08/01/17 15:44:50 0dl4G9+N0
■ランクアップ(ランクA)
時刻は午前の11時ごろ。いつものように千早がトレーニングから帰ってくると、
なにやら事務所内が騒がしい。
ドア越しに聞こえるのは伊織のヒステリックな叫び声と、プロデューサーが必死に彼女をなだめる声。
何事かとドアを開けた千早の目に飛び込んできたのは、クッション越しにプロデューサーの尻を蹴る
伊織という、ファンの目から見れば羨ましいが、普通の人から見れば只ならぬ様相だった。
「やっぱアンタに言われると腹が立つー!このっ、このっ!!」
「い、伊織……プロデューサーは大切に……いて、いて」
側でニコニコしながら見ている小鳥の様子からして、そこまで慌てて止める事ではないが、気になるのは事実。
「あの……音無さん?一体これは何があったのでしょうか」
「あ、お帰りなさい千早ちゃん。あのね、伊織ちゃんもランクアップしたことだし、これからは
心無い人の悪口とかやっかみに耐えなきゃいけないって事で、我慢強さを試すレッスンをしてたんだけど……」
「我慢し切れなかった、というわけですね……」
「そうなのよねー……伊織ちゃん、どうでもいい人達に悪口言われるのは平気みたいだけど、
相手がプロデューサーさんになるとダメみたい。なんででしょうねー?」
「と、とりあえず止めますよ!水瀬さん、水瀬さん!!落ち着いて」
「きーっ!!死なすっ!絶対死なすー!!離しなさいよ千早ー!!」
「話を聞けばもとは水瀬さんが望んだレッスンでしょう?大人気ないですよ」
「だったらアンタもやってみなさいよ!!最後まで耐えたら止めてあげるわ」
「わかりました。わたしもランクAアイドルとして自制心を試すいいチャンスです。
たとえ言われるのがプロデューサーだとしても、耐えて見せましょう」
確かに、よく知らない一般人よりも信頼しているプロデューサーから悪口を言われるのはきついかもしれない。
それでも、信頼しているプロデューサーだからこそ、その悪口には根拠も悪意も無い。
それが分かっていれば、たとえまな板やら背中と胸の区別が付かないやら言われても、千早には耐える自信があった。
「じゃ、いくわよ……小鳥、お願い」
「え?小鳥さん?」
「そう♪プロデューサーさんが本気で伊織ちゃんや千早ちゃんの悪口なんて言えるわけ無いでしょ?
だからわたしがクイズ形式で問題を出して、プロデューサーさんはこの場合ひたすら『如月千早』って答えるだけなの。
じゃあ、行くわよ……如月千早クイズ、QQQのQ~♪」
小鳥:第一問です。フランスの英雄ナポレオンの辞書には『不可能』という言葉が載っていないそうですが、
『まな板』『貧乳』『地平線』関係の言葉がごっそり抜け落ちているのは、誰の辞書?
P:「如月千早」
小鳥:「正解!では第二問。金髪ロングヘアとダイナマイツバディで大人気の美希ちゃんを見て、永●豪とダイ●ミックプロが、
度重なる失敗にも懲りず、またも『キュー●ィーハニー』の実写版を作ろうとオファーを持ちかけてきました。
ところがそのFAXを見て勘違いした春香ちゃん。ヒロインの女の子と苗字が同じという事から勘違いして、
765プロでもっともミスマッチな人間に、直接そのことを伝えてしまいました。
さて、このお話は誰の元へ間違えて行ってしまったでしょう?」
P:「如月千早」
小鳥:「正解!では第三問。人気ゲーム『テトリス』における、細くて長いブロック。765プロのアイドルに例えると、誰?」
P:「き……如月千早」
小鳥:「正解ー♪第四問。ノーマルレッスンに終わったプロデューサーさんが小刻みに震えています。
さて、その原因はこの後、ハイテンション状態の誰によるお仕置きケツバットが待っているからでしょう?」
P:「……如月千早?」
小鳥:「正解。では第五問。お昼の奥様御用達番組といえば、おも●っきりテレビですが、先週紹介された
『豆乳の力と女性ホルモン』の回放映後、765プロ近くのスーパーから豆乳が綺麗に無くなりました。
この事件の犯人は…………………………真ちゃんですが、残念ながら未遂に終わりました。
さて、それはすでに問屋ルートで流通が抑えられていた、誰の影響力でしょう?」
P:「如月千早」