08/05/04 13:06:43 c7FFV3yw0
「ふっ…、ああ~」
大きな欠伸と共に伸びをするP。ふと、時計に目をやる
「んーっ…あずささんが戻るまで、あと…20分位か…」
もう事務所には、誰も居ない
彼女の今日の収録が少し予定より延びると連絡を受け、事務所に彼一人が居残っていた
勿論、戻って来るまで居るつもりだ。彼女にも待ってるからと連絡している
仕事を終えて無事戻って来る姿を見るまでは、絶対先に帰る様な真似はする気が無いから
だが、先程から少し睡魔が襲って来始めている
このままでは、彼女が帰ってくるまでに、きっと寝てしまうだろう
ふと、彼の目に、応接セットの数冊の雑誌が映った
「んー、特にする事も無いしなぁ…。 雑誌でも見て…ネタでも探すかあ…」
そう言ってソファにボフンと座り込むと、開いた雑誌に目を落とし始めて行く
「遅くなりました~」
少し申し訳無さそうな、彼女のおっとりとした声が事務所に響く
が、返ってくるのは静寂だけ
「あら…? プロデューサーさん、待ってて下さるって仰ってたのに?」
彼女も知っている。彼は、彼女と約束した事を決して破る様な人じゃ無いって
だから彼女は、彼の姿を探し始める。先に帰ってしまったと言う事など、微塵も考えずに
キョロキョロと辺りを見廻すと、その視界にソファに座る彼の姿が入って来た
「あ、プロデューサーさん。 そんな所に居たんですk(ry」
近づく彼女に返事は返って来ない。返って来るのは、ただ、静かな彼の寝息だけだ
彼女の顔に、穏やかな微笑が毀れた
「あらあら…。 何時も一生懸命に私の為に頑張って下さって、お疲れなのに…どうして先にお帰りにならないんですか…?」
本当に、この人は一生懸命だ
どんな事でも私の事を真っ先に考えてくれて、こんな私に一生懸命にしてくれて… ―― それが全部私の為に
気が付けば、そんな真っ直ぐな彼の姿が、ふと何かの折に脳裏に浮かぶ事が多くなった
だからなのかも知れない
私は、この人に惹かれ始めてる…? 最近は、そんな気がして
「プロデューサーさん…? ダメですよ、こんな所で寝てしまったら。風邪引いちゃいますよ?」
「…ん……、う…ん………」
優しく揺り動かすも、一度寝てしまった彼は中々起きない
「はぁ…。 困りましたねえ」
少し困った様な笑顔を浮かべて彼女は小さな溜息を零す。と、その顔がふと何かを思いついた様な顔付きに変わった
「あ、そうだ。 ふふふっ…」
そう言って、隣室に姿を消す彼女
再びPの元へ笑顔で戻って来ると、その手には毛布が抱かれて居る
それを、ふわりと彼を起こさない様に彼女が掛けた
「これなら、暖かいですから」
又、彼女が彼を見つめ優しそうに微笑むと、眠っている彼に次の句を告げる
「もう一つ、宜しいです…よね? 何時もお世話ばっかり掛けてるプロデューサーさんには、偶には、その…、お礼がしたいので…」
彼女は静かに彼の頭を持ち上げると、ソファとその間に身体を差し込み
彼の頭を下げ自分の太腿の上に乗せる
「お礼、ですから…」
そう言って少し頬を桜色に染めると、再び彼の寝顔を見つめた
「お目覚めになるまで…、少しの間だけですから…」
そう言って、ユックリと彼女の顔が彼の頬に近づいて行く
彼女の顔が離れたとき、寝返りを打った彼の寝顔がとても安らいだ様に見えたのは
きっと気のせいだけでは無いのだろう
だって、『こんなに素敵な女の子』が、彼の傍に居てくれるのだから