【もっとあなたを】如月千早 20【好きになる】at GAMECHARA
【もっとあなたを】如月千早 20【好きになる】 - 暇つぶし2ch544:SS
07/12/22 13:22:23 D3a79NQI0
「くっくくっくー!」
まるで鶏の鳴き声のようなリズムで奇声を発する小さい影。
頭の中に響くその声を聞くところから私の一日は始まる。
「んー・・・あと5ふん・・・。」
掛け布団と毛布に包まり直しながら呟くと、頬をぺちぺちと叩いてくる小さい手の感触。
「んー・・・。」
目覚まし時計がセットしてある時間まではまだ少しあるが、最近は世話になったことはない。
「くっ!くっ!」
尚もしつこく頬を叩いてくる感触に負けて体を起こし、部屋の電気をつける。
ベッドの上で立ち上がって私の顔を覗き込んでいるこの子はちひゃー。
最近できた小さな同居人だ。彼女(?)のお陰で最近は目覚ましがお役御免となっている。
「おはよう、ちひゃー。」
「くっ!」
朝の挨拶をすると両手を挙げて挨拶を返してくる。その仕草に思わず笑みがこぼれてしまう。
「顔、洗おう?」
そう声をかけて洗面所へと向かうと彼女も後からついてくる。
洗面所においてある小さな洗面器に水を溜めて彼女に差し出すと小さな手で水を掬って顔を洗う。
小動物(?)ならではの愛らしい仕草を見ながら手で水を掬おうとして水の冷たさに一瞬躊躇してしまう。
お湯を使いたい衝動をこらえて掬った水を顔に叩きつけるようにして顔を洗う。
「ふぅ・・・。」
タオルで顔を拭い、横を見ると彼女も顔を拭っているところだった。
洗面器に残った水を捨て、次は朝食の用意だ。
トーストを焼きながら目玉焼きを作る。シンプルだがこれくらいが私には丁度いい。
コーヒーを淹れ、皿を二つ取り出し目玉焼きとトーストをのせる。
朝食を作っている間彼女はテーブルの上を拭き、新聞を取ってきてくれる。
「くっ!」
「ありがとう、ちひゃー。」
自分の仕事をこなし、得意げな顔をしている彼女にお礼を言う。例え同居人であってもこれくらいの礼儀は必要だ。
お皿を並べ、自分にはコーヒーを。彼女にはホットミルクの入ったマグカップをそれぞれの席の前に並べる。
準備ができると彼女は自分のイスを持ってきてその上にちょこんと腰掛ける。
「いただきます。」
「くっくく。」
お互い両手を合わせて軽くお辞儀をする。最初は私は挨拶だけだったのだが、
いつの間にか彼女に釣られてするようになってしまっていた。
彼女はなかなか器用で、スプーンやフォークは上手に使いこなしている。
目玉焼きを頬張り、トーストをかじる。そしてホットミルクを口に運ぶ。
ご飯を食べるだけの行為を妙に必死にこなしている彼女を見て和むのが毎朝の日課のようになっている。
「ごちそうさまでした。」
「くっくー。」
流しへ食器を運び、食器洗いを始める。彼女の仕事は台の上の片付けだ。
お互いの仕事が済むと、今度は出勤の準備。
髪に櫛を通し、ドライヤーで整える。鏡でも見えにくいところは彼女がチェックしてくれる。
「くっ!」
彼女からのOKサインが出ると今度は彼女の番だ。私の膝の上に飛び乗り、お気に入りの櫛を渡してくる。
冬毛(?)に生え変わったらしい彼女の髪を丁寧に梳る。この時の彼女の顔はどんなに心が荒んだ人間でも
きっと釣られて笑顔になってしまうだろう。
服を着替え、火の元と戸締りのチェック。全てチェックしていよいよ出勤だ。

いよいよ事務所の前、少し呼吸を整えてからドアを開ける。
「おはようございます。プロデューサー。」
「くっくー!」
デスクに向かって書き物をしている彼に声をかける。
「あぁ、おはよう。千早。それにちひゃーも。」
そう言いながらこっちへ振り向く彼は何故か苦笑している。
疑問に思っていると、
「言いにくいんだけど・・・。今日、オフだぞ?千早。」
「・・・へ?」
思わ気の抜けた声が出てしまう。そうだ、そう言えば今日の仕事は司会が急病で注視になったんだっけ・・・。

・・・でも、今日はどうせ暇なので一日一緒にいましょうね?プロデューサー。


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