【胸囲で】 如月千早37 【ググると】at GAMECHARA
【胸囲で】 如月千早37 【ググると】 - 暇つぶし2ch554:SS
08/08/12 23:35:09 O7rFHPcW0
「そのアイドルが窓を叩く音に振り返るとそこには誰もいない。
 窓の外には大きな池があって、カエルの鳴き声が聞こえてくるだけ。
 不審に感じつつも疲れていた彼女は、布団に入ったんだけど・・・・・・」
そこで春香は言葉を句切る。春香の真剣な表情に雪歩は千早の腕をしっかりと握る。
千早は雪歩の手を軽く叩き、安心させる。雪歩の方が年上なのだが・・・・・・。
「普段は疲れですぐに眠れる彼女なんだけど、その夜はなぜか寝付けなかった。
 ようやく眠くなってきた時、また窓を叩くような音が聞こえけど、そのまま寝てしまったの」
そう言って、春香はそっと静かに目を瞑る。
この演技力や表現力を仕事で発揮すれば、と千早は思うがとりあえず黙っておく。
代わりに雪歩の手を腕から外し、そっと包み込む。指が食い込んで痛かったから。
「翌朝、目を覚ました彼女は、ぐっすりと眠ったこともあって、快適なお目覚め。
 気分の良いまま、窓を見た彼女は次の瞬間、顔が真っ青になった。
 だって・・・・・・窓には無数の手の跡がついていたから!!」
「きゃぁっ!!」
突如大声で叫んだ春香に驚き、雪歩も大声で悲鳴を上げる。
「二人とも声が大きい」
「千早ちゃん、ごめん」
「ご、ごめんなさい、千早ちゃん」
雪歩の頭を撫でながら、千早は注意を促す。春香は舌を出しながら、雪歩は涙目で謝る。
「千早ちゃんに怒られちゃったから、続きは手短に。
 驚いた彼女は部屋を飛び出し、スタッフや女将さんを探しに駆け出した。
 女将さんはスタッフと話している最中で、彼女の話を聞くと真っ青な顔で話し始めたの。
 以前、池で溺れた人が窓を叩いて助けを求めたけど、そこで力尽きた事があったんだって」
「なんか無理のある話ね。池から自力で這い上がれるなら、大丈夫でしょ、多分」
お茶を啜りながら、千早は苦笑する。
「千早ちゃん、この手の話にツッコミを入れないでよ。
 ところで雪歩、仮眠室の窓なんだけど・・・・・・手の跡がついているの知ってる?」
「いやぁっ!!」
雪歩は悲鳴を上げ、千早の肩に顔を伏せる。
「雪歩、それは亜美達が汚れた手で触ったからよ」
「千早ちゃん、せっかく納涼に怖い話しているんだから、怖がろうよ」
「千早ちゃんはおばけとか怖くないんですか?」
顔色一つと変えない千早に春香と雪歩もお茶を飲みながら訊ねる。
「あまり怖くないわ。暗闇に一人きりなのは慣れているし。
 それに不安な時や心細い時、寂しい時はプロデューサーが側にいてくれるから。
 私が一番怖いのは十年後、寂しい一人暮らしをしていることかしら」
「あ、私もプロデューサーが頭を撫でてくれると安心します。確かに十年後、一人っきりは嫌だなぁ」
千早の言葉に雪歩も頷く。そんな二人に春香は苦笑したがその後ろを見て、息をのむ。
「ね、ねぇ、千早ちゃん、雪歩、この後の予定はないよね? 一緒に喫茶店に行こう」
「ちょっと、春香。行くのは良いけど、手を引っ張らないで」
「春香ちゃん、腕が痛いよ。皆さん、お先に失礼しますぅ」
春香に腕を引っ張られ、二人は慌てて荷物を掴み、事務所を後にした。

春香が二人の腕を放したのは喫茶店に入ってから。非難する二人に春香は口を開く。
「『ベッドの下の男』の都市伝説を知ってる?」
彼女の真剣な言葉に二人は首を振る。
「一人暮らしをしている女性の家に友達が遊びに来るの。
 家主はベッドを背に、友達はその対面に座って、お話ししていたんだけど、
 急に友達は家主の手を取り、コンビニへ行こうと言って外へ連れだし、交番へ走り出すんだ。
 不思議な顔をする家主に友達は青い顔で言うの。『ベッドの下に刃物を持った男が隠れてた』と」
「また怪談の続き? 確かに怖い話だけど、私は布団だから大丈夫よ」
春香の言葉に千早は苦笑して、ケーキを口に運ぶ。
「二人とも後ろで小鳥さんが凄い顔をしていたのに・・・・・・気付いてた?」
春香の言葉に千早は顔を引きつらせる。
「萩原さん、明日、ケーキを音無さんに差し入れしましょう」
「そ、そうだね、千早ちゃん」
雪歩の返事に頷き、千早は珈琲を啜る。
プロデューサー、一番怖いのは幽霊よりも人間です、と肌寒さを感じながら。

千早、春香、雪歩のトリオ最高、とコンビニで受信した


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