08/06/13 19:21:06 BJSQmWH80
駆け出しアイドル・水瀬伊織にあこがれる同年代の少年になりたい。
母に付き合って高級デパートに来てみたら、水着売り場で商品を物色している
伊織を見つけたい。
えっこんなところでどうしたの？と思わず声を上げてから、待てよ女の子が
水着選んでるところなんか見たら失礼なんじゃないかと思い当たったが時すでに
遅く、おでこまで真っ赤になった彼女に「なぁんであんたがこんなとこにいるのよっ！」
と怒鳴られたい。
言うまでもなくかえって注目を引いてしまい慌ててこそこそと売り場の隅っこに
移動したい。
あれ、今日はプロデューサーさん一緒じゃないの？と聞くと恥ずかしいから
撒いてきたと言われたい。あ、ごめん俺も行くね、と言うと「……ちょうどいいから
ちょっと一緒に選んでくれない？男の人の好みって今ひとつわかんないのよ」なんて
言われたい。
俺だって女の子の水着なんてよく判らないけどいいの？と訊ねると「でっでも
試着とかは見せないからねっ？これでも芸能人なんだからねっ」なんて
言われてかえって妄想を逞しくしてしまいたい。
中学生の男子の身で女の子用の水着売り場にいるという背徳感にドキドキ
しながら、それでも紳士的に振舞おうとおとなし目のワンピースなど選んで
持っていくと、「なによじじくさいわね、それでも若い男なの？もっとバイーンとか
ズキューンとかいうやつ選んできなさいよ」と、そっちこそおっさんくさい表現で
ちゃんと下調べはしてきている風な叱責を受けたい。
それならばと先輩アイドルの天海春香が写真集で着てたみたいな横が
ヒモになってる赤いビキニを持っていくと「この変態！ど変ｔ(ry」的なツッコミも
当然のようにいただきつつ、最終的には可愛らしいピンクのセパレートをいくつか
選びたい。
「じゃ、じゃあちょっと試してくるわね。いい？絶対見せないわよ？絶対見ちゃダメよ？」
と上島竜兵も真っ青な前フリを受けるもいやいや相手はアイドルだしだめだだめだと
自制心と妄想の狭間で健全な男子中学生のありようについて悩んでいると試着室の
向こうから「ね……ねえ？ちょっと、ねえ」とある意味死刑宣告のような呼びかけを
受けたい。
「こ、これだったらいいかな、ちょっと、見て……みる？」などとカーテン越しに顔
だけ出して言われ、いちファンとして崇拝するアイドルを幻滅させてはなるまいと
必死で自制し、え、俺なんかが見ていいの？とようやく質問を搾り出した頃にはもう
痺れを切らした彼女がカーテンをがばと開き、「いいから見てみてって言ってる
のよっ！」と仁王立ちの水着姿を目の当たりにしたい。
今ここでショック死したら正月に亡くなったひいおじいちゃんに真っ先に自慢話
をしよう、なんて思いながら伊織の美しい肢体を堪能しつつ、い、い、いいんじゃない
かな？す、すごく可愛いと思うよ？と持てる力の全てを振り絞って感想を述べたい。
途端に黙りこくるのでどうしたのかと若干冷静になって彼女をみると、照れてるらしく
顔と言わず耳から首から真っ赤になっていて欲しい。そしてさっきまでの勢いは
どこへやら、もう消えてしまいそうな小さな声で「あ……ありがと」とお礼を言われたい。
母が探し来たのに気付いてあ、俺帰らなきゃ、などと言うとちょっと名残惜しそうに、
「あ……そう、うん。それじゃね」などと小さく手を振られたい。そのまま後ろ髪を
引かれる思いで帰路につきたい。
翌週、アイドル水泳大会の競技中に画面隅の丸いワクの中で楽しそうに歌う
伊織が着ている水着に見覚えがあって内心嬉しくなるとともに、あの時試着室に
置かれていた彼女の荷物の影からちょっとだけ見えたピンクのフリルの正体に
いまさら思い当たって真っ赤になりたい。