08/03/18 22:16:21 K7ohK8si0
>>772
夜の街に、乾いた音が弾ける。
「……目、覚めました?」
「ああ……。楽しかった夢も、これで終わりだ。」
「そうね。……これももう、いらないかな?」
「いや、また必要になるときまで、取っておけ。」
「えっ……」
「そいつで次のお相手にも、気合入れてやらなくちゃならんだろ?」
「なっ……そんな無能君、こっちから願い下げです!」
「ははっ、それもそうか。……じゃ、ここでお別れだ。」
「はい……今まで、ありがとうございました。」
「なんだよ、急にしおらしくなって。……こちらこそ、ありがとう。元気でな。」
「言われなくても!そっちこそ、身体に気をつけてください!」
「うん!それでこそ、いつもの“秋月律子”だ!……じゃあなっ!!」
「さようなら、プロデューサー!!……さようなら……さようならっ!!」
とある家庭の、押入れの中。ボロボロになった、紙製の何か。染み込んだ涙と、口づけのあと。
―遠い日の、彼女の思い出。
弾ませるように戻すのと、振りぬくの。どちらがよりいい音が出て、どちらがより痛いのか?