08/04/29 13:05:39 Pch7Ndhh0
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「ねえねえプロデューサーさん、今日、お昼はどうするんですか?」
休日出勤の昼前に、小鳥さんが俺の席にやってきてそう聞いた。
がらんとした社内の仕事部屋には、俺しか居なくて、そして隣の部屋にも小鳥さんしかいない。
そんな連休の真ん中の昼。
「いえ、特に何も考えてないですけど…ってもう昼か…」
時計を見るともう1時近くだ。仕事に夢中になっていた、というわけでもないけれど、いつの間にかこんな時間になっている。
「小鳥さん、もうお昼済ませてきたの?」
「いえ…わたしも気付いたらこんな時間になってしまっていたんですよ。」
くすっと笑いながら前髪に触れる小鳥さん。
指先でくるくるとおでこの端で髪を巻きながら、俺から少しだけ視線を外して話を続ける。
「どこかいきます?折角だし、別に昼休み時間が決まってるわけでもないんだし、ちょっと時間とっても大丈夫だろうし、今日はね。」
「あ…それもいいんですけど…」
「ん?ああ、そうか、ごめんね、休日にまで出てくるんだから、暇じゃあないよね…」
俺の胸の辺りに視線を感じる。
「いえ…ね。なんてことなくて…。
お弁当、作ってきたんだけど、一緒に食べますか…?って。
普段、こういうことって出来ないから、こういう人のいない時にならどうかな…って思っただけなんですよ。
あ、でも、ご予定があれば、構いませんけど。もしよかったら、と思いまして、ね」
小鳥さんは微笑しながら俺の眼を見てそう言った。