08/09/12 19:00:59 mP/fIIfs0
雪歩と伊織と亜美真美のライバルキャラは、お嬢様キャラ貴音に決まったようですが
まだワンダリングスターに美希と響とかずちゃんが出てくる可能性は残されていると信じたい
「おはようございます、社長」
「おお、萩原君じゃないか。熱はもう下がったのかね?」
「ご心配をおかけしてすみませんでした。
せっかくのライブも、私だけ欠席してしまって…」
「…うむ。残念だったのは確かだが、おちこんでいる暇はないぞ。
先のライブで公表済みだが、新ユニットでの活動の件は聞いているかね」
「あ、はい。伊織ちゃんに呼ばれて、これから会議室に集合なんです。
プロデューサーが出かけているから、4人でミーティングをしようって」
「それはいい。そうだ、萩原君に先日の映像を渡しておこう。
会議室のモニターで目を通してごらん。きっと参考になると思うよ」
***
「さて、雪歩もそろった事だし始めましょ。
なんたってこの私がいるんだもの。うちがダントツで無敵なスターなのは当然よね」
「いおりんいおりん。そういえばワンダリングスターってどんな星なの?」
「あっ、真美も知りたい! きっと超カッコいい意味があるんだよね!」
「そうねぇ。『wandering』には『さまよう』とか『うろうろする』って意味があるけど」
「……え~。ふらふらしてる星だなんてカッコ悪いよ~。
パーフェクトスターとかミッシングスターの方がカッコよくない?」
「な、なに言ってんのよ! ダサい名前だなんて、そんなはずないわ!
ねぇ雪歩。雪歩はもっと他の意味があるって思わない?」
「え。わ、私?」
「私たちを象徴するような、セレブリティあふれるチャーミングな意味があると思うのよね」
「…うーん…うーん…ふらふらしてる星……ふらふら……
…のろのろ……ダメダメ…がっくり…しょんぼり……ぐすっ…
こ、こんなダメダメな私は、穴掘ってセンターポジションから撤収しておきますぅー!」
「ちょっと雪歩、スコップなんて一体どこか―きゃーっ!!!」
***
「ただいま戻りました、社長。
外で亜美たちを見かけましたが、ミーティングは終わったんですか?」
「いや。ちょっとドタバタしてしまってね。一時中断になったようだ。
なあ君、星というものは、やはり数がないと話しにならないものかね」
「えっ?」
「天海君が太陽、如月君が月としよう。どちらも単独で空を賑わすには十分な逸材だ。
だが星は―どれだけ頑張っても、それひとつで空を輝かすことは難しいだろう?」
「……雪歩がそう言ったんですか?」
「彼女はソロだからね。すこし思うところがあるんだろう。
いちばん年上で、かつセンターを任されたが故に、いろいろと気負ってしまったかもしれん。
自分が座ってしまったせいで、席に座れなかった子が存在することもね」
「でもそれは、別に雪歩が悪いわけじゃ…」
「ああ、もっともだ。だがうまい言葉を見つけられなくてね。
あの子たちならきっと、銀河を自由に飛び回るスターになれると思っているんだが……」
Pが会議室のドアをそっと開けると、小さな後姿と、大きな画面が目に入りました
自分がいないそのライブを、雪歩は黙ってじっと眺めていました
“ソロでは輝けない”と言われて、Pは何も反論できませんでした
最初に雪歩を選んだのはPでしたが、彼はまだ1人を担当するだけで精一杯だったのです
かける言葉に迷ったPは、静かにドアを閉めました
アンコールの曲が終わるまで、ずっと廊下で立ち尽くしていました
733:名無したんはエロカワイイ
08/09/12 19:02:43 mP/fIIfs0
数時間のライブが終わり、お茶が冷めてしまっても、雪歩はモニターを眺めていました
しばらく黙って何かを考えていた雪歩は、聞きなれた声に気づいてドアを振り返ります
『もう伊織のお迎えの時間ですか。じゃあ、俺がちょっと捜してきましょう』
Pがいつから外にいたのか、雪歩はちっとも気づけませんでした
慌てた顔でドアの前に立った雪歩を迎えたのは、Pではない初老の紳士でした
「ふう、実においしいお茶ですな。執事の私が用意してもらうだなんて、恐縮しきりです」
「新堂さんにおいしいって言ってもらえて、私は嬉しいですよ」
「すこし笑顔がもどられたようですな。何かあったのですか?」
「ちょっと考え事をしていたんです。
…お陽さまもお月さまも、1人だって空を明るく照らせますよね。
でも、星じゃそんなこと出来ないんだなって」
「ほう?」
「そんなふうに考えてたら、プロ…えっと、新堂さんが」
「なるほど。では、おいしいお茶のお礼に、老人の小話をお教えしましょう。
たったひとつで空を独占できる星があると言ったら、信じていただけますかな?」
「えっ…?」
「なあに、簡単な謎々にございますよ。他より少しフライング気味な星のことです」
「あ。わかった、一番星ですか?」
「地球から見て、変則的な動きをもつ星が、いくつかありましてな。
その様子から空を遊ぶ星とも、空を惑う星とも呼ばれているのです。
一番星とよばれているあの星も、惑星のひとつにございます」
「惑星?」
「ええ。私にとっての伊織お嬢様が、絶対たる一番星であるように、
雪歩様もまた、一番に目を留められたのではありませんか」
「え? でも私にそんな人は―」
「お待たせしました、新堂さん。伊織を連れてきましたよ。
……ん? どうした雪歩。熱でもあるんじゃないのか、顔が真っ赤だぞ?」
「送ってさしあげたらいかがでしょう。なにしろワンダリングスターですからな。
お嬢様ひとりでは、ふらふらとさまよって迷子になってしまいます」
***
「ねぇ新堂。雪歩は大丈夫かしら。また熱がぶりかえしたんじゃない?」
「プロデューサーさんが送り届けると言っておられました。
それに、伊織お嬢様のお心遣いが届けば、すぐにお元気になられますよ」
「…当ったり前じゃない。なんたってこの伊織ちゃんは愛と美の女神さまだもの」
「おっしゃるとおりにございます。ヴィーナスの別名は、神出鬼没な2つの明星。
明けの明星に宵の明星とは、まさに亜美様と真美様のようですな」
「モーニングスターとイヴニングスターってことよね。
金星が多彩なのはよくわかったわ。でも雪歩はどうかしら?
ワンダリングスターが惑星のことなら、土星や地球のほうが相応しいんじゃない?」
「ではひとつ、小話をいたしましょうか。―ほら、ちょうど日も暮れて参りました」
***
「……うーん、わからないな。ソロで輝く星なんて本当にあるのか?
星は一斉に光ってるじゃないか。ひょっとして水瀬家の人工衛星じゃないのか?」
「新堂さんはちゃんと見つけてましたよ」
「俺はあまり天体に詳しくないんだ。一年くらい眺めてれば見つけられるかもしれないけど」
「……じゃあ、これからいっしょに探しましょう。
その星だってきっと、1人で頑張るより、見つけてもらったほうが嬉しいと思います」
雪歩はそう言って笑い、Pは不思議そうに首をかしげていました
助手席に一番星を乗せた車が走っていく様子を、夜空の金星だけが見届けていました
734:名無したんはエロカワイイ
08/09/12 19:06:09 l8xuHeXw0
>>732-733
気に入っちゃったよオレ!
735:名無したんはエロカワイイ
08/09/12 19:19:49 CTgqpHZI0
>>732-733
GJ
736:名無したんはエロカワイイ
08/09/12 19:22:53 LFMflJdw0
>>732-733
ティンときた!この新堂さんは実にGJだ!