08/06/30 03:32:41 HSLKkQCt0
■ミーティング(ランクA)
「……で、来週からのコンサートツアーだが、初日の東京はいいとして……北海道では一日学校を休まざるを得ない。
本当に悪いんだけど、古文の出席率はまだ余裕あったよな?一応風邪とかで二回休めるまでは想定してるが、
アイドル活動を頑張りすぎて留年ってのは絶対に避けたいし……」
「ご心配無く。成績も出席もまだ大丈夫ですから、その日はお休みします。リハーサルを含めて朝入りでは間に合いませんし」
「本当にごめんな……じゃ、それに向けて、衣装合わせとプランの打ち合わせが明日。あと……」
助手席に誰も座ってないこの状況は、まさにタクシーそのものよね。そう、そしてあたしは空気と言う名の運転手。
プロデューサーさんが運転する体力も無いほどフル回転してる時は、こんな仕事もするのが765プロ。
……事務員なのに、最近何でも屋っぽい仕事ばっかりしてるのは、あたしの気のせい?
「……プロデューサー?」
うしろを気にしすぎるとさすがに事故を起こしかねないので、しばらく普通に運転してたら……
トップアイドルをかかえる疲労からか、いつのまにかプロデューサーさんは寝てしまっていたみたい。
まぁ、こんな状態だからこそあたしが運転をしてる意味があるわけなんだけど。
「千早ちゃん、エアコン切るわね。プロデューサーさんが風邪をひくといけないし」
「あ、はい……すみません音無さん。こんな事までお願いしてしまって……」
「やーね、気にしない気にしない!二人ともこんなに忙しいんだし、その分765プロの稼ぎ頭なんだから、誇りを持って。
こんな高級車運転できるのも楽しいし、こんな時くらいお姉さんにどーんと任せなさい♪」
本当は、クレイジーダッシュを三回ほど決め込んで、プロデューサーさんを遠心力Gで振り回そうかな?とか妄想したけど、
あくまで妄想するだけよ?実際やったら大変な事になるし。
……ただ、激務の結果とはいえトップアイドルの肩を枕にして眠るプロデューサーさんには、
何か少しくらいリスクがあって然るべきじゃないかしら?だって、ファンの人から見たら、
千早ちゃんにもたれ掛かって眠る男なんて、袋叩きにされて当然ですものね。うふふふふ……
「……うぅ……それは……いや、ゴメンナサイ……」
あたしがそんな事を考える必要も無く……プロデューサーさんは悪い夢でも見ているようで、苦しそうにしていた。
何か、お仕事でTV局の偉い人に怒られてる夢でも見てるのかな?
「プロデューサーは、夢の中でも仕事なんですね……もう、こんな時くらいぐっすり眠ればいいのに。
お忙しいプロデューサーに、こんなに悪い夢を見せるなんて許せませんね」
「確率的には、TV局のお偉いさんか、社長か……律子さんって線も、あるわよね」
「いや、千早にはこの服絶対似合うって……本当!俺を助けると思って……ダメ?うぅ……でも、ファンが……」
「………………くっ」
「あっはっはっはっはっ。犯人は千早ちゃん~♪」
まぁ、結局プロデューサーさんが一番怒られてるのは誰かと言えば、一番は隣にいるこの子よね。
普段この二人が、どんな感じで過ごしてるかがよく分かる寝言だわ。
「あの……音無さん」
「ん、何?」
「わたし……そんなに怖い女ですか?確かに、ランクFの頃は、写真撮影時にカメラマンの人を怖がらせてしまいましたが……
プロデューサーに恐れられる担当アイドルというのは、正直悲しいような……」
■
そして翌日。
千早ちゃんは自ら進んでグラビア水着を着ると言い出し、プロデューサーさんは大喜び。
『すげぇ!正夢になったよ!!』と感涙するプロデューサーさんを尻目に、千早ちゃんは複雑な顔をしてる。
面白いから、今度車内でどっちかが寝たときは、ぴよぴよナイトメア劇場をひとつ、吹き込んであげましょう♪
運転手しながら、後部座席で夫婦漫才繰り広げられるんだから……そのくらいはいいですよね?ね?
※いろは坂の下りで小柏をぶっちぎるorクレイジーボックスでパーフェクトを取る小鳥さんを妄想したら、こんな話が。
もうすぐ7月なので【短冊に綴るは】【Pか?胸か?】とかどうでしょう?