08/08/07 19:39:03 sOJzSMsS0
春香と別れた後、車を取りに戻ると、そこには小鳥さんの姿があった。
スタッフと一緒に帰らなかったのかと聞くと、事務所にまだ用事があるので、
近くまで乗せていってもらえないか、との事。
幸い、当初から寄る予定だったこともあり、用を済ませた後、彼女の家まで
送る事にした。
道はさして混雑もしておらず、スイスイと目的地まで行けそうだ。
ただ、車内は奇妙な沈黙が支配していた。
今日のライブは興行的にも申し分無く、今ごろスタッフたちは、二次会先の
選定をしている頃だろう。
そんな雰囲気とは対照的な、重い空気。ハンドルから手が離せない。
原因は言うまでも無いだろう。恐らく、表情に出ているに違いない。
あるいは、あの場に……
チラリと彼女に目を向ける。鋭い目線。何かを必死に探している。
その両手は、胸元で固く結ばれていた。
「あの、こと……」
緊張を断ち切ろうと、声を振り絞ったその時だった。
目の前が真っ暗だ。いや、これは真っ白と言うべきか。それが一体何なのか、
ぼやけた視界では理解できなかったが、耳を貫く警笛は、明らかに異常を
告げていた。
次の瞬間、足の痛みに気付く。強く押しつけられているようだ。軽く動かして
みると、圧迫感はふっと消えた。
白い物体が形を失い、ようやく捕らえた光景は、到底信じがたいものだった。
「ぷろ……でゅーさ……さん……だい……じょ……」
「……小鳥さん!」
「よかった……やっと……これで……」
携帯を取り出すも、混乱と痺れで指がうまく動かない。
「くそっ!しっかりしてください!!今、救急……」
「ずっと……後悔していました……あの時……どうして……」
彼女がうわ言のようにつぶやく。
「でも……プロデューサーさん。」
彼女の手が頬に触れる。思わず携帯を落としそうになり、強く握り締める。
「春香ちゃん……“天海春香”を……よろしく……頼みましたよ……」
いつもの、笑顔だった。その瞳に、もう開く気配が無いことを除いては。
“消防ですか?救急ですか?”
やっと繋がった電話に答えるまでも無く、サイレンと赤い光は、こちらへ
向かってきていた。
/\
.'´7'´`´ヽ、 / /| どう見ても(ry
! 〈(从从リ|∴ \/ ./
ヽ¶_ノ#゚ ヮ゚ノノ ゚∵ |/
/ /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄