【胸囲で】 如月千早37 【ググると】at GAMECHARA
【胸囲で】 如月千早37 【ググると】 - 暇つぶし2ch284:SS
08/08/07 22:29:54 4/iL9pDk0
「はぁ、何もやる気がしない」
事務所の廊下で壁に寄り掛かり、千早はため息をつく。
自主レッスンをする気も起きず、音楽を聴く気も起きない。
ならば、体を休めればいいのだが自室で落ち着くことも出来ない。
気が付くと自然と事務所に足を運び、彼の姿を探している。
そして、見つけることが出来ず、落胆しながら休憩室の椅子に座る。
ラストコンサートを終え、二週間が過ぎたが今も実感がわかない。
自分の隣に彼がいない。そのことだけで進むべき道を見失ってしまう。
「一年前の私が今の私を見たら、きっと怒り出すでしょうね」
かつての自分なら他人の存在に左右されることはなかった。
「プロデューサー、あなたのおかげで私は強くなったと思っていました。
 でも、それは錯覚でした。以前より、弱くなったのかもしれません。
 今、とてもあなたに会いたいです」
そう呟き、携帯電話の画面を見るが着信はない。
彼への最後のメール。
メールより電話をして、自分の想いを伝えるべきだっただろうか?
いつかではなく、今すぐに戻ってきて欲しい、と。
いや、メールや電話でどうこう以前に最後の時間にもっと勇気があれば・・・・・・。
今でも彼と活動していたかもしれない。
「言えばよかったのに。私はこんなにも臆病者だったとは・・・・・・」
しかし、それも仕方がないと千早は何処かで納得する。
自分は彼に出会うまで歌に全てを捧げてきた。
歌が千早の世界であり、世界にあるのは歌だけだった。
そこに差し込んできた光。
その明るさと温かさに千早はどうすればいいのか知らなかった。
自分の感情をどう伝えれば・・・・・・自分の望みをどう伝えれば・・・・・・
それを思いつくには千早は無知で純粋すぎた。
行動よりも前に考え込み、その考えに自縄自縛される。
「このままだと私は一歩も動けなくなってしまう」
その考えに千早は思わず目を瞑る。これでは以前と同じだ。
また自分は暗闇の中でじっとしているしかないのだろうか?
しかし、どうやら運命の女神は千早に味方してくれたようだ。
「あ、あれはプロデューサー」
廊下で二人組みの女性と話している男性・・・・・・自分が見間違えるはずがない。
相手の女性達は新しい担当アイドルだろうか?
長い髪の女性で自分よりも年上に見える。そう言えば、次の担当はソロではないと聞いた。
二人が彼に挨拶をして、立ち去ったのを見計らい、千早は一気に近付く。
これがラストチャンスかも・・・・・・いや、ラストチャンスだと臆病な自分に言い聞かせる。
「プロデューサー、お久しぶりです」
「お、千早か。久しぶりだな、調子はどうだ?」
「あまり良くありません。先程のお二人は新しい担当アイドルですか?」
「ああ、と言ってもまだ内定段階だがな。ほら、こんな二人組みだ」
彼に渡されたパンフレットを見て、千早は何とも言えない感情に襲われた。
こちらに向かって微笑みかける女性二人組み。
これは嫉妬? いや、そんな生やさしい感情ではない。
女性として、人間として、生物としての危機回避能力が彼女に警告を投げかける。
「あの・・・・・・お二人のお名前は?」
「ああ、こちらの綺麗な黒髪の女性が今井さん。やよいと伊織が大好きなちょっとあれな方だ。
 こっちがたかはしさん。挨拶が独特でJP・・・・・・って、おい、千早、手を引っ張るな」
話の途中だったが千早は彼の腕を掴むと社長室へと駆け出した。
一刻の猶予もない。
社長に土下座でも回し蹴りでも何でもして、彼を自分の担当に戻さないと。
「プロデューサーの身は私がお守りします」
「ちょ、ちょっと待て、千早。どういう事だか分からないぞ」
「とにかく私と一緒にこれからも活動して下さい、お願いします」
千早は横に並んだ彼の腕を抱き抱え、必死に走り続けた。
「今夜はデビューポーリーよ~♪」
背後から聞こえてきた声から逃げるように・・・・・・。

コンビニで思いついた時はシリアスだったはずなんだがなぁ


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