【YO!YO!】萩原雪歩 深度24m【ぴーす】 at GAMECHARA
【YO!YO!】萩原雪歩 深度24m【ぴーす】 - 暇つぶし2ch855:SS
08/08/27 22:32:23 +WGIIzlK0
>>821、822でティンと来た

「人が多いですね、プロデューサー」
「時期的に夏休み最後のお祭りだからな。多少無理してでも参加しているんだろ」
「言われてみるとお店も人も多いですぅ」
「雪歩は夏休みにやり残したことはないのか?」
その言葉に雪歩は少し考え、ちらりと彼を見る。
「あ、ありますけど、その、夏休みだからとかじゃなくって、えっと」
「よく分からないけど、努力目標のような感じか?」
「そう、そうです。いつか出来たらいいなぁ、と思っているんですけど・・・・・・」
自分でも頬が赤く染まっているのが分かり、雪歩は顔を伏せる。
変な子と思われなければいいけど、と少し自己嫌悪に陥りながら。
「雪歩、大丈夫か? ひょっとして、疲れているとか?」
「いえ、大丈夫です。こんなに元気ですよ」
雪歩は腕でガッツポーズを作る。
確かに仕事で多少は疲れているが彼とお祭りに行けると言うご褒美を楽しみに頑張った。
「雪歩、浴衣の隙間から肌が見えているよ」
「あ、あう、すみません、貧相なものを見せちゃって」
「いや、そう言うことじゃなくって。それに雪歩の浴衣姿、とっても似合っているよ」
「本当ですか!? 実は呉服問屋さんで新しく作ってもらったんです」
「凄いな。呉服問屋なんて、俺の人生で初めて聞く単語だ」
「そんなに凄くないですよ。お母さんがよく行くお店なんです」
雪歩は何でもなさそうに言うが彼からするとよく行く呉服問屋があるだけでも別世界だ。
「しかし、せっかく作ったのに悪いな。仕事が忙しくて、着る機会があまりなかっただろ?」
「いいんです。ちゃんと機会が・・・・・・あ、金魚すくいですよ。プロデューサー、私、得意なんです」
彼のために浴衣を新調したとは言えないので、雪歩は彼の顔を見て微笑み、話題を変える
正直、浴衣を着るだけなら去年のでも問題ないのだ。悲しいことに成長していないから。
「では、雪歩のお手並み拝見だな。って、もう二尾取ったのか。早すぎるぞ」
「なんか、この金魚、私とプロデューサーに似ているので取っちゃいました。
 こっちのが私で、この元気な方がプロデューサーです」
「酷いな。俺はここまで元気じゃ・・・・・・あっ」
「ひゃぁ、プロデューサー、そんなところに入らないで下さい」
「雪歩、それ、俺じゃないから」
気付いた時には金魚は雪歩の胸元に飛び込んでいた。
「あ、ダメ、そこは、あう、ひゃ、プ、プロデューサー、金魚を取ってくださいぃ」
「え、でも。躊躇している暇はないか。すまん、雪歩、手を入れるぞ」
半べそになっている雪歩の表情に覚悟を決め、彼は一言誤ってから胸元に手を差し込む。
「プ、プロデューサー、右です、右に行きました」
「こっちか?」
「ち、違ういますぅ、逆です。私から見て、右です。あ、プロデューサー、そこ敏感なんですぅ」

「はぁ、酷い目にあった」
「それは私の台詞ですよぉ。でも、周りの男の人が下を向いていてくれて、助かりました」
手に金魚が二尾入った袋を持ち、雪歩はため息混じりに答える。
もっとも周囲の男性は下を向いていたのではなく、前屈みになっていたのだが。
「もうお嫁さんにいけないです。傷物になっちゃいました」
「いや、それは違うから。傷物にしていないから」
「うう、もうプロデューサーのお嫁さんになるしかないです」
「了解了解。雪歩なら大歓迎だ。でも、お父さんには黙っておいてくれ」
「言えませんよぉ、こんなこと。言ったら、もうプロデューサーに会えなくなっちゃいます」
雪歩にとって、考えられる最悪の事態がそれだ。それに触られたこと自体に嫌悪感はない。触らせたいわけでもないが。
「貧相な胸でプロデューサー、がっかりしましたよね」
「そんなことないぞ。いや、別に触るのを楽しんでいたわけでもないけど」
「本当ですか? もしかして、私、成長していますか?」
「ああ、雪歩はもっと自信を持て」
「ふふふっ、ちょっと嬉しいです。でも、もっと強くなりたいんです、ずっとプロデューサーの側にいられるように」
そう、自分の気持ちを言葉に出来るような自信はまだない。
「ん? 雪歩、何か言ったか?」
「いえ、な、なにも言ってませんよ。あ、プロデューサー、綿菓子があります」
この手を離さずに済みますように、と思いつつ、雪歩は彼の手をひいて駆け出した。


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