【とらたん】三浦あずさ ある日の風景16【お散歩】at GAMECHARA
【とらたん】三浦あずさ ある日の風景16【お散歩】 - 暇つぶし2ch287:SS 取り敢えずはこんなトコで。では、又気が向きましたら…
08/05/05 20:58:39 KIA+HRTw0
「きゃっ! や、止めて下さいっ」
彼女のやや緊張した声が通路に響いた。あの天性の性格から、これほど緊張の色を含んだ声も珍しい

彼女は今日の共演男優に口説かれていた
あの時は「彼氏が…」と言った物の、やはりこれだけ魅力に溢れる女性だ。そう簡単に諦める輩も未だ少ない

腕を強めに掴まれている彼女が、少し顔を顰める
「な、何をするんですか? 私には彼が居るんです、貴方とお付き合いする気なんか有りませんっ」
強めの瞳で、相手を睨む。だが、その美しい顔立ちで怒った表情も、又、彼女の新たな魅力を相手に見せ付けるだけにしか過ぎなかった
厭な笑いを浮かべながら、こっちへ来いとばかりに彼女の腕を引く男優
一瞬バランスを崩しそうになり声が上がる
「い、嫌っ」
そして次の句と自然に頭に浮かぶある人物の姿
「助けて下さい、プロデューサーさん…。 …あっ!」
それと殆ど同時だった。その彼が彼女の前に姿を現したのは。ディレクターと次回の簡単な予定確認を行っていた彼が丁度戻って来る
思い描いた人物が現れて、安堵に綻ぶ彼女の顔
「すみません、お待たせしちゃって…。 …って、おい。 あんた、何してるんだ?」
彼女を掴む腕を見て、Pの顔色が変わった
「何のつもりなんですか、それは?」
だが、彼の語気はとても静かだ。しかし、その表情はかなり厳しい
「見れば判るだろう、彼女を口説いていただけだ」
「彼女に彼が居る事は、知っているでしょう?」
「ああ、知ってる。 だが、こんなに魅力的な女を放って置く男は何処にも居ない。 彼が居るなら居るで奪いたいもんだからな」
先程彼女に見せた、厭な笑いが再び男優に浮かぶ
少しの間を置いて、彼が言った
「…兎も角、その手を放して下さい。彼女は、俺の…」
そこで一度言葉を区切る彼。次の句を何か探して言うかの様な仕草だった
「俺の…大事な担当アイドルなんですから」
「嫌だ、と言ったら?」
「貴方だって、人気商売でしょう? こんな事が知れたら、イメージダウンに繋がるんじゃ無いですか?」
「そりゃそうだな。 だが今ここに居るのは、君と俺と彼女だけだ」
「俺達が、貴方の事で陳情したらどうするんです?」
「ふん。 そんなのは、所詮根も葉も無いただの流言に過ぎん、と片付けられるだけだ」
「では……これなら?」
男優の眼に彼の携帯が映る
その表情が、一瞬あっと驚いた様な表情に変ると、今度は、どんどんと苦虫を噛み潰した様な表情になって行く
「放して…下さいますよね…?」
「くそっ!」
やや乱暴に彼女をPへ向かって突き放すと、男優はバツが悪そうにそそくさとその姿を通路の先に消してしまった

勢い、彼女はPの胸の中に飛び込んで来る形に。それをしっかりとPが受け止める
「だ、大丈夫ですか?」
「え、ええ。 プロデューサーさんが来て頂いたお陰で…助かりました。あのままだったら、私……」
彼女の身体は、少し小刻みに震えていた。それを感じた彼は、優しく彼女の事を抱きしめる
あ…、プロデューサーさん……。温かい………。
優しい温かさが彼から流れ込んでくる様で、彼女はそれがとても心地よかった
「すみません、もう大丈夫ですから。 安心してください。 今日は、以降絶対あずささんの傍を離れません。 それに、幾らなんでも仕事の最中に…あの男もちょっかいは出せないでしょうし」
少し苦笑い気味で言う彼に、優しく抱かれて安心したのか、同じ様な苦笑いを彼女が浮かべた
ふと、彼女が思い出した様に言う
「そう言えばあの時、プロデューサーさん、何て仰りたかったんですか…?」
「え?」
「ほら、俺の大事なって。 何か言い方が少し妙だったような…?」
「え、あ、そ、そうですか? そんなに妙な言い方してました、俺? あは、あははは…」
何故か照れた様な笑いを浮かべる彼。やっぱりそうなんですね、と思いながら、そんな彼を見て彼女も微笑む。

本当は、こう言いたかったんじゃないですか? ―― 『俺の…大事な女性(ひと)』って 
ふふふっ…。 良いですよね、少し位こんな自惚をしても。 だって、私だって貴方の事が…

彼女がもう一度彼を見詰め直すと、優しそうな嬉しそうな微笑がその顔に浮かんだ



次ページ
続きを表示
1を表示
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch