【ゆ、指輪!】如月千早28【とか、ダメですか?】at GAMECHARA
【ゆ、指輪!】如月千早28【とか、ダメですか?】 - 暇つぶし2ch471:SS
08/03/28 00:36:48 7T94r1pe0
「プロデューサー、聞きたいラジオがあるのですが・・・・・・」
「ああ、構わないよ」
彼に千早は感謝して、ラジオのチューニングを合わせる。
「千早、この番組が好きなのか?」
「ええ、初回から毎回聞いています。今まではこの時間は家にいましたから」
彼の言葉にそう答えながら、千早はラジオに耳を傾ける。
「音楽に特化されたFM放送局の番組の中でも、さらにクラシックに特化した番組だな」
「はい、ですが招かれるゲストがクラシックの専門家だけでなく、
 様々な角度から過去の名作を説明してくれるのが興味深くて・・・・・・
 心理学や言語学の専門家も登場していて、様々な観点を教えてくれるんですよ」
「へえ、それは面白そうだな。初回と言うと何時からだ?」
「・・・・・・八年前です」
「・・・・・・すまん」
彼の言葉に千早は「気にしないで下さい」と頭を振る。
「まだ自分の部屋にコンポがなくって・・・・・・携帯ラジオで聞いていました。
 リビングから聞こえる音から逃げるようにベッドで布団を被りながら」
その頃を思い出すように千早は目を瞑る。
「まだ事件の衝撃から私も立ち直っていなくて。
 いいえ、現実を認識することすら、出来ていたか・・・・・・。
 とにかく少しでも気を紛らわしたくて、適当にラジオを聞いていました」
千早は目を開け、フロントガラス越しに夜空を見上げる。
その澄んだ表情に彼は心配になり、安全を確認して、ハンドルから手を離して、千早の手をポンポンと軽く叩く。
彼の気遣いに千早は大丈夫と軽く頷く。
「流れてきたのがヴィヴァルディの春でした。その後に童話作家の方が解説をされていて・・・・・・
 それが子供にも分かり易くて、しかも即興の物語を仕立ててて、それも面白くて」
思い出したのか千早は微笑む。
「思えば、あれからクラシックに興味を持ったのかもしれません。
 それからは毎週聞いています。デビューした時に少し諦めましたけど、幸いにも聞き逃しはありませんでした」
「そっか、千早の初めて毎週聞くようになった番組かぁ」
「ええ、感慨深いですね」
そう言って彼女は微笑む。
「いやぁ、さすが千早だよなぁ。俺が初めて毎週聞くようになったラジオ番組は・・・・・・」
言いかけて彼はため息を付く。
「いや、止めよう」
「もう、気になるじゃないですか。言って下さい」
「あはは、男子高校生が聞く番組だから、それほど気にするな」
言えない、絶対に言えない。言えば、9393が待っている。
「でも、ラジオはよく聞いたなぁ。お金が無くって、ラジオから流れる新曲を楽しみにしていたっけ」
「私もそうです。それにたまたま流れた曲が気に入って、CDを衝動買いしたこともあります」
幸いにも千早は彼の言葉に嬉しそうに頷いてくれた。
「他にも色々な番組を聞いてみましたが・・・・・・
 毎週欠かさずに聞いていたのはこの番組だけですね」
「冷静に考えるとこの時間帯に八年間も続いているのだから、
 ファンは多いと考えるべきなんだろうなぁ」
「ええ、パーソナリティーは何度か変わりましたが、番組の基本的な内容は変わっていません。
 いい物は何時までも変わらない、と思うととても嬉しくなりました」
そう言って千早はシートに深く座り直し、ラジオに集中する。
そんな彼女を邪魔しないように彼は運転に集中する。
やがて番組が終わり、車の揺れと疲れから千早はうとうととし始めた。
「プロデューサー」
「ん、どうした、千早」
小さな声だが千早の声に彼は反応した。しかし、千早の方は目を瞑ったまま。、
「私、八年後も・・・・・・いいえ、その先も変わらずに聞いてもらえる曲を・・・・・・
 聞いてもらえる歌手を目指して・・・・・・そして・・・・・・あなたの横で・・・・・・」
「ふう、寝言か。お疲れ様、千早」
そう言って、彼は信号待ちの時間を利用して、彼女に上着を掛けた。

八年後、彼女はその番組のパーソナリティーに抜擢されるのは、また別の話。

うん、>>465を自力で作ってみた。コンビニなしでも戦える気がした


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