08/08/26 22:38:57 iBbHFmel0
今日も事務所に元気な声が飛び交います。
当たり前ですね。若い子、沢山いますし。それに、彼女らの面倒を見る会社の人たちだって、一杯…。
彼方此方でわいわいと賑やかで、そういう事務所ってはたで見ている分にはとてもいいんですけど。
でも…でもでも…。
「小鳥さーん、はさみどこです?」
「ええと、それはあっちの文房具棚の上から三番目の右のほうですよ~」
「小鳥さん、お客さんのスリッパがないんですけど…」
「はいはい、今出します!古くなっちゃったから変えようと思って。やっぱり100円ショップのは駄目ですね~」
「困るなあ小鳥ちゃん、灰皿洗ってないよ?」
「ええっそれは掃除のおば様の…はいはいわかりましたすぐ洗います、待っててくださいっ」
「音無さん。先月の業界雑誌、どこかにしまってしまいましたか?」
「ああっそれはこの間あのプロデューサーさんが切り抜いたりしたから…すぐ本屋さんに注文しますねっ」
「小鳥さん…マウスが動かないんですけど…」
「ちゃんと繋がってます?ほらほらここ、ぶらぶらしてて抜けかけてるじゃないですか、これじゃダメですよ、一旦抜いて奥までぐぐっと差し込んで。
え、なに、セクハラ?何がですかっ。」
「おい小鳥!なんだこの書類は!」
「それ亜美ちゃんだかが真美ちゃんの格好してなんだかもうどっちだかわかんないんですけど悪戯を…はいはいすぐ作り直しますっ!」
「こーとーりーさーん。こーとーりーさーん。俺のワイシャツ…」
「クリーニング屋さんに出しましたっ!変な遊びしないで下さい!しみがついてて特別料金って言われてしまいましたからね?」
「ことりさーん。お菓子食べるからお茶入れて?ね、小鳥さんにも分けてあげるからさ?」
「これ以上私に食べさせて丸まる太らそうったってそうはいかないですよっ!ぷくぷくになっても美味しくないですからっ。はいお茶だけね」
「小鳥さん、小鳥さん、小鳥さん…」
「はいはいー!(やーめーてー)」
ダメだ。私死ぬ。いつか死ぬ。何かで死ぬ。
忙しいもん。どうしてこんなに?ってほとんど私の仕事なのそれ?って感じるぐらい忙しい。
本業の職務なんて何分の1よ。掃除や洗濯は私の仕事じゃないよ、多分、きっと…ええ、できますけどねっ!何でも出来る私。偉い。これは偉すぎる。
まあ律子ちゃんも結構いい仕事するけどね。さすがはご家庭の環境だわ。
でもまだまだ彼女も若いし、今はまだ私の脚でも舐めてればいいのよ…というのは言いすぎかもしれないけど…。まだ勝てるかな。
でも律子ちゃんが私の年と同じぐらいになったら…ああっもしかしたらその時秋月様、と呼ばなきゃいけなくなったら嫌だ…。
でも私の本来の仕事って。なんでしたっけ?っていうぐらいになってきてる。
事務所のスケジュール管理に始まって宴会の席確保にまで拡がってるし。
それが私の仕事って仮に言ったとしても(宴会はちょっと…だけどまあ…)、なんかもう、私の仕事ってなんでしたっけ?
最近なんてお夜食の煮込みうどん作りとかまで入ってきてますよ?
何故なんだろう?え、私がそんな仕事してるのって意外?もっとどうでもいい仕事してると思いました?
ふっふーん、甘い甘い。本当は私、知財法務とかの仕事のほうが好きなんですよっ。
一人のキャリアウーマン(古いですね…)として生きていく事を決めた時、猛勉強したんですから。そういうこともね。
そういえばこの間のお仕事は面白かったなあ。うちの可愛い妹達、じゃなくてうちの事務所の大事な大事なアイドルの海賊版DVDとかの対応した時には。
前にね、うちの事務所の秘密エージェントが、海賊版アイドルDVDとかをごそっと入手してきた時。
(本当にそういうのがいて、歌の世界だけでなくて驚くやら何やらですけどね)
私、それ見てタイトル付けとかやったんですよ。
タイトル付けって何だって思うでしょう?いえね、だって、まだDVDに何もプリントがなくて。
ラベルもなくて真っ白なものだったから、私、その内容を見て、一つ一つタイトル付けしたんです。
なんでって?そうしないと、訴える場合に物の特定ができないからなんですね。
「天海春香のひみつのクリームづくり」とか…「びっくり!真・真の真の姿」とか…。
そんな、もっともらしいタイトルを付けて、何種類のがどれぐらいあるかとか。一つ一つ地道にまとめるんですよ。
DVDの中身は、結局プロモーションDVDやイメージDVDを繋ぎ合わせて、とか、映像を加工してなんやらかんやら、っていうのなんですけど。
でも中にはわたしも見てて笑っちゃうのとかも結構あって、大変でしたよ?面白かったけど。