08/01/29 18:29:04 9u1G1o1x0
頬に当たる水滴の冷たさで目が覚めた。どれほどの間気を失っていたのか、瞼が重く感じられる。
また一滴、頬から首筋へと何かが流れていった。水しぶきが飛んでくることを恐れて怖々としか瞼を持ち上げられない自分が情けない……。
「つめたっ」
また一滴。しかし、かえって弾みがついた。驚いた勢いに任せて眼を見開く。
鍾乳石のようなものが眼前にある。いや、俺が仰向けだから正しくは頭上から垂れ下がっているのか。鍾乳洞なのか?
「ドモホルン……リンクル……」
「なんでまっ先にそれがでてくるんですか?」
呆れたような、しかし楽しんでいるとも取れる声がした。声の主を見ようとして初めて自分の体が拘束されていることに気づいた。
唯一動かせる頭を持ち上げて自分の体を見る。手術台のような所にロープでくくられている。
「なんのまねでうわつめたっ! ……な、なんのまねですか!?」
「なんのって、罰ゲームですよ。罰ゲーム」
弾むようにそういった彼女の笑顔は、まるで女子学生がふざけているように見える。とても嫁き遅
「罰、追加しますか?」
「ごめんなさい」
いつのまにか俺の顔を覗き込んでる。あれいつのまに移動したんだこの人。
「あなたたちがあんなにイチャイチャするから―お金は別に徴収しましたけど―いけないんですよ?」
彼女の手が俺の輪郭をなぞるように添えられる。なんだ、なにをされるんだ? 怖い、怖いとしかいえないほど怖い。
「いったい、僕をどうしようっていうんですか? ―小鳥さん!」
「うああああああああああああああああああああ!!(AA略)」
「きゃぁっ! プ、プロデューサー大丈夫ですか?」
「え?」
目の前に鍾乳石はなく、あるのは事務机と散らばった書類の束。
聞こえるのは小鳥さんの声ではなく、俺がプロデュースしているアイドルの少女、千早の声。
「千早……? 今日はオフじゃなかったか? それともここにいる千早は実は千早ではなく千早のふりをしたあの人で」
「何いってるんですか……。私は私です。今日ここにきたのは……え、と。た、たまたまです。近くを、通りがかったので。」
なぜかおたおたとする千早の仕草がかわいくて、つい頬がゆるんでしまう。かわいいなさすが千早かわいい。
よくよくみれば、なるほどマフラーに手袋装備とついさっきまで屋外にいたらしかった。
「俺のマフラーとお揃いのなんか持ってたのか? いやまてなんで室内で俺マフラーしてるんだ?」
「あ、いえ……。私が入ってきたとき、プロデューサーが少し震えていたから、寒いのかなと思って。」
「ああ、ははは。たぶんその震えは寒さじゃないと思うけど、ありがとう。おかげであったかいよ」
「そうですか」といって千早もやわらかく微笑む。この笑顔を見たら、どんな悪夢だって一瞬で忘れられるな。
「いやー、千早は女神さまみたいだなあ」
「え? え、な、い、いきなり何を言ってるんですか!」
「千早ちゃん、千早P、アウトー!」