【私の居場所】如月千早24【見つけました】at GAMECHARA
【私の居場所】如月千早24【見つけました】 - 暇つぶし2ch870:SS
08/02/19 22:39:24 OV9AXYcp0
「ここをこうして、あれ? うまくいかない」
「お~い、千早、準備は出来たか?」
そう言って部屋に入ってきたプロデューサーが目にしたのは、
ネクタイの結び方に戸惑っている千早だった。
「あとはネクタイを結ぶだけなのですが・・・・・・」
「傍から見てるとネクタイで自分の首を絞めているようだぞ」
彼の言葉に千早は自分の姿を見てみる。
確かに両手でネクタイの端を持ち、首に巻いている姿はそう見られても不思議ではない。
「まさかネクタイを結ぶのがこれほど難しいとは思いませんでした。
 プロデューサーが事務所で手際よく結んでいるので、
 もっと簡単に出来ると思っていたのですが・・・・・・」
「これでも社会人になってから月日が経っているんだ?
 最初は俺も手間取って、会社に遅れそうだったから、前の晩に結んでおいたけど」
ため息混じりで言う千早に彼は苦笑する。
「今までネクタイを結んだことはありませんが大変ですね」
「中学や高校の制服のネクタイは、ワンタッチで着けられるヤツだからなぁ。
 方式は色々あるけど、毎朝結び直す必要はないだろ。
 今回も結ぶ必要のないネクタイにするべきだったな」
千早にそう答えつつ、彼は時計を見る。
新曲の発売に合わせ大手CDショップでの販促イベント。
今回は曲に合わせ、大人っぽさを強調すべく、スーツ姿にしたのだが・・・・・・
ネクタイに苦戦している姿を見ると微笑ましいものがある。
もっとも時間が迫っている現状では、いつまでも彼女の奮戦を見守っていられないのだが。
「千早、俺が結ぶよ、いいね?」
「そうですね、時間もありませんし、お願いします」
彼の言葉に千早は独力での解決を諦め、ネクタイを彼に渡す。
「ちょっと胸元に手をやるよ。もう少しこっちに寄って」
「はい」
彼にそう答え、千早は一歩彼に近寄る。
「さんきゅ、これくらいの長さでいいかな。ちょっと髪に触らせてもらうよ」
「遠慮なくどうぞ」
千早の答えを待って、彼はそっと彼女の髪を纏め、ネクタイを首に回す。
彼が胸元でネクタイの合わせ始めたので、千早は作業がしやすいようにちょっとだけ上を向く。
(プロデューサーの顔が近い。まるでキスする寸前みたい・・・・・・って、私は何を考えて)
そのまま顔を近づけそうになるのを、千早は慌てて引き戻す。
「今回は結び目を少し大きめにしておくか」
「プロデューサーのネクタイの結び目よりも大きいですね」
彼の言葉に自分のネクタイの結び目を見ると確かに彼のよりも大きい。
「ネクタイの幅があるからね。さ、これで完成だ」
そう言って、彼はネクタイから手を外し、千早の頭にポンと手を置く。
「ありがとうございます」
彼にお礼を言い、千早は結び目を触ってみる。自分で結んだのよりも格段に見栄えがいい。
さらに言うなら、頭に置かれた手の温もりも気持ちいい。
そのまま少し目を閉じ、温もりに包まれてみる。
大型のショッピングモールで屋内の仕事とは言え、店内よりは冷える。
しかし、彼が結んでくれたネクタイと頭に置かれた手の温もりは、
千早にとって、使い捨てカイロよりも心身を温めてくれた。
「さ、プロデューサー、行きましょう。
 ファンも寒い中で首を長くして待っていますよ」」
十分に温もりを堪能した千早は目を開け、上着を羽織る。
「よし、行こうか。それにしても千早の髪は綺麗だな。
 撫でているだけで癒されそうだ」
「くすくす、ありがとうございます。
 プロデューサーにはご迷惑をおかけしていますから、
 癒しが欲しい時は何時でも撫でて下さい」
千早はそう答えつつ、心の中で思う。
あなたに頭を撫でられると私も癒されるんですよ、と。

千早にネクタイを結んでもらうのもいいけど、逆もいいじゃないか。
朝からコンビニのお世話になりながら思った


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