08/07/18 14:20:12 O/IcBV8t0
■子育て(娘・6歳)
小学校低学年あたりまでの期間、子供と言うのは可愛い盛りだと世間は言う。
そこから6年も経てば、一般的に娘は、父親に対して嫌悪感やらを持ったりするから。
ゆえに、この時期が一番可愛らしく、一緒にお風呂なんかも入れたりするわけだ。
着慣れたスーツ姿で教室のドアを開け、中に入ると、そこは授業中。
児童達が勉強してる教室には、それぞれ着飾ったりそのままだったりのご父兄達……
俺が入ってくると周りから『あれか……如月千早の旦那って』『羨ましいねぇ』『そうだねぇ』
なんて声が聞こえてくる。この空気にもいい加減慣れてきた。
まったく……もしも千早自身が来ていたら、ご父兄達がパニックおこしたんじゃないか?
前面の黒板には『ぼくの・わたしのお父さん/お母さん』と書かれた文字。
そして、作文を読み上げる子供達に、照れる父兄の方々……
もしも、ここにいるのが長男または長女の人にとっては、それははじめての授業参観となるわけだ。
当然、俺もはじめてで、できれば千早と一緒に参加したかったが、スケジュールの都合上
どうしても無理となってしまったので、俺だけでもと思い参加したが……
やはり、周りを見てもよく分かる。今が子供の一番可愛い時期かもしれない。
どの子供もそれぞれ、父親または母親との楽しい思い出を作文に込め、あどけない声で読み上げる。
他人の子供でもこんなに可愛いのに、それが自分の娘、息子ならば……
うん、なんともいえないほど幸せだ。
お?そろそろわが子の番かな。周囲も【国民的歌手・如月千早の娘】の作文って事で注目してる。
そんなプレッシャーを知ってか知らずか、わが娘は母親譲りのよく通る声で、作文を読み上げ始めた。
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『わたしのお母さんは歌手で、おうたを歌うのがおしごとです。お父さんはかいしゃいんだというから、
みんなとおんなじです。ふたりともおしごとがいっぱいで、なかなかいっしょにいることがありません。
でも、さいきんのおひるごはんをみて、わかったことがあります。
お母さんは、あさお父さんのためにおべんとうをつくります。
いつもわたしは学校ですが、どようとにちようは、おひるにおとうさんのおべんとうとおなじものをたべます。
わたしのこうぶつはハンバーグですが、たまにチーズがはいっています。あっためるととてもおいしいです。
チーズ入りハンバーグが出た日は、お父さんはぜったいにごきげんで帰ってきます。
そして、わたしといっしょにおふろに入ってくれて、ねるときおはなしをきかせてくれます。
一日中ねている毛虫ののおはなしとか、おでこの光るおばけのおはなしとか、おとうさんの
むかしばなしはとってもおもしろく、きいているうちにぐっすりとねてしまいます。
そして、わかったことというのはそのあとです。
おべんとうにチーズが出た日は、かならずお父さんとお母さんはさいごにプロレスごっこをします。
わたしはおねしょがなおったので、なんどか一人でトイレにおきることがあります。
『おとーさん、なにしてるの……?』と聞いたら『プロレスごっこ』と言ってたから、きっとそうです。
いつもはお母さんがつよいのに、プロレスではお父さんのほうがつよいみたいです。
だから、わたしがもしもはたらいて、いっぱいおかねをかせいだら、プロレスを見につれて行ってあげたいです。
いつもがんばっておしごとしてるお父さんとお母さんが、わたしはだいすきです!
でも、お父さんはプロレスごっこでたまにはお母さんを勝たせてあげてください。おねがいします』
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