08/03/25 00:04:40 O09Z+13F0
「乾パン・・・・・・ですか」
「そうだ、乾パン。古くは軍隊の食事に端を発し、
現在では備蓄食の代名詞だ。
まあ、実際の被災地で人気は今ひとつだったらしいが」
「当然です。いくら非常時だとは言え、
いえ、非常時だからこそ、同じものばかり食べていたら、精神的に参ってしまいます。
非常食=乾パンと言う貧困な発想しか思い浮かばない無知さが問題ですね」
そう言って肩を竦める千早にプロデューサーは我が意を得たり、と微笑む。
「そう言うことだ。
つまり千早の歌は確かに聞いていて、惚れ惚れする。
俺だって、歌声だけでなく、日常会話を千早としている中で、
その声に思わず聞き惚れることも少なくない」
「誉めすぎですよ、プロデューサー」
彼の言葉に千早は頬を染める。
「だが、しかし、だ。
先程千早が言ったようにいくらいい歌とは言え、
いや、その歌がいいからこそ、ファンは色々な歌を聞きたいと思うわけだ。
ああ、千早の澄んだ声であんな歌やこんな歌を歌ってくれたら・・・・・・
そう思い、聞ける日が来るのを待っているファンも多いはずだ」
「それとこれは・・・・・・」
「いや、千早、同じだ。
ましてや非常時ではない、平和な日々。
ファンの要望は刻一刻と変化する。
だからこそ、普段応援してくれるファンのためにも希望を叶えてやろうと思わないのか!?」
「た、確かにファンの声には答えたいのですが・・・・・・」
千早が迷った素振りで俯く。
ここが勝負所と彼は千早の肩を掴む。
「千早、俺は何もこれを毎日やってくれとは言ってない。
一度でいいからファンの夢を叶えてやってくれ。
そうすれば、千早の乾パン・・・・・・じゃなくって、今まで歌った歌がさらに輝くはずだ。
それに・・・・・・」
「それに、なんですか、プロデューサー?」
「俺も千早の可愛いところを見てみたい」
「な、何を言い出すんですか!?
もう変なこと言わないで下さい」
「千早の可愛いところを見てみたい」
「・・・・・・」
「千早の」
「分かりました。やります、やらせていただきます」
「ありがとう、千早。ありがとう」
そう言って彼は千早の手を握りしめた。
数日後、全国放送で犬耳、犬しっぽをつけ、メイド服でもじぴったんを歌う千早の姿が流れたそうな。
>>266からコンビニ無しでここまで考えてみた