08/02/11 19:15:26 LxSzQV+u0
うららかなで穏やかな昼下がり、765プロではそれに相応しい穏やかな空気が漂っていた
その中で特に和やかな雰囲気をかもし出している2人がいる。
千早「ところでプロデューサー、覚えてますか?私のアパート近くの桜のこと」
P「うん?あの生えている細い木のことかい?」
千早「今朝気づいたんですけどね、その木に、小さな蕾があったんですよ」
P「へえ、あの枯れ木みたいなのがかー」
千早は、もう花をつける力も残ってないと思っていた桜が蕾をつけていたことに驚き、軽い感動を覚えている。
そんな千早に「もう春なんだなー」などと当たり障りのない返答をしつつもPはいつか見たその桜に思いをはせていた。
その桜は傍目からみるともはや枯れ木であり、誰もソレが蕾をつけるとは考えられないほどであった。おそらく満開の花を咲かすことは出来ず、ほんの幾つかの花を咲かすのが精一杯であろう。
桜の花は派手だと思われるが、ほんの一つだけになると途端にその存在に気づきにくくなる。おそらく道行く人々の多くは気づかずに通り過ぎるだろう
しかし、千早がそのことに気づき、そして感動しているということが、Pにとってはとても喜ばしいことだった。
かつての少女はどこか急かされているようで、桜の蕾を気にするようなゆとりすらないように感じられた少女だったからである。
知らぬ間にPの頬は緩んでいた。
千早「プロデューサー、どうしたんですか?」
P「あ…いや、千早のことを考えてた」
回想にふけって、千早の話を聞き逃していたらしい。
ああ、そうだ。面白いこと思いついた。
千早「え?」
P「千早、その桜が咲いたら見に行ってもいいかな?」
千早「え、わ、私の桜ではないのでいいんではないんでしょうか」
P「いや、ごめん、言い方を間違えた。」
P「千早と一緒にその桜が見たいんだ」
千早「え、えぇぇ?なぜですか?」
千早の疑問に思う声を「なんとなくだよ」とお茶を濁して切り抜けるP。
「千早と、そのささいな感動すら共有したいと思ったから」とは、いえないから