08/04/09 21:33:24 L7WZikUj0
>>623
そこからの数十秒間の記憶はなく、気が付けば、洗面台の前にいた。
息が切れているのは、ここまで全力で走ってきたせい。激しい鼓動もそう。
……本当に、それだけなのか。
「はは、あはははは。……ごまかされるもんですか。」
ふと、右手の痛みに気付く。てのひらにはまだ、わずかに桜色が残っていた。
「……そうよ、あなたが悪いのよ。……あなたが……」
最低だ。いかに突拍子もない行動とは言え、こんな仕打ちはないだろう。
ましてや、それが本心だとしたら……何をバカなことを。
「何よ……これ。……何だって、いうのよ。」
なぜ。こんな、理由もない状況で。ぐっとこらえる。まだ、仕事は終わっていない。
鏡を覗き込む。……よし。問題ない、いつも通りだ。
「あら、何かご用ですか、セクハラプロデューサー殿。」
言い訳交じりにペコペコと頭を下げる姿に、思わず吹き出してしまった。
仕方ない。その顔に免じて、残りの説教はまた今度にしてあげましょう。
―ちゃんと、TPOを考えてくださいね、プロデューサー。
ふざけてやったらボディーブローもらいました。クリンチは密着しないとダメですね。