、いい?」
…軍人さんも、今日は慣れない仕事で大変だろう。
ラトは背がちいさいから、油断するとはぐれてしまいそうで、
俺の背中に顔をうずめるようにしてくっついてちょこちょこと歩いている。
背中に当たるちょっと湿った暖かい息。ときおり当たる、柔らかい二つの双球。
感覚がどうしてもそちらの方に集中してしまいがちなのは如何ともし難い。
そして、普通の祭りには有り得ないこの重々しい金属がぶつかり合う音。
プログラムによると、2on2のバトルをしている時間だ。
人波が目に見えて流れていく方向には特設会場があった。
俺もそちらの方へ向かおうとすると、くいくいと袖が引っ張られた。
振り向くと、ラトはちょっと頬を桜色に染めて、小声で言いにくそうに。
「綿飴、欲しい…」
ん?
OKOK。
屋台のおっちゃん(すっかりテキ屋扱い)に声を掛け、一つ買ってあげる。
「お面、欲しい…」
OKOK。
レトロなデザインの狐のお面を買い、ラトの頭のよこちょに被せる。
うん、可愛い。
「りんご飴、欲しい…」
お、OKOK。
どんどん来いや!
* * *