08/08/14 10:33:53 w95/NPdY0
朝の空気も読めず、勢いのみで。
（今日は朝からＴＶ局での打ち合わせ。春香もランクが上がって、昔に比べると随分忙しくなったよなぁ）
「ごくろうさん。やっと打ち合わせが終わったな、春香」
「はいっ、打ち合わせ、長かったです～。もう、おなかがぺこぺこで……えへへ♪」
「俺もぺこぺこだよ。さて、昼はどうしようか？ 局内の食堂で済ます？」
「うーん、毎度毎度、食堂というのも飽きちゃうかな、って思うんですけど……
プロデューサーさんはどう思いますか？」
「たしかにな。とは言ってもここから、事務所までの間にいい所ってあったかなぁ」
「私、べつにファストフードでもいいですよ。ハンバーガーとか、ドーナツとか。さっと頼んで、
ぱぱぱって食べれますし。とにかく早いのがいいですよね」
「まあな、でもせっかく二人で食事をするんだ。ちゃんとした所で落ち着いて食べよう」
「プロデューサーさん……」
「春香？ どうした？ 俺、変なこと言ったか？」
「いえ……べつに、ふふっ♪」
「……ま、とにかく外へ出ようか。決めるのはそれからでもいいさ」
「はい！ では、出発進行～！」
「プロデューサーさん、このカレー屋さん、結構穴場かも」
「ああ、局の目の前にこんな店があるとは気づかなかったなあ。雰囲気も落ち着いた感じだし、
これで味がよかったら最高なんだけど」
「味は期待できそうですよ。ほらほら、い～匂いが」
「た、確かに……よしっ、春香、早く注文しよう！ もう、ガマンできない！」
「ふふっ♪ 焦っちゃ駄目ですよ、プロデューサーさん。えーと、メニュー、メニューっと。
……何にしようかなぁ、プロデューサーさんはどれにします？」
「そうだな……じゃあ、俺はチキンカレーで」
「プロデューサーさんはチキンカレー……ふんふん。じゃあ私は……キーマカレーにしちゃいますね」
「キーマカレー……って、春香、大丈夫か？」
「へ？ なにがですか？」
「ほら、辛さの度合いが書いてあるけど、５段階中、３になってるぞ」
「ほんとだ……で、でも大丈夫ですよ。私、結構辛いのは食べれるほうなんで」
「趣味がお菓子作りなのにか？」
「お菓子作りとこれとは関係ないですよ～。たしかに甘いものほうが好きですけど……
いつも同じようなものばかり食べてたんじゃ、つまらないじゃないですか。このお店を見つけたように、
たまには違うことをしてみたほうが新しい発見がありますよね？」
「ま、まあな、春香がそこまで言うならいいんだけど。……でも、ムリに違うもの頼まなくたっていいんだぞ？
俺と同じもの頼めば料理が出てくるのも早いと思うし」
「……だって、二人同じものだったら、食べ比べができないじゃないですか……」
「え？ なにか言ったか？」
「いっ、いえ！ そのっ、何も言ってません……あはは」
（仕方が無い。何となく先が見えてしまうので、俺は辛さが普通のビーフカレーに変更しておくか）
「よし、頼むものも決まったし、店員を呼ぼう……」