【YO!YO!】萩原雪歩 深度24m【ぴーす】 at GAMECHARA
【YO!YO!】萩原雪歩 深度24m【ぴーす】 - 暇つぶし2ch641:SS
08/08/23 22:41:51 DDYyZSFM0
「本日はみんなに~私のとっておきの怪談を~聞かせてあげちゃうよ~♪
 と言った感じで話せば、いいと思うのだが・・・・・・」
「無茶言わないで下さいよぉ、プロデューサー」
明るく歌う彼に雪歩は涙目で反論する。
「私、そう言ったのは駄目なんですぅ。アイドル納涼怪談大会なんて、無理ですよ」
「花火大会の時のように素直なリアクションで問題ないぞ」
「うう、だって、私には話すような怖い体験なんて、なにもないです」
内容がアイドルが体験した恐怖体験限定と言う点が雪歩を悩ませている。
怖い話を聞くだけなら、まだ我慢できないこともないと思う、多分、おそらく。
家にはお弟子さんが大勢いるし、いざとなれば、会社の仮眠室で一晩過ごす手もある。
早朝ロケに備え、真と春香が泊まっているはずだ。
「そこはそれ、何でもない話をオーバーに語るとか」
「そんなこと言われても思い浮かびませんよぉ」
会社のブログにある自己紹介で「My詩集を書くこと」と入力しようとして、
「My死臭を書くこと」となってしまったことくらいだ。
自分の死臭を書く、ある意味で怖い話だが。気付かずに三〇分ほど、アップされたままだった。
「じゃあ、何か不思議な体験はないか?」
「それも特に・・・・・・あ、サンタさんから手紙をもらったことが・・・・・・」
「それはサンタと雪歩、二人だけの秘密にしておこうな」
雪歩の頭をポンと撫で、どうしたものかと腕組みする。
「今から怪奇現象スポットに行くわけにもいかないしなぁ」
「い、嫌です。絶対に行きたくないですよぉ」
「とは言うものの何かネタを作らないとなぁ」
「うう、アイドルなのに怪奇現象を経験したことないダメダメな私は、穴・・・・・・」
「事務所で穴を掘るのは止めてくれ」
どこからともなくスコップを取り出す雪歩を宥め、椅子に座らせる。
「穴を掘って、埋まっていたって、何も解決策にはならないぞ」
「そんなことはありません!!」
雪歩にしては珍しく強い口調に彼は戸惑う。
「あれは六年前、七夢湖山へ遠足に行った時、迷子になってしまったんです」
「大事だぞ、それ」
「周りも暗くなって、帰り道も分からなくって。疲れていた私は近くにあった穴に座り込んでしまって」
「穴を選ぶ理由が不明だが続きを聞こう」
「どれくらい穴の中にいたかは分かりません。私、心細くなって、涙が止まらなくって。
 そしたら、優しい男の子の声が励ましてくれたんです。
 『大丈夫、明日の朝にはきっと助かるよ。ボクが側にいるから』と」
「そっちの方が怖いだろ、普通」
「そんな気がしただけですよ。その声に励まされているうちに私は寝ちゃったらしくって。
 次に気が付くと救助隊の方が私の肩を揺すっていました」
あの時は親に怒られた。その後で抱きしめられたが。思えば、あれが過保護の一因かもしれない。
「それからです。穴に埋まっていると落ち着くようになったのは。
 なんとなく温かい腕に抱かれている気がして」
「雪歩、ガスか何かに包まれているかもしれないぞ、それ」
笑顔で言う彼女に呆れ、ため息を付いたところで彼は気が付く。
「六年前、七夢湖山、男の子・・・・・・」
愛用のパソコンを検索サイトにつなぎ、雪歩の話に出てきたキーワードを検索してみると・・・・・・
「雪歩、今の話にこの結末を付け加えて話してみよう」
「はい?」
彼の言葉に雪歩が画面を覗き込むと・・・・・・
『七夢湖山中にて、白骨発見・・・・・・萩原さんの長女が保護された場所から・・・・・・
 白骨の年齢は推定六~一〇歳・・・・・・服装の一部から男の子と思われ・・・・・・』
斜め読みだが書いてあることは理解できた。
「プ、プロデューサー、これって。そう言えば、夢の中で『ありがとう』と言われた気も・・・・・・はぅ」
「雪歩、しっかりしろ。ああ、だから、ご両親も黙っていたんだな、きっと」
自分の迂闊さに後悔しながら、彼は倒れてきた雪歩を抱き留める。
彼の腕の中で雪歩はあうあう言いながらも幸せそうな顔をしていた。

後日、雪歩とプロデューサーが線香と花とお菓子、お茶をお供えに言ったのは別のお話

もう夏も終わりだよなぁ


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