08/09/01 00:03:41 FIu9ARts0
朝。番長目覚める。
都会時代は一人っ子という生活環境もあって、低血圧を僭称し、
布団の中でだらだらする悦びを堪能していた番長だったが、今や『お兄ちゃん』である。
稲羽初日、一人で朝食の準備をする菜々子を見た時の衝撃は忘れない。
これも血筋であろうか?妙に遼太郎そっくりな唸り声を発して寝床から脱却する。
本来の、ずぼらな性格に鞭打って布団をたたむ。
「めんどくさい」という言葉を欠伸とともに噛殺し、手早く身づくろいを済ませる。
その姿を父母が見れば、何と言うだろうか?成長したなと涙ぐむだろうか?
この素晴らしい好男子が、まさか我が子と目を疑うだろうか?
人を造るのは環境だ。兄を造るのは弟妹の存在だ。“君主は臣をもって成す也”。
眠りの残滓を払う為に自らの頬を打つ。
ちょっと強く叩きすぎた。宿すペルソナ、アドバイス持ち。一瞬、意識が途切れる。
くらりとよろけてテレビ画面に手を突く。するりと腕は潜り込み、画面の縁に頭をぶつける。
痛みを堪えて腕を引き抜き、勢い余って尻餅をつく。その拍子に机の角に頭をぶつける。
痛い。痛いけど泣かない。へこたれない。なにしろ今や『お兄ちゃん』だから!
気を取り直して服の裾をぴしりと伸ばし、努めて穏やかな顔を造って階下へ向かう。
がしがしと手櫛で髪を整えながら遼太郎と菜々子が起き出してくる。
「おーう。おはよう番長」
「あ、お兄ちゃん、おはよう」
菜々子の髪に櫛を通し、結わえるのを手伝いながら、遼太郎のコーヒーを愉しむ。
番長の朝は概ね、こんな感じであろうと妄想しています。