08/09/11 18:31:54 fC6m23XS0
>>231
「律子、ちょっと傘貸してくれない?」
「あら?伊織が私に頼みごとなんて珍しいわね。どうしたの、忘れてきたの?」
「私じゃなくてプロデューサーなのよ。駅まで戻って来たけどこの夕立で立ち往生してるんですって。だから」
「ふふうん?愛するプロデューサーのために健気な伊織ちゃんが蛇の目でお迎えってわけデスカ」
「ばっ、ばかそんなんじゃないわよ!私の下僕が駅にいて事務所に戻ってこないと、私の大っ事なレッスンに差し支えるから、大至急首根っこ捕まえて引きずってこなきゃならないだけ」
「プロデューサーも傘買えばいいのに。アッタマ悪いわよね」
「そ、そういうことじゃないみたいなのよ、私も聞いたんだけど、傘一本でも場当たり的に買って最終無駄になるようなものを持つべきではない、って」
「ケチンボなだけでしょ、たかが数百円」
「そ、それが無駄の始まり……って、いつもアンタが言ってることじゃない!つまらない無駄遣いはやめろって」
「あ、バレた?いいわよ、貸したげる。1本でよかったかしら?」
「ええ、一本は私のがあるから。ありがと、そうそうこれよ。ちょっと時期は外れたけどまだまだ織姫と彦星はきっとデート中よね、今のうちに願い事を短冊に……ってこれカサじゃなくてササじゃない!」
「え?」
「違うわよ!私が言ってるのは傘!」
「ああ、これね、ごめんなさい」
「そうそう、スペースシャトルなんかもう一般化しちゃったわよね。先週パパが乗ってみたいからってアメリカ国立航空宇宙局に話を……ってそれはNASAでしょっ!」
「あれ、聞き間違えたかしら」
「どんな耳がカサとNASAを間違えるのよ。そうじゃなくてアンブレラよ、アンブレラ」
「ああ!ごめんごめん、こっちね」
「そうそう、ちょうど生物進化の爆発が起こったとされているのよね。このバージェス頁岩なんかは有名で……ってそれはカンブリア!だいぶ違うし難解すぎるでしょーがっ」
「さすが伊織よね、ハルキゲニアとアノマロカリスはどっちが好き?」
「アノマロカリスの触手がちょうどウサギっぽいからそっちの方が好きかしら、って話をそらさないで!」
「ごめんごめん、何の話だったっけ?」
「傘よ傘!アンブ……ほら、パラソルよパラソル」
「ああ、それなら洋服ダンスに―」
「それはパラゾール!全部全部乗ると思ったら大間違いなんだからねっ。傘はもういいわよ、カッパがあるでしょ?事務所備え付けの」
「カッパ?」
「カッパ!」
「ああ、これね」
「そうそうそう、雨に打たれながら金管楽器を吹く姿ってかっこいいわよね、ってラッパじゃない!」
「みじかびのきゃぷりきとればすぎちょびれ?」
「そうそう、すぎかきすらのはっぱふみふみ、って誰が大橋巨泉かーっ!」
「エノケンと―」
「古川ロッパなんか知らないわよっ!もういいわ、私の傘だけ持っていって一緒に帰ってくるから」
「わぁ、相合傘とはやるわねぇ」
「え……え、え?や、そ、そんなこと考えてないわよ、だってほらアンタがいつまでたっても傘を出してくれないから、ほらそしたらしょうがないじゃない、い、一本しかないんならそれに二人で、その、あの」
「ただいま、うひゃー酷い目に会った」
「お帰r(ry……ってえええ?」
「あらお帰りなさいプロデューサー。雨酷いですか?」
「小降りになったから走ってきたよ。お、伊織いたか、じゃあレッスン行くか?」
「きー!!!」
「え?―いて、痛い!な、なんだよ、どうして俺が蹴られ―あいたたたた、やめろ、やめてくださいって!」
こうですね、わかります。
いっぺんだけ宣伝させてくれ。SS保管庫作ったんだ。