08/07/24 06:17:50 BvzLO9aj0
夏のお仕事（Aランク？）とか書いてみる。
「えっと、これを……私……に？」
プロデューサーが手渡した楽譜、デモテープは無いが、必要ない。
だって誰でも知ってるような曲だから。
「うん、去年の曲をイメージソングにって話もあったんだが、
話題性や数年後も残る可能性とかを考えると、コレを歌わせてもらうほうがね」
千早は、チェシャ猫のような笑みを浮かべるプロデューサーをひと睨みしたのち
手元の楽譜に視線を降ろした。
だが、良いのだろうか？
「どうした？ つまらないか？
まあ、確かにAランクの千早に相応しい仕事かと問われると難しいが」
「いえっ、こんな良いお仕事、断るなんてっ、でも……」
タイトルが……重過ぎる。
「栄冠は君に輝く……」
「一人で辛いなら、誰か増援つけようか？
この歌と舞台の重さを受け入れて尚となると、美希なら、直ぐにでも……」
「いえ……。一人で背負います。それに、美希には、あと二年後にお願いします」
「うん、判ったか？」
「ええ……これは『今の』私が歌うべきですね……高校生の私が」
「ああ、千早が上手い事やってくれれば
来年は真、さ来年に美希、その後はやよいと亜美真美に、この仕事をリレーできる。
事務所的にも美味しいし
編曲を使い回しして定番化出来るなら、ちょっとお金かけて作っても良いしな。
いや、その9393って目は勘弁してください」
「気負ってた私が馬鹿みたいです……。まあ、なんでもいいですけれど」
千早は瞳を閉じて、行った事の無い、でもテレビでは何度か目にしたことのある、
蔦に覆われた球場と、真夏の青空を想像して見た。
うん、やれそうだ。
「あ、甲子園は改築しちゃったんで、今は蔦無いらしいな」
「えっ？」
さあ、夏本番だ。みんな頑張ってくれ（母校の予選敗退記念に）