【夏影は】萩原雪歩 深度23m【ナマコですぅ】at GAMECHARA
【夏影は】萩原雪歩 深度23m【ナマコですぅ】 - 暇つぶし2ch883:SS
08/08/10 00:13:09 dPejHqsU0
>>875でやってみた

「どうしてあんな事を言っちゃたんだろ」
枕に顔を押しつけ、雪歩はため息をつく。
「うう、怒っているよね。許してくれないかも」
雪歩の脳裏に怒った伊織がプロデューサーに解散を頼む構図が浮かび上がる。
「でも、お茶のことを馬鹿にされたのは本当だし・・・・・・」
自分なりに真剣にお茶と取り組んできたつもりだ。
それを馬鹿にされたのだ。怒るのは当然だと雪歩は思う。
「私、お茶と仕事のことは真剣に・・・・・・」
そこまで考えて雪歩はあることに気付く。
「私、仕事のことであんなに怒ったことなかった・・・・・・」
レッスンや営業でミスをする度に謝ってきた。
他人から「あいつは通用しない」と言われた時も穴を掘って埋まっていた。
「・・・・・・私、真剣の意味を間違えていたかも」
そのことに思い至り、雪歩は伊織の気持ちを考えてみる。
「コンビを解消されても仕方がないよね」
諦めが雪歩の心を覆う。
「ううん、ここで諦めたら、今までと変わらない。私は変わる。今日から、ううん、この瞬間から」
雪歩は覚悟を決め、携帯を取り出す。
「プロデューサーの予定が空いているといいんだけど」
レッスンを頼むメールを打ちながら、雪歩は自分に大丈夫と言い聞かせる。
自分の間の悪さには自信がある。もし、明日のレッスンが駄目だったら・・・・・・
「大丈夫、きっと大丈夫。あ、返事・・・・・・よかった」
彼にお礼の返事をして、雪歩は部屋の電気を消す。ちょっとした悪戯を思いついたのは、夢の中だった。

「おはようございます、プロデューサー」
「プロデューサーなら、営業で出て行ったわよ。全く私達のために時間を空けておきなさいよね」
事務所に挨拶しながら入った雪歩を出迎えたのは、彼の椅子に不機嫌そうに座っている伊織だった。
「え、それじゃあ、今日のレッスンは中止?」
「さすがにそこまで馬鹿じゃないわ。部屋と先生の手配はしてあるわ。まあ、当然のことだけどね」
伊織の返事に雪歩は安堵のため息を漏らす。
レッスンが始まるまでかなり時間がある。これはチャンスだ。
雪歩はロッカーに荷物を置き、途中で買ってきた一品を手に給湯室に向かう。
「伊織ちゃん」
「雪歩」
「「はい、どうぞ」」
ハモりながら雪歩は湯呑みを、伊織は洋菓子を同時に差し出した。
「あ、ありがとう」
「雪歩にしては気が利くわね」
お互いに照れ隠しに笑いながら、相手が差し出した品を受け取る。
「「いただきます」」
雪歩はお菓子を、伊織は湯呑みの中身を口に入れる。そして、口の中の違和感に気付く。
「ちょっと、雪歩、紅茶を湯飲みにいれるのは止めなさいよ」
「伊織ちゃんだって、これ洋菓子じゃなくて、和菓子じゃない」
二人して、手に持った湯呑みと食べかけのお菓子を突きつけ合う。
「・・・・・・くすくす」
「・・・・・・ふふ」
そして、どちらからともなく笑みが零れ出す。
「まったく、どんくさいだけかと思ったら、結構お茶目じゃない。この私を騙すなんて」
「私、臆病な自分と決別するって、誓ったから。伊織ちゃん、覚悟してね」
そう言って、雪歩は雪歩に手を差し出す。
「へえ、ちょっとは見られそうな顔つきになったわね。
 楽しみにしているわよ、この後のレッスンを。にひひ」
伊織は意地悪そうに笑いながら、雪歩の手を握る。
意地悪そうな顔とは反対にその手は温かかった。
「うう、ちょっと手加減してくれると嬉しいかも」
「にひひ、手加減なしだからね。ちゃんとついてきなさいよ」
自信満々の伊織に雪歩はため息をつき、彼女のおでこを突っつく。
「私も手加減しないからね、伊織ちゃん」


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